運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-02-21 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十一日(木曜日)    午後二時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            野溝  勝君            大野 幸一君            下條 恭兵君            波多野 鼎君            菊田 七平君            森 八三一君   政府委員    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君    農林省農地局管    理部長     谷垣 專一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○企業合理化促進法案に関する件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○開拓者資金融通特別会計において貸  付金の財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第十五回の大蔵委員会を開会いたします。
  3. 波多野鼎

    波多野鼎君 資料を要求しておきたいのですが、これはここに出ている、今当面問題になつている議案には関係ございませんけれども大蔵委員会として重要な問題だと思いますので、何かの機会に取上げて頂きたいと思つてあらかじめ資料を要求するのでありますが、それは見返資金の問題なんであります。見返資金民間融資がずつとこうなされて参りましたが、大体今年度ぐらいでこれが終ることになると思いますので、従来の見返融資がどういうふうに活用されておつたかという点に関する資料一つ早急に出してもらいたいと思う。特に造船と見返融資の問題がいつも予算委員会でも問題になつておりましたので、第一次以後の造船業に対する見返融資を特に詳細に出してもらいたいと思います。そして融資を受けた造船業者造船実績と対比させながら出してもらいたい。特に問題になつておりますのは川南工業というのがありまして、これが見返融資を受けておりながら破産の申請を受けております、破産状態に陷つておりますが、こういうのは一体どうなるのか。これは相当問題だと思いますので、造船融資を受けたものの中で、特に川南工業に対する融資がどういうふうに使用されたかという点を詳細に説明した資料を添えて出して頂きたい。こういうことを要求したいのですが、一つ委員長において適当に取計らつて頂きたい。
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今波多野委員からの見返資金融資に対する資料を早速作らしてお手許に配付させます。   —————————————
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) もう一つお諮りしますが、企業合理化促進法案、これが通産委員会に現在において審議中でございますが、これに対して本委員会はどういう措置とつたらいいでしようか。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 法案自体出し方についても大蔵委員会として検討を要すべき点があります。租税臨時措置法改正附則でやつておる、而も同じ国会において租税臨時措置法の一部改正案が提出されてこちらでは審議中であるというような場合に、そういつた一つ企業合理化という線に載つた法案の、而も実質的には内容は全部附則にある租税臨時措置法改正がねらいであるというふうな法案が出されるということについて、我々は別に繩張り争いをするわけではないのですが、疑義があるわけです。そこで法制局長提案者、その他委員長より適当と思われるものを参考人に呼んで、よく今後のこともありますので検討を願いたい。従つて一応連合委員会において私の要求した資料は出たのでありますが、併し通産常任委員会委員長からお申入れ頂いてこの大蔵委員会において何分の意見を出すまで採決を待つてもらいたいという申入をして頂きたいと思います。
  7. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今小林委員からこの処置に対しては提案者並びに法制局長官その他関係の人を呼んでいろいろ質したいという件と、なお大蔵委員会においてこれを研究して結果を得るまで、通産委員会のほうは審議の打切りを見合してもらいたいというふうなことを申出るということにして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 波多野鼎

    波多野鼎君 異議ありませんがちよつと、こちらがこれを問題にするのは、税法改正案が出ているそれに関連して問題にするのだということと、それから先ず税法予備審査中であるけれども、真先にこの問題をそれに関連して審議するからそう長く待たさないということも添えて申入れて頂きたい。
  9. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) じやそういうふうに図つて通産委員会に申入れます。   —————————————
  10. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは国民金融公庫法の一部を改正する法律案、これに対する質疑を行います。
  11. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) お許しを得まして御審議を頂きます前にお詫びを申上げておきます。  実は昨年の秋、暮近くなりましてから私ども公庫の職員の一部数名の者がお客様から頂いてはならぬ金品を受けまして、又御馳走になつたり何かいたしまして甚だ残念なことでありますが遂に司直の手を煩わすような事態が起きまして、誠に申訳ない次第でございまして何とお詑びを申上げてよろしいかわからないのであります。ただただお詫び申上げる次第でありまして、金額等はそれほど多くはなかつたようでありまするが、たとえその動機或いは金額の如何にかかわりませず、公庫の特別の使命その性格等から考えましても、かくのごときことがありましたら大変なことでありまして、かねてからいろいろ注意もしお互いに戒め合つて来たのでありましたが誠に申訳のないことをいたしました。深くお詑びを申上げる次第であります。  私どもといたしましては、この機会にそのよつて来たるところがどういうところにあつたかといろいろな点を反省いたしまして、お互いに戒め合い用心をし合いまして、二度とこんなことが起きないようにお互いに全力を盡して私どもに課せられた使命の達成に邁進しようではないかと、その時以来固く固く申合せいたしております。又人事につきましても刷新を加え、又かくのごとき問題に対する監察制度と申しますか、そういつた仕組も考案いたしましておるようなわけでございまして、どうぞこのたびのことにつきましてはただただお詫び申上げましてお許しをお願いいたしたいと存じております。  なお付加えて申させて頂きたいのでありますが、これに関連いたしました貸付につきましては、幸いなことにいずれも規定通り回収並びに元利払いが行われておりまして、不正と申しますか不良と申しますか、滞りにはなつておりません。これはせめてもの仕合せであります。本当に申訳ないことでありまして重ねて厚くお詫び申上げます。どうぞ一つお許しを願いたいと思います。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 この公庫支所の問題でありますが、大体各都道府県に一カ所ということでまだできていない所もありますが、その設置についての見通し等お話願います。
  13. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 只今まだ支所のございません県が七つございますが、これは二十七年度、来年度におきましてできるだけ早い機会に全部設置いたしたい予定を立てております。予算のほうにつきましても早速適当な案を練つておる次第であります。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 どこどこでございますか、場所で申しますると。
  15. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 北から申しますと岩手県、山梨県、富山県、福井県、岐阜県、奈良県、それから徳島県、七つでございます。その他に東京に二カ所及び北海道に一カ所、合計十カ所の支所を設けまする予定をいたしております。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 それで安心いたしましたが、一つ今のお話のようにできるだけ早く未だ支所の設置されておらない県に設置することを要望いたします。  それからこれは銀行局長お尋ねいたしますが、国民金融審議会、これの委員メンバー一つ聞かせてもらいたいと思います。
  17. 河野通一

    政府委員河野通一君) お尋ね国民金融審議会メンバーにつきまして申上げますが、審議会規定は同法の第十條にございまして「委員は左に掲げる者を以て充てる」、第一号は「経済安定本部財政金融局及び大蔵省銀行局代表する者一人」、これは現実には財政金融局長銀行局長委員なつております。それから第二号に「商業工業農業及び金融界代表する者四人」こうなつております。委員の具体的な顔ぶれは今申上げたいと思いますがちよつと調べております。第三号の「国民大衆の利益を代表する者で国家又は地方公共団体の公務員以外のもの三人」、かような仕組なつております。金融界代表いたします者は商工中金理事長の豊田さん、農林中金理事長の湯河さん、中小金融機関として地方銀行から地方銀行協会会長である龜山さん、常陽銀行の頭取であります。それから商業関係代表者といたしましては、大阪の商工会議所の会頭をやつております、杉さんにお願いいたしてあります。その他に第三号の委員といたしまして生活協同組合の連合会会長をやつておられます藤田さん、それから学識経験者として慶応大学の先生の藤林さん、それから引揚者関係代表といたしまして岡崎さんに委員なつて頂いております。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると工業界農業界としては杉さんが全部工業商業代表しておられるわけですか。
