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1952-02-28 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十八日(木曜日)     午後三時開議  出席委員    委員長 田中 重彌君   理事 高塩 三郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       井手 光治君    加藤隆太郎君       庄司 一郎君    辻  寛一君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       畠山 重勇君    田島 ひで君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     網島  毅君         電波監理委員会         副委員長    岡咲 恕一君         電波監理長官  長谷 愼一君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         理事)     岡部 重信君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 二月二十七日  委員椎熊三郎辞任につき、その補欠として小  野孝君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員小野孝辞任につき、その補欠として椎熊  三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十七日  公共放送によるテレビジヨン実施に関する陳  情書外一件  (第七一〇号)  同外四件(第  七一一号)  同外五件  (第七一二号)  同外五件  (第七一三号)  同外十二件  (第七一四号)  同外二十四件  (第七一五号)  教育的テレビジヨン実施に関する陳情書外百  五十四件  (第七一六号)  テレビジヨン放送釧路誘致に関する陳情書外  二件  (第七一七号)  テレビジヨン放送の函館市誘致に関する陳情書  (第七一八  号)  名古屋市におけるテレビジヨン放送実現に関  する陳情書外三件  (第七一九号)  テレビジヨン放送の富山県誘致に関する陳情書  外五件  (第七二〇号)  福井県にテレビジヨン放送実施に関する陳情書  (  第七二一号)  テレビジヨン放送大阪誘致に関する陳情書外  七件  (第七二二号)  テレビジヨン放送の山口県誘致に関する陳情書  外一件  (第七二三号)  テレビジヨン放送の長崎県誘致に関する陳情書  (第七二四号)  公共テレビジヨン放送実施促進並びに国産テレ  ビ産業振興に関する陳情書外一件  (第七二五  号)  札幌、小樽間の電話ケーブル線増強に関する陳  情書(第七  二六号)  電波障害発生防止に関する陳情書  (第七二七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     ―――――――――――――
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会をいたします。  まず放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑に入ります。さきに本委員会において決定いたしました日本放送協会理事岡部重信君が参考人として出席をしております。質疑は便宜上電波監理委員会参考人に対し、並行して行いたいと存じます。質疑の通告があります。これを許します。高塩三郎君。
  3. 高塩三郎

    高塩委員 ただいま議題なつております日本放送協会昭和二十七年度収支予算事業計画及び資金計画について、さき電波監理委員長より御説明がありましたが、私はこれに対しまして以下少しくお伺いいたしたいと思います。  最初に電波監理委員会に伺いますが、電波監理委員会におきましては、放送法趣旨放送事業現状聽取者要望等の各方面から、これにつきまして愼重に検討を加えたと承りましたが、日本放送協会の諸計画をこれらの面から御検討になりましたことは、すでに一般放送事業者放送が開始されております現在におきまして、きわめて重要な意義を持つものでありまして、中でもこれを聽取者要望に照されましたことは、まことに時宜を得た御処置と存ずるのであります。そこでお伺いいたしたいことは、この聽取者要望というものは、いかなる方法によつて把握されたかということであります。ことに日本放送協会放送一般放送事業者放送との選択受信を可能とする地域内におきますところの、聽取者の最近の動向をどのように観測されておるのでありましようか。
  4. 網島毅

    網島政府委員 ただいまの高塩委員の御質問にお答え申し上げます。日本放送協会収支予算事業計画等に関しまして、電波監理委員会の意見を決定いたします際には、いろいろの資料をもちまして各方面から検討いたすのでございますが、ただいま特に聽取者要望についてお尋ねがございましたので、その点に関しお答えを申し上げます。電波監理委員会といたしましては、放送法趣旨によりまして、日本放送協会一般放送事業が、お互いに相励まし、相助け合つて聽取者要望を満たし、健全な発達を遂げることを期待しておる次第でございます。日本放送協会に対しまする聽取者要望といたしまして私どもが考えておりますことはいろいろございますが、第一には聞えない地域をできるだけラジオ電波でカバーして行くという問題でございます。これにつきましては各地方のいろいろな団体から熱烈な陳情等が多数ございまして、これによりまして聽取者聽取状況の改善にいかに熱心であるか、いかに熱望しておるかということがうかがわれるのであります。このことにつきましては、放送法におきましても、放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを期待しておりまするし、また日本放送協会に対しましても、全国ラジオ電波を普及させるという使命を與えておることから考えましても、私どもといたしまして日本放送協会計画検討いたします際には、できるだけ早くその趣旨実現されるように、またその趣旨計画の上に盛られておるかどうかを検討いたした次第でございます。もちろんこういう問題は、経費の問題、それから残された地域は非常に不便な地域が多いものですから、その技術的な問題、いろいろございまして、一度に全部をカバーするというわけには参りませんが、日本放送協会としてはこの問題の解決には、非常に努力しつつあることを私どもは十分考えておる次第であります。  第二に、第二放送施設の整備問題がございます。現在第二放送を持たない放送局全国で三十五局ございますが、これらの局に対しましてできるだけ早く第二放送施設を整備してほしいという要望が、これまた各地方団体から熱心にございます。従いまして日本放送協会といたしましても、また私どもといたしましても、技術並びに財源の面の許す範囲内で、できるだけすみやかにこの第二放送施設の整備という点に努力したつもりでございます。  次に民間放送が出発いたしまして、日本放送協会放送とどういう関係なつておるかということにつきましては、私どもといたしましては、民間放送側観測日本放送協会観測、あるいはまた新聞社通信社等調査等の結果をまとめまして、いろいろ調べておるのでございますが、民間放送の始まりました際には、民間放送に対する好奇心というようなものによりまして、民間放送聴取率も一時相当ふえまして、片寄つた傾きもございましたが、その後おいおいおちついて参りまして、現在におきましては聴取者がその好むところによつてスイッチを切りかえて、ある場合には放送協会、ある場合には民間放送というふうに、聞きわけるようにだんだんなつ来ておると存じております。なお放送協会放送一般放送との選択受信が可能な地域内におりますところの聴取者動向につきましては、私どもも現在非常に関心を持つておりまして、今後も私どものところにおいて、あるいはまた他の機関を通しまして、十分科学的な調査を行いたいと考えておる次第でございます。
  5. 高塩三郎

    高塩委員 次に収支予算につきまして電波監理委員会にお伺いをいたしますが、予算総則を通覧いたしますると、いわゆる弾力条項適用範囲を、前年度予算についてよりも一層拡大されております一方、これについて経営委員会議決を経べきものとする条件が新たに加わつております。もとより電波監理委員会におかれましては、放送事業現状に照して、これを是認せられることと思うのでありますが、協会会計経理につきまして、この種の融通性の拡大を必要とし、一方またこれに関して制限的条件を必要と認められた根拠またはその理由につきまして、何か過去の実績などの具体的事実に基くものであるかどうか、その辺の事情をお伺いいたしたいと思います。
  6. 網島毅

    網島政府委員 ただいま、お尋ね予算総則弾力条項と申しますか、相互融通し得る条項についてお答え申し上げます。御承知のように放送事業は、社会経済、政治、あらゆる事柄の変転に応じなければならない報道業務を持つておりますとともに、国民大衆に対しまして健全明朗な娯楽を提供するために、芸能各界の動きに適応した番組を組む必要がございます。また他方青少年教育放送等のいわゆる教育啓蒙活動をあわせ持つておるのでありまして、事業の性格が機動的かつ多面的でありまして、しかも企業といたしまして、国会におきまして御決定になりますところの徴収料金を基礎として、採算をはからなければならないという地位にあるのでございます。従いまして官庁会計的な予算制度によりまして嚴重に拘束を受けますと、事業運営の円滑を阻害することがあるわけでございまして、たとえば昭和二十五年度決算で御指摘のございました未拂金の不計上ということも、そういうような結果から来ておる面もあるのでございますし、また繰越剰余金使用ができなかつたというようなことや、また増収額使用が制限されていたために、予算運用に際しまして実際金があるのにもかかわらず、なかなか思うように運用ができないという苦しみに遭遇したようなことも考えられるのでございます。このような企業体予算といたしましては、事業運営計画建設計画遂行上、常に社会経済情勢の変動によりまして、融通性を持つことがきわめて重要であると考える次第でございます。特に諸般の情勢上、二十七年度予備金計上額が昨年より少くなつておりますので、この点も考えますと、やはり相当融通性をとる必要があると考えておるのであります。しかしながら一方放送法に基きまして、国会承認を受けました予算といたしましては、その計画性並びに積算の根拠に従いまして、みだりにこれをかれこれ融通して、かつてなまねをするというようなことは許されないところでありますが、事業計画遂行上やむを得ない場合に限りまして、国会承認を得て任命されましたところの経営委員会議決を経て、その融通性を認めるようにいたしたのでございまして、これは経営委員会責任性と申しますか、その責任体制を重んずるということと、それによりまして業務の円滑な運営を期するという意味におきまして、適当な方法ではないかと考えた次第でございます。この意味合いからして、本予算総則も昨年のものと多少変更した次第でございます。
  7. 高塩三郎

