○今井田
政府委員
国土総合開発法の一部
改正法律案の
内容につきまして、私から補足的に御
説明を申し上げたいと思います。
お手元に
国土総合開発法の一部を
改正する
法律案内容説明という書類が差上げてありますので、大体の要旨はその方に書いてございますが、なお私から補足的に各條につきまして、
改正の要点を御
説明申し上げたいと思います。
全体の構成といたしまして、従来は章別及び章名の記載が法案の中になか
つたのでございますが、今次の
改正によりまして、見出しをつけ、あるいは章名をつけるというふうなぐあいにいたしまして、全体を見よく、わかりやすいように構成をかえてございます。この点が第一の
改正点であります。以下各條につきまして御
説明を若干加えたいのでありますが、おもなる点だけ申し上げます。
その第一は、第六條であります。第六條の国土総合
開発審議会の組織と機能を
変更した点であります。御
承知のように、従来の国土総合
開発審議会の委員の構成は、三十名でございまして、そのうちには学識経験者及び
関係各行政機関の職員と、地方公共団体の長の一、二名を含んでおりまして、衆参両院の議員は、その構成のうちには入
つておらなか
つたのでございます。ところが今回の
改正によりまして、委員の数を三十名から四十五名に増加いたしまして、うち十五名を衆参両院の議員に充てる。衆議院から九名、参議院から六名の委員を新たに総理大臣が任命するというふうな
関係に
変更したのであります。この
変更をいたしましたおもなる理由は、総合
開発審議会が、従来主として審議いたします
内容は、計画の審議にとどま
つておりまして、計画の実施の面には触れていなか
つたのでございますが、総合
開発事務を進めて参ります上におきまして、ただ單に計画の審議だけでは足りない。計画の実施の促進に対しましても、審議会としてある程度の役割を果していただきませんと、総合
開発計画の円滑なる遂行ができないというふうな段階に立至
つて参りました。そこで衆参両院から、今申し上げましたように、十五名の委員の参加を得まして、これによりまして主としてでき上りました計画の実施を促進するような御努力をお願いするというふうな点を、おもなる理由にいたしまして、衆参両院の議員を十五名新たに参加していただくというふうな
規定にいたしたのであります。すなわち審議会の機能が擴充されましたので、これに伴いまして、所要の構成の
変更をいたしたというふうな
関係にな
つておるのであります。
その次に第六條第五項で、特別委員を設けることができる、特別委員には「学識経験を有する者及びその他適当と認める者のうちから、総理大臣が任命する。」ということを
規定してございますが、これは第六條の二に、国土総合
開発審議会に特別
委員会というものを設けますと
関係上、その特別
委員会の特別委員たるべき者の一部をあらかじめ総理大臣が任命するという
関係で、この
規定を置いたわけであります。この六條の二の特別
委員会と申しますのは、国土総合
開発審議会の下部機構でありまして、その審議会のうちに、第六條の二にございますように、特に重要と認める河川を含む特定地域又はその他の特定地域に対しまして、
委員会を特別に置きまして、そこで審議をしていただくというふうなものであります。これはここにありますように、特定地域のうちでも「特に重要と認める河川を含む特定地域又はその他の特定地域、」これらの地域につきまして、特別の調査審議をする。しかも通常の委員のみでは不十分でありまして、特にその地域の事情に通暁しておる方、あるいは特別の専門家、そういうふうな方々は、先ほども申し上げましたように、特別委員といたしまして、あらかじめ総理大臣の任命を得まして、それらの方々をも
つて構成いたします特別
委員会によりまして、それらの地域の問題につきまして審議を願うというふうな形をと
つておるのであります。これも今次の
改正によりまして、総合
開発審議会の
内容あるいは構成等につきまして、
変更をいたしました重要なる
事項の
一つであります。
その次に第三章の第七條でありますが、今次
改正におきまして、全国総合
開発計画の作成を
内閣総理大臣の義務といたしますと同時に、第二項におきまして、全国総合
開発というものの性格を明らかにしたというのが、
改正の点でございます。御
承知のように現行法におきましては、全国総合計画というものは、国がつくるのだということだけをうた
つてありまして、いつ、だれが、どのような
方法で、いかなるものをつくるかというふうなことにつきましては、ま
つたく
規定が欠除してお
つたのであります。ところが総合
開発計画をだんだん進めて参ります上におきまして、地方計画なり、あるいは府県計画なり、あるいは特定地域計画なりの
相互の
関係を、統一ある
関係におきまして調整いたしたり、あるいは計画自体の適否を判断いたします場合におきまして、全国的な視野に立ちました場合の
一つの
基準というものがありませんと、これらの判定も非常に困難になりますので、どうしても全国総合
開発計画というふうな有権的な
一つの
基準がなければいかぬというような必要も感ぜられましたので、そこで今回新たに総理大臣が各行政機関の長の意見を聞きまして、特別の総合
開発計画を作成しなければならないというように
