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1951-11-24 第12回国会 参議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十四日(土曜 日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            藤野 繁雄君            佐多 忠隆君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            石原幹市郎君            岩沢 忠恭君            小野 義夫君            加納 金助君            九鬼紋十郎君            古池 信三君            一松 政二君            深水 六郎君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            荒木正三郎君            内村 清次君            小林 孝平君            小酒井義男君            松浦 清一君            山下 義信君            岩木 哲夫君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   委員外議員    内閣委員長   河井 彌八君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 天野 貞祐君    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君    農 林 大 臣 根本龍太郎君    運 輸 大 臣 山崎  猛君    国 務 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    特別調達庁長官 根道 廣吉君    特別調達庁財務    部長      川田 三郎君    地方自治政務次    官       小野  哲君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    文部大臣官房長 寺中 作雄君    文部省管理局長 久保田藤麿君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    運輸大臣官房長 荒木茂久二君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    中央気象台長  和達 清夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣提出、衆議院  送付) ○内閣委員長の申入れに関する件   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これより予算委員会を開会いたします。  前回に引続きまして質疑を続行いたします。松浦清一君。松浦君に申上げますが、農林大臣は今すぐ参りますが、大蔵大臣が來られておりますから……。
  3. 松浦清一

    松浦清一君 農林大臣がお見えになつてからでないと工合が惡いから、ちよつと待ちましよう。
  4. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 暫らく待ちましようか。どなたか大蔵大臣農林大臣が來るまで御質問があれば便宜……。
  5. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それでは私ちよつと……。最近の新聞によりますると、自作農になりました人たちが、二十四年度には七万件、二十五年度には十万件、そして今年度はもつと土地を手放すそうでございますし、同時にその土地を手放す前に大体一年に三万人ぐらいの人身売買が行われておるということでございますが、その原因は何でも自作農なつたときの税金の重いこと、肥料代が高くて融通が付かないということ、或いは土地が借金の抵当にならないというところに原因があるらしいのでございますが、いずれにいたしましても、どうもこれほど苦しんでいる人があるといたしますと、どつかに欠点があることには間違いございませんので、こういうような問題に対して、大蔵大臣何かお考えがございますでしようか。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農地改革によりまして自作農のかたが相当殖えて参つたのであります。殖えました自作農のかたが経営上資金に困られる場合におきまして、これに貸付をしたらどうかというので、これに国のほうで土地を担保に貸付をしたらどうかという議論があるのでございまするが、この制度を適用いたしますると、非常に政府としてその負担を負わなければならん場合がある。今では建前としては買上げ、こういうことにいたしておりまするが、こういう買上げの事例は余りたくさんはございません。從いまして、こういう自作農のかたの経営の困難を緩和するためには、所得税その他におきまして減免するような税制改正をすると同時に、肥料につきましても、成るべく上げないようにする。そうして又でき上つたお米や麦を適正な価格買上げる。こうするよりはほかにないと思います。第一の所得税の軽減につきましては、御承知通り農民に対しましては相当の減税をいたしております。お話昭和二十四年には農家所得税が四百億円を越えておりましたが、二十五年におきましては二百億円台、半分くらい。今年は又税制改正でよほど減つて來ると思います。ただ米価が非常に上りますると減り方が少いかも知れませんが、いずれにいたしましても、農家所得税は半分以下になつております。それから肥料の点もお話にありましたが、肥料補給金を外しましてから、かなり上つて來ております。補給金時代には硫安トン二万一、二千円のものが、今では二万円或いは最近電力不足で少し上つておると思いますが、それはやはり生産価格パリテイ計算に入れておりますので、適正な米価でやつて行けば、そうお困りになる場合は少いのじやないか。今後適正な米麦価格をきめて行けばよいのじやないか。併し数多い中でございまするから、お困りになる点は農家ばかりでなしに、勤労階級にいたしましても、中小企業にいたしましても、かなり経営不如意の点はあると思いますが、これは日本の経済全体をよくして行くよりほかには、個々の個人個人についてどうこうということはなかなかむずかしいことであると思います。
  7. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 松浦清一君の時間は一時間でございます。
  8. 松浦清一

    松浦清一君 只今日本アメリカカナダの間に行われておりまする漁業協定の問題なんですが、この漁業協定に関しましては、曾つての本会議で私は緊急質問農林大臣にいたしました際に、飽くまでも平等の権利において交渉が進められ、而も公海操業の自由というものを確保される、この原則に立つてこの協定交渉が始められておるということを承わつたのですが、今までの経過から考えて見ましても、この交渉が始められまする一番の最初の動機は、曾つての吉田、ダレス書簡から出発をいたしまして、平和條約の第九條にこの條約が発効されるまでに関係諸国との間において漁業協定が行われるということが明記されている。その方針に基きましてか、日本政府の招請によりまして、カナダアメリカの代表が日本に來られて、本月の五日から交渉が始められておる。私どもはこの交渉経過を見ておりまして一番関心を持つておりましたのは、飽くまでも公海における操業の自由が確保される結果においてこの條約が結ばれるであろうかどうかという問題であります。それからもう一つは、現在日本の置かれている立場から考えて、原則的には平等の権利において、平等の立場においてこの協定が行われるということを打出してはおるが、本当の意味において日本が平等の権限を主張し、平等の強さを以てこの協定交渉が進められるかどうか、こういうところに一番大きな関心を払つていたわけなんであります。その後交渉経過がしばしば新聞によつて報道されておるところによりますと、何かしらやはりアメリカカナダのほうから條件を付けておるようなことを仄聞するわけであります。アメリカのほうからは最初アメリカ試案なるものが提案をされて、それに対する日本側意見というものが出されておりますが、その双方意見を折衷する案が最近に双方から持出されて、その案を中心として交渉が進行しておる、こういうことを新聞に報道されておる。そこで私は一番最初に聞きたいのは、一体最初に本会議農林大臣が言明されましたように、公海操業の自由と、それから平等の権限と強さにおいて現在その交渉が進められておるかどうかということ、恐らく農林大臣は、公海の自由は飽くまでも主張しておる、平等の権限において交渉が進められておると、こうお答えになるだろうと思いますが、若しそうお答えになるならば、私は例証を挙げて重ねて御質問を申上げたいと思いますが、先ずその基本的な問題から伺います。
  9. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 日米加三国の漁業協商は、御指摘通り只今三国のおのおのの試案が出されまして、これを中心として折衝の過程にあるのでございます。我が国の基本態度といたしましては、先般松浦さんの御質問に答えて私がお答えした通り方針を堅持はいたしておるのであります。御承知のように、今回の漁業協商は、各国とも公海の自由平等ということは基本原則でございます。併し一面におきましては、公海における漁場保存魚類保存をしなければ、近代的な漁獲方法が飛躍的に進歩したために、人類共通資源であるところの魚族が非常に壊滅的な減少を來たす、こういうことはお互い各国共同して保存の施設をとるべきである、この場合においても各国同様の平等の立場において保存のために協力する、この二つが基本の眼目なのであります。從いまして公海自由の原則を堅持しつつ、而も公海における漁業資源の保持のためにお互いに協力する、こういう方向を辿つている次第でございます。
  10. 松浦清一

    松浦清一君 多分そのようにお答えになるだろうと考えてお伺いしたわけなんですが、世界水産資源温存するということは、これはもう漁業基本原則でなければならん、三寸の「たい」を稚魚のうちにとるよりも、やはりそれを七寸に伸ばしてとるほうがいいのでありますから、できるだけ世界が平等の責任義務において世界魚族温存される、こういう基本的な世界漁業に対する考え方というものは、これはもう誰でも常識として考えているわけなんです。ところが二、三日前からの交渉の動きを仄聞するところによりますと、一体漁業資源温存というものは、アメリカカナダ立場から考えて有利な條件においてその温存考えられようとしておる、そういうことを私は仄聞するのです。例えて申しますと、アメリカカナダという言葉で表現をしておりませんが、或る国の領海、それからそれに隣接する海域、こういう所の漁業資源が満限に達した場合の話が今交渉焦点になつているように私は聞いておる。若し満限になりました際に、アメリカカナダ側のほうでは、今までその漁場に対する実績のあつた国、それからその沿岸国、この国は自由にその満限になつ海域に対して操業をしてもよろしい、併しその漁場に対する実績を持たない、又沿岸国でないという国はその漁場から遠慮をすべきである、こういう條件向う側から持出されておる、こういうふうに私は聞いておるわけなんです。ところが了解に若しむのは、一体領海に隣接した海域というものはどういう海域を指しておるのであるかということに疑問の一つがある。それから実績々々と言いますけれども、例えて申しますと、甲の漁場で今年一ぱい操業をやる、そうすると、そこが満限に達した場合には、漁業というものは漁場を変えて行かなければならん、順次漁群を追つて漁場の範囲というものは拡大されて行くものである、日本が今年は甲の海域操業をして、そうしてもう魚がいなくなつた、新らしい漁場を求めてそこに操業に行こう、こういうふうに考えたときに、向う側のほうで、これは満限であるから日本実績を持つておらないから入つて來ては困る、こういうふうになるとするならば、これは平等の権限と平等の立場において世界水産資源温存されようとしておるのではない。一方的な利益と一方的な立場において魚族温存というものが図られようとしておることが向う側から主張されておる。このように聞いておるのですが、その点はどういうことになつておりますか、お伺いしたい。
  11. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 満限に達した地区について一方的な制限が行われるじやないか、こういうようなお話でありますが、現在の交渉焦点になつておるのは、もつと違うことです。それは沿岸国一定漁場を確定して、そこには優先的に沿岸国漁業権があるけれども、他の国は入つてはならないというような申出ではなくて、これは科学的な技術的な調査に基いて満限に達しておると認められて魚類について、その種類について自発的な抑制をする、こういう規定を中心として今交渉が進められておるようであります。余り詳しい内容は交渉過程なので申上げ得る段階ではありませんが、この意味におきましては、一定区域限つてそこには或る国が優先的に漁業権を確保し、他のものはこれに対する漁業権を放棄する、こういう趣旨ではございません。なお又満限に達しておるか否かということの判定沿岸国自体がきめることでありまして、加盟国によつて構成せられている專門的な技術的な共同調査に基く判定によるということでありまするので、この点については一般の疑問と考えている次第でありますが、これは交渉過程でありまするので、どういうふうな結論になるか未だわかりませんが、大体今御指摘の点については、我々の解釈は只今申上げたような態度をとつている次第であります。
  12. 松浦清一

    松浦清一君 その沿岸に隣接する海域というのは、どれくらいの海域を指しているのですか。
  13. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは只今沿岸海域についてまだ触れていないようであります。今は原則論において討議しているのでありまして、先ほど申しましたように、これはどの区域というように区域限つたのではなく、その魚の種類について、共同調査に基いて自発的に自制するというようなことで原則論として問題になつているのでありまして、沿岸海域をどのくらいというようなことは現在問題になつていないようであります。
  14. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、沿岸海域はどれくらいの広さで、どういう海域であるかということは交渉過程でわからん、それは了承いたしますが、若しそういう満限に達した海域ができたということを国際的な機関において認定をしたというときに、沿岸国である理由によつて、又そこにその漁場に対する実績を持つているという理由によつてアメリカカナダがそこで操業することは自由である、日本だけがそこから締出される、こういう立場になる虞れがあるのですが、その点についてはどういう御見解をお持ちですか。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど申上げましたように、実績ということは、この戰時中において日本敗戰国であるが故に締出されて行けなかつたということを前提としているのではないのであります。日本が戰前において実績のあつたところは当然実績として認められるわけでございます。なおお尋ねの沿岸国が満限に達した場合において、從來実績があるということと、更に沿岸国である、こういう観点において或る一定種類の魚については從前通りに、而も一定の限度においてこれは保存措置を講じつつ漁撈することはできるけれども、他の国々はそれに対して実績もなく、又更に満限に達しているところに、自分の一応原則的になつているところの権利を行使しないで、お互いにその点は自制する、こういうような形になるのでございまして、その点はアメリカ側その他カナダにおきましても、日本沿岸地域について同様な措置をするので、從いましてその点の権益はお互いに平等の立場において尊重し合う、こういうことになるだろうと存じます。
  16. 松浦清一

    松浦清一君 その平等の立場において魚族温存を図ろうということなら私は異議はないのですよ。問題になるのは、今までの実績から考えて、日本漁業というものは遠くカナダアメリカ沿岸まで今までは出漁しておつたアメリカ漁師日本沿岸に來て漁をしたことはないのですよ。日本漁業というものは、将來基本的なことで言えば、こんな島国で人口はだんだん殖えて行くし、これからどんどんと公海自由の原則に基いて魚をとりに遠い海まで出て行くほかに日本の生きて行く道はない。今まで……恐らくアメリカは、日本がそういう意見を出して來れば、アメリカ沿岸に、アメリカカナダ沿岸に対して日本が來てはならん、こういう、極言かも知れないけれども、そういう代りに、アメリカカナダの船も日本沿岸にはやらんぞ、これは平等だというかも知れません。併し過去の実績においてアメリカカナダの船が日本沿岸に來たことはない。又アメリカカナダ日本沿岸に出て來なくても、この国々は多くの漁業資源を持つている国なんです。日本だけがやはりアメリカカナダ沿岸で漁をしなければ、これから先に拡がつて行く漁業区域というものはないわけなので、そのところから日本が締め出される。実績を持つている或いは沿岸国であるという理由に基いて、アメリカカナダはそこで操業することは自由であるということは平等でない。若し平等の義務責任において世界魚族温存しようとするならば、満限に達した海域においては、日本も行かない代りアメリカや、カナダもそこでは操業しない、こういう協定ができるならば、これは平等の責任義務において世界魚族温存される、こういうことになるのですが、農林大臣は平等々々とおつしやつておられますけれども、その特別の実績と、沿岸国であるという理由において、向うのほうには許されて、こちらのほうは許さないということは、最初におつしやつておられた公海操業の自由を守られない、こういうことになる心配があるので、私はその点を重ねてお伺いしているわけなんです。
  17. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 満限に達したところの地域について、実績国は平等の権利を持つということであります。從いまして日本漁業が、カナダ或いはアメリカ沿岸において曾つて実績のあつたものについては同様な立場にあるのであります。但し今まで日本が全然アメリカカナダ沿岸において実績もなく、而も或る種の魚類については満限に達しているという具体的な科学的な調査に基いて出た場合においては、その所においては自発的に出漁を遠慮する、こういうふうな立場になるのでありまして、從來日本実績を持ちながらなお且つこつちは全然行けない、権利を放棄する、こういう立場にないと我々は解釈しているのであります。その意味におきましては、実質上こちらに非常に不利になるということは考えておりません。又アメリカカナダ沿岸地域において、而も公海の場所において新たなる漁場日本の漁民が得ることについては何らの制限がないのであります。その点についても、一方的に日本漁業家が今回の協定によつて新たなる漁場発見権利を放棄するということにもなりませんので、要するに満限に達した或る魚類についてはお互い保存措置を講ずる。そうした場合においては或る一定の限られた量でありまするので、その魚類については実績を尊重する。而も沿岸国は、よその国においてもやはりこれはお互いにその権利を尊重して行くということが、人類共通資源を確保し、且つ公海平等の原則を守りつつその程度の調整をしなければ、各国が円満に漁業の発展を期することができない、こういうような観点において現在の交渉が進められている次第でございます。
  18. 松浦清一

    松浦清一君 くどいようですけれども、満限に達した漁場で、各国とも平等の義務責任において魚族温存する。そいはやはり実績があろうとなかろうと、沿岸国であろうとなかろうと、そこでは操業をしない。こういう原則が打立てられるのだつたら、それは平等なんですよ。ところが今まで実績を持つている、或いは沿岸国であるという理由のために、その国々操業の自由が許されるということは、真の意味で平等の責任義務において魚族温存するのではない、こういう私は見解を持つから、世界のやはり漁業というものを考えてみる場合に、やはり共同責任義務においてその魚族というものは温存せらるべきなんです。そうしなければ、結果において世界水産資源漁獲量というものは、やはり減少して行くことになりますから、それを温存するという基本論に対しては私は反対じやない。ただ特別国だけに実績沿岸国であるその理由によつて許されて、実績を持たない、沿岸国でないということの理由のためにそこで操業ができないということは、一方的な利益向う側に與える、こういう結果になるから、そこは飽くまでも日本公海操業の自由を主張し、平等義務責任において世界魚族温存しようとするのであれば、実績があろうとなかろうと、沿岸国であろうとなかろうと、その満限に達した海域においては操業しない、こういう建前を堅持すべきではないかということを私は申上げておるのであります。
  19. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題は随分論争と言いますか、見解相違もあるようでございますが、松浦さんの考え方が、日本が積極的にその漁場を、未開発地域をどんどん進めて行く、或いは又從來すでに他の国々によつて開発されたところにしてもどんどん出て行くんだ、これは完全な自由主義で出て行くんだ、從つて本來は漁業協定はなくても実力行使で行つたらいいではないかというところまで行きはしないかということを心配しておりますが、御承知のように各国において協定されておる漁業協定におきましても、本來は公海の自由を原則としながら、やはりお互い魚族保存という立場においてお互いに制約し分つているのでございます。現在日米加三国における協定もその線に沿つて進めておられるのでございます。若し逆に中国なりその他の関係からいたしまして、御承知のように日本沿岸漁業も相当実は枯渇しているような状況のときに、よその国がどんどん出て來てもしようがない、これが平等だというわけには私は行かんだろうと存ずるのであります。而もこれは一定海域をきめて一切の漁利を、そこで権利を放棄させるということではなく、満限に達した魚族についてのみ制限をいたす、而もその場合においては実績国は平等の立場においてこれを尊重し合う、ただ実績もなく、そうして満限に達したものについてはお互いに自制し合うということでありまするので、私は日本立場が非常に不利になるということは考えないのでございます。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 これは何度申上げても、大臣と私の見解相違なんで、結局その漁業協定に臨んでおる日本側態度に、今農林大臣がおつしやられるようなことを、やつぱり平等の立場で、平等の権限において主張しているんだとお考えになつているとしたら大きな間違いだと思います。これは話合ですから、どういうことに結論がきまろうとも、日本最初考え公海操業の自由、世界魚族温存のためには、世界が平等の責任義務においてこれを図らなければならないという立場を堅持して、その交渉を進めて行くようにしてもらいたい、こう思うのです。向うのほうでは最初申上げたように、アメリカのほうの沿岸に対して、満限に達したところは日本も來てもらつては困る、アメリカ日本沿岸に行かないということでしようけれども、今までのアメリカカナダ漁業実績というものは、日本沿岸まで出て來て漁をしたことはない、日本漁師アメリカカナダ沿岸まで行つて漁をやつておる、これはどういう協定が結ばれようとも、アメリカカナダ日本沿岸には來ないと断定的に言える、けれどもこちらはアメリカカナダ沿岸まで出て行かなければ、日本に近接した海域には漁場はないんです。その点についてひどい不利益をこうむらないように、これから先の協定交渉を進められて、そうして協定のでき上つた結果、日本が屈辱的な漁業協定をやつた、こういうことがあとに残らないように一つ細心の注意を払つて交渉を進めて頂きたい、こういうことをお願い申上げておきます。それからもう一つは、これも本会議緊急質問をいたしましたけれども、そのときにはやつぱり具体的には意を盡くしていなかつたので御質問申上げたいのですが、マツカーサー・ラインは講和條約が発効されると直ちに解消されるんだということを、先の閣議で決定されたように報道されておりますが、これは確かでございますか、そしていつ頃そのマツカーサー・ラインというものは解消されるんでしようか、その点について……。
  21. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答えいたします。これは私からでなく、総理大臣若しくは外務大臣からお答えするのが当然だと思いまするが、我々の解釈といたしましては、講和発効後これは当然解消するものと考えております。なぜかならば、マツカーサー・ラインは占領管理政策のために設けられたるところの臨時的な措置でありまするが故に、日本が完全に国際社会の一員として独立した場合においては、当然その占領政策の完了した故を以て臨時措置というものは解消される、かように考えている次第であります。
  22. 和田博雄

    委員長和田博雄君) ちよつと松浦君に申上げますが、大蔵大臣が大蔵委員会から呼ばれておりますので、若しあなたの御都合がよろしければ、十五分くらいそちらのほうへ大蔵大臣行くことを許してもいいと思いますが。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 結構です。私は運輸大臣が見えられて造船融資の問題について質問を残しておきますから……。
  24. 和田博雄