  19. 河野通一

    政府委員河野通一君) その点は今第二号で読みましたが、商業工業農業及び金融界代表する四人、こういうことになつております。今商工中金農林中金につきましては、これは金融界でもありますが、農業代表として農林中金理事長工業と申していいのでありますが、商工業代表して商工中金理事長、これは兼ねておるような形になつております。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 役所側経済安定本部財政金融局長、それからあなたとお二人でありますが、特に国民金融公庫性格中小企業であるし、中小企業庁関係を本当は入れるべきじやないかという気がするのですが、どうですか。
  21. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は従来からいろいろ問題もございましたのでありますが、役所は勿論商工関係として通産省もございます。又国民金融公庫といたしましては、農業にも関係しておりますので農林省のほうも入るというような問題も実はあり得ると思います。そういつた問題を全部産業界代表官庁として経済安定本部にこれを代表してもらうのがいいんじやないか。関係があると申しますと勿論通産省関係があるわけでございますが、それらを代表して経済安定本部において委員を出す、こういう建前で今進んでおります。現在特に通産省のほうにお入り願うようにしてもらうことは現在のところは考えておりません。
  22. 波多野鼎

    波多野鼎君 今度のあれは予算では一般会計からの出資は去年と同じ三十億ですね。これでは国民金融公庫がその使命を果すのに不十分だと私は感じとして思うのですが、そういう感じを抱くわけなんで、そこで金庫側では一体どのくらいを要求しておられたかということと、もう一つ資料として我々の手許に下さいました資料ではどうもわからない、実はこういうことがほしいんです。資金の借入の申込がどういう方面からどういうふうに来ているか、それに対して金庫側としてはどれだけその申込を受けて融資しているのであるか、そういう対照表を、申込融資対照表、これがほしいんです。これが大体例えば農業資金とか、工業資金とかいうようなふうにサンプル的にでも結構ですからそういうものがほしい。何%くらい融資しておるか、申込の何%くらいしか融資に応ぜられなかつたかというようなことがわかると、三十億じや足りないという技術的な根拠も出て来るし、あなたがた公庫当局者がどれだけ融資されるかということもわかるわけなんです。三十億でいいんですか。先ず最初に聞きますが、事業をやる上において断わるのに困るのじやないでしようか。
  23. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 二十七年度の貸付計画といたしましては、一般会計から三十億出資を頂きますと共に、預金部から二十億拝借いたし合計新規資金として五十億頂く計画なつております。二十六年度、本年度でありますが補正予算を含めまして、やはり一般会計から三十億御出資を頂きまして、それから二十億預金部から拝借させて頂く、こういうことになるわけで、大体同額でありますが、お手許にも差上げましたように大体三割くらいの貸付を今までやつて来たわけであります。最近の情勢から見ますと、殊に去年の秋以来はお客さんが大変ふえ申込金額も増加いたしているようなわけでありまして、できればもう少し多いほうがよろしいのでありますが、いろいろな政府のほうの財政上の御都合もありましようし、又預金部においてもいろいろ御計画があるようでありますし、取りあえず五十億ということで計画をやつておるような次第であります。  それからどれに対して幾らというような御質問でありますが、先ず業種別によつて昨年の四月から十二月までの九カ月の累計で申上げますと、大体製造業関係金額で申しますと申込の三割六分、それから商業関係が四割五分、その他が大体そのほかになるわけでありますが、それに対しまして貸付実績でありますが、貸付製造業関係に対しましては約三三%卸売、小売の商業関係に対して四八%、こういう工合な大きな分類になります。製造業商業につきまして大体同じような割合貸付が行われていると申してよろしいかと思います。それから運転資金設備資金関係で申しますと、大体申込のほうは七割五分が運転資金、二割五分が設備資金ということになつております。貸付のほうは大体運転資金が八割、設備資金が二割といつたような割合貸付が行われております。運転資金のほうがちよつと多いということになつております。
  24. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の概略の御説明ですが、製造業のほうは申込の三三%貸付をやつた。これは引揚者とか戦災者というような区別はないのですか、戦災者引揚者でも製造業をやるもの、商業をやるものというふうに、これは一括されてやるのですか、それを分類される場合には。
  25. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 先ほど少しごたごた申上げましたのでお聞きとりにくかつたと思うのでありますが、申込金額全体の三六%くらいが製造業でありまして、商業が四五%くらいでございました。それから貸付けました実績を見ますと、貸付総額の三三%が製造業でありまして、四八%が商業関係、そういうことでございました。
  26. 波多野鼎

    波多野鼎君 私の聞いているのはそういう問題じやない。申込に対して何%かということを聞いているのです。それはあとでいいですから資料出して下さい。
  27. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) かしこまりました。  それからお尋ね戦災者引揚者ですが、これは別に特別小口戦災者引揚者軍人遺家族未亡人等に対しまする更生のための資金ということになつております。一般申込のほうにつきましては、引揚者戦災者その他というふうな区別は別にとつておりませんのですが、業種別にはとつております。
  28. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると、特に今度これは申込したものがどれだけ借りられたかということを知りたいのですよ。それが製造業者商業者引揚者それぞれの区別がありましようけれども小口の問題もありましようし、そういつたものを見合つた計数一つ資料としてあとでよろしうございますから出して頂きたい。
  29. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 金庫資本金がだんだん殖えるに従つて貸付金額ももう少し殖やしたらというような意見もあるやに伺つておりますが、それは現在どういうふうになつておりますか。又今後どうするつもりでありますか。又多少長期資金方面要望もある、担保貸付についての要望も相当あると伺つておりますが、これらに対してはどうするおつもりですか。それからレートはどんなふうになつておりますか。それらの点を伺いたい。
  30. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 貸付限度等についてのお尋ねでございますが、昨年の暮に業務方法書改正がいたされまして、只今では従来は百万円まで貸せたことになつておりましたが、今回は全体の貸付甲種乙種に分けまして、その乙種のものと申しますのは大口というわけでございます。大体二十万円以上二百万円まで貸すことができるようになりました。但し百万円を超えるものにつきましては不動産その他適当な担保を取らなければならん。又その業種につきましても製造業商業その他特定のものに限られておりますが、まあそういうふうな工合改正いたされました。同時に期限の問題でありますがこれも従来は三年でありましたが、この乙種貸付につきましては五年まで延ばすことができると、五年以内という工合に御改正になりました。  それから利率でありますが、これは年一割二分、その取り方でありますが、これは毎月月賦で元利の御返済を頂くことになつておりますので、前月残高の月一分の割合で毎月利息を頂いております。まあ後取りと申しますか、そういうやり方をいたしております。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 国民金融公庫、勿論農林中金商工中金なんかも同じですが、こういう機関が、銀行局長にお伺いしたいのですが、一体これをまあ相当永続的に存置する方針でおられるかどうか。それともこれは一時の、まあ中小企業の問題が起きて来るとこういうものをこしらえる、或いは当座の便宜措置として考えておるのか。長くこれをずつと永続さしておく方針であるか、この点を一つ
  32. 河野通一

