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1952-05-29 第13回国会 衆議院 人事委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十九日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 田中不破三君    理事 田中伊三次君 理事 藤枝 泉介君    理事 平川 篤雄君    伊藤 郷一君       今村 忠助君    塩田賀四郎君       田中  豊君    西村 久之君       渡邊 良夫君    今井  耕君       岡  良一君    井之口政雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官 劔木 亨弘君         警察予備隊本部         人事局長    加藤 陽三君         警察予備隊本部         人事局人事課長 間狩 信義君         海上保安庁長官 柳澤 米吉君         海上保安庁次長 三田 一也君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 五月二十九日  委員今野武雄君辞任につき、その補欠として井  之口政雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二十七日  昭和二十七年度における国家公務員に対する臨  時手当支給に関する法律案内閣提出第二四  三号)  国立赤坂療養所職員地域給指定に関する請願  (龍野喜一郎紹介)(第三一六六号)  供合村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一六七号)  田迎村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一六八号)  池上村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一六九号)  西里村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七〇号)  城山村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七一号)  小山戸島村の地域給指定に関する請願坂本泰  良君紹介)(第三一七二号)  川上村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七三号)  小島町の地域給指定に関する請願外一件(坂本  泰良紹介)(第三一七四号)  龍田村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七五号)  八分字村の地域給指定に関する請願坂本泰良  君紹介)(第三一七六号)  高橋村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七七号)  廣畑村地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七八号)  御幸村の地域給指定に関する請願坂本泰良君  紹介)(第三一七九号)  旭町の地域給引上げ請願(多武良哲三君紹  介)(第三一八〇号)  赤坂町の地域給指定に関する請願木村公平君  紹介)(第三一八一号)  白石町の地域給指定に関する請願庄司一郎君  紹介)(第三二三六号)  渡波町の地域給指定に関する請願角田幸吉君  紹介)(第三二三七号)  鴨方町の地域給指定に関する請願中原健次君  紹介)(第三二四六号)  黒木町の地域給引上げ請願高橋權六君紹  介)(第三二四七号)  白老村の地域給指定に関する請願篠田弘作君  紹介)(第三二四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  保安庁職員給与法案内閣提出第二二八号)  昭和二十七年度における国家公務員に対する臨  時手当支給に関する法律案内閣提出第二四  三号)      ————◇—————
  2. 田中不破三

    田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。  議事に入る前にまず御報告いたします。一昨二十七日、昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当支給に関する法律案内閣提出第二四三号の審査を本委員会に付託せられましたので御報告いたしておきます。  ただいまより昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当支給に関する法律案内閣提出第二四三号を議題として審査を行います。まず政府側より提案理由説明を聴取いたします。劔木官房長官
  3. 劔木亨弘

    劔木政府委員 ただいま議題となりました昭和二十七年度における国家公務員に対する臨時手当支給に関する法律案につきまして、その提案理由並びに内容概略を御説明申し上げます。  わが国におきましては、従来の生活慣習からいたしまして、御承知のように夏季及び年末には何かと出費が多いというのが実情でありまして、民間におきましても、この時期に何らかの形で若干の特別の給与支給する例が多いのであります。国家公務員に対しましては、従来年末には、国家公務員に対する年末手当支給に関する法律によりまして、年末手当支給されることとなつておりますが、夏季には特別の手当に関する制度はなかつたのであります。政府といたしましては、かかる特別の手当に関する制度につきましては、なお今後において給与全般の問題と関連して十分研究いたしたいと存じておるところでありますが、とりあえず諸般の事情を考慮いたし、国家公務員に対しまして、本年度に限り、臨時に六月に手当支給することといたした次第であります。  次に本法律案内容を簡単に御説明申し上げますと、第一に、臨時手当支給範囲は、常勤の一般職及び特別職国家公務員全部といたしました。次に、臨時手当の額は、給与月額半月分を最高とし、在職期間に応じて支給額に差をつけることといたしました。なお臨時手当支給日は、本年六月十六日といたしております。  以上が本法律案提案理由並びに内容概略であります。何とぞすみやかに御審議の上御賛成くださるようお願い申し上げます。
  4. 田中不破三