    高塩委員 次に収支予算事業計画とに関連いたしまして、国際放送につきましてなお一点電波監理委員会にお伺いいたします。国際放送関係経費は、事業運営計画によりますと、年度内所要総額が五千八百十三万五千円となつております。これに対する政府交付金は、収支予算書交付金收計上額では三千万円と推察せられるのでありまして、問題はこの間の差額すなわち二千八百十三万五千円にかかつて参るのでありますが、このことは元来放送法中の協会業務に関する規定と、国際放送実施命令及びその費用負担に関する規定との関係に照しまして、明らかにせらるべきものと思うのでありますが、この点につきまして放送法第九条第一項第二号の「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府施設使用すること。」とする規定、及び必要に応じこれに関連を生ずる場合の同項第三号の「放送番組を編集すること。」とする規定と、これに対する同法第三十三条の「電波監理委員会は、放送区域放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」とする規定との関係をどのように見ておられまするか。従いましてこの二千八百十三万余円の差額負担を合理的にするためには、この負担を那辺に帰属させるかということでありますが、これに関しましてお伺いいたします。
  8. 網島毅

    網島政府委員 ただいまの国際放送に関しますお尋ねに対してお答え申し上げます。お説のように放送法第三十三条によりまして、電波監理委員会国際放送を行うべきことを命ずることができるのでございますが、その命令は同法の第三十五条によりまして、国の予算金額を越えない範囲ということに相なつておる次第であります。そこで電波監理委員会は一月二十六日、放送協会に対しまして国際放送実施命令を出したのでございますが、これは政府予算が一千万円ということでございましたので、一応一千万円の範囲内でやれる程度国際放送実施命令行つた次第であります。引続きまして来年度におきましても、国際放送実施命令することに考えておるのでございますが、それに必要な予算として政府が在国会に提出されておりますところの金額は三千万円でございます。従いまして政府実施命令によるところの国際放送は、この三千万円の範囲内で行われなければならないということに相なるのであります。ところでその内容は、国として必要な最小限度内容を持つたものでございまして、日本放送協会といたしましては、各国の国際放送の実情などから見て、若干みずからの資金支出いたしまして、国からの命令によるものに加えて実施するということを考えておる次第でございます。たとえて申しますと、現在私どもが国の命令として考えておりますのは、ニュースでありますとか、あるいは時事解説でありますとか、そういうごく限定されたものでございますが、これは私どもといたしましても、そういうことのみ国際放送をやつておつたのでは、国際放送としての価値を減殺するということは十分考えております。しかしながら国の財政がなかなか許しませんので、私ども要望するような国際放送予算がとり得ないのでございます。先ほど御指摘のように日本放送協会は、国の命令によらずとも、みずから国際放送をやり得る権限を放送法によつて與えられておるのでございます。従いまして協会がみずからやることを適当と考えた場合に、国の命令と別個に国際放送をやるということも考えられまするが、そういうふうに別々にやることより、国の命令と一緒にして、一層効果を上げるということも行い得るわけでございます。従いまして来年度協会予算におきまして、政府から出されるところの予算に対しまして、不足と考えられる約二千七百万円を協会みずからこれに出しまして、そうして国際放送の完璧を期したいということでございます。これは放送法趣旨から申しましても、私どもはさしつかえない、あるいはむしろ適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 高塩三郎

    高塩委員 次に細部にわたりまして、日本放送協会に対してお伺いいたします。収支予算書を一瞥いたしますると、二十七年度收入支出のおのおのの総額は、前年度に比べまして約一五%の増加なつておりまするが、これを事業收入について見ますると約一三%の増加事業支出では約一八%の増加でありまして、交付金收入役務收入などの前年度予算計上されなかつたものを除いて見ますると、事業收入では受信料を主とする七%余りの増加にとどまることを示すのであります。しこうして一方、避くべからざるところの不時の必要に充てて用意されておる予備金といたしまして、前年度の三分の一を計上するにすぎないことにも注目されるのでありまして、私はこの予算の円滑なる執行を希望する者といたしまして、その編成方針の、ないし見積り根拠につきまして、まず次の諸点をお伺いいたします。  その第一点は、事業收入事業支出見積りについてでありまするが、二十六年度実績はまだ承知いたしませんが、一子五年度決算では、御承知通り予算に対しまして事業收入は減少いたし、事業支出増加しております。それにかんがみまして、この予算見積りにおきまして收入を過大にいたし、支出を過小にしたおそれはないかということであります。  その第二点は、有料契約者の数でありますが、申すまでもなくこれは事業收入の大宗でありますところの受信料收入の素因といたしまして、最も重要なものであります。その年度内増加数について、二十六年度予算ではこれを前年度の約八六%と見込んでありますが、この予算については、それを前年度と同数と見込んであるのであります。この達成実現がはたして期待できるかどうかということと、その見込み根拠いかんということであります。  その第三点は、受信料收入でありまするが、これは有料契約者数の増減のほかに、収納率の昇降に関係するところが大きいものでありますことは申すまでもありませんが、二十五年度決算では、予算に比べて〇・六%程度増収なつております。二十六年度もまた同様の傾向を示しておるのかどうか。二十七年度にも予算超過が期待できるのかどうか。それにつきまして収納の率はいかような趨勢にあるのか。ことに最近の諸情勢に照しまして、そこに何ものかを示唆する顯著なる傾向というようなものが現われておるかどうかということをお伺いいたします。
  10. 岡部重信