    政府委員河野通一君) 農林中金商工中金お話もありましたが、これは今お話国民金融公庫とはおのずから性格を異にいたしております。これは当然農林金融或いは商工金融、殊に中小商工金融特殊性から見て、こういう種類の機構は当然なくならなければならんと思つておりまして、国民金融公庫につきましてもその使命に書いてございます通り経済が非常に豊かになりました場合にはこういう制度は或いは要らないと思います。と申しますのは一般金融制度によつて普通の銀行なり、或いは普通の金融機関から借りられるというふうなことになれば、それは要らないという時期が出て来るかと思いますが、日本の経済の現情から見ましてそれが早急にそういうところまで行くとは考えられません。今のところでは臨時的という考え方ではなくして必要がなくなるまでは存続して行くと、こういう建前で考えております。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういう方針であるならば、まあ今のところは特に必要性は高いのでありますが、長くこれを育て上げて行くという方針でございましたならば、どちらかと申しますと今の資金関係では、総裁もどうも言いにくそうに言われて、これは裏を返して言いますと我々が受取るにはちよつと少な過ぎる。この申込に対する応募等から考えまして、申込に対してこれに応じて貸出できたパーセンテージも三割程度だと、こういうお話でございますが、そういたしますと、これの回収率もこの前にお伺いいたしましたところ、あまり焦げつきになるようなそういうものはない、健全に育つているというふうに言われたと思うのであります。公庫法改正をお出しになる場合に、今度これのほかに資金一般会計からの繰入も勿論そうだし、それから資金運用部資金預託その他の資金を集めるような方法をこれにやらせるというような考えがあるかどうか。これは政府資金ばかりでやつておるわけですが、そうすると一般資金を集めるのと競合するということもありましようが、親しんで行くということになりますると、今度は一時的に小さい利用しておる連中が預託をする、こういうようなやり方については考えておらないのか。これは郵便局銀行あたりと競合になるだろうと思いますが、そこのところを考えておるのかどうか、この改正について一つお伺いしておきたいと思います。
  34. 河野通一

    政府委員河野通一君) 第一点のこの種の資金需要が非常に旺盛であるのに、三十億程度の増資じや少いじやないかという御意見でございますが、この点は国民金融公庫対象といたしておりまするような種類資金需要は、御承知のように非常に旺盛であります。言葉は非常に悪いのでありますけれども、実は多額であれば多額であるほど資金というものはいいということは言えると思います。併しながらこれは一方で一般会計からの出資にいたしますると、結局租税で集めた資金の一部を出資することになるわけであります。財政自体の他の方面との需要の振合いの問題もございまして、おのずから限界もあり、今般のところでは財政全体の立場から許す限り多額出資要望いたしておるという関係で、三〇%をということになりまして私どもといたしましてはこの種の資金ができるだけ多額に投入されることを希望もいたしております。今後におきましてもそういうラインで考えて参りたいと思つております。  第二点の資金を集める方法としてこの金庫預金をとらしたらどうかという御意見、これは一応御尤もなお話だと思います。併しながら、私どもがこの国民金融公庫に期待いたしておりますのは、取引者預金もする力もないかたがた対象にするようなところがこの公庫の目標であつて一般預金もできるような人は、これは全体であるとは言いませんけれども一般金融機関からその程度余裕のある人は借りられるかも知れません。預金をする能力さえもない、而も資金を借りなければならんというかたが大体においてこの公庫対象になるかたがたじやないかと考えております。勿論事業金融をやつて参りますので一部の余裕金というものはあり得るわけでありますから、全然預金ができないというかたかたばかり相手にしておるわけではございませんけれども、若しそういうふうな種類預金等の余力がありますれば、これはできるだけ一般金融機関扱つてつたらいい。それは一般金融機関はできるだけ中小企業に廻して行くという配慮をすればいい。この公庫預金をとるという形で一般の市中の資金を吸収して行くというようなやりかたは、公庫性格からいつて適当でないのではないかと、只今のところでは考えております。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に総裁に、これは私も公庫法はよくわからないんで尋ねするのでありますが、三割だけは供給できるといたしますと、この一年間を通じまして毎月どれだけ限定してお出しなつておるような方法をとつておられるか。で、いわゆる合格して貸してもらえるということになるのは、一体どういう要件によつてその三割を選択されるか。これは非常に私むずかしいと思うのですが、選択要件としては詳しくみんなにわかるようにできておるものかどうか。これがその取扱者の扱いかた如何によつて左右できるように自由になつておるものかどうか、この点を一つ。皆納得して、これははねられたらはねられたでなぜはねられたかということがはつきりわかるようになつておるのかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。でどういうふうな基準になつておりますか。
  36. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) お答え申上げます。法律には独立して事業を営む意思を有して、且つ適当な事業計画を持つておられるかたでなければいけない。結局私どもが貸出しをしまする場合にもそれが中心になつておりまして、お客様がた申込みの際に、そのお仕事の内容なり、商売なり事業なりの内容、それから将来の見通し、それに対しまして私どものほうから幾ら幾らのお金を借りた場合には、こんな工合なつて仕事が伸びて行つて、或いは仕事が益されて行つて二年なら二年、三年なら三年のうちにこんな工合にお金を返すことができるといつたような計画、目論見を書いて頂いて、それからお越し願つてそれをよく拝聴いたしまして、それが又客観的に見てよろしいかどうかということを調査させて頂きまして、その結果これは大丈夫、そのお客さんの言う通りに伸びて行けるに相違ないということが、客観的というと少し言いすぎかも知れませんが、調査をさせて頂きました結果、或いは過去の実績でありますとか、その取引先の関係であるとか、いろいろなことを調べさせて頂きまして、そういつた結論が出ましたときに初めて貸出をするという段取りになるのであります。それでお断わりしました場合には、やはり何と申しますか、できる限りお客様がたがそのお仕事なり商売なりが伸びて行くように御相談するわけでありますが、暫くの間は、何といいますか、ほかのかたよりも例えば帳簿が経理の制度が悪い、或いは取引先の関係が望しくないとか、いろいろな理由がございましようが、ほかのかたよりも事業計画、将来の目論見というものが若干どうも何と申しますか、余りお客さんの言う通りには伸びないであろうというふうに思われましたときにお断わりするわけでありまして、できる限りそういつた場合にはこういう点をお直しになつて来られればそのお仕事が伸びるんじやありませんかというふうな意味の、何と申しますか否決しました場合の理由でございますね、それを申上げるようにいたしておりますが、何分にも大変なお客さんだものですから十分に細かく申上げるような時間がございませんが、できるだけそういうことをやるつもりで仕事をいたしております。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、今お答え願いました点は非常にデリケートなところだと思うのでありまして、法律で読んでみますとよく成るほどわかりますが、さあ実際の運用になりますと、これはむずかしいデリケートな問題だと私は思うんで、そこにいろいろ事故なんかも起きる原因ができて来るであろうと思うのでありますが、それは別といたしまして、総裁も今後は十分に気をつけるというお話でございますので、我々もそれを信用することにいたしたいと思うのでありますが、つきましてその基準というものは各支所ごとにあなたのほうでは同じになつているのかどうか、こういう基準を以て審査をするというような基準書というものはできているものであるかどうか。できておつたらそれを教えて頂きたいと、こう思うのでありまするが、次に基準というのは審査するに当りましてこれは個人々々がまあ客観的にとおつしやいますけれども、その取扱者の主観によつてどうもこれは左右される。将来伸びて行く、伸びて行かんというようなことになりますと、業者のほうは伸びて行くと主観的に言うし、又取扱者のほうからいいますと客観的にそれは無理だと、こういうことになつて参りましてそこは非常にむずかしいと思うのでありまして、それには大体の基準を本所のほうで定めまして各支所のほうに連絡してあるかどうか。そうしませんと支所によつて取扱がまちまちになる虞れが、これだけ全国にあるのですから、そういう点が私はあるだろうと思う。  次に一口の貸付金でありますが、一口一体これは法律できまつているだろうと思うのですが今幾らなつているか。それからそれよりも今後大分貨幣の価値というものが変つて来るに従いまして、一口を法律で縛つてあるとするならばこれを改正する改正案というものを考えなければいかんのじやないかと、こう思うのですが、その点今のところその必要がないのでございますか。
  38. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) お答え申上げます。貸付基準というふうなことでございますが、何しろお客様種類事業からその他で金融が大変千差万別でございますので結局は具体的に当るほかないのでございますが、何と申しますか、まあ庶民金庫、恩給金庫などの、いわゆる中心の調査に当るのはまあ十数年の経験を持つているのが中心になつております。それを各支所に配置いたしております。結局は先ほど申上げましたような将来の見込があるかないかというところをよく見きわめてすることになるわけでありますので、どういう場合に見込がありどういう場合に見込がないのだということを、何と申しますか大ざつぱなことは言えますが、どれにも当てはまるというようなことは余りございませんのですが、こういつた意味の基準というものを各支所に示しているということはございません。ただ経験者を中心になる者にして全国に配置いたしまして、それから常時又各支所間又本支所間の連絡をとりましてその間にでこぼこのないようにいたしております。  それから金額でありますが、只今のところ先ほど申上げましたような甲種の貸付につきましては一人二十万円まで、但し連帯の場合は特別の場合は五十万円まで、それから乙種の場合につきましては二十万乃至五十万、特別の場合には二百万まで貸付することができる。そういうことになつておりまして、差当りのところはその金額も限度をそういうふうにして、実は昨年の暮に変りましたばかりでありまして目下のところはその程度で以てよろしいかと思います。