    田中委員長 これにて提案理由説明は終りました。  本法案に対する質疑次会に譲ります。      ————◇—————
  5. 田中不破三

    田中委員長 次に保安庁職員給与法案議題として質疑を継続いたします。井之口政雄君。
  6. 井之口政雄

    井之口委員 保安庁職員給与法の概要によりますと、今度警察予備隊本部並保安庁次長官房長局長課長その他の部員に、勤務地手当等その他俸給、扶養手当等支給引上げるというのでありますが、元来今なしておりますところの海上保安庁任務というものは、われわれが見ますと、実際海上における一般漁民利益になるように運営されておるものではなく、漁民その他一般国民海上から受けるところの何かの危害に対して、または不利益に対して、これを守るように運営されておるものではなくして、往時の海軍復興、そういうまた軍国主義への逆もどり、しかもそれがアメリカ海軍の手先として演ずるところの役割の方が多くなつておる、そういう方がほとんど主となつておるように見受けられるのであります。そういうものでありますれば、その給与引上げ等の問題どころの騒ぎではなくて、むしろこういうものは有害無益であつて、むしろこうした海上警備隊などの機構も改めて、真に日本漁民並びに一般国民利益になる方向へ編成がえするということこそが、最も緊急の任務でなければならぬと思う次第でありますが、今アメリカの方から借りて、おりますフリーゲート艦とか、上陸援護用舟艇とか、いろいろな飛行機とか脚いうふうなものは、一体実情がどうなつておるものでありますか、その点の簡單なアウトラインだけを示していただきたいのであります。
  7. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいま御審議を願つております保安庁職員給与法案は、ただいまの警察予備隊海上保安庁の中の海上警備隊機構というものと統合してつくりまする保安庁職員についての給与に関する事項を規定してあるのでございます。海上保安庁は現在海上保安庁法によりまして、海上における法令の励行、犯罪の予防、被疑者の逮捕、海難の場合の救助、救援等仕事をやつておるのでありまして、この保安庁職員給与法案におきましては、職員給与引上げるということは考えておらないのでございます。現在の警察予備隊職員給与海上保安庁のうちの海上警備隊職員に関する給与というものを統合いたしまして、保安庁職員給与法案というものを考えておるわけでございます。
  8. 井之口政雄

    井之口委員 海上保安庁警備隊のやつておるような仕事というものは、われわれ理解するのは、どうも第二の海軍復活というふうにしか受取れないのであります。現にこの間起つた問題でありますが、瀬戸内海に二艘建の大きなトロール船が入つて、底びきをやつて沿岸を荒したので、われわれは神戸の海上保安庁に出まして、この取締りは厳重にやらなければならぬのじやないかというふうなことを申し出しましても、一向にそれをやろうとはしない。むしろそう実害のないような小さなものは追つかけてこれをやりますけれども、しかしそうした真に害毒を流しておるような方面には行かぬのであります。のみならず、かえつて支那大陸方面日本漁船を保護して行つて、そして例のマッカーサー・ラインを越境したりなんかするうしろからこれを助けてやつたり、それからこれが大砲とかいろいろなものを持ち、北方方面ソ連領へ、漁船を保護するという名目で、むしろ侵略的な行為を援助するというふうな方に働いておるように思われるのでありますが、大橋さんもお見えでございまするから、今のこうしたやり方というものは、また海軍復活になつて来るのではないか、そうでないとするならば、これは明らかに單なる海上保安のために使われているとうい実証を説明してもらいたいと思います。
  9. 大橋武夫

    大橋国務大臣 海軍復活憲法によつて禁止をさえておりまするので。さような考えは毛頭ございません。あくまでも海上治安機関として、ただ新しい機構考えておるのが、この海上警備隊であります。
  10. 井之口政雄

    井之口委員 それならばそれに適当した船をつくつてやるべきであつてアメリカからこうしたフリーゲート艦だとか上陸援護用舟艇だとか、沿海哨戚のヘリコプターというようなものをたくさん借りて、そしてそれにいろいろの大砲を積みまた高射砲を積みして、さらに今度は海軍兵学校の復活みたいなものをつくるような必要は全然ないのではなかろうかと思いますが、今日アメリカから借りているものと、それから日本で完全に海上保安庁本来の任務のためにつくつているような船との率は、一体どのくらいになつておるのですか、この点を聞いておきたい。
  11. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今までは国内でつくりました船ばかり使つておりましたが、最近非常に船が足りないように存じまするし、また海上保安庁の新しい使命から見まして、きわめて適当した型の船がアメリカ相当余裕があり、貸してもらえるような話が進んでおりますので、それでこれを借りるということになつたわけであります。現在の船舶の数並びにアメリカからどれくらい借りているかという数につきましては、政府委員から申し上げます。
  12. 三田一也

    三田政府委員 お答えいたします。現在海上保安庁巡視用に使つております船は二十三メートルと申しまして、モーター・ボート程度のものでございます。それから一番大きなものでも七百トン、それまで寄せましても九十二隻、あとは港内でいわゆる足船と申しまして、交通に使う十二メートルあるいはもつと小さなものが二百七十隻、その程度のものでやつております。それからアメリカの方から借りることにしております船は、一番大きなのが千五百トン程度、これは私どもも外観を見ただけで、中をよく見ておりませんので、はつきりしたことはわかりませんが、蒸気を使う往復動のきわめて旧式な船でありまして、大したものだとは考えておりません。それから小型の方も、これは上陸用舟艇ということを名前では言つておりますが、これもきわめて性能の低い二百五十トン程度のものと承知しております。これが五十隻、千五百トン級が十隻と承知しております。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 アメリカからそうしたものを借りるについては、特殊の義務を負わなければならぬものだろうと思います。独立国である日本が、ただ物を借りてかつてにこれを使うとか、あるいはそうしたものの恵みを受けるという性質のものでもなかろうと思います。警察予備隊においても、もうすでにいろいろ外国武器貸与されてそれを使つておる、また海上保安庁においてもそうした武器アメリカから借りるということになれば、結局日本独立というものは外国武器を仰いでの独立ということになるから、それは名だけのものであつて、何ら実質を備えないものである。いわんや海上保安庁海軍でないといたしますならば、高角砲かいろいろな爆雷投下機とか大砲の必要なんかないものと思いますが、向うから借りるときの條件があるならどういうものか、それに対する財政的な両方の負担の関係はどうなつて来るのか、これは日本において不要なものとしてつつ返すことができるのか、あるいは全然もらつたものなのか、もらつたとすればそれは日本でつぶしてもいいものなのか、その辺の事情を知らしてもらいたいものであります。
  14. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊において貸与を受けておりますもの、あるいは海上警備隊において貸与されております船舶、これらはいずれも警察予備隊なりあるいは海上警備隊使命を達成するために十分使つてくれ、こういう趣旨で借りております。それ以外に義務はございません。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 それじやそれをつつ返すことも可能なんでありましようかどうでありましようか。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊及び海上警備隊は、これらの武器並びに船舶を必要といたしますから、これを返還する考えはございません。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 今の政府においては返還する意思はないそうでありますが、違つた内閣が成立した場合に、その内閣に対して義務として継続されるようなとりきめはないのでありますか。これは法律上はつつ返してもいいものなのかどうか、その点をお伺いします。
  18. 大橋武夫

