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網島政府委員 テレビジヨンが将来天然色になるだろうということは、もう一致した見解でございます。現にアメリカでは、
テレビジヨンに関する二つの方式がデイヴエロツプされまして、それぞれ研究が続けられております。従つて私
どもは
テレビジヨン問題を考えますにあたつても、将来やはり日本にも天然色の
テレビジヨンが行われる、また行われるようにしなければいけないという考えを持つていろいろ
調査し、審議していることはもちろんでございます。ところで一つの問題は、わが国において天然色
テレビジヨンがいつごろ行われるだろうかという見通しの問題でございます。現在天然色
テレビジヨンの標準方式と申しますか、一応
政府において公認した
テレビジヨンの標準方式は、アメリカのいわゆるCBS方式と称するものでございます。昨年アメリカのFCCは、この方式を一応きめたのでございますが、その後国際
情勢の変化からいたしまして、天然色
テレビジヨンの
受信機の製造は禁止されております。もちろん研究は続けられておるのですが、
受信機の製造は禁止されておりますために、天然色
テレビジヨンというものが、実際にはまだ
実施されないという
状況に相
なつておるのであります。その間におきまして、アメリカの天然色
テレビジヨンもまつたく日進月歩のありさまでございまして、先ほど各
委員からいろいろなお話がございましたが、私
ども目を見張るような進歩を毎日々々遂げております。一応
政府は、アメリカにおきまするCBSを標準としてオーソライズしたのでありますが、今はすでにCBS方式は古い、これは行き詰まりである、いわゆる全電子方式、これはRCAから発達いたしまして、現在はNTSCという方式でいわれておりますが、この全電子方式のものが、将来の天然色
テレビジヨンを支配するだろうという考え方が、大多数を占めるような
状況に
なつておるのであります。そういうような
状況でございまして、まつたく
テレビジヨンの技術は、まだ世界各国とも日進月歩のありさまであります。そういうような
状況から判断をいたしまして、日本において天然色
テレビジヨンが行い得るようになるには、少くとも三年か五年はかかるのではないかというのが、私
どもの
委員会でいろいろ論議した結論でございます。しからばその三年なり、五年なりの天然色
テレビジヨンが
実施されるようになるまでの間、日本で
テレビジヨンをストップするかという問題に
なつて来るのでありまするが、現在の各
方面の
要望、ことに昨年の衆議院の決議というような、いろいろな
方面の希望を見ますると、それまで日本の
テレビジヨンをストツプするということは、全体として得策ではないという考えを持つに至
つたのであります。御
承知のように
テレビジヨンは、あらゆる無線技術の粹を集めたものでありまして、今後無線技術はますます波長の短かい、いわゆる超短波とか極超短波とかいう技術を発達させて行かなければならないのであります。これらの非常に波長の短かい通信、最近アメリカにおきましては、約十センチメートルの波長の短波を使い、一つの中継方式から五百チャンネルの電話をとるというものまで
実現しております。そういうように将来の通信を支配するような技術は、やはりこの
テレビジヨン技術から生れて来るのであります。わが国において
テレビジヨンを一日も早く
実施するということ、そういう将来のわが国の無線技術を発達させるために、ぜひともこれを行わなければならないということが私
どもの結論でありまするし、またそういう
方面の技術者並びにメーカーの異口同音に唱えるところでございます。従いましてわが国としては、まず白黒から始めるが、将来天然色というものが必ず起り得るのであるから、その天然色ということを頭に入れまして、将来天然色の技術が出て来たあかつきにおいて、それを受入れるだけの準備を整えた標準方式を今きめておくということで進むのが最も妥当ではないかというのが、私
ども電波監理委員会全員の一致した見解であ
つたのであります。
他方また
電波法の第七条におきまして、
国民が
電波を使つてある仕事をやりたいという希望を表明した場合に、一定の法律できめられました、あるいは法律の委任に基いてつくられましたところの規則のわくの中に入つておりますならば、これに
電波を與えてそれを許可するということに
なつておりまして、これが一昨年
国会においておつくりに
なつた
電波法の精神であります。従来の無線電信法では、
電波は
政府が持つておつて、
国民にはその
政府の余つたところをわけ與えるという精神であ
つたのでありますが、今度の
電波法は、御
承知の通り
電波は
国民のものである、従つて
国民は
電波を使う権利がある、ただむやみやたらにかつてに使うと衡突を起して、
電波の利用度が非常に阻害されるで、その一定のわく、すなわち交通整理の一つのわくの中に入つたものには
電波を與える、
国民は
電波を使う権利を持つておるのだということに
なつており、これが
電波法の建前と私
どもは考えております。そういうことからいたしまして、今四つばかり
テレビジヨンの申請がございますが、それを審査いたしますときに、一定のわくに入つているということに相なりますれば、
電波法の精神からいつて、やはりそれには
電波を與えて許可するということでなければならないのではないかと私
どもは考えている次第であります。そういうような
テレビジヨンの必要性並びに
電波法の精神から行きまして、先ほど申し上げましたように、一日も早く日本に
テレビジヨンが
実現するようにというつもりで、私
どもは進んでおるのでございますが、といつてむやみやたらに無軌道にこれをやつてはいけない。やはり将来の天然色
テレビジヨンということも考えて、その天然色
テレビジヨンの受入れ態勢を常に頭に入れて行かなければならないという考えを持つております。今回きめました標準方式は、将来日本に天然色ができたときに、十分それを受入られるところのものであるという確信を持つてきめた次第であります。