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1952-03-27 第13回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大泉 寛三君 理事 鍛冶 良作君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 福田 喜東君 理事 佐竹 新市君       天野 公義君    菅家 喜六君       黒澤富次郎君    志田 義信君       中川 俊思君    大森 玉木君       井上 良二君    竹村奈良一君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (西日本海事工         業株式会社社         長)      武岡  賢君         証     人         (山口地方検察         庁次席検事)  岡谷 良文君         証     人         (中国財務局         長)      森岡謹一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産管理処分関係事件(戰艦「陸奥関係  事件)     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  昨日に引続き国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件について調査を進めます。ただちに武岡証人より証言を求むることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方       は武岡賢君ですな。
  3. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定いたしましたのでさよう御承知ください。  これより国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件につき証言求むることになりまするが証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商産婆弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または祈祷の職にある者またはこれらの職にあつたものがその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を御朗読してください。     〔証人武岡賢君朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もか  くさず、又何事もつけ加えないこと  を誓います。
  5. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるよう願つておきます。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は起立してお答えを願います。       証人武岡君は、現在西日本海事工業株式会社社長でありますな。
  7. 武岡賢

    武岡証人 はあ、社長です。
  8. 内藤隆

    内藤委員長 いつから社長になりましたか。
  9. 武岡賢

    武岡証人 昭和二十五年十一月の二十日だと思います。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 初代社長田中恒治君で、二代の社長葛西君でありますな。
  11. 武岡賢

    武岡証人 はあ、そうです。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 その初代田中社長が二代の葛西社長に七百万円で会社を譲渡した事情を御承知ですか。
  13. 武岡賢

    武岡証人 はあ、知つております。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 それをひとつ詳しく述べてください。
  15. 武岡賢

    武岡証人 あの七百万円で会社を譲渡したのではないのです。以前田中初代社長陸奥引揚げに対していろいろ失敗といいますか、借銭をした七百五十万円に対するお金を支払うたわけです。だから田中君に渡したのでなく、田中君が借金をした人にみな金行つていると思います。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 初代社長田中君に入らずに、この田中君という社長がやつた事業上の借金の方にその七百万円はまわつておると、こういうのですね。
  17. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 二代目の社長葛西君が退社したのはいつでした。
  19. 武岡賢

    武岡証人 日にちはつきり覚えておりません。昭和二十六年の一月の中ごろだと思いますが……。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 どういう事情で退社したのです。
  21. 武岡賢

    武岡証人 事情は臆測もあろうと思いますが、ぼくの考えでは、田中君から葛西君に引継ぐ前に、陸奥仕事をするというので、葛西君が非常にそこでまた借金を新たにしておつた。その借金の催促とかいろいろなことでぼくと葛西君の意見がときどき合わぬことがあつた仕事に支障を来すので、お互いにどつちかやめた方が仕事がス、ムーズに行くのじやないかというので、ぼくが初めこの会社を引くと言い出したのです。いろいろな事情がありまして、自分が引いて武岡君に残つてくれ、こういうことでぼくが残るようになりまして、その間に葛西氏に渡した金が五百万円あります。その五百万円の内訳は、前田中社長がやめて葛西君に移るときに、大阪の矢野金次という人と、もう一つは丸善の会社借金が、七百五十万円の別に百五十万円ほどありました。その百五十万円の借金は、葛西君が社長になれば、それにともについてこの事業運行に協力するというので、百五十万円を持ち越したのです。その持ち越した百五十万円を葛西君がやめるので、その五百万円の中に百五十万円も入り、また株券をぼくに讓つた金額も入り、葛西君の友人、親戚なりの重役の慰労金といいましようか、退職金といいましようか、そういう金を含んだ金が七百万円いつたのです。決して会社をぼくが五百万円で買つたわけではないのです。第一回の田中君と同じように借金をぼくが払うてやつた。若干の退職金慰労金もその中に含まれておると思います。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 前の七百万円、あるいはあなたが社長になるときの五百万円、そういつた金はどこから融通しました。
  23. 武岡賢

    武岡証人 一番最初の七百万円に対する金の三百五十万円はぼくが個人で借つたのです。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 個人で借りた。
  25. 武岡賢

    武岡証人 はあ、ぼくの信用で借りたのです。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 それはどこから借りた。
  27. 武岡賢

    武岡証人 それは呉の友人から借つたのです。それから仕事をし出しましてからは、あるいは仕事に要する前金もありましようから、はつきり金高は覚えておりませんが、大半ぼくの信用で借つたと思つております。当時は陸奥が実際に成功するか不成功かということは未知数で、大半の人はみんな不成功と見て、陸奥を人に話したつて金は一文も出ぬような時代で、大半の金の出たことはぼくの信用たと信じております。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、武岡自身金融界における信用でさような金融をした、そういうわけですね。
  29. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 それから昭和二十五年十月から作業を再開しておりますな。
  31. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  32. 内藤隆

    内藤委員長 そのときどんな物資をどのくらい引揚げましたか。
  33. 武岡賢

    武岡証人 ちよつと帳面を見さしてもらえませんか。
  34. 内藤隆

    内藤委員長 よろしい。
  35. 武岡賢

    武岡証人 この帳面検察庁の方へ大半とられまして、数字とかあるいは日にちとかに多分誤差があると思うので、御了承願います。十月から仕事をいたしまして、物の名称といいましても、私軍艦を今までつくつたこともなし、造船には無知なものですから、たとえば人が引揚げた物を、これが復水器だと言われて、まことそれは復水器だろう、こういう断定のもとに申し上げます。復水器推進器ポンプバルブ類パイプ類火薬管、その他若干、くずですね、そういうものがありました。
  36. 内藤隆

    内藤委員長 大体どうです、そのトン数等はわかりませんか。
  37. 武岡賢

    武岡証人 トン数非鉄にしまして——後ほと申し上げますが、うち会社で確定した数字ではありませんが、二百二十トン前後だと思うのです。それに鉄が五百トンちよつと越える程度だと思います。その他の物資は、契約以外、許可以外として揚げたものは遺骨だけです。兵隊とか軍属とかの遺骨だけです。
  38. 内藤隆

    内藤委員長 それは遺骨というより英霊だろう。
  39. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  40. 内藤隆

    内藤委員長 それ以外に許可してないものは一つも揚げていませんか。
  41. 武岡賢

    武岡証人 全然揚げていません。油とか食糧は揚げておりますが、全部許可があります。
  42. 内藤隆

    内藤委員長 許可のないものは一つも揚げておりませんか。
  43. 武岡賢

    武岡証人 英霊以外は一つも揚げておらぬと思います。
  44. 内藤隆

    内藤委員長 その引揚げ作業に要した火薬はどのくらいですか。
  45. 武岡賢

    武岡証人 前社長のときに、一トンくらいの許可をとつておるようにちよつと書類で見たのですが、それは日にちは、昭和二十四年十月の初めごろと思います。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 あなたが社長になつてからの使用トン数は……。
  47. 武岡賢

    武岡証人 ぼくが社長になりましてからは二トン少々と思います。
  48. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、許可を得て事業を開始以来、あなたが社長になつて昭和二十五年十月事業を再開するまでに約三トンだね。
  49. 武岡賢

    武岡証人 はあ。数字はつきり覚えておりませんが、三トンを越すことはないと思います。
  50. 内藤隆

    内藤委員長 約三トンの火薬を使用した。
  51. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  52. 内藤隆

    内藤委員長 それから五十トンの起重機船引揚げに使用したことはありませんか。
  53. 武岡賢

    武岡証人 ございます。
  54. 内藤隆

    内藤委員長 五十トン起重機というと相当なものがつれるが、どういうものを揚げましたか。
  55. 武岡賢

    武岡証人 さつき委員長に述べたような復水器推進器、あるいはポンプバルブというものを揚げたのです。それ以外は、復水器とか、推進器——推進器は別ですが、いろいろ非鉄金属の上へかぶさつておる鉄、鉄板類ですね。それを引揚げております。
  56. 内藤隆

    内藤委員長 その鉄、鉄板類は、許可のない中にあるのですか。
  57. 武岡賢

    武岡証人 いや許可はあります。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 県から、引揚げ物件は、いわゆる搭載されたる物資のみに局限され、特に非鉄金属等について艦体破壊その他解撤にわたるがごとき作業は嚴にこれを禁止されておるという通知を受けておるはずだが……。
  59. 武岡賢

    武岡証人 はあ知つております。
  60. 内藤隆

    内藤委員長 その通りつておりますか。
  61. 武岡賢

    武岡証人 やつております。
  62. 内藤隆

    内藤委員長 県が、厳重に実施要綱か何かとして示したものの範囲でやつておるのですな。
  63. 武岡賢

    武岡証人 はあ範囲でやつております。私がやつておりますことは、県の指示を全部得ておると私は確認しております。
  64. 内藤隆

    内藤委員長 ここでいう、県の指示しておるいわゆる搭載物資というものは、どういう意味のものですか。
  65. 武岡賢

    武岡証人 ぼくが聞いた範囲では、いろいろ海軍の造船の技術の人に伺いまして知識を得たのですが、艦が進水したときのありのままが艦体であつて、それから、機械あるいはいろいろな装備した品物は全部搭載物だということを聞いております。
  66. 内藤隆

    内藤委員長 もう一度そこを……。
  67. 武岡賢

    武岡証人 たとえば軍艦でいいますと、軍艦が進水したときですね。進水式終つて高い台から下へおりた、それから装備する、いろいろ付属をつけたものは全部搭載物だ。たとえば主砲などでも、昔から搭載砲と称するということで、それは、後につけたのは全部搭載物件である、こういうことを聞いております。
  68. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、証人搭載物資というものの解釈は、進水して海へ入つた、それからそこへくつつけたものでも、すべてその後に装備したものは搭載物資だ、こういう意味ですか。
  69. 武岡賢

    武岡証人 そうです。たとえば昔から砲にしたところで、搭載砲と申しますね。
  70. 内藤隆

    内藤委員長 しかし搭載砲というからといつて、必ずしもそれは搭載物件だということは……。
  71. 武岡賢

    武岡証人 それはそうですが、われわれはしろうとですから、そういうことも聞き、船の方でも搭載砲というから、まあ間違いないだろう。それで進駐軍の書類をそちらの方へお渡ししておるのですが、それにも非鉄金属は一番初め金額を言うたのは、千トンの金額を言うたのです。千トンの金を払えということを初め言うておるのを、千トン揚るかどうかわからぬのに、千トンを払う資金もなし、能力もないから断つて、実際にそのうちから三十トンだけの金を払つたのです。これは売買契約をしたのであつて引揚げ許可をしたのじやない。私の方で買つた三十トンに追加したものは、千トンまで揚げてもよろしいという許可はとつてあります。
  72. 内藤隆

    内藤委員長 要するに、千トンというものは、搭載物資ということによつてそれは引揚げてもいいが、君の方の搭載物資に対する解釈は、君の方に都合のいいように君自身でやつておる。何か県なりその他の関係方面搭載物資に関する打合せをしましたか。
  73. 武岡賢

    武岡証人 打合せたこともあると思いますが、大体千トンという非鉄はぼくが今述べたような品物以外にはない。ただ軍艦についておるものが千トンあるわけがないと思います。私の言うたことが至当であると思つております。
  74. 内藤隆

    内藤委員長 それは一方的に君が至当であると思つておるのだが、それが至当かどうかということを君の証言によつて判断しようというわけです。そこで搭載物資解釈は君自身の立場においての解釈であるが、要するに艦体破壊その他解撤にわたるようなことをしてはならぬという厳重な注意事項があつたにかかわらず、これを無視して非鉄金属引揚げておるということは、一体違法じやないかね。
  75. 武岡賢

    武岡証人 違法じやございません。火薬をいただくときに、全部細部にわたつてどこを切るということを出してその裏づけにおいて火薬許可をもらつたのです。漠然とした許可をもらつた覚えはありません。
  76. 内藤隆

    内藤委員長 昨日の証人は、火薬を出すときに、さような詳細な明瞭な書類に基いたというような証言をしておりませんが……。
  77. 武岡賢

    武岡証人 事実、うち書類を出しておりますから、一応お調べ願いましたらわかります。
  78. 内藤隆

    内藤委員長 その書類はたとえば搭載物資として、こういう物資が艦の何号室のどこにあるとか、倉庫のどこにあるとかいうことを詳細に書いてありますか。
  79. 武岡賢

    武岡証人 はあ、全部書いてあります。たとえば食糧倉庫を明けてカン詰あるいは酒というものを揚げたのですが、初めから酒保の部屋を明けるというので、やはり許可をいただいております。
  80. 内藤隆

    内藤委員長 それはよろしい。詳細なものを出して、それを検討して火薬を頂戴しておつた、こういうわけだね。
  81. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  82. 内藤隆

    内藤委員長 しかし三トンという火薬は相当なものだね。
  83. 武岡賢

    武岡証人 これは委員長のおつしやるまでもなく、ぼくといたしまして、会社現場の人間の全部を集めまして、再三話をしたわけです。ということは、火薬一トン七十五万円もするものを、鉄なんか引上げるのに相当の火薬使つて何が利益があるか、やはりうち営利会社だからそんなばかなことはできぬと再三注意したところが、現場に来いというので、船に乗つて現場行つた。四十何メートルもあるところに私の会社が手をつけたのは気違いだというような当時の話もあつたくらいで、たとえば火薬一キロで切れるものものを〇・八キロくらいで切ろうと無理してやつたところが切れない、そういう失敗が再三あると思うのです。この火薬使用量の多い原因は水圧関係で、とても十発やつて十発爆発した覚えがありません。
  84. 内藤隆

    内藤委員長 それから超過引揚げの承認を受けておりますね。
  85. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  86. 内藤隆

    内藤委員長 その数量等はどれほどありますか。書類を見てよろしゆうございます。
  87. 武岡賢

    武岡証人 超過引揚げ数量ですが、私のは実は鉄の許可がありましたものですから——鉄もいろいろ全部申請しておつたのです。この事件が始まるちよつと前と思いますが、県庁の方から河崎事務官が来られまして、鉄の引揚げは不当だ、こういうことをうちの社員に申して、伝票を全部切りかえた。それで鉄を全部非鉄にした。ぼくの推算では、当時の非鉄金属ですが、鉄の値段が十分の一だ、こういうことで十分の一くらいに鉄を非鉄金属に直したのじやないかと思うのです。それでトン数が二百七十一トン、非鉄として申請しておるわけです。ほんとう委員長に私が先ほど申しましたように、鉄は五百トン出ると思うのです。非鉄だけでも二百二十トンくらいある、鉄のごときば五百トン出ると思います。それを鉄の許可を今まで出しながら、鉄の許可が悪いと称して、かつてうちに来て伝票、帳簿を全部調べて、二百七十一トンの申請に直したのです。
  88. 内藤隆

    内藤委員長 超過引揚げを承認した数量はどれほどです。
  89. 武岡賢

    武岡証人 私の言う超過引揚げ数量は、大体はつきりした数量はわかりませんが、鉄としましても五百トンくらいはとつてあると思います。
  90. 内藤隆

    内藤委員長 非鉄は……。
  91. 武岡賢

    武岡証人 非鉄は二百二十トンくらいと思います。
  92. 内藤隆

    内藤委員長 その他のものは……。
  93. 武岡賢

    武岡証人 その他のものが二、三十トン。これの細部にわたつて帳面検察庁からいただいて調べればあるいは出るかもしれませんが、はつきりした数字はわかりません。
  94. 内藤隆

    内藤委員長 それから昭和二十四年十一月三十日の契約書、これに基くと、その以後のいわゆる引揚げ作業延長は困難であるということを建設省からも県の方へ通達があつた、それにもかかわらず昭和二十六年五月三十一日まで作業延長許可されておるようですが、そのいきさつはどうです。
  95. 武岡賢

    武岡証人 これは私がこの会社を引受けるときからの宿望でもあり、とても艦体搭載物件たけではだめだ、艦体引揚げまで行くのには、今ここで搭載物件をやつておらなければ、とても利益がとれぬ、こういうことで吉井県議とかその他の県会議員の人にもお願いして話したところが、それは契約の一項にも延期はできるというので、いろいろお話を聞いてその人から自由党佐藤榮作先生にもお願いしてこの許可書がおりたと思います。
  96. 内藤隆

    内藤委員長 自由党佐藤榮作先生にだれがお願いしたのですか。
  97. 武岡賢

    武岡証人 吉井県会議員です。私はそのときの交渉は一切やつておりません。当時葛西君がやつております。
  98. 内藤隆

    内藤委員長 いずれ取調べましよう。要するにそうすると、ここで佐藤榮作という一人物が出て来ましたが、こういう人々の力を借りて引揚げ作業延長許可を得たわけですか。
  99. 武岡賢

    武岡証人 そうだと思います。
  100. 内藤隆

    内藤委員長 思いますじやあ困る。どうだね。
  101. 武岡賢

    武岡証人 そうでしよう。私はそのときに実際に書類を見たことはありませんが、その当時の葛西君の話では、先生にもお願いし、郷土のことだからというので、非常に力になつていただいて、無理な延期許可ができた。
  102. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、これは葛西という社長の話で、佐藤榮作君が初めてそこにほんとうに動いたかどうかということは君は直接……
  103. 武岡賢

    武岡証人 それは私初め言いましたように、私が交渉したのじやないのですから……
  104. 内藤隆

    内藤委員長 あなたは知らぬのだね。
  105. 武岡賢

    武岡証人 はい。
  106. 内藤隆

    内藤委員長 知らぬことはなるべく言わぬ方がいいな。
  107. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  108. 内藤隆

    内藤委員長 そこで二十六年の五月三十一日まで延長をされておるが、そのいきさつは、ただいまの証人証言では、いろいろな有力者頼んでその延長の運動をした、こういうわけですね。
  109. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  110. 内藤隆

    内藤委員長 それでよし。それから二十六年の三月三十一日をもつて作業禁止処分を受けておる、そうでしよう。五月三十一日までの作業延長をさような了解によつて得たものが、なぜ一体三月三十一日に作業禁止を命ぜられておるか。
  111. 武岡賢

    武岡証人 それは私が言いたいことであつて、この禁止禁止ではありません。私が現場におりましたところが、小田という課長現場に見に来た。そのときたまたまクレーンで大きなシャフトを揚げておつた。それで、社長これは搭載物件じやない、艦体ではないか。いまさら何を言うのかとぼくは言つた。今までは何にも調べに来ずに、何もかも盲判を押して許可をしておつてときたま来てこんないかがわしいものは揚げずに——趣旨は、君が初めから言う通りに、艦体引揚げに持つて行くのだろう、そうです。今疑わしいことをしては艦体引揚げまで行かぬ、というので、私からやめるように言い出したのです。
  112. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、作業禁止社長としての武岡君から自発的にやめると言つたのですか。
  113. 武岡賢

    武岡証人 そうです。疑わしいのであれば、疑われるのは私の方からやめます。そのかわり艦体引揚げのときにはぜひ協力してもらいたいということをぼくが一札を入れたのです。一札といつても書いたのではない、課長にその現場で話をしました。
  114. 内藤隆

    内藤委員長 課長というのは、山口商工課長小田義男君かね。
  115. 武岡賢

    武岡証人 そうです。
  116. 内藤隆

    内藤委員長 こういう監督者現場に何回ほど来ました。
  117. 武岡賢

    武岡証人 ぼくは現場にそうたびたびおらぬのですが、指で数えるほどしか来ておりません。
  118. 内藤隆

    内藤委員長 来て引揚げておるのを見て、これは艦体の一部分じやないか、艦体じやないかと言つてなんくせをつけた。
  119. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  120. 内藤隆

    内藤委員長 そこで君は、それじや作業ができぬからやめると自発的に言つたのですね。
  121. 武岡賢

    武岡証人 そうです。
  122. 内藤隆

    内藤委員長 きのうの証人はそう言つていない。きのうの小田という商工課長は、現場行つてみると、県の指示した範囲を越えて不正なことをやつておるから、これ以上やられては困るというので、ただちにそういう手続をとつたと……。
  123. 武岡賢