  39. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今のお話の経験者らをまあ充当しておるというお話でございますが、国民金融公庫にそう長い経験を持つた人というのはそう私はないと思うのですが、それで而も日本の経済状態がこういう金庫の必要になつて来たというのは私は最近のことだと思うのです。このくらい旺盛になつて銀行のほうもまあ貸出をやかましく言つてるのは最近の状態でありまして、以前とは大分違うのでありまして、その経験者というのはどういう人が当つておられるか、これを一つお尋ねしたいと思うのですが、次にこの国民金融公庫融資を受けますのは、一つにはまあ日本人としては、自分の間接、直接に納めた税金を廻り廻つて又借りるというわけですから、これは権利があると思つておる。市中の銀行の貸出とはちよつと違いまして、これははねられても仕方がないのでありまするけれども、このほうは国民が借りる権利を持つておると言い得ることだと思いますので、このはねる場合は、これは経験者がするとまあ総裁は言われるが、その人のいわゆる勘一つによつてはねられたということになると権利を抑圧されるわけで、こういう結果になることだと思いますので、先ず第一に経験者とはどういう経験を持つておられるか。この国民金融公庫というのは、やかましくなつたのは最近だと思うのですが、その点どういうところの経験者であるか。  第二は、今のお話で、はねた場合には、こういうふうにしたらよかろうという指導を与えておられるというのでありまするが、はねる理由をはつきりと示しておられるかどうか、その点を一つもう一点お答え願いたいと思います。あなたのところは、こういうために貸出することができないということをはつきり知らしておるわけと思うが。  それから第三にお尋ねしたいのは、若しも経験者によつてそういうふうに貸出をされましたけれども、まあ不測の事故見込違いというのはどこでもあることでございますが、二十万円三十万円といたしましても夜逃げをしてしまつてどうも回収不能というようなこともあり得るだろう、折角調べていいと思つてつても実際には内容は申請書とはまるつきり違つてつたという詐欺的なものにひつかからんとも限らんと思いますが、そういう事故を生じた場合の損害はどういうことによつて処理されるか、今までそういう事故は全然なかつたかどうか、この点を一つつておきたいと思います。詐欺にかかつたような場合。
  40. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) どんな経験を持つておるかというお話でございましたが、第一点、公庫は御承知のように庶民金庫と恩給金庫を統合いたしまして、その権利義務を承継してでき上つております。庶民金庫と恩給金庫とはいずれも昭和十三年にできたものであります。国民金融公庫に変りますとき両金庫から五百七十人の職員を引き継ぎました。現在はそのあとに増員をいたしまして千人ばかりになつておりますが、その五百七十人引き継ぎました中には十年以上のつまり庶民金庫なり恩給金庫の職員として小口貸付の経験者等がおりましたので、その小口貸付の経験を只今いかしておるわけであります。まあそういうわけでありまして御了承願いたいと思います。  それからまあ勘できまるというわけでもないのでありまして、結局お客様方の例えば過去のお仕事の成績でありますとか、そういつたようなものを十分によく調査さして頂きましてきめておるようなわけでございますが、申込書を頂きましてお話を聞くほかに、必ずそれまでには現場に参りましてその店なり工場なりを拝見さして頂いております。この仕事にこういう工合資金をお使いになるのだということをはつきりと見届けましてから貸付をいたすようにはいたしておりますが、まあお金のことでしるしがございませんのでそれが廻り廻つてどういうことに使われるかということになりますが、そこまではむずかしいのじやないか。詐欺というようなことは今まで聞き及んでおりませんけれども、或いは貸付けた目的以外のほうにそれが流れているというようなことは……どうでございますか。
  41. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや貸倒れの問題。
  42. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) それから貸倒れの問題でございますが、これはまだ何と申しますか期間が長いせいもあります、貸付期間が大体二年半ということになつておりますから毎月々々月賦で頂いておるわけでございますが、回収状況が非常にまあ順調でありましてその点は仕合せに思つておりますが、それが仮に滞るというようなことがありますとそこに何と申しますか職員が参りましていろいろ御相談をしているわけでありますが、結局現在のところは滞りになつておりますものが大体一%であります。その点がまあ非常に仕合せだと思つております。将来はこういうむずかしい情勢でありますのでお客さんの中にもいろいろお困りのかたが出て来て、元利払いに御窮屈になるかたも或いは殖えるのではないかと案じてはおりますが、只今のところはそういう成績になつております。従いまして、又滞りまして今度どうしてもこれを欠損として立てねばならんというようなときは、結局法律に書いてあります通り、御承認を得ましてこれを欠損処分と申しますか償却をいたすことになるわけでありますが、まだそういうことを必要とするものが幸いに出ておりません。そういうわけであります。
  43. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 さつき波多野委員からお尋ねしたのですけれども、増資に当つて公庫側からはどれくらいの希望を出したかというお尋ねつたのですが、これはお答えになることができないだろうと思うから結構ですけれども、私は、二十六年度も五十億でそれから二十七年度が更に同額の五十億だということは、こういう資金需要が非常に中小企業資金難からして旺盛である際に、増額があつて然るべきものだと思うのに同じであるということに対しては、甚だ遺憾だと思いますけれども、まあそれはそれとしまして、同じ額だと私は、二十六年度よりも二十七年度が遥かに物価指数も上つておる関係で実際上はこの公庫の業務の縮小になつていると思うのですが、その割合はどれくらいになるか、先ずこの点を先にお尋ねしたいと思います。
  44. 河野通一

    政府委員河野通一君) お話のように公庫に対する資金貸付が十分でないという点につきましては、私どもできるだけ多額を期待いたして参つたのでありますが、先ほど申上げましたように財政の事情からこういうことにきまつたわけであります。成るほど同じ金額の増加では融資をいたしまする資金が非常に窮屈であろう、二十六年度に比べて二十七年度は窮屈であろうというお話でありますが、これは勿論出資をもう少しふやせばなおいいのでありますけれども、現在の計画いたしておりまするところでも、だんだん資金量がふえて参りますると、回収金の額というものも相当、元が大きくなりますから回収金も大きくなります。大体二十七年度では六十六億程度の回収金を見込んでおります。それで今の七十億と合せて百十六億ですか、その程度資金が新規の貸付資金になる、これは二十六年度の回収よりも遥かに多い数字を見込んでおるわけであります。これらの点から見ますと、まあ物価の問題は御承知のようにございますけれども、二十六年よりは貸付資金に充てられる金額の総量は多くなつておる。こう御了解願いたいと思います。
  45. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 回収金のほうのが廻つて来るから金額的に多くなるということは大変結構だと思いますが、その物価指数を算定に入れて大体二十六年度に比べて大ずかみでいいですが、何割ぐらい金庫としての業務が拡大されるかということを御説明願いたいと思います。……わからなければこの次でいいです。あと一点だけきわめて事務的なことをお尋ねしておきたいと思うのですが、従来もいろいろこれは大企業対象の場合などは非常に市中銀行に比べると調査日数が手間取つたりしまして、金を借りるのに時間がかかつたと思うのですが、国民金融公庫の場合は貸出になる場合でも或いは回避される場合でも、申込からその期間まで平均して大体どれくらいの日数で解決がついておるか御説明願いたいと思います。
  46. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 申込から貸付けるまでどのくらいかかるか、実は相当かかりますと申しますのは、私どもに来るお客さんは、全部初対面のお客さんでございます。例えばほかの普通の金融機関、銀行さんなどのように預金取引を半年なり一年なりいたしまして貸付けるというふうなことになりますとまあ非常にやさしいのでございましようが、どなたもまあ最初にお越しになるかたでありそれから件数が大変に多いのでございます、職員がまあ千人ばかりおりますが。従いまして当初から非常にもたれ気味でありまして、それをだんだんと早くするようにやつて来まして、昨年の秋あたりには大体四十五日、一月半で以て平均できるようなところまでこぎつけたのでありますが、又年末から大変なお客さんになりましたので最近はひよつとすると二月ぐらいかかるようなところまで行つてはしないかと心配いたしております。できるだけ早くいたしたいのですが調査に着手されるまでがもたれておりますので、まあそういうことになつて甚だ相済まんと思つております。