    大橋国務大臣 何ら義務はございません。ただ予備隊並び警備隊使命を達成するために、十分その目的に使う、これだけのことでございまして、それ以外に義務はございません。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 早い話が、高角砲も積載された船を借りているそうでありますが、それならば、空中からどうしたものが日本に来て、これに高角砲を使用しなければならないような実情が生じて来るのでありますか。
  20. 大橋武夫

    大橋国務大臣 借り受けている船舶には、そういうものは載つておりません。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 一門もそういうのはついていない、借りたものは完全に装備をとりはずした、からのものですか。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま借りておりますものにはそういうものはございません。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 警察予備隊では、世間でよくいわれております通り、バズーカ砲なんかを借りているそうであります。そうしてこれも憲法にそむかないもので、何も軍隊ではないというのが皆さん方の主張のようであります。警察予備隊の方ではああいうふうなものを借りていて、海上警備隊の方では一切そうした武器は借りていないというふうな取扱いになつておりましようか。やはり警察予備隊並程度でいろいろな武器を借りていますか。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 海上警備隊におきましては、船舶を借りておるのであります。武器として借りているものはございません。
  25. 井之口政雄

    井之口委員 もう一ぺんその辺を確めておきたいのですが、船舶を借りているだけであつて装備はとりはずして借りていらつしやるのですか。
  26. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備を持つた船舶を借りておりますが、その船舶に現在ついております装備の中には、御指摘のような武器はございません。
  27. 井之口政雄

    井之口委員 フリゲート艦を十隻も借りているそうでありますが、三インチ砲、十四ミリ機関砲爆雷投下機等等のものがその装備としてついているそうでありますが、そういう事実はないのですか。
  28. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そういうものはいずれもございます。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 そういうものは何に使うのでございましようか。
  30. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊任務に必要な範囲で使うつもりでございます。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 これはどうもいなことを承るもので、結局私の質問をただ返されただけで、御返事になつていないように思うのであります。警察予備隊任務のために借りているというなら、どういうことが警察予備際任務であるか、その任務を途行ずるためにどうして三インチ砲や、十四ミリの機関砲や、爆雷投下機や、小型高射砲などが必要となつて来るのか、この点なかなか理解しにくいところでありまして、国民はこういうところからして、これは海軍復興である——なおかつ最近は古い海軍の軍人が多く採用されてその指導にも当つているそうでありますが、具体的にそれを必要とする理由国民全体が理解できるように説明願いたいものだと思います。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 船舶の運航につきましては、旧海軍の将校が技術を持つておりまするので、そういう技術海上警備隊において活用する必要があると考えまして、船舶操作運用という面において、これらの人の力を利用することにいたしたわけであります。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 はなはだ漠然たるお答えで理解しかねるのであります。それならば、こうした戦争に使用されたようた船をもつて、主としてどの辺の警備に当られておりますか。大体の配置の割合を理解さしていただいたならば、これの実際の活動の面が明かにわかるであろうと思うのでありますが、どうでございますか。
  34. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 御質問貸与されます船舶配置についてでありますが、現在のところわれわれといたしましては、千五百トン級の船舶十隻、二百五十トンないし三百トンの船舶五十隻をこちらから要求して借りているのであります。これらの船舶配置の状況でございまするが、予定といたしましては、これらの船舶はでき得る限り商港あるいは漁港というような機能を阻害しないように配置したいと考えております。そういう前提をいたしておきますと、しからば新しく基地をつくらなければならないというようなことがあるではないか。これはまた予算上から申しまして、配置の経費の問題がございますが、でき得る限り現在の接岸施設及び宿舎等が、建物としてあるものを改造して行けば非常に安く行くという考え方を持つております。こういう既存の施設等をできるだけ利用して行きたいという考え方で進んでおります。こういう考え方で行きまして、現在われわれが予定しておりますものは、横須賀の基地が決定して、ここに配置したいというふうに考えております。なお船舶貸与か実現されますに従いまして、九州方面あるいは日本海方面、北の方というようなところで、大体将来三箇所ないし四箇所の基地をつくつて行きたいというふうに考えております。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 基地の点はそれでわかります。大体それで見当がつきますけれども、実際今稼働しているところの状態は、東支那海並びに朝鮮方面あるいは日本海方面北洋方面というふうな配置になつてつておるのでありますか。
  36. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 アメリカ貸与をお願いしまして、まだ貸与が確定してこちらへ手渡しになつておりません。従いまして、現在活動しているかというお話でありますが、また活動は始めておりません。
  37. 井之口政雄

