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1952-06-16 第13回国会 参議院 建設委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十六日(月曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            深水 六郎君            徳川 宗敬君            前田  穰君            門田 定藏君            東   隆君   衆議院議員            遠藤 三郎君   政府委員    土地調整委員会    委員長     我妻  栄君    土地調整委員会    事務局長    豊島  陞君    資源庁長官   山地 八郎君    資源庁鉱山局長 松田 道夫君   事務局側    常任委員会專門    員       菊池 璋三君    常任委員会專門    員       武井  篤君   説明員    通商産業省地質   調査所鉱床部長  佐藤 源郎君    建設省住宅局住    宅企画課長   鬼丸 一之君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公営住宅法の一部を改正する法律案  (田中一君外八名発議) ○伊東国際観光温泉文化都市建設法の  一部を改正する法律案衆議院提  出) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会開会いたします。公営住宅法の一部を改正する法律案議題に供します。本法案について御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 耐火構造に持つて行くということは誠に結構なことと思います。併し今全部耐火構造に改めて行くということはなかなか困難なことであります。というのは、どうも建築基準法にいう耐火構造と、それから現行公営住宅法施行令にいう耐火構造と、即ちつまりこれは簡易耐火構造とか或いは特殊耐火構造及び耐火構造は、これは耐火性能を有するものとして現行公営住宅法に認めています。そういう観点からいたしまして、耐火構造ということを余り強く言いますと、多少実際と困る点がありやせんかと、こういうふうな観点から、私はこの法案を一部修正したほうがいいのじやないか。その修正したいという意見は、今申しました通り簡易耐火構造特殊耐火構造及び耐火構造は、「耐火性能を有する構造」こういうふうに改めたほうが現状においては一層実際に適すると、こういうふうに考えるのです。これに対しまして提案者質問いたします。
  4. 田中一

    田中一君 この提案最初にその問題は十分に検討したのですが、大体この法律を作りますときには、建築基準法を基として立案したわけなんです。ところがよく調べてみますと、これに関連するほかの法律又は政令條例、そういう点が一貫していないことが発見されたわけなんです。従つて政府委員のほうからその点が一貫性がないというところを説明してもらいますが、一応お聞きとり願いたいと思います。
  5. 鬼丸一之

    説明員鬼丸一之君) 只今田中提案者の代表からお話がございましたが耐火横越概念につきましては、御承知のように建築基準法規定がございまするが、この基準法規定公営住宅法関係政令規定矛盾しておることは事実であります。矛盾といいますが、概念規定の仕方が違うわけなんでございまして、建築基準法法律規定の仕方は、この法律の第二條の七号に鉄筋コンクリート造煉瓦造等構造で、政令で定める耐火性能を有するものと規定してありまして、政令で詳細にその規定がございます。ところが公営住宅法概念につきましては、法律にはございませんが、やはり政令規定いたしてありまして、公営住宅法関係概念を先に申しますと、簡易耐火構造特殊耐火構造、それから対火構造と三つに相成つております。詳細は略しまするが、これに反しまして建築茶準法の耐火構造につきましては、これも詳細は略しますが、要するに構遁の部分々々につきまして鉄筋コンクリート造或いは煉瓦造或いはその他の材料について細かくその厚さ等を規定いたしてあるのでございます。そこで赤木委員から先ほど発言がございましたように、現在のこの公営住宅基準建設基準の実情に照らしますると、建築基準法政令にいう耐火構造規定をそのまま当てはめますことは少し嚴に過ぎるといいますか、細かくて現在の公営住宅建設事業に合わないのみならず、又将来直ちに建築基準法定義にありまする構造に持つて行くということはちよつと困難な事情にあるのではないかと、かように考えられます。そこで提案者の今回の改正の御趣旨から考えてみましても、この点は建築基準法耐火構造定義を当てはめなくても差支えはないのではないか、これは一応政府事務当局として考えておるところでございまして、赤木委員の御発言趣旨もそのように私ども理解しておりますので、政府といたしましては、赤木委員の御発言趣旨賛成を申し上げたいと考えております。
  6. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の考え政府の実際に適応する考えとは大体一致しておるように思います。従つてこの法案改正しましても、その運用をよくする観点から、私は先ほど申したような趣旨においてこの一部が改正されるように要望するのであります。ではどういうふうに改正するかと申しますと、お手許に行つているか知れませんが、公営住宅の『第二條改正規定中「及び第十一号」及び「十一耐火構造」を削り、「次の二号」を次の一号に改める。第五條改正規定中「耐火構造」を「耐火性能を有する構造」』にすること、こういうふうに訂正するならば、私の申した趣旨に基いてこの法案は生きて来るように思いますが、これを一応お諮り願いたいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 できるならば、今政府のほうから御説明があつたように、多少の関係します法律のうちの矛盾があるのを先ず直して頂くのが一番いいのですが、会期も迫つておりますし、赤木委員の御提案修正には一応の前進として了承いたしたいと思うわけなんです。ただ、これは三カ年の公営住宅計画というものを国会において承認されましたのがつい最近でございまして、又三年後には或いはこの法律も変えにやならんような時代も来るように考えられますので、只今のところ御提案には賛成いたして差支えございません。
  8. 小川久義