  47. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 四十五日、まあこれはあまり金庫の側のほうとしては長いほうでないというお考えになるかも知れませんけれども、零細業者としては定めし待ちきれない日数であろうと思うのですが、そこでこれを短縮されるには結局私は人手の問題と思います。件数は今後ふえることがあつても減ることはないと想像されるので、結局店舗をふやすとか或いは人の増員ということ以外に解決の途はなかろうと思うのですが、そこで事業の目的からしまして、もう親切に書類も金庫のほうで作つてつて出してやるということになつたら確かに理想的だと思いますけれども、そうは行かんにしてもまあせいぜい二週間か三週間で解決がつくようでないと、これは非常に気の毒を方方にかけておる結果になると思うので、そういう意味においてもつと職員の増加をするとか店舗をふやすとかいうことに対して、計画をお持ちであるかどうか、一つお尋ねしたい。
  48. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 御承知の通りに人手の関係がまあ一番の隘路になつておりまして、本当のところを申しますと現在の四割から五割ぐらいふやして頂きたいのですけれども、どうもこの政府関係機関といたしまして予算関係で全部予算上の定員ということで御相談いたしておりますが、来年度は大体百七十人見当増員をする予定なつております。それから本年におきましてもなお五十人ほどまだ余裕がございますので、去年の暮に増員をお認め願つたのでありますから選考いたしておりまして、大体本年中にはあと二百二、三十人の増員は可能だと思います。まあ何とか早くこれをやりましてその上で又足りなければ大蔵省のほうにお願いしようと、まあこう思つておるのでございます。
  49. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 この金庫は親切で早いということがなければ何ら意義はないと思いますけれども、そういう点に対して今後とも御盡力されることを一つ希望しておきます。
  50. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今下條さんからお尋ねの数字的な御説明を申上げておきます。二十七年度は先ほど申上げましたように五十億の新しい資金と回収金六十六億で、百十六億。本年度は今までの実績を第四四半期に延ばして計算いたしますと四十二、三億になるんじやないかと思います。そういたしますと五十億へ加えて九十二、三億じやないかと思います。それに対してまあ二十七年度物価が一体どれくらいになるかこれは経済安定本部で国民所得をはじきます場合にもいろいろありましようが的確な数字は承知いたしておりませんが、そんなに上らんと思いますが仮に五%物価が上つたといたしますれば、まあそれにかけてみますと九十七、八億ぐらいのものになる。九十七、八億と百十六億を比べれば大体の見当がつくんじやないか、非常に雑駁な御説明でありますが。
  51. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御質疑はございませんか。それでは本案の質疑は本日はこの程度にいたしておきます。   —————————————
  52. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に、開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、この内容説明をお願いいたします。
  53. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 簡単に御説明申上げます。  十五億三千百万円の開拓者資金特別会計への繰入金の内容は、営農或いは共同施設の資金といたしまして十三億一千四百十五万円、それから主としまして家畜大動物を入れますための資金が二億一千七百万円、このような関係に相成つております。大体この資金の構想は入植いたしましてから三年間の諸君に貸出すと、こういうことになつておりまして、五年間据置で十五カ年間の年賦償還、こういうようなことになつております。利率は三分六厘五毛。この大家畜を入れますほうの二億一千七百万円のほうは、実はこれはもう普通の開拓者資金融通法の入植後三年間の入植者以外の諸君に融資をすることになります。と申しますのは、昭和二十三年度に入植いたしました諸君に融資をするということになるんでありますが、これは昭和二十三年度の入植者が入植途中におきまして、非常に物価の値上りその他の関係から当初の予定いたしておりました家畜その他の営農の資材が購入できないような状況になつておりましたので、そういうもののために特別に主として大家畜を入れるために二億一千七百万円の融資をする、こういうことに相成つております。
  54. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 質疑はありませんか。
  55. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これを取扱うのは一体どういうふうに何を通じて、これは市町村を通じて取扱われるのか、或いは開拓者団体を通じておやりになるのか、これの取扱はどこでおやりになるのか、この点を。
  56. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは国が、開拓民の協同組合というのがございますがこの開拓民の協同組合へ直接貸付ける、こういうような機構になつております。
  57. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると協同組合へ大蔵省から直接貸出しちまうんですか。そうしてその責任は協同組合に持たせる、こういうことになつているんですか、その点。
  58. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは農林省のほうで各地に農地事務局というのがございますが、全国にそれぞれ事務局がございます。そこでこれの事務を取扱つておりましてそこからそれぞれの開拓地の協同組合に貸出す、かような関係なつております。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこの十五カ年年賦、それから利子の計算等の事務はすべてこの農地事務局でおやりになつているんですか。
  60. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これはすべて農地事務局でやることになつております。
  61. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これに対する担保だとかそういう点が全然ないんですか。もう三年以上の入植者というのであつたらこれは先ほどの国民金融公庫のようないわゆる将来の見通しとかそういうような條件なしに、いずれも入植後三カ年のものであつたらよろしい、こういうことになるんですか。
  62. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは末端に開拓協同組合というのがございます、これが連帯保証になつております。
  63. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますとその開拓組合の連帶保証でもつてやる、その開拓組合は届出主義でありますか、承認主義といいますか、どんなふうになつているんですか。これは大蔵省或いは農林省のほうで認められるか知らんが、組合はどんな組合でも届出すれば開拓者の組合として認めこれが連帯保証ということになつているんですか。
  64. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) それは農業協同組合法に基く協同組合でございまして、先ほどちよつと説明が不十分で失礼いたしましたが、これに融資いたしますときにはそれぞれの県に開拓審議会というのがございます、そこで一応のまず荒ごなしといいますか信用を受けるものかどうかというようなことその他を審査いたしまして、その一応審査を得たものを農地事務局に持つて参る、そういうような恰好で融資をいたしております。
  65. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これの申込数ですね、どれだけ一体希望があるか。それから今の繰入金だけで本年度大体申込金額のどれくらい応じ得る見込ですか。需要と供給の関係はどういうふうになつていますか。
  66. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 今ちよつとそのくわしい数字を持ち合せておりませんので甚だ失礼になると思いますが、建前といたしましては全開拓者に貸出すということになつておりまして、勿論審議会でいろいろ吟味はいたしますがそういう建前なつており、大体におきまして全開拓者が借りているというふうな恰好になつております。
  67. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると全開拓者一戸当りいくらという計算になるのでございますか。それで以てどういう家畜を買わせるか、大体その構想は考えているでしようが、それの今の時価とを。