    岡部参考人 第一点の事業收入事業支出見積りについてのお尋ねでありますが、二十五年度決算におきましては、事業收入総額としては減少いたしております。その内容といたしましては、受信料收入の方は、予算額の三十億七千四十六万三千円に対しまして、三十億八千八百二十五万六千円の收入でありまして、差引一千七百七十九万円余の増収なつております。ただ雑收入におきまして、国際放送実施する予算で立てておりましたが、国際放送実施に至りませんので、予定いたしました一千万円の交付金收入がありませんでした。その他連合軍放送役務契約内容の変更などによりまして收入の減が一千六百十一万二千円ございましたので、差引二千百九万二千円の收入減となりまして、事業收入全体といたしましては三百二十九万八千円の收入減を示したのでございまして、かような事情の二十五年度決算でございましたからこのような事態が起つたのでございまして、決して收入見積りを過大に見積つたという結果ではございません。事業支出について、ただいま過小に見積つておるのではないかということにつきましては、二十五年度は物価の値上りが相当著しかつた事情もございまして、その結果やむを得ず事業支出が若干超過したわけでございます。本年度収支見積りにつきましては、妥当な見積りをいたしたつもりでございまして、特に御質問のような過大の收入、過小の支出見積りというようなことはしていないつもりでございます。  次にお尋ねの第二点の有料契約者数増加見込みとその根拠についてでございますが、二十七年度受信契約者見込みといたしましては、新規契約者が百十万、廃止が六十五万、差引四十五万の純増を見込んでおるわけでございますが、この数字は昨年度同様のものでありまして、増加見込みにつきましては、現在の受信者普及状態より考えますと、経済事情その他客観的諸情勢にいろいろ制約をされる面もございますが、二十六年の十一月の統計によりますと、府県別普及率におきまして、東京都七三・六%、愛知・県七三・九%、その辺を高位といたしまして、最低の鹿児島県が二五三%となつております。そうして一方全国的の普及率を見ますと、たしか二月二十日現在だと思いますが、五七・三%の全国普及率を示しておるのでございます。また二十七年度初頭の全国における未契約者はどのくらいあるかというと、約七百十万あるのでございます。この数字はある意味では受信者普及限度には、まだ距離があると考えております。これに対して昭和二十七年度における受信機生産見込みについては、通産省の調べでは月産五万台、年間六十万台を超過するものと考えられます。その他自分でつくる受信機、それから一度ラジオをやめて復活する改造の受信機というものがおよそ八十万台合計百四十万台の受信機があるものと見込まれております。この百四十万台の受信機について、加入統計よりその移動を考察いたしますと、そのうち二二%に当る約三十万程度受信機のとりかえ用として使用され、残りの百十万が新契約の対象として推定されるのであります。それならばその百十万の新規契約が、未契約世帯数に対してどのくらいの割合になつておるかと申しますと、大体一五%に該当いたします。従来の実績から見ますと、年度初頭の未契約世帯数に対して、その年度中の新規加入者比率は約一五%前後でありますので、この点から見ましても確保可能の数字であろうかと存じております。他方廃止の方でございますが従来の実績によりますと、その年度中の廃止数は、その年度の初めの受信契約総数に対して七%前後の比率を示しておりますから、二十七年度においてもできるだけ廃止防止に努めることといたしましても、年度初頭に九百五十万の七%に当る六十五万台は見込まれます。  以上のような見地から、昭和二十七年度増加数を四十五万と見込んだ次第でございます。  次に第三点の受信料收入、特に収納の成績についてのお尋ねでありますが、二十五年度実績におきましては、御承知のように〇・六%程度増収なつております。それでは二十六年度においてはどうかといいますと、収納率の向上によりまして、昨年同様〇・六%ないし〇・七%程度増収となる見込みでございます。二十七年度におきましても、受信者のある程度増加によりまして増収となるとは考えられるのであります。それから収納庫の点でございますが、企業会計原則に基く発生主義会計によりまして、収納率を本年度予算におきましては一〇〇%として計上いたしました。他方これに対する受信料未収金の欠損の見込み額としては、従来の実績に照して、損費に全収納見込み額の〇・三四%に当る二千万円を計上することにいたしました。なお最近の情勢によりまして、受信料収納状況はどうかというお尋ねもございましたが、私ども調査いたしましたところでは、ただいままでは受信料の集金が特に困難または不能になつたという状況は起つておりませんので、この点を考慮いたしましても、現在の予算見積りは妥当であろう、かように考えておる次第でございます。
  11. 高塩三郎

    高塩委員 次に事業支出の面において、給與の点についてお尋ねいたしますが、運営計画によりますと、従来の基準賃金月額平均を一八%引上げることになつております。私はこれに関連いたしまして、第一に現在の給與体系はどのようになつておるか、第二にはこの引上げ率を一八%とせられた根拠、第三にはこの引上げの結果、協会給與水準一般民間企業給與水準の間において、どの程度に位するものであるか、その見込みについてお伺いいたします。
  12. 岡部重信

    岡部参考人 ただいま給與体系につきましてのお尋ねと、一八%とした根拠、またその結果他の産業とどういうふうになつておるかというようなお尋ねでございますが、ただいまの第一点の給與体系について申し上げますと、給與は大別して基準賃金超過勤務手当、及び諸手当の三つにわかれております。基準賃金と申しますのは、本給と家族手当地域給というような、いわゆる賃金ベースによるものであります。超過勤務手当の方は、公務員その他の超過勤務手当と同様でございます。諸手当につきましては、特殊勤務手当寒冷地手当賞與等なつております。  その次、に基準賃金を一八%引上げ根拠でございますが、まず昭和二十六年度基準賃金は、月額一人当り一万二千二百円でございまして、昭和二十五年度予算の額をそのまま維持して参つたのでございますが、昭和二十五年六月、朝鮮動乱の影響によりまして、逐次上昇いたしました諸物価の騰貴は  一般国民生活に相当の圧力を加えて来ましたので、職員の給與も改訂しなければならない状態でありましたが、昭和二十六年度予算においては、御承知の通り一応改訂は行いませんでした。しかるに二十六年度中に諸統制料金の廃止及びこのはね返りによる物価の値上りによりまして、昭和二十五年六月当時の実質賃金の維持をはかるためには、現行給與は二二、五%の引上げを要することになるのでありますが、昭和二十七年度収支予算の均衡をはかるために、これを一八%の引上げにとどめまして、基準賃金月額一万四千四百円といたしました。なお他企業との比較でございますが、労働省の労政局の調査によりますと、昭和二十六年八月一日現在の民間主要会社二百四十七社の平均月額は一万四千六百三十円でありますので、協会の職員の新しい基準賃金月額一万四千四百円というのは、ほぼその水準に達するものと言えるかと存じます。
  13. 高塩三郎

    高塩委員 次に給與以外の業務経理についてお尋ねいたします。昨年来鉄道、通信、電気、ガス、水道等の料金を初めといたしまして、一般物価の値上りの影響が各方面に認められるのでありますが、この各項の使途は大部分は同様の影響をこうむつておるものと考えられるのであります。この予算の編成につきまして、これらの点はどの程度見込まれておりまするか。  またこの予算計上額をもつて、従来の業務内容を維持し、業務計画実施して行けるかどうか。もとより物価の見通しいかんにもよるのでありますが、現在の状況をもつてどのようにお考えになるか、御答弁を願いたい。
  14. 岡部重信

    岡部参考人 物価の値上りが、どの程度予算に見込まれているかというお尋ねでございますが、この関係におきましては、御承知の通り旅費におきまして三割、通信費におきまして二割五分ないし一五割、電気料金におきましては三割、ガス、水道料金におきましてもやはり三割、通信施設専用料におきまして七割等の影響を受けるわけでございまして、この関係経費は二十六年度の五億八千二百万円に対しまして、二十七年度は八億七千二百万円と一応概算されますが、これにつきましては極力業務の能率化、消費の規正をはかりまして、予算額といたしましては一億三千二百万円の増額をした次第でございます。これによりまして従来の業務内容の維持、新規業務計画実施に対しましては、一応不安のないものと考えております。
  15. 高塩三郎

    高塩委員 次にこれは放送費に関係するものと思われるのでありますが、計画概説中に、協会運営については、講和後の日本の立場と国際的諸情勢を正しく把握して、公共放送としての使命達成をはかるために、放送番組関係において各種の重点的施策を予定されております。放送費の計上額は、国際放送及び選挙放送関係の分を除きますると、前年度に比べまして〇・八%余りの千五十万三千円の増加になるようでありますが、従来の放送業務を維持し、その上にこの新施策を遂行するのに、はたしてこれで足るものであるかどうか。私はこの種施策の重要性を思いまして、できればそれに盛られた予算の割振りを伺いたいと思うのであります。  なおついでに選挙放送につきまして、交付金額を限度といたしまして、その経費計上されておるようでありまするが、この程度をもつて足るのでありましようかどうか。従来の実績はどんなふうであつたか、つけ加えてお答え願いたいと思います。
  16. 岡部重信

    岡部参考人 お尋ね放送予算の割振りと選挙放送関係でございますが、まず放送費の予算につきましては、番組の企画編成に要しまする経費といたしましては、前年度は二億二千三百万円でございましたが、本年度は二億二千四百三十万円計上いたしまして、番組の企画審議の諸機関の充実、放送内容の拡充整備のための海外特派員、モニター及び農事放送通信員制度の設置、学校放送関係資料の充実をはかること等をいたしております。番組実施関係経費といたしましては、前年度八億九千百万円に対しまして、八億九千八百五十五万円を計上いたしまして、海外通信関係その他の解説放送、農事放送、録音、中継実況放送、外国とのプログラムの交換放送、海外芸術家の招聘、芸能団体の育成強化、録音及び中継放送回数の増加並びに内外放導網の充実をはかることといたしております。次に番組実施のために必要な諸資材の購入に要しまする経費といたしましては、前年度一億二千二百万円に対しまして、本年度は一億二千四百万円を計上いたしまして、録音盤、レコード、楽譜、楽器等の整備に万全を期しております。以上のような割振りとなつておりまして、これが関係経費は、前年度に対比いたしますと、金額は千五百万円の増加にすぎませんが、その予算の執行といたしましては、従来の放送業務内容を維持し、さらに新施策の遂行については、不安のない執行をいたし得ると考えておる次第でございます。  次に第二のお尋ねの選挙放送関係でございますが、本予算計上いたしました選挙放送経費、特に衆議院議員総選挙についての経費は、国の二十七年度一般会計予算として計上された額をそのまま計上しているものでありますが、これでどのくらいの放送ができるかと申しますと、従来放送協会で経験した実績から見ますれば、選挙放送費としては候補者一人当り一万二千円程度を必要といたしまして、これによつて一回ないし三回の放送行つたものでありますが、二十七年度に予定されている交付金では一人当り約三千円でありまして、従来の実績の四分の一の経費をもつてまかなわねばならないことになりますので、従来と同じ内容業務を行うことはとうていできないものと考えております。なお選挙放送の実例として、最近では昭和二十五年六月の参議院議員選挙放送経費でございますが、これは立候補者が五百六十一名でありまして、この経費が六百八十五万円、候補者一人当りの経費は一万二千円でございました。その点だけ申し添えておきます。
  17. 高塩三郎