規定したのであります。しかもそのつくられますものは、第二項にございますように、特定地域総合
開発計画、地方総合
開発計画あるいは都府県総合
開発計画の基本となるものである、すなわちこれらの計画の基本となる性格を持つものであるというふうに
規定いたしております。全国総合
開発計画はそれ自体実施計画にあらずして、他の計画の基本となるものであるということを、ここにおいてはつきり
規定したのであります。ただこの
條文の
規定あたりまして、いろいろ意見が出まして、こういうふうな基本となるべき計画ができなければ、地方計画、特定地域計画あるいは都府県計画というものができないというようなことでは困る。全国計画の作成に手間ど
つて、他の計画の決定が遅延するようなことでは非常に困るというような意見がございましたので、第二項の第一行目にございますように、全国総合
開発計画は、前項の
規定により作成された場合においては、これを各計画の基本とするというふうに
規定いたしまして、万一全国総合
開発計画ができないというような場合には、他の計画はこれに準拠しなくてもよろしい、これができた場合のみ準拠すればよろしいというように
規定いたしたのであります。蛇足でございますが、われわれといたしましては、なるべく早く全国総合
開発計画というものをつくる、おそくも今年度の下期にはつくりまして、計画の統一性を保持したいと考えまして、準備いたしておる次第であります。
次に
改正いたしましたおもなる点は、第十條の特定地域総合
開発計画に
開発目標を新たに加えた
規定をするというような
関係にいたしたことでございます。従来、特定地域の指定にあたりましては、御
承知のように、單に地域指定のみ行いまして、その地域におきましていかなる事業、いかなる計画が作成されることを国として意図したかということにつきましては、何らこれを
規定いたしておらなか
つたのであります。ただ地域指定を行
つてお
つたにすぎないのであります。これでは何がゆえにその地域の指定を行
つたかという理由につきましても明白でございませんし、またその地域におきまして、いかなる事業計画に重点を置くかという国の意思も明瞭でございませんので、地方で特定地域計画をつくります際にも、非常に困難を感ぜられることでもありますので、今回の
改正によりまして、特定地域を指定いたします際には、同時にその地域に対しまして目標となるべき
事項を指示いたしまして、計画作成上の参考といいますか、計画作成上の便宜に資したいというふうに
改正を行
つたのであります。これによりまして、とかく従来散慢になりがちでありましたところの特定地域の総合
開発計画も、きわめて重点的に遂行されることに相なるのではなかろうかというふうに考えておるのであります。
一つの地域の
開発計画をつくります際には、あれもこれもということでありましたのでは、とても実施に手間どりますので、なるべく
開発目標というものは重点的にしぼりまして、計画の簡素化をはかりまして、当該地域の最も必要な
事項についてのみ、早く総合
開発計画の成果を実現いたしたいというのが、この
開発目標を指示いたした理由であります。
その次に、第十條の二におきまして、特定地域総合
開発計画の決定という
條項を新たに追加いたしました。現行法におきましては、御
承知のように、総合
開発計画が地方から
提出されまして、
内閣総理大臣がこれを審議会に諮問いたしまして、審議会の報告、勧告がありました際には、それに基きまして、必要なる勧告を地方に対して出すという
関係を
規定しておるのにとどまりまして、その完成されました計画を行政の上に反映し、あるいは国としてこれをどう取扱うかというふうな
関係は、ま
つたく
規定してなか
つたのであります。従いまして
政府としては、でき上りました計画をただ單に参考案といたしまして、これを机のひきだしに入れてしまうというようなことをいたしましても、何ら法的な拘束はなか
つたのでありますが、これではせつかく国をあげてつくりました総合
開発計画も、いたずらに机上計画とな
つてしまうおそれもございますので、今次の
改正におきましては、総合
開発計画をいかにして行政の上にのりうつらせるべきかという
関係の
規定を、最も重点的に
改正することを意図いたしまして、以下十
二條、十三條におきまして
規定したのでありますが、その一連の
規定の第一としまして、第十條の二があるわけであります。すなわち特定地域総合
開発計画というものは、今後地方から
提出されまして、審議会がそれを審議しました場合には、これを国として閣議で決定いたしまして、国の行政方針にするということといたしたのが、第十條の二の
規定であります。すなわち当該地域としまして、その計画が
開発目標に照しましていいか悪いかということを判定いたしまして、国の行政方針にするということをいたすことにいたしたのであります。これに対しまして、第十
二條におきましては、この全体計画としての特定地域計画をさらにくだきまして、年度計画として国が取上げるという
関係を
規定しておるのであります。
関係各行政機関の長は、第十條の二において、行政方針としてきめられました特定地域の総合
開発計画につきまして、それぞれ次年度の実施計画たる事業計画をつくりまして、それを安定本部総務長官に
