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1952-06-12 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十二日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員の異動 六月十一日委員赤松常子君辞任につ き、その補欠として上條愛一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            野溝  勝君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小林 政夫君            小宮山常吉君            田村 文吉君            森 八三一君            大野 幸一君            下條 恭兵君            油井賢太郎君   政府委員    日本専売公社監    理官      久米 武文君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    日本専売公社塩    脳部長     西川 三次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○製塩施設法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第六十五回の大蔵委員会を開会いたします。  製塩施設法案、右について内容説明を求めます。
  3. 久米武文

    政府委員久米武文君) 製塩施設法案内容説明を申上げます。従来国内におきまするところの塩の生産確保いたしまするために、塩田等災害に参かかつた場合には、災害復旧事業費につきまして補助を與えて参つております。それは塩田等災害復旧事業費補助法という現行法でございます。この塩田等災害復旧事業費補助法によつて災害復旧事業の円滑な遂行を図り、そうして塩の生産確保するというのが従来とつて参つた政策でございまするが、この現行法におきまする補助内容を今回改善向上させるという取計らいをいたしました。従来の補助の実効の経験にも照らしまして、補助方法等について改善を要する点を新らしく織り込みまして、ここに製塩施設法案というものを御審議願うことにいたしたのでございます。従いまして只今審議を願うところの製塩施設法案の大部分の点は、現在ありまするところの補助法内容を補充し、改善するというものでございます。完全に新らしい事項といたしましては、十二條製塩施設目的外使用制限という規定と、第十三條の予防措置指示という二つの條文だけでございます。従いましてこの十二條、十三條両條文によりまして新らしい事項が加えられたほかは、補助内容を充実改善して塩の生産確保を図るということで御了承が願えるかと思うのでございます。  以下逐條的に申上げますると、第一條目的は、これは文字としては新らしい字でありまするが、この立法の趣旨を表わす規定でございまして、国内における塩の生産維持増進し、日本専売公社が行うところの塩の専売事業の健全な運営に寄與するために、塩田等改良新設又は災害復旧目的とする事業を施行する者に対しまして、公社補助を行わせるという本法の目的を明らかにいたしますると共に、新らしい事項として「製塩施設保全及びその効用維持のための措置をとる」ということを掲げましたわけでございます。  第二條定義でございまして、この定義は大体におきまして、現在の補助法規定されておりまする定義と同じ  でございます。ただ第二條で変つておりまする点は、二條の第二項、濃縮施設定義がございますが、ここで「濃縮施設」とは、通常枝じよう架又は濃縮台と称されるものその他自然力利用して、塩若しくはかん水を採取し、又はかん水の濃度を高める目的に供される施設をいう。」ということでございまして、この第二項の中で、従来自然力というものの下に括弧が従来の法案では附いておりまして、「(地熱を除く。)」というのがございました。つまり従来、例えば九州の小濱温泉温泉熱利用して塩を造る方式がございました。そういうふうな温泉というふうな土地の熱を利用する施設は、従来の災害復旧補助のときに外してございましたけれども、今回はそういうふうな温泉熱利用も、自然力利用によるところの製塩施設として含めるということに改善いたすことにいたしました。つまり温泉熱利用製塩が今度は補助の対象に入つて来たのでございます。それから二條の第九項に新らしく改良事業ということの定義を掲げました。この法律全体におきまして改良事業というのは、ところどころ出て参りますけれども、この改良事業ということのうちに、普通に常識的に想像されるところの改良のほかに、新設というものを含めました。つまり堤防改良又は新設というのがこの第二條第九項の一号でございます。それから海水塩田に採入れたり、要らないところの悪い水を外にはき出したりするところの用排水施設というものの改良又は新設、それが第二号でございます。それから第三号に荒廃塩田地盤改良というものを入れました次第であります。  それから第三條は、これは建設事業補助ということでございまするが、ここで従来災害復旧事業の場合には、その補助の基本となるところの事業費につきまして原形復旧、もとの形に復するという基本的な原則がありました。今度もその原則は掲げてあるわけでございまして、原形に復旧いたします場合の補助率というものは、従前通り第三條の二項に規定されております補助率につきましては変更がございません。併しながら原形を超えまして、いわゆる超過事業と称しますが、例えば塩の生産確保するために、災害にかかつな塩田堤防蒿上げするというふうな場合があるわけでございます。そういうふうな堤防蒿上げというふうな、いわゆる超過事業につきまして新たにこの第三條第三項の補助率を設けたわけでございます。超過家事業の場合の補助率というものは原形復旧補助率よりも一割下つているわけであります。堤防が例えば決潰して壞れたというときに、原形復旧までの部分につきましては六割五分の補助率が出る、原形復旧の上の、蒿上げいたしました部分につきましては、五割五分というふうに、一割低い補助率ということで、ここに新らしい内容が盛られ、災害復旧事業の円滑な施行のために一段と補助内容を充実いたしたわけでございます。あと次に参りまするいろいろな手続的な規定、第四條、第五條等はこれは現在と同じでございます。  それから第六條と八條までを新たに設けました。今度改良事業というものにきましての改良事業補助というものをここに盛り込んだわけでございまして、改良事業につきましては、第六條の第一項によりまして、予算範囲内で補助金が交付できるということにいたしてございます。ここにこの改良事業につきましては「予算範囲内」ということで以て法律補助率は書かないと、まあ大体こういうふうなのが普通の慣例に相成つておりますのでその例によつたわけでございます。以下第九條、これも実態的な変更はございません。  第十條にきましても同様でございます。それから第十一條適用除外)これも現行法の九條と大体同様でございまするが、適用除外の第十一條第二項「第六條の規定は、第三條第三項の規定適用を受ける事業については適用しない。」と、これが新らしい條文でございますが、これは念のだめの規定でございまして、改良事業補助と、超過事業補助というものが重複して、両方が支給されることはないのだということを念のため宣言してございます。  又その第三項におきまして「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により国が費用負担する災害復旧事業については、第三條又は第六條」とかいうふうに、こちらのほうの補助は行かないのであるということを明らかにしてございます。  次が第十二條と、第十三條との関係でございまして、第十二條は先ほど申上げました通り製塩施設目的外使用制限内容とするものでありまして、製塩施設をその製塩目的以外に供しようとするときは、あらかじめ公社の許可を受けなければならない、こういうことを規定したわけでございます。  それから第十三條は(予防措置指示)でございまして、製塩施設効用維持又は製塩施設保全上必要があるときは、製塩施設に隣接する地域又は水域において、左の各号の一に該当するおそれがあると認められる施設を新たに設けようとする者に対しまして、公社指示をすることができる。どういう指示であるかと申しますると、製塩施設効用維持し、又は製塩施設保全するために必要な予防措置を設けるということを指示することができるということに考えているわけでございます。然らばどういうものが製塩施設効用を低下させ、或いは製塩施設に有害な影響を及ぼすものとして考えるかというのが、その次に三号が挙げておりまして、「製塩に使用する海水の比重をボーメ〇・一度以上低下させるもの」製塩に使用する海水中に來雑物又は毒物を注入して、この海水の成分に著しい変化を與えて、製塩施設の性能、又は塩の品質を害うもの、それから次に「製塩施設を損壞するもの、」こういうふうなものは塩の生産確保するという見地から放任して置くわけには行かない。そういう場合には必要な予防措置公社が掲示することができるように、というのが原案の趣旨でございます。この場合におきまして、費用負担がどうなるのかということが次の第十三條第二項にございまして、この「予防施設を設けるため必要な費用は、その施設を設けようとする者の負担とする。」という原則がありまして、この原則に対する例外として、「但し、その予防施設を設けるため必要な費用が著しく多額である場合には、公社は、その費用の一部を当該予防施設に係る前項に規定する施設により塩又はかん水を製造する者に負担させることができる。」と、つまり一部を塩業者負担させることができると、つまり費用両方から持ち寄るということに相成るわけでございます。それからその持ち寄る場合に、どういうふうな手続によるかということが、その第三項、第四項、それから第五項というところに挙つているわけでございます。  又その新たに施設を設けようとする者と、塩業者以外に新たに施設を設けようとする者、それが国とか地方団体であつた場合にどうするかということが第六項の規定でございまして、「第一項に規定する者が国又は地方公共団体であるときは、公社はその必要な予防施設の設置につき、国又は当該地方団体に協議するものとする」というふうに御相談を申上げるということに相成つております。  又この塩田に隣接する地域、又は水域で新たに施設を設けようとする者が、そのやるところの事業が、農林省或いは通産省の関係事項でありまするときにはこの第七項の規定によつて農林大臣又は通商産業大臣に協議するということもはつきりいたしたわけでございます。十四條は従来ある條文でございます。  それから十五條、これは今申上げた十二條又は十二條規定に基く公社の処分に対して不服がある者は、公社の総裁に異議の申立をすることができるということを規定したわけでございます。罰則の関係は十七條、十八條に書いてございます。  で、なお附則へ参りまして従来ありますところの塩田等災害復旧事業費補助法は廃止するということを第二項に謳つてございまして、従来の補助法は完全に今度の法律の中に吸収されてその補助内容は従来よりもよくなつた、どういう点がよくなつたかと申しますると原形復旧に対する補助というだけでなしに超過事業に対する補助ということが入つた、それから予算範囲内で改良事業に対する補助ができるということが入つたという点がよくなつた主な点と考えております。こういうふうな補助内容を充実改善することによつて国内における塩の生産確保に一段の政府として具体的な施策を進めるという方向に現在あるわけでございます。  なおお手許に配付いたしてあるかと思いますが、国内塩生産確保に関する閣議決定内容に関する資料というのがお手許に行つていると思うのでございまするが、昭和二十五年の三月に閣議決定をいたしまして、少くとも国民必需品であるところの食用塩についてはその全体の収量を国内確保するということを基本的な政策として確立しているわけでございまして、この食用塩国内で自給するという大方針の下にこの災害復旧事業補助を中軸とするところの今回の製塩施設法案というものを御審議願つているわけでございます。大体内容説明は以上の通りでございます。
  4. 小林政夫