    武岡証人 それは彼が言うだけであつて、それだつたらなぜ鉄の許可をしながら、うち会社に来て、社長の権限もないのになぜ伝票を切りかえ、帳面を切りかえたかということです。ぼくの推定では、課長現場に来て、自分の責任をとやかく第三者に言われるものだから、これはやめるようにしようじやないか、こういう妥協案を持ち込んだとしか私は思いません。
  124. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると県から君の現場なり会社に来て、伝票等を見て、県の許可範囲を越えておるというものはその伝票を破つたんだな。
  125. 武岡賢

    武岡証人 許可範囲ではない、許可をしておるものをも……。
  126. 内藤隆

    内藤委員長 しておるものをも破つたんですか。
  127. 武岡賢

    武岡証人 そうです。しておらぬものは破る必要はない。自分許可をしておるから、建設省から跡をつつかれて、県が許可をしておる、それで鉄を非鉄にして破つて帰つたのです。その証拠には、県庁が来る前に当時の宇品の警察から来まして、調書をとつた。これはあとで委員長にもお上げしますが、証明書二つを持つて来ております。しかも十一枚の許可書がありながら、二枚紛失した。検察庁にも二枚ありませんよ。
  128. 内藤隆

    内藤委員長 要するに二十六年三月三十一日の作業禁止処分は、むしろ処分ではなく、会社自体がさようにしてくれと言つて自発的に頼んだ、こういうわけですね。
  129. 武岡賢

    武岡証人 はあ、そうです。
  130. 内藤隆

    内藤委員長 そこて自発的にしろいずれにしろ、その禁止処分があつて、その後引続き電線なりパイプ類をひそかに引揚げておるという事実はないかどうか
  131. 武岡賢

    武岡証人 これは自発的に私の方がやめたのであつて会社の方でも急激にやめたので、あそこにヴイあるいはアンカー、あるいはワイヤーとか、いろいる大きな資材をぶち込んでおつた。それを引揚げるために行つたところが、あるいはそれにまきついて揚つたものもあろうし……。それは向うから書類をもつてやむを得ず現場で言われたならば、そういうことをせずに、またもぐりということもしないのだと思います。自分からやめたものですから、その点は地下資源を捨てておくようなことをするよりは、社会のためになるようにきれでも揚げる方がいいのではないか……。
  132. 内藤隆

    内藤委員長 それは社会のためになるかどうかは別としまして……。
  133. 武岡賢

    武岡証人 それは私の考えです。
  134. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたは引揚げ作業ヴイ等を持つて行つてつた。そこに電線パイプ等が自発的に向うからからんで来た……。
  135. 武岡賢

    武岡証人 からんで来たものもあると思います。
  136. 内藤隆

    内藤委員長 それから県の指示によつて引揚げたものを売却しなければならぬが、その指示によらずして非鉄金属等を売却しておるようですな。
  137. 武岡賢

    武岡証人 大体において指示に合うだろうと思います。
  138. 内藤隆

    内藤委員長 指示を受けるものが大部分と、当委員会の事務局は調査しておるが……。
  139. 武岡賢

    武岡証人 それは私がさつき申しましたように、トン数においては誤差があるのは当然です。鉄を非鉄に直すと十分の一の数量に減るわけです。それで減つただけは県としましても、今これをわれわれれが売つた業者の調書をとりまして大きな数量が出た、その数量は鉄の数量大半出ておるのです。それだから許可したことはない、こういうので逃げたんだと私は思います。
  140. 内藤隆

    内藤委員長 その非鉄金属類の売却先あるいはその金額、品目、数量はわかつておりますか。
  141. 武岡賢

    武岡証人 それは遺憾ながらわかりません。全部書類を持つて行かれて何もないのです。
  142. 内藤隆

    内藤委員長 検察庁書類をとられて、それでわからない、こういうわけだね。
  143. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  144. 内藤隆

    内藤委員長 要するに証人は大蔵省の通告を無視し、国有財産を故意に破壊して、これをほしいままに売却して不正の利得を収めたものというふうに私は見ておるのですが、その点はどうです。
  145. 武岡賢

    武岡証人 まつたくぼくは反対だと思います。
  146. 内藤隆

    内藤委員長 率直に言つてください、反対の考えを。
  147. 武岡賢

    武岡証人 それは金高にしましても、業者から受取つた金は四千万円ほど受取つておりますが、実際いつた費用は田中葛西あるいは引揚げの費用いろいろで、四千万円といつてほんとう品物が揚つたものは三千四、五百万円、あとは全部今まで会社の欠損だと思う。
  148. 内藤隆

    内藤委員長 欠損……。
  149. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  150. 内藤隆

    内藤委員長 それからさいぜんの証言中に遺骨と言つたが、焼いてないから遺骨ではない、英霊だと思うが、それを引揚げたということを証人証言しておるが、その英霊は何体ほど揚げましたか。
  151. 武岡賢

    武岡証人 さあ、私がやりまして二百七、八十ではないかと思います。
  152. 内藤隆

    内藤委員長 二百七、八十柱の英霊を揚げたんですか。
  153. 武岡賢

    武岡証人 はあ。それにはまだ井保田のお寺に安置して、復員局から未処理のものがその中には相当ある。
  154. 内藤隆

    内藤委員長 これは何回にもこの英霊を揚げておるようですね。
  155. 武岡賢

    武岡証人 はあ、もぐりが入りまして、遺骨があつたら、第一番に遺骨を揚げて来い、次に仕事、そういう執務の順で仕事をやらしておりますから、大体揚つておる遺骨を見てもわかりますように、あつたときには仕事もせずに、一番初めに遺骨を揚げております。
  156. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると約三代の社長にわたつて三百柱ほどの英霊を揚げておる、こういうわけですね。
  157. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  158. 内藤隆

    内藤委員長 これは今何という寺に安置してありますか。
  159. 武岡賢

    武岡証人 お寺の名前はよく知りませんが、あそこの村にはお寺が二つあるだけですから……。
  160. 内藤隆

    内藤委員長 丁重な扱いをしておりますか。
  161. 武岡賢

    武岡証人 はあ慰霊祭も何も全部やつております。
  162. 内藤隆

    内藤委員長 まだ艦体の中にはそういう英霊があると思いますか。
  163. 武岡賢

    武岡証人 まだ二千ぐらいあるように思います一。
  164. 内藤隆

    内藤委員長 そうして作業はまつ先にその英霊を揚げるように命令をした、こういうわけですか。
  165. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  166. 内藤隆

    内藤委員長 その英霊を揚げるのにまつたく精神的な立場でやりましたか。それともまたその英霊引揚げるための費用等を請求したことはないかね。
  167. 武岡賢

    武岡証人 ぼくの時代になりまして一銭も要求したことはありません。田中初代社長のときは、英霊を揚げまして、焼くときのお棺代とか称して、何ぼかいただいておるということは帳簿で見ましたが、私は一切そんなことは言うたことはありません。
  168. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会の事務局では一柱について五千円、まず第一回五十柱の英霊を揚げたときに二十五万円を支給されておるということがわかつておる。
  169. 武岡賢

    武岡証人 それは第一回の社長のときお棺代と称して受取つておるらしいです。
  170. 内藤隆

    内藤委員長 そうしてまだその艦体の中には二千柱ほどのものがあるということが想像できる……。
  171. 武岡賢

    武岡証人 はあ。
  172. 内藤隆

    内藤委員長 どういうふうな姿になつておりますか。
  173. 武岡賢

    武岡証人 全部生のままですから、白骨といいましても、あめ色みたいな形です。それをまた焼くのです。肉は一切れもついておりません。頭蓋骨の明瞭なのは一体もありません。というのはぼくの予想では、魔の轟沈で、あれは原因不明なもので、四、五回も爆発したと思うのです。三箇所ぐらい爆発しておるから、その何で頭蓋骨とか肋骨というものは、中であつちへ当り、こつちへ当りしまして、ばらばらだと思います。
  174. 内藤隆

    内藤委員長 折り重なつてあるのですか。
  175. 武岡賢

    武岡証人 折り重なつてというよりも、一つの部屋で、軍艦ですから、ハッチを締めておるからあつちへ飛んだり、こつちへ飛んだり、吹き飛んだと思います。頭蓋骨も満足なのは一体もなかつたのです。ただ人名を知ることは、くつとか帽子とかいうことだけでわかるが、大半は大体名前はわかりません。復員局の方でかつてに処理したと思うのです。
  176. 内藤隆

    内藤委員長 その英霊はだれのだれということはわからないのですか。
  177. 武岡賢

    武岡証人 中にはわかるのもあります。くつとか帽子がはつきりしておりますから……。
  178. 内藤隆

    内藤委員長 それはどういうような取扱いをしましたか。
  179. 武岡賢

    武岡証人 全部お寺へ安置しまして、あれが沈んだのは十九年五月八日でありますから、毎月の八月、当時の大詔奉戴日、八日にはお寺に呼びまして、そうして若干のお供えをしまして、作業員がしけで出られないときには全部行く。作業に出られるときは代表者が行く。そうして弔いをしている……。
  180. 内藤隆

    内藤委員長 他に御質問はありませんか。
  181. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 一、二点お尋ねしたいと思うのでありますが、証人山口県の商工課長小田義男というのを知つておりますか。
  182. 武岡賢

    武岡証人 知つております。
  183. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 その小田義男という人の昨日の証言によるなれば、何回も現地に行つて、現地へ月に平均三回ぐらい行つて作業状態を監督したということを証言しておりますが、そういう事実はありますか、どうですか。
  184. 武岡賢

    武岡証人 さあ回数ははつきりいたしませんが、三回も来たようなことはないとぼくは思います。
  185. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 昨日の証言によると月に三回ぐらい行つておると言うのですが、来た事実はあつたでしようか。
  186. 武岡賢

    武岡証人 来られたことはあります。
  187. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それから引揚げた物件を一定の場所に集めて、そうしてそれを県が行つて検査して売却さしておつた。こういうふうに言つておるが、そういう監督を受けた事実があるかどうか。
  188. 武岡賢

    武岡証人 それはございます。しかしこの仕事は、たとえば、鉄の場合にいたしましても、最高を見ましても当時トン八千円から一万円くらいのもので、その引揚げたものをあるいは船とか、貨車とか、あるいはトラツクで倉庫に入れたりしたのではそれ以上の経費がかかりますので、実際はそういうことをやらずに、全部その現場で引渡して処分する。あるいは一部のもの、非鉄金属であるとか、あるいは小さいものは倉庫へ入れてやつたことはありますが、大半はその現場現場渡し、それは県も承知しておるはずです。
  189. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると、そのいわゆる現場渡しにする場合に、一定のところに集めて売らずに、船から揚げまして、相当重いのでどのくらいの目方がありますか。
  190. 武岡賢

    武岡証人 重いもので三十トンから四十トン前後のものがあります。
  191. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 その三十トンから四十トンの目方は何で推定するのですか。
  192. 武岡賢

    武岡証人 それはわれわれの推定とかあるいは起重機の軽重とか、あるいはその積んだ船の船長とか、あるいはわれわれしろうとみたいな人間が集まりまして、今までの過去の判断力でやつたわけです。それですからはつきりした数字ははかりがないのでむろんはかつたことはないと思います。はかりがないので数字細部においてはわかりません。
  193. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると、そういう三十トンとか四十トンとか二十トンとかいう重みのものは、事実上倉庫へ入れられますか。またはどこへおろすのか、あるいは直接この中にあるような売先へ持つて行つてそのまま渡すのか、どういうふうにして渡すのですか。
  194. 武岡賢

    武岡証人 それは広島とか、あるいは呉は別ですよ。島などではとても三十トンや二十トンのものを引揚げて海岸に置く設備がありませんですから、従つて大きな工場、広畑とかあるいは大阪のメーカーに持つて行けば、三十トンや四十トンのものを引揚げ起重機を持つているので、私らそこへじかに持つて行きます。
  195. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それからいま一つ証人証言によりますと、委員長から質問された最後の第十の質問に対しまして、証人一つ利益を得ておらぬ、こういうふうに言われておるが、会社の損害、いわゆる前の社長時代からの損害はどのくらいあつたか。
  196. 武岡賢

    武岡証人 はつきり数字が出ておるものは、七百五十万、それから五百万、それからいろいろな私個人としまして信用で借りましたお金に対してお礼を若干出しておる……。
  197. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうするとこれを引揚げて売つた金額、それで会社借金を払つた、こういうことですね。
  198. 武岡賢

    武岡証人 会社借金は一時払つただけであつて、現在では借金はぼくは背負うております。
  199. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると三千五百万円ないし四千万円の、この搭載物資あるい非鉄金属、いろいろなものを揚げて得た費用の明細は出ますか、どうですか。
  200. 武岡賢

    武岡証人 それは検察庁から帳簿をいただいたら出ると思います。今は私は帳簿がありませんから、はつきりした御返事は申し上げられません。
  201. 竹村奈良一

    ○竹村委員 さつき委員長の質問で、搭載物資とは、いわゆる船が進水した当時の姿、それ以後に積んだものが搭載物資だ、こういう証言つたのですが、それで聞きたいのは、この陸奥というような軍艦が進水するときには、大砲とか、そういうものを積んでおりませんか。
  202. 武岡賢

    武岡証人 はい積んでおりません。ぼくも見たことはないですが、権威者から聞いた話です。
  203. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではその許可をもらつたときに、あらかじめそういうものは引揚げてもいいんだという解釈であつた考えられますか。
  204. 武岡賢

    武岡証人 それははつきり書類を見ると、許可書をいただいております。
  205. 竹村奈良一

    ○竹村委員 ちよつとわかりませんが、もう一ぺん言つてください。
  206. 武岡賢

    武岡証人 それははつきり書類の上でも許可をいただいております。一番初めに許可をいただいたのは極東海軍です。それからちやんと載つております。千トンの中にその内訳として推進機四箇、次は備品と、あとは汽罐とか機械とかいうものがちやんと載つております。
  207. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、これを極東海軍から許可をもらつて、そして結局最後には県の許可をもらつたということになつておりますが、その許可の中には、あらかじめ現在まであなたの方で引揚げたものは、全部許可事項になつてつた。だからほんとうからいうと、先ほどあなたの証言によりますと、有力者等を介してもらつたものだから、大体私の方は許可をもらわないものは揚げていない。だから全部許可になつたものであつた。こういうように解釈していいわけでございますか。
  208. 武岡賢

    武岡証人 有力者にお願いしたのは、許可書じやないのです。委員長に私申しましたように、延期許可をやつただけです。千トンの許可書をとるときにやつたのは、委員長の方へ私の方から書類で出しておりますが、大体会社自体が率先して県庁を動かし、あるいは建設省を動かして許可をいただいたのです。そして有力者にお願いしたというのは、十一月末日までの許可書を、来年の五月末日まで、半年の間の延期許可書の願いを有力者にお願いしたので、当然それまでに引揚げ許可書はとつてつたわけです。
  209. 井上良二

    ○井上(良)委員 問題は、昨日山口県の商工課長証言によると、あなたの方へ、戦艦陸奥に搭載してある物件で引揚げるものは、重油、揮発油、繊維製品、マニラ・ロープ、食品、非鉄金属、これ以外は許可していない……。
  210. 武岡賢

    武岡証人 まだ許可以外のものは揚げておりません。
  211. 井上良二

    ○井上(良)委員 今までお揚げになつたのは、これだけの品物ですか。
  212. 武岡賢

    武岡証人 そうです。     〔「うそを言え」と呼ぶ者あり〕
  213. 武岡賢

    武岡証人 それは全部非鉄金属と鉄です。
  214. 井上良二

    ○井上(良)委員 非鉄金属と鉄とは違いますよ。
  215. 武岡賢

    武岡証人 それはさつき私が委員長に申し上げたように、鉄の許可書はありながら、事件になりましてからそれを非鉄金属に切りかえた。そこに大きな誤りがあると思います。
  216. 井上良二

    ○井上(良)委員 その鉄の引揚げ許可をもらつたのはいつです。
  217. 武岡賢

    武岡証人 日にちの点はわかりません。私がちやんと警察署から証明書をもらつて来ております。それは最後に委員長に差上げて帰ろうと思います。
  218. 内藤隆

    内藤委員長 そのなくなつたという二通の契約書の内容、それを持つて来ておりますね。
  219. 武岡賢

    武岡証人 持つて来ております。
  220. 内藤隆

    内藤委員長 それを出してください。     〔証人書類を示す〕
  221. 井上良二

    ○井上(良)委員 最初あなたの会社が、あなたの時代ではなかろうが、この引揚げについての随契をやつておるわけですね。
  222. 武岡賢

    武岡証人 随契ではなく、あれは入札です。初めは……。
  223. 井上良二

    ○井上(良)委員 入札でいいのですが、その場合の契約の内容に、今申し上げたような品物以外は揚げてはいかぬということが、その契約書の中に、はつきり明記してありますね。
  224. 武岡賢

    武岡証人 はいございます。
  225. 井上良二

    ○井上(良)委員 その明記してあるのにかかわらず、それ以外のものを揚げるということに至つたのは、どういうことです。
  226. 武岡賢

    武岡証人 それ以外とはどういうものですか。
  227. 井上良二

    ○井上(良)委員 いわゆる艦体の一部です。
  228. 武岡賢

    武岡証人 艦体の一部というても、どういうものを艦隊の一部というかしりませんが、私どもの方としましては、艦体の一部は揚げておりません。
  229. 井上良二

    ○井上(良)委員 さつきあなたは揚げたということをはつきり証言しております。
  230. 武岡賢

    武岡証人 私の言うたのは鉄です。
  231. 井上良二

    ○井上(良)委員 その鉄は……。
  232. 武岡賢

    武岡証人 鉄は艦体の一部と限定されません。それはやはり搭載物件に、非鉄ばかり搭載していない、鉄も搭載しているわけです。
  233. 井上良二

    ○井上(良)委員 その鉄を揚げてはいかぬという意味じやないですか。
  234. 武岡賢

    武岡証人 許可があるからいいじやないですか。
  235. 井上良二

    ○井上(良)委員 そういう許可はなかつたのじやないですか。
  236. 武岡賢

    武岡証人 それは第四條に書いてあります、平和産業に寄與するものは、指示によつて揚げてもよろしいぞということが一番初めの契約書にあります。その指示に基いて許可を得たものだから揚げた、こういうことです。
  237. 井上良二

    ○井上(良)委員 その指示を受けたというわけですね。
  238. 武岡賢

    武岡証人 はい。
  239. 井上良二

    ○井上(良)委員 その次に伺いたいのは、二十五年十一月三十日に、契約が切れたのですね。それで再び六箇月間の契約延長をやる場合に、葛西という人が、山口県の吉井県会議員を通して、自由党佐藤榮作氏に頼んで行つた、こういうことですが、これはあなたは全然関係がないですか。
  240. 武岡賢

    武岡証人 それは私関係があるといえば、私も会社の重役の一人ですから、責任がないと言うて逃げるわけに行きませんが、直接ぼくがやつていないから、そのときの状況は、ここで発表できません。
  241. 井上良二

    ○井上(良)委員 しかし今まではほとんどこういう人を使つていなかつたでしよう。
  242. 武岡賢

    武岡証人 今までのことをぼくはあまりよう知らぬのですが、延期は、ぼくが会社に入りまして……。
  243. 井上良二

    ○井上(良)委員 いやその他、たとえば搭載物件引揚げについての許可をとつたり、あるいはダイナマイトを使うについてのいろいろな手続をやる場合とか、物件処理についての手続をとる場合とか、そういうときに、こういう人には全然相談せぬでしよう。
  244. 武岡賢

    武岡証人 そうです。
  245. 井上良二

    ○井上(良)委員 どういうわけで、こういう人を頼んで行つたのですか。
  246. 武岡賢

    武岡証人 そういう人はやはりわれわれとしても崇拝しておるし、会社としてもそういう人にお願いした方が、スムーズに行くのじやないかというわけで、お願いをしたのではないかと思います。
  247. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで私の言うのは、つまりあなたの方は、直接県と交渉をして、いろいろな契約を結び、仕事をやつてつたわけですが、この作業延期の問題は、直接交渉で行かなかつたのですか。
  248. 武岡賢