    小川久義君 発議者のほうに、おいても、赤木委員修正異議ないようですから、ここらでこれ以上質疑もなさそうに思いますので、質疑打切つて討論採決をお願いします。
  9. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 小川君の御意見従つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 異議ないようですから……。別に御発言もないようですから、質疑打切つたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議もないようでございますからこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど質疑のときに申しました通り、今出ております法律の一部を改正する動議提出します。つまりこれを読上げますと、  公営住宅法の一部を改正する法律  案に対する修正案  公営住宅法の一部を改正する  法律案の一部を次のように修正する。  第二條改正規定中「及び第十一号」及び「十一耐火構造」を削り、「次の二号」を「次の一号」に改める。  第五條改正規定中「耐火構造」を「耐火性能を有する構造」に改める。  こういう修正動議提出します。
  13. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ほかに御意見ございませんか……。ほかに御意見がございませんければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは御異議ないと認めます。  これより採決いたします。公営住宅法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  先ず討論中にありました赤木君の修正案議題に供します。赤木提出修正案賛成かたは挙手を願います。    〔賛成者挙手
  15. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 全会一致でございます。よつて赤木君の提出修正案は可決されました。次に、只今採決されました赤木君の修正にかかる部分を除いて公営住宅法の一部を改正する法律案の全部を問題に供します。御賛成のかたは御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  16. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 全会一致でございます。本法案全会一致を以て修正可決されました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容等の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。  次に、本法案を可とされましたかたは例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     赤木 正雄  田中  一     小川 久義  石川 榮一     深水 六郎  前田  穰     徳川 宗敬  門田 定藏     東   隆
  18. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御署名洩れはありませんか……ないと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  19. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは速記を始めて下さい。  それでは次に伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案議題に供します。  本委員会かたがたにお諮りいたしますが、同法案につきまして、審査の便宜のため厚生委員会連合委員会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議ないと認めます。  只今本問題につきまして政府側から土地調整委員会委員長東大教授我妻栄君、それから事務局長豊島陞君が出席されております。なお資源庁長官鉱山局長も直ちに参ります。では質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  21. 前田穰

    前田穰君 この問題につきまして審議をする前提として、土地調整委員会我妻委員長にお伺いしたいのです。今この配布されております資料の中に、土地調整委員会が裁定をされたときの理由書だとおはしきものがあるのでありますが、その末文に、なお指定区域以外の請求区域請求理由に該当せず、従つて指定する必要があるものとは認められない、こういう文章があるのでありますが、この文章意味一つお伺いしたいと思うのでありますが(私の質問の主眼とする点は、土地調整委員会靜岡県知事請求に対して公益上の点からいろいろ検討せられて、禁止区域指定せられた地域内は鉱物採掘をさせることが公益上書があるということで禁止区域指定されたのでありましようが、靜岡県知事請求区域のうちで、禁止区域指定せられなかつた区域は、指定することが却つて公益に害がある、禁止することが却つてよろしくないという意味指定区域外のこの請求を否認せられたのでありましようか。即ち若しそうであるならば、本法案の要求しておるところは、土地調整委員会が禁止することが却つて公益上害があると恥認めなつ地域を本法案の中に規定しようということになるわけなのでありますか。そういう見地からこのなお書きの意味を詳しく一つ伺いたい、こう思うのでありますが。……。
  22. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) お答え申上げます。只今御指摘になりました点は、おつしやる通り指定する必要があるものとは認められないというふうに書いておりますが、この土地調整委員会が任務といたしております禁止区域指定と申しますのは、御承知通りこの指定をいたしました区域鉱区設定も許さないというのであります。採掘ができないとか或いは注意をして掘られなくちやならんというのでなくして、初めから鉱区設定を許さないという、非常に強い効果をもつものであります。勿論この指定いたしました区域もその後の調査の進歩或いは技術の発達に応じてこの区域を改めて行く。即ち一度禁止地域指定いたしましても、あとでそれを解除するとか、或いは又指定しないといつた土地を後から又指定するということもあり得るのでありますけれども、併しとにかくそうしたことは実際上相当困難であろう。従つて禁止地域指定されると鉱区設定も許さないという大きな効果を持つものでありますから、委員会としては、これをできるだけ狭い範囲に限定すべきものだろうというようなふうに当委員会では考えているわけであります。従つてここに請求理由に該当せず、従つて指定する必要があるものと認められないというのは、今申しましたように、鉱区設定をも許さないというほど強い効果を生ぜしむることは適当でない、こういう意味に御了解を願いたいのであります。もう少し詳しく申上げますと、この指定をしなかつた土地でも、十分注意をしなくちやならないだろう、ただ無暗に扱つちや困る、非常に注意しなければならんだろうということは、無論予想する場合があり得るのであります。理由を申上げますと、掘り方を注意してやれば弊害はないだろう、損害はないだろうというような場合にも、先ほど申上げましたように指定はできない、指定はイエスかノーでありまして、禁止区域であるかないかでありまして、或る一定の深さ以上は掘つちやいかんとか、或いは或る方面を坑道を掘るというようなことはいわゆる指定ということはできないということなのであります。さような意味におきまして最小限度のところを指定しておきまして、それ以外にはそれほど大きな効果を生ぜしむるべきではないと考えて、そうしてこういう指定拒否の措置に出たのでありますが、併し只今申しましたように、この指定を拒否しました契機につきましても、その掘り方を非常に注意しなくちやならんということは当委員会でも考えましたので、このお手許に差上げました資料にもありますように、通産局のほうに対しまして、拒否した区域についても鉱物採掘をする場合に十分の監督をして、施業案なり何なりにおいて注意をしてもらいたいということを申入れているわけであります。以上で御答弁といたします。
  23. 前田穰

    前田穰君 もう一言お伺いしたいのでありますが、この土地調整委員会裁決に対しては訴訟ができるのじやないかと思うのでありますが、靜岡県知事はこの裁決に服したのでありましようか。訴訟は別段起つていない、こういうことでありますか。
  24. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 訴訟は起きていないようであります。ただ訴訟を起せるかどうかは相当問題だろうと思います。これは前例がありませんので、結局は最高裁判所決定するということになるのでありましようが、私の私見を申述べさせて頂きますと、土地調整委員会がそうした決定をするのに何か手続的な違法なことをやつておりますれば裁判で争つて行けるけれども、公益に害があるかどうかという判断が妥当であつたかどうかということは、原則として訴訟では争えないものと考えております。
  25. 前田穰

    前田穰君 ほかに御質問申上げたいことがございますけれども、土地調整委員長に、まあこれだけで私はいいのでございますが、若しほかのかたのお尋ねがあるようでありますれば……。
  26. 田中一