    小林政夫君 只今国内塩生産確保に関する施策について十分やつているのだという御説明のようでありますが、本法案を制定するという趣旨もそういうところにあるわけでありまするが、只今引かれたこの閣議決定ということは昭和二十五年の三月十七日の閣議決定である、それから大分時代も過ぎているし、ここに書いてあるのは非常に抽象的なことでありますが、もつと具体的に最近の施策について御説明願いたいと思います。
  5. 久米武文

    政府委員久米武文君) 食用塩の全量を国内確保するというのは大体の目安といたしましては食用塩七十万トンは国内確保するということでございまして、この七十万トン国内確保するという目標に対しまして、差当り目標でございます。差当りの自標に対しまして現在大体我が国の塩田等によりますところの塩の生産能力、キヤパシテイーといたしましては大体六十万トンあると考えております。但し最近は年々台風の関係で風水害を受けておりますので実際生産と申しまするものは四十万トン台で、例えば四十二万トンとか、本年あたりでも大体五十万トン台であろうかと考えております。六十万というところまでは行つていないというところが現状でございます。  それからなお塩の需給確保しますために不足します部分につきましては外国からの輸入に待たなければならない、殊にソーダ工業で使いまするところの塩というものは従来その全部を外国から輸入いたしておるというふうな現状でございます。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 その需給状態を聞いたのではなしに、具体的に今差当つて七十万トンを目標としておりながら、実際においては四、五十万トンしかできていないし、キヤパシテイは六十万トンあるけれども、災害等で減つておる。だからそれをどうして七十万トンに引上げて行こうとしておるのか、この法案制定一つの手段でしようが、ここに書いてある技術改善をやるとか或いは経営の合理化を図るために健全な企業形態をとらしめる、或いは必要な資金資材等確保を講ずるというふうになつてありますが、その具体的にどういう措置をとつておられるかということをお尋ねしているのです。
  7. 久米武文