    委員長和田博雄君) あなたの御要求の厚生大臣と特調の長官は來ておられますから……。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 それではマツカーサー・ラインが若し解消されると、北洋方面や東支那海、黄海方面の日本漁業というものはどういうことになりましようか。
  26. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは両條約のときに兼岩さんといろいろ見解相違が出たところでありまして、マツカーサー・ラインが解消されますというと、我々は国際社会に復帰したという観念において、從つて国際法上許されている公海漁場の自由という点がありまするので、從來の北洋漁業権というものは我々は日本に権益が返つたものと解釈されることが至当だと存じます。併しながら実質的にはソ連並びに中共が日本平和條約を結んでいないということのために、向うのほうはマツカーサー・ラインというものが解消されても、日本が完全な独立国でないという観点の下に、從つて国際法上独立国の持つべきところの権益を認めないという態度が恐らく出て來るのではないか、そうした場合に、事実問題として北洋漁業権というものは非常にこれは不安定な形において残されるものと考えられるのであります。この点はソ連が日本と速かに正常な交渉が結ばれることを期待して、こちらのほうは善処する以外に方法はないだろうと思います。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 曾つて水産委員会で、中央に拿捕された以西底曳の舶に乘つてつて抑留された諸君が帰還をいたしまして、それを証人として抑留をされておつた当時の状況、又抑留された事情等について聽取をいたしたのですが、そのときに証人の証言によりますというと、中共に抑留されている間に、あのマツカーサー・ラインというやつは、これは蒋政権がきめたラインであつて、今は蒋政権ではないのだから、マツカーサー・ラインのあるないというのは中共はこれは認めないから、マツカーサー・ラインの中であろうが、外であろうが、日本船である限り見付け次第拿捕する。而も拿捕した船は、船は資本家のものであるから、これはもう沒収する。併し船員は労働者であるから、気の毒だからゆつくり遊んで帰つてくれ、こういうことで、又あとで申上げますが、残つておる者はありますけれども、五十数名そのとき帰されたのであります。そうするというと、東支那海方面においては、マツカーサー・ラインがなくなる、なくならんということが、あの漁場を保護するという問題にならないわけですね。ですから今おつしやつた北洋方面と同じようにマツカーサー・ラインがなくなつて、やはり東支那海において以西底曳というものは非常に危険な状態にさらされる。日本立場からは独立したのだ、マツカーサー・ラインはなくなるのだということを主観的には考えるけれども、やはり相手があるわけなので、向うのあの海域における漁業というものは非常に不安定な状態におかれる。今まではマツカーサー・ラインは一つ制限ラインであつたと同時に、又言葉の裏を引つ繰り返してみれば、これは一つ日本漁船の保護ラインでもあつた、マツカーサー・ラインの中で拿捕されるという理由はないのじやないかということを、これは問題にし得たわけです。ところがラインがなくなつて來ると、問題にする根拠、限界というものはなくなつてしまつて、今までよりも不安定な状態に置かれる。こういうことが予想されるんですが、それに対して日本政府はどういう方法で北洋や東支那海の方面の漁業をやらせようと考えておるのか。これは極めて緊急な問題でありますから、政府の御方針を伺いたい。
  28. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 非常にこれはむずかしい問題でございまして、日本立場としましては完全に独立になり、從つて国際法上許されておる権限は我々もその権限を行使し得る。こういう見解に立つのが当然であり、又一般社会もこれを認めるのは当然であります。併し相手国の中共が、日本は独立国家ではない、未だ戰闘行為を続けておる、戰争状態にある、從つて日本におけるところの一切の漁船のみならず、すべての海運の船舶も当然敵側のものとして拿捕してもいいという解釈を無理にとつて來るということにかりますれば、これは非常に大きな問題になると存ずるのであります。從來におきましても中共ではマツカーサー・ラインを認めていなかつたという立場において、多くの日本の漁船が犠牲なつておるのでございまして、この点は誠に遺憾に堪えません。日本といたしましては今後でき得る限り免じたところの危険の未然防止のために、或いは監視舶なり或いは海上保安隊の保護、或いは集団漁撈等の措置をもつて消極的にこの紛争並びに拿捕を未然に防止するということが、なされ得るところの現状の立場にある手段でございます。なお中共との間に我々が今回結んだ平和條約を中心として国交が回復されればこれは根本的に解決されると思いますが、併し又一面におきまして中共といえども無下に、そのような国際的な意味で人道上、何らの中共に対する損害を與えようとするものでもなく、敵対行為をするものでもない、平和な一般人民の生活を脅威することは、私は漸次控えて來るのではないか。こういうふうな観測を持つておるのでありますが、併しこれは国際情勢の推移如何によつてはかなり又困難な立場に追いやられるかも知れないということをあなたと共に憂いておる次第でございます。
  29. 松浦清一

    松浦清一君 東支那海方面における漁業が非常にマツカーサー・ラインがなくなつても却つて危険が増大するばかりで不安定な状況が解消されない。こういうことを農林大臣は心配をしておられるのですが、ただ時の動きを漫然として待つてつてもこの関係というものは好転もしなければ解消されるものでもないわけなんです。ですからアメリカ中心とする平和條約に努力されたのと同じようにやはり中共、ソ連に対して漁業問題等についての努力が今払われておるのか。それとも時節の來るのを待つのか、どういう状況なんですか。
  30. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題は農林大臣から申上げるよりも、外務大臣からお話になるのが適当かと存じますが、日本政府といたしましても世界のすべての国々平和條約を結び、完全な主権国として世界国々と友好状態に入ることを望んでおることは当然でございます。ただし現在の状況において中共並びにソ連におきましては、日本に対しましてかなりきびしい態度をとつており具体的交渉をいたす段階に達していない。こういう状況のようでございまするが、恐らく日本が批准発効後におきましては、或いは最近のソ連の動きのように日本に対しても何らかの形において外交機関を設けられるというような空気を察知いたしますれば、これはやはり日本とも何らかの形においてやがてはそれが正常なる日本との国交を回復すべきであるとの一つの私は考えを持つているのじやないか。こういうふうに考えられますので日本においてもでき得るだけ速かにこれらの両国と平和條約が結ばれることを希望していると申上げる以外に、今のところ具体的に私から申上げる段階ではないと思います。
  31. 松浦清一

    松浦清一君 今中共に日本船で拿捕されていますのは講和條約締結前に二十七隻、それから講和條約が締結になりましてから急激にその拿捕数が殖えている。平和條約ができて中共の方面でもだんだんと状態がよくなるだろうというような楽観的な観測は、これはもう非常にいけない観測なのでだんだん殖えて來ている。講和條約締結前に二十七隻であつたものが締結後に十五隻も急激にやられているわけなんですね。合計して四十二隻中国に拿捕されてその中で帰つて來たのがたつた一隻です。そこで四十一隻が拿捕された状態のままおかれているわけです。それからその船に乘つてつた乘組員も二百六十六名が帰つて來てなお二百四十名というものが抑留されたままになつている。この抑留をされている人員や拿捕されてまだ帰してもらえない船をこちらへ帰してもらうということについての交渉は、どのような筋道でどのような方法において行われているんですか、それを伺いたい。これはもうしばしば私は水産委員会でも伺つたし、本会議でもこの間伺つたんですが、一生懸命やつていますということではありますけれども、どの筋道を辿つてどういうような具体的の交渉が進められているかということを伺つたことはないんです。それを一つ明確にお答えつて、これはどうしても交渉しても駄目なのか、駄目な場合には一体どうしようとしているか、その点伺いたい。
  32. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この交渉の問題も私から申上げることが本筋かどうか疑問に思われますが、農林省といたしましてはこうしたところの被害の状況を直ちにわかりますので、外務省を通じて外務省が実は総司令部のほうへ、総司令部から更に関係国に対して申入れをして交渉をして頂いている。かように存ずる次第でありまして、又これは中共との関係においては直接総司令部がどういう手段を通じてやつているのか、或いは又他の中共を承認している国を通じてやつているのかどうかについては、私はまだその内容については承知していない次第でございます。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 これはまあ中共と同じわけなんですが、ソ連にしても今まで百四十六隻拿捕されて、そのうち百隻帰つて來て四十六隻が未帰還である。乘組員も千百七十名帰つて百十三名が未帰還である。どうしているのだかさつぱりわからない。今のお答えによりますと、どういう方法において交渉せられ、どういうような状態に具体的になつているかということについて明らかでないということなんですが、この外国に拿捕され、抑留されて帰つて來ない二百四十名、或いはソ連の百十三名なんという人の身柄が一体どういうことになつているのかということも日本政府が知らない、わからないということではこれは大変だと思うんですよ。不法にたつた一人の日本人が拿捕されたり、或いは外国人に狙撃されたりするということのためには非常に大きな国内的、国際的な問題になるにかかわらず、船に乘つている乘組員が何百といつて抑留せられて、そしてどういう工合にそれが遇せられているのか、いつ帰つて來るのかわからない。こういうふうな状態では甚だ困ると思うので、具体的な一つわかる所で調べて、一体家で待つている家族だつて大変なことだろうと思いますが、家族が安心して無事でやつておるようなら無事にやつておるということがわかるようにでも早急に一つ考えてもらいたい、こういうことを一つお願いをいたしておきます。時間の関係もございますから農林大臣に対する御質問はこの程度にいたしておきまして、厚生大臣お見えになつておりますか。
  34. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 見えております。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 厚生大臣に伺いたいのですが、今回の補正予算で遺家族援護の調査費として一億円の予算が組まれておるのであるが、この遺家族の調査の範囲というものは一体どのくらいの範囲に及んでいるのでしようか。
  36. 橋本龍伍

    国務大臣(橋本龍伍君) 遺家族の問題につきましては軍人、軍属及びその遺家族を主体にいたしまして、その他調べるルートといたしましては自治体を主体にして調べるつもりでございます。ところがこの軍人、軍属以外にも考慮すべき種々な問題がございますので、海員に関しましては運輸省、それから徴用工、動員学徒等につきましては文部省、労働省等と連絡をして調査方法を今検討中でございます。成るべく援護対象を検討いたしつつ、それの所要の調査に遺憾なきを期したいと思つております。
  37. 松浦清一

    松浦清一君 軍人、軍属を対象として調査せられて具体的にその援護を図る場合に、軍人と軍属との間には待遇上の相違はございませんか。又あるという方針なんですか、ない方針でやつておられるのですか、伺いたい。
  38. 橋本龍伍

    国務大臣(橋本龍伍君) 軍人、軍属の間に特別な区分を付けるということは格別考えておりません。
  39. 松浦清一

    松浦清一君 これは調査が完了いたしますると、恐らく來年度の予算に援護の具体的な問題が考えられて來るのだろうと思います。私は軍人も軍属も差別を付けるべきでない、やはり軍属も国家総動員法に基く徴用令によつて徴用をして來たので、軍人と同じような立場においてその戰線に参加をして犠牲をこうむつておる。国家の権力によつてこれを動員をして同じような立場において犠牲をこうむつておるという建前から、徴用をやられて工場に働いておつた者も、徴用されて陸海軍の御用船に乘つてつた者も、或いは現地に派遣されておつた者も、平等の原則においてこれは援護措置が講ぜられるべきであるという、こういう考えを持つておりますので、その点御配慮の上予算上の措置を講じて頂きたい、こういうことを申上げておきます。厚生大臣にお伺いするのはそれだけです。  それから特調の長官にお伺いしたいのですが、この前委員会でちよつとお伺いを申上げた連合国軍に使用されている二十二万の労務者の身分上の問題なんですが、そのときお伺い申上げたのは、一体連合国軍に使用されている労務者に日本の法律は完全に適用されているのかいないのか、こういうことであつたわけです。そのときに特調長官は連合国軍関係の労務者に対しても日本の法律は適用いたします。こういうことでありましたが、その後調べてみますると陸上に働いておる連合国軍関係の労務者、それから船に乘つておる諸君も完全に日本の法律というものが適用されておらないという事実なんですが、これはどういうことなんですか、今まだ適用すべく努力中なんですか。
  40. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 先だつてお答え申上げましたように、労働関係法規の適用はあるものと心得ております。ただそのときも申上げましたように、日本政府が雇用者の立場でなくてたまたま使用者は日本政府でなくして軍側であるという関係上、事実上法規が適用されなかつたと似たような現実の問題が生じて來るということを申上げました。それにつきましては私どもといたしましては、そういうような事実が発生いたしますればできる限りこれを是正するということに常時努めておる次第でありまして、今後とも軍側に対しましては日本法規の尊重をできるだけお願いするということにいたしております。
  41. 松浦清一

    松浦清一君 講和條約が発効いたしまするとこれらの労務者の身分上に変化が起る、こういうふうに思うのですが、どういうことなんですか。例えば賛否の問題は別問題といたしまして、やはりアメリカ軍隊の駐留による安全保障、こういうものから行政協定が行われるわけですね。そうするとどれくらいの軍隊が駐留されるようになるかわかりませんが、若し現在の勢力と、これは推定ですが変らない状態において米軍が駐留するとすれば、それに関して必要な労務というものが必要になるわけなんで、今までと同じような状態でこの連合国軍関係の労務者は置かれるものである。又身分上に変化が起るものであるか、その点の見解一つ伺いたい。
  42. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のところ講和條約の発効後どうなるかということはきまつておる次第ではございません。併し実務を扱つております関係上私が察知いたしておりますところを申上げますれば、米側としても現在と殆んど変らない状態において使いたい、こういうような希望を持つておるように考えております。ただその場合先刻もありましたように、なお更に日本法規の完全尊重ということを励行してもらいたい、こういうようなことは是非とも我が方としては求めなければならんと考えております。
  43. 松浦清一

    松浦清一君 今までと変らないような状態においてその労務に服することができる、こういうことになれば問題はないわけなんですが、若し二十二万が必要でなくて十五万でいいのだということになれば七万人は結局整理をしなければならんということになるのですが、その点の退職、つまり離職に関する手当ですね、或いは転職に関する方法、そういうものについても政府は具体的に考えておかなければならん。こう思うのですが、そういうことを今問題にしておらないわけですか。
  44. 根道廣吉

    政府委員根道廣吉君) 只今のところ極めて大量の失職者を出すということは想像いたしておりませんが、若し解雇せられる者があるといたしましたならば、これは現在きまつているところに從いまして相当の退職の手当をいたす、これは勿論であります。なお又或る数量の解雇者が出るというような場合が実際にございましたならば、これは関係省当局と十分連絡をとりまして、できるだけ失職の実害のないように措置いたしたいと存じます。
  45. 松浦清一

    松浦清一君 あと運輸大臣大蔵大臣に対する質問が残つておりますが、午後運輸大臣出て來られると思いますので時間を一つ
  46. 東隆

    ○東隆君 私は農林大臣大蔵大臣、安本ですが。
  47. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 安本はおります。大蔵大臣はもう大蔵委員会から帰つて來ます。
  48. 東隆

    ○東隆君 最初に二、三お伺いしますが、それは先日の本会議でありました、国会の審議権尊重に関する決議案の決議に対する農林大臣お答えというよりか発言ですが、あの内容は実は私ども甚だあの場合における発言としては感心できませんでしたのでもう一度お伺いをいたしたいのであります。  政令によつてやるか或いは法律によつてやるか、この問題なんであります。その場合に農林大臣は政令によつてやるといたしましても、それは権限が十分に皆さんによつて認められておるのだからこれでやるのだ、こういうようなお話であつたのでありますが、併しあの決議をしたゆえんのものはそういう意味ではなかつたはずでありますから、その点のことをもう少し詳しくお答えを願いたいと思います。
  49. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般参議院本会議において決議されたのは、国会審議権の尊重という題目の下に、内容につきましては主食の統制撤廃、特に米麦につきましては法律改正を以つて臨むべしというような御趣意でございました。それに対しまして政府は、從來も常に国会の審議権を尊重して参つておるし、今後も国会の審議権は尊重して参るつもりでございますが、統制撤廃に関する手続につきましてはいろいろとたくさんございまするので、一部法律によつて政府の政令によつてなし得る権限を與えられておるものについては、やはり現行法の立場において政令でなし得るものもあるであろう、又立法措置を講じなければならないものについては当然立法措置を講ずるということを申上げたのでありますが、参議院の決議におきましては、現行の法律の如何にかかわらず主食の統制撤廃に関する手続は、すべて法律を以てなすべし、こういうような御意見であつたと存ずるのであります。この問題につきましては内閣委員会或いは農林委員会においても非常に議論があつたところでございまして、この法律解釈については法制意見局長官、或いは参議院の法制局長との間に意見相違もあつたようでありますけれども、政府といたしましては、この前本会議においてお答え申上げた通り、現行の法律によつて政府権限を委譲されておるものについてはこの措置をとりましても、国会の審議権を尊重しておるという解釈はとられるであろう、こう考えておる次第でございます。
  50. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 東君に申上げますが、安本長官は司令部に行つておりまして帰り次第ここに見えるそうです。
  51. 東隆

    ○東隆君 今の問題は、私はその背後には、やはり場合によつては多数で以て政令によつて強行をするという場合があり得るということを予想される部面が非常に多いように考えますので、これはいろいろな問題として将來残されておると思いますので、これはお互いに研究しなければならん、こう考えております。  そこで次に米価の問題でありますが、これは先般のここの会議で発言されたのには二五〇、よつて七千三十円、これが新聞によりますと二四八ですか、二四八・八四ですか、そういうようなことにパリテイがなつた。それで六千九百八十六円になるのだ、こんなようなことが新聞に出ておりましたがこれと七千三十円との関係。そういうようなものに対して今後どういうふうに措置をされるか、その点についてお伺いをいたしたいのであります。
  52. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般もお答え申上げましたように、予算における想定米価が九月のパリテイ指数二五〇になるという前提の下に、それに対して五%の加算をいたして七千三十円を算定いたしているのであります。今日までの米価の裁定に当りましては御承知のようなパリテイ方式をとつておりますので、その前提からいたしますれば只今御指摘のように九月末のパリテイ指数が二四八・四八ということが確定いたしました以上、それに対する五%の加算が本年米価決定の一つの一番基礎的の数字になると考えているのであります。なおそれに関連いたしまして包裝の費用、こういうもの等も考えまして実質上七千三十円の米価を維持したく考えているものでございます。なお米価審議会もできるだけ速かに開きましてこれらの意見をも勘案いたしまして速かに米価を決定したい、かように考えている次第でございます。
  53. 東隆

    ○東隆君 プラス・アルフアの五%は、前年においては一五%になつておりましたが一五%が五%になつた、その過程はどういうふうになつておりますか、それも御説明をお願いいたしたいのです。
  54. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 前農林大臣廣川さんが担当しておつた当時、政府といたしましては一応パリテイ計算に基いて算定するけれども、その際においては一五%の加算を考慮しておつたのでありまするが、本年のバツク・ペイの問題、麦の価格を決定するに当りまして再検討を加え、又関係方面との折衝のときに当りまして、本來はパリテイ計算をとつている限りにおいて特別加算ということは理論上これは難点がある、こういうことでありましたけれども、この五%の加算という問題につきましてはいろいろ政治的な考慮をも加えまして、特に関係方面の了承も得て加算した次第でございます。
  55. 東隆

    ○東隆君 先般の統制撤廃の問題に対する政府の声明に引続いての発表によりますと、麦の価格が対米比価といいますか六〇になつておりますが、これは私ども承知をしておりましたのがたしか六四でなかつたかとこう思つておりますが、それが六〇に下げられております。それから外米に対しては七〇、こういうようなことが出ておりますが、これはそういうふうに決定をされているのですか、お伺いをいたします。
  56. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般の政府声明につきましては、麦並びに外米の対米比価については全然触れておらないのであります。恐らくこの問題については先般統制を撤廃した場合における需給調整に当りまして、特に価格操作に当つては、実質上非常に不足をしているところの内地米の値段が統制撤廃において相当高くなりはしないか。その場合における価格操作は輸入小麦或いは外米によつて操作をしなければならない。その場合におきましては対米比価を下げることによつて価格を調整し、他面におきましては生産者に対する不安なからしめるように支持価格制度をとるというようないろいろな決定をされたことは事実であります。併しながら現在政府は対米比価をどうはつきりきめるかということについてまだ結論に達していないのでございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 それでは前にきまつておりました麦の六四、これはほぼ踏襲をされるお見込みでありますか、お伺いをいたします。
  58. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在麦につきましてはまだ統制撤廃を解除しておりません。從いまして現行の通りにやつておる次第でございます。この問題は二十七年度予算編成に当つて問題になることでございますけれども、これは目下検討中でありまして、外米並びに麦の対米比価をどうするかについてはまだ結論に達していない次第でございます。
  59. 東隆

    ○東隆君 私は、麦の価格その他については、国内における食糧の自給度を高める上において只今質問をした中にありますような対米比価のような。パーセントを以てしては、国内における麦の生産というものは決して増加をして行かない、こういう考え方を持つものであります。そういうような観点からこの対米比価は私はもつと上げて行かなければならんものだとこういう考え方を持つておりますので、この点については十分に政府のほうでお考えを願いたい、こう考えておる次第であります。  次に私は、実は恐らく大蔵大臣が立役者であろうと思いますので、大蔵大臣もお出でになつたほうがいいと思うのでありますがお出でになりませんか。
  60. 和田博雄