提出しなければならないというふうな年度計画の作成義務を、
関係各行政機関の長に対しまして與えたのであります。そうしてこの
規定の第三項におきまして、安定本部総務長官は、各省から
提出されました年度計画を調整いたしまして、一応最終的な姿におきますところの、翌年度の特定地域総合
開発計画の事業計画をつくる。そうして第十三條におきまして、このつくられました計画に対しましては、国は財政の許す
範囲におきまして、予算を計上し、あるいはこれに必要な
資金の確保をはからなければならぬというふうな
関係を加えまして、これら一連の
規定によりまして、従来行政にのりうつりませんでした総合
開発計画が、ま
つたく国の行政の上に移り得るような
規定を設けることにいたしまして、総合
開発計画の成果を確保することにいたしたというのが、今次
改正の最大のねらいにな
つておるわけであります。先ほど御来
説明いたしましたように、今度の
改正は特定地域をおもなる対象として取上げておるのであります。御
承知のように、特定地域は国民
経済に非常に強度な関連を持
つておるという
意味合いからいたしまして、国が特に指定した地域でもありますし、その地域の計画が遂行されるとされないとは、国としても非常に責任を持
つておる地域でありますので、まず第一に特定地域につきまして、完全なる総合
開発の成果を果したいというのが、国の現在の総合
開発に対する態度であります。今次の
改正におきましても、そのような観点からいたしまして、むろん地の都府県計画なり、地方計画につきましても重点を置いておるのでありますけれども、それ以上に特定地域計画に対しまして大きな重点を置きまして、主として特定地域計画の遂行が確保されますような
規定をたくさん盛り込んである次第であります。従いまして、今次
改正の重点は、特定地域総合
開発計画の遂行に重点を置いたということもいえると思います。しかしながら、むろん都府県計画につきましても等閑視したわけではないのでありまして、たとえば第十
二條二項にありますように、都府県も年度計画はつくるのであ
つて、つく
つた場合には、これを
関係行政機関の長及び安本長官に出さなければならぬ。従いましてこれらの行政機関は、これを受理する義務がある。そうしてこれに対しまして、第三項によりまして必要な調整を加える、調整を加えました以上、これにつきまして国が予算を計上する道義的責任があることは明白な事実でありますので、第十三條にその
関係は明記はしてございませんけれども、当然調整しました都府県計画につきましての予算計上につきまして努力すべきことは言うまでもないことであります。
第十三條の二は特定地域総合
開発計画に関する調整の
関係を
規定しております。一旦きまりました特定地域総合
開発計画も、だんだん実施して参りますと、やむを得ない事情によりまして、その計画の円滑な実施に支障を及ぼすようなおそれがある処分や、あるいは事業を行わなければならないような
関係が起
つて来るかと思うのであります。この場合、それぞれその事業を所管しております
関係行政機関の長は、総理大臣に対しまして本来の計画との調整を要請しなければいけない。むろん本
條文には限界があるのでありまして、元の計画を
変更するようなものがありました場合には、計画
変更としての手続をいたすのでありまして、計画の
変更に至らない程度の調整の必要があります場合には、総理大臣に
関係各省が以上のようなことを要請いたしまして、その間の調整をはかるようなふうにするというような
関係が、十三條の二の
規定の趣旨でありますが、これによりまして特定地域総合
開発計画というものの有権性を確保するというための配慮が拂われておるのであります。
第十三條の三の、総合
開発計画の実施に関する勧告の
規定でありますが、これは年度計画としての実施計画を実施して参ります場合におきましても、なおかつ事業の進度なり、あるいはその規模等につきまして調整を必要とするような場合が起ろうかと思うのでありますが、さような場合には、
経済安定本部総務長官は、
関係行政機関の長に対しまして必要な勧告をなし得るという権限を留保してありますのが、第十三條の三であります。
以上大体今次の
改正におきまして意図いたしましたものの要点を申し上げたのでありますが、繰返して申し上げますように、今度の
改正で最も重点を置きましたのは、従来の
規定、すなわち現行法において欠除しているところを補完した計画を、いかにして行政の上に反映させるべきかというような
規定を盛り込むことにあ
つたのでありまして、総合
開発法といたしましては、まだこれでは不足な面があるのであります。と申しますのは、実施上の隘路につきましてこれを解決するような権限なり、あるいは補助策なりを講ずべき必要がまだ考えられるのでありますが、それらの
改正は後日に讓りまして、今日の段階におきましては、今申し上げましたように、完成されました計画をいかにして行政の上に反映せしめるかというような点に重点を置きまして、今次の
改正案を作成した次第であります。
大体要点は以上の
通りであります。
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