    田中一君 委員長に伺いたいのですが、これは参考資料として報告書が来ておりますが、合同調査をした場合、今の鉱区分析なども、鉱物分析などもやつたんでしようか。
  27. 豊島陞

    政府委員豊島陞君) 地質調査所のほうでやりました調査が一応報告鑑定になつております。併し鑑定の結果、そう大していい結果は出ておりません。ただ我々が、地質から見まして、あの辺の鉱床下部に行くとよくなつて来る。上部の鉱床は惡くても、下部にはよいのが多いという地質から、あの辺の鉱床に即してやつておりますわけです。従つて探鉱するという価値は十分にあることが鑑定の結果出ております。従つて試掘する価値は十分にある。今すぐ掘り出しての採掘価値については問題が残つているという鑑定ができるのです。
  28. 田中一

    田中一君 曾つて土肥温泉が全滅に瀕したということが提案者も御承知のようにあつたのでありますが、土肥温泉の場合に、土地調整委員会はどういう調査をやられたのであるか、或いは全然その他の場合には関係なしにやつたのか、又調整委員会ができる前のことなのか。土肥温泉関係して御説明願いたいと思います。
  29. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 土肥温泉の問題は、委員会が発足する前でありますが、非常に重要な事類承知いたしまして、委員長が出張して非常に調査をいたしました。そうして委員会のその後の活動のときには一つの重要な参考として考えております。併し今申しましたように、当委員会が発足する前のことであります。
  30. 田中一

    田中一君 土肥温泉のその後に、委員会ができましてから後に、記録その他の報告は参つておりましたか、委員会のほうには……。
  31. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 表向きそういうものは取つてはおりません。
  32. 田中一

    田中一君 この伊東の問題と同じような問題ですが、一応土肥温泉現状についてお調べになる必要がないものでしようか。我々がこの方針に対する賛否考える場合に、そうした事実或いは経緯を明かにされますと、御承知のように権威ある技術者が今日まで法律的に施して来たような現状を、そういうものの報告があると非常に判断をするのに参考になると思うのでありますが、そういう点はまあ委員会のほうでは何ら資料を揃えてないのでありますね。
  33. 豊島陞

    政府委員豊島陞君) 直接土肥温泉について資料を取つておりませんが、一応は委員会といたしまして委員三名のかたが現地を調査しまして、そうして帰りにも一応の調査をされて帰つております。それからなお特に改正をお願いいたしましたのでありまして、その種の資料につきましては十分な説明をして、その結果最後の鑑定が出たことになつております。
  34. 田中一

    田中一君 若しよろしければ土肥温泉現状ですね、それからどうしてこういう決定なつたかということの御説明を簡單に伺えれば幸いと思います。
  35. 豊島陞

    政府委員豊島陞君) 私技術屋でありませんので、直接の詳しいことはわかりませんが、ただ私の今まで聞いておりました範囲では、土肥温泉の場合には、地質的な鉱床から見て関連が非常にあります。又伊東の場合においては鉱床が一応地質的に分れているので、今温泉が出ている所と今温泉を掘ろうとしている所は全然別でありますが、地質が全然別々ということ、そうして又現在の温泉を掘ろうといたします所は、約二里、八キロくらい離れているばかりです。そういう関係で、絹対そういうことはあり得ないというようなことが大体調査專門家かたがたの御意見でございまして、私としては一応その程度でございます。
  36. 田中一

    田中一君 私先般伊東へ参りまして地図をもらつて来たんですが、現在調整委員会指定しましたのは、一応きめましたものの全部そのまま指定されたのですか。或いはその後再調査なり何なりしまして最初計画から縮まつたのですか、或いは大きくなつているのですか、その点どうなつておりますか。
  37. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) これはまあこの書類に書いてありますように、申請は伊東市の区域全部でありますが、土地調整委員会はそれを、初めから申上げましたように、調査の結果、一部分を除外して、そして指定したわけであります。
  38. 田中一

    田中一君 一部を除外したのは、全然影響がないという技術的な観点から除外したものですか、それとも別の意味がありますか。
  39. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 先ほど申しましたように、これは絶対に禁止するというほどのことはない。逆に申しますと、相当注意をして掘れば、温泉影響はないと、そういう観点でやつたのであります。それで、先ほど申しましたように、通産局に対して指定しなかつた部分については、鉱業の施業案その他について、十分な監督をしてもらいたいということを言つているわけです。何度も繰返しましたように、指定しなかつたからといつて、どんなふうに掘つてもかまわないという意味ではないと……。
  40. 田中一

    田中一君 この法律提案は、結局温泉だけを守ろうと、いわゆる泉脈といいますか、泉源といいますか、それを守ろうという考え方なんですが、この伊東市の周辺の水源地というものはどういう形になつておりますか。水源地、いわゆる飲料水です。飲料水工業水、そういうものの影響はどうなつておりますか。
  41. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) この指定理由のイの所にありますように、水道も、伊東市の第一、第二及び第三水道はその規模及び地質地形に照し、これを保護することが必要だというので、温泉及び第一、第二、第三の水道源考えたわけであります。このほかにも水道源があります。殊に指定しなかつた所にも水道源がありますが、それは実地調査をしてみますと、非常に規模の小さいものでありまして、あのままでは水道としても実は困るのじやないかというようなふたりに思うのでありまして、我々の考えといたしましては、若し将来そこを採掘するためにその水道が駄目になるというときには、業者のほうで特別に上水道を作るというような方法が講じられるだろう、そうすることがむしろいいのじやないか、従つて現状のままの水源地をそのまま保護するために禁止区域にするということは不適当だろうと考えました。従つて先ほど申しましたように、通産局監督をするというような場合には、現存の水道源も十分考えてくれという意味を含んでおるわけであります。
  42. 田中一