    委員長和田博雄君) すぐ参ります。
  61. 東隆

    ○東隆君 先般來の米の統制撤廃の問題が中心になりましたときに正米市場の問題が非常に問題になつておりまして、又それに関連をしておつた方面の人が大分運動をしておつたようにも聞いておりましたが、あの正米市場復帰の問題について、農林大臣は仮に統制撤廃後においてああいうようなものを早期に開設をするお考えであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  62. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 統制撤廃後自由市場に委ねろということになりますれば、当然これは事実として正米市場ができるわけでありまして、その際において現在は取引市場については、一般の商品取引市場法においてはこれは開設し得るわけでありまするが、これは原則として清算取引、差金決済を認めるということになつたわけでありまするが、米の問題については、やはり正米市場というものを商品取引所法に基かず別個に立法したほうがいいのじやないかという意見が非常に強いのであります。今後その点は検討を続けて行く次第でございます。何しろ米の問題が非常に投機の対象になるということについては生産者も或いは消費者も共に不安を感じておるわけでありますので、戰前に置きましたような正米市場というものが是非必要であろう。又正米市場につきましては差金決済をしないでやるということになりますれば、現在において肥料なりその他の商品が取引所法に基かずして事実上やつておるわけでありますから、これも当然起り得ると存じまするが、そうした場合において單なる事実行為として行われるこうした問屋筋の任意における任意のいわゆる市場では不安があるのではないかと思いまするので、やはり米穀市場法というようなものの制定が必要ではなかろうかと存ずる次第であります。
  63. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 大蔵大臣が見えました。
  64. 東隆

    ○東隆君 私は、政府が先般來やりました主食の統制撤廃の問題でありますが、この問題は一応けりが付いたようではありますけれども、又來年の十月になりますともう一回再燃でなく三燃するのではないか、こう考えます。それは昨年の十月にも実は米の統制問題で根本さんの前任の廣川農林大臣が放言と新聞には出でおりましたけれども、統制を撤廃するというようなことを盛んに言つてつたのでありますが、それは立消えになつたわけで、今回も実は立消えになつたわけであります。併し政府も又自由党も非常に主食の統制の撤廃はこれは悲願でありますから何としてもこれをやりたい、こういう熱情をお持ちになつているのでありますから、來年の十月には又これが起きて來る、こう思います。  それから私はいろいろ考えたのでありますが、これは非常に大きな、野外で以てページエントをやつているようなものだ、こういうような気がするのであります。それで第一回目の場合にもアメリカからドツジさんが見えて、そうして雨が降つてしまいましてお流れになつてしまいました、今度も又アメリカからドツジさんが來るとお流れになつたわけです。來年は講和の條約が締結をしまして、日本晴れを予想されていると、こう想定をされているとは考えますけれども、十月は秋でありますから、女心と秋の空と、こういうふうに雨が降らんとも限りませんし、又その前には日本には台風がやつて來るものですから、これは野外で以てページエントをやつたのではどうもうまく行かんと思うのであります。役者は、舞台は十分に雨の漏らないようにしてやつているようでありますけれども、観衆であるところの国民、生産者、それから消費者はどうも外側のほうにおつて、そうして風にも雨にも十分に当るような状態に置かれているような、そういう所で行われるように思われるのでありますが、そんなふうに考えますので、私はどうしてもこの機会に立派な劇場を作つて頂くかしなければ、この統制撤廃の問題はやつてもらいたくないし、それからその芝居は一つそんな意味でいろいろ考えて頂かなければならんとこう思うのであります。そこで先般この会議で波多野さんが実は統制撤廃の問題が方向転換をいたしました経過について聞かして欲しい、こういうことを言いましたところが、農林大臣はそれは大蔵大臣に聞いてくれ、こういうお話でありました。大蔵大臣はそれは答えられない、こういうお話でありましたが、波多野氏はそれについては何らかの資料を一つ出して欲しい、その経過を詳細に何か表現をした資料を出して欲しいのだ、こういうことを注文されたのであります。併しその資料はまだ手許に來ておらんようでありますが、あのときに農林大臣のほうに注文をしたのか、或いは大蔵大臣のほうに注文をしたのか、両方ともきつと責任のなすり合いをおやりになつておられるのじやないか、こう思いますが、まだ來ておりません。併しあのときの経過をはつきりさしておかなければ、又先ほど申上げましたように、もう一度起きて参りますので、私はしつつこいようでありますが、ドツジ氏との交渉経過をお伺いをいたしたいのであります。或いは又ドツジ氏から大蔵大臣にどういうようにこれについて考えなければならんとか、こういうような私はメモみたいなものだとか、或いはその他のいろいろな條件が示めされたのではないか、こういうふうに想定をするのであります。そういうようなものがございましたならば、それをお聞かせを願いたいと思います。
  65. 和田博雄

    委員長和田博雄君) どちらの大臣に御質問ですか。
  66. 東隆

    ○東隆君 大蔵大臣が主役だろう、こう思いますので……。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般も申上げましたごとく、ドツジ氏と私との交渉経過は、米の統制問題のみならず、予算の編成、或いは金融問題一般の点につきまして、発表し得ることと、発表し得ないこととは会談の都度両者で話合いをしておりますので、米の統制撤廃問題についての経緯或いは内容につきましては発表する理由を持つておりません。
  68. 東隆

    ○東隆君 私は甚だ実は大蔵大臣お答えは心外に思うのであります。というのはこの問題は自由党並びに政府は米の統制を撤廃することが悲願でありますので、機会ありますならば撤廃をしたいというのであります。從つてその方向が変つたのでありますから、その方向を変える有力な條件なつたところの中味を実は伏せられておるのであります。その伏せられておるところの中味を発表をされないのは、これは戰略からいうとなかなかいいことかも知れませんけれども、国民全般から見ますと、これは非常に国家的に見ましても国民全般から見ましても、非常に大きな損失だろうと思うのであります。從つてその中味を十分に正しい科学的な検討を加えて、そうしてこの主食の問題に対処すべきである、こういう考え方を私は持たざるを得ないのであります。そういうような意味で私は大蔵大臣に申上げたいのでありますが、もう一度どうしても駄目だ、こういうふうなお答えをなさるのでありましたならば、私は方向を変えて質問をしなければならんのでありますが、その点について中味をこう申上げてもお話になられませんか、お伺いをいたします。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 誤解があるようでございますが、主食の統制撤廃につきまして、方向を変えたというふうにお考えになるのは私の考えとは違つておるのであります。私は米並びに主食の統制撤廃を四月一日からする、こういうふうな考え方は一応保留いたしましたが、方向としては主食の撤廃をやるという方針に変りはないわけであります。これは全然駄目だというふうになるようだつたならば、いろいろな議論も両者で話がありましようが、私の了解するところでは四月一日からということは少し考えたらどうかということで、二十七年度からは私は大体撤廃する方針でおるのであります。この分は私は政府の声明を御覧になりましても、そういうふうにお受取り下さりたいと思います。從つてどういう話でどうなつたかということの経過は申上げられません。角度を変えて御質問願えれば申上げられる範囲では申上げられると思います。
  70. 東隆

    ○東隆君 ドツジ氏との間の経過お話がございませんので、私は時のズレがございますが、昨年の十一月の十日にドツジさんから大蔵大臣に來ました書面といいますか何といいますか、ものがあるのでありますが、これを一つ中心にしてお聞きをしようと思います。これはこう書いてあります。    食糧配給統制撤廃案について   十一月十日       ジヨセフ・N・ドツジ  首題の件に関し左記事項を池田蔵相に伝えられたい。  左記事項に関しては十分検討されていないように思われる。  一、世界各国いずれにおいても統制が急速に強化されようとしているときに統制撤廃は行き過ぎの危険があること。  こういうような調子で実は八項目掲げてあるのでありますが、この八項目を私は十分に読んで見ますと、今読みましても、これは丁度今回の場合に大蔵大臣とドツジ氏との間に話をされた中味とこれはもう一つも寸分も変らないようなものではないか、こう私は想像がつくのであります。それでこの各項について実はお伺いしようと思うのでありますが、今読上げました一番初めの、「世界各国いずれにおいても統制が急速に強化されようとしているときに、統制撤廃は行過ぎの危険がある」この項でありますが、これは私準戰といいますか、或いは各国がみんな食糧の保存をしたりいろいろな状態をやつておりますときに、これを中心にして相当強力な統制を続けられようとしている。その場合に私は逆行をして日本だけがそういうことをするのはおかしい、こういうようなふうに解釈をすべきじやないか、こう思うのであります。殊に日本に來ると言つておりますアリソンという公使がありますが、その公使の見解としてこういうことが書いてある。これは、日本は経済統制撤廃に当つても愼重でなければならないとし、その理由を、「日本は常にインフレの危機が存在する。米国の場合は自国の資源を使つて生産を増強することによつてインフレに対処することができるが、日本は米国と違つて国内消費と輸出の両面で輸入に依存している。日本ではインフレが高進すれば直ちにそれが輸出に響き、輸出市場に惡影響を及ぼす……日本平和條約が批准されるまでの数カ月間に貴重な調整の時期を経るが、來るべき一年こそは日本の将來を決定する。」又これは東京新聞に載つた記事のようでありますが、こういうようなふうな考え方から言いましても、私は世界的な傾向と逆行して日本が逆に統制を撤廃することは、非常に不足しておる主食の撤廃をやる、こういうことはこれは行過ぎではないか、こういう問題を私は非常に強く言われておるとこう思うのでありますが、そういう点についてドツジ氏からお話があつたろうと想定をいたしますが、それに対して蔵相はどういうようなお話を行いましたか、お伺いをするのであります。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨年の十一月に八項目に亘る今のお話の文が私に來たという記憶は私ございません。昨年麦の問題につきまして、麦をどれだけ買入れるかということにつきましては、三大臣で話をしたことはございます。それから今ドツジ氏との話合い、或いはアリソン公使談として新聞に載つてつたそのことにつきましては、私は何とも申上げられませんが、これはお考えになつてもわかりますが、ドツジ氏が來られまして、いろいろ統制が撤廃されておるでしよう、肥料にしても、銅にしても石炭にしましても、或いは野菜、魚類、その他につきましても、ずつと統制は撤廃されておるのであります。ドツジ氏は経済理論の十分わかつておられる方でございます。私は統制撤廃という原則についての反対はないと心得えておるのであります。ただ外し方について、時期と方法につきましては検討を要するということは言われております。
  72. 東隆

    ○東隆君 私は今全文を実は読みませんでしたが、それから書面はそういうものは來ない、こういうお話であります。併しこれは私のここに持つておるものはプリントであります。併しこれと同様のものが雑誌になつて出ております。これは農林大臣のほうの職員組合の雑誌に載つておるのですが、これは私ども真を置いて考えざるを得ません。たとえ來ないといたしましても、一々尤もな節が、あるように思われますし、主食の統制撤廃の問題を考えて見ますと、昨年も統制撤廃をやる、こういうようなことを廣川農林大臣が車中で放送されておりますが、その場合にもこういうようなことを言われておるのが忽ちにしてそれがまさに放言になつてしまつたのですが、そういうようなことを彼此考えて見ますと、政府としては何としても統制撤廃をやりたかつた。殊に昨年は日本における米の生産というものはこれはもう非常に多かつたのですから、統制撤廃をやる機会としてはこれは絶好のチヤンスでございました。こういうような機会に実はやることができなかつたというところの有力な基礎というものはどこにあつたか、こう申しますと、やはり私は何らか大蔵大臣とドツジ氏の間に話合いがあつて、それが基礎になつた、こういうふうに想定せざるを得ない。それでそのものについては否定されております。それでこれの真僞についてはまさか法務委員会に持込むわけにもいきませんし、(笑声)これは何ともいたし方ない問題でありますが、併しこれは多少真僞の問題その他の問題に関係する問題だとこう思いますが、併し私はその次の條項は又非常に我々を納得させるような條項がたくさんあります。それで委員の諸君も私がこれから読み上げるものについて成るほどと首肯される点があろうと思いますので、その点を読み上げて、そうしてそれについての今度は感想を一つ大蔵大臣並びに農林大臣からお聞きをしようと、こう思うのです。二番目はどういうふうに書いてあるかというと、「国際情勢、特に極東における情勢がますます惡化しておること、現に過去六カ月間において物価は全く逆転の傾向を辿つていること。」これは十一月十日に……六月の朝鮮事変が始まつてから、十一月になつてから完全に物価が低落しつつあつたやつが逆に今度はどんどん上りかけているのだ、こういうことを言つているのであります。その次の三番目は、「世界各国いずれにおいても凶作の虞れあることは勿論、輸入の自由に対して障壁が一層高まつていること。」これは貿易の自由じやなくて却つて関税をかけて、そうして盛んにやつていると、こういうことを言つているのであろうと思いますが、この二つの項目はこれは昨年のものと今年のものと比較をいたして見ますと、まるで今年のことをはつきり言つているようにも見えるのであります。その点から言うと、どうも私は嘘の手紙だと、こういうふうに言われるほどよくこれは合致した中身を持つているのであります。この物価の傾向その他について、今回の場合においていろいろ個個の場合においての論議をされましたが、価格パリテイ計算米価の計算をする場合におけるパリテイ計算、その他における計算の場合において、先ほど農林大臣にお伺いをいたしましたが、あの中身を見ますと、二五〇のパリテイ計算の何が一時二四八・四八でなく、それよりもずつと低い数字が出ておつたこと、それで再び検討を加えた結果二四八・四八、こういうことになつた。こんなようなことが出ておりましたが、そういうようなことをかれこれ考えて参りますると、その中に現われて來ておるところの品物の取り工合、その他いろいろの條項によつて非常に中身が違つて來ているのじやないか、こう思うのであります。そういうような点から考えまして、価格を決定される場合におけるところの取捨その他について、前の場合におけるところのパリテイの計算におけるところのやり方と、今回の場合におけるパリテイの指数の取り方において相違がなかつたか、そういうふうな点を農林大臣がお気付きになつた点がございませんか。それをちよつとお伺いいたします。
  73. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 第一の問題は、昨年の十月何日かに大蔵大臣に與えたドツジさんの書簡というものについては私は全然承知をいたしておりません。それから農林省の職員組合から出たというものについても承知いたしておりません。ただその第二項において、当時の情勢判断として国際情勢が非常に緊迫しているということは、朝鮮動乱が起りまして、戰いまさに酣ならんとするときでありまするから、それはその通りであろうと存じます。それから国際的な農業生産の状況を見ると、いつ不作になるか、凶作になるか、これは自然現象ですから、これはやはりそういう見解をとるのは当然であろうと思います。  その次に具体的な問題といたしまして、本年九月のパリテイ指数が先には二四八・〇四になつてつたのが、今度は二四八・四八と、こういうふうになつた、それで指数のとり方において、即ち基礎物資のつかみ方、或いはその内容についてどういう変化が起つたのが、こういうことでございますが、この物価指数の算定は物価庁でやつておるのであります。安本関係でありますので、これは私のほうから申上げることはちよつと困難でございます。物価庁の方面からお聞きしてもらいたいと思います。
  74. 東隆

    ○東隆君 安本はおいでになりませんか。
  75. 和田博雄

    委員長和田博雄君) まだ参つておりません。
  76. 東隆

    ○東隆君 この問題は実はまだ八項目のうちには、実は対日援助の問題を中心にして、対日援助資金をアメリカが組む場合に若し日本が欲しいときに統制を撤廃するようなことがあつた場合には、その予算を組むときに非常な困難をするというようなことがあり得るじやないか。だから撤廃をしないほうがよい、こう思うのだが、どうか。こんなようないろいろな問題が書いてある。初めてお聞きになつたとすると、これは極めて怪文書になるのでありますが、実は甚だ何でありますが、どうせあとでおわかりになりますから、これをそちらのほうに廻しましよう。それで私余り意地惡いようでありますけれども、実はそこに書いてあることが非常に…そのおしまいのほうでございます。その中に書いてある中身は統制撤廃に対して我々が非常に心配しておることをはつきりさしてあると思うのであります。それでそれを中心にして相当メスを加えて研究して参りますと、私は統制の問題について非常にいい資料ができると、こう考えますので、私はこの問題はまだずつと掘り下げて行くつもりでありますが、時間が十五分しかないというお話しでありますし、安本長官もおられんようですから、これはこの程度に切り上げようと思います。  そこで私は話を別にいたしまして、実は農林大臣は、特に今の日本の農村の指導の組織ですね、それが現在の機構で以てよいかどうか。この問題について私は非常に大きな疑問を持つております。私はこの指導の問題を考えてみましたときに、改良普及技術員、それから農業協同組合には実は技術員を持つております。それから共済保險組合にも技術員がいる。それからその他にも技術員がいるというような関係で以てこれは支離滅裂になつております。ところが農村の技術指導その他をやる場合には、これは或る程度どうしても強制力を以てやらなければならんと思うのでありますが、その強制力を以てやることができないのであります。それでこれを何らかの形で以て統合をして強力なものに作り上げて、そうしてやつて行かなければならん、こういう私は考え方を持つておりますが、農林大臣はそういうようなことについてお考えをお持ちになつておるかどうか、お伺いをいたします。
  77. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 農村並びに農協に対する指導機構の整備強化については我々も心を盡したのでありますが、併しながら御指摘のような総合的な而も強制的な指導機構を作れということについては、我々いささか疑問を持つておるのであります。御承知のように從前はすべて国家が中心になりまして、国家行政の末端として僅かに地方行政がなれさておつたという立場、又は地方自治ということが高く叫ばれ、そうして地方行政についてはできるだけその地方の実情に即した指導をするという建前をとつておるのであります。但し国全体とし普及宣伝並びに指導すべきものについては、御承知のように農業普及員生活改善指導員というものがございまして、これは政府の助成の下に主体はやはり地方自治体が中心にやつておるのであります。なお又協同組合がたくさんいろいろに分れておつて、而もそのおのおのの技術指導員がある、これを一括して政府が強制的にやつたらどうかという御意見でありまするが、農業協同組合は御承知のように完全に民主化されたる農村の組織として自発的に民主的に組織された団体でございまして、これに対して政府が強権的に組織的に指導するということは、現在のところ適切ではなかろうと、かように考えておる次第であります。併しながら一面におきましては、協同組合についても指導連を中核といたしまして、自発的にその間の事務の簡素化、能率増進のためにいろいろの話合いができておるということは、これは喜ばしい現象であると考えておる次第でございます。
  78. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 安本長官は午後から來ると思いますが、あなたの時間は余り残つていないのですが、お続けになりますればお続け下すつて結構であります。安本長官が來られてから安本長官にやりますか、もうそれでいいなら……あなたどうぞお続け下さい。
  79. 東隆

    ○東隆君 私は今農村にありまする農業委員会を中心にしまして、農業委員会を現在のままで以て農林大臣は満足をされると思つてはいられないと思うのであります。そこであの農業委員会を中心にして何らかの施策がなければならん、こう思うのでありますが、それについてどういうお考えをお持ちか、それをお伺いいたします。
  80. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように從前は農地委員会、農業調整委員会、或いは農業改良委員会というような三つの委員会がありまして、錯綜しておりましたのを今回一本の農業委員会にいたしたのであります。これは出発したばかりでございまして、まだその功罪が明らかになつていない状況でございます。この農業委員会の運営の結果において欠陷がございますれば是正し、又強化をいたさなければならないと存じまするが、現在のところはやはり農業委員会を中心としてその整備強化を図るということが我々の考えでございます。
  81. 東隆

    ○東隆君 農業委員会は現在のままでは私は余り大きな仕事はできんと思います。改良普及技術員も、今の生活改善のほうの技術員も勿論のことでありますが、その他関係の技術員を全部私は農業委員会の下に結集をすることが農村における指導関係のものを強力にする途である、こういうふうに私は考えております。而もこのやり方は決して技術の面における指導を進める場合にフアツシヨ的なものだとは考えません。この方向に進んでそうして或る程度公法人的なものを作り上げ、そうしてその組織の中心になるところの役員は選挙によつて選んで行く。こういうような形態を取つてそうしてやつて行くならば、今の農業委員会というものはもつと強力なものにして行く、そうして仕事も十分にやつて行ける、こういう考え方を持つのでありますが、そういう考え方の下に農村の指導組織の大綱の構想を一つ考えをめぐらして頂きたい、こう私は考えるのであります。私はまだほかに質問を申上げたいことがたくさんありますが、時間も大分過ぎておりますし、皆さんに御迷惑を及ぼしますので、これで私の質問を終ります。
  82. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 農業委員会を中心としまして農業改良技術員、こういうものをすべてその下に結集すべきでおる、こういう御意見でありまするが、現在の段階では我々もその問題は非常に疑問があるのでございます。御承知のように先ほど申したように協同組合にいたしましても皆民主的に選ばれて、そうして独自の分野があるのでございます。これに対しまして折角できたところのこれらの組織体が農業委員会の下に結集されて、農業委員会がその指導権を持つということについては相当疑問がありまするので、今後の農業委員会の運営の状況から見て十分東さんの御意見を忖度して研究を進めたいと存じます。
  83. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 岩間君、簡單でありますれば、あと二、三分でなら何ですが……。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵大臣がいないから……。
  85. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それではこの際御遠慮願いまして、暫時休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後二時九分開会
  86. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 午前に引続き会議を再開いたします。松浦清一君の運輸大臣に対する質問が残つておりますので、それから始めます。松浦清一君十分間あなたの時間は残つておりますから。
  87. 松浦清一