    井之口委員 現在の状態を維持するとすれば、そういうものの貸与を受ける必要は全然ないのではないか、こう思います。そういうものを受けて、そうしてアメリカ隷属をますます深めて行くことになつたならば、将来日本をまつたく売り渡すような結果になつてしまうとわれわれは思うのであります。そういう点からも、アメリカから軍艦を借りるということは、実に日本国民の将来の運命に重大なる関係を持つものでありますがゆえに、それをぜひ借りなければならない必要性、そしてそれをどういうように運行しなければならないか、こういう点について、もつと責任あるところの大橋さんの、ひとつ計画の遠大なところを示してもらいたいと思うのであります。
  38. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説の通り、現在はまだアメリカからの貸与が完了いたしておりません。したがいましてこれらの船が稼働する状態になつておりません。それでただいま井之口委員の御質問は、終戦以来今日までそうしたものがなしに、とにかく借りずにやつて来れたではないか、急にそういうものを借りて、新しくそういうところへ力を入れる、それも自力でやれればともかくも、アメリカから借りなければならぬというようなことでは、アメリカ隷属関係が強くなつて困る、こういう御質問でございまするが、この御質問には根本的な誤謬があると存じております。すなわち現在の状態は、四月二十八日以後に新しく生じた状態なのでございます。それ以前におきましては、日本近海におけるところの海上の平和と秩序というものの維持は、日本占領いたしておりましたところの連合国軍の完全なる責任のもとにあつたわけでございます。従いまして日本といたしましては、自己の責任においてこれらの海上を維持しなければならぬ独立国としての必要はなかつたわけでございます。それで従来は、従来程度船舶でやれたのでございまするが、今や独立をいたしたにつきましては、これらの占領国軍占領が解除せられ、従つて占領軍がやつておりましたところのこれらの海上秩序を維持するという機能は、独立国たる日本自力でやらなければならない、こういう状態に相なつたわけでございます。もとよりこれにつきましては、日米安全保障條約の規定によりまして、米国が全面的に協力はしてくれるはずでございますが、しかし何分海上秩序という点になりますると、平生いろいろな業務もあるわけでございまするから、日本といたしましては、この際アメリカにおいて貸与してくれることのできる船舶について、この貸与を得て、独立国としての責任を果して参りたい、これがかようなとり運びになりました根本的な考え方でございます。
  39. 井之口政雄

    井之口委員 その考えは、警察予備隊を次第に軍隊化して行かれる考えと同じ性質のもののように理解されます。今まではアメリカ海軍をもつてつていてくれた、しかるに今度は独立したから日本で守らなければならぬ、こういうことになりますると、これはアメリカ海軍の演じていた役割を、今度海上保安庁で引受けてやるだけの装備を持たなくてはならなくなるという結果になるのでありますが、そのためにますますアメリカから軍艦を借りる必要が生じて来る。してみると、もうすでにこれは大橋君のその言葉自身の中に、海軍復活であるということを、問うに落ちずして語るに落ちて、立証されていると思うのであります。われわれは、そういうアメリカ軍艦の下請になるような日本海上警備部隊を構成しては、明らかに何ら独立を守り得るものではないし、むしろアメリカ軍艦の撤退を要求することによつて、初めて従来の日本装備を持つたものだけでも、海上保安というものはりつぱに維持できると思う。その点に対するところの方針は、やはり両條約から来るところの、日本アメリカへの隷属化という点と密接に結ばれておる。われわれはこれに対して非常な憤懣を持つのでありますが、これをもし次の政権において断固として排除して、そうしてこうした借りた軍艦でも何でも、一切みんなこれを返すということになつた場合、先ほども私が質問いたしました通り、これを何ら拘束するようなとりきめは締結してないのでございましようか。またこれらの軍艦補修その他のものについてはどういうとりきめになつておりますか。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 補修をどういうふうにやるかということは、今実は先方と協議をいたしております。  それから、他の内閣ができて、アメリカから借りておる一切のものを返したいというときに、返せるかどうかという御質問でございますが、私どもは、いかなる政権ができましようとも、アメリカから借りたものを返すなどということを考えるような政権内閣をとるということは、全然考えておりません。
  41. 井之口政雄

    井之口委員 非常に問題の重点をはずされておるようでありますが、これはぜひとも聞いておかなければならないと思う。そういうことが生じた場合、これを拘束するようなことが暗々裡になされておるのではないか、そういうとりきめはないのかどうか。
  42. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題につきまして、暗々裡に秘密的なとりきめというものは全然ごございません。
  43. 井之口政雄

    井之口委員 それでは実力上の問題になつて来るのであつて、もしそれを返すことを主張する政府ができたならば、それを返すにしても実力によつて決済するだけで、何ら法律上の制約を受けないということでありましようつか。
  44. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そういう政府ができつこない、こう申し上げるのであります。
  45. 井之口政雄