    高塩委員 最後にもう一点、資本収支に関連してお尋ねいたします。その一として中継放送局、第二放送施設等の建設計画でありますが、二十六年度計画でははたして予定通り進捗しておるかどうか、これについて資本支出の繰越し使用などが予想されるのでありますが、その点はどうか、もう一つは放送債券のことでありますが、従来発行された総額と、その消化状況はどんなことになつておりますか、また今後の発行について市場の見通しがおわかりになつたらば、御意見を伺いたいと思います。
  18. 岡部重信

    岡部参考人 最初にお尋ね建設計画の進捗状況についてでございますが、二十六年度における計画といたしまして、大阪の五十キロワット放送所、盛岡、網走における十キロワット放送所の建設、中継放送所五局の新設、それから中継放送所に対する第二放送の増設十局などを内容とする放送施設建設関係につきましては、工事は順調に進捗して、大部分は業務開始またはその直前の状態となつております。その他放送施設の改善、放送機器の整備等においても同様予定通りの進行を示しておりますが、予算の繰越しとなる見込みのものとしては東京放送会館及び松山演奏所の建設等が翌年度に繰越されるおもなものとなりまして、東京放送会館については朝鮮動乱の影響による資材の高騰により既定の予算をもつては工事の遂行が困難となり、この変更が必要でございますので、本年度予算にその補正を計上いたしました。松山の演奏所につきましてはすでに設計を完了して、入札の段階に入つております。  次に放送債券についてのお尋ねでございますが、従来発行されました総額は、二十五年度におきまして五億五千万円、二十六年度においては五億円、計十億五千万円でありますが、この消化はきわめて順調でありまして、特に他の債券と著しく違う点は、企業の性質上と申しますか、個人消化が総体の一五%ないし二〇%となつておるような点でございます。また今後の発行についての市場の見通しといたしましては、二十七年度の六億程度の発行は、金融市場の現状からいたしますれば、その発行並びに消化は、事業の性質上不安ないものと考えておる次第であります。
  19. 田中重彌

  20. 椎熊三郎

    椎熊委員 高塩君の非常にりつぱな御質問で、大体私どもの聞かんとするところは明確になりまして、むしろ感謝しております。私はこの際ごく簡單に二、三の点を承りたい。先般来私どもの手元に日本放送労働組合から陳情書が参つておりまして、本年度事業計画に対する放送労働組合の考え方がそれに盛られております。私はその話を承り、この文書を拝見して、非常に同感をする点が多い。すなわちNHKの事業に参画しておる人々の切実なる要求が、これに盛られておるということであります。内部にこういう気持が上あるのに、なぜそれをくみとつて今回の予算をつくらなかつたのかという点について、私は遺憾の点を感ずるのであります。私は必ずしも労働組合の人々の代弁ではないのですが、これらの受取つた文書の中で、なるほどと思われる点で私の了解に苦しむ点をお伺いしたい。  放送局では去年の予算の審議の際も、ローカル放送を充実するということを強調しておつた。しかるにそれが必ずしも言つておるようにローカル放送が充実しておらぬばかりでなく、むしろ萎靡縮小しておるような傾向に見える。われわれも常にそれを感じておつたのですが、さすがに労働組合でそれをのがさない。なぜそういうことであるかというわけです。たとえば一県に二つの放送局がある場合、これを本年度計画では縮小するといつたようなことが二、三見えている。一県に二局を設けている場合は、福島と群山、青森と弘前、長野と松本というように、現に一県に二局を設けたのには、それぞれその理由がある。その地方における文化の中心が、必ずしも一点に集中するというのではない。長野と松本のごとき近い距離ではあるが、おのずから違つている。群山と福島もその通り、こういう地方の実情を無視しては、ローカル放送を徹底して拡充して行くということはできないのであつて、こういう実情をつぶさに調べ上げて、それに適合したようなことをやりまして、初めて地方放送が充実して行くということになるのだが、逆にこれが減らされて行くような状況に見えるということはどういうわけか。  それから地方放送でも、番組の問題といたしましては、たとえば学校教育の番組でも今、国定教科書の時代でないのですから、地方々々でそれぞれ適当な教科書を用いている。これを全国一斉の放送でやつたのでは、せつかくの放送ではあるが、地方の実情に適合しないという場合もあり得るので、ことに日本唯一の公共放送をやつている放送局では、こういう点に非常に注意深い観察をくだされまして、各地方に適合したような学校教育放送をやるのでなければ意味をなさない。教育放送は非常に世間から歓迎されておりまして、先般も私北海道等を旅行してびつくりしたことがある。この教育放送を聞いているために、新聞の見方がかわつて来たということを言つておりました。また学校教育を長く受けなかつたような、ごく低い教育で世の中に出た人で気のつかなかつた点を、毎日この教育放送を聞いていることによつて、非常に常識を高めたと言つて喜んでくれた実例等もあります。それで私は非常に影響するところが大きいものだと思う。どうかローカル放送を拡充して行こうという方針であるならば、全国一斉放送ではなくして、その地方地方、あるいは気候の問題でも地理的の関係でもいろいろかわつているのですから、それに適合したような放送をするのでなければ、昨年来主張しているローカル放送の充実ということは、ただ言葉だけで、実際はそれと逆行しているという今日の状況は、一体どこから来ているかということです。  簡單なことばかりですから、続けて私は聞きたいと思います。建設計画の中で労働組合で言つているのは、前年度において演奏設備の充実のための計画として、東京、名古屋、松山があげられておつたが、本年度計画においては松山演奏所の分が落ちているのはなぜか。ただいまちよつとその説明があつたようですが、これは来年度計画を延期したのか。これらも去年説明された主張とはまるで逆行したやり方だと言わなければならぬのであります。  それから国際放送をやつたり、あるいはローカル放送を充実したりして行くためには、どうしても人員が今のままでは過重労働になつて行く、これはもつともだと思います。放送協会事業は年ごとに拡充されているにもかかわらず、昨年の定員増は五十一名、本年度において百二十六名、いかにも合理的な運営、合理的人員配置を期するというようなことを言いつつ、労働強化をしいているものだ。この合理的経営というものは、もとより私が申し上げるまでもなく限界がある。こういうようにだんだん多岐にわたる事業を拡充して行くためには、相当人員をふやしても悪くないのではないか。そういうことが労働組合等で論議されているようです。これらは外部のわれわれからは気がつかないことですが、内部の方からそういうことを言われるのはもつともだと私は考える。これらについて明確なる放送局の首脳部のお考えを伺つてみたい。続いて聞きますが、今の三点だけお答え願います。
  21. 網島毅