    松浦清一君 第七次後期の造船融資に関する問題について大蔵大臣並びに運輸大臣にお伺いをしたいと思います。今年の初めの閣議で日本政府は第七次後期において二十万トンの船を建造しなければならんとこういう方針をきめたわけなんで、その計画の方針というものは大体一年に四十万トン程度の船を増強して行つて、今から五年先には日本の商船隊を約四百万トンに増強しなければならん。四百万トン造船の目標というものは、日本中心とする貨物輸送総量の約半分は日本船で輸送しなければならんという当初の計画に基いて二十万トン建造の必要が考えられたわけであります。その後平和條約の締結に伴いまして、或いは電力不足、そういう関係から到底二十万トンの船を建造するということは不可能である。当初百五億円の見返資金の中から七十億円を造船のほうに融資するのでなかつたならば、二十万トンの建造は不可能であるというような計画が立てられておつたのですが、百五億円の見返資金の中から七十億円は電力開発のほうに廻して、あと三十五億円しか造船のほうに廻らない、こういうことになつて参りましてから、若し二十万トンの計画であれば、少くとも本年度内に百億円以上の金がかかる。見返資金三十五億円に対して残余の七十億円は市中銀行のほうから融資することによつてその計画をしようというふうに方針を立てられたようでありますが、申上げましたような関係で十五万トンぐらいしかできない。どうしても見返資金は三十億円ぐらいしか出ない。市中銀行の融資のほうもうまく行かない、こういうことで途中で十五万トンに変更せられて、又最近伝えられるところによりますと、市中からの融資の関係が思うように行かないのでせいぜいその十万トンぐらいしか第七次後期としては建造ができないというような方針に変つて來た模樣でありますが、その方針が二十万トンから十五万トンになり、十五万トンから十万トンになつて來ました経過ですね。経過とその理由一つ詳しく御説明願いたい。
  88. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。日本の海運を大いに起さなければならないということはこれは勿論国論であります。政府といたしましては大体の目安としてせめては先刻御指摘のようた輸出入の半額を自国船によつて満たして行きたい。大体の努力目標を仮定いたしたわけなのであります。併しそれは国論であるに相違ないのであり、政府も又それを同じ観点で同じ意見に立つて希望するのでありまするけれども、いずれにしても資金を要することであり、資材を要することであり、從つて経済力の限度、或いは言葉を換えて申せば国力の限度を計つて実際の仕事を動かさなければならないようになるわけでありまして、当初努力目標として掲げたところのトン数が漸減をいたしましたのは大局的に見れば経済力、経済情勢、国力というようなものに支配されて、そのできるだけの限度にとめようとした努力の結果が只今申上げたような二十万トンを目標としたがどうもいかん。更に又十五万トンを考えてもなかなかこれが無理であるというので、現状においては大体十五万トンを努力の目標として進んでおりまするが、財政、金融、それらの関係から或いはこれに満たないかも知れない。併しながら最善を盡して可能の最大限を見出したいという努力を継続いたしておるような次第なんであります。
  89. 松浦清一

    松浦清一君 その市中銀行からの融資が非常に困難になつたという原因の非常に大きなものは一体どういうところにありますか。大蔵大臣の御答弁を願います。
  90. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 造船計画につきましての経緯は運輸大臣からお話通りであります。お話の点で実は今年度の造船資金は見返りのほうから当初百五億の計画であつたのであります。然るところ二十万トンになりましたために資金運用部資金の四百億円の中から八十数億円造船のほうへ廻しまして、今では百九十億円程度の造船資金に相成つておるのであります。今後の見通しといたしましては私は財政演説で申上げましたように百三十五億円のうち電力に百億円、三十五億円を造船とこういうふうに計画いたしております。然るところ御承知通り市中は相当な金詰りであるのであります。で私は市中銀行から三十五億円以上出してもらうように考えておつたのでありまするが、今の状態といたしましては市中銀行も資金難でございます。お話のように三十五億円程度しか出ないのではないか、こういうことを考えております。何故銀行がそんな金が出せないか、三十五億円以上出せないかというと、ほかの資金その他も必要であるのであります。從つてそれなら日本銀行から市中銀行へ貸付けて貸したらどうか、こういうことが問題になると思いまするが、今の状態では造船資金として特に日本銀行から市中銀行へ出す金融情勢ではないのであります。
  91. 松浦清一

    松浦清一君 先ほどの運輸大臣の御答弁では十五万トンを努力目標として今話合を進めておる、努力しておるということでありますが、結論として実際は十五万トンなんですか、十万トンですか。その見通しはどういうふうなんですか。
  92. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 今船主の希望を公募をしている最中で二十六日が締切りになつておるのであります。併し船主側のほうの造船意欲は相当に強いのであります。でありますから十五万トンを遥かに上廻ると考えられるのでありますけれども、前にも申上げたようにいずれにしても見返資金は三十五億ということであり、而も民間の資金面も毎日接触は保つておりますが、見返資金の三十五億を超えるというようなことはなし得ないのみならずむしろ三十五億以内である。それ以上強くは不可能であるというような状況が民間金融機関の意向であります。若しそういうことになりますならば、目標ということでありませんで、できるだけの最高限度で行きますから十万トンを若干超える。或いは船のトン数を大きくすれば下廻るということもあり得るわけなのでありまするが、できるだけ、今日の海運の増強は国論であり、国家の大きな要請であるのでありますから、少しでもできるだけ多くしたいと考えておりますから、運輸大臣といたしましては十万トンを少しでも超えるように、どれだけでも超えて行くように努力をいたしておる最中だとお答え申上げる次第であります。
  93. 和田博雄

    委員長和田博雄君) もう時間が余りありませんから。
  94. 松浦清一

    松浦清一君 運輸省のほうから出されておる資料によりますると、今の日本の造船船台数は五千トン以上の船舶が建造できる造船台が七十一基ある。その七十一基のうちで九月は使つておる船台が四十五、空いておるのが二十六、十月は使つておるのが三十七、空いておるのが三十四、十一月は使つておるのが三十一で空いておるのが四十、十二月は使つておるのが二十で使つていないのが五十一、そういう工合に減つて参りまして、今の状態で行くと、來年の四月になると七十一基の船台が全部空いてしまう、こういうことになる。運輸省から出しておる資料によりますと。そうすると、若し運輸大臣の最大の努力にかかわらず、十万トンしか建造ができないと、こういうことになつた場合の來年四月頃の船台の使用状況というものはどういうことになりますか。
  95. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 先刻も申上げたように、結局するところ、資金の問題に結着するのでありますが、資金のやりくりができれば造船が計画され、船台も活用されるわけであります。政府としましては、從來は第何期、第何期というようなことにしてあらかじめ枠を作つて、その枠内で動くような形に計画を進めて参つたのでありまするけれども、今後は内外の情勢、資金情勢等をも考慮し、造船所の模様等をも考慮しまして、資金のやりくりのでき次第、第何期、第何期というようなことに拘束されないでそういうことでなしに造船を進めて行こうというような方向に方針を変えて進めておるわけであります。船台の数の只今御指摘がありましたが、確かに現状で参れば來年の四月頃になれば船台も空きができることは申上げるまでもないのであります。それらに対しましては今後資金のでき次第、資金を繰つて船のほうに廻して行くというふうに順次船台を使用し得るように計画を立てて進めたいと考えておる次第であります。
  96. 和田博雄

    委員長和田博雄君) もう時間も超過しましたから。
  97. 松浦清一

    松浦清一君 もう一つです。船主の造船意欲というものは、国の方針の如何にかかわらず非常に旺盛であるということは、これはもう論ずるまでもないことであります。若し二十万トン、もつとそれ以上作りたいですが、結局二十万トン造り得るものと考えて準備をし努力をしておる船主が、十万トンにそれを切り下げられるということになれば、やはり大きな造船所に註文が集中される、こういう結果になつて來て、中流以下の造船所というものは潰れるよりほか途がない、こういうことになる。そういうところから勘定して來ますと造船所も潰れるし、造船労働者十七万のうちで約半数は來年の四月頃には失業者になる、こういうことになる。だから日本の輸送貨物量の半分は日本船によつて輸送しようという考え方を実現せしめるということの努力も勿論ながら、それが不可能であつた場合に潰れる造船所や、その造船所から失業して行く大量の造船労働者に対する処置をどのようにしようとお考えでありますか、承わりたいと思います。
  98. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 一応お尋ねのような御心配は御尤もと考えるのであります。併しいよいよ註文をして造船所が新たに始めるというような大きな、運輸省としましては、それらの船主、造船所等を選定する基準を、最近に造船合理化審議会にかけまして方向を定めたような次第であります。勿論今日の国際的の海運界の要請に日本も応ずべく、一面において優秀快速船を作ると同時に、他面においてはそれにのみ片よることになれば大船主、大造船所のほうに片よるという虞れもありますので、遊船合理化審議会の答申等を御覧になつてもおわかりでありますが、それらのものを適当に按配する余地を存して造船船主決定の基準を答申されておるような次第であります。できるだけそのような御心配になるようなことのないように、折角船主選定の基準等によりまして配慮して行きたいと、かように考えておる次第であります。
  99. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私は、対日平和條約が來春発効する予定であります、これに伴いまして、政府におかれましては、各国との間に通商航海條約乃至協定について話合を進める準備をせられておるというふうに承わりまして、その中で一番重要であると思われます海運の問題につきまして若干質問をしたいと思うのであります。只今の松浦委員の御質問もありましたので、成るべく重複した質問は避けたいと思いますが、若干同じ問題について違う角度からお尋ねするようなことになるかも知れません。先ず質問に入ります前に、運輸大臣に伺いたいと思いますのは、日本の船舶の建造につきまして、條約或いはそれに附随するいろいろの協定において、從來伝えられておりましたような船型でありますとか、速力でありますとか、そういつたことに対する制限はなくなつたようでありますが、日本の保有トン数、或いは毎年の建造トン数に関しまして何らかそれを制限してもらいたいというような希望が他の国から出ておつたことを承知しておるのであります。これに関しまして現在そういつた各国との申合せ、或いはそういう種類のお申入れが外国からありますかどうか、その点を先ず第一に運輸大臣から伺いたいのであります。
  100. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 今日日本の船舶の増強を図る上においての制約は、国内の資金的制約が唯一重大でありまして、国際的に外国からそれらに対して何らの只今お尋ねの件はありません。
  101. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでは日本の海運の再建というものは、我々自身が自由にやれるという状態の下に質問をいたしたいと思うのであります。私から申上げるまでもありませんが、今日の世界の船舶の状況は、世界的な軍備拡張の傾向とか、特に最近におきましてはアメリカから欧洲向けに石炭を輸送しておるというような事情が反映いたしまして、特に大型の貨物船が非常な不足をしておることは事実でございます。又日本の船舶事情もこれは前々から申上げましたように、特に遠洋向けの大型の貨物船が不足しております。とりわけ定期航路に就航する船が極めて少い。政府でいろいろ計画せられて第五次、第六次というふうに、建造計画が進みましたけれども、この中で遠洋の定期航路に充当し得るような大型貨物船は今日僅かに二十五万総トンに過ぎないのであります。第五次の造船計画の極く一部分第六次の造船計画、今度の第七次の造船計画、これだけを入れましても、今日なお二十五万トンに過ぎないのであります。非常にこの種の船舶が不足しておることは運輸大臣承知通りであります。そこでいろいろ数字も申上げたいのですが、政府におかれてはこの大型航続船の、つまり遠洋向の貨物船の増強に対しまして、今後どういうふうな計画をお立てになつておりますか、これは私必ずしも不可能なことをお答え願いたいというのではありません。つまり非常に五年とか、十年とか、長い間の長期計画はどうなつておるかということをお尋ねするのではないのですが、大体の目標として、少くともこの一、二年の間に、例えば百万トンは造らなければならん、或いは百五十万トンは造らなければならん、こういう目標くらいはお持ちになつて然るべきかと思うのでありますが、その建造についての目標及び大体それをどのくらいの期間に実現しようとするのか、その方針を伺いたいのであります。
  102. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 御指摘通り日本の外国航路につき得べき優秀船は僅かに二十五万総トン内外でありまして、極めて貧弱と申さなければならないのであります。從いましてこれをどうしてもここ数年の間に二百万トンくらいまでは上昇せしめなければならないのでありまするし、更に輸出入物資の半額を日本船によるとすれば四百万トン程度までトン数を上げなければならないのであります。いずれにしても、これらの夢は計画の上に描き得るのでありますけれども、資金の制約に掣肘せられまして、その実現が甚だ努力にもかかわらず心細い状態にあるのであります。大体その資金を離れたる計画を作つておりますから、海運局長よりこの概数を御報告申上げてお答えに代えたいと考えます。
  103. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 只今の御質問に対しまして補足して御説明申上げます。大体この三年間ほどの間に定期航路といたしまして百万総トン程度整備いたしたいと、かように考えております。そのうち、御指摘通り今持つておりまするのは二十五万総トンであります。あと整備しなければならんのが七十五万総トンであります。これは只今大臣が申しましたように、資金の状況が現在のような通りでありますると、到底私どもの企図しておる年間では達成できない、かように考えておりまするが、一応の目標はそれだけであります。
  104. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 数年間に二百万トンという運輸大臣お話があり、政府委員からは三年間くらいに大体百万トンというお話がありましたが、それでは一体來年度はどのくらいの建造トン数を予定しておられるのですか、それを伺いたいと思います。
  105. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 來年度は運輸省といたしましては、本年度と同様四十万総トンを建造いたしたいと思つております。
  106. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体わかりましたが、それでは次に大蔵大臣に伺いたいのでありますが、私から申上げるまでもなく、この遠洋の貨物船、特に遠洋の定期に適しますような航続貨物船を至急に整備しなければならんということは、只今運輸大臣の言われた通りであります。殊にこの問題が我が国の国際収支に非常に大きな関係を持つておりますことも、大蔵大臣承知通りであります。只今のような実情で進んで参りますと、仮に來年度の我が国の輸出入貿易の総量を千九百五十万トンくらいと仮定いたしまして、これが過去の経験から恐らくこれに近いものになると思うのでありますが、そのうちで極く近廻りの台湾とか朝鮮とかいう所との間の輸出入は仮に日本船で全部積取るといたしまして、極く控え目に見て、その他の対外貿易について、これは誰が考えても公平であると思うのでありますが、五〇%を日本船で積取る、こういう仮定で参りますと、日本船の積取るべきこの分量が大体千五十万トンくらいになるのであります。ここで船腹計算をいたしますと、どうしても百万トンくらいは至急に増強しなければならんという結果になるのでありますが、この百万トンの増強をいたしませんために、運賃収入ではどうなるかと申しますと、外貨の運賃収入総額で、只今の運賃状況を標準に計算いたしますと、三億二、三千万ドルになるのであります。この中で、日本船がどのくらい取得できるかと言いますと、僅かに一億一千万ドルくらいしか取得できないという結果になるのであります。これはドルの不足に非常に悩まされておられ、又日本の自立経済を達成するために国際収支の改善を念頭においておられる大蔵大臣としては非常に重大な御関心があると、こう思うのでありますが、大蔵大臣がこの見地から日本の経済自立達成のために、又国際収支の改善のために船舶の増強に対しましてどういう御方針をお持ちになつておりますか、御意向を伺いたいのであります。
  107. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外貨の獲得の点から申しましても、又日本の産業振興の点から申しましても、造船には電力に次いで力を入れなければならん問題だと思います。昭和二十六年度におきましては、政府資金といたしましては、大体電力と造船との比較をいたしますると、電力は二百五十億円、造船は二百二十五億円程度、或いは二百三十億円出しております。民間資金のほうから申上げますと、御承知通りに、二百三十億円の政府資金に対しまして、それに匹敵するだけの民間資金が出ております。電力はそういうふうに出ていない。で、資金計画から申しますると、全体としては最も重要だとされておる電力よりも造船のほうに、うんとたくさん出ておるのであります。お話のようにいろいろな点から造船も必要でございまするが、私は一気にこの日本の輸出入貨物の半分を自国船でやるということは、言うべくしてなかなかむずかしいことである、戰前世界の三位とか、四位とかいう日本の海運国としての地位を持つてつたのは、これは明治時代からの数十年間の蓄積であるのであります。敗戰によりまして、殆んど船を、外航船をなくしてしまつた日本が、三年、五年、七年の間に自分の輸出入貨物の半分をやろうというのは、我々は理想でありまして、今の資金の状態から言つて、私はできるだけたくさん造船いたしたいと思いますけれども、他の産業との権衡もありましよう。早急に、來年度は私は四十万トン……來年度四十万トンということはなかなかむずかしいのじやないかと思います。殊に今のような一トン当り貨物船で十四万円もかかるということになりますると、これは大変なお金になりますので、造船には力を用いますけれども、四十万トンをこれからずつと毎年やつて行くようなことはなかなか今の状態ではむずかしい。どうしてもやはり資金を蓄積いたしまして、できるだけたくさん造るということよりほかには今の段階では申上げられんと思います。
  108. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体方針としては大蔵大臣も同じような方針であるということを伺つたのでありますが、問題は結局方法の問題だろうと思うのであります。併しこの方法は軍に日本の事情だけから割出すのではなくして、やはり国際的な海運でありますから、世界の海運界の状況を見ながら、又日本の進出する方向につきましても一つ方針を以て進出するのでないと、これは日本の国内で好む時期に好む方法によつて進出するということは、これは到底不可能であろうということは申上げるまでもないのであります。今日世界の各海運国の状況を一つ通覧して見まするのに、やはり終戰からこちらどの国も皆非常に船腹の不足に悩んでおりまして、国際収支の改善の点から主要な国はいずれも非常な力をこれに入れまして、遠洋の大型航続船の建造を一生懸命にやつておるのが実情であります。大蔵大臣の言われるように、日本の国力がないのだ、一言で言つてしまえばそれまででありますけれども、只今やつておられるのが、これが国力の最大限かどうかということについて私ども疑いを持たざるを得ないのであります。今の調子で参りますと、大蔵大臣は或る程度船主の資金の、資本の蓄積等を待つて、順次にやつて行くのだというふうな御意向のようでありますが、この戰争によりまして殆んど自己資本というものをなくして、最近一年ぐらいの間に海運事業がいいものですから、漸く少しずつ資本の蓄積を始めた、償却も始めたというような日本海運に、ここに海運再建の大きな重荷を期待するということは、これは到底不可能です。二十年、三十年かかつてもいいというなら別でありますけれども、運輸大臣の言われるように、ここ数年の間に百万トンなり百五十万トンの船を造ろうというのには、これはもう到底不可能なことを海運業者に強いるということに相成ると思うのであります。でありますから、これは私は特に具体的には申上げるわけじやないですが、今次の第七次の後半の造船対策に当りまして、政府のとられたように見返資金三十五億というものを出して、そうしてこれでできるだけ造るのだ、まあ一応は十五万トンを建造するようにしたい、三十五億の残りは、これは成るべく自己調達の資金に任せるのだというようなことは、これはもう初めからできるはずがないのであります。今日市中銀行の貸出状況を見ましても、一般的な條件から申しますと、すでに船舶に対する投資が多過ぎるじやないかという非難があちらこちらで起つております。これ以上市中銀行の普通の條件で船舶に対する貸付乃至投資を殖やせといつても、これは無理であります。ですからここに何か政策が生まれて來なければならん。又本当に海運の再建を必要とするならば、ここに何か新らしい政策を生み出さなければならんということに必然的になつて來ると思うのであります。先般の国会でも申上げましたが、大蔵大臣はこの点に関しまして來年度におきましても、現在のような資金の計画でやはりお進めになる御方針でありますか。或いは船舶建造資金に関しましては、伝えられるところによると、電力には特別の何か方法を講ずるつもりであるということを聞くのでありますが、船舶に関してそういう特別措置をお考えになるお気持があるかどうか。或いはそういう特別の措置が講ぜられなくても、例えば電力或いは造船等を対象にして資金の規正でもやつて、もうこの国策上必要とするような電力なり或いは造船なりについての目的を達成しようとするお考えがあるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
  109. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今資金の規正をいたしまして、電力或いは造船に振向ける考えは持つておりません。併し政府は、財政資金を第一に電力、その次に造船、こういう考えで資金計画を立てつつあるのであります。
  110. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうすると又繰返さなければならんのですが、大蔵大臣は別に特別の措置を講じない、ただ只今のような方針で以て、財政資金の或る部分を第一に電力、第二に造船に向けるという方針だということでありますが、それだけで本当に來年度に三十万トンというものを最初に出しましても、三十万トンの建造を必ずできるという確信が大蔵大臣おありなんでしようか、その点をお伺いしたいのであります。
  111. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は來年度三十万トンということに、まだ肚をきめておりません。やはり第一に電力、第二に造船ということで資金計画をいたしておるのであります。その計画も直接財政資金的の問題と、第二次的な資金運用部の資金と金融債引受によりまする運用と、或いは又第三次的に一般市中銀行の造船資金方面への振向け、こう三段にあるのでありますが、今どれをどれだけという計画はいたしていないのであります。
  112. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これ以上この問題について大蔵大臣にお聞きしても、只今のところではこれ以上お答えは得られないと思いますので、これは通常国会の際に讓るといたしますが、そうしますと具体的にもう一つ聞いておきたいのは、今度の第七次の後半の新造計画に関する資金の措置であります。三十五億だけは見返資金から出す、これは閣議でもきまつたようでありますから、これはお出しになるでしようが、仮に閣議で一応目標としておられる十五万トンの建造ということになりますと、この建造資金の総額が大体二百億程度になるのじやないかと思うのであります。今日こういう大きな貨物船は一総トン当り十七万円ぐらいを要するのであります。この乘出船価、これは御承知のように船舶業者が船を就航させるまでに必要とする資金であります。これが計算の基礎になるのでありますが、大体十六、七万円ぐらい、從つて二百二十億円ぐらいになるのですが、單価の建造費が少し安いと見まして大体二百億ぐらい、こういうことになるのですが、残りの百六、七十億程度の資金を一体どういうふうにしてお出しになるか、これを今大蔵大臣言われましたように、市中銀行が出し得る範囲で船を造らせるのだという、單にそれだけの考えでありますか。或いはこれに対しては只今もちよつとお話がありましたように、資金運用部資金でありますとか、或いは形が変つておりますが開発銀行の資金でありますとか、そういうふうな国家の財政資金のようなものを、或る程度これに振当てられるという御計画をお持になるのでありますか、その点大蔵大臣に伺つておきたいと思うのであります。
  113. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは今年の第七次後期分として三十五億円出しますゆえんのものは、これは当初の分でございますから、これがあと残りの三十五億円は來年度の見返資金から出す計画でおります。從いまして乘出に対しまする費用その他はこれは船会社のほうでどのくらい持てるか、こういう問題と思うのであります。三十五億円と決定いたしました以上は、これの完成資金としての三十五億円は來年度考えております。それでは來年度新たに着工する分がないので、來年度見返資金の運用計画において、只今まで申上げましたような方針で行く考えでいるのであります。開発銀行が造船資金の肩替りという問題につきましては、只今のところ考えておりません。
  114. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今大蔵大臣の言われるように建造期間が來年度に跨がりますから、あとで、來年度の分は見返資金から第七次の後期の新造について出すということでありますと七十億になりますから、これについて結局多少我我も愁眉を開く点があるのですが、併しこの七十億だけをお出しになつたのでは、私は十五万トンはできないと思うのであります。今日先ほどから申上げておるように、市中銀行の船舶に対する貸付も殆んど限度に達しているように思うのであります。ただ大蔵大臣が貸せと言つたり、或いは船主が行つたつて市中銀行はこれ以上の金を船舶に対して出すということは不可能になつて來る状況だと考えている。從つて第七次後期の新造だけを見ましても、若し国策的にこれがどうしても必要であるというならば、私は今後船の完成いたしますまでに、建造資金についてなお更に特別の措置を考究せられる必要があるということを申上げておきたいのであります。長くなりましたからこの問題は次の国会に譲りますが、最後に運輸大臣にもう一つつておきたいことは、海運同盟に関する問題でございます。この問題は特に今度の補正予算には関係ございませんけれども、将來の外貨の収支、国際収支に非常に大きな影響がある問題でありますから、運輸大臣にお聞きしたいのであります。御承知のように海運同盟につきましては、海上運送法によつていろいろ規定がございますが、日本はいわばアメリカ式のオープン・コンフアレンスの制度をとつているのであります。ところがこの法律だけで真正面から申しますと、今後日本の海運が西のほうに、ヨーロツパでありますとか或いはインドでありますとかマレーでありますとか、濠洲とか或いはインドネシア方面に航路を持ちます場合に、只今の国内法ではこの関係の航路同盟にも入れない、入つたとしますとこれは国内法の違反になつて参るのであります。この点はイギリス式のコンフアレンスはいずれもクローズド・コンフアレンスの制度をとつておりますから、日本の国内法とは違うのであります。この点は運輸大臣も十分御承知であると思うのであります。いずれの制度をとるかということは、それは非常に今日の日本の置かれている状態から言いますと困難な問題でありますけれども、アメリカのほうに参ります船が、アメリカの船主と一緒になつてオープン・コンフアレンスで行くことは少しも差支えはないと思うのでありますが、そのために日本の船が将來とも永久に西のほうに向つては航路同盟に入れない。從つてそういう同盟のメンバーから言いますと、いつでもアウトサイダーにならざるを得ない。雑貨の積取りができない、こういうことになりますと、西のほうに向つて行こうとする日本の海運は殆んど芽をつまれてしまうことになるかと思うのであります。これは海運政策の上で非常に根本的な重大問題であると考えますが、これにつきましては、私は結論的な意見を出すことをわざと控えておきますが、今後運輸大臣はこの問題につきまして、日本の海運の対外的に進出いたすことができるように御考慮になる御意思がおありになるかどうか、これについての方針だけこの機会にお伺いしておきたい。
  115. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 御説の通りに、この問題は日本の海運の世界的発展の上に重大なる影響を持つものなのであります。運輸省当局としては、特に国務大臣としてはこの点に重大関心を持つておるのでありますが、併し大体の方針だけというお話でありましたけれども、幸い丁度海運局長が材料を持つておりますので、この機会に一応現状を御説明申上げておきたいと思います。
  116. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 只今の問題でございますが、御承知通り日本はコンフアレンスにつきまして、アメリカ系の考え方とイギリス系の考え方との中間に位しておるわけでございます。今日の日本の海運の置かれている立場からいたしまして、いずれにも片寄ることのできない大変苦しい立場にあるわけです。御承知通り日本の国内の経済体制が、アメリカ式に独占禁止の方式にやつておるわけでございますが、海運につきまして、この独占禁止の方式をそのまま適用いたしますることが、国際海運の慣行に非常に反する点がありまするので、海上運送法を設けまして、この国内産業に対する独占禁止の建前の許し得る限度において、最高限度においてこれを自由にしておくという方式をとつております。併し、從つてこれをアメリカの海運法に比べますると非常に自由な形式になつておりまして、幾分欧洲式に近いところがあるわけであります。アメリカにおきましては海運同盟の承認制、或いはコンフアレンス、レギユレーシヨン並びにコンフアレンス、フレートレートの許可制という方式をとつておりまするが、日本ではただそれを届出にとどめております。それから御指摘のクローズド・コンフアレンスにつきましては、アメリカはこれを絶対禁止しておりますが、日本においては、正当且つ合理的な理由がありました場合には、新たなる加入者の申込を拒絶することができるというふうにいたしまして、或る程度クローズド・コンフアレンスの制度を認めておるわけです。併し英国式のように、絶対的にクローズド・コンフアレンスによるというふうにいたしますと、日本の海運業者が若しそのクローズド・コンフアレンスに入つておりまして、そのコンフアレンスがアメリカの海運業者の加入申請を拒絶したといたしますると、そのメンバーである日本船がアメリカに参りました場合に入港を拒絶されるという危険もあるわけであります。そこに日本側としては、今日大量にアメリカに配船いたしておりまするし、又一方英領植民地方面にも大量に配給いたしておりまするので、いずれにも片寄ることができない。從つて運輸省といたしましては、そういう両者の事情を十分考えまして、当分現状のままで進みたい、かように考えておる次第であります。   —————————————
  117. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 内閣委員長から予算委員会に申出がありますので、その発言を先ず許したいと思います。
  118. 河井彌八