    井之口委員 これはまつたく独善的な話で、吉田総理大臣の独裁は永遠に続くといつた考えのようであります。そうして今の自由党の一切の政策は永遠に日本を支配し得るものだというお考えのようでありますが、まつたく人間もそこまでになると、おめでたいというのか、何というのか、話になりません。  さて、それならば、今奄美大島、沖繩方面は、事実上のアメリカの軍事的信託統治になつているのですが、この方面ではいかなる処置をとつて警備に当つておられるのでしようか。向うから渡来する船に対して、これを密航船としてやつておられるのか、漁業方面にはどういう手を打たれておるのか、日本漁船が自由に沖繩沿岸までも出て行つてやれるのかどうなのか。また密航船として逮捕しているものはどれくらいの数にわたるのか、その辺のところを御説明願います。
  46. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 南方の方面、奄美大島その他の方面につきましては、二十九度線をもつて一応境界ができております。われわれの方としては、この境界内を警備いたしておるわけであります。なお御質問の中で、漁業その他の問題でありますが、漁業につきましては、領海その他の問題さえなければ、公海におきましては自由が原則でありますから、お互いに漁業をやつております。なおわれわれとしましては、そういう領海に入らないように指示をしておりまして、これらを交通するもので、密輸その他に該当するものは法規に従つて取締る、あるいは密出入国その他のものも法規によつて取締つております。
  47. 井之口政雄

    井之口委員 奄美大島、沖繩に対しては、やはり日本の領土としての主権があるということに規定されている。それであるのにかかわらず、今の境界線には、海上保安庁の船でさえも入つて行けないという状態になつているのでございましようか。かつ向うから来る密航船のようなものは、事実を言えば、これは何ら密航船ではないのであつて、なぜそれを厳重に取締らなければならぬか。むしろ交通というものは、日本とこれらの奄美大島、沖繩等との間には、自分の領土であるならば、自由に当然やらるべき性質のものではなかろうかと思いますがどうでございましようか。
  48. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 密船しようというような人、あるいは密輸入しようとする者は、国内における日本人でも取締つているのであります。従いましてこれらの取締りということは、法をはずれた人に対するものでありまして、成規の手続をとりました者に対しましては何ら取締つていないのであります。
  49. 井之口政雄

    井之口委員 この境界線は日本でこしらえたものでありますか。この境界線を突破して行く場合には、向うの方においては向うの裁判にかかるのでしようか、その点はどうでしようか。
  50. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 この境界線につきましては、われわれはその法を励行する立場でございます。外務省あるいはその他その関係の方できめられたもの、かように考えております。われわれはそのきめられたものを励行している立場でございます。
  51. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま柳沢長官から申し上げました二十九度線の、境界というものは、平和條約の規定に基きまして日米間に設定されたものと考えております。
  52. 井之口政雄

    井之口委員 この二十九度線も、おそらく大橋君の考えによれば、それを撤廃するような政府はできないであろう、永久にこれは設定されるものであろうというふうに、やはり同じような論法で行くんじやなかろうかと思いますが、将来こうしたものが撤廃されるようなことを日本国民はみな希望しているわけなんです。  なお西の方へ向いまして、朝鮮方面にこれが出動している事実はございませんでしようか。もしありとすれば、どういう状態になつておりますか、その点を一つ説明してもらいたい。
  53. 大橋武夫

    大橋国務大臣 朝鮮海峡の方面はいずれ政府委員から申し上げますが、二十九度線の問題は、これは平和條約の規定によつてできているのでございまして、これがいつまで続くかということは、平和條約の規定上明かなものであります。これは永久に続くというような性質のものでないということは、すでに平和條約を御審議になりました井之口君のよく御承知のことでございます。
  54. 井之口政雄

    井之口委員 平和條約の方は、條約だから、内閣においてかわつた場合取消すことの可能性はあるが、しかしながら先ほど申しました通り、借りた船を返すというふうな内閣は将来絶対にできないというふうな意見で、軍艦を借りることは條約以上のまつたく至上命令のように理解されるのであります。どうもその辺の大橋君の御説明がわれわれには理解しかねるのであります。朝鮮方面では国連軍援助の講和條約によりまして、今までとても何か保安庁方面では援助をしている事実があるのでありますか。これから将来に向つてはもとよりこれはあるのでございましようか。
  55. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 御質問の趣旨ははつきりしませんですが、朝鮮方面に巡視船が出ているかというお話であろうと思います。これは巡視船といたしましては、朝鮮の方面にも巡視警戒のために出動しておりま。しかしわれわれの方は漁業その他の産業上の人命及び財産を保護するために出ているので、その他の目的では出ておりません。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 これは大臣から一つ聞いておきたい。講和條約においては、国連に義務を負うております。でありますから、もし今現にやつていないというならば、将来において海上保安庁警備隊機構をあげて朝鮮の戦争に援助し、あるいは参加することが起り得るのであるかどうか、この点であります。
  57. 大橋武夫

    大橋国務大臣 海上保安庁の性格から見まして、さようなことは起り得ないと考えております。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 この点は非常に重大でありますから、われわれは深く記憶しておく次第であります。今大臣のお言葉では、海上保安庁の目的からして絶対に朝鮮戦争に介入し、援助するようなことはないとの御返事であります。  それで旧海軍の軍人を新規採用しているのですが、今度新規採用されたのは総員約七千名くらいになるじやありませんか。そのうち旧軍人で将校はどれくらいの数になつておりますか。そのおも立つた人はどんなふうですか。
  59. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 今日募集いたします人員は約六千名でございます。この六千名中旧海軍の軍人がどれくらい入るかというお話でございます。現在第一期の募集いたしまして、三千名募集いたしております。この募集に対しまして、約七倍の応募者があります。この応募者の中には旧海軍軍人その他海上経歴のある人、海抜免状を持つ人というような者が全部応募しているわけであります。これらを公平な試験をいたしまして採用いたします。採用いたしました結果でないと、旧軍人の人がどれだけ入るということは申し上げにくい、かように考えます。
  60. 井之口政雄