    政府委員久米武文君) 製塩設備並びに製塩技術改善ということは最も重要なことでございまするが、これにつきましては公社の例えば技術の面につきましては製塩につきましては試験場等でいろいろ技術試験を行うとか、それから塩田からとれますところの鹹水を塩に焚き上げまするところのいわゆる煎熬施設というものにつきましては、これは真空式又は蒸気式製塩法企業の採算的な見地から見ましても塩の品質をよくするという点から見ても望ましいことでございますので、平釜式のものは逐次蒸気式に、それから蒸気式のものは事情の許す限り成るべく真空式にというふうな方向改善を図つて行くと、そういうふうに設備を新らしくし、能率的なものに切替るということが塩の生産量引上げて行く一つの面でございます。そういうふうな場合に必要な資金につきましては従来いろいろ大蔵省といたしましても、專売公社としても金融機関からの資金借入れ等について斡旋をいたして参つたのでございまするが、なお最近は例の農林漁業資金融通法に基きまするところの例の特別会計からの貸付というものを実行いたしておりまして、二十六年度におきましては塩業に対しまして六億四百万という枠で実行をいたしました。それから二十七年度につきましては十億円という枠で予定してございます。これによりまして塩を焚き上げる煎熬施設のほうも、それから塩田のほうの改良両方をやつて行くわけでございます。なお塩田方式以外のいわゆる海水から直接塩田を使わずに塩を造るという方法につきましては現在專売公社におきましては福島県の小名浜にいわゆる加圧式海水直煮の製塩方式によりまするところのモデル工場と申しますか、一つテストプラントを作つております。能力一万トンの工場を作つておりまして、七月には、来月は操業し得るという段階に大体取運んでおります。こういうふうな海水直煮の方式というものも今後その小名浜工場における実際の実験的と申しまするか、運用の結果を見まして、これが逐次一般に工業化されるというふうな期待も持つておるわけでございます。
  8. 田村文吉

    田村文吉君 関連して伺いますが、大体のこの資料を頂いてあるかと思うのですけれども、工業塩食用塩ですね、今後の生産及び需要見通しと、それに対する対策と、それからそれには必ず価格政策が入つて来る。食用塩だけは内地需給なさるとすれば、一体どのくらいの外国塩内地塩の値段の差があるか、そういう問題については将来どういうふうにお考えになつておるか、この辺のところをちよつと大略でよろしいですが、ちよつと御説明願いたい。
  9. 久米武文

    政府委員久米武文君) 需給関係予算上ではこういうふうに見ております。二十七年度の内地生産されます塩六十二万七千トン、それから外国から輸入しますところの原塩を百七十万トン、それによりまして二百三十二万七千トンの供給が期待できる。それから食用塩を主といたしまするところの一般用塩というものを約百万見てございます。それからソーダ用ソーダ工業苛性ソーダ及びソーダ灰製造用として予算上は百二十五万トンと見ております。それから価格の問題につきましては、国内で収納いたしまする塩はトン当り一万三千円でございます。それから輸入いたしまする塩はトン当り日本港着CIFで申しまして予算上大体二十ドルで見てございましたが、最近船賃がやや下り気味でございまして、大体十八ドル程度で入るという現在見通しを持つております。
  10. 田村文吉

    田村文吉君 十八ドルだと幾らになりますな。
  11. 久米武文

    政府委員久米武文君) 十八ドルは六千四百八十円です。
  12. 田村文吉

    田村文吉君 六千四百八十円、何ですか、内地収納価格の半値でCIFで同じ品質のものが入る、こういうことは言い得るのですか。
  13. 久米武文

    政府委員久米武文君) 物は違うわけでございまして、原塩は、何と申しますか、ざらざらとした大粒なんでございますね、それから物によりまして少し質が悪いと石炭みたいな塊になることもございますが、要するに大粒で非常に固い、そのまま料理の上へかけるというようなわけには参らないわけでございます。ですから物が違う。この輸入しました原塩食用にする。例えばそのまま口に入れるというためには少くともそれを砕く、いわゆる粉碎という操作が必要なわけです。更にその原塩中には若干不純分を含んでおりまするから、その不純分をのけて衛生的な食用塩にするためには、その原塩を一度溶かして、塩水にして、それから食用塩を精製するというふうな操作も必要なわけでございます。
  14. 田村文吉

    田村文吉君 今のお話食用塩が百万トンとおつしやつたのですが、先刻の御説明の七十万トンとどういう数字関係になるのですか。
  15. 久米武文

    政府委員久米武文君) この百万トンと申しまするのは、塩のいろいろな用途のうち、ソーダ工業、いわゆる苛性ソーダ及びソーダ灰製造用以外の用途を全部含めて百万トンというわけでございます。この中には、例えて申しますると、革を鞣す鞣革に使う塩でありまするとか、瀬戸物を作りますときの塩でありまするとか、或いは薬を作りまするところの塩でありまするとか、いろいろな工業的な部面も含んでおるわけであります。
  16. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると、言い換えると、食用塩百万トンとおつしやつたけれども、この中には工業塩が入つておるわけですね。
  17. 久米武文

    政府委員久米武文君) その通りでございます。
  18. 森八三一

    ○森八三一君 お話がありましたように、塩は非常に大切な必需品であり、見方によつて国民生命を繋ぐ貴重な資材でありますることは申すまでもありませんが、そこで、この食用塩を大体七十万トンというふうに見込んでおられるというのは、一体基礎はどういう計算で七十万トンという推定をされたのか、その内容一つお話願いたい。
  19. 久米武文