    田中一君 これは、我々が非常に重大に考えておりますのは、こうした特別市がこのほかにまだ十幾つもあるのです。どちらに、温泉を守るべきか、或いは温泉を適温さすとしても、地下資源というものの価値が高いならば、それを、温泉を涸渇させてもやらなければならんのじやないかという二つの考え方があるのです。従いまして、この法律ができますと、成立しますと、恐らくはかの特別市制を布いておるところから、陸続とこうしたものが出願されると考えるのです。従いまして、土地調整委員会は、それだけの強い……、強いというか、高い誇りを持つて、権威を持つてそれを指定する。無論それに違いないでしようけれども、陸続のそういうような出願が、出願といいますか、法律改正案が出たような場合にですね、こういうことを委員長申上げちやいかんでしようが、実際に地下資源との価値をよく判断なさいまして考えられるのか。今言う通りに、深いところには或いは相当いいような鉱脈もあるのじやなかろうかという政府委員答弁がありましたので、その価値判断というのも何か何かむずかしいと思うのです。そういう場合には、今この法律提案されましたことによつて、ほかからもそういうような、調査をしてくれというようなことは聞いておりませんですか。委員会に対してですよ。
  43. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 只今の御意見か御質問かにお答えするのは、結局私の私見ということになりますが、土地調整委員会という特別の制度がありまして、乏しい予算ながら、できるだけの科学的な知識を動員して慎重に判断いたしまして、指定をする必要がないということをやつた区域について、今度は條例でそれを一般的に禁ずるということになつては、理論上はともかく、実際上或いは日本の法律制度そのものから見て妥当でないと私は考えるのであります。従つて、この原案だけでありますと、そういう私の懸念することが相当露骨に現われているように考えます。併しここに修正して、制限、又は禁止する場合には、通産局長の同意を得なければならないということになりますと、大分考えが違つて来ると思います。と申しますのは、先ほども申しましたように、土地調整委員会指定をいたしません部分は、採掘するに当つては、通産局長十分監督しなければならんということの勧告をいたしておりますので、その修正のように追加されますと、いずれ我々の考えとしても、通産局長十分監督をして、或る場合には制限し、或る場合には禁止するという、個々的行為に対する制限をして行くのでありますけれども、これでは、それを逆産局長だけに任せないで、伊東市がイニシアテイブをとつて、そうしてその問題を処理して行くということになるだろうと解釈します。そうしますと、我々の予想しておることをただ現実にここに法律に現わすに過ぎないことになる、こういうふうに考えております。
  44. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今資源庁長官山地八郎君、それから鉱山局長松田道夫君が参られました。  なお、本案につきまして、前後いたしましたが、本委員会に本付託されました原案は、一昨日衆議院において本会議修正されて本院に送付になりました法律案でございます。本日は発議者より修正部分について御説明願います。
  45. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) 当初に出しました原案に対しまして、いろいろ通産委員会方面の意見が出て参りまして、只今手許に配付いたしましたような修正案が、本会議修正可決になつた次第であります。その修正案の内容を申上げますと、   伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第三條第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を第三項とし、第二項として次の一項を加える。   2 伊東国際観光温泉文化都市建設事業の執行者は、前項に掲げる行為で鉱業又は採石業に関するものについては、あらかじめ東京通商産業局長の同意を得た後でなければ、同項の禁止又は制限をすることができない。  こういうことであります。この趣旨はもう読んで字のごとく、特に説明を要しないと思いますが、鉱業権を設定いたしまして、そうして然る上に、或いは鉱業、又は採石業に関する制限禁止等をする場合には、これは伊東市長が、伊東市長、即ち建設事業の執行者が、独断でやれないように、鉱業全体の立場を見て、東京通産局長に同意を求める。その通産局長の同意がなければ、同項の禁止、又は制限をすることができないと、こういう建前をとつて、この鉱業権全体の問題を温泉の問題と調整をとつて行こう、こういう考えだと思うわけであります。御了承願いたいと思います。
  46. 田中一

    田中一君 この修正案に関連しまして、もう一度調整委員会委員長に伺いたいのですが、土地調整委員会の設置法を見ますと、少くとも鉱山局長、或いは通商産業局長の意思以上の権限を與えているように考えるのです。で、この第二十五條を見ましてもですね、相当強い権限を持つておるとこう考えられるのですが、もはやこの土地に対しては、この区域に対しては指定告示したものと承知しておりますけれども、委員会で権威を以て、きめたものを、なおこの事業を執行するには、通産局長に聞かなければならん、同意を求めなければならんということはですね。これは無論、この法律としては市の事業執行者が相談することになつておりますけれども、調整委員会の権威において考える場合には、法律でこういうものをどんどんきめて行くとすれば、もう調整委員会は必要がなくなるのじやないかとこう考えますけれども、委員長はどう考えておられます。
  47. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 先ほど申しましたように、指定をしなかつたということは、どんな掘り方をして行つてもいいという意味じやなくて、一定の制限の下になら掘つてもいいだろうという、そういう意味指定しないのでありますから、そこで若し土地調整委員会がもつと大きな権限を持つて、その後の監督までやれるということならできるかも知れませんですが、御承知通り土地調整委員会は、指定するかしないか、イエス、ノーの権限しか持ちませんので、指定しない部分については、先ほど申しましたように、例えば一定の深さを限つて掘つたらよかろうとか、或いは、或る特別の措置を講じて掘つたらよかるうと思うような部分には、土地調整委員会指定をしない。そうしてそれから先の具体的な監督通産局長に任せるということになつておるのでありますから、土地調整委員会の権威にどうなるということではないように私は思うのであります。
  48. 田中一