    網島政府委員 いろいろ御質問がございましたが、最初のローカル放送が縮小されているのではないかという御質問ですが、先ほど私から高塩委員の御質問にお答え申しましたように、私どもといたしましてはローカル放送、ことに第二放送と申しますか、そういう面の整備につきましてはいろいろ協会と相談もし、またできるだけその方向に進むように努力しているつもりでありまして、施設の面からは逐次そういうものがふえまして、第二放送あるいはローカル放送が整備されつつあるように思つております。ただいま御質問の点は、一県に二局あるいは三局あるような場合に、その仕事を合理化するという意味合いから、一方のいろいろな付加的業務、たとえば加入業務とか、あるいはその他それに類したような業務を縮小して他に移す、従つて表面的に見ると業務が縮小されたように見えるという面からの御質問じやないかと思いますが、仕事のやりくりの実態その他につきましては、協会理事からお聞き取り願いたいと思います。  なおその他の御質問番組等に関するものと存じますが、番組等に関しましては、御承知のように私ども政府はできるだけ関與しないようにしております。従いましてやはり協会理事者からお聞き取り願いたいと思います。
  22. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は網島君から聞こうとしたのじやない。幸いにして参考人が来ているものですから、その方のお答えを私は期待している。網島君には別の問題を聞きたい。
  23. 岡部重信

    岡部参考人 最初のお尋ねのローカル放送についてでございますが、申すまでもなくローカル放送は、地方々々の自然的条件と申しますか、風俗習慣の相違、または局地的の事件、あるいは話題というものに関する特別な関心度というような事情に基きまして、それぞれの放送局が、その必要の都度その任に応じておるわけであります。たとえて申しますと、報道部門ではローカル・ニュース、官庁の告示、農業、漁業の気象というようなこと、教養面では都道府県の政策の紹介や解説というような問題、あるいは農事関係番組、青少年、婦人番組というようなものでございます。娯楽番組では地方文化の向上に資するような芸能番組地方聽取者の方々の参加していただく、聽取者の参加番組などでございますが、これらを地方事情に応じまして、回数や時間を適宜きめてローカル放送実施して、地方聽取者の方々の要望にこたえ、今後とも拡充して行く方針でございまして、前年度と引続きまして次のような施策を行うことにいたしたいと考えておるのでございます。  第一には取材網の拡充でございまして、各県に通信員制度を、ごくわずかですがただいま置いておりますが、その員数を増して行きたいということ。それから全国に農業関係といたしましてRFDというものがございますが、これを農事番組関係を持たせて、農事関係通信員というものを各府県に置くことを、本年度より新しく実施するつもりであります。なお地方の芸能団体の育成指導と申しますが、それらにつきましても、本年度充実を期しておる次第でございまして、その他録音、中継の回数の増加というようなことも考えております。それにただいまお話がありました学校放送関係のローカルの開始でございますが、来年度から地方の実情に応じましたローカル放送の学校放送を開始するということにいたしますのに、その成果を上げるために、ローカルの学校放送委員会というものを設けるつもりにいたしておりまして、それらのことを考えますと、前年度比較しまして大差ないというふうに御承知を願いたいと存ずるのであります。なお御参考までに申し上げておきますと、それでは地方でローカルの時間はどこまでの限度を現在やり得るような状態になつているかと申しますと、大体のパーセントで申し上げますと、五七%ぐらいから五五%ぐらいの放送時間がローカルになり得るようになつております。  次にお尋ねの松山の演奏所でございますが、松山の演奏所につきましては、先ほどの高塩委員からの御質問にもちよつと触れて申し上げましたが、これを本年度計画に載せなかつたというのには、実はいろいろの事情によりまして、松山演奏所の工事が遅れまして、現在実施設計を完了しまして、入札の段階に入つております。そういう次第でございますので、予算といたしましては二十六年度予算を繰越して、その完成をはかるという状態になつております。そういうわけでございますので、本年度予算といたしましては計上しなかつた次第でございます。  次に職員の強制労働という……。
  24. 椎熊三郎

    椎熊委員 労働強化になりはせぬかという点をお伺いしたのです。
  25. 岡部重信

    岡部参考人 労働強化の点でございますが、先ほど御指摘の点は、来年度におきましては、二十四ページにございますが、放送施設増加による技術現業要員五十名、これは中継放送関係のものでございます。それから受信契約者増加による加入現業要員、これが七十六名という増員でございますが、これらにつきましては、いろいろのお考えなりいろいろの見方も十分あるとは存じますが、私どもといたしましてはできるだけ能率を上げ、できるだけ少い人員で合理的に事業運営して行きたいという方針のもとに、やむを得ない増員にのみとどめた次第なのでございまして、この点御了解をお願いしたいと存じておるわけでございます。
  26. 椎熊三郎

    椎熊委員 松山の問題が明らかになりまして、私ども調査もたいへん粗漏でありましたが、そういう事情であれば、私の聞かんとする目的以上に進行しておることになるのでありまして、非常に慶賀にたえないと思つております。そこで私はこれはごく小さいのですが、放送局との間に私直接関係して陳情しておる問題と、昨年以来ひつかかりがあるのですが、いつまでたつても解決してくれません。これはごく小さいことですけれども放送局の当局は私には常にやるやると言明しつつ、もう一箇年になるのですが、遂にやつてくれない。今度の予算を見ましても、それがどこにも現われていないのだが、今度の事業計画の中で私が陳情しております問題を解決されるかどうか、これは私は個人的には、あなたの方からいつでもやるやるということを聞いておるのですが、やつてもらわぬと困るのですから、私はこの委員会で証言を得ておきたい。それは小樽の分局といいますか、演奏所です。それを拡充するということで、小樽の市長は市会の決議を代表して前国会に請願し、それが通過しております。そういうように国会が取上げて請願が通過したほどの問題ですから、事は小であるが、国会としては軽視できない問題です。そこで私はたびたび放送局に参つてあなた方に陳情をすると、いつでも賛成はされるが、実施しない。来年度予算でこれをやつてくれるかどうか、やる意思ありやいなやを御言明願いたい。
  27. 岡部重信

    岡部参考人 ただいまのお話の演奏所の施設の点でございますが、これは御承知の通りローカル放送と密接なつながりを持つているものでございまして、いわゆる電波を出しておらない局につきましても、従来できるだけ演奏所をつけて、地方の方々のお役に幾分でも立つならばというので、実施いたしておるのでありまして、二十四ページの六に「狭隘なる放送局の局舎及び附属施設の増築」ということを掲げてございますが、この工事によりまして二十七年度においては御期待に沿えるかと考えております。
  28. 椎熊三郎

    椎熊委員 どうも明確ではないですね。そこまで行つたら、はつきり二十七年度はやるつもりだと言つてくだされば、しつこいことをこれ以上言わないのです。どうもやりそうな気配もあるが、やらないかもしれない。それだと一年間約束して来たことが同じことになるのです。今の御答弁ではやりそうでもあるが、やらぬでも済むので、それでは困る。二十四ページに書いてある項目によつて、来年度予算で小樽の演奏所の拡充建設をやるのだということを言明していただきたい。またできないならできないとはつきりおつしやつていただきたい。また予算の都合のいいときにやるというなら、それもしかたがない。小樽の市長は昨年六回もわざわざ上京して陳情をされている。来年度はむつかしいというなら、その点記録にとどめて置けばいいし、必ずしも強要しているのではないのですが、あなた方が口にやると言いつつ、やらないところに非常に遺憾な点がありますので、よろしくお願いいたします。その点お答えしにくいなら、それでよろしゆうございます。  それから次の質問に移りますが、労働組合で言つている点は、どうしてこんなことになつているのかと思うほどですが、放送局給與額は昭和二十四年の十二月に、従来やつていた物価とスライドして行くという方法をやめてしまつた。それで今年まで三箇年間一銭もベースが上つていないわけで、その間の物価の変動はひどいものです。そこで去年以来、組合では三〇%の賃金値上げの要求をしておる。今日では去年よりも、もつと物価の変動がはなはだしいのですから、四〇%なければ普通でないということで要求しておる。それにもかかわらず一八%だ。これは財政上の都合でやむなくそうなつたのでしようが、それにしても従業員の希望とあまりに程度が違い過ぎる。こういう点について、この三箇年間一銭も上げなかつたという実情、それから本年度ようやく上げるにしても一八%という実情、これは高塩君からもお話があつたようですが、こういう事実について、この一八%は合理的であり、世間と比べてそう大した差はないという自信がおありかどうか。
  29. 岡部重信