    委員外議員(河井彌八君) 内閣委員会から予算委員の諸君に対しまして御考慮を願いたいことを申上げるのであります。それは内閣委員会におきましては定員法、いわゆる国家行政職員の定員の一部改正案でありますが、これは一部と申しましても非常にたくさんの内容を持つているのでありまして、慎重に審議をいたしておりまするのでありますが、その結果は相当修正が加えられるのではないかと見られるのであります。若しそういうことがありまするならば、法案を修正いたしましても、予算の上において執行ができませんならば甚だ困るのでありまするから、そういう場合にいずれ修正が委員会として確定いたしますれば、その数字を持つて出ますのであります。その際には予算の執行上差支えないようにお取計らいを願いたいということを内閣委員会といたしまして予算委員会にお願いをするために出て参りましたのであります。それだけであります。   —————————————
  119. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 只今の政府委員からの御答弁、これはよくわかるのでありますが、私申上げておりますのは、そういう事情でありまして、從つて正当な理由があればクローズド・コンフアレンスに入つてもよろしいというものではなしに、戰前の日本の船の航路状況を見ましても、これは軍に太平洋だけではないのであります。新規の航路、欧洲から近東方面、インド方面にまで日本の手は非常に向けられておつたのであります。このコンフアレンスは日本船のメンバーに復帰することを歓迎するという事情もあるのでありますから、そういう不安定な状況ではなくして、国内法としてはこれは差支えない。ただ問題は、アメリカなり、イギリスなり、そういう国との交渉によつて解決できるというような程度にまで持つてつておいて頂きたい。そうしないと、いつ何時西向きの航路の関係者が国内法違反というので、先般も何か公正取引委員会で聴聞会をやつたようでありますが、そういうことで不安に脅かされながら船を配船していてはいけないということを申上げておるのであります。冒頭に申上げましたように、日本の海運においては諸外国から何らの制約を受けていないということでありますれば、條約が発効いたしました場合には、政府としては一対一で船については物を言うことができるわけでありますから、この点に特に私は運輸大臣の考慮を求めまして、今日の質問を終りたいと思うのでありますが、なお運輸大臣には、先ほど大蔵大臣からいろいろお答えがございましたが、私はこれに対しましては、お話はわかるのですが、これで果して日本の商船隊が運輸大臣の述べられたように建造ができるかどうかということにつきましては、私は結論としては、これではできないという考えでございます。早く百万トン程度の船を整備するにつきましては、運輸大臣の言われるように、私は特別の資金的な措置を国家的見地から講じられる必要があるということを強調したいのであります。特にこの点は運輸大臣の御考慮をお願いしたいのであります。これで私の質問を終ります。
  120. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 農林大臣は三時までちよつと止むを得ない用事がありますから、もう追つつけ参ると思いますが、今参つておりますのは大蔵大臣であります。厚生大臣は今呼びにやつておりますからやがて参りますから、質問を始めていて頂きたいと思います。
  121. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今内閣委員長から話があつた点について、この前質問しているのでありますが、まだ十分でない点がありますから重ねて定員法の修正があつた場合のことをお尋ねしたいと思うのであります。政府機関職員定員法が修正せられて、農林省統計調査関係定員が大幅に復活する場合には、退職手当において剩余を生じ、職員基本給において不足を生ずる結果となるのでありますが、その過不足はどういうふうに経理すべきでありますか、これをお尋ねするのであります。退職手当は行政部費として農林大臣官房に計上され、職員基本給は産業経済費として農林統計調査事務所に計上されているために、二十六年度一般会計予算総則第十條但書によりまして、部款の名称が異なるから移用することができない。この場合当該予算の組替えをやるということが正当と思いますが、若し組替えをやらないといたしましたならば、予備金から支出されるのか。又定員法の修正に基く定員の移動により、昭和二十六年度において職員基本給に不足を免ずる部局においては、予算総則第十條但書の規定に対する例外的規定を設けて、名称の異なる部款の間においても移用することを得られるかどうか、この点をお聞きしたいと思うのであります。
  122. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 定員法の修正がどの程度に行われるか存じませんが、私は退職金を給與のほうに流用いたしまするか、或いは次第によつては物件費を給與のほうに移用して予算の修正をせずとも済まされるのではないかと思います。これはどの程度の修正があるか私は存じておりませんので、具体的に何人の修正があるか、こういうことを検討して見ないことには、即座には只今申上げた程度しかお返事できません。
  123. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするともう一遍……。その点ははつきりとしておきたいのですが、内容は別問題として、形式的に言つて予算総則第十條の但書「異なる所管又は名称の異なる部款の間において移用することができない。」という但書があるにかかわらず、移用ができるというふうにお考えになつているのですか。
  124. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 移用につきましては、財政法に規定がありまして、予算の認めるところによつて移用ができるわけであります。予算総則におきまして、同一名称の部款に対してのみ移用ができるというふうに予算総則できめておるわけであります。從いまして違う部款の間においては移用ができません。若しこれをやりますと、終戰処理費と公共事業費を十分に移用することができる建前になります。こういうことは許しておりません。
  125. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこで若し定員法が、例えばさつきいつたような農林省の統計調査部の修正があつた場合には、異なる所管又は名称の異なる部款というものには当らないのかどうか。
  126. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 修正も程度によりけりでありまして、理論上からやられればそういう定員法の御修正をなさるとすれば予算も当然同時に修正なさるというのが理窟だと私は思います。併しこれも程度によりけりでありまして、若し今の具体的の問題になりますと、農作物調査費と農林省の官房とはちよつと部款が違いますから移用ができません。できませんが、その程度によりまして、物件費の中から持つてつて流用ができるものもあります。或いは農林業費という款でありますが、ほかの款から持つて來て移用ができるものもあります。これは具体的に人とそれに伴う経費というものに当らないと何とも申上げられません。
  127. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと関連してお尋ねしますが、今度の米の統制撤廃が当初政府は四月一日からやるという目的であつたと見られて、それによる予算を組んでおつたと思うのですが、今度統制撤廃が延期、又はとにかくやめられたのに対しまして、現在の食管特別会計では米の家庭通帳の印刷費などが計上されておらないわけでありますが、四月一日からやはり統制が継続されるといつた場合には、こうした費用はどういう方法で予算流用をされる予定でありますか。
  128. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 配給の台帳その他は現在市町村が作成いたしております。
  129. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは市町村の負担分もありますが、食管の負担分もあります。
  130. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 配給関係の事務費という、そういう台帳その他の経費を出しておりません。
  131. 山下義信

    ○山下義信君 委員長に私お伺いしたいのですが、先ほど内閣委員長から非常に重大な申入れがあつたのですが、当予算委員会におきまして議事の運営上にどうお考えになりますか、定員法の修正ができるかできないかということは、先ず一番に当院の本会議がそれを認めるか、認めないかという、本会議の可決の結果を待たたければわかりませんと思います。又当院が議決をいたしましても衆議院と議決が異なりますれば、言うまでもなく両院協議会の結果その他を待たなければなりません。從いまして如何なる修正が行われたかということと、どう補正予算との間に必然的の関連性があるかということになりますと、当予算委員会の審議の議事運営はどういうふうに運んで行くというお考えでありますか、委員長の御方針を承わりたいと思います。
  132. 和田博雄

    委員長和田博雄君) その点はこれは小委員会のほうも開かれますから、小委員会のほうでも問題になりまするし、この委員会としましても今あなたがおつしやつたように、修正に対する態度もはつきりとしなければなりませんから、委員会の運営の仕方といたしましては、今のところはやはり質疑を先ず続けて、これを済して、それで小委員会を開いて行く予定でおります。お話の点はまだ今後に御相談申上げれば十分だと私は考えておりますので、今にわかにそれを決定する必要がないと思います。
  133. 山下義信

    ○山下義信君 只今のところはこの状態のままでよろしいと思いますが、先に行きましては、これは必然的関連性があると委員長考えておられますか。
  134. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 考えております。
  135. 山下義信

    ○山下義信君 そうですか、承知いたしました。
  136. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 質問を続けて下さい。厚生大臣も見えておりますから……。
  137. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は綱紀粛正についてお尋ねしたいと思うのでありますが、衆議院では綱紀粛正に関する決議を去る二十二日各派共同提案で、全会一致を以て決議されておるのであります。而して岡崎官房長官は、公務員の責任を明確にし、綱紀の粛正に努力する。こういうふうなことを言つておられるのであります。そこで公金の不正支出をする主たる原因はいろいろあろうと思うのでありますが、惡意による場合のほかは、予算を次年度に繰越すことができない、これが一つ原因ではなかろうかと思うのであります。現行の制度の建前から申上げますというと、御承知通り、年度末になつて予算が予定の支出ができなかつたならば、できるだけ予定の仕事はしたい、こういうふうな関係からいたしまして、その残つておるところの金を年度内に支出が……、移用とかいろいろと手を入れた結果、いろいろの善意の不正行為があるのじやなかろうかと思うのであります。そこで或る一つの事業に予算ができたといたしましたならば、その金額を若しも予定の期間内に、年度内に仕事をすることができないということであつたならば、その行為が善意であるというのであつたら、次年度に繰越して、そうして完全に仕事をさせる、こういうふうなことになればいろいろの現在起つておるところの不正の事実も挙つて來ないのじやなかろうかと、こう思うのでありますが、この予定の経費を次年度に繰越すというふうなことが現在ではできないのであるが、できるようにしよう、こういうお考えであるかどうか、それによつて不当支出を少くしよう、こういうようなお考えがあるかどうか、これをお伺いしたいのであります。
  138. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 年度内に金が余つた場合に、これを使つてしまおうというような考え方には、我々は原則として賛成できないのであります。ただおつしやるような事態の場合、繰越しの規定が現在財政法でも会計法でもありまして、それによつて当然繰越し使用ができるのであります。ただその手続が非常に面倒であるとか、或いは言つて來た場合に大蔵省でいろいろ咎めだてをされるかも知れないというので、せぬものはあると思いますが、いろいろ細工をして年度内に工事ができたというふうにするという例があるということは私よく知つております。それがいいか惡いかは別問題といたしまして、制度としてそういう翌年度に繰越して使うものであるならば堂々と所定の手続をとつて予算使用をするのがむしろ当り前だと思います。そういう手続が面倒くさいとか、そういうことをやるといろいろ文面を言われるといつてやられないことがありますが、建前としては飽くまでも正当でないと思います。ただ併しそれがために非常に無用の手続をかけるということは会計当局としては忍びないので、そういう点について簡素化の手続をすでにとつております。又現在会計法の改正について御提案申上げようと思いまする点につきましても、そういう点についての簡素化の規定を入れて御提案申上げるつもりでおります。
  139. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に現在いろいろと新聞の報ずるところの不正事件によつて見まするというと、いろいろの食糧費その他が不足するために流用をしてそれが空仕事になる、こういうふうなことで問題になつておるように考えるのであります。今回のいろいろの行政整理の経費というような方面で、食糧費のようなものを或る程度節約されようとしておるのでありますが、こういうふうなことであつたらば、却つて、不正行為を起すようなことになりはしないか、こう心配されるのでありますが、この点お伺いいたしたいと思うのであります。
  140. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 食糧費の問題につきましても、食糧費は不足であるから或いは幽霊人夫を使うとか或いは空出張をするとかいうようか話も随分伺うのであります。從つてこれを増額しようとか或いは流用を簡單にしてできるだけは使つてやれというのも私は一応は御尤もであろうと思います。併しそういうことのために事業の金を出す、食糧費を廻すということがいいか惡いか、これは又別個の見地で考えて行かなければならんのでありまして、現在一般会計におきましていわゆる交際費とか或いは食糧費、まあ刑務所の食糧費とか或いは病院の食糧費というものは別にいたしまして、約五億円ございます。この五億円を一般の職員関係会議、或いはその他に徹夜の場合の食費というものを出しておるわけであります。これでも少いというお考えもありましようし、或いは多過ぎるというお考えもありましよう。我々としては飽くまでも食糧費はこの既定の予算の範囲内でやつて頂いて、そうして正当な業務を執行して頂きたいと我々としては考えておるのであります。
  141. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は所得税についてお伺いしたいと思うのでありますが、所得税の算出の方法で、諸控除を差引いたあとで雑損の控除をするということになつておるのであります。これを農民の所得税のほうから考えて見まするというと、御承知通り現在においては年々歳々災害を受けるのであります。而してこの雑損は所得税の算出の場合においては繰越しができるのでありますが、医療費であるとか、扶養家族であるとか、不具者であるとか、こういうふうな者の基礎控除は繰越すことはできないのであります。こう考えて來て見ますというと、現在税金で困つておるところの農民は、一般に認められておるところの医療、扶療、不具者の控除というようなことは、災害を受けたならば全くその恩典に浴せないというような状況であるのであります。それでありますから、農民の現在の状況をお考え下さいまして、災害を受けた場合においては、先ず第一に一般のものと同じように医療、扶療、不具者というようなものの控除をして、その次に災害の控除をやる、こういうふうにして、できるだけ損害の控除を次年度に繰越してもらいたいと思うのでありますが、これに対する御意見を承わりたいと思うのであります。
  142. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話の点は、この災害その他の雑損を次年度に繰入れろと、こういうお話だと思います。ただ所得税建前から申しますると、所得の計算は収入金額から必要経費を引いたことになるわけであります。必要経費の中に、その年の災害その他の分はその年に見ることにいたしておるのであります。そうしてなお所得があつた場合におきましては、基礎控除、扶療控除をやるわけでございます。で、それじや雑損が非常に多かつた場合に、控除も何も受ける機会がなかつたときには、それを次年度に繰越すかと、こういう問題になりますと、よほど厄介な問題でございまして、将來研究いたしまするが、只今のところ個人の所得税というものが源泉主義で行つておりますから、建前ちよつと困難な点があるかと思いますが、研究いたしたいと思います。
  143. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 どうぞ一つ今の問題は現在のように災害をこうむつている農民の内情を了承せられて、可能なように御研究のほどを願いたいと思うのであります。  次には大蔵大臣の絶大なる御援助によつて本年の三月三十一日農業協同組合関係の再建整備法は通過したのであつて、全農林漁業者は大蔵大臣に絶大なる感謝の意を持つておるのであります。併し現在から申しますというと、農業協同組合の再建整備をするためには、何と言つても第一に考えなくちやできないのは出資の増加であるのであります。而して今回の再建整備法では、出資の増加に対しては増資奨励金を出されることになつておるのであります。而して再建整備をやるところの組合は、大体において赤字の組合が多いのでありますから、この組合に出資をいたしましてもその出資に対しては配当金も何もない、ただ出さなくちやならない、こういうような状況であるのでありますから、再建整備の期間中、再建整備の組合に対して出資の増加をやるものに対しては、これは所得税の算出の場合において損失と認めて計算をして頂きたいと思うのでございますが、これに対する大蔵大臣の御意見を承わりたいと思うわけであります。
  144. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なかなか厄介な問題でございまして、これは例えば会社なんかにおきましても欠損金補填の場合の出資を控除することになりますと、影響するところが非常に大きいのであります。結局、出資したものが駄目になるのでなくて、今までの出資を活かす方法でございますから、私は赤字があるからと言つて、それを埋めるべく他に新らしい出資をするとき、それを赤字の範囲内で損金の補填をするということはなかなか厄介な問題じやないかと思います。
  145. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 損金に持つて來るのは厄介な問題であるといたしましても、できるだけ増資をやらなくては再建整備ができない、再建整備が若しできないということだつたらば、農業協同組合、その他の協同組合が発達せない、発達せないということだつた日本の再建に重大な影響を及ぼすということを御考慮の上に御検討を更にお願いしたいと思うのであります。  次には法人税でありますが、現行の地方税によつて見ますというと準備金の額が出資総額の四分の一に達していないところの組合に対しては、事業税及び市町村民税を免除してあるのであります。然るにこれが法人税は免除してないのであります。地方税を免除してあるということは、農業協同組合その他の協同組合が公的性質のものであるということからであろうと考えられますから、地方税を免除してあると同じように法人税を出資金の四分の一に準備金の額が達せなかつたらば控除する、こういうふうにすべきであると考えるのでありますが、これに対する大蔵大臣の御意見を承わりたいと思うのであります。
  146. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 所得税と事業税はその性質において違うところもございまして、事業税を負けたからすぐ所得税も負けなければならんという理窟にはならんと思います。いわゆる所得税と申しますものには所得に対する法人税もございます。いろいろな議論はあると思いますが、今回は一般の法人につきましては二割の税率を引上げましたが、お話のような農業協同組合等いわゆる中間法人には税率を引上げず、据置くという措置をとつたのであります。
  147. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 藤野君、農林大臣はまだ來ませんで、厚生大臣が來ております。
  148. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 国立公園の整備についてお尋ねしたいと思うのであります。第十国会で、私は国立公園のことについて黒川厚生大臣質問したところが、黒川厚生大臣は、昨秋以來十分に検討中であつて、この四月中頃には国立公園の審議会を開きたいと思うから十分に検討したいと考える。海に関する国立公園、或いは特定公園は設定すべきであると思うというような答弁をしておられるのでありますが、その後の国立公園の指定、又海に関する国立公園を指定するかどうか、こういうふうなことについての経過をお伺いしたいと思うのであります。
  149. 橋本龍伍