  68. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは現在の、二十七年度といたしますと、一戸当りの融資額が十七万七千八百円ということになつております。これは毎年農業パリテイの変化に応じまして金額そのものに若干の変動があるわけでありますが、基礎になりますのは昭和二十三年度におきまして一戸当りの融資額が六万四千円ということになつております。その二十三年度の六万四千円を基準といたしまして、二十三年度における農業パリテイの指数がその後どういうふうに変化をしたか、こういう計算をいたしまして毎年の入植者に対して一戸当りの融資額を出して行く、さような恰好になつております。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今のお話では一戸当り十七万七千八百円、その中で今の御説明ちよつと聞いたのですが家畜を買う費用に当てるという今のお話ですが、一戸当り三年間のものと三年以内のものとあると思うのですがそれを平均して十七万七千だか出して、それで家畜を買うのには一戸当り分の割当はどういうふうになつておりますか。
  70. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 初め私が御説明いたしましたように、十五億三千一百万円の内訳で十三億一千四百万円というのがいわゆる入植三年以内の諸君に毎年々々貸して行く、こういう金額であります。それから二億一千七百万円というのが入植後三年過ぎた諸君、つまり昭和二十三年度の入植者の諸君がいろいろな物価の変動でほかの入植者に比べまして不利になつておりますので、特にこの点につきましては二億一千七百万円の限度におきまして、二十三年度の入植者に対して主として家畜を導入するための費用に当てる、こういう恰好になります。十三億一千四百万円のいわゆる本来の入植一、二、三というふうな年度の諸君におきましては、これは勿論家畜も買いましようしその他の農具も買いましようし、或いは諸具施設の費用にも当てる、かような恰好になつております。
  71. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつとわかりにくいのですが、十三億一千何百万円というのは、これは昭和二十三年以降の人ですか。
  72. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 例えば二十七年度の予算から申しますと、昭和二十五年度に入植した諸君が入植後三年たつた諸君に相成ります。昭和二十五年度入植の諸君と昭和二十六年度に入植いたしました諸君と、昭和二十七年度に新らしく入植いたしました諸君と、つまりこの諸君に十三億一千何百万円の範囲でお貸しする、こういうことになつております。
  73. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、この十三億一千万円が十七万七千八百円になるのでございますか、一戸当り。
  74. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) さようでございます。
  75. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは次に来年は又大体このくらいの金額は毎年貸出して行くのでございますか。今までに貸出した一戸当りの金額、例えば二十三年に入植した人は今まで一体どれくらい借りているか、こういうことはおわかりになるのですか。
  76. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) ごく大ざつぱで失礼でございますが大体一戸当り六万円くらいになつております。その当時の金額にいたしまして六万円くらいになつております。
  77. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると二十三年に入つた人はその当時の金額にして六万円くらい借りている。二十五年、六年、七年度におきまして入植した人に平均今年貸すと、こういうお話でございますがそうすると、二十五年に入植した人は二十五年にも六年にもそして又二十七年度にも、これは貸してもらうとこういうことになるのですか。
  78. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) そういうことになります。但しそれは一遍に一戸当り十七万円を貸すわけではないので三年間に区切つてそれだけのものを貸して行く、こういうことになります。それは物価の関係でいろいろ毎年金額が違つて参りますが、昭和二十三年度の物価に逆算いたしますと総計締めまして約六万四千円くらいの金額になるので今の物価といろいろ違つてつておりますのでその当時の六万四千円のものを今換算し直すと一戸当り十七万円くらいのものになる、かようになると思います。
  79. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると今年一般会計から繰入れるのは十五億三千万円繰入れるのでございましよう。去年は何億か繰入れてございましよう。それから二十五年度も繰入れておるでしよう。従いましてそれを合せまして十七万七千八百円借入れることになると、こういう意味ですか。今年の十五億何千万円がそれでは一人当り幾らになると、こういうことをお尋ねしたが十七万七千八百円だと、こういう今のお話であるが、二十五年、二十六年にも毎年繰入れておるわけであるから三年たつていると毎年々々借りているから、その借りた金はどのくらいになつておるか、これをお聞きいたします。
  80. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 昭和二十七年度に入植いたしまするものは一戸当り十一万二千円、二十七年度も貸すことに相成ります。それから昨年入植いたしました昭和二十六年度の諸君は、一戸当り三万六千円の見当になる。それから昭和二十五年度に入りまして今年三年目になつておる諸君は二万九千円、こういうふうなことに一戸当りなつておる。それを全部合計いたしますと十七万七千円ということになる、こういうことになります。
  81. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると二十五年に入植した人で二万九千円、二十六年三万六千円、そこで今年又十一万円借りられる。こういうわけでございますか。
  82. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) それは毎年物価のパリテイ指数で変えますので今のようなことになるのですが、二十五年度におきましては二十五年度入植した諸君は現在までの貸付が大体十一万円くらいになつておる、金額にいたしますと。それに今年二十五年度入植の諸君に二万九千円貸すわけでございますので、従いまして二十五年度入植した諸君は総計どのくらい借りたかと申しますと、約十四万円くらい借りてそれでもう借りる満額になつた、こういうことに相成ります。  それから二十六年度、昨年入植いたしました諸君はこの二十六年度の予算では、一戸当り大体八万くらい借りておることに相成ります。従いましてその八万円に今年は三万六千円借りるわけに相成ります。来年、二十八年度におきましては最後に又金を借りる、こういういうふうに相成ります。
  83. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そのようにいたしまして大体入植者は入植後三年間は今の金額に直しまして十二、三万から十四万円を三カ年借りる、それから三年たつたものにはそれは今年は二億一千万円のこの金を使つて大体六万八千円くらい貸すとこういうわけになるのですか。
  84. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは二十三年度に入植いたしましたものに対してのみ特別の措置を図つております。というのは二十三年度のときに非常に価格変動がはげしかつたものですからそれをカバーする意味で、二十三年度入植のものに限りまして殊に大きな家畜を入れる資金が足りないものが多いからそれだけに限つてつております。三年間たちましたそれ以外の諸君に全部貸すというわけじやございません。二十三年度だけ特別に価格変動がはげしかつたためにそういうような措置をしたのであります。
  85. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二十三年度の人だけは今年幾らありますのですか。
  86. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 大体二十三年度の入植いたしましたものが、融資対象として考えているのは一万二千戸くらいだと思います。
  87. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いやその金額はどのくらいですか。
  88. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 金額は平均いたしますと大体二万足らずになるかと思います。
  89. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それじやこの融資は今のお話で大体平均してお貸しになるのであるか、それとも希望その他を勘案してやられるのでありますか、その点はどうなんですか。
  90. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは共同施設というものと、それから各戸の営農に必要なものと性格ちよつと違つて参りますけれども、達観いたしますと平均して貸すということに相成ります。
  91. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大体わかりました。
  92. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 各年度の入植者数はどのくらいになつておりますか。
  93. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 各年少しずつ違つておりまするが。
  94. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 新規入植者です。