    岡部参考人 お話の通り一昨年の朝鮮動乱以来、物価が非常に上騰いたしまして、昨年八月、組合から朝鮮動乱後の物価の上昇並びに二十六年八月以降の物価の改訂を基準といたしまして、三割のベース・アツプの要求が提出されたのでございます。しかし協会といたしましては、できるだけのことはしたいと慎重に考えたのでございますが、人件費の予算の操作が非常に困難でございまして、この要求には応じられない旨を回答し、その後再三交渉に応じて参りましたが、結局本年度におきましてはベース・アツプは不可能であるが、二十七年度におきましてベース・アツプについて最大の努力をする旨を回答いたしまして、組合側もこれに対し一応了解をいたしました。その後組合といたしましては、昭和二十七年度予算編成を注視いたしまして、予算提出前において、予算特に人件費につきまして経営協議会及び団体交渉等を続けて、要求貫徹を期して参つたわけでございますが、ただいまのところ、結局協会の一八%アツプの人件費予算については、組合側も一応原則的に了解に達した次第でございます。今後予算の御承認をいただきました後に、この予算の実行について団体交渉に入る、かように考えておるわけでございます。
  30. 椎熊三郎

    椎熊委員 NHKの予算の点について、もう少し聞きたい点もありますが、時間もありませんから、本日はこの程度にとどめておきます。大体私は了承しておる。  そこでこの機会に、めつたに会うこともないのですから、網島君にテレビジヨンの問題についてお尋ねしたい。先般前の委員長がおやめになつて、あなたがまだ委員長に就任せられぬ期間にですが、私はこの委員会テレビジヨンの標準方式をいつ確定するのか、確定した後に、今NHKほか読売の正力さん、その他四件ほどテレビジヨン運営実施を申請しておる向きがあるということを聞いておる、これらは急いで許可してもらいたいという希望を持つておるのですから、そこでいつごろ許可し、許可したら実際われわれ民衆がテレビジヨンを見ることができるような時期はいつかということを聞いて、それまではなかなかそういうことを明確にしなかつた電波監理委員会が、珍しくもその日非常に具体的に、近く標準方式を決定する、決定し次第ただちに今認可申請中の問題を検討して、おそくも五月一ぱいまでには認可する、その結果といたしましてはどこへ認可するか、それはもとよりわかりませんが、おそらく本年十一月の候をもつてテレビジヨン実施できるだろう、見ることができるだろう、こういう言明があつたので、これは今までの監理委員会の態度から見て、非常な英断をもつた一つの御発表でありまして、私は非常に喜んでおるのであります。しかしてその後標準方式は確定せられたようでございます。本日もおそらく網島君から報告があつたことだと思いますが、この問題について、参議院におきましては非常なる論議を重ねておるという。これは他院のことですから私は一向関係する必要はないのですが、三日も四日もこの標準方式の内容に関して論議をしておる。これは参議院も衆議院も、当委員会としては標準方式を決定する何らの権限も持つておりません。これは法律上電波監理委員会が当然最高の権威として決定するものである。しかしその報告は当然してもらわなければならぬ。これに対する批判等もあつてしかるべきでございましようけれども、この技術の内容にわたつて当委員会が論議しておるというようなことは、はなはだ越権のさたではないかと私は思うのです。幸いにして衆議院の方ではそれがない。私は衆議院のこの問題に関する委員会の動き方というのは、実に平静なものであつて、至当な行き方をしていると思つておる。そこでよくよく標準方式が決定した以上、私は五月に許可するというのはどこから来たのだろうかと思う。すでにもう四箇所から出ておる願書というものは、あなた方は検討済みに違いない。われわれも大体内容を見ておるのです。標準方式を決定した以上、今度はどの会社、どの人に認可するかによつて、適正に日本にテレビジヨン実施できるかどうかという問題、いわんや専門家ばかりそろつておる委員会ですから、こんなことのお調べに三月も四月もかかる必要はない。私の言うのは、私どもは去年の春の国会で、テレビジヨン実施促進の決議を全会一致でやつておるのです。その趣旨弁明を私がやつたのです。そこで私は一日も早く日本にテレビジヨン実施させたいという念願と、あの満場一致で決議案を通過せしめたる国家最高の機関たる国会の責任とにおいて、一刻も早く実施してもらいたい。それが私の念願だ。そこで五月というのはどういう根拠から来たのか。根拠はどうしても五月でなければならぬというのなら別ですけれどもそうでなくして、まあ遅れても五月ごろできるというのなら——今回は網島君がちやんと委員長になられたのですから、そうではなしに、自分の信念としては三月一ぱいにできるとか、四月の上旬に出来るとか、五月には無理だとか、もつと具体的に、いつごろまでに許可できるかということをさらに私は再確認したいのです。御言明を願いたい。
  31. 網島毅

    網島政府委員 ただいま椎熊委員から、テレビジヨンの促進に関するお話がございました。御発言の中に、昨年春国会においいテレビジヨン促進の決議をやつておるのだというお話がございましたが、私どもよく承知しております。従いまして電波監理委員会といたしましては、国会の御趣旨に沿うように、できるだけ早くテレビジヨンの申請を審査したいということで、最近ほとんど連日テレビジヨンの問題につい協議を重ねておる次第であります。このテレビジヨンを早くやつてほしいという希望は、先般標準方式をきめます際も、名利実関係者、あるいは参考人から、いろいろ御意見を伺つたでありますが、皆さんやはり異口同音に、テレビジヨンをできるだけ早く実施したいという希望を表明されました。従いまして私どもは一層その責任を感じておる次第でございます。御承知のように、電波法の第七条におきまして、電波監理委員会は申請書を受理したときは、遅滞なく申請書が左の各号に適合しておるかどうかを審査しなければならないということがきめられておりまして、その各号として、工事設計が技術基準に合つておるかどうか、周波数の割当が可能であるかどうか、あるいは財政的基礎がどうか、それから電波監理委員会規則のきめる無線局の開設の根本基準に合つておるかどうかというような事柄が、電波法に掲げられておるのであります。従いまして衆議院の決議並びに電波法の建前からいたしまして、一日もすみやかにこのテレビジヨンの審査を終了したいということを私ども念願しております。先般当委員会におきまして、岡咲委員長から一応の見通しについて発言がございました。この発言は私どもとして決して架空的なものではございません。できるだけ早くこの審査を終了したいということから出ておるのでございまして、できることなら私個人としてはもつと早く終了すべきだ、これが電波法の精神に沿うゆえんであり、また国会の決議に沿うゆえんであるというふうに考えております。しかしながら何分にもテレビジヨンという事柄は、日本において最初の事柄でございまして、この審査をする前に、電波法の第七条に掲げられた諸条項、これは審査のわくでございますが、このわくをきめるいろいろな準備をいたさなければなりません。先ほど御指摘がありました標準方式も、その一つのわくでございます。それから標準方式がきまつたも、開設の根本基準、これもテレビジヨンに対する根本基準をきめなければならない。それからそれに伴つていろいろ設備に対するこまかい規定、それから運用規定、こういうものも作成しなければならないのであります。そういうものができ上つて、最後に審査という段階に入ります。私どもはそれらをできるなら三月中にも仕上げまして、そのわくに従つて四月中にも審査を終了したいというふうに考えております。しかし何分にも法律できめられているように、そういうわくをきめるのには一々聽聞会を開いてきめなければなりません。法律に命ぜられた範囲において、できるだけ早く審査を終了したいというのが、私どもの考えなのでございます。なお標準方式の決定に対して椎熊委員から御激励と申しますか、御発言がございましたが、私どももこういうようなわくをきめるのは、法律によつて課せられた電波監理委員会の義務だと考えております。従いましてもちろん国会その他各方面の御意見はよく拜聽いたしますが、法律に命ぜられたわくの中で、私どもの責任を遂行して行きたいと考えております。
  32. 椎熊三郎

