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説明員(
西川三次君)
只今の御質問は收納
価格に
地域差を設けてはどうかというふうなことであろうと思いますが、この点につきましては、
公社としまして増産面において最も重要な問題でありますので、従来から事務的に検討しておるわけでありますが、まだはつきりした結論には到達していないのでありますけれども、大体の考え方を申上げますと、
地域差を設けるのにどこで一線を引いて、どの
程度の
地域差を設けるかというまあ
技術的な問題もあるのでありますが、我々としましては先ず第一に、各地の
塩田の現在の実態、つまり
生産力が、どういうふうな
状態であるかということを徹底的に究明いたしまして、それによてこれが対症療法を考えるべきではなかろうか、こういうことを考えておりまして、現に従来一ヘクタール
当り百二、三十トンの
生産のあ
つたものが、現在のところ四、五十トンくらいのところに低下しておるというふうな
地域を先ず対象として取上げまして、
技術人が相当多数出まして、あらゆる角度からこの
塩田の実態を究明しているわけであります。これまでやりましたのが山口県の平生という所とそれから兵庫県の大塩、この二カ所にな
つておりますが、大体の結果を申上げますと、
生産減を来たしました理由に、いろいろ相当あるのでございますが、一番大きな理由は、例の地震のために
塩田の地盤が沈下した、
堤防も沈下したわけでありますが、
塩田自体が沈下いたしておりまして、このために
海水の取入れはいいのでありますが、排水なんかについてうまく打
つていないというような事情でありまして、一番大きな原因は地盤の沈下であるというような結論が出ているわけでありますが、それ以外に、要するに
海水の濃度が薄くな
つている、或いは淡水が相当
塩田に入り込んでお
つて、そのために結局
海水が薄くな
つているというふうな事情、それからその淡水が
塩田に入るのに、いろいろその附近に、背後に水田があれば水田から流れ入
つているとかいうような面、或いはただ上のほうだけでなくして地盤の下のほうから一種の伏流水のような
関係で入
つて来ているという事情もあるようでありますし、又附近に川があればその川の水が伏流水の
関係で
塩田のほうに入
つて来ていると、そういうふうないろいろな事情がありまして、そういう用排水のよろしきを得ないために相当
生産減も来たしているという事実がわか
つているわけであります。これにつきましては、先ほど
お話がありましたように仮に
地域差を設けましても、これが果して有効な対症療法であるかどうか疑問になるわけでありまして、我々としましては先ずこれが対症療法としては、そういう
生産減を来たしている根本を突きまして、それについて最も合理的な手を打つというふうなことを考えまして、その上でなお且つ
生産がどうしても上らないというふうなものについてどういう手を打つべきかということを考えたい、こういうふうに考えているわけであります。そこで大体一ヘクタール
当りの
生産量から申しますと、大体の現在の收納
価格での採算点と申しますのは、一ヘクタール
当り七、八十ドンぐらいのところが採算点でございまして、これはまあ全国的の平均をと
つた場合でありますからして、勿論その
塩田の
地域によ
つて、例えば労賃が安いとか、或いは燃料が安く手に入るとか、そういう特殊事情によりましてそれよりも低くても採算がとれるという場合もありますが、大体平均いたしまして七、八十トンぐらい
程度取れなくては現在の收納
価格ではペイしないという
状態でありますので、大体先ほど申しましたように、いろいろ
改善、
改良の手を考えまして、その後においてもなお且つ
生産量が七、八十トン以下であるという場合については、塩のできるだけ多くの
確保ということと、それからその塩価を上げることによ
つてまあ財源的にも相当要るわけでありますし、又そのためにいつまでもそういうふうな
地域差をそのままにしておいては、一方いろいろ自発的に
改善、
改良を加えまして
生産増を来たしているというふうなものに対しての影響も考えなくちやならん、つまり
合理化とか何とかいうようなことを阻害するようなことにな
つてはいかんわけでありますので、そうい
つたふうな点も全体的に総合いたしまして、結局結論的に言
つて、食糧塩なら食糧塩の百万トンをどうしても少々値段が高くても
確保しなくちやならんと、こういうような国策的の結論になりますれば、その線に沿
つて收納
価格も上げざるを得ないので、上げる場合にも
地域差によ
つて、どうしてもペイしないものについてその
地域差を設けて
生産の
維持なり増進なりを図るべきじやなかろうか、こうい
つたようなふうの考えを持
つているわけであります。