    政府委員久米武文君) これは従来專売公社になる前の專売局当時、專売局として売渡しました塩はどういう用途に使われるのかということを專売局の各地方の出先から毎年調査をさせまして報告を取つておりました。その結果に基きまして、昭和二十五年までの状況から見て直接嘗めます。ところの塩、それから味噌とか漬物とか、醤油或いは料理に使う塩、そういうふうなものを大体集計いたしますると、統計的に大体七十万トンという目安が結論として出て参りました。それによつておるわけでございます。
  20. 森八三一

    ○森八三一君 過去の配給の実績等から積み上げて七十万トンというような実績が出ておるので、一応の国内確保量を七十万トンというふうに押えておるのだということになりますると、これは如何にもその見通しが極めて非科学的であつて、何としても確保しなければならんという目標として考えまするのには余りにも漠然としたものであつて、我々は十分納得できんと思います。少くとも国民生命維持して行くために、日本人の体格なり体力というものから考えると、どの程度補給しなければならんというような科学的、医学的な基礎に立つて国民一人当りおおむねどの程度のものが入用であるか、現在の国内人口に対比すれば七十万トンというもので満足ができるということでなければならんと、こう思うのでございますが、そういう観点から見た場合に、一体大蔵省は七十万トンでいいと考えていらつしやるのか、と申しますのは、若し国際関係が非常に困難になつた場合に、この塩が不足をするということでは非常に困つた事態が予測せられるわけでありますので、これは、少くとも食用塩だけは万難を排して国内確保しなければならん。その最低確保量はどうすべきかということを考えなければならんと思いまするために、そういう点をお伺いするのですから、そういう御調査がありましたらお話願いたいと思います。
  21. 久米武文

    政府委員久米武文君) 只今お話がございました通り、人間が普通の活動をして行くために必要な栄養の補給源としての塩分が一日一人何グラム要るか、それに人口を掛ければそれから塩の必要な最低量というものは当然算術で出て来るであろうという御意見につきましては、全くその通りでございまして、七十万トンという数字はその数量を下廻るような数字ではないと考えております。なお專売公社のほうから……。
  22. 西川三次

    説明員西川三次君) 只今需要見込でございますが、これは先ほど監理官からお話があつた、つまり過去の消費実績基礎にして需要見込を立てるわけでございますが、大体過去の消費実績からしますれば、日本国民一人当り消費量年間十一キログラムということになつております。この点は欧米の例によりますと、まあ文明の程度が高いほど塩の消費率も高いようでありまして、欧米では大体年間一人当り十四キロ、十五キロくらいな割合になつているようでありますが、こういう国民一人当り消費実績基礎にいたしまして、こういうものも基礎にして需要見込を立てているわけであります。そこでそれではそういう消費性向と申しますか、消費変化が予想されるのではないかというふうなことも考えなくちやならん。この点は必ずしもないわけではないのでありまして、時の経済の状況によつても違いますが、大体先ほど申しましたように、年年消費率は幾らかづつ殖えて来ているような状態であります。この点をお含みおき願いたいと思いますことと、先ほど監理官から説明がございました食糧用塩七十万トンの目標は、実は予算面では食糧用としましては年間百万トンを予想しているわけでありまして、そのうちなぜそれでは七十万トンの当面の目標を掲げたかということになるのでありますが、この点は先ほども話がありましたように、日本の現在の塩田生産力としましては大体精一ぱい六十万トンということになつているわけでありますが、この現在の塩田を相当改良を加えることにより、又煎熬関係の機械北、真空式と言つておりますが、こういつたような機械化することによつて大体十万トンくらいは増産が可能であるというふうなことを考えまして、当面七十万という目標を掲げたわけでありますが、本来ならば食糧塩の百万トン全量を確保する、こういうような目標でなくちやならんわけであります。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 私が今こういう細かいことをお伺いいたしておりますのは、最初に申上げましたように、非常に大切な食糧塩につきましては、万が一の場合を考えて、その最悪の場合に処する最低の限度というものはどこまでも確保して国民が安心をしているという事態を作つて行かなければならない、こう考えるからであります。そこで消費実績は成るほど十一キロ程度であつたり、欧米では十四キロとか十五キロということであるかも知れませんが、その十一キロというものが本当の最低生命維持して行くために絶対の量であるのか、或いは最悪の事態に逢着した場合には十一キロというものは九キロまで切下げても生命維持して行くためには十分ではないにいたしましても一応堪えられるという程度のものであるのかどうかという点をはつきりいたしたい。そこでそういう数字がはつきりして参りますれば、現在の国内における製造設備としては六十万トン程度であるが、実際の実力は四十万トン乃至五十万トン程度であるということであります。そこで今申上げますような基礎から積み上げて来て、西川局長お話のように、結論的な数字が仮に九十万トン入用であるということになりますれば、更に現在の実力を倍加しなければ私の申上げるような事態を完成するわけには行かん、こういうことになるわけであります。そこでこのことを達成するためにこの法律をどういうように運用して行くかという問題に関連するので、そのことを基本的な問題としてお伺いをいたしたのでありまするが、詳しい資料がございませんようでありますので、これ以上その点は質問することを取りやめにいたしたいと思います。  第二にお伺いいたしたいのは、そういうような観点からこの製塩施設法というものを見て参りまする場合に、そういうような国民生命維持のために絶対不可欠なこの重要な資源を国内で充足をするということのために、災害復旧なり或いは改良事業なりということが計画されておりますことは、非常に御尤もなことと思いまするが、この所要される経費というものは一体どういうような形において支弁をされるのか。一般会計からの補給はないという形になつていると思うのでございますが、その具体的に支出せられまする補助金はどういうような給源においてこれが賄われているかということをお伺いしたいと思います。
  24. 久米武文

    政府委員久米武文君) 災害復旧に対する補助、この補助予算はどういうふうになつているかと申しますると、專売公社の塩の事業というものは一応独立採算という原則がございまするので、公社予算の中に計上されているというわけでございまして、一般会計からの補助ではないというわけでございます。災害復旧補助としては昭和二十七年度といたしまして大体五億円予定されております。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 私のお伺いいたしましたのは、一般会計から出ておらん、そこで專売公社特別会計の中で支弁されておるということは、提案されております予算書を拝見して了承いたしておりますが、その予算に盛られている五億円というものは一体どういうところから捻出されているのかという、專売公社予算内容についてどこから生れて来ているかということをお伺いしているのであります。
  26. 久米武文