    井之口委員 朝鮮戦争に将来海上保安庁の方から実際には出て行かぬ、今のその目的からして行かないというふうな御返事でありましたが、しかし講和條約によつて日本が援助をしなければならぬということが規定されていることは御承知の通りであります。そうしますと、もし海上方面でそういう援助をしなければならぬような場合、日本の施設並びに役務を供給するのでありますから、そういうふうなことが成立いたしました場合には、この海上保安庁をもつてせずして、別個の何か組織をもつて援助するというふうになるのでありますか。それとも一切やらぬというのか。
  61. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今日までも国連軍に対しましては、講和前におきましても、わが国といたしましてはできるだけの協力をいたして参つたのであります。従いまして国連軍に属する海上兵力に対する援助というものもやつているわけであります。それはどういうことをやつているかというと、民間の船舶が自由なる契約によつて連合国海軍のために雇い入れられるという場合に便宜をはかる、あるいはまた海上の部隊の所要する物資をわが国内において調達する際に、政府として便宜をはかるというような行動があるわけであります。これらの行動につきましては、特に政府は特別の機関を設けてやらなければならぬというほどの必要を認めておりませんので、従つて特別にそういう機関は設けずにやつておるわけでございます。ただいまのところそのために政府として何か特別の機関を設けなければやれないような、そうした援助をしなければならぬというようだ見通しはございません。
  62. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの御説明では、何か日本船舶が自由契約によつて向うに雇われる場合に、それのあつせんをするとか、そういうふうに国内的な何かあつせんといつたくらいの軽い意味の援助らしく聞えるのありますが、これは海上を輸送して行く場合、あるいは兵隊を積んで行く場合、軍需品を積んで行く場合、こういうものの海上におけるところの警備というふうなもの、あるいは戦争によつて国連軍が被害をこうむつた場合の救援とかなんとかいう場合に、朝鮮近海において保安庁がこれを援助するというような事実は、今まではないのでありますか。それとも将来においては、こういうことは起り得る可能性は十分にあるのであつて、その点は起つてもそういうことは建前上やらぬと言明されるかどうか、この点ひとつお答え願いたい。
  63. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今までの実情といたしましては、御指摘のような援助を実際しなければならなかつたようなことはございません。従つてつておりません。  将来の点についてはどうであるかと申しますと、今のところそれほどの立ち入つた援助をしなければならなくなるということは見通しとしてはございません。それで実際それじややるのかやらぬのかということになりますが今のお話のうちにあつた特にそれを使命として行動をするようなそうした援助は、海上保安庁としての性格から見まして、引受けるべきではないと思います。しかし海上において行動をしている場合に、実際に船舶が遭難しておるというような場合に、それを助けるということは、これは当然のことでありますから、そういうことは、今後そういう場合に遭遇すればむろんやるべきことだと思つております。しかし当初から輸送船を護送する仕事海上保安庁が引受けるというような、そうした立ち入つた協力を海上保安庁が引受けるということは、現在のところ予想いたしておりません。
  64. 井之口政雄

    井之口委員 以西底びきが非常に拿捕されておるが、そういう場合に水産委員会なんかで、むしろ海上保安庁の軍事的な援助を得て、そうして逮捕されないようにして漁業をやりたいというふうな意見も出ておるようでありますが、そうしたことに対しては、今まで海上保安庁の方ではどういう態度をとつておいでになつたのでありましようか。
  65. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 以西底びきの拿捕の問題でございますが、元来海上保安庁は今まで独立以前におきまして、船舶の巡視の行動半径は百マイルに限られておりまて、特にいろいろのことが起きましたときに許されて出るというかつこうになつております。独立しました後におきましては、この行動半径の制限がなくなりました。従いましてわれわれといたしまては、拿捕事件の起らぬように巡視、警戒をしておるわけであります。これは農林当局等とよく相談しまして、現地の実情に即するような警戒をしておるわけであります。幸いにいたしまして独立後におきましては、東支那海方面においてはまだ拿捕事件が起つておりません。
  66. 井之口政雄

    井之口委員 この漁船の武装問題でさえも、水産委員会の中においては主張される委員がいるようでありますが、もし海上保安庁の方でこれに対して、武力をもつて強行するというふうな態度に立ち至るならば、これは大きなアジアにおけるところの戦争の危機を挑発すると思うのでありますが、その点は海上保安庁の方で現在どれくらいの処理をなすつておられますか。
  67. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 海上保安庁といたしましては、現在におきましては、拿捕事件その他に対しましての解決方法は、極力国際紛争的のことを避ける目的でやつております。実例的に申しますと、今までの実例を見ましても、巡視船がおりました監視下におきましては、拿捕事件が起きておりません。従いまてわれわれは甘い考えかもしれませんが、十分なる監視を行うならば、その監視下において事件が起きるということは、非常にまれな事態になるのではないかと考えております。しかしながらそれでもまだ問題が起るというような場合には、これに対して極力国際紛争の起らないような処置でもつて監視し、監督し、その他の手段をもつてやりたいと考えております。
  68. 田中不破三

