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1952-04-23 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十三日(水曜日)     午前十一時五十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 志田 義信君    理事 多田  勇君 理事 有田 喜一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       圖司 安正君    奈良 治二君       福井  勇君    福田 喜東君       渕  通義君    細田 榮藏君       笹山茂太郎君    風早八十二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         経済安定事務官         (外資委員会事         務局長)    賀屋 正雄君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田満治郎君 四月二十三日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として風早  八十二君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外資に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三一号)     —————————————
  2. 志田義信

    志田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。  外資に関する法律の一部を改正する法律案議題といたし、質疑を続行いたします。有田喜一君。
  3. 有田喜一

    有田(喜)委員 先般福田政務次官に、外資導入に関するその後の経過等を聞いたのでありますが、福田政務次官安本長官並びに総理大臣とよく相談をした上で、政府としての答弁をするということでありました。幸いきようは周東安本長官が見えておりますので、安本長官から先般の私の質問に対する御答弁を願いたいと思います。
  4. 周東英雄

    周東国務大臣 有田さんからのお尋ねでありますが、この点につきましてはいつかも申し上げたと思いますけれども外資に関しては、あくまで私どもはいろいろな線から、いろいろな形において導入すべく努力中であります。日本独立後における経済自立の上に、外資導入ということは相当大きな力を持つておることは事実であります。従つてできる限りそういう方面がいい結果をもたらすように努力はいたしております。この外資法の一部改正にいたしましても、今日まで株式社債あるいは技術等方面でかなり増加いたしておりますが、独立機会に、本案にありますように、投資した社債株式に対する元本、利息の配当等の送還に関して、ある程度制限を緩和することを考えましたのも、やはり外資導入に関する一つの態勢を整えるということであります。このほかに開発銀行なり輸出入銀行アメリカのそれぞれの銀行を通じて考えられるものもありまするし、あるいは政府からの問題もあると思いますが、これらのいろいろな線を通じて、何とかして外資導入を実現したいと努力は継続いたしておるのでありますが、今日いろいろデリケートな問題もありまして、どういう経過でどういうふうになつているということは、まだお話申し上げる時期でないことを御了承いただきたいと思います。
  5. 志田義信

    志田委員長代理 これにて質疑は終了しました。  これより討論に入ります。福田喜東君。
  6. 福田喜東

    福田(喜)委員 ただいま議題となりました外資に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由党を代表して賛成意見を申し述べます。  今日資本蓄積の弱い日本経済自立を促進し、その安定度を高めるために、外資導入が必要であることは事新しく説明するまでもないことであります。さきに政府日本経済自立と、その健全な発展及び国際收支の改善に寄与する外資投下を認め、投下資本に伴つて生ずる送金を確保し、保護する目的を持つ外資法を制定し、さらに昨年その一部改正により株式取得制限を緩和して外資の誘導に努めて来たのも、この目的に沿わんがためであつたことは言うまでもないことであります。けれどもこの改正によつても、外資導入は必ずしも所期の目的通りに達成されていないのでありますが、国内基礎産業の確立、電源の開発など、長期建設資金の需要がますます増大しております。今日、外資の必要は一段とその重要性を増して来ておるのであります。ことに平和條約の発効を数日後に控えまして、対日投資活発化も予想される折から、日本産業懸念を伴わない範囲において外資導入のために法律上の拘束をさらに緩和し、外資法目的に沿う外資導入に道を開くことも、けだし当然のことと思うのであります。この意味において、今日の改正導入外資の促進をはかるために、認可制度改正して、外国投資家による株式等取得制限を大幅に緩和し、さらに送金保証制度を拡大して、その取得しに株式の賣却代金その他元本回收金海外送金保証できる道を開くとともに、新たに株式等の指定及び果実または元本回收金等に関する確認の制度を設けて、その送金保証を与える措置とつたことは、まことに適切な、かつ時宜を得たものと思うのであります。また外国投資家預金勘定外国為替銀行に設定して、株式持分の賣却代金受益証参元本償還金現実送金されるまでの間預金させて、その勘定を明確にするとともに、海外送金額の把握にも便ならしめ、その放置から起る日本経済への悪影響を防ぐこととしたことも妥当な措置であります。これを要しまするに、今回の改正は、外資導入されるための法律上の技術的なる拘束を一段と取除き、條約発効後の日本経済自立に役立つ外資導入に道を開く措置としてこれに賛成するものであります。  なおこの法律の実施にあたりましては、その運用に十分の注意を拂い、いやしくもこの改正によつて日本産業導入された外資に支配されるおそれあるがごとき、好ましからざる懸念に根拠を与えることのないよう、政府においても万全の措置をとられるよう希望する次第であります。以上をもつて私の賛成意見を終ることにいたします。
  7. 志田義信