  95. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 新規入植者は二十七年度は七千戸になつております。二十六年度は六千五百戸になつております。それから二十五年度の入植者の諸君は一万戸、二十四年度の諸君は一万戸、二十三年度が先ほど申しました一万二千戸、こういうふうな数になつております。
  96. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 脱落者はどのくらいあるのですか。
  97. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 脱落者の数は年度によつて少し違つて参りますが、大体今までのところ二、三割程度の脱落者が出ております。
  98. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 今お話の入植者に三カ年一旦貸付けると、もうあとは大体資金的に面倒をみなくても自立してやつて行けそうなんでありますか。
  99. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 本当を申しますと、やはり開拓地へ入りまして四年、五年のところがかなり苦しいときなのであります。その地方その他の関係から申しまして苦しいときになるかと思います。そんなに長い間金を貸すわけにも参りませんで、そのほかに短期の資金を貸しまして肥料代であるとかそういうものをカバーする方法を別途にとつております。
  100. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そうしますと二十三年度入植者は二十三年度の特殊事情によつて今でもこのように貸出しているのですが、その後のものは別に資金としては貸さないと、必要であれば別個の普通の方法でやられるよりほかに仕方がない、こういうわけですか。そう承知してよろしいのですか。  なおこの家畜導入資金なんかは非常に少な過ぎるようなことも聞くのですが、実際の状況はどうなんですか。
  101. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 牛一頭買えんですよ、これでは。
  102. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 余計あれば結構なんですがなかなかそういうわけにも参りませんので、この程度でできるだけのいい経営ができるように努力をして指導するということに努めております。
  103. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 開拓者は山間なんかに多いのですが、昨年度はやかましく言つているのは「いのしし」とか「くま」が出る、それに対して柵をつける、これは国家から出るのですか。
  104. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは問題は大分あるのですが、ちよつと共同施設というわけにも行きませず、或いは又これの営農の費用というわけにもちよつと行きかねますので直接の対象にはなり得ないと思います。
  105. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 例えば土地開墾に当るその土地の所有権はどうなるのですか、国有の土地を開墾する場合に。
  106. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは開拓地は大体国が買上げております。買上げました土地へ計画を立てて入つて参ります。入植いたしましてそれが一定の年度たちまして、確実にそこに営農をして定住し得るという見通しのつきました時期において売払計画を立てまして、そうしてその諸君の収入に移して行くという恰好になつております。
  107. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 例の金融難のために担保に入れて、又一方的に処分しなければならぬということはないわけですね。そういう危険はないわけですね。
  108. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 土地が担保という恰好にはちよつとなりかねると思います。と申しますのは、若しもその諸君が脱落と申しますか、自分の土地を売つたりなんかするというようなことにつきましては、これは国からそういう特別な恰好で払下げておるわけですから国家が先買権を持つております。国のほうが先にそれを買いましてほかに優先いたしまして仮にその諸君が脱落した場合には適当な諸君を入れて行く、こういう恰好になつております。
  109. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではこの質疑は本日はこの程度にいたしておきます。御苦労様でした。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕   —————————————
  110. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。  それでは次に所得税法の一部を改正する法律案、その他税制改正案について、日米租税協定に関し政府より説明を聴取いたします。
  111. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その前にちよつと主税局長にお尋ねしたいのですが、この前の所得税法の特別措置法によりまして、年末調整の簡易税額表でございますが、この簡易税額表を個人別に計算いたしてみますると、例えば月給が一万五千二百五十二円の者で、年額が十八万三千五百三十円、扶養家族一名といたしますと年末調整額は二万二千百八十円、こうなつておりますが、これを勤労控除一五%引きそれから基礎控除を引き扶養家族を引きますと、課税金額は十万一千円になりまして、確定申告をいたしました場合にはこれは二万一千九百円、こういうふうになるわけですが、確定申告をこういうふうにして個人別にやりますと、ところが年末調整表におきますと二万二千百八十円とられる、確定申告の場合は二万一千九百円とられ、二百八十円だけ余計とられることになる。こういう計算を一々個人別にやつてみますと、そうするとこの端数はランクの関係だと思うのですが、いずれも個人別に計算してみますると多少二百八十円ふえたり、又十八万五千八百八十円の年額の人でも扶養家族一名だと二百八十円少くなる、こういうのがたくさん出て来るわけでございますが、これにつきまして、この間ちよつと新聞にも載つておりましたが、確定申告をしたら払戻をするというようなことをどこかの税務署長が言つておりましたが、そういたしますと、確定申告でまあ不足の……余計とられた人は大変確定申告は必要だろうと思いますが、不足の人がしないと大きな問題だと思う。原則としては源泉徴収のものには確定申告をしないということになつていると思うのですが、それが確定申告をやるとするとこれだけ少くなる。これがただ単に所得税ばかりではなくて、ひいてはこれは市民税のほうにも、地方税のほうにも影響いたして参りますが、一体この数字といいますか、この表の、こういうふうな段階にしたために生じて来る止むを得ない誤差としてあなたのほうは認めておられるのであるかどうか、この点を一つはつきりお尋ねいたしたいと思います。
  112. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今のお話の点は、簡易税額表を作ります際の技術的な点から来まする若干の誤差の問題じやないかと了承するのでございまするが、これは表を非常に細かくすると、そのような問題が大体なくなるわけなのでありますが、或る程度税額の表にきざみを設けております関係お話のような場合も出て来るかと存じますが、或る程度のことはどうも技術的にできた止むを得ないことかと存ずるのでありますが、今お話の点はもう少し具体的に私ども計算してみないと、ちよつとその通りであるかどうか申上げにくいのですが、なおよくお話の点は検討いたしまして、計算いたしましてお答えをいたしたいと思います。
  113. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、確定申告をした場合と、年末調整のこの簡易税額表による場合と多少数百円の誤差の出るということはあらかじめあなたのほうとしても止むを得ざるものとしてこの税額表をこしらえたものであるかどうか。表をずつと詳しく私も一応当つてみましたところが、大抵誤差の出ないのが多いのでありまして、一人二人というようなところと、それからずつと全部計算いたしましても誤差の出る欄と、殆んどもう誤差が出ずにそのまま当てはまるのとあるわけなのでありますが、誤差の出るものは大抵年額にいたしまして十八万円くらいから三十六万円くらい、そうして扶養家族が一名乃至三名くらいのところがずつと誤差が出て来る。ほかのところはそういう誤差は出ないのでありますが、そうするとこれは確定を計算のほうはあなたのほうの技術でもう一ぺん御計算されるでしようが、私はこれの表を持つておりますからお示ししてもよろしうございます。これは確定申告をしたならば過払いになつている場合にはその誤差は払戻しを受けることができるかどうか、これを一つお伺いしたいと思います。確定申告の場合に払戻してくれるのかどうか。
  114. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは若しもそういう非常な差がありまして、確定申告をする場合におきましては、確定申告を出しますと誤差の分は清算して還付するということになります。