    田中一君 若し土地調整委員会がその程度の権限であり、そういうことで満足しておるならば結構です。併しながら私は、この法律第二百九十二号でこの設置法が通つたときには、もう少し強いものであつたように了解して治るのですが……、そういう彈力性があつて、事業を遂行するには、そんな、権限がないから相談していいようにやつたらいいじやないかということの程度ならばですね、この法律趣旨というものは、設置の趣旨というものはぼやけて来るのじやないかと思うのですが、重ねて委員長に甚だ恐縮ですが、その点いいものかどうか。又それがあなたの本当のお考えかどうか。委員会の性格から言つてどういうものか。これからも方々にこうした事例が起きます。起きる場合に、常に調整委員会はそういう態度を以つて臨むのならそれは結構ですが、一応ここではつきり記録にとどめておきたいと思うのです。くどいようですが、もう一遍委員長委員会の態度というものをお聞せ願いたいと思います。
  49. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 土地調整委員会が、先ほどから申上げますように、最小限度にここは鉱区の区の設定も許さないという点は、はつきりと土地調整委員会の権限として指定をする、問題は今御指摘になりましたように、一定の措置を講ずるか、或いは一定の制限の下になら掘つてもいいというように土地調整委員会考えた場合には指定をしない。そのしないところは、もはや土地調整委員会の権限外になつて通産局長に任してしまうということは、土地調整委員会としては大変権威のないものじやないかという御説でありますが、その点については私は実はこう思つておるのでございます。その具体的な個々的な行為を、どれだけの土地を堀らせ、或いはどれだけの設備を施させるかということは、これは何と言つて通産局長が最もよく知つていることでありますから、その施業案というようなものを第一次的に通産局長監督させるということは妥当であろうが、併し若しそれが争いになりまして、通産局長のほうでは制限をする必要がない、或いはこれだけの制限をしなくちやならないというのに対して、業者なり、一般住民なり、土地所有者なり、或いはこの場合には伊東市なり、そういうような者が、その通産局長の態度が不十分だと思うような場合に、その点をもう一度土地調整委員会が審査する。そしてそこで争いになつたならば、土地調整委員会にその点について訴願といいますか、異議といいますかを持つて来て、土地調整委員会が最後的に決定をするというふうにしておくことが、先ほど私が申しましたイエス・オア・ノーの部分に更に土地調整委員会が具体的なタツチをすることになる。鉱業法を将来私個人の考えとしては随所改正して、土地調整委員会が最後の締括りをするように行きたいと、かように思つております。
  50. 田中一

    田中一君 鉱山局長がお見えのようですから、鉱山局長ちよつと伺いたいのですが、今までこの伊東温泉周辺の近郊というものに対して、歴史的な金の埋蔵量に対する価値或いは今までの試掘、或いは採金と言いますか、そういうものをした過去の実際の問題を一応御報告願いたいと思います。
  51. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) あの地区におきましては、あの地区と申しますと伊東市全部の地区でございますが、明治年間に試掘が行われまして、その後放棄されたのでございますが、大正二年久原鉱業で出願いたしまして、爾役数年間鉱区内の土地を探鉱いたしたのでございます。その後暫らく体山していたようでございますが、昭和七年頃から、十年頃まで、再び探鉱の着手の機運が生れて参りまして、露頭坑道探鉱が行われたようでございますけれども、鉱床のはつきりしたものがめつかつていないというふうな過去の歴史があるようでございます。これを日本鉱業が受継いでおられましたが、本当の操業までには至つていないというふうな事態と聞いております。
  52. 田中一

    田中一君 今まで鉱山局でお調べになつたうちで、この金の含有量はどのくらいになつておるのですか、
  53. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) 伊東の海岸に近い場所でございますが、温泉の出ておる場所の近くに松月院というところがございます。この辺が調査されました際に、これは大正十三年頃の調査でございますが、金の含有量が三十四グラム、十グラムという数字が出ております。それから大正九年、これも松月院の附近と推定されますが、これも三十八グラム……、ああ失礼いたしました。その最初の大正十三年のときにも資料の中の一つに百六十七グラムというのが出ております。それから大正九年の今の松月院附近と推定されるところで、三十八グラム、百三十六グラム。なお資料によりましては金存在せずというふうな数字がございますが、これは今度は指定区域の中に入つておりますので、今後の操業として考えるわけには行かないだろうというふうに考えられます。それから禁止区域以外の地区につきまして、奧野地区と言われておりますが、その附近の、これも資料はたしか昭和九年頃の調査と聞いておりますので、古くて恐縮ですけれども、いろいろ場所によりまて三グラム、四グラム、五・五グラムというふうな数字の出たのが多いようでございますが、一カ所だけ十グラム、或いは十八・五グラムという分析の結果が出ておるようでございます。このあとで申しました三グラム、四グラム、五グラム、まあ多いところで十グラム、十八グラム、これがいわゆる今度問題になつております禁止区域外の地区の調査分析でございます。
  54. 田中一

    田中一君 この今の御説明のうち、前のはこれは禁止区域の含有量ですね。
  55. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) そうでございます。これはずつと前から禁止区域になつておりますので、今度この度土地調整委員会でやつて頂いたのは、更にその禁止区域を拡げたわけでございますが、前からの禁止区域の中でございます。
  56. 田中一

    田中一君 この深さはどのくらい……。先ほど調整委員会のほうでは深いところにはあるのじやなかろうかというような見方があつたというお話があつたのですが、これはどのくらいのところを採掘したのです。
  57. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) 今申上げましたのは、露頭で調べられたもの、主として露頭の調査だろうと思います。
  58. 田中一

    田中一君 先ほど調整委員のほうで深いところにあるのじやなかろうかと言つたのは、どういう根拠から言つたのか、御説明を願います。
  59. 豊島陞

    政府委員豊島陞君) 先ほど申上げましたのは、今鉱山局長から報告がありました地点につきまして、先般地質調査所でやりましたのは、あの辺には出なかつた。であの辺の上にいいのが出ていなかつたので、相当下に行つたらいいのが出ているのじやないかということが地質調査所の報告なつたことは報告申上げております。丁度鉱床部長が見えておりますが……。
  60. 田中一