    武岡証人 この作業延期の問題は、県が実権を握つておらぬとぼくは思うのです。ということは、県は建設省とかあるいはほかの機関からの指示に基いてやつておるのです。私から県へもお願いをしております。ですが、それよりかその方面へ頼んだ方が早いと思いましてお願いしたような次第だとぼくは思います。
  249. 井上良二

    ○井上(良)委員 それからもう一つ、この鉄関係のもので、今まで引揚げた大体の数量はどのくらいですか。そうして金額はどのくらいになりますか。
  250. 武岡賢

    武岡証人 金額の点も当時の値段のこと帳面がないのであまりはつきりわかりませんが、トン数委員長にさつきもお話したように五百トン少々出ると思います。
  251. 井上良二

    ○井上(良)委員 五百トンですか、それ以外はないのですか。
  252. 武岡賢

    武岡証人 それ以外はないとも言えませんが、帳面がないのでどうなつているのか……。
  253. 井上良二

    ○井上(良)委員 しかし大体においてあなたの方では引揚げをしているのは三千五百万円くらいという先ほどの証言ですね。その内訳はどんなものですか。
  254. 武岡賢

    武岡証人 その内訳は全然ぼくは帳面がないのと、それから会社の経理を  一々やつておらぬので…。
  255. 井上良二

    ○井上(良)委員 それからあなたの今のお話によると、会社はこの事業関係をして非常に損をしておる、現に赤字を背負つておる、こういうことですね。
  256. 武岡賢

    武岡証人 はい。
  257. 井上良二

    ○井上(良)委員 しかも仕事はその後中止状態にあるわけでしよう。
  258. 武岡賢

    武岡証人 そうです。
  259. 井上良二

    ○井上(良)委員 継続を頼んだことはありますか。
  260. 武岡賢

    武岡証人 継続を頼むというよりも、私は艦体払下げの随契には、再三再四東京にも上京して県庁を通じてやつております。
  261. 井上良二

    ○井上(良)委員 艦体全体の問題について……。
  262. 武岡賢

    武岡証人 それは初めぼくが県庁課長との話で、これはこういう小さいことでデマが飛んだり、いろいろなことをしますと困るから、艦体の払下げは今はいかぬというが、これは艦体の払下げを許可するように押しまくり、今搭載物件でとやかく言われて、あと艦体に傷をつけると困るから、全力を艦体払下げに注いだ。結局私のそういうのは、この作業をするのに十二月、一月あるいは二月、三月まではとてもあそこはしけて作業を全うできぬような状態です。四月、五月に入りましてからあそこもなぎになりますので、十分な仕事もできると思つて設備をうんとやつた。設備をうんとやつたが、こういう状況で自発的にやめた。その間の遊んだロスとか、その設備した資材というものを含めたのが、私が言う損害なんです。これを随契にしたら損害にも何もならない。そのまま次の仕事に持つて行かれる、こういうことなんです。
  263. 井上良二

    ○井上(良)委員 これを最初あなたの方では九十三万三千円で払下げを受けて仕事にかかつたのでしよう。
  264. 武岡賢

    武岡証人 はい。
  265. 井上良二

    ○井上(良)委員 ところがその後條件薫くて、かついろいろな困難な作業に当面して、予想外の経費がかかつたということから、いわゆる必要以外のものを爆破しておるということをあなた考えませんか。
  266. 武岡賢

    武岡証人 必要以外のものはぼくとしましては爆破したとは考えません。
  267. 井上良二

    ○井上(良)委員 それでは聞きますが、あなたの方から山口県の当局に出しておる作業計画書というのがあるでしよう。
  268. 武岡賢

    武岡証人 ございます。
  269. 井上良二

    ○井上(良)委員 この作業計画書の中で、食糧関係の入つているところ、繊維関係の格納してあるところ、マニラ・ロープ、揮発油、重油、非鉄金属、こういうもののあるところがそれぞれ計画書にはつきり示してあるわけですね。そのところを爆破するのに二トンも三トンものダイナマイトを使わなければならぬということが、常識上考えられますか。
  270. 武岡賢

    武岡証人 それはあなたのおつしやるところを聞きますと、ただ食料品だけのことで二トンも三トンもの火薬はいらぬじやないか。これはごもつともな言葉で、ぼくもそう思います。さつき委員長にも私が言いましたように、それは大半失敗しているし、かつそこだけの鉄板を切つたのではなく、ぼくが陸奥の今の現状のありのままの姿を写してありますが、ここの三つの火薬庫が破裂して、二十八メートルから三十四、五メートルの間は破れている。その中の搭載物件あるいは機械というものを引揚げるのに、鉄が破れてぐちやぐちやになつている。それがひつかかつている場合には、その機具を出すのにそこを切つたときに使つた火薬とか、あるいはこれは中から見えるのですが、上に大きな鉄板ががぶつている、そういう鉄板を切つたときとかいうことで、ことさら私は艦体を切つてつたようなことをしたとは思いません。
  271. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたはそうおつしやるが、大体これはあれじやないですか。搭載しております特殊物件の全体の当時の金額、当時引揚げた場合、これを売却したときにどのくらいになるかというところから、この入札というものは成立しているのでしよう。
  272. 武岡賢

    武岡証人 それはあるのは千トンあつても、当時の能力としましては三十トンしかとれぬ。こういうので三十トンの金を払うだけで、これが日サルあるいは飯野あるいは岡田というように大きな設備を持つてつたら千トンが千トンとれると思います。
  273. 井上良二

    ○井上(良)委員 それだからそこに問題がある。あなたの方じや千トンあるという見込みのもとに仕事にかかつたのでしよう。そうしますと千トン揚げた場合の金額はどのくらいになりますか。
  274. 武岡賢

    武岡証人 今は金額は即答できません。当時のことは……。
  275. 井上良二

    ○井上(良)委員 当時何ぼでした。
  276. 武岡賢

    武岡証人 当時書類がないので全然わからないのです。
  277. 井上良二

    ○井上(良)委員 そんなことじやいけません。
  278. 内藤隆

    内藤委員長 大体でいい。
  279. 武岡賢

    武岡証人 大体九十三万円という金も、ぼくは引揚げ費用を差引いた金だと思う。むろんそうでなければならぬ。そうすると三十トンで、いろいろたものを集めましで、当時の非鉄金伊が六、七万円、その六、七万円を千倍すればいいと思う。     〔「六千万円じやないか、それを九十三万円とはどういうわけか。」と呼ぶ者あり〕
  280. 武岡賢

    武岡証人 それは……。
  281. 内藤隆

    内藤委員長 証言委員長許可を  一々得なければならぬ。かつてに話をしてはいかぬ。
  282. 井上良二

    ○井上(良)委員 そこで一千トンあるというのはどういうところから調べたのか。
  283. 武岡賢

    武岡証人 ぼくの推定では、これは進駐軍が出したのじやないかと思います。うちの方も言つたと思う。一千トンあるならお前がこの金を払えと言つたのは進駐軍です。
  284. 井上良二

    ○井上(良)委員 進駐軍は潜水したものじやないでしよう。
  285. 武岡賢

    武岡証人 潜水したものじやない。ぼくらは、海軍の軍人なら艦体にはどのくらいの非鉄金属があるということくらいはわれわれよりくろうとであるから知つていると思う。
  286. 井上良二

    ○井上(良)委員 あなたの方のことで、よその方のことは聞いていない。あなたはその事務監督者だから……。
  287. 武岡賢

    武岡証人 私は全然会社におらぬのですから、わかりませんよ。
  288. 井上良二

    ○井上(良)委員 わかりません言うたんでは仕事ができないじやないか。
  289. 武岡賢

    武岡証人 当時おらぬのですから、ぼくはどういう状況で……。
  290. 井上良二

    ○井上(良)委員 だからあなたがこれを引受けて仕事にかかつたんでしよう。それまでには相当この会社は赤字である。だからこの赤字は承知の上で引受けたんでしよう。そしてあとへ残つているものがどれくらいあつて、それを引揚げたらどのくらいになるという目分量をつけぬわけはないでしよう。
  291. 武岡賢

    武岡証人 ぼくはその目分量はあると思います。そういう目分量よりか、私はもう少し大きく考えまして、これをやつた艦体が全部とれる——艦体がとれれはですよ——というので、そして差向き損をしても三十トンの仕事をやる、こういうことなんです。やつた当時はですよ。だから千トンなんかの考えはむろんそのときには頭に置いておりません。三十トンもできるかできぬかわかりもしないことをやるのですから、その三十トンを完遂してから千トンもあるいは考えたかもわからぬ。それから三十トンできたから今度は県庁に持つて行つて次の追加の申請をしたわけなんです。
  292. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、あなたにすればそれはそろばんに合わぬけれども、この仕事をやつておれば艦体全体の引揚げ許可がとれる、そういう目的で損を覚悟の上でやつたのですね。
  293. 武岡賢

    武岡証人 はあそうです。
  294. 井上良二

    ○井上(良)委員 ところが宇品に揚げました物件が宇品に揚らずによそへ流れたのはどういうわけですか。
  295. 武岡賢

    武岡証人 よそに流れるということは、さつき私が申しましたように、あるいは運賃その他経費によつて現場で渡している品物です。
  296. 井上良二

    ○井上(良)委員 それは県庁に届けてあるのですか。
  297. 武岡賢

    武岡証人 はい届けてあります。
  298. 井上良二

    ○井上(良)委員 県庁に届けて県庁の指示に従う。あなたの方が申請がされているものが、何ゆえに検察庁や国警が活動するのですか。
  299. 武岡賢

    武岡証人 それは一番初めに私が申しましたように、例の許可がないのに鉄を揚げた、それが一番最初の窃盗の原因です。しかし調べたところが検察庁も認めまして、窃盗が今度は横領になつて来たわけです。ですから初めからこれは許可があつたことなんです。数量の誤差は、さつき言いましたように鉄を非鉄にかえたから数量が合わぬ、こういうわけです。
  300. 井上良二

    ○井上(良)委員 非鉄にかえたから数量が合わぬ……。
  301. 武岡賢

    武岡証人 はい、金高にしましても十分の一くらいですからね、鉄は……。
  302. 井上良二

    ○井上(良)委員 それならば何ゆえに届を出して、そして一定の荷揚げ場所に格納しないのですか。
  303. 武岡賢

    武岡証人 それは先ほど委員長さんにも私言いましたように、三十トンもするものを荷揚げ場所に持つて来ることになると、相当費用もかかるし、宇品なんかはそういう三十トンを揚げる船もないし不可抗力だからそのままやつた。県もそれは知つているはずです。
  304. 井上良二

    ○井上(良)委員 そのとき県は立ち会つてないでしよう。
  305. 武岡賢

    武岡証人 立ち合つておりません。
  306. 井上良二

    ○井上(良)委員 だから県にあとからあなたの方でそういうことを報告したにすぎないのですね。
  307. 武岡賢

    武岡証人 そうです。何らそれに対して怒られたこともありません。一ぺんじやないんですから十何べんも書類を出して許可証をとつている。悪かつたら一ぺん出したときに何かの指示があると思います。
  308. 井上良二

    ○井上(良)委員 まあそれは相手が言わぬからといつて、あなたの方は届けなければならね義務があるにもかかわらずやつてないのですから……。
  309. 武岡賢

    武岡証人 そういうことにもなりますが、実際にこの仕事を見られたらわかります。とても三十トンや二十トンのものをあつちこつち運ぶということは、あるいは小さいものなら盗難にかかるし、船で運んでも大きな金がかかるし、また引揚げ起重機が岸壁にありません。
  310. 井上良二

    ○井上(良)委員 それから県の方から監督は一体どのくらいの年かつこの人でどのくらい現場へ来ましたか。
  311. 武岡賢

    武岡証人 さあ、ぼくはずつと現場におらぬのでわかりませんが、ぼくがおつたときには、一番初め来られたときには、県のその担当の事務官と思いますが、それと建設省の人も来られて、それでまあこの仕事は、実際私がやるまでは、県としても面子がないから、督促状まで来ているわけなんです。それで当時引揚げたものを見まして、非常に感激して帰られましたよ。あるとにかくよくやつたというおほめの言葉をいただいた。何らそのときに、鉄が揚つているから鉄はいかぬとか、あるいは悪いということは何らお小言を受けずに、むしろ激励されて帰つたのです。
  312. 井上良二

    ○井上(良)委員 それはいいがね。監督には何べんくらい来たか。
  313. 武岡賢

    武岡証人 だからそれが監督だと思います。激励に来たときが監督兼激励だと思います。だからぼくの知つているのは二、三べんしかありませんよ。
  314. 田渕光一

    ○田渕委員 今私はちよつとどいておつて重複するかもしれませんが伺いたい。二、三べんしか監督に来なかつたと言うが、きのうの商工課長証言では抜打ち的に行つた、そしたら五十トン起重機で揚げておつたので注意した、こう言う。
  315. 武岡賢

    武岡証人 私が二、三べんしかと言うのは私のとき二、三べんですよ。ほかは私は知りませんよ、会社のことは……。拔打ち的ということは、役所としては抜打ち的かもわかりませんが、私は抜打ち的とかそんな悪くは考えませんでした。
  316. 田渕光一

    ○田渕委員 これは各委員からお聞きになつたかもしれませんが、大体初代社長のときにつくつた契約は、契約当事者は山口県と初代社長の西日本工業であつた。そして二代、三代と続いて来た社長でやつている。この契約というのはあなたは継承しているのです
  317. 武岡賢

    武岡証人 はあ、やつております。
  318. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると継承しているとすると、つまり初代社長でやつた時代の二十四年の六月二十日ごろの九十三万円というもの、それは非鉄金属その他の搭載物件、それがだんだんやつているうちに三代目のあなたになつて来て、千トンくらいの見込みがあるということを進駐軍が言うている。こういうふうになつて来たのならば、なぜそこでこの契約をかえなかつたか。最初はこのくらいしか揚らぬ、それで九十三万だと言つて来ているうちにだんだん内容がよくなつて来た。よくなつて来ればこれはいかぬから契約をかえましようということになぜ行かなかつたか。
  319. 武岡賢

    武岡証人 それはあなたのおつしやることももつともだと思うのですが、契約をかえることは必要ないじやないか。申請書を出して追加の許可をもらえば何ら今までの契約書をかえる必要はないと思います。
  320. 田渕光一

    ○田渕委員 とんでもない考え違いだ。個人同士の、君のものとぼくのものを売るというのならそれでよろしい。国有財産……。
  321. 武岡賢

    武岡証人 それならばなぜ県庁の方からわれわれがお叱りを受けぬのですか。私はそういう考えがないからこれでいいんだと思つてつた
  322. 田渕光一

    ○田渕委員 県庁が叱らなくても、君らが事業家として国有財産を処理して、しかも国家的に民生を安定するためにしようとして許可をとつたもので、二代も三代もこの精神を引継いでいるわけです。ところが相当なものが揚り、ことに国有財産になつているものであれば、このままではいかぬ、契約をかえてもらわなければならぬ、これは国民の税金だから、あとで必ず国会がやかましく言うて来るであろうというようなことは気がつかなかつたか。
  323. 武岡賢

    武岡証人 はい、気がつきませんでした。私はむしろそれよりも超過申請をすればそれで済むと思つた
  324. 田渕光一

    ○田渕委員 そこなんだ問題は。個人同士のものならよろしい。日本郵船とかあるいは三菱の船が沈んだ、そういう個人のもの、私有のものを契約をするならよろしい。少くとも戦前何億という金を使つた国民の血税の金だ。しかも国有財産にそれが引継がれている。県が知らなくても君らが知つているのだから、なぜこの契約がいかぬということをやらなかつたか。
  325. 武岡賢

    武岡証人 それは私はばかかもしれませんが、全然気がつかなかつた
  326. 田渕光一

    ○田渕委員 いや、ばかじやない。君はよほどりこうだ、君は相当もうけている。何千万と売つているのだからばかじやない。それははつきりわかる。
  327. 武岡賢

    武岡証人 そりや事業とこういう書類とはおのずから違いますよ。私が言うばかは、この書類面においてはそういう気がつかぬ。事業とか商売とかそういう才能とはこれは別ですよ。
  328. 田渕光一

    ○田渕委員 しからば県庁が何も言わぬから、国有財産をどこまでも最初の第一回二十四年時代の契約の九十三万円で、いくらもうかろうとも、これを売つていても国家が文句を言わぬと思つていたのか。
  329. 武岡賢

    武岡証人 それはあなたの感違いですよ。
  330. 内藤隆

    内藤委員長 ちよつと待つて。発言するときは委員長許可を得なければならない。
  331. 武岡賢

    武岡証人 はい。それは三十トン以上の追加は追つて切符が来まして、それで金を払うように指示が来ております。それから九十三万円のほかにところてんの押し出しみたいに金をとると言つている。
  332. 田渕光一

    ○田渕委員 これはたいへんだ。きのうの証人と大分違つて来た。契約書の第二項に書いておるか、追つて払えなんということは書いてない。さらに契約を更改しましたか。
  333. 武岡賢

    武岡証人 それは建設省から私の方に直接に来た書類じやないのですが、県庁を経て書類が来たのです。昭和二十六年三月七日に商工第七七号が私のところへ来たときに、書類がついて来たわけなんです。その書類建設省発第一四五号、建設省管理局長から山口県知事あての「旧軍艦陸奥搭載物件引揚作業に伴う超過引揚分の経理について」という書類が来たのです。それをあなたの方にお見せします。
  334. 田渕光一

    ○田渕委員 それを読んでください。
  335. 武岡賢

    武岡証人 「本件に関する経理的措置は物件の販売価格(時価基準)より超過分の引揚に要する経費を控除した差引純益金に対する三〇%以内を業者の利潤として認め残額は直ちに国庫に納入する手続をとること、なお諸経費については貴庁において綿密な検討を加え極力冗費の節約をはからしめること、」「作業終了後遅滞なく超過引揚分に関する収支明細書を当省に提出すること、」こういう書類が来たのです。それから今あなたのおつしやるように引揚げた分は全然九十三万円以外に金を出さぬ、こういうことでなくて、全部その明細を出して、仕事が済んだときにそれで収支決済をやる、こういうことなんですから、なおこれから県から何千万円払えというか、あるいは何十万円、何百万円払えというか、切符が来てみなければ正確にはわかりませんが、甘大体の見当はつきます。あなたがおつしやるように、九十三万円であの軍艦搭載物全部をぼくがとつた、こういうのじやないのです。
  336. 田渕光一

    ○田渕委員 わかりました。そうすると、つまり国庫へ払うのだから納入告知書が来ているわけだ。その納入告知書というのは中国財務局から来ているのですか、山口県から来ているのですか。
  337. 武岡賢

    武岡証人 それはぼくの推察では県庁から来ております。しかし国庫に納入をやつているのはやはり大蔵省でしよう。書類は一枚来ております。
  338. 田渕光一

    ○田渕委員 一枚来ておる。その額は幾らですか。
  339. 武岡賢

    武岡証人 十二万八千八百五円、一番初めに来ております。三十トン超過したらすぐ……。
  340. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、この山口県と西日本海事工業との契約というものはこうなつておるのに、どんどん超過物件が揚り出したというがことがわかつたから、建設省の指示もあり、山口県から納めろというので、山口県へ払つたというのですね。
  341. 武岡賢

    武岡証人 まだ払つておりません。切符が来てすぐ事件になりましてすぐ取上げられたのです。いまだに未払いですが、書類検察庁に証拠物件としてとられております。
  342. 田渕光一

    ○田渕委員 これはふかしぎだ。搭載物件について契約したのが九十三万円、その後にその契約を更改したかというとしておらぬというのだ。山口県の商工課長がきのう証言でそう言つていた。この契約を更改してない、直してないのに、またさらに金を払えということを山口県からだすというのか、私たちはふしぎなんだ。この契約面から行くと、そんな必要はないんだ。
  343. 武岡賢