    政府委員久米武文君) 五億円の算出の内訳というふうな御趣旨かと思いますが、さようでございましようか。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 予算に盛られている本年度災害復旧費五億円というものは一体どこから求められたか。特別会計予算の中に、歳出の中に盛られているということはわかります。歳入は一体どこから来ておるのだということです。
  28. 久米武文

    政府委員久米武文君) 歳入は、塩の売上の収入というものから来ております。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、この大切な塩の確保について売上金から負担せられておるということになりますると、これはやはり国民負担と申しますか、この塩を配給される都度心々何がしかを国民負担をして、ここに行われんとする災害復旧なり、改良事業というものが行われて行くのだと、こう理解せざるを得ないと思うのですが、そういうことではこの重要な国民生命維持保全して行くために必要な塩の確保をいたしまするために、余りも不満足な形に置かれておるのではないかという気を持つのでありますが、一体この大切な塩の確保ということについて、これは見ようによつては食糧確保と同列に並べて考えるべき私は筋合いのものではないかと思うのですが、それに対してこれは受益者負担のような恰好で、形で事をして行くということになることは、日本の置かれておる立場、殊にお話のありました年間二百数十万トンを所要するときに、三分の一すらも国内確保がせられんという状況に対処するために、そういうような状態では余りにも不徹底ではないか。それで一体最悪の事態を予測した場合に、国民が安心して産業にいそしんで行くというような気持になり切れるかどうかということを考えますると、非常に淋しい気持にならざるを得ないのでありますが、それで一体いいとお考えになつているのかどうか、その辺はどうですか。
  30. 久米武文

    政府委員久米武文君) 塩の生産確保して需給に心配がないようにもつと力強い施策が望まれる、又そのためには予算上もいろいろ考えなければならないのではないかというような御意見に対しまして、一応そういうお考えがあろうということは我々も理解できないわけではない。現在の公社予算につきまして、煙草につきましては利益金が上る。塩と樟脳については、これはもう益金を上げる必要はないけれども、赤字を出しては困るという現在の方針でございまして、その方針は現在のところ動かさない。これは大蔵省としてそう申上げざるを得ないのであります。
  31. 森八三一

    ○森八三一君 今の私の申上げたことが理解できないわけではないが、專売公社の独立採算制ということに立つて考える場合にはというお話でありますが、そのことが私は非常に遺憾なことだと思う。少くとも食用塩確保につきましては、これは国が当然積極的な施策を推進すべき筋合のものではないか。受益者負担的な恰好においてこれが処理されることは非常に遺憾だということを申上げたのでありますが、これは十分今後の問題としてもう少し真劍に御研究を願いたいと思います。  第三にお伺いいたしたいことは、塩田にはお話のありましたように非常に能率の上りまするようなものもありますれば、能率の非常に低いものもあるというのが現状だと思います。そこでそういうような、非常に程度の違う状態の下において、專売局が収納いたしまする場合の価格が、先刻のお話では一万三千円という国内製塩に対する価格であるというお話でありましたが、これはそういうような能力の差のある場合、それが製塩技術の巧拙だけではなくて、海水そのものに含有しております塩分が天然條件において異なるということも一つの條件になろうと思うのであります。そういうようなあらゆる場合を考慮して、一律に一万三千円とおきめになつておるのか。一万三千円というのは平均であつて内容的にはそういう実情を勘案して区分がなされておるのか、その実情をお伺いしたいと思うのです。
  32. 久米武文

    政府委員久米武文君) 一トン当り一万三千円というのは、一本の価格でございます。
  33. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、今申上げましたように、製塩の実態には非常に差別があると思いまするが、そういう差別のある状態を、収納価格を一万三千円ということで、一律にして行くということにおいて、期待されるような現在四十万トン乃至五十万トンのものを七十万トンに殖やしたい、而も本年度の予算面においては六十二万トンを計画しておるという、目的を達するためにそれはふさわしい姿であるのかどうか、そういうようなことで本当に予算に盛り込んで、少く共予算に計画されておる六十二万トンは、政府としては達成されるという見込みをお持ちになつて予算に計上されておると思うのでありますが、それを達することが可能であるとお考えになるかどうか、経済的に見て御意見を聞きたい。
  34. 久米武文

    政府委員久米武文君) 予算に予定されておりまする六十二万七千トンと申しまするものは、公社塩業者から買いまするところの、いわゆる収納いたしまする塩と、それから專売公社一つ直営の工場を持ております山口県の防府でございますが、防府の工場におきまして、自分で作りますところの塩を合せまして六十二万七千トンでございますか、これは本年度の天候の條件、例えて申しますれば、ひどい災害がないというようなことを予定いたしますれば当然達成し得る目標であると考えております。なお塩の生産につきましては、いろいろ自然の條件の制約があります。海水の濃度も違うでありましよう。又塩を作りまする最盛期、盛んな時期におきまして雨が降りますると、これは非常に塩を取るのに妨げになります。でありますから雨が多いか少ないかというふうな、自然的な條件が土地によて違うわけでございまして、そういうふうなことによて有利な土地、不利な土地、いろいろございます。価格の点につきましてはトン当り一万三千円という一本の価格で、これにマツチするように條件の悪いところはいろいろの改良、工夫を凝らして行く。それから自然の條件において塩の生産に適する、いわゆる塩業適地と申しますか、塩田適地と申しまするか、そういうような所につきましては、今後ますます塩の生産規模を拡張して行くというようなことが必要と考えております。  なおこの一本価格につきましては、只今御指摘のように、いろいろ御意見がございまして、これは專売公社の内部におきましてはいろいろ検討を加えている現在の段階でございます。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 私の申上げておりますのは、この際一トンでも二トンでも、とにかく国内における生産を挙げて行かなければならん。それに対しまして、丁度米につきましてでは新潟県とか、秋田県のように單作地蔕であり、而も早場米地蔕におきましては、同じように農民が努力をいたしましても、同じような資本を投下いたしましても、その持つておる早場米というものの本質上一定面積からの収量が少いということで、奬励的な意味から早場米奬励金というものが交付せられまして、本年で申しますれば米価は七千三十円ということにきめましても、実質的なそこに差等をつけて、一歩でも二歩でも前進をせしめるという施策が講ぜられておるのでありまするが、それと同じような意味において、すでに天然的な自然的な條件において差等を、持ておる塩の生産についてもそういうような施策が講ぜられて、そこに要求する七十万トンに一歩でも近付いて行くというような施策が当然考えられなければ、経済的に不引合な仕事を進めて行くということは非常に困難でありまして、政府の企図せられるところに達しないのではないか。而もそれが国民の生活に重大な関係を持て来るということであれば、そういう施策は当然推進せられて然るべきじやないかという感じを持つのでありますが、そういう御研究があたのかないのか。そういうことは理論的にいかんのかいいのか、御見解を一つ
  36. 久米武文