    田中一君 ではそのかたに御説明願いたい。
  61. 佐藤源郎

    説明員(佐藤源郎君) それでは私から概略をお話申上げます。先ほど鉱山局長から御説明のありました調査の結果は、すべて露頭調査による結果でございまして、現在までに露頭以上に本格的な探鉱作業が行われたところは、一番奥の奥野と申しますところの更に奥地に旧坑個所がございますが、その個所につきましては、私どもの二月における調査の際は、まだ雲が厚く積つておりまして、又時間の関係から、そこを調査するわけにいがなかつたのでありますが、これは日本鉱業株式会社が過去恐らく十年前後に一応の探鉱をした個所と聞いております。そしてそういう本格的の探鉱作業を行なつた個所につきましては、私どもは調査を行いませんでしたのでありますが、私どもはすべて露頭を見て歩いたわけでありますが、すべて露頭の状況は、先ほど鉱山局長がたのお話のように、今回は露頭状況ではいい結果のものは見当らなかつたのでありますが、大体金鉱脈と申しまするのは、特にそれが日本の第三紀時代の……、いささか專門的に過ぎますが、第三紀層の前後に胚胎いたしました金鉱脈と申しますものは、露頭と、それから実際の鉱脈の内部との間に相当著しい変化が現実に存在しますのがむしろ通則でございまして、ちよつと略図を掛けますとよろしいのでございますが、例えば露頭で三グラムというようなものがありましても、それでその鉱脈全体の価値が判定できるわけのものではございませんので、更にそれを鉱脈に沿いまして十メートル、二十メートル、百メーターと掘つて参ります間に、数十ぐらい、或いは百ぐらい以上の富鉱体が、塊まりをなしましてちよちよちよこ入つておるという場合に遭遇いたしましたことが、過去の幾多の実例において現実に認められております。従いましてこの露頭状況が、余り金のいいものが見当らなかつたということだけで、その鉱脈全体、従いましてその鉱区全体の価値が無価値であるとか、或いはもう捨ててもかまわないというような判定は、誰も下し得ないのでありまして、特にこの伊豆半島の、日本で最も古くから金鉱山が開発されております、日本の中でも最も重要な産金地帯の中にある石英脈は、一本一脈といえどもこれを無価値であると、露頭の状況から言つて価値であるとは断定できないと私どもは考えておる次第であります。これを一つの例をとりますと、先ほどお話に出ました伊東温泉の極くそばに露頭を持つております、いわゆる松月院露頭、松月院というお寺の境内に近いところに露出しておりますいわゆる松月院露頭でございますが、これが大正年間に、私どもの地質調査所の先輩が調査いたしました際は、百三十六グラムとか、或いは数十グラムというような非常な高品位のものを出しましたにもかかわらず、今回の調査の際はやはり三グラム以下の極めて貧鉱しか見付からなかつた次第でありますが、そのことは取りも直さず、大正年間露頭であつた所が、現在はそこを掘り盡してすでに価値の低いところにぶつかつておると、こういうふうに考える次第であります。更に又それを奥に掘りました場合に、又富鉱体ができて来ることも、そういう可能性も容易に考えられるのであります。日本の金鉱脈は欧米各国の、世界各国の実例に徴しますと、やはり何と申しますか、非常に規模が小さくて、この規模が小さいと申しますのは、鉱脈の大きさという意味とは必ずしも限りませんのでありますが、いわゆる鉱脈が外国のものに比べて長く続かなかつたり、或いは一定の幅、一定の厚さで延長しなかつたり、又品位の問題も同じ程度の品位のものが長く通じているということがむしろ非常に稀れでございまして、大体の場合は今申上げましたように殆んど無地の加工価値のないように見えますまつ白な石英脈の中に殆んど偶然的に、この偶然と申しますのは、大体申しましたことでございまして、專門的に申しまと、いろいろ富鉱体が出て来そうなきめ手はいろいろあるのでございますけれども、一見したところでは、例えば露頭の状況などではこの下に果して富鉱体があるかどうかということは現在の私どもの專門の技術範囲内では容易に判定し得るものではないのでございまして、特にその鉱脈の周りの精細な地質調査を行いましても、必ず下に行けばいいとか惡いとか、断言的な言葉は用いることができないのであります。従いまして露頭状況だけではその鉱区全体の価値は判定できないという私ども考え方をこの御返事に代えて申上げたいと思います。
  62. 田中一

    田中一君 この法律が出ますと、無論通産局長に相談するもしないもなくて、無論試掘もできない、採石法にも関係あるのですから露頭も掘れないということに、掘れないのじやなくて、相談しなければならないことになるのですが、提案者考え方はそれで目的はまあ達したのでしようと思いますが、若しも今いろいろ御説明があつたように、相当含有量の高い露頭鉱でも発見した場合には、無論大乗的見地から市も飽くまでもこの法律を楯にとつてつてはいけないのだということを言わないだろうと思いますが、提案者はどうお考えになつておりますか。
  63. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) 只今の御質問でありますが、その点につきましては非常に情勢が変つて参りましたときには、当然その情勢に応ずるような態度をとるべきである。例えばウラニユームの鉱物が発見された、すばらしい金鉱があすこに出て来たという場合には、それを阻止するということは国家的な見地から言つてもそれはとるべきでない。その点については彈力性のある考え方を持つておりますことを御了承願いたいと思います。
  64. 田中一

    田中一君 鉱山局長に伺いますが、今の土地調整委員会で以て調べたもので同じようなお考えを持つていらつしやるのですか。今の御報告の実験の結果ですか、ああいう鑑定をしたということがそれでいいのだと或いは自分の見解は違うのだというような、どちらのお考えを持つておりますか。
  65. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) 土地調整委員会でおきめになりました地域は、申上げるまでもなく鉱区禁止地域でございますので、この地域につきましては通産局長も鉱業権、新らしい鉱業権の設定ということはやらないことになるわけでございますが、その他の地区につきましては鉱業権の設定そのものを拒否しておられるわけでもございません。従つて鉱業権の生れる可能性もございます。ただ土地調整委員会でおきめになつ地域以外の土地につきましても、通産局長はみずからの職権によりまして、公益或いは他の産業に若し影響があるということでございますと、彼此勘案いたしまして、場合によりましては鉱業権の設定もやめることができる規定がございますので、その実情によりましてやれるものというふうに考えます。それと伊東の市長さんのほうの権限を拜見いたしましても、あれによつて直ちに全面的な禁止が行われるという字句になつていないようでございますので、御覧の通り制限又は禁止をすることができる。條例の定めるところによりという制約を受けながらということになつているように拜見いたしておりますので、その間の調整は保てるのではなかろうかというふうに考えております。
  66. 田中一