    田中委員長 井之口君にちよつと申し上げますが、残りの質問時間等を考えますると、井之口委員の今までの御質疑は、本議題からやや離れ過ぎた点が多いようであります。残りの質問時間等を御考慮に入れられて、御質問をお願いいたします。井之口政雄君。
  69. 井之口政雄

    井之口委員 特殊勤務に従事する職員には、特殊勤務手当支給するということもありますので、この特殊勤務というもののいかんを今大臣に質問しているわけでありまして、その点は委員長においても、ひとつ了解をお願いしたいと思います。  さてこの今まで警戒区域として海上を設定している南の方は二十九度線であるそうですが、その他におきまして、日本国内に接収されておるところのアメリカ海軍基地があります。なお海上に演習地として立入り禁止になつておるようなところがあるのであります。そういうところに対しましては、海上保安庁の方においては、そこに入つて行つて、やはりここを警戒の場面として自由な運航ができるのかどうか、この点もひとつお尋ねしておきたい。
  70. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 この演習地その他の海上における区域につきましては、これは日米両政府においてその区域を現在きめつつある。これが決定いたしますと、それによつて告示をいたしまして、船舶その他に十分通知をいたします。しかしその告示につきましても、期限その他がつくはずであります。これにつきましての巡視、警戒はわれわれの方で行う、かように考えております。
  71. 井之口政雄

    井之口委員 それは一々アメリカとの協定の上で、そういう中には立ち入るのでしようか。なるほど日本漁船は立ち入つてはならぬという命令や布告はあなたの方でなさるでしようが、海上保安庁自一体が必要があつて自由にこの中に入つて行けるのかどうか、その点を聞いておるわけであります。
  72. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 それはもちろんお説の通り、われわれがこれを巡視、警戒すべきであると考えたときに、巡視、警戒をいたすのであります。
  73. 井之口政雄

    井之口委員 打合せなくしても、自由に入つてよろしいのでありますか。その自由であるかいなかということをお聞きしておるわけです。
  74. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 もちろん自由でございます。
  75. 井之口政雄

    井之口委員 千葉方面の沖合いに大部演習地がございます。そこには漁船は入つちやいかぬというふうな布告をなさいますが、あそこをもし通過する場合、普通の船舶でも遠く太平洋をまわらなければならぬというような不便な状態に今日なつております。そういうところ海上保安庁の船はどんどん自由に通過できるのですか。
  76. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 御承知の通り指定されました区域というものは、日によつて非常に危険なときもある。そういうときを指定しまして区域を設定しておるわけであります。従いまして、これに対して海上保安庁の巡視船がその危險の中を無理にくぐらなければならない事態ができたときでなければ出ない。これは出入りは自由でございまするが、その期間は非常に危険でありまするから、そういう危險のことを侵してまでもやらなくてはならない事態が起きたときに出る、かように考えております。
  77. 井之口政雄

    井之口委員 そういう場合には海上保安庁ならば特別の許可を必要としないのでありますか。
  78. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 これは政府といたしましてやりますから、アメリカには何ら制限を受けない、かように考えております。
  79. 井之口政雄

    井之口委員 政府の船であれば、海上保安庁の船でなくてもその他の船舶でも、政府としてやるのでありまするから、自由にその方面に立ち入れますか。
  80. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 他の船舶はこれは單に航船でございます。しかしながら海上保安庁船舶海上秩序、安全を維持するものでございまして、人命及び、財産を保護しなくてはならぬものであります。他の船舶におきましても、場合によればその区域におきまして難波船ができたどうしてもすぐ人命を救わなければならぬというような場合がもし起きましたならば、その船舶は人命救助が国際法の安全法上の義務に従うべきであるという船長の判断により入ることもあります。しかしそれはまれな例でございます。海上保安庁船舶海上における安全及び秩序を維持するために、そこにたとえば漁船等が入つておりますれば、これに対して警告を与えて外に出すというような任務を帯びております。従いましてこれらの船舶につきましては、自由に出入りができるようにしておかなければならぬ、かように考えております。従いまして他の船舶が自由に入れるということになりますと、これは危險であるからわれわれとしては阻止する方向に考えております。
  81. 井之口政雄

    井之口委員 自主的に阻止するというわけですか。
  82. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 さようです。
  83. 井之口政雄

    井之口委員 それでは最近日米委員会に土地の接収が提案されたようであります。冨士山が半分とられてしまうというふうなことも新聞に見受けるところであります。海上においてもそういうところが、日米委員会に提出された向うからの申出の中に含まれておりまするか。含まれているとしますれば、何箇所ぐらいあつておよそどの辺になつておるか、その点をお聞きしたい。
  84. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 この問題につきましては、現在日米間におきましていろいろ折衝中であろうと思います。われわれが関知しているところでは、そういう特殊の箇所もあるいはできるかもしれぬと思います。しかし的確なところはまだ報告を聞いておらないのであります。現在その折衝をやつておるのであります。またできましても非常に特定のところだけ、かように考えております。
  85. 井之口政雄