    武岡証人 それはわれわれはこういう官僚のことは全然無知ですね。わからぬからそれでいいのだと思つておりました。相手がわれわれの業者間ならば、それは不審な点は突かにやならぬですけれども、相手はわれわれの崇拝しておる役人でしよう。もつともな話だからそれでいいのだと思つておりました。われわれもその点なるたけ有利な方がいいからと思つてつておりました。
  344. 田渕光一

    ○田渕委員 それはそうだろう。有利な方がいいから默つていた。それはよくわかるが、そこまで率直こ言うてもらえばたいへんけつこうなんだ。しかしもうからなければ、あなたはたとい十二万八千八百五円でも払わなかつたでしよう。損した上に告知書が来れば……。やはりもうかつておるから、默つてこれを受けているのでしよう。どうですか。
  345. 武岡賢

    武岡証人 それはそういうことは全然考えておりません。初めから言うように、私は搭載物件に対しては利潤は一つ考えておりません。ただこの仕事をやれば、大きな地下資源陸奥がとれるという信念のもとにやつたのです。たといそれが何百万円借金をしてでも払います。今広島へ帰れば、私の顔で百万円や百五十万円の金は何時でも時間の猶予さえあれば借りてお払いしますよ。
  346. 田渕光一

    ○田渕委員 それは許可をとつて契約書が生きておるのだから、それは百万円でも貸すのだろう。それ以上にあなたは財産も信用もあるのでしよう。それはよろしい。かりにどこへ行つても百万でも二百万でも借りられるという信用があるから、払わないでもいいものを、山口県から告知書を出してくれば、あなたは払うのですか。
  347. 武岡賢

    武岡証人 それは県庁は民間や何かと違うて不渡りをするようなこともなければ、全然人民に迷惑をかけるようなこともせぬ。だから県庁がやることはわれわれも信用する。たとえば来たら値段の折衝をしてあるいは今度のこの事件が終了しましても、超過引揚げがあるのだから、何百万円来ましても、これは当然払いますよ。どのようなことがあつても、私の財産を売り払つてでも、作業船を売つてでも、払いますよ。
  348. 田渕光一

    ○田渕委員 ところで私はふしぎなのは、十二万八千八百円というものはほんとうは、契約面からいうときは、山口県はあなたに告知書を出せないのだ。われわれの見るところでは……。それを出したというところに、山口県とあなたの方とのふしぎがあるのだ。いわゆる建設省の超過分をとるについても、山口県が契約をして、何ら建設省の指示を受けたとも何とも契約面に書いてない。何で建設省が横から口を入れて来るか気がつきませんか。
  349. 武岡賢

    武岡証人 ぼくは知りません。仕事に熱中してそんなことは考えていません。
  350. 田渕光一

    ○田渕委員 おかしいんだね。少くとも一つ西日本海事工業というような、陸奥搭載物件引揚げを取巻く問題で紛糾が起きて初代社長が七百万円で手切れをもらい、二代目が五百万円もらつた。その金もブローカーから集めたというような情報をとつておる。どんどん鉄材が揚るのだから、スクラップとして売れるのだからということで、三人も五人もから集めて来たということを聞いておる。あなたが広島へ帰れば百万円でも借りられるというのは、行つてみなければ事実かどうか私にはわかりません。少くとも初代に七百万、二代目に幾らか、三代目があなただ。あなたが三代目で、これだけ赤字を出しているのに、山口県から十二万八千円持つて来れば、あるいはあと何百万でも来れば、払うというのはどういうわけですか。
  351. 武岡賢

    武岡証人 それは当然払わなければならぬものだから私は払うのですが、どうでもいいものなら私は絶対払わぬですよ。県が切符を出すということは、県庁の知事なり、あるいは建設省か、大蔵省か何かわかりませんが、むやみやたらに西日本に払えという切符を出せと言わないと思いますから、私が今言う通り払うというのです。さつき言われるように、私がブローカーから金を集めた。なるほどブローカーからも集めました。ブローカーから集めたということは陸奥引揚げ成功したと思うから向うも払うといつた。初めの金は……。初めは決してブローカーからとつてはいません。
  352. 田渕光一

    ○田渕委員 この最初の契約は陸軍中佐とかをしておつた田中君がやり、それから二代目が田中君をおつぱらつて葛西君がなつた葛西君がなつて協定書をつくつたときに、あなたが山口県の商工課の河崎というものと一緒に立会人になつておる。これはほかの委員から聞きましたか。まだ伺わないのですか。
  353. 武岡賢

    武岡証人 まだ聞きません。
  354. 田渕光一

    ○田渕委員 この河崎潔という山口県の商工課の係長と武岡君との間に何か知合い関係があつたのですか。
  355. 武岡賢

    武岡証人 それは仕事以外には知合いはありません。そして紛糾しておつたのは、結局県庁としましては、私の臆測を申しますと、非常に面子の問題で、うまく解決して早くこの仕事を完遂してもらわなければならぬという責任問題で河崎さんが来られて、状況を見、それから自分の見た目でうまく円満解決したと思えば、すぐ仕事にむち打つために河崎君が来られたとぼくは思うのです。
  356. 田渕光一

    ○田渕委員 きのう商工課長小田君の言うのにはとんでもないところへ判を押して来たというので非常にびつくりしたのだ、こう言うから第六に「立会人たる県は、第一つ回分割金支払のありたることを認めたるときは、乙に対し作業再開及火薬使用許可をなすものとす。」ということがこの協定に書いてある。これはあなたも立ち会つたのであるから、だれからこの案が出た、県から言い出したものか、それとも君が言い出したのか、それから葛西君の代理人である沢田弁護士が言い出したものか。
  357. 武岡賢

    武岡証人 それはだれから言い出したかといつて問題はそこが問題だと思うのです。けんかをしたのも——けんかといつたらことさら大きいようなことになりますが、葛西田中のことは。おのずから作業へ来れば、火薬許可証は自然的にどつちかにつくもんです。その火薬の問題はついたとぼくは思います。
  358. 田渕光一

    ○田渕委員 この協定書をつくるときに、田中恒治君が自分で出て行つているが、葛西君には代理人として沢田という弁護士が行つてつた。それはあなたは知つておるね。
  359. 武岡賢

    武岡証人 それは知つております。
  360. 田渕光一

    ○田渕委員 この二人でできたのではなくして、河崎君が協定書に判を押さしておる。それはあなたが言い出したか、だれが言い出したのか、結局あなたが言わなければ言うものがないじやないか。葛西はすでに十一月二十日手を引くことはきまつておる。あなたがなるのだから……。これは九月の二十七日、あと一月たてば君が社長になるのだから……。
  361. 武岡賢

    武岡証人 それはわかりません。それは未知数ですよ。先のことがわかつておれば……。さつき私は委員長に申したように、私がやめるとか、葛西君が引くとかいう問題は起らんじやないですか。当然ぼくが社長になるということがわかつておれば……。
  362. 田渕光一

    ○田渕委員 どうもその点私ははつきりしたいのだ。たといだれが社長になるかわからぬけれども、ともあれ九月の下旬へ来て、協定書をつくつて、ごてごてが治まつて、そのときに県を引きずり込んだというのは、これは沢田弁護士がやつたか、あるいは君がやつたか。
  363. 武岡賢

    武岡証人 それは今までにそういう諸問題がありましたから、これはだれが言うたとも言わずに、おのずからその雰囲気がそうさせたのだとぼくは思うのです。県庁の役人がおればこれほどかたいことはないと思うから、みんなで、河崎君も何らの考えもなくやつて課長におこられた、こういう言を聞きましたが、自分はそのときの雰囲気によつてうまくこのことが解決がついて、自分の担当しておる陸奥仕事を促進するために、自発的に判を押したとぼくは思う。だれが言つたのでもないと思います。
  364. 田渕光一

    ○田渕委員 だから話ができて契約書に判を押すならばよいけれども、協定書の第六に「立会人たる県」はということを書き入れておる。はつきり知らずに河崎君が判を押したのではない。
  365. 武岡賢

    武岡証人 これは初めからうまくやつて行こうということで、みんな案を持つたか持たぬか知りませんが、集つてその場でそれをきめたのですから、そこにおる人はみんなそういう書類の中に入つておるとぼくは思います。
  366. 田渕光一

    ○田渕委員 これは協定書の條文というか、沢田という弁護士がつくつたのですか。そのときに…。
  367. 武岡賢

    武岡証人 それは弁護士がつくつたかと言われますが、むろんわれわれは弁護士に来ていただいたのは相談相手に来てもらつたのですから、大半の知恵といいますか、何といいますか、あるいはその当時のことを思い出しても思い出せませんが、それはおそらくあなたのおつしやるように、弁護士が大半つたと思います。そうでなかつたら当時弁護士はいりませんわね。(笑声)
  368. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると弁護士が「立会人たる県は」ということを入れて、これを承知の上で河崎君が判を押しておる。河崎君がただ円満にまとまればいいから来てくれというので話がついて、それでよろしゆうございます、こういう協定書ができました。河崎さんあなたもちよつと立ち会つてくださいというので簡単に判を押したのではない。県がこの中に非常に深く入つているということはわれわれにはわかる。
  369. 武岡賢

    武岡証人 それは田淵さんのおつしやるようなことも考えられます。しかしその当時おつた当事者をみんな呼んでもらえばわかりますが、そういうような不愉快な考えはだれも持つておらなかつたと思うのです。それは河崎さんとしてもそれをうまく解決してから仕事をしなければならぬということは、さつき私が言いましたように、県の方も上の官庁からたたかれまして、なるたけ西日本の今までやつたことは契約書限り何にも仕事をしておらぬじやないかということを再三再四やられておるものだから、官の立場があるものですから、一心同体になつて、その雰囲気でとにかくうまく解決すればよいといつて、善意を持つてつた。何ら会社に云々するという田淵さんのおつしやつたことは微塵もないとぼくは思う。そのときの雰囲気から察しまして……。
  370. 田渕光一

    ○田渕委員 この契約書はどこでつくりました。
  371. 武岡賢

    武岡証人 これは柳井の宿屋でつくりました。
  372. 田渕光一

    ○田渕委員 その宿屋は何という名前ですか。
  373. 武岡賢

    武岡証人 ぼくは柳井はあまり詳しくないのでわかりません。行けばわかりますが、駅の前です。
  374. 田渕光一

    ○田渕委員 これは何時ごろつくられましたか。大体夕方ごろ話がついたのか、それとも午前中か。
  375. 武岡賢

    武岡証人 とにかく話は夕方ごろからありまして、結局判を押したのは一時か二時だと思います。
  376. 田渕光一

    ○田渕委員 非常にこういうことまで聞きたくないが、私はこの河崎君がここで引きずり込まれたということは、なるほど一心同体で早くこの問題を片づけたいという県のあせりもあつたかもしらぬけれども、まあまあここはおれたちにまかしておけ、おれたちでちやんと仕上げをするというからというような雰囲気に持ち込んで来たために河崎君が押した。それで帰つて河崎君が課長にしかられたということになるのではないか、率直に言つて……。
  377. 武岡賢

    武岡証人 それは課長考えもあるでしよう。あなたの考えもあるでしよう。私は終始一貫さつき言つたようにそういうことはないと思うのですよ。ということは、当時この陸奥が揚るか揚らぬかだれが知つておるか。われわれも知つておらぬ。やつてみなければわからぬ。とにかくやつでみようじやないかというのでやつたので、これがもしうまく行かなければ、また河崎君は上の官庁の人から叱責をされると思う。とにかく早くうまくやつて仕事をする。こういうことで何にもそこになかつたと思うのです。それで河崎君が判を押した状況を今考えてみますのに、とにかく仕事をうまくやつてくれという以外に何もなかつたということなんです。
  378. 田渕光一

    ○田渕委員 河崎君がここまで入つたということは、課長も、きのうも佐竹委員の質問に対して、一回も芸備倉庫を見ておらぬと言つておる。課長はまるきりこれに関係しておらぬ。課長をすつぽらかして商工部長と河崎との間に話があつて、その上に何があるか、これから調べて行くのだが、相当河崎君が上の方から早く片づけろと言われておつた。あなたの方も早く片づけてなるべく早く許可してもらいたいということと、火薬をもらいたかつたのだろう。
  379. 武岡賢

    武岡証人 まつたくそうです。
  380. 田渕光一

    ○田渕委員 それだから宿屋で話が一時ごろまでかかつた。料亭にしろ、宿屋にしろ、料理旅館かどうか知らぬが、喧々鴛々の論でできたのじやない、ぼくはたいていそこの空気はわかる。まあ何とかまかしておけ、そうすればうまく行くのだ、というような程度の話で一時ごろまでやつていたということになるのでしよう。
  381. 武岡賢

    武岡証人 それはあなたの間違いです。そのときの状態は、田中恒治という人は、書いてあるように、弁護士の弘田さんに一事が万事相談しておつた。弘田さんというのは柳井の近所ですから、おのずからわれわれがそごへ行つて、一々の事項を弘田先生許可を得て書いておつたために、夜分十一時にも十二時にも、一時にも二時にもなつたのです。しかるに今あなたのおつしやるように、料亭とか料理兼宿屋とかいうことは全然なくて、寝たら、かやがなくて、みんなかに食われたような状態で、とてもそういうようなぜいたくな調印なんかはしておりませんよ。
  382. 内藤隆

    内藤委員長 田淵君に申し上げますが、あとにまだ二人もおるようでありますから、ひとつ簡潔に願います。
  383. 田渕光一

    ○田渕委員 まだありますけれども、留保しておきまして、では最後に聞きましよう。さつきあなたは井上委員の質問に対して、十何べんか許可をもらつたと言われたが、十二へんですか、それははつきりしておるのですか。
  384. 武岡賢

    武岡証人 十一ぺんであります。しかしこれは確かなことははつきりわかりません。十一ぺんは大体間違いないと思います。
  385. 田渕光一

    ○田渕委員 十一ぺんという記憶がはつきりしておればいいが、これが九通しか合同捜査に出ておらぬということをあなたは聞きましたか。
  386. 武岡賢

    武岡証人 聞きました。
  387. 内藤隆

    内藤委員長 田淵君に申し上げますが、その点、二通の写しが資料として出ましたから……。
  388. 井上良二

    ○井上(良)委員 最後にもう一点聞いておきたいのですが、あなたが社長になるまでに、どのくらいダイナマイトを使つておりましたか。あなたになつてからはどのくらい使いましたか。
  389. 内藤隆

    内藤委員長 その点井上君に申し上げます。武岡君の以前には約一トン、それから武岡君になりましてから二トンほど使つて、合計三トンほどのダイナマイトを使つておるという証言をしております。
  390. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、その二トンはおもに非鉄金属を揚げる目的に使つたわけですか。
  391. 武岡賢

    武岡証人 そういうことです。
  392. 井上良二

    ○井上(良)委員 その中に鉄が入つてつたわけですね。
  393. 武岡賢

    武岡証人 そうです。
  394. 井上良二

    ○井上(良)委員 その割合はどのくらいですか。
  395. 武岡賢

    武岡証人 その割合は、今ぼくははつきり覚えませんが、大体さつき言つたように、鉄として五百トンちよつと出るのではないか、そして非鉄として百二十トン前後じやないかと思います。
  396. 井上良二

    ○井上(良)委員 それから最後に聞くが、あなたはさいぜん問題は陸奥艦体引揚げにある、従つて艦体引揚げの申請をしておると言われたが、それはいつ申請しているか、具体的にだれに会つていますか。
  397. 武岡賢

    武岡証人 それは十二月の暮から昭和二十六年の一月までの間に一ぺん出しました。
  398. 井上良二

    ○井上(良)委員 当局に会いましたか。
  399. 武岡賢

    武岡証人 それは船舶の係りの人にも会いました。
  400. 井上良二

    ○井上(良)委員 それは建設省ですか。
  401. 武岡賢

    武岡証人 いや大蔵省です。
  402. 井上良二

    ○井上(良)委員 わかりました。
  403. 浦口鉄男

    ○浦口委員 一点だけお尋ねしておきます。証人は、昭和二十四年六月二十日の田中社長との間にとりかわされた契約書はお認めになつておることは、先ほど証言で承りました。それに付属しております業務監督要項と作業計画というものが、山口県から示されておりますが、これも御承知と思いますが、いかがですか。
  404. 武岡賢

    武岡証人 はあ、知つております。
  405. 浦口鉄男

    ○浦口委員 その中で、西日本海事工業は引揚げ作業の過程において、作業日報というものを毎月一日から十日まで上旬、中旬、下旬ごとにとりまとめて、県に提出するということになつておりますが、これはあなたが社長になられてからも引続きやられましたか。
  406. 武岡賢

    武岡証人 はあ、やつております。
  407. 浦口鉄男

    ○浦口委員 次に引揚げた物件を売るときは、売却申請書を県に提出して、その指示を受ける、こういうことになつております。またそれを売却したときは、その都度遅滞なく売却調書を県に出す、こういうことになつておりますが、これもやつておられますか。
  408. 武岡賢

    武岡証人 はあ、出しております。
  409. 浦口鉄男

    ○浦口委員 次に引揚げ処理に要した諸経費の明細書を毎月末日をもつて作成し、翌月七日までに県に出す、これも出しておりますか。
  410. 武岡賢

    武岡証人 大体は出しておると思いますが、その引揚げ経費などは、実に細部にわたつて、一箇月やそこらではとてもできぬというので、それは月にまたがつてつておると思います。
  411. 浦口鉄男

    ○浦口委員 その引揚げ物件の明細書は、これが問題になつてから、岩国市の警察署の捜査による資料が出ておりますが、これと同じ種類のものが、これと同じ数量、その都度県の方に届けられておりましたか。
  412. 武岡賢

    武岡証人 はあ、大体そういうように行つております。
  413. 浦口鉄男

    ○浦口委員 大体ですね。実はきのうの商工課長小田さんの話によると、そういう届出をたまたま見たこともあるようだ、こういうふうなたいへん漠然たる答弁があつた。それで、その内容は、と言つて私がお聞きしましたところが、どうも内容もはつきりしない。そこで私は引続いて、もしその内容がこのたび岩国市の警察署によつて調べられたような明細が出ているならば、明らかにこれは契約書に基く搭載物件、いわゆる許可物件の範囲を逸脱しているものだから、違反だということがすぐわかつたはずじやないか、こういうことを私が尋ねましたところが、そういうことは自分が発見できなかつた、こう言つておるわけです。その点いかがですか。
  414. 武岡賢

    武岡証人 それは契約の條項に何の何を揚げたということは書いてないのです。大体非鉄、スクラップ、こういうような大まかな報告だけで、そのうちの小さいものは全然やつておりません。契約書にもそれはうたつていないわけです。
  415. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういう契約でなかつたとすれば、しかたがありませんが、業者が明細を出せば、結局契約書に違反した、許可以外のものを引揚げたということになつて、県から中止を命ぜられるので、県に対する届出は、実際揚つたものと別な、いわゆる許可範囲内においてのものだけを届け出た、こういうふうにわれわれ議定していいかと課長に聞きましたところが、その通りですと言つておりますが、いかがですか。
  416. 武岡賢

    武岡証人 それは課長の誤解だと私は思います。ということは、細部にわたつて報告せよという書類がないのに、何も細部にわたつて報告する必要もなし、ぼくは田淵先生にも申したように、今引揚げた全部のものに対して、許可のないものは何一つもないと断言しているのです。全然それは課長の間違いですよ。何かの感違いですよ。
  417. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでは、それは証人の確信として承つておきます。
  418. 武岡賢

    武岡証人 はあ、どうぞ。
  419. 田渕光一

    ○田渕委員 もう一度、一点だけ伺います。あなたは河崎さんと非常に御懇意だという情報が入つているのですが、そこでこれは率直に聞きたいのだが、あなたの知つている河崎さんという人は幾つくらいの人ですか。
  420. 武岡賢

    武岡証人 年の点は、戸籍を調べなければわからぬです。人間にもよりますし、頭にしらがが多いとか少いとか、いろいろありますから……。
  421. 田渕光一

    ○田渕委員 少くとも立会人になつて、夜の一時ごろまで一緒にやつているのだから、およそはわかるでしよう。
  422. 武岡賢

    武岡証人 はつきりとはわかりませんが、三十四、五くらいかな。
  423. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたの言う河崎さんというのは、潔さんか、寅さんかどつちか。
  424. 武岡賢