    田中一君 大体わかりました。衆議院で予備審査中には甚だ疑念があつたのですが、修正されて参つたのですから大体において私としては了承できる線まで来たと思いますから私の質疑はこれでやめます。
  67. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) ほかに御質疑ございませんか。
  68. 前田穰

    前田穰君 只今説明になりましたことに関連して。伺いしたいのですけれども、只今のお話は鉱業法三十五條のことなんじやないかと思うのですが、これと、それから今度の修正案との関係は一体どういうふうになるのかということを伺いたいのですが、即ちこの法律では、伊東市で條例を作つて、そうして禁止若しくは制限をするのだ。そうして、通産局長の同意を得なければならんことは、これは具体的の採掘に関して同意を得なければならないということだろうと思う。採掘を禁止することについて同意を得なければならない、こういうことだろうと思うのです。実際の問題は、どういつたふうな趣旨條例を作り、そうして通産局長にどういう協議だか何だかせられるのか。即ち言い換えますと、鉱業法三十五條の書き方とこの修正案とは裏はらの書き方で、結果は同じことなのじやないか。通産局長は、若し或る方法でやれば害はないけれども、或る方法でやれば他の産業に害があると思えば、鉱業法の規定によつていろいろな條件はつけられないかも知れませんが、一定の指示をすることができるのじやないか。だからこういう修正案がなくても、こういうものは実際に通産局長の権限でやり得るのじやないかという疑問を持ちますが、その点はどうなんでしようか。
  69. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) 御指摘になりましたように、私どもの感じておりますのも鉱業法三十五條を御引用になりましたが、このほかの種々規定がございまして、他の産業の利益、公共の福祉、いろいろな面に害が生じます場合には、初めから鉱業権を生まない、更に作業中にそういう状況がありますと、これもとめて行く方法もございますので、鉱業法、更には土地調整委員会の運営によりましてその害の防止という点は、事務当局といたしましてはできるというふうに考えております。
  70. 前田穰

    前田穰君 それでこの修正案をどういう趣旨で出したのか。そこのところ私はちよつと呑込めなかつたものですから伺つたわけなんですが。
  71. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) 只今の御質問でありますが、実は先ほど来いろいろ土肥温泉の問題が問題になつておりましたが、土肥の場合におきましても、あの経過を見ておりますると、地元の人はそこを掘つちや危ないということで猛烈な反対運動をやつたのです。ところがその当時の技術、その当時の地質学の程度ではここを掘つても大丈夫なんですと言つて折紙をつけて掘つたところが、温泉は全部渇れてしまつた、こういうことであります。私ども土地調整委員会が今回判定を下したことに対しましては、現在の科学知識といいますか、地質学の程度で而も極めて愼重にあらゆる方面の学者の意見、実際家の意見をお聞きになられてきめられたこのことに対しては、これは現在の法規の上では正しいきめ方であるとして、非常に温泉のこともよく考えて頂いて、そうしてほぼ六割以上の、修正地域の六割以上の地域禁止区域にして頂いたことに対しては、何らの不満もなければ、これは非常にいい決定であつた、こう思つているわけであります。併し現実の問題としては、その地域外に相当問題の地域があつて先ほど土地調整委員会の事務局の局長さんは、学者の意見も全然心配ない、こういうことを言つておられましたけれども、多数の学者はそうであつたと思いますが、現に衆議院のほうで公聽会のようなものを開きまして学者の意見を聞いたのでありますけれども、学者の中にはそこは危ないと、こういう主張をする者もおるわけであります。そこで伊東市の市民としましては、昔からの言い伝えで、そこらは温泉の元だとこういうことを固く信じているものがいるわけであります。そこでどうしても危ないということで、もう少し尺度を変えて頂きたい、尺度をもう少し国際観光温泉都市として温泉を特別に考えてくれる地帯になつているから、その地域についてはもう少しその温泉の重要さを勘案して頂くようなそういう尺度が、レーゲルが欲しい、こういう意味提案趣旨であります。私ども決して無理なことをお願いする考えはないのでありまして、そこは非常に伊東五万の市民が戰々兢々としておりまして、何とか安心さして頂いて温泉観光都市の建設に邁進ができるように一つお願いがしたい、こういう趣旨であります。
  72. 前田穰

    前田穰君 いや、私のお伺いしている趣旨は、ちよつとそういう趣旨ではないのですが、つまり通産局長の同意を求めるということは、具体的な問題が起つて、この採掘ということに対して禁止するとかしないとかということの相談をされるのじやないかと思う。こう思うのですが、ところが採掘をするというのは、最初通産局長が許可をしなければならないのじやないか。だからそこのところの関係が、條例というものと、通産局長の同意を求めるということとの関係が一体実際問題としてどういうふうになるのかということが伺いたいのです。
  73. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) 具体的な制限、禁止の場合におきにまして、この地域は非常に危ないから一つ禁止をお願いする、或いは深さも百メートル以上になると、それは何メートルになるかよく知りませんが、百メートル以上になれば、これは温泉が危ないから一つこの程度以上には掘つてくれては困るというようなことを通産局長に申出て禁止を一つして頂きたい。そうして通産局長が成るほど我々は事情をわからんかつたけれども、そういうことだつたのかということで許可してくれれば、それでうまく行きますし、その必要ないじやないかということであれば、百メートルというやつを或いは百五十メートルにするというような結論も出て来るのじやないか。それで両方の調整がとれてどつちも安心してごの鉱山問題に対処することができる、こういうふうに考えているわけであります。
  74. 前田穰