  115. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると誤差を払戻しするということになりますと、これはまあ大変な手数で、これだけのプラスだと多いと思いますが、全部確定申告を出したならば税務署は相当な手数だと思いますが処理ができるかどうか、金額も僅かで。今すでに地方税の申告が始まつているのでございますが、地方税の申告とこれとの関連から考えますと、これも余計納め過ぎた分についても源泉徴収等によつて地方税をかけられますが、その処理をどう処置されるのですか。
  116. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 所得税の基本税額が変りますと、地方税も当然変更になるとこういうわけでございます。
  117. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、これだけのものが皆たとえ二百八十円、三百円にいたしましても確定申告を出す、さあ地方税の申告を皆変えるということになると、その手数たるや何百万という人間を一体処理できるというお見込でございますか。これは法律上はできることになつておるのだが、一つの闘争、と言つては語弊がありますが、税務署のほうの何としてみんなが出すとこういうふうな運動を起されると大変なことになると思うのですが、一体どうつでしよか。
  118. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今御指摘の通り、誤差のあるクラスと誤差のないクラスと両方あると思いますが、取るところへ来て累進税率の適用等でちよつとのことで差がある場合にお話のような問題が出て来るかと思うのでございます。何百万人ありますか私実はまだそこまで予想しておりませんが、若干のものが出て来た場合におきまして、それは申告をしてくればどうもいたし方ないと考えておる次第でございます。
  119. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 わかりました、申告すればそれでやるということになれば。
  120. 小林政夫

    小林政夫君 最近新聞紙上で見ますと日米租税協定について大分話が進んでおるようでありますが、いろいろ問題を考える上において是非必要だと思いますので、主税局長のわかつておる範囲で説明を願います。
  121. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 主として今アメリカとの間に所得税と法人税と相続税とこの三つにつきまして、二重課税の防止に関する一種の協定と申しましても條約になりますが、條約を成るべく早い機会に結んだらどうかというので、実は目下下打合せの段階であります。先般東京の国税局長をその要務のためにアメリカに派遣いたしましていろいろ下打合せをやつて今進めておるところでございます。で、大体の点につきましては方針等は大部分一致をみておるのでございますが、なお又細目の点につきまして若干検討を要する部面が残つておりますし、それから條約でございますのでやはり手続を進める順序がございまして、まだ具体的に確定いたしまして公表をするという段階にまでは実は参つていないのでございます。で、相互にこれは成るべく同じときに同じような方法で発表しようということになつておりますので、その点御了承願いたいと思う次第でございますが、大体の方針だけでございますれば本日申上げてもいいのじやないか、細目的な具体的なことになりますともう少し時期をお待ちを願いましてお願いしたいと思います。いずれ併しこれは国会に提出しまして御審議を煩わすことになると思いますが、大体そういう順序で今進めておりますことを申上げておきます。
  122. 小林政夫

    小林政夫君 できれば、話の都合によつては、速記をとめて秘密会にしてもいいと思うのですが、まあ方針のみならず多少具体的にできるだけくわしく説明を伺いたいと思います。
  123. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。    午後三時五十三分速記中止    —————・—————    午後四時十九分速記開始
  124. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  125. 田村文吉

    ○田村文吉君 今度所得税法の一部の改正等によりまして富裕税はおやめになる大体御方針のように初めは承わつてつたのでありましたが、今度の国会には御提案にもなつておりません。これはどんなお考えでいらつしやいますか。  それから併せて富裕税の問題につきまして、相続税でも同じことだろうと思うのでありますが、地方で持つておられます株券ですね、こういうものは流通性が非常に少いために、その地方の新聞ぐらいにちよつと載つておるために割合高く評価されている場合が多いのです。そういうものが相続税の場合でも、又富裕税の場合でもその評価でやられるというようなことで、これは地方にある株式であるとか、小さな会社とかいうものの株式を持つている人が非常に困る。こういう非難が大分多いのでありましていろいろ税務署長さんとしても考えておられるのでありましようが、それにつきまして何か御当局としての特別の御指示或いは御方針等がはつきりしておりましようかどうか、お伺いいたします。
  126. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 富裕税の問題につきましては私どももいろいろな角度から検討してみたのでございますが、やはりこの富裕税のシステムは二十五年度に改正しました改正一つの基本に関する問題でありまして、所得税の最高率を下げてこれを富裕税に置き換える、そのほうがいろいろな意味においていいというのがシヤウプ勧告の一つの特色でありまして、その点に実は触れて参る問題でございますけれども、もう少し愼重に考究しました上で結論を下す、要するに富裕税を将来長くやるという方針でもなく、もう少しよく検討の余地を与えて頂きました上で、きめたいという意味で今回は見合せることにいたした次第でございます。  それから評価につきましてはなかなか問題がございまして御指摘の通り昨年も問題があつたのでございますが、大体今の取引に上場されている株式の時価を調べてみますと、会社の正味資産に比較しますと実は相当抵いのでございます。これに対しまして同族会社等の場合におきましては、売買実例がないために大体やはり正味資産を調べましてそれに対して一株当り幾らになるということを長くやつてつたのでありますが、それとの間に非常に差が出て来る、これはどうもやはり如何に考えても穏当じやなかろうというのでやはり会社の規模等によつて若干差をつけておりますが、成るべく類似会社の相場と申しますか市場価格を評価にとり入れまして妥当な評価をしよう、こういう考え方で富裕税の申告等におきましてもその評価の方式を示しましてお配りいたしております。そういう考え方でやつております。今お話の点は或いは地方で売買実例があつて相当高く売れているという例かと思いますが、これはやはり或る程度取引がありまして高く売れている場合はそれはやはりそれを時価として見ざるを得ないのじやないかと思います。併し非常な異例に亘る取引の実例で全部の持分の株式の評価としては不適当だということがはつきりしました場合においてはやはりそれだけでなくその他の資料をよく調べまして妥当に評価をすべきものと考えております。
  127. 田村文吉

    ○田村文吉君 これはこの前の財産税、あのとき起つた問題であつたのであります。類似したような会社の株券で上場されておるのは仮に五十円くらいであるとする、ところが地方的の株であるために稀にはそれが七十円とか八十円とかいうことが地方新聞のちよつと一欄に出ておると、皆それを標準にとらざるを鶴ないというようなことになりまして、今随分そういう人たちが非常にお困りになつておる。それと同じようなことが今日やはり富裕税でも、財産税でも同じように実は取扱われておりますので、これは少し御当局としてお考えになつ措置を各税務署長さんにお示しになる必要があるのではないか、こういうことを痛感いたしておりますので、実はそういう問題を各地方から伺つておるのであります。これは特に局長さんにお考えを頂いて何かもう少しこういう流通性のない様、そういうものに対しては特別にデイスカスして考えて頂きたいということを各税務署長さんのほうに徹底して頂かなければ困る、こういうふうに思うのであります。私の考えておることが間違つてつたら局長さんからお直し頂きます。私はそれは実際無理じやないかとこう考えておりますので、実例等もたくさんございますけれども一一の例を申上げませんでもおわかりになつておるだろうと思いますのでお伺いする次第であります。
  128. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 有価証券の評価はなかなかむずかしくて、昨年も富裕税をやつてみましてその困難性が如何に激しいかということを案は痛感いたしまして、いろいろ若干方針の変更等もあつて不手際をいたしたのでありますが、最後に落着いたところは、先ず大体におきましてそう無理のないように行つておるのではないかと見ておるのであります。余り疑問のある場合は成るべく無理のない評価をやるようにという一般的な考え方を以て現在のところ実は指導いたしておるような次第でございますので、今御指摘の例といたしまして非常にレア・ケースの売買実例で一般的な実例として用いるのに不適当なものにつきましては、必ずしもそれによらないでもいいという指示を通達しろということでありますが、そういう点につきましてはなおよく注意して参りたいと思います。
  129. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  130. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。それでは本日の委員会はこれを以て閉じます。    午後四時二十八分散会