    政府委員久米武文君) 只今御指摘になりました問題については、專売公社の塩脳部といたしましては、最も重要な問題の一つとして熱心に従来から検討を続けております。ただ私ども大蔵省の立場で申しますと、塩業というものは自然の條件に非常に左右されるものでありますので、自然の條件から見て塩田として適当な所に塩素が栄えるというのはやはり自然の姿でありまして、やはり従来から大きな塩田を持つた塩素地におけるところの塩の生産というものが今後ますます伸びて行くというふうな姿を私どもは想定いたしておるわけでございます。なお公社内部におきまする研究はどうであるかということにつきましては、西川塩悩部長からお答えいたします。
  37. 西川三次

    説明員西川三次君) 只今の御質問は收納価格地域差を設けてはどうかというふうなことであろうと思いますが、この点につきましては、公社としまして増産面において最も重要な問題でありますので、従来から事務的に検討しておるわけでありますが、まだはつきりした結論には到達していないのでありますけれども、大体の考え方を申上げますと、地域差を設けるのにどこで一線を引いて、どの程度地域差を設けるかというまあ技術的な問題もあるのでありますが、我々としましては先ず第一に、各地の塩田の現在の実態、つまり生産力が、どういうふうな状態であるかということを徹底的に究明いたしまして、それによてこれが対症療法を考えるべきではなかろうか、こういうことを考えておりまして、現に従来一ヘクタール当り百二、三十トンの生産のあつたものが、現在のところ四、五十トンくらいのところに低下しておるというふうな地域を先ず対象として取上げまして、技術人が相当多数出まして、あらゆる角度からこの塩田の実態を究明しているわけであります。これまでやりましたのが山口県の平生という所とそれから兵庫県の大塩、この二カ所になつておりますが、大体の結果を申上げますと、生産減を来たしました理由に、いろいろ相当あるのでございますが、一番大きな理由は、例の地震のために塩田の地盤が沈下した、堤防も沈下したわけでありますが、塩田自体が沈下いたしておりまして、このために海水の取入れはいいのでありますが、排水なんかについてうまく打つていないというような事情でありまして、一番大きな原因は地盤の沈下であるというような結論が出ているわけでありますが、それ以外に、要するに海水の濃度が薄くなつている、或いは淡水が相当塩田に入り込んでおつて、そのために結局海水が薄くなつているというふうな事情、それからその淡水が塩田に入るのに、いろいろその附近に、背後に水田があれば水田から流れ入つているとかいうような面、或いはただ上のほうだけでなくして地盤の下のほうから一種の伏流水のような関係で入つて来ているという事情もあるようでありますし、又附近に川があればその川の水が伏流水の関係塩田のほうに入つて来ていると、そういうふうないろいろな事情がありまして、そういう用排水のよろしきを得ないために相当生産減も来たしているという事実がわかつているわけであります。これにつきましては、先ほどお話がありましたように仮に地域差を設けましても、これが果して有効な対症療法であるかどうか疑問になるわけでありまして、我々としましては先ずこれが対症療法としては、そういう生産減を来たしている根本を突きまして、それについて最も合理的な手を打つというふうなことを考えまして、その上でなお且つ生産がどうしても上らないというふうなものについてどういう手を打つべきかということを考えたい、こういうふうに考えているわけであります。そこで大体一ヘクタール当り生産量から申しますと、大体の現在の收納価格での採算点と申しますのは、一ヘクタール当り七、八十ドンぐらいのところが採算点でございまして、これはまあ全国的の平均をとつた場合でありますからして、勿論その塩田地域によつて、例えば労賃が安いとか、或いは燃料が安く手に入るとか、そういう特殊事情によりましてそれよりも低くても採算がとれるという場合もありますが、大体平均いたしまして七、八十トンぐらい程度取れなくては現在の收納価格ではペイしないという状態でありますので、大体先ほど申しましたように、いろいろ改善改良の手を考えまして、その後においてもなお且つ生産量が七、八十トン以下であるという場合については、塩のできるだけ多くの確保ということと、それからその塩価を上げることによつてまあ財源的にも相当要るわけでありますし、又そのためにいつまでもそういうふうな地域差をそのままにしておいては、一方いろいろ自発的に改善改良を加えまして生産増を来たしているというふうなものに対しての影響も考えなくちやならん、つまり合理化とか何とかいうようなことを阻害するようなことになつてはいかんわけでありますので、そういつたふうな点も全体的に総合いたしまして、結局結論的に言つて、食糧塩なら食糧塩の百万トンをどうしても少々値段が高くても確保しなくちやならんと、こういうような国策的の結論になりますれば、その線に沿つて收納価格も上げざるを得ないので、上げる場合にも地域差によつて、どうしてもペイしないものについてその地域差を設けて生産維持なり増進なりを図るべきじやなかろうか、こういつたようなふうの考えを持つているわけであります。
  38. 森八三一