    武岡証人 どういう意味ですか。
  425. 田渕光一

    ○田渕委員 潔と寅と二人立会つておる、河崎という人が……。
  426. 武岡賢

    武岡証人 はあ二人おられました。そう言われれば……。
  427. 田渕光一

    ○田渕委員 その河崎という人とあなたと非常に懇意だという情報が入つておる。
  428. 武岡賢

    武岡証人 どつちの河崎ですか。
  429. 田渕光一

    ○田渕委員 どつちかわしにはわからない。それで聞く。
  430. 武岡賢

    武岡証人 話しますが、ぼくはどつちの河崎さんも。県庁の河崎さんというのは仕事の上で知つておりますが、先生が言うように、懇意でしよう、知らぬ人よりは……。その程度で、もう一人の河崎さんというのは初めてぼく会いました。
  431. 田渕光一

    ○田渕委員 初めて来て立会つたというが、だれが連れて来たか。
  432. 武岡賢

    武岡証人 これは田中の債権者の代表として来たらしいのです。ぼくはそこで初めて知つたわけです。田中恒治の債権者代表として来たのです。
  433. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、その晩初めて来たのであつて、別の県庁の河崎と何ら関係はないのですか。
  434. 武岡賢

    武岡証人 そういうことは気がつかなんだ。そういうことは全然……。債権者の代表として来られたんですよ。それが文句言いおりました。
  435. 田渕光一

    ○田渕委員 そこではつきりして来た。そうすると、この河崎寅という人は、その晩初めて来たのだ、田中恒治の債権者の代表として……。そうすると、河崎潔という人とあなたは非常に懇意であるということになつておるのだが、以前から何か関係がありますか。
  436. 武岡賢

    武岡証人 以前から関係は全然ありません。
  437. 田渕光一

    ○田渕委員 この払下げで…。
  438. 武岡賢

    武岡証人 ええ、この払下げで……。
  439. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、武岡証人に対する尋問は終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでした。  午後ば二時より再開することとし、それまで暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  440. 内藤隆

    内藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまお見えになつておられるのは岡谷良文君ですね。
  441. 岡谷良文

    ○岡谷証人 岡谷良文でございます。
  442. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求むることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、戦艦陸奥に関する事件につき証言を求めることになりまするが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及ひ医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が、職務上の秘密に関するものであるときは、その旨をお申出を願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人岡谷良文君朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  443. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  444. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたしておきます。なお、こちらから質問をしておるときはおかけのままでよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人岡谷君は現在山口地検次席検事をしておられるのですね。
  445. 岡谷良文

    ○岡谷証人 さようでございます。
  446. 内藤隆

    内藤委員長 元戦艦陸奥搭載物件の不正引揚げ事件の概要を御承知と思いまするが、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  447. 岡谷良文

    ○岡谷証人 どの程度に御説明申し上げたらよろしいのか、その精粗の関係がよくわかりかねまするが、ごく簡単に申し上げまするならば、山口県の岩国の沖合いに沈んでおります軍艦陸奥を、西日本海事工業株式会社引揚げ許可を受けまして、県当局との間に戦艦陸奥搭載物件引揚げ並びに処分に関する契約をいたしまして、それによつて搭載物件引揚げをいたしたわけでございますが、その引揚げにからみまして、その契約面から申しますと、引揚げてはならないはずの物件が多数引揚げられておるというのが、容疑の内容でございます。昨年の五月中旬から警察が事件の捜査を始めまして、検察庁が送致を受けましたのが六月の何日かでございます。いろいろ事情がございまして、捜査を継続いたしまして、ただいまほとんど捜査が終了に近いという段階まで参つておるのでありますが、まだ最終的な決定はいたしておりません。
  448. 内藤隆

    内藤委員長 会社が最初県当局に提出いたしました作業計画書には、非鉄金属解撤によつて引揚げることとなつております。従つて艦体の爆破解撤を行うことは初めから承認されておつたわけでありますが、軍艦陸奥が国有財産としての返還を受け、国有財産となつてからも、引続いて爆破解撤による引揚げを許容されておると解釈していいかどうか。この点についてあなたの御見解をひとつお述べください。
  449. 岡谷良文

    ○岡谷証人 お尋ねの前段の、会社が県へ提出した計画書というのを実は私存じません。私の方で知つておりますのは契約書でございます。ですからそれ以前の、ただいまおつしやつたような事情については、ほとんど知つておりません。
  450. 内藤隆

    内藤委員長 その契約書に基いての御判断はどうでございましたか。
  451. 岡谷良文

    ○岡谷証人 私の承知しております契約書によりますと、爆破解撤ということはないのでございますが、一定数量非鉄金属引揚げてもよろしい、それ以外の物件を引揚げてはならないということです。
  452. 内藤隆

    内藤委員長 昨日来の証人がここで証言しておるところによりますと、非鉄金属引揚げることのお許しを得た以上は、これを引揚げるには、実際において解撤をしなければ引揚げられないというのです。
  453. 岡谷良文

    ○岡谷証人 契約の根本が搭載物件引揚げなんです。ですから契約からいいますと、引揚げてよろしいものは搭載物件に限られておる。艦体そのものには手を触れることはできない。これが契約の正面からの解釈であると考えております。
  454. 内藤隆

    内藤委員長 あなたがその計画書を御承知ないということから出発しますとそうでありますが、しかしこの非鉄金属引揚げるには、やはり何としても解撤しなければ引揚げられないというのが実情なんですがね。
  455. 岡谷良文

    ○岡谷証人 実は直接自分が捜査いたしておりませんために——実は私の着任以前から捜査が始まつておりまして、検察庁の捜査も、私が着任いたしましたときには、ある程度進んでおりました。さような関係から、私が十分知つていない事柄があるかもしれませんが、私が聞いております限りでは——捜査に従事した検察官の話はずつと聞いておりますが、お話のような解撤した上で引揚げるということは聞いておりません。
  456. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、証人のここでの証言によりますと、事実は解撤しなければ引揚げられないし、また解徹をしておることは間違いないのですが、そういうこともお認めになりませんか。
  457. 岡谷良文

    ○岡谷証人 私の知つておりますのは、火薬を使つたの——たとえばあれは艦自体が、艦尾に近い火薬庫が爆発して沈んだものなんです。そのために、本来艦体の一部であるべきものが、本来の爆破のために、周囲の海底に散つておる。これらに相当大きな物件もあるので、引揚げ一つの方法として、大きなものを小さくして引揚げる。そういう際に火薬使つておるというふうに私は承知しております。
  458. 内藤隆

    内藤委員長 当委員会におきまする証人証言は、たとえば艦体搭載物資が入つておる部屋があるが、軍艦がひつくり返つておりますから、そこに入るには、どうしてもその部屋のドアなり、あるいはまた鉄板を破らなければならぬので、その場合に火薬を用いておるというのです。
  459. 岡谷良文

    ○岡谷証人 わかりました。それは承知しております。搭載物件を取出すために、何かそこに至るまでの障壁めいたものを爆破しておるということは聞いております。
  460. 内藤隆

    内藤委員長 それをあなたの方では解撤と認められないのですね。当委員会の事務局の調べによると、たとえば非鉄金属中の推進器とかいうふうなものは、実は解撤しなければ揚らないものなんですが、そういうものを火薬使つて爆発して解撤しておる。こう証人も述べておられるのでありますが、国有財産に返還された後の陸奥をさようなことをしても、それは県と結んだ契約の許容範囲のものかどうか、この点を聞いておる。
  461. 岡谷良文

    ○岡谷証人 お尋ねと多少食い違いがあるように思いますが、本来の姿のままで艦に付属しておる艤装品のようなものを、ことさら解撤して引揚げたというふうには聞いていないのであります。
  462. 内藤隆

    内藤委員長 どんなものを引揚げたように聞いているのですか。
  463. 岡谷良文

    ○岡谷証人 引揚げ物件の中に、お尋ねのような、たとえば油冷却器、それからスクリュー・シヤフト、復水器ですか、こういつたようなものがあつたということは聞いております。
  464. 内藤隆

    内藤委員長 そうするとあなたのお聞きになつておることは、許可された範囲のものだ、こうおつしやつたのですか。
  465. 岡谷良文

    ○岡谷証人 いや、ですからその点で話が途中で食い違うのでございますけれども、結論として今のお尋ねに対して申し上げるならば、ただいまおつしやつたようなものは全部艦体そのものになるのです。艦体というのは、艦体もしくはその艤装品、いわゆる搭載物件でないことは明らかでありますから、さようなものを引揚げることが絶対にできないことは明らかであります。どちらにしましても、この契約というものは、搭載物件引揚げに関するものでありますから、搭載物件以外のものを引揚げるということは、契約のそもそものらち外であります。契約の頭書の趣旨は搭載物件引揚げに関する契約なんです。搭載物件以外のものについては、何ら契約は触れていないのであります。
  466. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、あなたの搭載物件ですか、物資ですかの解釈は、どう解釈しておいでになつているのですか。
  467. 岡谷良文

    ○岡谷証人 艦体並びにこれに固定しておる擬装品と申しますか、さようなもの以外のものを搭載物件と申します。
  468. 内藤隆

    内藤委員長 西日本海事の社長解釈とはたいへんにその点に食違いが生じて参りましたね。あなたの今解釈されておる搭載物件というものと、許可による搭載物件の中の非鉄金属というものが、やはり加わつておるのですがね。この艦を引揚げる方と許可した方との食い違いが、非常に私は大きいものがあるのじやないかと思われるので、この点をことに聞いておるのですが、この非鉄金属というものを引揚げる場合に、どうしても解撤をしなければならないということは明らかにわかつておるのだそうです。それがわかりながら、非鉄金属を三十トン引揚げ見込み数量として許可をしておる。こういう点をお尋ねしておるわけであります。しかしこれはこの問題の根本をなすことだと思うが、爆破解撤による非鉄金属は、ともかくも県との契約においては引揚げられることになつておるのです。われわれの聞かんとするのは、特殊物件であつた場合なんです。その特殊物件であつたものが、国有財産に返還されて来た、国有財産に返還されても、なお爆破解撤による引揚げをずつと継続しておるのですか。それは許容されておるものと解釈していいかどうか。こういう点を聞いておるのですがね。
  469. 岡谷良文

    ○岡谷証人 お尋ねになるところとの食い違いが若干わかつて来たような気がしますが、われわれが問題にしおるのは二十五年の十一月以降、二十六年の三月ごろまでの間の引揚げ、これだけがわれわれの今度捜査いたしました目標になつております。で、艦体の返還があつたのは二十五年の五月でございましたね。ですからそれ以後のことをわれわれも問題にしております。それ以前のことは、先ほど申し上げたようなことで、捜査の対象になつていない。そのためにただいまのような食い違いが出たんじやないかと私は思います。われわれの捜査の対象としておるのは、艦体が返還されて後のことであります。
  470. 内藤隆

    内藤委員長 結局はこうなんですよ。国有財産になる前と、五月幾日ですかね。返還になつて国有財産になつてから後と、同じ爆破解撤作業を続けているかどうかということなんです。
  471. 岡谷良文

    ○岡谷証人 どうも私は、その前とあととをことさらに区別して考えていなかつたのです。これまで私が聞いておる範囲では、その前後を区別して私どもは議論しなかつたのです。
  472. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、特殊物件である場合も、国有財産に帰した場合も、どういうふうに考えておられたのですか。
  473. 岡谷良文

    ○岡谷証人 というのは、問題は搭載物件にあるので、艦体ということをわれわれは問題にしていないわけなんです。この県と会社との間にできました引揚げ契約というのは、搭載物件だけに関するものであつて艦体のことは何も触れていないわけですから、艦体の返還かされようとされまいと、その事柄は何ら影響がないのだということになると私は考えます。
  474. 内藤隆

    内藤委員長 それは少し合点が参らぬですな。艦体というものの中に搭載物資があるのでしよう。そうするとそれが平常のままにあるなら、ドアをあけて入ればよい。倉庫のかぎをあけて入ればいいと私は考える。だがこれがひつくり返つておるとき、ここへ入るには、どうしても艦体というものの一部を爆破しなければ入れないでしよう、現実的に……。その場合に、一体今のあなたのおつしやつた搭載物のみを対象にして考えておるということは、これはどういう意味なんです。やはり艦体というものを考えなければ搭載物というものも考えられぬじやありませんか。
  475. 岡谷良文

    ○岡谷証人 いや、私の申し上げるのは、引揚げ並びに売却の対象になるのは、搭載物件だけだというわけですね。その搭載物件引揚げる手段として、艦体に触れなければならぬかどうかというようなことをお尋ねでありますね。それにつきましては、先ほどもちよつと申し上げましたように、中に入つておる搭載物件をとるがために、艦体の一部を火薬使つて爆破するということは承知します。
  476. 内藤隆

    内藤委員長 そうでしよう。私の申し上げるのは、あなたの今解釈された事件の対象としておるものは、單に搭載物資に限るのだ、こういうことから見れば、火薬なんかの必要はなくなるんだ、そうでしよう。そういう意味において、私はお尋ねをしておつたのだが、これはいずれ他の委員からも質問があるかもしれませんから、私はこの程度にしておきましよう。  それから国有財産となつてからは、大蔵省の解撤禁止の方針に従つて行くべきものであると思うが、その点どうですか。
  477. 岡谷良文

    ○岡谷証人 それはその通りであると思います。
  478. 内藤隆

    内藤委員長 それから山口県当局のとつた超過引揚げ許可や、作業期間の延長の申達等は大蔵省の解撤禁止の方針を無視した違法行為——これはもつと他の言葉で言うと、国有財産の損壊を企図した違法行為に解されませんか。
  479. 岡谷良文

    ○岡谷証人 お尋ねのうちで、超過引揚げ許可というのは、非鉄金属の三十トンを引揚げた後の問題についてですか。
  480. 内藤隆

    内藤委員長 ええ。
  481. 岡谷良文

    ○岡谷証人 実は私ただいまのお尋ねに対してはつきりお答えするだけの知識がありません。
  482. 内藤隆

    内藤委員長 そうですが。それじやあなたの知り得る範囲で、もしおわかりなければ、そういうことでいいです。  検察当局の見解は、解撤を伴う非鉄金属引揚げ行為をもつて、これを違法としておるのですか。それとも、引揚け物件を契約に定められた方法で売却しなかつたということを、違法として取扱つておるのですか、どつちなんです。
  483. 岡谷良文

    ○岡谷証人 引揚げ行為自体を違法としておるか、売却行為を違法としておるか、こういうことですか。
  484. 内藤隆

    内藤委員長 簡単に言うと、そうなります。
  485. 岡谷良文

    ○岡谷証人 売却した行為が違法であるという見方で、ただいま捜査しております。
  486. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、引揚げ行為には触れていないわけですね。
  487. 岡谷良文

    ○岡谷証人 それは違法という言葉の使い方でありますが、犯罪として成立はしないというふうに考えます。
  488. 内藤隆

    内藤委員長 それじやもし解撤を伴う非鉄金属引揚げ行為が違法でないとするならは——今あなたはそれを坂上げておらぬと言いますが、超過引揚げの承認をたくさんしておるのです。それに火薬使用を許可した県当局、これは一体法律上のそこに責任が生じて来ることとならないのでしようか。あなたのおつしやつたことは、引揚げ行為そのものは違法じやない、揚げた物を売却しておるのを検察当局としては違法として取上げておる、こういうことなんですが、そうすると、超過引揚げの承認を多量にやつて、また県当局においては、多量の火薬使用等を許してやつておるが、法律の責任は県当局にはないというようなお考えですか。
  489. 岡谷良文

    ○岡谷証人 先ほど私の申し上げた点で、少し補足する点があります。超過引揚げ許可を受けて引揚げる限り、これは違法ではないという趣旨で私は申し上げたのです。それと、犯罪として成立しないということを申したのは、証拠の関係とからみ合つて、犯罪の成立が困難だということを申し上げたわけです。
  490. 内藤隆

    内藤委員長 目下のところ検察当局としては、いまだ結論には達しておらないけれども、違法なりとしてやつておるのは、單に引揚げた物を売却した方法において違法であるという点を突いておるわけですか。
  491. 岡谷良文

    ○岡谷証人 そうです。
  492. 内藤隆

    内藤委員長 他に御質問ございませんか。
  493. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 ただいま証人証言になりました搭載物資考え方といいますか、搭載物資とは、いわゆる艦体に付属しておる物も、ここに明示された物以外は搭載物資ではない、かような御証言でありましたが、そういう御見解を持つておられるのでありますか。
  494. 岡谷良文

    ○岡谷証人 具体的な何でお答えいたしますれば、たとえばスクリューのシヤフトとか、あるいは先ほど申しました油の冷却器とか、復水器とかいつたものは、搭載物件には該当しないというふうに考えております。
  495. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 本件で見ると、極東海軍が許可している中に、非鉄金属で名前をあげて、スクリューというようなものも言つております。これは極東海軍の方で許可をしている、いわゆる許可証がついている、従つて建設省許可している、こういうように言つているのですが、それはあなたの御見解では、搭載物資ではないが、事実許可になつておれば、それはさしつかえないのですか、その点伺いたい。
  496. 岡谷良文

    ○岡谷証人 ちよつとあとの方をもう一度おつしやつていただきたい。
  497. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 あなたは今のスクリューなんかは搭載物資ではないと言われるのでありますが、しかし西日本海事に対して許可を與えている極東海軍、それから建設省、これらの方面を経由して山口県が引取る場合は、スクリューあたりは揚げてもよろしいという許可証がついている。こういう場合には、搭載物資とみなされないでも、それはさしつかえないかどうかという問題です。
  498. 岡谷良文

    ○岡谷証人 私その許可証のことを存じませんから、はつきり申しかねますけれども、そのようになつておれば、お尋ねの通り、だと思います。
  499. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 先般の広島の中国新聞の記事でありますから、これは真偽のほどは不明でありますが、あなたの今回の事件に関しての御見解が発表してあつたのであります。それによりますと、本件は窃盗という容疑は薄らいだ。そこで横領ということに今重点を置いている。こういうように記事があつて、それで横領の点で起訴するやもわからない。こういうように書いてあつたのでありますが、その点は、どういう点が横領になるのか。事件捜査の範囲内でおつしやれる程度のことをお伺いしたい。
  500. 岡谷良文

    ○岡谷証人 なぜ横領でやるようになつたかというお尋ねに対するお答えとしては、当初の見込みの窃盗としてやれなくなつた。われわれの方で言えば、窃盗としては証拠関係上くずれて来たということになるわけです。そのうち若干補足いたしますならば、第一にこの契約の上から申して、引揚げ許可されている物件と、許可されない物件とのけじめがはつきりしていなかつたというふうな点が出て参りました。ことにその見解について、県の方の見方と会社側の見解とがかなり食い違つているらしい。つまり会社側は、これは引揚げてよろしい物件のはずだというのに対して、県の方では、それは引揚げ禁止されている物件だというふうに、その間の見解が大分違つてつて、しかもそういう点については、こまかいとりきめとかいつたことができていないためと申しますか、禁止物件を引揚げ範囲といつたものに欠けている、そういう点が一つであります。たとえば、私どもの見解によりますれば、先ほども申し上げましたような油の冷却器とか鉄類とかいつたものは、引揚げ禁止されているはずだと考えております。私の聞いている限りでは、県のその方の係の者も、さようなものは禁止物件だとたしか言つておるはずであります。さような物件が引揚げられておるにかかわらず、県の係の方がそれを見のがしておるといつたようなことが、同様に窃盗としての範囲を確認する妨げとなつております。なお鉄につきましては、これは引揚げ許可物件の項目にはまつたく入つておりませんし、鉄について特に引揚げを県が承認したということはないのでありますが、その鉄が相当多量に引揚げられておるということは事実であります。しかしその引揚げについて県も、どう申しますか、県と申していいのですか、県の係の者がこれを暗に黙認と申しますか、暗に容認しておつたらしいというような事情がありまして、さような事情からいたしまして、これを窃盗とすることは困難と考えたわけであります。
  501. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そこでこの問題の一番盲点と申しますか、西日本海事がこの引揚げ作業にあたつていわゆる許可以外の鉄を相当——この参考書類の中にもありますけれども、各所に売つた事実のあることを、昨日来の証人にずつと突きとめ、聞いてみますと、事実鉄は揚げておる。本日の西日本海事の武岡某がここで証言しておりますことは、この鉄は、いわゆる当然非鉄金属を揚げるのに伴つて来た鉄であるから、どうしても鉄が揚つて来る。この鉄の処分をしなければならないということで、山口県の方から、これは承認された許可書というか、あるいは何というか、そういうものが出ておる。そこで本件が事件となつたと同時に、山口県が西日本の事務所に来て、そうしてその書類を持つてつた。その前に合同捜査本部の方から宇品署に出張されて——宇品町に事務所がありますので、調べてみたところが、確かにその書類があつた。この書類二通というものは、山口県が許可したその書類であるにかかわらず、検察庁にあがつたときにはその書類がもうすでにない。こういうことを証言して、今日宇品署の方から証明を持つて来たのでありますが、取調べになつた当時にそういうことはあつたのでありますか、どうですか。
  502. 岡谷良文