  8. 有田喜一

    有田(喜)委員 本改正法律案は、民間外資導入を容易ならしむる趣旨から出ておるものでありまして、私は改進党を代表いたしまして、わが国経済自立の上において相当貢献するものと考えこれに賛成するものであります。  しかしながら今回の改正法律案は、外資を優遇し過ぎておるというきらいもあります。すなわち乘りかえ承認やあるいは送金保証の優遇で、外人の投機活動をはげしくするおそれもあり、また外国資本参加によつて国内産業があるいは外国に牛耳られるのではなかろうかというような不安を持つておる趣もあるのであります。これは一にかかつて今後の行政運用にかかつておる点が多大でありますので、政府はこれらの点に十分の注意を拂われまして、万遺憾なき運営をされんことを切に希望するのであります。私はかような條件を付しながら本案賛成するものであります。  なお最後に一口申し添えておきますが、外資導入に関して、いわゆるまとまつた外資の問題については、政府態度、根本的の考え方がはつきりしていないように思われる。非常にこれが期待されるように吹聴したかと思うと必ずしもそうでもない。そのためにわが産業経済界をずいぶん迷わせておるふしもあります。政府はもつとすみやかに、アメリカその他とも緊密な連繋をとつて行くものなら行く、行かぬものならし行かぬというような、はつきりした態度をとつていただきたい。そうして外資に対する根本的な態度を明確ならしめ、産業経済界にいたずらなる期待はずれの生じないように万全を期せられんことを重ねて希望して、私の賛成討論を終る次第であります。
  9. 志田義信

  10. 風早八十二

    風早委員 私は日本共産党を代表して、外資に関する法律の一部を改正する法律案に対し反対の意向を表明するものであります。  この外資導入是非ということを抽象的に論議しますことは無意味であり、またきわめて有害であり、危險であるというように考えます。現実外資がどういう役割を果しておるか、あるいはまたこれから果そうとしておるか、それを見きわめることなしには、容易にこの外資導入是非を論ずることはできないと思います。その意味におきましてわが党は、現在まで入つて来ておりました特にアメリカからの外資導入そのものに対して反対して来ておる。またその立場から申しまして、今回のこの外資導入の地ならしになるいろいろな便益提供、こういうものに対してもわれわれはもちろん反対であります。現実日本主権の完全な独立というものの物的な基礎といたしまして経済的な独立が必要で、経済的に隷属させられるならば、何といつて主権独立ということはあり得ないのです。私は一つの例をあげておきますが、たとえば石油にいたしましても、今回四日市の燃料廠の拂下げ問題をめぐつていろいろな論議が行われましたが、私ども他委員会においてこの問題について参考人を呼んで意見を聞きました。その中で特に東亞石油社長の近藤さんが来られまして、そこで公述されておりましたが、日本石油の七八%というものは外資に支配されておる、それでかりに社長日本人であつても、その副社長は米人である、そしていかなる会社の運営につきましても、すべてロンドンあるいはニユーヨークに一々照会しなければきまらない、逆にロンドンニユーヨークですべて日本石油運営がきまる、こういうことが実際に行われている。これではどうにもならない。せめて今ここに残つている四日市燃料廠だけは、われわれ外資に関係のない業者が相集つてこれを確保して、幸いに非常に大きな能率を持つておるから、これをわれわれが十分育て上げて、外資に支配せられている日本石油業というものに大きな変革を与えて行きたい、こういうことを言つておる実情であります。これは石油だけではありませんが、特に石油のような大きな戰略物資についてそうだと思う。外資がどんどんと入つて来ることは歓迎だといわれるが、私どもはその気がわからない。やはり危險外資であるといわざるを得ない。そういう意味でこの外資導入に、ことさらに多大な便宜をはかつてやるということは、今日の段階におきましてはきわめて有害である。われわれが真に対等な状況になつた場合において、対等な資格で、お互いに資本の交換をやるということはまた別問題であります。その他もつと具体的にこの法案の各改正條項につきまして質疑をいたすはずでありましたが、実はその質疑をいたす機会を持たなかつたのでありまして、従つてあまりこの席で反対理由を列挙することはこれ以上私は遠慮いたしたいと思います。詳細は本会議におきまして述べることにいたします。  結論として本法案に対する反対の意を表明する次第であります。
  11. 志田義信

    志田委員長代理 これにて討論は終結いたしました。  これより採決いたします。本案賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  12. 志田義信

    志田委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 志田義信

    志田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時二十一分散会