    ○森八三一君 最後にお伺いしたいのは、この第六條の改良事業でございますが、これも申上げまするような趣旨から、多少でも国内生産を増強して行くという観点に立つた場合に、生活協同組合とかいつたような消費者の結合体が新らしく積極的な生産に着手しようという場合も、この改良事業という新設その他の補助対象になるのかどうかという点と、それから御説明にもございましたが、改良事業につきましては、災害復旧の場合はそれぞれ補助率というものが見込まれているのに、積極的の改良事業については補助率というものがこの案には示されておりませんのでありまするが、具体的な補助金の交付についてはどういうような措置が講ぜられるのか。若しこれが然るべき運動で多くなつたり少くなつたりするということになると非常に不明朗になると、こう思うわけでありまするが、何かやはり一定の基準でもなければ非常に困つた結果の起きる場合も考えられると思うのでありますが、そういう点はどうお考えになつておりますか、この二点についてお伺いいたしたい。
  39. 久米武文

    政府委員久米武文君) 改良事業補助金のほうは予算範囲内ということできめて参りたいという考えでございまして、補助率というものは特に法律においては規定いたさないのでございまするが、專売公社の内部におきまするところの一応の目途といたしましては、この改良事業補助というものは、大体この第三條の第三項に挙げておりますところの補助率、つまり塩田、土地そのものにつきましては四割、それから堤防については五割五分というこの第三條第三項の補助率を一応の目途としたいという專売公社内での事務当局の一応の構想になつているように私了承しております。なお今後これをどう実行するかということにつきましては、專売公社と大蔵当局との間でいろいろ相談をいたさなければならんわけでございます。この運用につきましてもいろいろ皆様方からも御意見がございますれば十分拜聽いたしまして、今後きめて行く上に十分その御意見を尊重して実際に取運んで参りたいと考えております。
  40. 森八三一

    ○森八三一君 補助対象は。
  41. 久米武文

    政府委員久米武文君) 補助対象は、これは改良事業定義には印刷物の四頁でございますけれども、四頁の終りから三行目、つまり條文で申せば第二條の第九項でございます、そこに三つ掲げてございます。堤防改良新設、それから用排水施設改良新設、それから荒廃塩田、これは土地そのものでありまするが、それの改良新設、これが改良事業でございます。
  42. 田村文吉

    田村文吉君 はつきりして置きたいと思うのですが、食用塩は一番初めの御説明では七十万トンであつたのですが、その後予算に計上したものは百万トン、こうお話になつているのでして、その内訳の中にはいろいろの工業用のものがたくさん入つている。それで私は純食用塩は七十万トンという御計画かと考えておつたところが、年間一人当り十一キロということになると、約九十何万トンということになると、これは一つ数字を、一体どういう食用塩としてのあれになつているのかどうか、はつきりして置いて頂きたいと思います。
  43. 久米武文

    政府委員久米武文君) 百万トンと申しまするのは苛性ソーダ及びソーダ灰の製造の用に供されるところのいわゆる従来からソーダ工業塩と称しました、そのソーダ工業塩と称しましたものを除きました一般用塩、そういうようなふうになつております。一般用塩として百万トン、その中には純粹の口に入るもののほかに、例えば瀬戸物になつたりほかの工業的なものに廻るものも含んでいるわけであります。
  44. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると一人当り十一キロということは、單なる食用塩だけでなくて食用塩以外の工業塩も入つていると、こういうことになりますね。これははつきりして置いてもらわんと、一体……。
  45. 西川三次

    説明員西川三次君) 私が先ほど申上げました国民一人当り年間十一キロとございますね、これは食用というふうに出ておるのでございますけれども。
  46. 田村文吉

    田村文吉君 出ているというのは、そんなことでなしに、次回でも結構ですから、これは今後のこの製塩事業を推進する上からいつて必要ですから、はつきりと国内食用としてはどのくらい要るか、雑工業として幾ら要るか、ソーダ工業として幾ら要るか、そういう点をはつきりと一つ次回までにお知らせを願いたい。次に伺いたいのですが、今御説明の中に一ヘクタール当り七十トン乃全八十トンとおつしやつたのですが、これはもつとはつきりした数字はないのですか。收量、全国の正平均して一ヘクタール当り幾らという数字が出ておりますか。
  47. 西川三次

    説明員西川三次君) 現在一万三千円の收納価格でペイし得る最小限度の数量でございますね、その点は正確に七十トンとか八十トンということは言えないわけであります。というのは、地域によりまして労銀も違うし燃料も違うわけですね、そういう関係で七、八十トンということを申上げたわけでありますが、その正確なところということになりますと、結局塩田の各地ごとに拾わなくちやいかんということになるわけです。なお細かく言えば塩田ごとに違つて来るということになるのでありますけれども……。
  48. 田村文吉

    田村文吉君 いや、ですから私は日本全国における一ヘクタール当りの收量というものは幾らになつておりますか、これを先ず知りたいのです。ということは、一体この製塩という事業は神代の時代からやつておるのですが、一体最近十年、十五年の間にどのくらいの技術的な進歩が遂げられているのか。或いは原始産業だからこれは幾らやつても天然の天候に支配されるので、そういう改良とかいうことは望み得ないのか、又どのくらい進歩しているのかというようなことが知りたいのです。そこで一ヘクタール当りの收量というものが幾らに現在なつておるかということをお伺いし、併せて過去における十年なり、二十年なりの一ヘクタール当りの收量というものはどのくらいに進歩しているかという点を、こういう法案をお出しになる限りにおいては材料を用意して、そうして私どもに納得できるように説明して頂きたい。
  49. 西川三次