    井之口委員 新聞ではすでにあれの内容を発表しておるようです。現に富士山が半分とられるというふうなことで発表しておりますし、またそれの折衝も開始しているように伝えております。新聞で発表になつているのですから、当然これは国民が知つてもよいものでなければならぬはずであります。海上方面においてそういう箇所が向うからの申出であるならば、そういう箇所が何箇所あるどういうところであるかという発表が願いたいものであります。
  86. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 この件は先ほど申し上げました通り、今日米政府間において折衝中でございます。その方面の専門家の方がはつきりする、かように考えます。私たちはその責任がございませんので、確たる御答弁ができないのであります。
  87. 井之口政雄

    井之口委員 それじやその辺は今すぐ返事ができたければ、委員長におかれてその点もひとつ文書か何かでもつて明確に発表していただくようにお願いいたします。
  88. 田中不破三

    田中委員長 委員長において了承いたしまするが、目下折衝中の事件について発表し得られるかどうかは委員長ただいま疑問といたしております。
  89. 井之口政雄

    井之口委員 国民外交の時代でありまして、これが決定されてから発表されるということになれば、日本国民の生活に非常に重大な影響を持つのであります。富士山が半分とられるというようなことはもうすでに発表になつておるのでありまするから、もし海上保安庁としてやはり国民全体の利益考えるならば、あらかじめそういうものは発表して輿論にも訴え、そうして折衝は強い折衝をするというふうなことが願わしいのであります。  さてもう一つ最後にお聞きしたいのは、マッカーサー・ラインは北海道とすれすれの点を通つております。そうしてあれによると歯舞並びに色丹はマッカーサー・ラインの外に出ておつたようであります。今この点をマッカーサー・ラインが撤廃になるといたしますならば、あの辺に対して海上保安庁の見解並びに警備状態はどうなつておるか、これはあくまでも日本の領土であるという主張をもつてこれに臨まれているのかどうか、もしそういうことになりますると、これは非常に戦争を誘発するところの大きな問題を引起すことになるのでありますが、千島の帰属はアメリカの主張によつて、ポツダム宣言、ヤルタ協定その他の協定によつて、すでにアメリカ自身があの帰属を設定し、そうしてマッカーサーが日本に来ると同時に、マッカーサー・ラインを引いてそのマッカーサー・ラインの外に色丹並びに歯舞を出しているようであります。この点について責任ある大臣の御答弁が願いたいと思います。
  90. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は責任がございませんから、外務大臣からお聞きを願います。
  91. 井之口政雄

    井之口委員 非常に分業々々で能率を上げられるのはけつこうでございますが、少くも閣議の重要な一員とされて、そういう点は日本全体の政治の最も重要なものでありまするから、それに対する大橋国務大臣の意見もまたあるだろうと思うのですが、そういう意見は全然ございませんでしようか。もう全部おまかせで、岡崎外務大臣が言われるならば、御無理、ごもつとも、自分も閣議の一員ではあるが、それはしかたがないというふうな御心境でしようかどうでしようか。
  92. 大橋武夫

    大橋国務大臣 岡崎外務大臣は必ず正しいお考えで進んでおられると確信をいたしております。
  93. 井之口政雄

    井之口委員 大体いろいろなことがわかりました。それでは最後に締めくくりといたしまして「特殊の勤務に従事した職員」といいますが、特殊の勤務というものをひとつ項目をあげて示していただきとうございます。
  94. 加藤陽三

    加藤政府委員 第十五條で考えております特殊の勤務と申しますのは、潜水勤務に従事しておる者、それから機雷の掃海に従事する者、こういうようなものを考えております。
  95. 井之口政雄

    井之口委員 その二つだけでありますか。
  96. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいまのところ実行されておるのは、機関部に勤務しております者があります。これだけのものにつきましては、現在海上保安庁の方で実施されておるのでありまして、その他につきましては、研究中でございます。
  97. 井之口政雄

    井之口委員 潜水と魚雷の掃海の二つの任務を特殊の勤務といつておられるように了解してよろしゆうございますか。そういたしますと、もう機雷の掃海というものはほとんど終つたのではなかろうかと思うのです。これのほとんど八〇%は瀬戸内海に投下されたもので、大体あそこは自由に航行もしておりまするし、もう終つたのじやなかろうかと思う。なお潜水というと、そういう任務海上保安庁にありますでしようか、どうでしようか。潜水艦なども将来備える予定であるのですか、そういうふうなことも計画されておるのでございましようか。
  98. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 ただいま機雷掃海について、すでに終つているのじやないかというお話がございましたが、現在におきまして、瀬戸内も御承知のように、わずかにメイン航路が済んでおるだけで、その他大体七〇%はまだ残つております。われわれといたしましては、瀬戸内の安全性を確保するために、まだ相当の掃海をやらなければならない、かように考えております。なお潜水と申しましたが、これはなるべくわれわれとしては、そういうお考えにならぬようにいたしていただきたいと思うのであります。潜水夫が修理その他のために海底にもぐるための特殊なものでございます。その辺誤解のないようにお願いいたします。
  99. 田中不破三

    田中委員長 ほかに御質疑はありませんか。——では本日はこの程度にとどめ、次会は明三十日午前十時半より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十二分散会