    国務大臣(橋本龍伍君) 前任の黒川厚生大臣の頃から国立公園の指定に関する要望がだんだんに殖えて参りまして、今日今までに指定いたしましたところの国立公園十七カ所のほかに四十数カ所の国立公園指定の要望が出ておるのでございます。これに関しましては国立公園の審議会を開きまする前に、或る程度の調査をして出しませんと、審議を願う基礎資料も整いませんので、その整備をいたして参りまして、大分遅れまして先般十一月十六日に国立公園の審議会を開催いたしまして、大体国立公園の要望も出揃つて参りましたので、国立公園の指定に関する諮問をいたしたのであります。それから或る程度の基礎資料も今まで調べたところで出してございますけれども、委員会のほうでもメンバーをきめて、そのうち主だつたものは委員自身が実地調査に行かれるものもございましようし、私宛に答申が出て参りますのはどうしても來春になろうかと思います。なお海洋公園の問題に関しましては日本は四面環海の国柄からいたしまして、海洋の風景にも非常に特色がございます。今日まででは瀬戸内海国立公園の全部が海洋公園でありまするし、あとは吉野熊野、伊勢志摩の一部がこれに当つておりますが、今回要望の出ております中にかなり海洋公園が出ております。三陸海岸でありまするとか、伊豆七島でありますとか、或いは屋久島でありますとか、或いは五島列島であるとかいうところが出ております。これの中で十分特色を選んで恐らく十六日に私から諮問をいたしまして、今までの要望のありましたのに材料を出させましたので、委員会の審議の行き方としてはやはり山だとか海だとか川だとか、いろいろ風景の特徴に主体を置いた幾つかのグループに分けて、それの中から幾ばくかを選び出すという方向を多分取られるのではないかと思います。
  150. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在の国立公園の状況を拝見して見まするというと、現在の状態では国立公園の目的を達成するのにはまだ十分でないという憾みが多いのであります。そこで講和條約が締結せられると同時に、一層国際観光も、又外貨の収入も増加せなくちやいけない時代にあるのでありますから、国立公園の整備を図らなくちやいけないと思うのであります。このような状況にあるのでありますから、政府においても整備計画を立てておられるということであるのでありますが、その整備計画はどういうふうに、いつお立てになる見当であるか、又各公園ごとに外国人の來遊したところの数、或いはそのために落したところの外貨の額がわかつてつたらば、その点もお尋ねしたいと思うのであります。
  151. 橋本龍伍

    国務大臣(橋本龍伍君) 国立公園法は丁度この秋に施行二十周年のお祝をしたのでありますが、たまたまこの国立公園法の施行が準備をされましたのが昭和六年でありまして、昭和六年の十月一日から施行されまして、たまたまその年に満洲事変が始まりまして、爾來ずつともう国立公園の生れた時と、時を同じうして日本が戰時体制に入つてしまつたわけであります。從いまして国立公園も当初立てましたときにはこんな状態でなくて、或る程度整備をするつもりでスタートしたのであります。今日まで御指摘のありましたように実に不十分な状態であることは誠に遺憾でございます。そこで二十二、三年頃からいろいろ骨折つて参りました。今回いよいよ観光、外貨獲得といつたような点にも考慮をいたしまして国立公園の整備拡充五カ年計画を立てまして、それでやはり総花的にやつたのじや碌な仕事ができませんので、諸般の観点から行きまして、富士、箱根でありまするとか、ああいつたふうな利用度の高いものを主体にいたして整備拡充計画を実施するつもりであります。何と申しましてもこれらのためには公園道路の拡充が一番重要な問題でありまして、二十七年度の予算から初年度の拡充計画に手を付けたいと思うのでありまして、目下その方面の努力をいたしておるところでございます。
  152. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 公園の外人その他の問題はあとで資料を出して頂きたいと思うのであります。  次には原爆研究所のことをお尋ねしたいと思うのであります。日本が無條件降伏をやつた原因は確かに広島と長崎に原爆が投下された結果であろうと思うのであります。而して今や講和條約の調印も済んで批准も済んだというような状況であるのでありますが、この点について私は第十国会で黒川厚生大臣質問したのに対して、厚生大臣はこんなことを答弁しておられるのであります。せいぜい早く日本に返してもらつて向うの経費を以て十分の設備をしてもらいたいと、こういうふうな答弁をしておられるのであります。それは長崎に原爆の研究所があつて、その原爆の研究所では原爆に関するあらゆる研究をしておるのであつて、誠に適切な研究であろうと考えるのであります。併しながらその建物が長崎県の教育会の建物であつて、その教育会の建物を原爆の研究所に当てておられるために非常に県は困つているのであります。それであるからこれをできるだけ早く返してもらいたい、こういうふうな要求をして見まするというとABCCでは今後七カ年間は返すことはできない。返すことができなかつたらば買収してくれと言つて見るというと買収することもできない。それならば七カ年間の借用料を一時に払つてくれ、そうしたならばその金で造るからと。こういうふうなことを言つてもそれもできないと、こういうふうな状況であるのであります。でありますからできるだけ早く返してもらうか、或いは資金の融資をしてもらうか何とかせなくては長崎県の教育会は非常に困難な状態にあるのであります。御承知通り原爆でやられた結果、大きい建物はただ長崎県の教育会の建物だけが残つているのでありますが、これが今申上げたように原爆の研究になつて返してもくれない、買うてもくれない、使用料も年々にしか払うことができない、こういうふうなことであつたならば困るのであります。  さつきも申上げたように、講和の批准まできた際であるから、何とか政府のほうでこの善後策を講じてもらいたいと思うのでありますが、政府に如何なる善後策があるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  153. 橋本龍伍