    ○岡谷証人 お尋ねの初めの方にありました許可書というのは、実はこれは引揚げの承認というのと、引揚げた物品の売却の許可というのがございます。この契約條項によりまして禁止物件、本来許容されておる物件以外の物件を引揚げようとする場合には、前もつて承認を受けなければならない。別の項でもつて引揚げた物件の売却処分はその都度県の許可を受ける、こうなつております。お尋ねの事柄は、その売却の許可に関する県の與えた売却許可書の問題ではないかと思いますが、それならば、検察庁の方でもそのようなことがあつたことは承知しております。かような物件も証拠物件として残つております。
  503. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 事実そういう許可書山口県において——これは事件の相当重要な参考書類となるものであろうと思うのでありますが、このものを、山口県の県の係の者が持つてつてつたように証人は言つております。なくしたということになりますると——検察当局としてこれは重要な証拠書類でありますが、山口県がそういうことを事実やつたとするならば、県はどういう責めが法律上あるか、その御見解を聞かせていただきたい。
  504. 岡谷良文

    ○岡谷証人 私の聞いておりますところでは、県と申しますよりも、特殊物件の係をやつております県吏員が、そのようなことをやつたというふうに承知しております。一度與えた許可書を、また持つて来させて破つて改めさせたというようなことを聞いております。
  505. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それは山口県の一吏員にしても、山口県の県にしても、検察庁の方での法律上の御見解をこの際聞かせておいてもらいたいと思います。
  506. 岡谷良文

    ○岡谷証人 一旦できました公文書を遺棄したことになりはしないかと思うのであります。
  507. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 さらにその売却の方の、いわゆる許可書といいますか、それは売るということを許可しておつて、事実上は鉄を揚げてはいけない、鉄を揚げていいという許可はついておらない。売る方にのみ許可がついていて、そうして鉄を揚げる方には許可はつけてないが、それは非鉄金属を揚げる場合に、揚つた鉄を当然そういうふうに処分せよということで、山口県ではやつたのですか。その点はどうですか。揚げるときには鉄の許可はない。非鉄金属はあるが、鉄の許可はない。当然揚げれば鉄はついて揚るということを証人は言つております。しかし許可自体はない。それは不正なんだ。しかし揚つたものに対しての売却は許可をつけておるということになりますと、その関係について、われわれは法律のしろうとでありますから、専門の証人から御見解をひとつ聞かせていただきたい。
  508. 岡谷良文

    ○岡谷証人 鉄類の売却を許可したということは、被疑者側、つまり会社側の人が申すことであり、また証拠物件としてそれがうかがえるような物件が書類に残つておりますが、県の係の者としてはその事実は否定いたしております。売却許可書非鉄何トン、鉄何トンと出しまして、売却と書いて、売却の申請を受けて、県はそれをそのまま承認して、売却を許しておるという事実がございまして、これが建設省まで報告されて、建設省の方から推問を県が受けております。報告書によれば、鉄類何百トンという売却許可がありますが、この鉄類というものは何を言つているのかというような推問がありまして、県の方ではこれは間違いであつたから鉄類は削つてほしい、訂正してくれというふうにいたしまして、鉄類は創つてあります。残つております文書によりますと、鉄類といつた箇所は塗抹して消してあります。そこで証拠物件の上からは、一応鉄類の売却の許可まで——鉄類を含めて売却の許可書を出したということが推認できることであります。
  509. 内藤隆

    内藤委員長 佐竹君、それでいいですか。——それでは浦口君。
  510. 浦口鉄男

    ○浦口委員 最初この事件を窃盗としてお扱いになつたのですが、そのことについてひとつお尋ねしておきます。先ほどのお話によりますと、非鉄金属以外のもの、いわゆる鉄が揚つていたということは、これは検察庁もお認めになつておる。この意味でも、これは契約違反であるか、窃盗である、こういうふうに見られます。それから搭載物件についての解釈から申しますと、検察当局としては、先ほど他の委員からも御質問がありましたが、最初県当局及び極東海軍が認定をしていると見られますこの西日本海事工業から提出されております作業計画書にある非鉄金属、いわゆるスクリューその他も搭載物件でない、こうお認めになつておる。その両方から見ましても、当然これは窃盗になる、こういうふうにわれわれはしろうとで考えるわけであります。ところが今の証人のお話によりますと、それがなぜ窃盗ということでなくなつたかという理由が、どうもわれわれには今ちよつとはつきりいたしません。今のお言葉ですと、県と西日本海事工業との間における契約書の中に、はつきり搭載物件には一体どういうものが含まれるかという明細がないということと、また暗に県が一部の鉄、あるいは搭載物件と見られないものも搭載物件と認めていたというような不明確な事実によつて、これを窃盗と見ることができなくなつたと、こういうふうにわれわれ解釈できるのでありまして、どうもそこにちよつと矛盾があるように考えますが、その点明確にしておいていただきたい。
  511. 岡谷良文

    ○岡谷証人 話の前提となりまする点が、先ほど委員長に申し上げたよりちよつと食い違いがあるので、私の見解として申し上げます。油の冷却器、かようなものは艦体の一部であると考えております。で、当然これは引揚げてはならない物件であると考えております。鉄類これも同様に引揚げることはできない物件でありますが、事実はそのような物件が引揚げられております。鉄類にいたしましても五百トン余り揚つておる。引揚げ禁止されておる、揚げてならない物件が揚げられたということは、これは明白な事実であります。先ほど私が申し上げましたのは、窃盗罪といたしましては、そのことについて、引揚げてならない物件であるということに関する認識が必要であります。その認識を、窃盗の犯意があるのだと認定するためには、いろいろな支障が出て来たわけであります。そのさしつかえの事情として、先ほど来私があげましたように、油冷却器が引揚げられておりますその現場——被疑者に言わせますと、われわれが油冷却器を引揚げておる現場を、県の係の方もよくごらんになつておられる、見ておられながら、何らこれはいけないではないかということも言わなかつた、だからわれわれはこれは揚げていいものだというふうに考えた、県の方でも許してもらつたものたと思つておりました、こういうふうになるわけであります。それから鉄につきましても、同じことが一つには言えます。鉄を揚げておる現場を見ながら、別段の注意がなかつたというようなことがありますし、そのほかに、ただいま申し上げましたように、売却許可書に堂々と非鉄金属何トン、鉄何トンというふうに書いて許可の申請をした、売却の申請をした、それに対して、県はそのままそれを承認して、売却してよろしいという売却の許可を與えてくれた、これも県の方で鉄類の引揚げを容認されたものと解釈しておりました、こういう被疑者側の弁解になるわけであります。その弁解をくつがえすに足るだけの証拠がないということになるわけでございます。
  512. 浦口鉄男

    ○浦口委員 われわれしろうとですから、それ以上よくわからないのですが、しかしまだ窃盗の嫌疑が全然なくなつたという結論が出ておるのではないのじやないですか、その点を……。
  513. 岡谷良文

    ○岡谷証人 結論が出ております。窃盗としては犯罪の証明がないという結論を出しております。
  514. 浦口鉄男

    ○浦口委員 証人承知と思うのでございますが、この昭和二十五年の十一月に、第二回目の期間延長山口県が願い出ましたときに、建設省が大蔵省にその願いを移管しまして、大蔵省がまた建設省に対して回答を與えておるわけでありますが、この中にも明らかに、引揚げ許可されたもの以外の物件の撤去、搬出等のないよう厳重監視を行うということが出ておるわけであります。これに対して山口県の監督というものが、私に言わせれば全然なつていなかつた、こういうふうに今までの証言から受取れるのでありますが、こうした場合に、山口県の、建設省を通じ、大蔵省に対する法律上の責任と申しますか、違法行為というふうなものについて、当局の御意見をお聞きしておきたい。
  515. 岡谷良文

    ○岡谷証人 残念でございますが、私その前の方の関係をほとんど知つておりませんのです。大蔵省の方の関係でございますね、私存じておりません。
  516. 浦口鉄男

    ○浦口委員 しかし、事実今私が申し上げたような公文書に対して、明らかに山口県は監督その他において違反をしおる、こういうふうにわれわれは見るのですが、これは当局として直接この文書をごらんにならない、事実をお知りにならないといたしましても、今私が申し上げた事実に基いて、どういうふうに御判断になるか、その点をお聞きしたい。
  517. 岡谷良文

    ○岡谷証人 県と申しますか、監督が十分でなかつたということは、ただいまお話のことのみならず、私どもの捜査の面からも十分に申せます。監督は十分でなかつたということは言えます。
  518. 内藤隆

    内藤委員長 いいですか……。ちよつと岡谷証人にお伺いしておきますが、さいぜんあなたの証言中に、事業計画書は見ておらぬと、こうおつしやいましたが、当委員会がこの事業計画書を発見したのは、検察庁の押牧した書類から発見しております。この点どうでしようか。
  519. 岡谷良文

    ○岡谷証人 残念ながら私は記憶に残つておりません。証拠物件も一通り目は通して参りましたが……。
  520. 内藤隆

    内藤委員長 一応ごらんに入れましよう。
  521. 岡谷良文

    ○岡谷証人 ええ。     〔委員長証人書類を示す〕
  522. 内藤隆

    内藤委員長 今ごらんに入れたような事業計画を検察当局から発見して来たという事実があるのでして、検察当局の見解と当委員会の見解とに、私は相当な開きがあるように思われるのでありますが、ひとつ検察当局はいま一段事実の認定ということについて努力をしていただきたいと思います。  他に御発言がなければ、岡谷証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には御苦労さまでございました。     —————————————
  523. 内藤隆

    内藤委員長 引続き森岡証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は森岡謹一郎君ですね。
  524. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようでございます。
  525. 内藤隆

    内藤委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り証人として証言を求めることに決定いたしましたので、さよう御承知を願います。  これより国有財産管理処分関係事件中、戰艦陸奥関係事件につき証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨をお申出願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人森岡謹一郎君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  526. 内藤隆

    内藤委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  527. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  森岡謹一郎君は現在中国財務局長をしておられるようですな。
  528. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようであります。
  529. 内藤隆

    内藤委員長 いつからこの職におつきになりましたか。
  530. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 昭和二十五年七月十四日からであります。
  531. 内藤隆

    内藤委員長 二十五年七月十四日でありますから、この軍艦陸奥に関することは御承知でありますな。
  532. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 大体承知しております。
  533. 内藤隆

    内藤委員長 戦艦陸奥が国有財産に返還されました当時、西日本海事工業株式会社引揚げ作業はどういう状態でありましたか。
  534. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 陸奥が国有財産として引継がれましたのは昭和二十五年七月十二日でありますが、当時は山口県知事との売払い契約に基いて、西日本海事工業株式会社陸奥搭載物件の引揚中であつたのであります。しかしながらその当時においては作業は一時中止しておつたように承知いたしております。
  535. 内藤隆

    内藤委員長 会社は初期の作業失敗しまして、そうして赤字を約八百五十万円背負い込んでしまつたので、熊谷組工業というものに身売りの相談中であつたというようなことを聞きませんか。
  536. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 聞いておりません。
  537. 内藤隆

    内藤委員長 委員会における事務局の調べではさようなことになつておりますが、この身売り談に失敗をしました西日本海事は、田中社長葛西専務との間に紛争を生じまして、結局県の調停によつて会社の債務中七百万円を葛西専務が引受け、田中社長にかわつて、いわゆる作業再開をしたという事実を知つておりますか。
  538. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 それも知つておりません。
  539. 内藤隆

    内藤委員長 それでは昭和二十五年十月から非鉄金属引揚げ作業を再開したのですが、この非鉄金属はスクリューあるいは素材、機関等で、解撤によつて引揚げることとなつてつたということを知つておりますか。
  540. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 スクリューその他が解撤によつて引揚げられておつたということは、当時は知らなかつたのであります。
  541. 内藤隆

    内藤委員長 今はどうですか。
  542. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 今はさようなものが引揚げられておるということを承知しております。
  543. 内藤隆

    内藤委員長 当時知らなかつたというのは、さような報告もなければ、監督現場行つたこともないから知らなかつたとこういうことなんですか。
  544. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようでございます。
  545. 内藤隆

    内藤委員長 国有財産となつてからも一体解撤による非鉄金属引揚げはできるでしようか、特殊物件時代は別ですよ、国有財産として返還されたその国有財産を解撤して、そうして非鉄金属引揚げることができるかどうか。
  546. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 国有財産になるならないを問わず、特殊物件は県において売払いの処分ができるのでありますけれども、国有財産に関する限り、返還を受けて、私どもの手元において処分せなければならないものと考えます。
  547. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると、解撤による非鉄金属引揚げはできないということですね。
  548. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようです。
  549. 内藤隆

    内藤委員長 それは要するに、できないということは大蔵省の権限に属しているんですな。
  550. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようです。
  551. 内藤隆

    内藤委員長 契約によりますと、非鉄三十トン及び超過引揚げを承認している山口県当局の処置は、大蔵省の権限を犯している違法行為と認めていいですか。
  552. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 山口県が当初契約しているのは三十トンでありますし、超過引揚げをその後において認めておりますが、山口県の契約は、どこまでも特殊物件としての契約であるように私どもは承知いたしております。従いまして、その中には解撤による非鉄金属等は含まれないものであるというふうに解釈をいたしております。
  553. 内藤隆

    内藤委員長 そうすれば山口県当局の事実上やつている処置は、大蔵省の権限を侵犯している違法行為である、かように認定されるわけですな。
  554. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 事実上やつておりますスクリューをこわす行為は、私どもから見ますと違法行為ということが言えますけれども、山口県当局といたしましては、さようなものも、特殊物件であるという見解を持つてつてつたように承知しております。
  555. 内藤隆

    内藤委員長 あなたとしてはどつちの見解をとるべきなんですか。
  556. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私といたしましては、先ほど申し上げましたように大蔵省の見解が正しいと思つております。
  557. 内藤隆

    内藤委員長 そうすれば、山口県のやつておることは違法なんだ、結論はそうなんでしよう。
  558. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 そういうことになると思います。
  559. 内藤隆

    内藤委員長 それからその作業期間は昭和二十五年十一月三十日までであり、しかもこれ以上は建設省においても延長を認めないであろうということを向うに厳重に伝えてあるにかかわらず、さらに六箇月間期間の延長を申請して、建設省から協議を受けた大蔵省管財局はこれを承認しておるようですが、これは一体どういうわけなんですか。
  560. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 大蔵省管財局といたしましては、建設省から参りました書類等によつて、日本海事が従来やつておりました業績が上らぬために、非常に経済的に迷惑をかけておるという事実を認めたと思うのであります。さらに六箇月間の延期を認めましても、国有財産の処理にさしたる支障はないという見解のもとに、承認を與えたものと認めるのであります。
  561. 内藤隆

    内藤委員長 一営利会社自分の計画その他見通し等において失敗をして迷惑をこうむつておる。だからさらに期間の延長を申し込んで来たので、国有財産処理に関してはこれを延ばしてやつても影響がないと認定してこれを許した、かようなことになるのですね。
  562. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようでございます。
  563. 内藤隆

    内藤委員長 こういうふうにして、あなた方の方は営利会社の御便宜をよくおはかりになりまして、そうして作業期間を再三の延長をしておる。これは解撤作業による非鉄金属引揚げるための期間の延長のようにわれわれには考えられるのですが、この点はどうですか。
  564. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 先ほど申し上げました管財局の見解と申しますのは、私財務局長でありますので、たださように想像申し上げたのであります。委員長の御質問は、結果論として見れば、解撤として非鉄金属引揚げさせるために作業延期をしたということに相なつたようでありますけれども、延期許可当時においては、さようなことは一切予見しなかつたことであろうと思います。
  565. 内藤隆

    内藤委員長 しかし結果においてはそうなつておることはお認めになりますね。
  566. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 さようでございます。
  567. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると一方では解撤にわたるような行為を厳重に制止しておいて、そうして他方においてはこれを逆に承認しておるような結果に今日来つておるのですが、この矛盾はどうですか。
  568. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私ども現地におる者といたしましては、期限の延長は一切願わないようにということを再三申し入れておりますので、私どもがもし協議を受けたならば承認を與えなかつたであろうということは申し上げられると思います。しかしながら大蔵省といたしましては、常に現地とこまかい問題まで連絡をしていませんために、かような承認というようなことになつたのだろうと思います。
  569. 内藤隆

    内藤委員長 こういう作業期間の延長のごときは、あなたの方は何も関係なく、直接に県なら県が、建設省あるいは大蔵省へ行つておるから、あなた方の方はわからぬ、こういうのですね。その経過等は……。
  570. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 はい。
  571. 内藤隆

    内藤委員長 それから陸奥の実態調査をやつたことがありますか。
  572. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 二回やりました。
  573. 内藤隆

    内藤委員長 それは中国財務局が直接に二回おやりになつたわけですね。
  574. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 一回は日本サルヴエージ会社に請負わせまして実態調査をやりましたし、私の方の直営でやつたのがもう一回です。
  575. 内藤隆

    内藤委員長 そうすると二回やつたのが、一回は日本サルヴエージ会社に委嘱をしてやらせた、二回目は財務局直営でやつた。その実態調査の結果不正引揚げによつて一体どういう損害をこうむつておるか、その点をひとつ説明してください。
  576. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 二回やりましたうち、最初の日本サルヴエージがやりました調査によりますると、自爆いたしまして艦尾がないというような結論が報告されましたために、二回目を財務局直営でやつたわけであります。しかしながらこの調査等は非常に大まかなものでありまして、こまかいところまで調査をするということはなかなかできないのであります。ただ二回目の調査におきましては、スクリューはないようであるという程度の調査であります。従いまして幾ら損害を受けたかということについては、ここではつきり申し上げることはできないかと思います。
  577. 内藤隆

    内藤委員長 国有財産としてこうむつた損害はここでちよつと算定しにくいというのですね。それからきのうの証人山口商工課長小田義男君の証言中に、許可以外の物件を不正に引揚げておるという事実は、中国財務局はこれをよく知つてつた、こういう証言があるのであります。そんな事実がありますか。
  578. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 事実はありません。
  579. 内藤隆

    内藤委員長 しかしいやしくも山口県の商工課長ともあろう者が、当委員会において証人として宣誓して述べておるのです。ありませんというような簡単なことではどうも承服できないが、どうか。
  580. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもが艦体の一部が破壊されておるという事実を耳にいたしましたのは、二十六年の三月ごろであります。それに基きまして岩国市警察及び第六管区海上保安本部に調査を依頼いたしたわけでありまして、それまではさようなものが揚げられておるということは、一切承知していなかつたのであります。その調査を依頼しました結果、警察からの報告がずつと後になつてつたのでありまするが、その中に鉄材が相当数量売られておるという報告で、初めて知つたようなわけであります。
  581. 内藤隆