    前田穰君 先刻このほかの土肥ですか、温泉の実例を引いて非常に心配しておられたようですけれども、その実例を引かれた事実と、只今の御説明とは何だかこう裏はらのような気もするのですが、現在の技術ではここはいいと言いましたやつを掘つたらやつぱり温泉が抜けちやつたということでは、この通産局長の同意ということは何だかよつと変なような気もするのですが、いいのですか、それで……。
  75. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) その点は伊東の市民としては市民の要望を全部入れて頂きたいというのが要望でございますけれども、併し鉱業権という建前が一貫しておりますし、而も他の産業とのバランス或いは公益という点は十分に見て判断をされるという建前になつておりますから、今回は通産局長に信頼をしまして御指導願うような建前がいいのじやないか、こういう考えでおるわけです。
  76. 前田穰

    前田穰君 それともう一つ今度は通産省側のかたに伺いたいのですけれども、この法律で禁止を一応する。そうしてその禁止をするためには、通産局長の同意を要するということにしておけば、現在の鉱業法上採掘の許可申請があつた場合にどの程度の具体性といいますか、どの程度の状況、事情を付して伊東市から申請があれば禁止することが可能か。即ち私のさつきの想像では或る具体的にここを掘りたいと、これは禁止するのだということであれば、無論御意見は簡單にきめ得るかも知れんと思いますけれども、只今提案者の御説明のようにまあここは掘つちやいけない、あそこは掘つちやいけないのだというふうな若し條例ができるとして、それで同意をするとかしないとかいうことの御判断ができるのでありましようか。
  77. 松田道夫

    政府委員(松田道夫君) 最初の鉱業権を設定いたします場合には、現在あの伊東市の中で指定区域になつていない部分では、出願中のもののみでございますが、これを許可いたします場合には、事前に法律によりまして知事さんの御意見を聞かなければならないということになつておりますので、従つて知事さんのほうから通産局長のほうへ御意見が出て参ります場合には、伊東の市長さんの御意見も聞かれた上で恐らくは出て来るのではなかろうかというふうに考えております。従つてあすこははつきりと温泉に害があるというふうなことがわかれば、勿論許可いたしませんことになろうと思います。それから鉱業権が生れましたあと作業をいたしますについては、御承知通り施業案というのを鉱業権者が出して来ることになつておりますが、これの検討によりまして地質学的ないろいろ研究をしてもらつてあの法律の狙い、あの法律と申しますか、今度のここに上程になつております法律趣旨温泉資源の保護という見地もございますので、その辺に若し支障がないということであれば、施業案で鉱業を続けて行くことをお願いしたいというふうになろうと思います。いろいろ検討いたしまして、若しも温泉資源に害があるということでありますれば、或いはこの市長さんの御処置を待たなくても、場合によりましては通産局長みずから鉱業法で処置する場合もありましようし、この法律ができましたために通産局長の権限なり法律上の事項というものは排除されておりませんので、通産局長も処置できましようし、或いは伊東の市長さんの処置ということでまとまれば、通産局長はそのままにしておくというふうな恰好で調和がとれないだろうかというふうに考えております。
  78. 前田穰

    前田穰君 もう少し私よくわからん点がありますが、大体今の質問はあれで打切りまして、もう一つ伺いたいことは、通常生ずるべき損害でございますか、通常生ずるべき損害を補償しなければならないと、この金額の算定について意見が違うことがあり得ると思うのです。その場合にはどういうふうになりましようか。
  79. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) 通常生ずべき損害の問題については、法制局でいろいろ検討して頂いたのですが、例えば鉱区税のようなものも納めた場合には当然その中に入るべきである。その他具体的な問題について常識的に解決する以外にないだろうとこういうことでありました。私どもも細かいことを、細目をずつと想像してみましても、余りはつきりした想像はつきませんが、こうして置けば常識的に損害の出たものについては損害の賠償をする。これで救われ得るのじやないかとこういうふうに考えております。
  80. 前田穰

    前田穰君 それじや一応これで終ります。
  81. 田中一

    田中一君 明日厚生との連合委員会がありますから、その際これは伺うことにして今日はこの程度にしてはどうでしようか。
  82. 我妻栄

    政府委員我妻栄君) 先ほど発言がありましたので、ちよつと附言さして頂きたいのですが、それは結局通産局が最後の責任を負つて不当な掘り方をさせないようにやつて行くということが現行法の下においてもそうなんだから、或いはこういう法律がなくともうまくやつて行けるだろう。或いは又こういう法律ができても格別の権限が制限されないから従来通り責任を負つて行けるだろうという御発言でしたが、私もその通りに思うのです。で先ほど私はこの土地調整委員会として指定しなかつたところについては、通産局で十分施業案なりその他の点について監督してもらわねばならないという勧告をしている。そうしてこの法律がそれを具体化してただ伊東市にイニシヤテイブをとる余地を與えたのだろうとこういうふうに申上げたのでありますが、それはつまりもつとはつきり申上げますと今のようなことになるだろうと思います。ただ実際の問題といたしますと、通産局の当局を前に置いてこういうことを申上げちや甚だ失礼かも知れんですが、法律的には責任を持つてやるようになつておりましても、実はどうかすると抜けることもないとも言えない。そういう点を伊東市のほうでは非常に心配なすつて自分でイ二シヤテイブをとるという道を開いてお置きになることは論理的に言つて余計なことかも知れんけれども、併し運用の妙が発揮せられるとするならば、あえて差支えないのじやないかというような意味であえて私は申上げたのです。もう一つ附言さして頂きますと一口に制限禁止と申しますけれども、これを細かに申しますと、禁止は若し條例で万一伊東市の区域内でおよそ掘るには必ず許可を要するというような、一般的な禁止、或いは許可を得ても駄目だというような絶対的な禁止ということをなすつては、土地調整委員会指定しなかつた趣旨と私は矛盾するのであります。ただ許可を要するとか必要な設備を要するという制限をなさるならば、それは土地調整委員会指定しなかつたことと矛盾するものではないとこういうふうに申上げているわけであります。
  83. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) じや本日はこの程度にいたしまして明日厚生との連合委員会において御質疑を願いたいとこう存じます。  本日はこれを以て閉会いたします。    午後三時十三分散会