    国務大臣(橋本龍伍君) 先ほど国立公園の外貨收入状況についてお尋ねがありましたが、お答えを落しましたので申上げます。これは一つの推定計算を行なつて行くよりいたし方がないのでありますが、利用者につきましては或る程度数字がございます。国立公園の利用者は戰後著しく増加いたしまして、特に昭和二十五年には国立公園の各入口でいろいろ統計をとりましたところ、年間約二千二百万人ぐらいは達しているようであります。このうち外国人の利用者は進駐軍の兵隊さんが主でありまするが、これが総体で二十八万六千八ばかり來ているのであります。そこで外国人が落す外貨の収入が国立公園関係で幾らということは全くもう推定額でありまするが、一応国立公園内の旅館でありますとか、その他のもので消費される金額を頭割りに平均いたして見ますと、大体一人当り千七百円ぐらい内外人を合わして推定されているわけであります。そこで外国人のよそから來た旅行者は相当使いましようが、進駐軍の兵隊さんはそうも使わないと見えて、まるい数字で仮に二千円として計算して見れば、国立公園の関係で外国人から約六億円ぐらいの金が落ちるか、こういうふうに推定をいたしております。  それから原子爆彈の調査研究所の長崎で使つている建物についてでございますが、これは只今御指摘のありましたように、長崎県の教育会が作りました教育会館を長崎の原爆障害調査委員会が使つているわけでございます。この原爆調査委員会は米国の国立学術研究会の指示研究機関として設けられ、その費用は原子力委員会から支出されているそうでございますが、このABCCの運営計画もやはり元のアメリカの国立学術研究会の指示でいろいろきめてあるわけであります。厚生省としてもいろいろ考えて参つてはおりますが、我が国としても国際的学術研究の協同というような意味からいたしまして、国立予防衛生研究所の職員も入つて調査研究を一緒にやつているというような関係から、できるならばこの利用関係について長崎県の教育会にも御協力を願えれば誠に幸いであると考えているのでございます。なお、お話の御趣旨によりまして教育会館としてもいろいろお困りの点もあろうかと思いますので、この点については私も実情を余りよくは存じませんが、研究して見たいと思います。
  154. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 藤野君、農林大臣が見えられました。
  155. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 米麦の統制問題でお尋ねしたいと思うのであります。政府は今月の六日に、各般の情勢が整い次第米の統制撤廃を実施する方針である。その方法及び時期については、統制撤廃の影響、供出の進行、米の輸入状況を十分に勘案して、今後検討して決定したい。大麦、小麦の統制撤廃は主食の配給総量を勘案して別途成案を準備中である、こういうふうに声明しておられるのであります。準備中であると言つておられる大麦小麦の統制撤廃の成案の大体の構想を承わりたいと思うのであります。農相は衆議院では、麦は明年一月以降六月までの間に撤廃する、又別の機会においては、麦の統制は明年三月末で供出配給ともに撤廃する、こういうふうなことを言つておられるのでありますから、大体の構想はすでに成案ができているものと考えるのでありますが、この点お伺いしたいと思うのであります。
  156. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘の主食の統制撤廃の全体の構想については、まだ発表する段階になつておりませんのであります。なお麦の統制撤廃につきましては、明年の一月以降を目途として考えておりまするが、これにつきましてもまだ完全な準備ができておりませんので、今暫らく検討さして頂きたいと思います。
  157. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは麦の問題で、麦の加工方式の切替についてお伺いしたいと思うのであります。これは政府においてはすでに業者に通知を出しておられるやに承わつておるのでありますからお伺いするのであります。精麦と製粉事業は、從來は政府は委託加工の方式をとつておられるのでありますが、明年の一月からは原料の売却方式に切替えられるというような話があるのでありますが、そういうふうに考えておられるかどうか、先ずこの点からお伺いしたいと思うのであります
  158. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 麦につきましては、御指摘のように、明年からは買取制度を実施したく今検討している次第であります。
  159. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと関連いたしまして……、只今農林大臣は來年度主食の、米の統制撤廃については方針がきまつてないという話ですが、そうですか。
  160. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般もお話いたしましたように、二十七年の十月末日までは配給を継続して行く建前でやつておりますが、その後における主食の統制の撤廃の問題につきましては、先ほど御説明申上げた通り、各般の検討をいたしております。まだ成案を得ておりませんので、明確に内容を申上げる段階に至つていないのでございます。
  161. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど大蔵委員会で、大蔵大臣は食管特別会計のインベントリーの問題と関連して、政府は來年度米の統制を撤廃する方針で行く、そういうことになつていると、こういうお話であつたのです。それでもうはつきりときまつているようなんです、先ほどの大蔵大臣の御答弁では……。この点どういうふうに……。
  162. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が申上げているのは、政府方針は、政府声明に朗らかな通り、統制の撤廃の基本方針は協議したのでありますが、その具体的な方法並びに時期については検討中でありまするので、明確にその時期を今申上げる段階にない、こう申上げたのであります。
  163. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣如何ですか。
  164. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今農林大臣が答えた通りでございまして、來年度の予算につきましては政府の既定方針の統制撤廃の方式で予算を検討しておる、こういうことでございます。
  165. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そういたしますというと、米麦の統制撤廃の時期と方法であるのでありますが、そのうちの麦の加工は現在の加工方式を買取方式に変えられると、こういうふうなことであるのであります。それは明年の三月までは現在のままにやられるのであるか、或いは一月からやられるのであるか、この時期を明らかにして頂きたいと思うのであります。
  166. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど申上げた通りこの時期についても目下検討中でございます。御承知のように主食につきましても実はこれは延納制度がございますけれども、延納制度でやつてつた場合における利害得失と、それから買取制度でやつてつた場合とこれは両方利害得失があるのであります。よく業界の状況その他勘案いたして決定いたしたいと思います。    〔木村禧八郎君発言の許可を求む〕
  167. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 木村君、もう少し藤野君が今の点をお尋ねになつて、それに関連したほうが私はいいと思います。
  168. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 精麦及び製粉業者は、若しも買取の方針で行くといたしましたならば百数十億の資金を要するだろうと想像されるのであります。それで來年の一月から加工方式をどう変えるかということについて業者は非常に心配しておるのでありますから、この際加工の方式はいつからやるんだと、その方法は資金の融通をやつてやるんだと、或いは延納の方法でやるんだと、こういうふうなことはこの際明確にされるが政府責任であろうと思うのでありますが、研究中であるというお話であるが、業者に安心を與えて、そして麦の生産を、加工を十分にして、食糧に不安なからしむるような策を講じなくちやできないと、こう考えるのでありますが、まだ研究中であつて、時期と方法はわからないのであるが、重ねてお尋ねしたいと思うのであります。
  169. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のように買取制度に変える場合におきましては相当量の資金が要るのでございます。從いまして現在の加工業者の金融の状況その他の部面も十分に検討し、不安なからしめてやらなければならんのでございます。又資金を供與する場合においても一般市中銀行に委ねるということも困難でありましようし、或る場合においては農林中金の資金を融通する等斡旋をしなければならないというような点からでも、その点は諸般の状況を目下検討いたし、不安のなきような状況において処置をいたしたいと考えております。
  170. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 木村君、時期の問題だけ……。
  171. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時期だけの問題ですが、時期ということは明年度に関連あるので、時期と方法がわからないということは明年度もわからないということになるわけだと思うのです。その点どうなんですか。大蔵大臣は明年度は二十七年度予算編成と関連して食管のインベントリーは大体やらないで済むようなおえ考ですし、それは統制撤廃を前提とされておるからです。時期というのは明年度ということなのであります。その点農林大臣は時期と方法がまだきまらないと言つておられまするので、そこの所は大蔵大臣と食い違つておると思うのです。時期というのは明年度のことを言うのではありませんか。
  172. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り昭和二十六年度の予算上は麦のほうは統制撤廃という気持でやつております。ただ問題はどれだけ買入れるかという、八百万石程度の麦を買入れる予算でやつておるのであります。だから來年度におきましても私は麦は相当政府は買入れる予算を組みます。これは統制撤廃とか何とかいう問題と違いまして、麦を相当買入れる。ただ問題は來年産米は、米の問題でインベントリーがものを言うのである。米の問題につきましては只今は統制撤廃の方針で予算を検討いたしております。農林大臣と何ら食い違いはございません。
  173. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 委員長から農林大臣に念を押しておきたいと思うのですが、麦の統制撤廃を一月からやる、麦の加工方式を一月から変えるという趣旨ははつきりしておるのですが、そこのところが今の御答弁ではぼやけておるので、さような今のような御質問が出て來ると思いますが、そういう点を一つ……。
  174. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど申しましたように一月一日かつきりというところまでまだ断定いたすことはできないのであります、関係方面との折衝の問題もありますし諸般の問題がありますので、政府方針といたしまして一月以降、できるだけ一月からということで検討いたしておりますが、一月一日かつきりやるということは申上げられない段階にあるのであります。
  175. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 麦の統制が撤廃せられましたならば、麦が食糧以外に使用せられるというようなことで、米の不足が一層多くなつて來るのじやなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。若しそうしたならば輸入食糧の増加を見なくちやできない、こういうことになるだろうと思うであります。そこで政府は明年度予算は現在検討中であられるのでありましようが、麦の統制を撤廃せられた結果、食糧の明年度においては輸入の総量はどのくらいで、金額はどのくらいで、その補給金はどのくらいにされようというお考えであるか、農林大臣及び大蔵大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
  176. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘ののように麦の統制撤廃された場合に現在主食として使われておるものが他のものに使われる、或いは加工用或いは家畜の飼料というものになる可能性があることは御指摘通りであります。從いまして今回の補正予算におきましても、又明年度におきましても相当程度これは輸入量を殖やしておる次第でございます。先般も申上げましたように今回の補正予算におきましては、米については從來九十万トン計画のところ百五万程度まで増しておる次第であります。又小麦についてもこれが百七十万トンを百九十万トン程度にいたしておりますし、大麦についても六十万トンが九十万トン程度に殖えておるのであります。これが一番大きな原因は、本年の米の作が当初予想したよりは相当減少しておるということと人口増加、或いはその他加工用方面の増量等をも一応見込んで増した次第であります。なお又補給金につきましても今回從來二百二十五億のところを二百八十億に殖やしておる次第であります。明年度も大体こういう規模において計画されるものと考えております。
  177. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農林大臣の答弁と大体同じでございます。
  178. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 藤野君、あなたの時間は大体あと八分程度でありますからそのおつもりで……。
  179. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 各般の情勢が整い次第と、こういうふうに政府方針をきめておられるのでありますが、各般の情勢というものは大体どういうふうなことを各般の情勢と言つておられるのであるか、具体的にお伺いしたいと思うのであります。
  180. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 統制撤廃に関する諸條件は非常にたくさんあるのでございますが、これは先般も御指摘のように輸入食糧を相当豊富に入れなければならないということも一つ條件にもなります。それは外貨の問題もあり、又二重価格制度をとるとしますれば、御承知のように補給金の問題のほかに国内産、生産資金についても、補給金というものが問題になると思います。それから又御承知のように需給調整を実施するという前提に立つておりますので、この意味におきましては内地の生産物につきましては価格支持政策をとる、とるといたしましても、どうしてやはりこのためには農産物が逸散することなく、やはりまとまつた形において市場に出て來るということが望ましいことでありまして、又是非そうしなければなりませんので、そのためには農業協同組合による集荷資金というものの資金裏付けの方法が必要であると存じます。又消費地におきまして、各家庭においては常に需要が起つておるのでありますけれども、現実にこれが市場において取引される場合、どうしても卸売或いは小売の手を経て一般消費者に参りますので、その流通機関における資金の裏付けということも必要でございます。又それと関連いたしまして操作米市場の設定ということも必要であり、又そういう関係からしますれば或いは倉荷証券なり或いは又そういうものに基くところの資金の問題というような各般の問題があるわけでございますし、なお又倉庫の整備、修理というような問題、各般の問題があるのであります。今申上げたところがおおむねその大きな要素であると考えておる次第でございます。
  181. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 先ず第一に問題として考えなくちやいけないのは肥料の問題であろうと思うのでありますが、肥料資金についても現在の農業手形と同じような形で行かれる予定であるか、この肥料の需給計画及び肥料に対する対策を先ずお尋ねしたいと思うのであります。
  182. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 肥料が農村にとつての生産資金の一番大きな問題でありますので、從いましてこれに対する金融措置というものは当然行われなければならないと存じます。明年十月まで、配給統制を続けておりますので、その限りにおきましては、本年も御承知のように二千五百五十万石はその前提の下にありますので、本年から來年の秋にかけましては農業手形が現存して行くわけでありましで、この点については御心配ないと存じます。統制撤廃がなされる段階になりますと、原則上供出を基礎とするところの農業手形というものが崩れ去る虞れがありまするが、これは改良を加えて農業手形を存続いたすという方針で検討しております。これは先般も申上げたところでございまするが、農業協同組合に対しまして生産者が生産された後、売買契約によつて、その所有する者が借りられることができるような措置を講じたいと思つております。即ち売買契約に基く農協の振出した手形が現状と同様な形において流通することができるように、こういうふうな構想で現在のところ進めておるような次第であります。  なお肥料の問題につきましては、本年は若干電力事情のために減産の状況でありまするが、明年は政府も電源開発に相当力を入れておると思います。生産力も相当増強しておりまするので、おおむね所期の目的が達せられるのではないかと考えておる次第でありまして、生産資金についても安本その他について、或いは大蔵省において重点的にこれを供與するという形になりますれば、肥料増産の資金も確保され、増産が確保されるということになればやがてそのコストが下がる。又一面におきましては海外に対する肥料の輸出も国内需要と睨み合せて規正するという形において、需給の調整はなし得ると考えておる次第であります。
  183. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 藤野君に申上げますが、もう時間がありませんので、簡單に最後に……。
  184. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 明年度は統制が若し撤廃されてでも、農民の希望に応じて幾らでも買入れる、こういうふうな政府方針のようであるのでありますが、明年度の予算はどういうふうな米麦の値段の方針で予算を組まれる考えであるか、又どのくらいの数量を需給関係上買われる考えであるか、この点お尋ねしたいと思うのであります。
  185. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 統制撤廃の後需給調整をいたす、その前提において米麦の明年度の買入れ数量ということでございまするが、これは状況をもう少し見なければ明確にお答えすることは困難だと存じます。政府考えておるのは、価格支持のための買入れでありますが、自由になりました場合、現在の生産者価格として政府が買入れておる値段よりは市価が相当上るのではないかという考えを持つておるのであります。この意味におきまして米に対して農民からの売渡申込というものは現在よりは、現在の供出制度が続いておるよりはずつと減るのじやないかと考えます。併し麦については相当程度が出て参ると考えておりますので、麦については先ほど大蔵大臣が言われたように八百万石程度は買入れる必要があると考えておりまするが、買入れの資金については糧券発行によつてこれがきまるわけでありまするので、糧券発行に余裕を持たしておりまするが、如何なる事態についてもこれについては対応し得ることができるだろう、こういうように考えておるのであります。
  186. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 荒木三郎君、文部大臣と岡野国務大臣が出席されております。
  187. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 初めに文部大臣に若干お尋ねをいたしたいのでありますが、学校給食の問題でございますが、つい二、三日前の本委員会におきまして大蔵大臣は、來年度の学校給食については国庫から補助しないという閣議の申合せをした、こういう説明があつたのでありますが、この際文部大臣は何らかの方法を研究して、学校給食は続けて行きたい、こういうふうな答弁もあつたのでありまするが、文部大臣考えでありますと、国庫の補助をしないで、全額府県の負担において実行して行きたい、こういう考えであるのか、その点を明らかにして頂きたいと思います。
  188. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は国家のほうで以て、何かそこに操作の資金を借りるとか何とか仮にできるならば、そういうもので大量に物を買入れるとかいうようなことで、府県の負担ではあつても、それを非常に安くするという工夫はないものであろうか。そういうことを研究しようと思つております。
  189. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると何ですか、学校給食を來年度も継続してやつて行くという考えにきまつておるのか、或いはまだ研究中であつてその点ははつきりしていない、どちらになるのでしようか。その点をお伺いします。
  190. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 是非やりたいと思いますけれども、はつきり今やるというだけの目鼻がまだついておりません。
  191. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は相当社会的にも影響のある大きな問題であると私は考えておるのであります。時に本年に入りましてから各市町村学校においても、学校給食の設備を本格化して、恒常的の設備をこしらえている所が相当多数に上つておるのであります。この設備をこしらえるには相当な父兄の負担或いは市町村の負担、そういうものがかかつてつて、而もこういう設備をするに当つては文部省関係から、学校給食は講和が成立した後においてもやつて行く方針であると、こういう意向が伝えられたためにかなり地方では無理をしてその設備をしておるのが、現在の実情であります。ところが來年度においてはまだやるかやらないかという点について明確でないということは、地方に相当な迷惑を與える問題ではないかと思うのです。從つてこの問題は成るべく早くその態度を明確にする必要がある問題であると私は考えておるのですが、大臣はどういうお考えになつておりますか。
  192. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私どもの見通しが十分確実でなくて地方に迷惑を及ぼしたことは私も誠に済まないと思つております。だからできるだけ早くその方針を確定したいと思つております。
  193. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なお大臣は研究をしているのだと、併しその根本になるのはやはり父兄負担になる、多少政府資金を借入れて大量に品物を仕入れて安くしたい、こういう考えのようでありますが、そういたしましても若干は安くなるかも知れませんけれども、全額父兄負担になるということは明白であると思うのです。父兄負担の形において学校給食が継続できるかどうか。こういう問題になつて來ると思うのですが、現在においても、現在はそういう材料費は全部父兄負担になつておらない。ただ加工賃とか或いは手間賃という程度のものが父兄負担になつている。現在においてもかなりのこれは父兄の負担になつて、学校給食費を払えない家もかなりあるようであります。それを全額父兄負担にするということでは、到底学校給食を継続して行くということは私は不可能のように思えるのですが、こういう点について父兄の負担という点から考えて、果してそういうことが実際上行なえるかどうか、そういう点について検討されているかどうか、お伺いしたいと思います。
  194. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 父兄の負担が余り高くなるということでは到底これは駄目なことですが、何かそういう点にもつと工夫する余地はないかということを、私は事務当局によく研究してもらつておるところでございます。
  195. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは如何ほど私は研究をされても、国庫が何分かの負担をしない限り非常にむつかしい問題であろうと思うのです。そこで閣議で申合せになつたということでありまするが、どういう理由で学校給食に対して国庫が負担しない、こういう決定をなされておるのか、そういう理由を明らかにして頂きたい。
  196. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) それは財政上の理由からでございます。
  197. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 財政的に考えて今後いろいろな面に負担が増加して行く、こういうことはよくわかるのでございますが、学校給食の占めておる地位というものは私は相当重視しなければならないというふうに考えておるわけであります。特に国民に與えるいろいろな影響、そういう点も考慮しなければならないというふうに思うのです。端的に申上げますと、占領下においてはこういう学校給食、学校給食というのは確に私は善政の一つであつたと思う。最近我々のところに來る父兄なり或いは子供からの手紙を見ても非常に多数に上つておる、その手紙は学校給食の継続を希望し、熱心に我々に言つて來ておるわけであります。これは確に善政の一つであつたと思う。それが政府は独立したといつて喜んでおるようですが、独立によつてこういうものが廃止されて行くということはかなり私は惡い影響を與える、かように考えるのですが、そういう点について文部大臣は何らかの考慮があつたのかどうか、そういう点をお伺いいたしたい。
  198. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私も給食ということはいろいろの意味においてこれは是非継続したいと思つたのですけれども、国家財政の見地からそれができないということであればどうもいたし方ないということでございます。
  199. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 国家財政の見地からできないというのは、これは私は考え方があれで、從つてここで考え方相違について文部大臣と議論を交わそうというふうには考えておりませんので、ただ最後に申上げたいことは、この学校給食は地方においても今後継続して行くという心ずもりで施設その他も充実して來ておる。それから又学校給食そのものも多数の父兄、児童によつて歓迎されて來ておつた。又その効果もあつた。いろいろ教育上から考えてもその効果はかなりあつたと思う。そういう点から考えて、これは若干の負担が伴つても実施して行くべきものであるというふうな考えを持つております。從つて今後ともこの問題についてはなお大臣は努力せらるべきであるというふうに考えておりますので、その点を要望しておきたい。
  200. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の学校給食は財政上の理由から駄目だというようなお話でございますが、一体学校給食を年間を通して完全にやるとすれば、五百五十万の場合にどれぐらい所要の経費が要るというふうなお見込になつておるのか、或いはこれを全児童数に推し及ぼせば更に幾らになるか、その辺はどういうように……。
  201. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 局長からお答えさせます。
  202. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) お答えいたします。只今私どもが一応計算を出しておりますものは五百五十万を対象に考えておりますが、それを本年の現状通り取り進めますと九十六億ほどかかることになつております。若しこれを全児童にということになりますと丁度倍額ぐらいになりますが、これは施設、設備なり又は経費の負担なり、又そういう給食の仕事の実際の必要なりというようなことから全児童に及ぼすということは事実において起つて参らんものというふうに考えております。例えばアメリカのような食糧事情のような所でも、現にやつております児童の対象は大体半分を少し超えておる程度でございます。これは設備や何かの関係から、学校的な訓練といつた舞台として行われるか行われないかという必要と、実際問題に絡む関係でありまして、将來学校給食の関係が非常に盛んになりましても、或る一定のところでその数というものはとまるはずである。又そういう程度のことであつてよろしいものであろうというふうに考えておる次第でございます。
  203. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 昨日大蔵大臣お話によると、学校給食をやめる財政上の理由は、資金の問題もさることながら、それよりも五百五十万という全児童に推し及ぼさないで、半分だけに言わば特権的にやることが不合理であるというようなお話があつたと思うのですが、今の局長お話によつても半分程度しか実際問題として給食ができないというような状況のようでありますが、若しその半分しかやらないことが不合理であるのならば、半分に給食をして、あとの半分の農村その他の児童には給食に代るような、そういう農村に特別にやつてやらなければならない給與なり施設というようなものを、それと関連してお考えなつたことがあるのかどうか。
  204. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど文部省の事務当局から申しましたように、今の状態でやりまして九十四億円要るわけです。お話のようにそれではあとの残りの五百五十万人、それに相当するような出費をいたしますと百八十億、こういうことになりますから、來年度において財政の状況上困難だ、こういう原則をとつておるのであります。
  205. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 從つて文部省のほうでは給食のできないような学校の児童に給食に類するような別途な、何と言いますか、給與の仕方なり何なりをお考えなつたことがあるか。分割でやるとすれば、どういうものを地方にやればいいかというような施策をお考えなつたことがあるかどうか。
  206. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私はこの点において少し考えが違うのであつて、給食というものは必ずしも全部の学童にやらなくても、必要な所だけやつてもよいのではないかという私は考えを持つておりますので、そのほかに同じことをしようと考えておりません。
  207. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは次の問題に移りたいと思います。  六三建築の問題でございますが、文部大臣は來年度の予算において六三建築費並びに老朽校舍の建築費については來年度の予算において計上されるように努力したい、こういうお話があつたわけなんですが、この六三建築にはこのほかに認証外工事がございます。これは從來から問題になつていたところであつて、これについても国庫補助を要請する声が非常に高いのであります。この問題についてはどういうふうにお考えになつているかお伺いしたいと思います。
  208. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 來年度の六三建築につきましては〇・七坪まで引上げるために五十七億要求をし、老朽校舍のほうは三年計画を立てて二十一億要求いたしております。ただ今荒木さんのおつしやつた認証外工事のことについては局長からお答えさせて頂きます。
  209. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) お答え申上げます。認証外工事の問題は、この六三予算にずつと絡んで來ております一つのこぶのような状態にございまして、私どももこの問題の解決には苦心をいたしておるわけでありますが、工事が公共事業的な性格の仕事でありますために、すでに済んでしまつたものに対してあとからカバーして行くというやり方が事実においてできませんので、実際に学校ができ上つて、又その学校の内容的な設備を充足して行くということが一面是非必要なわけでございますので、そうした部分で幸いにもカバーできるならば、認証外工事の分量なり又その学校自体の存する單一町村の財政というようなことを考えて、そういう内容的な部分で幾らかでもカバーして行くというような方法、又起債の関係などでその学校に関係します実際の費用が、六三の三だけでなく六の関係なり又修繕なりその他に絡んで來るわけでありますので、そういう部分を如何にしてカバーして行く方法がないものかというふうに考えている次第でございます。
  210. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この認証外工事は、私から言うまでもなしに正直者が馬鹿を見るというふうな結果になつているいい例であるわけであります。政府は当初六三建築を奨励する際に、追つてこれらの工事に対しても国庫の補助をしたい、こういうふうな説明をしておつたわけであります。そこで教育に熱心なる自治体が、困難なる財政の中から或いは負債をし、或いは寄附を集めて建築をやつたわけなんです。この中にはなお今日自治団体の負債として残つているものもかなりの額に達している実情であります。從つてこの解決は地方自治団体が切に望んでいる重要な問題であると思うのです。よく例に引かれる二千名以上に及ぶ地方自治団体の責任者が、その職を退いたという理由の最も大きな問題はこの認証外工事にあるのです。この問題をいつまでも放置しておくということは私は許されない問題であると思うのです。從つてこの問題に対してはやはり国庫の補助を行なつて、そうして現在残つている負債を解決して行くという方向をとらざる限り、この問題の解決はできないのじやないかというふうに考えているのですが、文部省のほうはどういうふうなお考えでございましようか。
  211. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) お答えします。この問題は私も荒木さんと同じように非常に地方に迷惑をかけているということはよく存じております。毎年このために苦慮いたしておりますけれども、今以て解決できないことは非常に残念に思いますが、何とかこれを、今局長の申したような線で以て償いをして行きたいという考えでございます。
  212. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題に対して大蔵大臣は何とか一つ国庫補助によつて解決しようという御意思はないでしようか、そういう点如何でしよう。