    説明員西川三次君) 全国の一ヘクタール当りの平均收量は年間百トンということになつております。それから技術的な進歩の跡でございますが、これにつきましては、大体概要を申上げますと、採鹹部門と申しまして、鹹水をとるほうの改善改良の跡と、それから塩を煮詰めるほうの煎熬関係改善改良の跡というふうに二つに分けてお話申上げたいと思いますが……。
  50. 田村文吉

    田村文吉君 ちよつと途中ですが、私のお願いしたいのは、数量的に一ヘクタール当りどのくらいに上つて来ておるかということを示して頂けばいいのです。その今の技術的な細かい点は時間もありませんから又次回にお伺いしまして……、それからついでに伺いますが、公社で直営なさつていらつしやるものがあるのですね。あれは一体一万三千円でお作りになつて合うのですか、合わないのですか。公社としては赤字なんですか、里子なんですか。
  51. 西川三次

    説明員西川三次君) 公社の直営の工場先ほど監理官から申上げましたように、山口県防府市にあります工場一つあるわけでございます。この工場の実情を申上げますと、キヤパシナイーは三千万トンということになつておるのであります。ところで、附近の海水がそれだけ集まらなくて、殊に御承知のように最近ずつと台風続きなものでありますから、その関係もありまして、被害地の関係で、殊に海水のほうが減鹹になつている、こういう実情であるために取入れている海水だけからでは、今のところでは独立採算的に一定していないということなのであります。
  52. 田村文吉

    田村文吉君 どのくらいに上つておるのですか。
  53. 西川三次

    説明員西川三次君) その前にちよつと申上げたいのは、結局海水が十分取れないものですから、そうかといつて公社としては独立採算の建前をとつておりますから、原塩を、輸入塩と原塩がありますが、これを若干工場に配給いたします。そうすると、海水の濃度が普通ならば真空式の場合には、十七、八度の海水でなくちやいかんわけなんです。それが原塩を多少使いましてそれを溶かすと、濃度が十三、四度でも十分煮詰められるわけです。煮詰められるというのは、経済的に合うように煮詰められるわけなんです。その関係で再製塩と申しておりますが、再製塩原塩を幾らかそこに配給しまして、それによつて漸く経理的には採算がとれているというのが現状なんです。
  54. 田村文吉

    田村文吉君 引合つているとおつしやるのですか。
  55. 西川三次

    説明員西川三次君) 経理面では採算がとれていますが、その実情を申上げますと、再製塩を若干やらしているために採算がとれているということなのでございます。
  56. 田村文吉

    田村文吉君 その設備にどのくらいの金をお入れになつたのですか、おわかりになりませんか。
  57. 西川三次

    説明員西川三次君) ちよつと今ここで……。
  58. 田村文吉

    田村文吉君 最後に、内地の食塩は一トン売渡し価格は幾らになつておりますか、消費者……。
  59. 西川三次

    説明員西川三次君) 消費者……これはいろいろあれがありまして、白塩でも……
  60. 田村文吉

    田村文吉君 標準、家庭用に配つているやつね、あれは幾らになつておりますか。
  61. 西川三次

    説明員西川三次君) 一万六千円が最高でして、五百円ずつ開きがあるわけであります。
  62. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 あちこちでお退席になつて打切りたいという御希望が大分あるようですが、先ほどからいろいろ政府委員の答弁を聞いておりますと、甚だしどろもどろのように思うのです。数字を挙げましても、工業塩食用塩として計算されたり、甚だ以ておかしいと思うのです。そこで私はこの次の機会に、私が質問するための資料一つお願いしておきたいと思いますが、第一にいろいろ煮詰めるほうを改善されるとか言われておりますけれども、日本のように雨の多い国において塩田を使つているのは、原始産業を出ることは不可能であると思います。そこで将来のせめて食用塩だけの自給対策として、小名浜でやつているような加圧式でやつても何でもよろしいが、そういう方向に向つて国策として進めて行く用意があるのかないのかというようなこと。並びに終戰後随分復金その他の資金を出して、電気製塩施設を方方で作つているはずであります。これが今一体どういうふうになつているか、この資料。それから小名浜でやつてるモデル点プランのような様式が仮に成功するとすれば、今復金のほうでは随分電気製塩への貸付をしておりますので、恐らく全部が、おおむねが無駄な施設になつていると思うのが、こういう点を転換なり改良なりしてやることができるかどうか。それからいま一つは、輸入する塩、これは地中海塩だか山東塩だか知りませんけれども、今の收納価格の半分以下、それから販売価格から言つたならば三分の一に近いような安い塩が入つて来るので、この外国塩日本の塩との価格の調整のための価格政策としてどういうことを考えているのかというような点についての資料を、若しこういうことに関連していろいろな答弁があるので、必要だから大臣が来なくちやならんというのなら大臣、或いは安本長官が来なければならんのなら安本長官というふうに、十分の用意をして来て頂きたい。相当これは終戰後食糧の欠乏と共に国民は塩の欠乏に悩んだ記憶が極めて新らしいので、田村委員の御指摘は誠に御尤もであると思います。遺憶ながら政府は、答弁できなかつたようですから、十分得心のできるような答弁を希望しまして、私は今日の委員会打切りの動議を提出する次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  63. 小林政夫

    小林政夫君 今の意見に賛成ですが、賛成だが、僕は先ほど質問の途中で関連して言つたが、まだ閣議決定内容については明らかでないのです。一応技術面のことは今の小名浜のモデル・プランについて伺いましたが、これも原価計算はどうなるのですか。モデル・プランによつたらコストはうんと軽減できるのかどうか輸入塩と比べてどうなるのかというようなことも、次回に説明を伺いたい。それから経営形態の刷新ということが書いてありますが、これについてどういう手を打つているのか、今の田村委員の質問に対しても非常にあいまいでありましたが、いわゆる企業形態としては、少くとも一ヘクタール当り、現在の收納価格で行くならば、七、八万トン年間收量があるのだという意味なのか。そういう点についても十分確固たる御答弁が願えるように準備を願いたい。
  64. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時三十四分散会