    内藤委員長 第二回の局が直接やつた実態調査は何年何月でしたか。
  582. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 二十六年九月十六日であります。
  583. 内藤隆

    内藤委員長 ともかくもさような証言が当委員会であつたということだけを申し上げておきます。  それから西日本海事工業に対して、山口県の商工課長作業の中止を命じておる。これは実際に現場行つてみて、許可以外の物件が引揚げられておる事実を目前に見たので、びつくりしてさような処置をとつた、こういう証言なんですが、財務局としては現場行つたことは一度もないのですな。
  584. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 行つたことはありません。
  585. 内藤隆

    内藤委員長 さいぜんあなたもそれは違法もしくは不法な行為だとおつしやつたが、そういう不法引揚げによつてこうむつた損害に対しまして、財務局長として将来どういう処置をとるつもりか、この点を明瞭に言つてください。
  586. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 搭載物件引揚げに関して国か損害をこうむつたということについては、先ほど申し上げましたように、はつきりと申し上げるわけには参らないのでありますけれども、ただいま申し上げましたように、契約以外のものを引揚げたという事実があるならば、これは窃盗罪を構成する問題であろうと思います。そういう結論になりますならば、それに伴つて業者を相手にして損害賠償という問題が起きようと思うのであります。それから県は特殊物件として、どこまでも正当な権利に基いてやつておいでになるのでありまして、引揚げたものが適正な価格で売り渡されておるならば、そこには国としての損害はないはずであります。従いましてこれについては何ら問題は起きないかと思います。
  587. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの証言中、さような不法な行為によつて引揚げておる場合には窃盗罪として処理されなければならぬというのは、あなたの方で、中国財務局長として、この西日本海事を相手どつて告訴でもしようという決心があるのですか。
  588. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 本件はただいま検事局で捜査中でありますので、その結論によつて善処したいという考えであります。
  589. 内藤隆

    内藤委員長 それから軍艦陸奥の今後の処理方針を簡単に述べてください。
  590. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 先ほど申しましたように二回にわたつて調査をいたしまして、大体陸奥の現状を把握いたしましたし、陸上にありますあらゆる材料を集めて評価いたしたのでありますが、評価作業も大体終了いたしましたので、来年度において売払いをいたしたいと考えております。ただこれを売ります際に、目下大島郡漁業組合その他から引揚げをやらないでもらいたい、もしこれを爆破して引揚げられるような際においては、損害賠償をしてもらいたいという要望があるわけでありまして、この問題を片づけないと競争入札等に付することはできないかと思つて、ただいまこれらの組合と折衝をいたしておるわけであります。これらの問題が早く片づきますならば、早い機会に指名競争契約によつて売り払いたいという考えであります。
  591. 内藤隆

    内藤委員長 国有財産として、最後的にはさような処分をされることはかまわない。しかし、一言あなたに注意申しておくが、この艦体の中にはいまだ二千の尊き英霊が眠つておるという事実をあなた考えられますか。
  592. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 考えております。
  593. 内藤隆

    内藤委員長 その場合にこの英霊をいかにするかという根本的なことをあなたお考えになりましたか。
  594. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもはでき得る限り丁重にこれを扱いたいということで、従来は英霊については、特に競争契約をいたします際に條件をつけまして、丁重に扱つて、浮揚後においてはただちに復員局に引渡すというようなことでやつてつたのであります。今後においてもさらにいい方法があるならば、それによつて十分に気をつけてやりたいという考えでございます。
  595. 内藤隆

    内藤委員長 ただいまの証人証言を真正面から聞いておると、單に艦体そのものを売り払うのだと聞えるところに、われわれ民族的な一種の憤慨を感ずる。ここに英霊が眠つておることをなぜ考えてくれないかということを私気がついたから申し上げておきます。売却処分するには、まずこれから考えなければならないということを、あなたよく心にとめておいてください。——他に質問はありませんか。
  596. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 証人にお尋ねしますが、特殊物件から国有財産になつて山口県がいろいろと引揚げに対して許可を與えておるのですが、その間に不正の引揚げの事実があつた。その間当然中国財務局は監督の責任がなければならない。国有財産に移つたらあなたの方の監督下にあるのですが、山口県はこれを引揚げる場合に一々あなたの方へ直接お伺いをしましたかどうか、その点をお伺いいたします。
  597. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 国有財産として艦体を引継ぎました以後におきましては、主として私どもの方から艦体に損傷を加えないようにという御注意を申し上げておつたのであります。この間私どもの係員がたびたび県庁にもおたずねをいたしたように存じでおりますので、その間十分な連絡がとれておつたというように考えます。
  598. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そういたしますと、さつきのあなたの証言では、それは單に書面上の連絡、あるいは県にあなたの方の人が行かれたと言われるが、現場が問題だ。現場の揚げておるところが問題で、かような不正な物資引揚げておるか、あるいは艦体、国有財産に大きな損害を與えておるかというような実態調査を、山口県のみにまかせずに、あなたの方でも行かれてその実態を調査されたのであるかどうであるか。
  599. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 実態の調査は、御承知のように海底に沈んでおりますものでありますので、私どもば主として県の皆さんにお願いをすると申しまするか、県が特殊物件を処理しておられるのですが、県が考えられた通りに行われ得るならば、何も問題はないのであります。従つて県の監督におすがりしておつたわけであります。
  600. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうすると本件がこの不正問題となりまして、警察は捜査本部を設け、検察庁はこれを調べる、移牒するというようなことになつた一番の原因はどこから来たのでありますか。たとえて言うなれば、警察の方にかような事実があるから調べてもらいたいということを、監督の立場にあるあなたの方から警察の方へ言われたのでありますか。その点はどうですか。
  601. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 警察及び海上保安部に対しましては、私の方から調査を御依頼いたしたわけであります。
  602. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますと、この調査は、二回にわたつて潜水夫を入れて調査されて、第一回の方の日サルですか、この方は艦尾がないという報告であり、またもう一つあなたの方財務局から入れたのは、これはあまり損傷がない、こういうようなことになつておりまするが、これは一体どちらをあなたはほんとうだと考えられますか。
  603. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 財務局で直営いたしました調査の方に信用を置いております。
  604. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしまするというと、その調査はどういう方法をもつて調査をし、そうしてたとえばこの委員会の調べることによりますと、相当な鉄類が、許可してないものが揚げられて方々に売却されておる、こういうように言われておりまするが、その鉄類は潜水夫が入つたのでありましようから、どういう個所を切つておるか、どういう点をこわしておるかというようなことは、財務局の方でお調べになつておりますか。
  605. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 最初に申しましたように、水深四十メートルの底でありまして、これを調査いたしますことも相当困難であります。従いましてこまかい調査はできておりませんが、鉄量においては先ほど来申しますようによそに売られたものというものが全体から欠けておるというような、大まかな見当で今の評価をやつておるわけであります。
  606. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 この際お尋ねしておきたいのであります、この中には非鉄金属許可が出ておるわけでありますが、非鉄金属を揚げる場合には、あなたの方で潜水夫でお調べになつたのでありますが、当然これには鉄が付随して出る。非鉄金属ばかりよつて揚げるということはなかなかむずかしいでしよう。爆破作業によつて揚げるから、その場合にたまたま鉄がついて揚る。こういうようなものの処分に対しては、山口県はこの売却を認めておるのでありますが、大蔵省の見解はこの点どう考えられますか。
  607. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 非鉄金属については、ただいまのお話のようなことが実際行われておるということは、現在に至つて承知いたしております。艦体の一部であります非鉄金属が、特殊物件として山口県から売り払われておるということでありますが、国有財産ではありますものの、やがてはスクラップとして財務局において処理いたすものであります。従いましてただ所管が違うということのみによつて、私どもは解決のできた問題をさらにむし返すということは考えておりません。山口県庁で適正な価格で艦体の一部である非鉄金属を売られておるのであるならば、私どもはそれ以外のものについて、今後処理したらばいいのであるというぐあいに考えております。
  608. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 本委員会において調査しておりますことは、鉄というものは揚げてはならない。しかしたまたま非鉄金属について鉄が揚つたということに便乗して鉄を揚げた、こういう結果になつておるといたしますなれば、その山口県が出しました鉄を売つてもよろしいという売却許可が問題になつたわけであります。そうするとそのことを大蔵省の中国財務局の責任者であるあなたが、山口県をあえて責めないということになるなれば、この問題は泰山鳴動ねずみ一匹である。しからばあなたはこの山口県のとつた措置は正しい、こういうようにお認めになりますか、どうでありますか。
  609. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 山口県は、私どもの照会に対する回答におきましては、重油、食料品、繊維類、非鉄金属というものの報告があるのであります。その他鉄類については、警察の調書によつて、とられておるということを承知いたしておるのでありまして、鉄類については、先ほど申しましたように、これが司法上どういうように解決されるかということによつてつて来ようと思うのであります。
  610. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 山口県は非鉄金属並びに鉄の売却の許可書を出しているわけである。出しているが、これが問題になるから、今許可書を破つてしまつたのであります。前の岡谷検事の証言によりましても、この事実は認めておられるわけであります。そうすると、非鉄金属について山口県が売却したものを、所轄違いだということでいまさら追究しないということになるならば、この行為をあなたは認められるというように見てもさしつかえないのでありますか。
  611. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 山口県が鉄類を売つてもよいという証明を出したということは、この席で初めて承知いたしたのでありますが、鉄についても特殊物件に相当するものがあるわけであります。どの程度の数量でありますか、それらの点をよく検討してみないと、相当の艦体解撤されて売られたということになりますと、これはやはり適当でないということになろうと思います。
  612. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますと、山口県がそういう書類を出しておつて、事実鉄が売られておるのであります。それがさつきのあなたの証言によりますと、特に山口県とは絶えず国有財産の関係中国財務局は連絡をとつておると言われますが、そういうことがわからないで、はたしてどういう連絡をとられたか。いわゆる国有財産を不正に引揚げたということが、この委員会の問題になつておるのでありますが、その山口県と連絡をとられたというのは、どういう連絡をとられたか、どういうことを山口県に対してなされたか、その点を御質問します。
  613. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもが山口県に連絡いたしますことは、艦体に手を触れてはいかない、それから引揚期間の延長をしてもらつては困るという点を強く申し上げたわけであります。山口県におきましても、私どもが承知いたしておりまする範囲におきましては、また西日本海事工業に対する作業の注意書を読みましても、それらが完全に履行されておるならば、解撤というような問題は起き得ないというように今まで考えておつたのであります。
  614. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 今、証人証言によりますと、いわゆる艦体に手を触れてはならない、あるいは作業の期間を延長してはならない、こういう御証言でありますが、しからば山口県は火薬許可して特殊物件の引揚げについて爆破させておりますが、爆破するについては、艦体に手を触れずに爆破できるとあなたはお考えになりますか。ただ艦が沈んでいる、そこに潜水夫を入れて持つてあがるというような簡単なわけには行かない。先ほど証人に見せましたものを見ますと、さかさになつてひつくり返つている。そこにある特殊物件を得るために、三トンという莫大な火薬許可を與えて、爆破作業をやらしておる。艦体に手を触れずして、爆破作業はできないのであつて、それは公式論です。実際どういう見解を持つておられるか。
  615. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 特殊物件を取出しますために必要最少限度の艦体破壊ということは、これは特殊物件を取出す上においてやむを得ないことであるというように考えております。しかしながら、大がかりな破砕というようなことは、特殊物件を取出すために必要でないと思います。
  616. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 問題はそこにある。昨年の新聞によりますと、相当大きく出ておりまして、中国地方ではこの問題を知らない者はほとんどいないというくらいのものであります。新聞に大きく出ていて、あなたも御承知であろうと思いますが、そういう火薬使つて大きな爆破をして、そうしてたくさんな品物を不正に揚げた事実を、特に潜水夫を海底に入れられて財務局が直接に調査されて、そうしてそれだけの被害——世間に流布されているような被害があつたかどうかという点はどうですか。あつたらどの程度の被害であつたか。
  617. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 国有財産に対する被害、は、先ほど申し上げましたように、県からの報告ででき上つたものと、それから警察で取調べられました結果の報告がございますので、この二つをよく——はつきりしたものをつかまないとわからないということになるのであります。
  618. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 すると、あなたの方では何のために潜水夫まで入れられて調査されたのですか。潜水夫を入れるということになると、ただでは入らぬでしよう。何十万円か何万円かの調査費がいるのでありましよう。それだけのものを入れておいて、ただ警察が引上げて、そうして売つた先からその物が出たことが被害だ、事実はそうであります。しかしあなたの方では、実際そうだつたら何も国の費用を使つて、潜水夫を入れて調査する必要はないのであつて、何がゆえに特に調査されたか、その調査の結果と、それから被害というものは、いわゆる国有財産を預つておる責任者のあなたとしてはわかるのではありませんか。
  619. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 財務局で調査いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、日本サルヴエージの調査の結果か船尾がないという結論であつたのであります。船尾がないという結論でありますと、これは評価上非常に大きな鉄の数量になりますので、あるかないかを見定めないと評価ができないということで、第二回目の評価は、主として艦尾の有無という点に注がれたわけであります。
  620. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 山口県で西日本海事工業と契約をするときには、これはあなた方と相談の結果やるというのですか、山口県がかつてにやるものですか。
  621. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私の方は相談にあずかつておりません、最初は。
  622. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いつお知りになりましたか。先ほど何か報告があつたと言いましたな。
  623. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 契約がございましたのを、財務局の職員の中で最初に知りましたのは、岩国の出張所の者がさようなことを知つたようであります。私どもが知りましたのは、新聞等で、あるいは私のまだ行かない前でありますので、知つてつたかもわかりませんが、少くとも国有財産として引受けました際には、そのことがはつきりしたと思うのであります。
  624. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでお聞きしたいのは、今一番問題になつたのは、この中の非鉄金属であります。非鉄金属三十トン。搭載物件中の三十トンというのは相当大きいと思うが、これは具体的に何をさしておつたのですか。ただ軍に非鉄金属と書いてあります。どういう物が搭載物件として非鉄金属三十トンであるか。当時あなたの方で契約をお認めになつたのだから、おわかりになつておるのではないかと思いますが。
  625. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 この内容については、私どももわからないのであります。しかしながら、戦艦等には工作工場等もあつた趣でありますので、あるいは材料等が相当数量つたのではないかということを、あとから想像しておる程度であります。
  626. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今日といえども何をさしておるかおわかりでありませんか。これは一番重大だと思うのですが。わからなければ、やむを得ません。
  627. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 わかりません。
  628. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それからあなたのところへ返還されたというのは、昭和二十五年の七月十二日と聞きましたが、そのとき引揚げ契約引揚げておつたのを、作業を中止しておつたとおつしやつたが、それはどういうわけで中止しておつたのですか。
  629. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 これは私どもの推察であつたのでありまして、当時、先ほど委員長の御質問にありましたような、八百五十万円の損失をいかに補填するかということで、いろいろ会社首脳者が研究をしておつた最中であつたと思うのであります、従つてその当時は作業はしていなかつたであろうと申し上げたのであります。
  630. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは元、建設省が保管の任に当つてつたわけですね。それから国有財産になつたので、あなたの方の所管になつたわけでしよう。そういうときに、内容はどういうものであるか、そういうことはお調べにならぬものですか。ただそこにあるものを渡すでは、われわれとしては常識上わからないのですが、陸奥を渡すというなら、陸奥をどういう形のもので渡すとか、はたしてそのままであるかどうかということを調べなければいかんように思うが、それはどういうことになつておりますか。
  631. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 お説の通り、普通の場合においては、さようなものもはつきり現状を確認して引継ぎをやるのが建前でありまするけれども、沈んでおる軍艦については現状の把握ということが非常に困難であります。ために書類上の引継ぎのみで済ましておつたのであります。
  632. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それからあなたの方で極力期限の延長を避けておつたとおつしやいますが、それはどういうわけでお避けになつたのですか。
  633. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもは引継ぎまして、ただちに売払い申請をいたしまして、二十五年の八月二十三日には極東海軍司令部から売払いの許可が参つたのであります。許可が参りますと、でき得る限り早い機会に処分をしてしまいたいという考え方のもとに、特殊物件の引揚げ等がその船につきまとつておりますると、処分が非常に困難になりますので、早く打切つていただきたいという希望を申し上げたわけであります。
  634. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 しかし特殊物件があるとすれば、あなた方の方の所管でないのですから、これは早くとらせなければいけませんわね。だから早くとれというならばわかるのですが、期間を延長してというのでは、長くしたのでは、軍艦陸奥そのものの解体に行くということはほぼわかつてつたのじやないかと思いますが、その点全然わかつていなかつたのですか。
  635. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 長く延ばすために艦体の一部がとられるということは考えなかつたのでありまして、四十メートルの海底に沈んでおりますものは、鉄についてはほとんど無価値というのが大分長い間続いたのであります。ごく最近、鉄の価格の統制が撤廃されて、二万数千円というような価格が出るようになりまして、初めて経済価値が出たわけであります。そういうような点もあわせてお考え願いたいと思います。
  636. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから先ほどあなたのお言葉にありましたが、これは大蔵省の管財局で延長許可をしたようにいわれるが、こういうことは現地におるあなた方に相談をせずにやり得るのですか。やればやれただろうが、やることが穏当であるかどうか、不穏当な延長をやつたものと思うが、いかがです。
  637. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 穏当ではないと考えます。しかしながら私どもがこれを処分いたしますためには、評価その他をいたしまして、本省に送りまして、本省の許可を得て、初めて競争契約に付するということになつておるのでありまして、その間に相当の時日を要するのであります。従いまして本省としては、そういう時間的問題も十分考えて、この程度であればさしつかえないのだというような見解のもとに、半年の期間延長をやつたのだろうと思います。穏当ではないと思います。
  638. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどからのお言葉でよくわかつたのですが、サルベージが一回目に調べたら艦尾がなくなつてつた、二回目に調べたらスクリューがなくなつてつた、そこで最後に鉄が他へ売られているということがわかつたというお話でしたが、これはいつどういう機会におわかりになりましたか。
  639. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 鉄が売られたというのは、岩国警察に調査を依頼しましたその報告に基いて初めてわかつたのであります。
  640. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、新聞に出て世間がやかましくなつたから、あなたの方で岩国警察署に調査を命じた、こう考えてよろしいわけですね。
  641. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 新聞に出ます前に、私どもが最初に調査いたしましたのは二十六年の五月でありまするが、その年の一、二月ごろぼつぼつ艦体の一部が引揚げられておるのではないかという風聞があつたわけであります。そこで私どもは今の海上保安本部と警察に、二十六年の三月に調査を依頼したわけであります。
  642. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうするとその一回、二回の調査の結果、どうもこわされておるようだし、それから世上の風聞も、鉄を売つておるようだ、こういうものだから、警察その他海上保安庁へ調査を依頼した、こういうことになるわけですね。
  643. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 調査を依頼したのが二十六年の三月七日でありまして、私どもがサルベージを入れて調査しましたのは五月の十四日であります。さらに私どもが直接やりましたのは九月十六日であります。
  644. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで今日となつて解撤にまでも及んで、そうして搭載物件以外の鉄までも引揚げて売つておるということはわかつたわけだけれども、しかし具体的にどれだけの数量、どれだけの損害かわかつておるか、これはわからぬというお話でしたが、わかればあなたの方で断固そういう処置をとるだけの御決心はあるでしようか、これは申し上げんでもわかつておることですが、
  645. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 県知事との払下げ契約以外のものをとつたということになりますると、当然検事局において問題になろうと思います。従つて窃盗ということになるのだろうと思いまするが、そういたしますならば、私どもも当然それに付随して損害賠償ということにならざるを得ないと思います。
  646. 浦口鉄男