    椎熊委員 大体懇切な説明があつて、私は満足に思います。ただこの際一言私は認可をして行く上において心配な点があるので、このことを一つ聞いておきたい。それは昨年参衆両院の電気通信委員会から、電気通信事業視察のためにアメリカに同僚議員が派遣されました。この人々は非常な熱心をもつて、向うの電気通信事業並びに放送、それからテレビジヨン等を御研究になつて帰つて参りました。この人々の意見を大体総合してみると、日本の今日の置かれた国際的状況並びに日本の経済的実力、そういうものから見て、現在アメリカがやつておるような白黒テレビジヨンを今急いでやるということには危険があるのではないか。テレビジヨンはやがて天然色テレビジヨンに移行するであろう、アメリカはすでにこのことについて実験済みである。従つて今から白黒でやつて、また天然色に改めるというようなことをせずに、いきなり天然色でやれるような時期が来るかもしれぬから、それまで待つたらどうか、それまでには国力も充実して行くだろうし、客観的情勢もよくなるのではなかろうか、今の国際環境と日本の経済的実力は厖大な資本を要するテレビジヨン実施には不適当な時期のように考えるという意見の人が、参議院にも衆議院にもあるようです。これは一通りりつぱな意見だと私は思います。同僚長谷川君と私は同じ党派ですが、大体そういう意見をこの席上で返べられたこともあります。親友長谷川君と意見が違つておることは非常に残念ですけれども、私はテレビジヨンに関する限り、テレビジヨンばかりでなく、科学の進歩というものは、私のようなしろうとでも実に無限なものだろうと思うのです。ここで何かが発明、発見されておるから、その次にはこんなことが発見されるだろう、それだからそれまで待とうということなら、科学の発明発展というものは近代のようにりつぱに花が咲いて来ない。やはり発明された、発見された、それがただちに普及されて行くというところに、私は科学の進歩性があるのだと思う。だれかがもつと何か発明してくれるだろうから、今不自由でもしんぼうしておれというような物の考え方は科学の進歩性を無視した考え方だと私は思う。参議院の論議の多くがそういうところに根拠を持つておる限り、私ははなはだ遺憾千万です。ことに参議院の電気通信委員の方は、多くは旧逓信省などに関係しておつた役人上りの人などで、それは多少物を知つておるには違いないでしよう。われわれのようなしろうととは違いましようけれども、逓信省で逓信行政を扱つておつたからといつて、テレビジヨンがことごとくわかるというものでもないだろうと思う。そういう過去の閲歴等によつて、いかにも自分はそういうものの專門家であるがごとくみずから自負して、そうして越権的な行為と思われるような委員会運営の仕方をやることは、私は日本のテレビジヨンをこれからやつて行こうという門出に際しては、むしろ非常な障害になるだろうと思うのであります。委員の中にも、今申し上げた長谷川君のような意見の人もありますし、私のような意見の者もあるのですから、これは多数決できめるべきで、皆さんがそういう意見であれば、私は多数の決定の前には、民主主義の原則に従つてそれに従いますけれども、私ども今主張しておるのは、天然色を基準にやれとか、天然色になるまで待てとかいうことではなくて、現にアメリカでやつておるような白黒テレビジヨンをすみやかにやつてもらいたいというのが、私どもの考え方なんですから、電気通信委員会委員の中にもいろいろ意見があるが、電波監理委員会としては、こういう参衆両院の委員会の内部の空気というものを達観せられて、むしろあなた方の置かれた非常に神聖にして、最高の地位にあられる電波関係委員会というもので、私情にかられず、あるいはいろいろな政治運動等によつて良心を曲げることなく、一日も早く清純な感覚を持つて、断固たる処置を網島さんのような練達堪能の人によつてやつてもらうことを期待するのであります。その点でぜひがんばつて、堂々たることをやつていただきたいと思います。
  33. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ただいまの椎熊さんの発言に関連いたしまして、たいへん椎熊さんはテレビジヨンのことについて熱心に、標準方式が決定になつたのだから、早く日本にこれを許可せよと言つておられます。そしてこの問題は当委員会で決定すべきものではないからこれをしない方がよいという御意見でございます。その点は別にいたしまして、参議院ではこれが非常に問題になつておりまして、最近では秘密会議を開いて、特にこの問題の会合を持つておるということも聞いております。椎熊さんは前の国会で、とにかく今申しましたように科学はどんどん進歩するのだ、決定されたものを早く実行して、アメリカの白黒標準方式を持つて来て、その上で研究してやつたらよいだろうというような御意見で、きよう実は私その速記録を読んで参りました。それは今多少御意見が違つておられるかもしれません。もちろん科学は日に日に発展いたしますから、可能なものならばどんどんやつた方がよいと思いますが、ここで重大な問題は、私は專門家ではありませんが、この標準方式というものを一旦決定いたしますと、これをかえるということは容易でないといわれております。現にアメリカでも六メガサイクルを七メガサイクルにかえたいといわれておりますけれども、今の軍拡予算のもとで、民生に対する補助金ができないから、やむを得ず現在の白黒方式をやつておるというような状態なんです。それを日本に持つて来てどうしても早くしよう、その上で研究する、結論から申しますとそういうような御意見になりますけれども、たとえば明治初年に日本に鉄道を持つて参りますときには、狭軌のレールを敷いたのです。ところがそれを今日になつて広軌にかえようといたしましても、科学がどんどん進歩したとかなんとかいいますけれども、財政的な措置その他いろいろな点から、容易に変更できるものではございません。私は詳しい科学的なことはわかりませんけれども、六メガサイクルのアメリカの古い機械を持つて来てすぐ日本でやつたといたしましても、今後いろいろな天然色の方式にかえようといたしますときには、相当の困難があるといわれております。すでにNHKは昭和十四年ですか、それ以来相当の費用をかけて大体七メガを中心として日本人自身の手で技術の研究をしておられるように聞いております。これをそのまま無にして、六メガを日本に押しつけてやりましたならばこれを変更するということはちようど今の鉄道と同じような状態になると思います。もちろん当委員会はそれを決定する権限はございませんけれども電波監理委員会にこのような国家的な民族的な重大問題を決定する権限があるとすれば、その決定の過程を当委員会で御発表になつて、われわれはそれを審議できなくとも、それがよいか悪いのかわれわれの意見を十分におくみとりいただくということが必要ではないか。そのために私はこの前、特にこのテレビジヨンについての委員会を開いて、何らかの方法で技術者を呼ぶなりあるいは専門家を呼ぶなりして、またできますならば聽聞会、公聽会を開いて、そうしてもつと超党派的な国家的な立場から、これをここで論議する必要があるのではないかということを提案しておきました。今椎熊さんからあのような意見が出ましたが、根本的な御意見は一緒かもしれませんが、現われました意見は非常に大きな差が出ておりますから、私は特にこの機会に発言をして、この問題で委員会を開かれて参議院以上に、あるいは審議ができませんければ何らかの方法で、われわれを納得させていただく方法をおとりくださることをお願いいたしておきたいと思います。
  34. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は田島さんと討論をしようとは思つていない。また今は討論の時期でもないのです。私は質問をしておるのです。ところが私に非常に迷惑な発言をしておられる。私は何もアメリカの方式を持つて来て、日本にテレビジヨン実施せよということを主張しておるのではない。どこの方式になるかわからない。標準方式は電波監理委員会が法律上きめたもので、それが六メガであろうが七メガであろうが、われわれはそれに容喙する何らの権限も持つていない。聞くこともいいでしよう。主張することもいいでしよう。納得することはもつといいでしようけれども、きまつてしまつた標準を国会でかえるなどということは、いかなる権限であるか、そんなことはできない。きめた以上は何でもいいのです。何でもいいということではないが、委員会がきめた以上は相当な権威を持つて、相当な研究をもつて、責任の上からきめているものと思う。そのきめた以上は、そのきめたものが実施さるべきは当然な話である。アメリカでやつているものを全部持つて来るのだという、そんなことはよけいなことだ。私はテレビジヨンの経営者でも何でもない。私はアメリカがどういう標準で、どういう形式でやつておるかというようなことは、専門的には知らぬのです。いわんやアメリカの機械を持つて来てやれとか、そんなことは私の考えでいる点とはまつたく違う。それは経営者自体の考えで、従つて四件も出ている認可申請にあたつては、公平無私なる見地に立つて、ほんとうに日本の国情に照し合せて、日本の将来の発展のために寄與する上に、堂々と決定してもらいたいということを主張しているのであります。椎熊君がアメリカのテレビジヨンをやることをこの委員会で主張したなどということになると、これは私の一身上に関する重大な問題です。そういうことを私は主張しているのではない。  それから標準方式の問題で、専門家を呼んで聞くとかいうことも提案されているようですが、これは田島君一人の考えでできるものではない。当委員会理事会において取上げるかどうかを決定した上で、成規の手続をもつてやるべきである。人の質問応答に対して、横から何のこうのと迷惑な発言をされることは、同僚委員として道義上やるべきことではないと思います。お取消しを願います。
  35. 松井政吉