    ○浦口委員 今の証言に対しましてちよつと私確かめておきたいのですが、きのうここへ見えました山口県の商工課長小田さんが言つたことなのですが、二十六年の三月三十一日に作業を中止さした、ところが中国財務局はその以前に契約以外の物が揚げられて売られていることを知つていたはずと、言つておる、それはどうかという委員長の質問に対して、あなたは全然そういうことを知らなかつた、こう言つておられるのですが、今の証言を聞きますと、一月ごろに風聞でそういうことを知つていたというお話があるとなりますと、風聞でそういううわさを聞きながら、ただ実体の調査が遅れた、事務的の失態があつたということだけであつて、事実は知つていたということになると思いますが、その点いかがですか。
  647. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもが風聞を耳にいたしましたのは二月、三月のころでありますので、調査を依頼いたしますると同時に、三月の二十七日に県知事に対して搭載物件引揚中止方を申し出ておるのであります。
  648. 浦口鉄男

    ○浦口委員 この事件が非常に大きな問題になつておることは御承知通りでありますが、そこで先ほどの評価の問題に関連いたしまして、二十五年の七月十二日に特殊物件から国有財産に移管された当時の評価額はいかほどでありましたか。
  649. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 二十五年七月十二日に引継ぎましたころの陸奥全体の価格はちよつとわからないのでありまするが、ただいま私どもで調査いたしました鉄量は、大体二万五千トンということに考えておりますので、当時のマル公をおかけ願えれば、鉄だけは出て来ようかと思います。
  650. 浦口鉄男

    ○浦口委員 何にしましても、相当の金額に上る国有財産が、二十五年七月十二日に移管されて、その後こうした事件が新聞に出るまで実態を調査されなかつたということは、どうもわれわれとして非常にふに落ちないのであります。そこでお聞きしたいのは、先ほど証人は、昭和二十五年十月から二回目の作業が再開されて、それには非鉄金属解撤によつて引揚げられることになつていたことを知つているか、こういう委員長の質問に対して、当時は知らなかつた、こう言つておられる。これは契約書をあとで御承知と思うのでありますが、最初からこういうことが許可になつているわけですか。いつそういう契約書の内容をお知りになりましたか。
  651. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 山口県庁と西日本海事の契約を正式に知つたのは、はつきりいたしておりません。
  652. 浦口鉄男

    ○浦口委員 はつきりしていないと、また答弁が食い違つて来るのです。ということは、第三回目の作業延長をしたときは、もうすでにこれは国有財産に移つていたわけでありまして、なぜ再三期間を延長したかということは、先ほど他の委員からも質問がありましたように、非常にわれわれとして不可解なんですが、それについての委員長の質問に対して、あなたは結局それは委員長の結果論だ、こういうふうに断定をされている。解撤によつて当然国有財産の一部が引揚げられるということを承知しながら、三たひこの期間を延長したことは、矛盾があるじやないかという委員長の問いに対して、あなたはそれは結果論だ、こう言つておられるが、事実を知らないでいて、そういう結果論だと言われることは、そこにあなたの証言に非常に矛盾があるのじやないか。そこで私は、解撤によつて非鉄金属を揚げるという契約書をいつ知られたかということが、非常に問題だと思う。知らないで、委員長の問いに対して、それは結果論だ、こういうことはあり得ないと思う。その点いかがですか。
  653. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもは現在まで解撤によつて非鉄金属を揚げるのだということは、正式にそういう話もありませんし、とにかく特殊物件の非鉄金属を揚げるのだというように今日まで知つてつたわけであります。
  654. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、国有財産に移つてからもそれが継続されるということに疑問を持たれないのですか。当然国有財産の一部が解体されて揚げられるということになるのですが、その継続でそれでいいとお考えで、先ほどのような御答弁があつたのですか。
  655. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもがかような艦体の一部分が破砕されて揚げられておるということを知りましたのは、昭和二十六年の当初であります。それまでは全然純粋な特殊物件が引揚げられておるものというように、承知しておつたわけです。
  656. 田渕光一

    ○田渕委員 国有財産となつて山口県からつまり特殊物件のままで引継いだ。これは山口県から引継いだのですか。それとも建設省から引継いだのですか。
  657. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 山口県から引継いだのであります。
  658. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで山口県から引継いだといたしますと、山口県と西日本海事工業との間の、昭和二十四年六月十四日か、六月二十日かの契約がある。さらにその契約が、会社の紛争による協定書によつて、これへ県が立入つておる、解体の許可権、爆薬の交付権、こういうことで立入つている。こういうような書類を引継がなければ、書類上の引継ぎができないと思うのです。これをそういう内容を聞かずに、ただ陸奥が特殊物件から解除されて、いわゆる国有財産になつたということだけで、価格も何もない、目録のつかぬ、この沈没艦陸奥ということだけで引継がれたとすれば、国有財産を保管する責任者としてのあなたは——それが無傷のものならばよろしい。昭和十八年六月爆沈したというだけのものならよろしいが、すでに山口県から引継ぐときには申送りがあつた山口県と西日本海事工業との間にこういう契約があつた。これに対して手を打たなければならぬということを、お知りになつたかならないか。
  659. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもが山口県から引継ぎましたのは、船体でございます。従いましてこの上に載つております特殊物件は、依然として山口県知事の責任において処理を願わなければならぬものでありました。特殊物件を合せて財務局でやるということがきまりましたのは、ごく最近であります。従いまして私どもが引継ぎましたのは船体だけであります。
  660. 田渕光一

    ○田渕委員 船体だけを引継いだと言われますが、これは少くとも船体を多少とも解撤しながら行かなければ、特殊物件は出せない。あるいは見込が一千トンもあるという陸奥を三十トンでやつている。会社の中にいざこざがあつて、第一回の社長に八百万円やつた、七百万円やつた、あるいは第二回の社長に幾らやつている、こういうようなもめているものをあなたの方で引継ぐのだから、これは船体といつても、ただの船体ではない。どこまで傷があるのか、あるいはそのままであるのか。つまりそういう艦体そのものに関する引揚げ作業が西日本海事で行われるとするならば、船体を引受けても、さらにこれにサルベージを入れなければならぬ。そのときに、現場の衝突が起る。ただそのまま保管せよというのではない。その引継いだときには、すでに朝鮮動乱が起きている当時で、非常にスクラップなり鉄の値段が上つているときです。こういう状況から考えて、あなたが二十五年四月十四日に赴任されて、まもなく七月十二日に国有財産に来ている。こういうものをどうしてはつきり目録なり、あるいは山口県対西日本海事工業の契約なり、あるいは現地の状況なりというものを、つぶさに書類を引継ぎになられるならば、その引継ぎがあつたわけだと思う。船体だけの引継ぎで、陸奥戦艦の爆沈そのまま一つをあなたに引継ぐというような、漠たる国有財産の引継ぎではなかつたろうと私は思いますが、この点はどうですか。
  661. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 その点は、艦体の引継ぎは、單純に旧軍艦陸奥というものの引継ぎがあつただけであります。しかしながら搭載物件に関していろいろな問題があるということで、これをなるたけ早く解決してもらうという意味において、引揚げ期間の延長をしないようにということを、引継ぎ後においては書類をもつて申し入れておるわけであります。
  662. 田渕光一

    ○田渕委員 これが徹底せぬのです。何らこれに手をつけていなければ、そのまま引継いで、それは書類の引継ぎで、証人証言通りでいいのでありますが、少くとももうすでに仕事に手をつけて、特殊物件を引揚げ、すでに艦体の爆破が進んでいる。それを引受けたのだから、山口県と西日本海事の契約がどんなぐあいになつておるかという、山口県と西日本海事との契約書を添付さしたものを引継がなければならぬわけです。それがございましたかどうか。
  663. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 その点ははつきりいたしておりません。
  664. 田渕光一

    ○田渕委員 少くとも国有財産を扱う中国の財務局長として、大きな戰艦陸奥——たとい沈没したものとはいえ、これを引継ぐのに何らの書類がなくして、しかもあなたがなつた当時会社がもめておつた。これは重大な問題であります。それを何ら調べずに引継いだということは、何か山口県と中国財務局との間に、黙つて引継がなければならぬような事情があつたのですか。
  665. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 そういう事情は何もございません。ただ引継ぎました際に、どういう書類がついておつたかということを記憶していないというのであります。
  666. 田渕光一

    ○田渕委員 もちろん多くの書類を決裁されるのでありましようから、記憶はないかもわかりませんが、少くとも今日これだけの大きな問題となつて、当委員会に証人として証言を求められておる今日において、あのときに山口県の方からのこの契約書の内容を調べておけば、こんな問題が起きなかつたということをお気づきになりませんか。要するに、あなたはやらぬかもしれませんが、あなたの部下が職務熱心でなかつたということが言える。大きな艦体を引継ぐのに、こういういざこざがあつて、ごてごてしているものが、国有財産になつた。さて国有財産になると、これを処分するときに、かりに一千万円で行くものがごてごてがついておれば、あるいは八百万円か五百万円しかならぬ。このときの責任が起きておる。国有財産を引継ぐ以上はそこまで入念にやらなければならぬ。地上のものならあなた方は立ち会つてみるでありましよう。あるいは建物、土地ならば現地に見に行くでありましよう。海底のものは見られないならば見られないだけに、この山口県と西日本の契約、その後の工事の進捗状況あるいは事業計画というものは引継がなければ、あなたの方はただ艦体一つとい、うようなことで引継いだということは、山口県からだまされたというようなことになりはしませんか。どうですか。
  667. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どもは山口県と西日本海事工会社との間の契約にのつとりまする品目数量というものについては、当初から多少の疑問はあつたのであります。と申しますのはマニラ・ロープ、ワイヤー・ロープというようなものは二十トンということになつておるのでありますが、これなどはわれわれの見解といたしましては、艦体の一部である非常にたくさんのものが予備品としてあるならば、かようなものも特殊物件として扱い得るのであろうけれども、大体においてこういうものは艤装品に相当するものであつて艦体の一部であるのではないかという疑いは当初から持つてつたのであります。従いましてこういう契約数量等についても、全然検討しないでおるというようなことはなかつたのでございます。
  668. 田渕光一

    ○田渕委員 検討しないわけじやないが、ただあなたが陸奥一つという漠たるもので、評価もなければ、およそその山口対西日本海事の工程がどのくらいまで行つて、どのくらいのものを引揚げたという作業日報は山口県へ行つておるわけですから、どのくらいの特殊物件があつて、引継ぐところの財産はどのくらい価値があるということはあなたの責任になるのでありますから、なぜ山口県へ念を押さなかつたか。ただもうあつさり山口県から艦体一つで国有財産として引継いだということは、われわれれは納得できない。国有財産をそう軽はずみに扱うものであるかどうか。そういうぐあいにごてごてしておつたものを、軽率に山口県当局の申送状というただ一片の紙で引継いでいいものか、この点です。それほど財務局というものが簡単に財産を引継いで処分するということはわれわれは考えられない。この点どうです。部下がやつたというが、責任はあなたにある。財務局長として、そんな大まかなことでこれを引継いだあなたの責任というものは私は免れないと思います。
  669. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 財産を引継ぎまして処分いたしますのには、十分注意をしてやらなければならぬというような考えは常に持つてつておるわけであります。しかしながら先ほど申しましたように、多少艦艇の一部というようなものではないかという疑いを持つたのでありますけれども、いずれにいたしましても、県知事が建設省の監督のもとに売払いをやるのであります。当然国の歳入になるものでありますので、これをしいてマニラ・ロープは艦体の一部であるからこれの売払いをやめろとかどうとかいうことは、言わない方が妥当であるというような判断のもとにやつたわけであります。
  670. 田渕光一

    ○田渕委員 そういうことが妥当であるかないかということはあなたの常識でありましようが、少くともこういうごてごてのあるもの、しかもこの契約の内容によつては、これはサルベージ会社の方で悪用すればいくらでもとりに行ける。艦艇の超過分を認められておるというぐあいに、指示が来ておるというのであるから、責任がどこにあるかというと、もちろん山口県に責任はありますけれども、国有財産として預つた瞬間から、あなたにこの財産の管理権あるいは監視権があるわけです。その管理権、監視権をあなたが発動しようとするならば、あの実体というものは知つていなければならない。もちろん海の底は見えないけれども、状況はどうなつておるか、このいきさつがどうなつておるかということを、契約書に基いて、あるいは協定書に基いて、あるいはまた現在の工事人がどこまでやつているかということを、あなたが西日本のサルベージを調べ、あるいは山口県からこれを詳しくお聞きただしになりましたか。ただ一ぺんの書類だけでなく、もしあなたが今証言されたことく、国有財産の扱いは愼重を期さなければならぬ。また嚴重な監視をしなければならぬ、丁重に扱わねばならぬという観念があるならば、このときになぜ契約書まで立ち入つてどこまで工事が進捗しているかというようなことまでなぜやらなかつたか、私たちの疑うのはこれです。これでは国有財産を管理するところの財務局長として、中国地区をあなたにまかしておけぬということになるではありませんか。
  671. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私どももそういう点は作業がどういう程度に進行しておるかということを、常時山口県から報告を受けるというような措置をとればよかつたかと思うのでありますけれども、大体艦体を引継ぎました当時までは、ほとんどの引揚げができていなかつたというように私どもは承知いたしておるのであります。大体において最後の期間において引揚げができたというように承知いたしております。
  672. 田渕光一

    ○田渕委員 どうもおかしい。かりにきのうの山口県の商工課長証言によりますと、一応あなたの方にも見てくれといつた。あなたの方の財務局の人も行つたが、途中で波が荒いので引返そうじやないかということまで言つた。こういう証言をされておる、だからあなたの方は現地に行つてどういう作業をしておるかというようなことまで、実際は管理の責任者としてやつておらぬ。行く自信がない。非常に海が荒れて、もう少し出ると酔つて来るので、引返してくれというような話も出た、こういうようなことを言つておる。国有財産の管理権があなたのところに移つた場合には、山口県に責任がない。特殊物件以外にこれをやるというのは結局これは中国財務局長の責任だと私は思つている。国有財産に移つた瞬間から。それをあなたの部下がどんなぐあいに進んでいるか現地に行つて調査もせず、あるいは工事の進捗状況も聞かず、もう一つ言うならば、山口県から引継ぎをとらなかつたということは、山口県が默つてそのままあなたにこれを隠しておつたかどうかということを私は率直に聞きたい。この契約というものはごてごてしておりましたが、その内容はただ名義がかわつたから、船体一つでぼつと来てやつたのか。それとも契約内容をあなた方は知つていなかつたのかどうか。これをはつきりしておいていただきたい。
  673. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 引継ぎと同時に契約内容を知つてつたかどうかという点は、先ほど申し上げましたように、はつきり記憶いたしておりません。その後の現場の監督につきましては、私の方から現場に人を出したということはないように記憶いたしております。要するに、陸奥に関して、特殊物件ではありますけれども、建設省の出先として、山口県知事が作業をやらせて監督をされておるわけでありまして、山口県庁に対しては、先ほど申しましたように、艦体等の解撤というようなことのないように、あるいはまた期限の延長もしてもらいたくないというようなことを私どもは申し上げておりますし、知事はそれに基いて西日本海事工業に対して作業注意書というものを出しておられるようであります。その作業注意書はまつたく私どもが考えておる通りのことでありまして、これが完全に履行されておるということであれば、問題はなかつたであろうと思うのであります。ただ監督のできないところで作業いたしておるのでありまして、相手方を信用してやるという以外には、非常に監督がむずかしいという点は、山口県庁においてもあつたと思うのでありますが、今のお話のように、私どもも出向いて実際に引揚げの物について監督をするということが、よりよかつたということについては、ここではそういうように考えております。
  674. 田渕光一

    ○田渕委員 より注意をして国有財産を管理すればよかつたという点をお気づきになればけつこうですけれども、ただどうも海の向うにある、海の底にあるというので、書類一本だけで引継いで、書類だけの扱いをされたからこういうことになつた。私はそうじやなく、今あなたの証言で言われておるところでは、つまり建設省のさしずによつて山口県が監督をしてやらしておるのだ、こういうようにあなたは思われているかもしれませんが、山口県とこの西日本海事の契約書をその後ごらんになりましたか。——山口県と西日本海事との間は完全に単独的な契約で、建設省の命によるとかどうとか書いてないのであります。山口県が自由にできるようになつておる。従つてあれをやる西日本海事が悪意でやればどうにでもなる。因縁をつければ、金物がついて揚つたというような仕組みになつておるのでありまして、当時県当局はすつかりサルベージにやられてしまつている。私はそう見る。そこで、これだけのものをやつてしまつた結果は、国有財産をこれだけ傷つけた、いわきる減損を来した、こういうことになる。そこであなたの方ではその後、つまり二十六年の五月の十四日に日本サルヴェージをつかわしてみたところが、自爆で艦尾がないというような報告であつた。今度は二回目に自分の方で直営でやつてみたところが、スクリューがない。艦尾がないのとスクリューがないのとは大きな違いであります。艦尾の下に四トンの真鍮のスクリューが四つついておつた。それがないというのと艦尾がないというのとは大きな違いですが、あなたが大体二万五千トンくらいで指名入札でやろうという場合には、どちらをとるのですか。艦尾がないという日本サルヴェージの調査を材料にするのですか。あなたの方で直営で調査されたところを参考として評価をきめるのですか。さらにこれをまたもう一度二つのサルベージに愼重に調査させてみた上で評価をきめるのですか。それを伺いたい。
  675. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 私の方でやりました二十六年九月十六日の調査、その他陸奥に関するいろいろな資料があるわけでありますが、そういうものをもとにして評価をいたすわけであります。
  676. 田渕光一

    ○田渕委員 陸奥に関する資料がありますか。私はこれはずつと今まで来た証人からはないように伺つたのでありますが、何か陸奥に関する設備あるいは艤装その他の詳しい資料が、工廠であるとかあるいは造船会社というような方からあなたの方へ行つておりますか。
  677. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 建艦当時の資料があるかないかの点について、私はつきり覚えておりませんが、特殊物件を引揚げます潜水夫がとりまとめたいろいろの図面もありますし、あそこに最後まで乗つてつたいろいろの人々もおりますし、そういうようなものの資料を集めてやるという意味でありまして、建艦当時のこまかい図面その他については、はつきりあるなしを承知いたしておりません。
  678. 田渕光一

    ○田渕委員 これは国有財産の処分に影響を来すので伺いますが、当時軍艦に乗つてつた乗組員の生存者から聞いたといいますが、生存者がおりますか。
  679. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 おります。
  680. 田渕光一

    ○田渕委員 それじやその氏名と、どこにおられて、どういう人で、階級はどうか、こういうような点が参考になると思いますので、伺わせていただきたいと思います。
  681. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 今呉の淀川製鋼の事務所におる人でありまして、名前はちよつとど忘れいたしましたので、あとで……。
  682. 田渕光一

    ○田渕委員 資料で出していただきましよう。
  683. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 はい。
  684. 田渕光一

    ○田渕委員 どうも私は納得がいかない。困つたことですが、率直に言つていただきたい。とにかく山口県当局からあなたの方へ渡すまでは何ら関係ないのだから、何も言わずにさつと引継いだ。——これはごてごてしておりますというようなことをあなたの部下が聞きながらやつたのでありましようか。あるいは向うから書類一本来ただけでやつたのでありますか。私山口県のやり方に対してはまつたく納得いかぬ点が多々あるのでありまして、これを私たちに納得さして行くようにするには、あなたの方で山口県から引継いだときの状況が一番大事であります。ただ国有財産になつたからすぐあなたの方へ引継ぐという申送りの書類一本だけでありましたか。あるいはそれに関する付随の書類がついておりましたか。
  685. 森岡謹一郎

    ○森岡証人 付随の書類がついておつたかどうかということについては、はつきりいたさないのでありますけれども、財務局といたしまして、この船体を引継ぎます際に、ごたごたのあるというようなことを全然知らないということは、財務局全体としてはないのですが、私どもといたしましては、艦体は、引継ぎ前においても、将来は財務局の所管に当然入るものということを予想いたしまして、特殊物件売払いの最初の契約をされたときにも、山口県岩国の出張所の職員は、艦体解撤しないようにという注意も、口頭ではありますけれども、いたしているのでありまして、そういうようなごたごたを耳にせずに、きれいな形の艦体を引継いだということはないと思います。
  686. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、森岡証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には、長時間御苦労さまでした。  次会は明二十八日午前十時より会議を開くごととして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十分散会