    ○松井(政)委員 今椎熊委員からテレビジヨンの問題が出ましたが、これについては参議院の委員の方々もいろいろの御意見があるようです。衆議院の当委員会においても、テレビジヨンの問題についてのいろいろな点は、電波監理委員会の方に質問したこともなければ、具体的な経過の報告も伺つておらないのであります。従つてただいまも橋本委員の方から連絡がありましたが、テレビジヨンの問題については、当委員会で機会を見て一度、この問題だけのつまびらかな報告並びに質問をやられることがいいのではないかと思う。参議院の委員会がどのようなことをやつておりましようとも、院が違いますから、その通りやらなければならないというものでもございません。また行政権をお持ちになつておる電波監理委員会が、法に基いて権限を発動したから、それでよろしいという性質のものでもなかろうと思う。われわれは憲法上行政監察の権限を與えられた立法府に来ているのでありますから、ここにはやはり連絡をとつてもらい、つまびらかな報告をしてもらい、さらに監察の方からも権限を持つておる人の御意見も聞いてもらうことが、一番よいことではなかろうかと思う。従つてこの問題については機会を改めて、当委員会において十分なる電波監理委員会の説明をお伺いし、さらに御意見があれば御意見を、質問があれば質問をするようにいたしまして、テレビジヨンの問題は次会に延ばしていただきたい。
  36. 井手光治

    ○井手委員 私もしろうとでよくわかりませんけれどもテレビジヨンの標準をきめる問題について論議の対象になつているものは、一応現段階における技術的な標準からいつて、白黒でやむを得ないという主張が一応通されている。先ほどから意見があつたように技術というものは、科学というものは、日進月歩で、朝晩に違うくらいに進歩している。従つて日本においても天然色テレビジヨンはある程度完成されていると聞いている。私どもはこれから技術検討を加えようと思つているのですが、そこまで来ているということ々聞いている。そこで各人の考え方としまして、何も白黒の標準ということできめなくとも、いつでも天然色をやり得る、あすでも完成されたら、その標準方式をとれるという方式にきめておいたらどうだ、こういう考え方のように私は拜聽いたしております。私どもも同じ意見です。科学の進歩はそれくらいはげしいものだと思つておるのです。私の聞いておきたいのは、標準方式のきめ方を、天然色については別途に考えておるのかということであります。
  37. 網島毅

    網島政府委員 テレビジヨンが将来天然色になるだろうということは、もう一致した見解でございます。現にアメリカでは、テレビジヨンに関する二つの方式がデイヴエロツプされまして、それぞれ研究が続けられております。従つて私どもテレビジヨン問題を考えますにあたつても、将来やはり日本にも天然色のテレビジヨンが行われる、また行われるようにしなければいけないという考えを持つていろいろ調査し、審議していることはもちろんでございます。ところで一つの問題は、わが国において天然色テレビジヨンがいつごろ行われるだろうかという見通しの問題でございます。現在天然色テレビジヨンの標準方式と申しますか、一応政府において公認したテレビジヨンの標準方式は、アメリカのいわゆるCBS方式と称するものでございます。昨年アメリカのFCCは、この方式を一応きめたのでございますが、その後国際情勢の変化からいたしまして、天然色テレビジヨン受信機の製造は禁止されております。もちろん研究は続けられておるのですが、受信機の製造は禁止されておりますために、天然色テレビジヨンというものが、実際にはまだ実施されないという状況に相なつておるのであります。その間におきまして、アメリカの天然色テレビジヨンもまつたく日進月歩のありさまでございまして、先ほど各委員からいろいろなお話がございましたが、私ども目を見張るような進歩を毎日々々遂げております。一応政府は、アメリカにおきまするCBSを標準としてオーソライズしたのでありますが、今はすでにCBS方式は古い、これは行き詰まりである、いわゆる全電子方式、これはRCAから発達いたしまして、現在はNTSCという方式でいわれておりますが、この全電子方式のものが、将来の天然色テレビジヨンを支配するだろうという考え方が、大多数を占めるような状況なつておるのであります。そういうような状況でございまして、まつたくテレビジヨンの技術は、まだ世界各国とも日進月歩のありさまであります。そういうような状況から判断をいたしまして、日本において天然色テレビジヨンが行い得るようになるには、少くとも三年か五年はかかるのではないかというのが、私ども委員会でいろいろ論議した結論でございます。しからばその三年なり、五年なりの天然色テレビジヨン実施されるようになるまでの間、日本でテレビジヨンをストップするかという問題になつて来るのでありまするが、現在の各方面要望、ことに昨年の衆議院の決議というような、いろいろな方面の希望を見ますると、それまで日本のテレビジヨンをストツプするということは、全体として得策ではないという考えを持つに至つたのであります。御承知のようにテレビジヨンは、あらゆる無線技術の粹を集めたものでありまして、今後無線技術はますます波長の短かい、いわゆる超短波とか極超短波とかいう技術を発達させて行かなければならないのであります。これらの非常に波長の短かい通信、最近アメリカにおきましては、約十センチメートルの波長の短波を使い、一つの中継方式から五百チャンネルの電話をとるというものまで実現しております。そういうように将来の通信を支配するような技術は、やはりこのテレビジヨン技術から生れて来るのであります。わが国においてテレビジヨンを一日も早く実施するということ、そういう将来のわが国の無線技術を発達させるために、ぜひともこれを行わなければならないということが私どもの結論でありまするし、またそういう方面の技術者並びにメーカーの異口同音に唱えるところでございます。従いましてわが国としては、まず白黒から始めるが、将来天然色というものが必ず起り得るのであるから、その天然色ということを頭に入れまして、将来天然色の技術が出て来たあかつきにおいて、それを受入れるだけの準備を整えた標準方式を今きめておくということで進むのが最も妥当ではないかというのが、私ども電波監理委員会全員の一致した見解であつたのであります。他方また電波法の第七条におきまして、国民電波を使つてある仕事をやりたいという希望を表明した場合に、一定の法律できめられました、あるいは法律の委任に基いてつくられましたところの規則のわくの中に入つておりますならば、これに電波を與えてそれを許可するということになつておりまして、これが一昨年国会においておつくりになつ電波法の精神であります。従来の無線電信法では、電波政府が持つておつて、国民にはその政府の余つたところをわけ與えるという精神であつたのでありますが、今度の電波法は、御承知の通り電波国民のものである、従つて国民電波を使う権利がある、ただむやみやたらにかつてに使うと衡突を起して、電波の利用度が非常に阻害されるで、その一定のわく、すなわち交通整理の一つのわくの中に入つたものには電波を與える、国民電波を使う権利を持つておるのだということになつており、これが電波法の建前と私どもは考えております。そういうことからいたしまして、今四つばかりテレビジヨンの申請がございますが、それを審査いたしますときに、一定のわくに入つているということに相なりますれば、電波法の精神からいつて、やはりそれには電波を與えて許可するということでなければならないのではないかと私どもは考えている次第であります。そういうようなテレビジヨンの必要性並びに電波法の精神から行きまして、先ほど申し上げましたように、一日も早く日本にテレビジヨン実現するようにというつもりで、私どもは進んでおるのでございますが、といつてむやみやたらに無軌道にこれをやつてはいけない。やはり将来の天然色テレビジヨンということも考えて、その天然色テレビジヨンの受入れ態勢を常に頭に入れて行かなければならないという考えを持つております。今回きめました標準方式は、将来日本に天然色ができたときに、十分それを受入られるところのものであるという確信を持つてきめた次第であります。
  38. 田中重彌

    田中委員長 いろいろ御熱心に質疑、御意見がございました。先ほど椎熊委員の御注意のように、いずれ理事会を持ちまして本件を研究いたしたいと存じます。  岡部参考人に申し上げますが、次回の委員会におきましても本件の審査を続行いたしますので、御出席を願いたいと存じます。  本日の質疑はこの程度にとどめたいと思います。次会は三月一日午後一時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後五時散会