  213. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ずつと以前に認証外の問題を聞いているのでありまするが、何と申しましても〇・七坪を出すということに一生懸命になつておりますので、そこまでまだ考慮をめぐらしておりません。
  214. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではこの問題についての答弁はまあ十分でないわけなんです。併し私はこの程度にとどめておきます。
  215. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して、この老廃朽の校舍と関連があるのですが、大蔵省に伺いたい点は、このたびのルース台風被害に当つて、老朽校舍の損害に対しては補助率を変えるという見解を大蔵省は持つているというが、本当かどうか承わりたい。
  216. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう点も考慮に入れて検討いたしております。
  217. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その大蔵大臣の答弁に対して天野文部大臣はどういう見解を持つておられるか、答弁を……。
  218. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私はその区別は是非してもらいたくないと思つて大蔵大臣にどうかお願いしようという考えを持つております。
  219. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さすがは文部大臣だけの価値があると思いますが、一体その新学制が出て以來、〇・七坪まで確保できないで、六三の三は行くが、六に非常に皺寄せされて來て、何十年か放置されたところの小学校の校舍というものは惨怛たる状況になつていて生命さえ危険な状態にある老朽校舍は、今荒木君から質問がありましたが、連年予算要求をするが、政府としては何ら考慮しない、果せるかなルース台風が來た。ところが調査班の報告にもあるように、老朽校舍が真先に痛めつけられておる。幸いにして夜間に來たので生徒の生命には影響がなかつたけれども、これが昼間であつたならば、夥しい生徒の生命が失われたであろう、こういうふうに言われておるわけでございますが、その被害に対して、老朽校舍は地方公共団体が建築せなかつたためにこれは倒潰したのであつて、その責任は地方公共団体にあるから、そういう当然にして潰れた校舍に対しては補助率を変更して、補助率を下げるというのでは、大蔵大臣としては余りにも私は無慈悲だと考えるわけでありまして、天野文部大臣の主張の通りにこの点だけは池田大蔵大臣に再考慮を煩わしたいと思うのでございますが、如何でございましようか。
  220. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう説があるから検討しておると申上げておるのであります。何も結論が出たわけではございません。ただ問題は、二、三年前に非常に苦しい中を建てた町村と、もうぼつぼつ建替えなければならんといつているときに壞れた場合の建直しとは、経済的に違えて考えるべきではないかという一つの研究題目として提供せられておるのであります。併し古い校舍を持つているところも別に積立をしておるわけではないし、財政上なかなかそういうものも区別はしにくいということもありますから、私は検討しておるのであります。いろいろな問題を一人ぎめにきめてしまつてどうこうするのではなしに、いろいろな点から考えまして結論を出そう、こういうので今検討しておるのであります。
  221. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一点それと関連しますが、今の点については大蔵大臣に愼重に検討を要望することにいたしまして、これとやはり密接不可分の問題でありますが、この点は久保田監理局長に伺つておきたいのですが、荒木君の聞きました老廃朽の校舍と密接な関係がある問題として、老廃朽のうちに特に濃度の高い我が国の南部によくあるところの白蟻の問題ですね。白蟻の被害と、老朽校舍というものと、台風というものは不可分の関係にあるわけですが、これらに対してどういう対策を持つておられるのか、この点だけ承わつて私の関連質問を終りたいと思います。
  222. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 老廃朽校舍と申しますのは、年数だけを計算に置いて考えておるのでございませんので、今危険の状態がどの程度にあるか、むしろ白蟻のような場合も、その危険の度合によつて老廃朽といつた危険校舍という観念でものを考えたいと思つております。
  223. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 では次の問題として、学徒の保健衛生の問題であります。私が最近入手いたしました統計によりますと、大学の学生で不幸にして中途退学のやむなきに至る者が大体一七%に達しておるということであります。現在学生が十八万人程度でありますので、これを人数に直しますと約三万人、年々三万人の前途有為な学生が心ならずも中途退学をしておるこの事実であります。この中途退学をしておる理由というのは、いろいろあるわけでありまするが、何と申しましてもその一番大きな率を占めておるのは、学生の病気のために退学しておるという事実であります。私はこういう事実を見るときに、ここに学生の保健衛生の対策を立てることが急務ではないかというふうに考えておるわけであります。で文部大臣はこういう問題についてどういう所見を持つておられるのか、或いはどういう対策を持つておられるのか。そういう点について御意見を伺いたい。
  224. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私も学校の校長などをしておつて、非常にこれは残念なことだ、非常にできる学生たちが結核等によつて中途退学をしておる。アメリカの学生などがもう殆んどそういうことがないのに、日本にはあるというのは非常な残念なことだと思つて一方においては学生に向つてからだに無理をせんようにということを促がすと共に、他方にはいろいろな衞生の設備の予算を持ちまして、初期にこれを発見して療養するというようなことをも努めております。今又学徒厚生委員会というものを作つてそこで以てこの対策を研究いたしております。
  225. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの問題の解決の一つの有力な方法としては、やはり学生の国庫補助の制度による共済組合の制度が必要ではないかというふうなことを前から考えておつたわけであります。今日の新聞を見ると、学長会議においてもこういう制度を要望する決定を行なつておるように見たのであります。昨今のように夥しい学生が病気のために倒れる、こういう実情下においてはどうしてもこれらの学生を救済するところの制度というものが必要な問題として考えなければならないのじやないかというふうに考えておるわけでありまするが、この学生の共済組合による救済制度、こういう問題については何らかお考えがあるのか、お伺いしたいと思います。
  226. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) この問題も学徒厚生委員会で以て研究をいたしております。その成案を得ましたらそれに從つてやりたいと考えております。
  227. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題とも若干の関係がある問題として育英資金の問題があるわけであります。これも最近の統計調査によりますと、現在の学生の八〇%くらいに上る学生が、何といいますか、アルバイトをしたい、こういうことをいつておるような実情であります。又アルバイトをしている学生の多くが病気にかかつておるということも事実であります。そこでこの学生の大部分が働きながら勉強する、こういうのが日本の現在の大学教育の大体の実相ではないかというふうに思うのであります。そこで問題になるのは、やはりこれらの学生にそういう働き口を見付けてやる、こういう指導をすると共に、一面においては育英資金の増額を図つて、これらの学生に幾分でも勉学の機会を十分にするようにして行かなければならないというふうに考えるわけです。ところがこの育英資金については、現在大学生については一人当り千八百円という金額が支給されておるのでありまするが、最近のように物価がだんだんと上昇して参りまして、千八百円では殆んど何の役にも立たない、こういうふうな現状になつておるわけなんです。聞くところによると沖縄県の出身の学生で内地に留学しておる者は、大体六千五百円くらいの育英資金が出ておるということを聞いておるわけなんですが、日本内地の学生に対しても大体それくらいの額にまで引上げなければ有効な働きをしないじやないかというふうに考えておるのですが、この育英資金の増額の問題については、どういうふうなお考えで進んでおられるのかお聞きしたいのです。
  228. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) アルバイトのこと、又育英資金のことにつきましては、私も全く同感でございます。アルバイトについては、各学校の厚生補導部というので非常にみんな骨を折つて考えております。育英資金のほうは二十四年度が九億だつたものを、二十五年度は十五億にし、二十六年度は二十四億にして参つたのであります。けれども來年度は四十億四千万円を要求いたしております。大学生の費用は下のものは千八百円でありますけれども、上は二千百円でございます。高等学校のほうも今度は全体の五%まで殖やすということにして、五百円を七百円に上げるという計算でいたしております。これでも決して十分とは思いませんけれども、是非これを実現したいという考えでやつております。
  229. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで私の今いろいろと質問したことは金のかかる問題ばかりなんです。そこで無い袖は振れない、或いは貧弱な国家財政からは如何ともしがたい、こういう問題に私は直面すると思うのであります。そこで私はこの問題は曾つて文部大臣にも尋ねたんでありますが、今後はやはりどうしても国の文教方面の費用を確保して行く、いわゆる文化国家として立つて行くかどうかという大きな政治上の国策の根本方針に関連する問題になつて來るんじやないかと思うのであります。今度の補正予算を見ても、治安関係の費用がかなり増額されております。恐らく來年度の普通予算においては、これが飛躍的に増大するんじやないか、或いは再軍備とし現われるんじやないかと、こういうふうな予想もするのであります。そこで私はこういう際にそういう再軍備の費用も賄い、又教育に必要な費用も賄うだけの財政力が日本にあるかどうか。こういう点から考えて、日本の将來を平和国家の立場に立つた国策を進めて行くかどうかという根本の問題にかかつて來ると思うのであります。こういう問題について文部大臣としてどういう決意或いは方策、こういうものを持つておられるかということをこの際伺つて置きたと思います。
  230. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 私は、日本の将來は勿論文化国家であり、平和国家でなければならない、もうこれは当然の話だと思います。けれども治安がなければ教育もできないのでありますから、その現実がどれだけの治安を要求するかというところに問題があると思うのであります。私はどこまでも日本は平和国家、文化国家という線で行かなければならんと考えます。
  231. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のお尋ねしておるのは、もう少し現実的に言つておる問題ですけれども、この問題についてはなお明らかにする機会が少くないと思いますので、この点は讓つて置きます。  次に教科書の問題でありまするが、教科書は曾つての国定から検定制度に移行して、非常に進んだ制度に移行したわけでありまするが、このことは非常に結構なことで喜ばしいことではありまするけれども、最近この教科書が氾濫しておるという事実、而もこの教科書の売込競争が非常に激しくなつて來ておる。私はいろいろのことを聞いておりますが、それは事実であるかどうかわかりませんから、ここでは申上げませんけれども、或いは教育疑獄が起きるのではないかとさえ憂慮されておる向きもあるようであります。こういう問題について大臣は何らか考えを持つておられるかどうか、お聞きして置きたいと思います。
  232. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 教科書は、私は現状のままには捨て置けないということは痛感いたしております。それならこれをどうしたらいいかと言いますというと、国定ということも一つ考えですけれども、国定ということをやれば、それはもう直ちに今までの民間でやつたということがやめになつてしまうという結果を恐れるから、直ちに国定というわけにも行かない。併し民間にこのまま放置するというわけには行かない。從つてここに何かの工夫を要する。例えば出版者の資格審査をして、適当な資格がなければさせないとか、或いは検定についてももつと考えを新たにする必要はありはしないかとか、いろいろな問題がそこにある。要するに現状のままに捨て置くことはできないということを私も痛感して、それを改めたいという考えをめぐらしておるようなわけであります。
  233. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は教科書を国定に復活する、こういうことは絶対になしてはならないということは強くこの際申上げて置きますが、今のような状態では教育上にも非常な支障を來すし、いろいろよくない問題も附随して起つて來ておるわけであります。從つてこの問題については、十分な検討が必要であるということを申しまして、大体文部大臣に対する質問はこれで終ります。  次に岡野国務大臣に若干のお尋ねをいたしたいと思います。それはその一つは地方公務員の行政整理の問題でありまするが、担任責任国務大臣としての岡野さんから、大体どういうふうな考えで、どういうふうな進行をしておられるのか、先ず初めにその概況をお聞きいたしたいと思います。
  234. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方行政簡素化本部は九月の末に出発いたしまして、その構想といたしましては、先ず機構の改革、事務の整理、又その二つに伴いまして人員の縮減ということが問題になるのでございますが、機構の改革は国家のほうの中央政府の機構の改革もありますので、それと歩調を合せなければなりませんし、又地方の自治制度というものは相当重大な問題でありますから、これは地方簡素化本部だけではやりにくい、こう考えまして、若し機構の改革をやりますにつきましては、仮の名前でございますけれども、地方行政調査会とでも申しますか、そういうものを作りまして広く衆智を集めまして、そうして完全なものの検討をして見たいと思います。これは見送つております。それから事務の整理でございますが、これは御承知通りに只今地方の事務は戰後非常に複雑になつておりますので、これを一応整理しなければならん、又簡素にしなければならんということにつきまして、十月の初め以來約一カ月間各省の事務当局に代る代る集まつて頂きまして、そして各省と地方の関係との事務をよく検討したのでございますが、ただ、検討いたしましてその整理最中に、この国会に入りましたものですから、事務は停頓しておるわけでございます。大体そういうふうな方向に進んでおるわけであります。
  235. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとこういうふうに了解して差支えないかどうかお伺いしたいと思いますが、地方の行政整理は機構の改革、或いは事務の整理といいますか、再配分といいますか、そういうことを決定した後に起つて來る問題である、こういうふうに了解して差支えありませんか。
  236. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 御説の通りであります。
  237. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではこの地方公務員の中にはいろいろの種類があるわけでありますが、この行政機構とは多少趣きを異にしておる小、中、高等学校の教職員があるわけであります。この小、中、高等学校の教職員の問題もこの行政整理の対象の問題として同じように扱われておるのか。或いは全然これは枠外のものとして考慮されておるのか。その点をお伺いして置きたいと思います。
  238. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。今度地方行政簡素化本部を作りましたゆえんは、先ほど申上げましたように、機構の改革、或いは事務の整理ということでございますが、又一面その動機となりましたことは、中央の財政もそうでございますが、地方の財政も大変御承知通り窮乏いたしておりますから、地方財政の窮乏を救うためにできるだけ節減をして行こう。こういうような動機も入つておりますので、すべての地方公務員にこれが行き渡るということに御承知置きを願つておきたいと思います。
  239. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、先ほど述べられた地方の行政整理の問題は、機構の改革、それから事務の合理化、こういうもののほかに、財源の捻出、こういう点があるのだ、こういうことになつて、教職員の場合はただ財源の捻出というもののみから考慮されているのだ、こういうふうに解釈していいわけですか。
  240. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 教職員に関しましては、大体においてそういう財政面の立場から起きている次第でございます。
  241. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、從來から一般に心配されておつたところでありますが、それは再軍備をするための費用を捻出しなければならない。そのための犠牲は教育に來るのだというようなことが一般に非常に心配され、言われておつたところであります。そうすると今度の地方公務員、特に教職員の行政整理というものは、そういうもののための犠牲になつているのだ、犠牲になるのだ、こういうことになると思うのですが、この点は如何でしようか。
  242. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方財政のほうは、教育のほうに縮減整理ができましても、それが財政的に再軍備のほうに行くという結論ちよつと出て來ないと、こう考えております。御承知通り、地方財政は皆様も先般御決議下さつたように、大変窮屈しておりまして、それを何とか建直して行かなければならぬ。建直す点におきましては、すべての公務員もやはり人件費の中から幾らかでも節約しなければからんと思いますから、これは公平にやるわけであります。
  243. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私から申上げるまでもなく、地方財政というものは独自の財源によつて、地方独自の財源によつてのみ運営されておらないということは事実なんです。一千億円以上に上る国庫の援助を受けてやつているわけなのです。いわゆる地方財政も国庫の財政的援助の上に、運営されているわけなのです。結局地方財政を縮減するということは、この平衡交付金との関係において考えられる私は問題だと思う。從つて地方財政が地方だけに独立したものでないということは明らかな問題であり、国庫財政と直接繋つている問題であると思いますので、私が先ほどそういう講和に伴ういろいろな財政的支出といつたほうがいいかも知れない。そういうもののためにやはり教育の面が犠牲になつているということは、私は否定し得ないことだと思う。併しこれは議論になりますからこの程度にとどめておきますが、併し教職員の行政整理に当つては、六三制を大体堅持して行くということであれば、機構の改革もないわけです。それから事務の整理といつても、大体一つの学校に一人くらいしか事務員がおらない或いは二人くらいしかおらない。そういうところで事務の合理化もない問題です。從つてこの教職員の問題については、教育の低下を來すようなことのないように私は十分な配慮がなければならないということを考えているわけですが、そういう点についてどういう心がまえを持つておられるか、お聞きしておきたいと思います。
  244. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。教職員の点について縷々お説は至極同感でございます。ただ問題といたしましては、この六三三制を廃するとか廃しないとか、そういうことはまだ先の問題でございます。併しこれは文部大臣の所管でございますから文部大臣意見に從うわけであります。ただそれが教職員に果して余剩があるかどうかということは十分研究しなければならぬことであります。それはまだ検討中でございます。只今それがどういうふうになつているかは、まだ言明できないわけです。
  245. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今の荒木君の質問に対する岡野国務相の答弁は極めて重大だと考える。その焦点は、地方公務員の整理を財政的立場からやるという、これは先ほどから天野文部大臣が言つてつた文化国家、平和国家という目標を飽くまで旗を下ろしてはならない我が国の基本国策から、ずいぶん私はずれていると思う。そこで私は国務大臣にはつきり伺いたい点は、果して現在の高等、中等、小学校において余剩があるかどうか検討されるということでございますが、その検討というのは、自治庁の手によつて検討されるのか。或いは文教の責任当局であるところの文部省の手を通じて検討されるのか。その点をはつきり伺いたい。
  246. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。無論主管省の意見をよく聞きまして、そうして地方行政簡素化本部でこれを検討するわけであります。
  247. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 岡野国務相が吉田内閣の国務大臣として国家財政を心配されるのは私はよくわかります。併しその反面において岡野国務大臣は現段階におけるところの我が国の高等学校、或いは中等学校、小学校の定員を……、かわいい子供に対する教育の実状がどういう実状になつているかを御存じになつているかどうか、その点を承わりたいと思います。ここで一言申上げておきたい点は、地方の公務員を整理すれば、国民に対するサービスは若干下りましようが、一日できる仕事が二日かかる、或いは三日でできるという程度にサービスが低下するだろうと思う。併しながら子供の教育というのは、一日ですむのが二日、三日ですむというのではなく、でき損うという観点に立つて検討されて頂きたい。これは要望でありますが、要望いたしておきますが、現在の実状というものをどの程度に把握されて、地方行政簡素化本部の責任者として仕事を進められているかという点を承わつておきたい。
  248. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。できる限りの簡素化をいたしたい。移も或る段階の知識は持つておりますし、無論この結論を出しますのには、なおあちらこちらでいろいろな意見を聞き、又実状を調査してやつて行きたい、こう存じます。無論神様でございませんから、十分なことはできませんが、しつかり努力しまして、実状のわかるようにいたしまして結論を出したいと思います。
  249. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじや文部大臣はしばしば今までこれ以上教員の整理をやつたら、教育はやれないということをあらゆる機会に表明されている。そうしますと、当然これは今のようなおつき合い、今度の国家公務員の場合は、おつき合いというような文部省側の意向が表明されて、止むを得ずやつたというのですけれども、そういうことは起らないのですか。これは文部省の意向を尊重して、そういう調査に基いてやる、こういうことを明言されたのでありますが、ところが文部大臣はしばしば私がさつき申しましたようにそういう意向を表明されている。だから今度の国家公務員の場合の教員の首切りについてはおつき合いだ、止むなく仕方がなかつたのだ、こういうことをしばしば言つているがこういうことが起らないのですね。そういう馬鹿げた事態は起らないのですね。
  250. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) それらのことはまだ検討中でございますから、只今結論は申上げかねます。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のに関連してお答え願いたい。
  252. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私はこう考えております。今国家の機関としまして、いろいろ公務員もおれば、それから事務もあるのです。これはもう一人といえども、一事務といえども、不必要なものはないはずなんです。これは皆さんおわかりだと思うのです。そこで不必要なものはないけれども、国力相応な行政をして行くのが、これは我我の責務だと思いまして、その国力に合してすべてのことを整理縮減して行きたいと存じております。
  253. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次の問題に移りますが、この地方公務員の給與ベースに関係した問題であります。この問題に関連して、政府と、それから地方の自治の責任者である知事と、それから地方財政委員会に見解相違を來しておる理由をこの際明らかにして頂きたい。と申しますのは、今日の予算委員会に、全国知事会議の書類が私どもの手許に参つております。その書類の中を見ますと、政府の言つておる、地方公務員が国家公務員より有利であるとする大蔵当局の調査は一方的なものであり、又事実を無視したものである、こういうふうに書いてある。これは明らかに政府の決定……決定といいますか、政府見解と、それから地方自治の給與の責任者でもある知事の見解と、全く異なるものがあるわけです。それから地方財政委員会においても、先般地方財政委員長は、政府の言つているような地方公務員が優位にあるということは認めがたいということを言つております。そこで私がお尋ねしたいのは、どういう理由でこの三者にかかる見解相違が來ておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  254. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは誠に残念なことでございますけれども、そういうふうに見解相違ができております。若しこれがどこに原因があるかということがわかれば実は一致するわけなんで、私も実はその点がどこに原因があるかわからないので困つておるのです。
  255. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの問題は、直接地方公務員の生活に関係のある問題として、等閑に附することのできない問題だと考えるのです。この三者において意見相違があるのにもかかわらず、政府調査のみによつて、今度のベースの切替えに当つては、地方公務員は或いは九百円しか上らない、或いは七百円しか上らないというような結果になれば、これは私は非常な混乱が起るのではないか。又政府としても、この問題については、その理由は明らかにした上で切下げるなら切下げるという処置をしなければならない性質の問題であると、かように考えるのですが、岡野国務大臣はどういうふうに考えておられるかお聞きしたいと思います。
  256. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 地方公務員の給與が高いのかどうなのか。まあいろいろ争いはございます。我々として地方のほうが国より高いからいかんというふうなことを申上げておるのではないのであります。この点は誤解のないようにして頂きたいのでありますが、地方の知事のかたから出ておる意見にいたしましても、高いとか、或いは高いのが当然であるとか、いろいろな意見がありまして、必ずしも意見が一致しておらないのであります。ただ地方公務員のその給與の実態につきまして調査したものは、実を言いますと今まで何もない。で今年の四月から六月までにかけまして、大蔵省におきまして実地に調査いたしまして、七十万人を調査いたしております。そのうち六万九千人ほどの者につきましては、カード別に、経験年数、学歴、男女別及び現在の職種をとつておるわけであります。この六万九千人の者につきましては、知事からアト・ランダムを出して頂いたものでありまして、決してその点について作為があつたとは私は考えておりません。それについて、個個のものにつきまして、例えて申しますれば、課長以上は全部、或いは係長は一課について三人以上、教員については百人以上という、そういうような一定の標準をつけまして、おのおのカードにつきまして調査いたしました結果は、国家公務員と同じように昇給昇格が行われたのであるとするならば、学校の先生については三百七十五円、一般の職員については四百六十二円高い、こういう結論が少くとも現在の調査では出たわけであります。地方財政委員会におきましては、この数字は一応大蔵省と一致いたしております。今回勧告を出されたものを見ましても、給與に関する関係におきましては問題はございません。ただ知事のほうからいろいろ意見の出ておることは承知いたしておりますが、その意見につきまして必ずしも一致しておらないと、こういうことを申上げたいと思います。
  257. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今の説明を聞いて、極めて奇怪に感ずるのです。第一に、地方財政委員会と意見が一致しておると、こういうことでありますが、地方財政委員会はそういうことは認めないということを言つておるわけです。私は速記録をここへ持つて來てもよいのですが、地方財政の野村委員長が文部委員会において答弁しておるわけなんです。それから、知事の中にいろいろの意見があるということでありますが、これは知事会議の決定として、知事の総意として我々の手許に送付されておるのです。「大蔵当局の調査については国家公務員のそれが」云云と書いて、「地方公務員の給與が極少抽出による実態給與であり甚だしく一方的なものである等により、右計数は根拠として甚だしく妥当性を欠き、府県側としては到底承認し難いのみならず、実情を無視し」云々と書いてある。こういうふうに知事会議の決定としてはつきり政府と異なる見解を出しておると思う。これについて岡野国務大臣も、見解相違を認めておると、こういうお話であつた從つて、給與等の生活に直接の関係のあるものについては、こういう見解相違のあるものを、更にその理由を明らかにして、そうしてその調査を完了してから、それを差引くなり、そういう措置をしなければならないのではないかと私は言つておるのであります。特に今の説明であると、別に差引けとかどうとか言つていないということでありまするが、財源措置としては、すでに差引いた財源措置がしてあるわけなんです。從つて、今度の給與の切替えに当つては、やはり財政的な拘束によつてそれだけ差引かなければならないような事実が起つて來るわけなんです。ところが、そこにおいて国家公務員よりもそれだけの数字のベースが高いという事実が現われなかつた場合、これは地方公務員にとつては私ども誠に忍びない結果が起るのではないかと、こういうふうに考えますので、なおこの問題については愼重な考慮を必要とするのではないかということを国務大臣に私はお伺いしたい。
  258. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 先ほど三者一致していないというお話でありましたが、実は私の聞きましたところによりますれば、今大蔵省主計局長の申します通り、あの数字は勿論拔検査であつてしつかりしたものでないということは、大蔵省も認めておるのでございますけれども、あの数字で一応は財政委員会事務当局とは一致したということを伺つておるのです。でございますから、まあその点におきましては、国家財政のほうから出しますところの平衡交付金の率は一応それで出しておこうと、こういうことでございます。でございますから、この点におきましては、自治庁もちよつと古うございまして、大蔵省と比較する期日のものがありませんものですから、今至急に自治庁においても全地方公共団体の公務員の給與を虱潰しに調べつつある次第でございます。併し、今回の補正予算におきましては、あの程度で一つつて頂きたいと、こう考えております。
  259. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあそういう問題をはらんでおるのでありまするが、それに関連をして十一月七日の閣議決定の問題でありますが、この閣議決定は財源措置としての問題を明らかにしたものか、或いは更にそれ以上に地方公務員の給與の切替えに当つて何らかの掣肘と申しますか、制約と申しますか、そういうものを加えたものであるか、どういうものであるか、この際伺つておきたい。
  260. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。国家公務員と地方公務員との給與はバランスをとる、こういうことはこれは教育公務員特例法でございましたが、その附則の二十五條か何かに、中央地方はやはり基準を成るべくバランスをとつてやるようにという規定もございますが、先般改正になりました地方公務員法におきましても、その地方の民間給與とか、又中央の国家公務員給與とかいうものとバランスをとつてやれ、こういうように書いてある次第でございます。政府といたしましては、財源措置をすると同時に、まあ余り中央の国家公務員と差の付かないような程度にやつて頂きたいということが、これが希望なんです。その希望を促した次第でございます。併しながら御承知通りに、地方は自治が確立しておりまして、中央政府が自治権に対して何ら干渉することはできませんから、ただ我々はこういう考えで中央の国家財政から出す資金は措置をした、そうしてその趣旨とするところは、中央と地方とが大体において法律の規定の下にバランスがとれたような給與体系になつて行くということを我々は期待しておる、こういう意味を通知したわけであります。
  261. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで閣議決定の内容である不均衡を調整するという問題でありますが、これと地方公務員法との関係をこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。地方公務員法第二十五條第三項であつたと思うのですが、地方公務員の給與を決定する場合には、一つには国家公務員との給與の関係もその一つ條件に挙げられておりまするが、そのほかに、その地方の他の民間団体の給與も考慮に入れるということがあります。いわゆる地方の特殊的な事情というものを考慮して、地方公務員の給與をきめる、こういうふうになつておりますが、この閣議決定は單に国家公務員との不均衡を調整するというもの一本だけで押しておるように思うのですが、これでは地方公務員法第二十五條第三項の精神と多少ズレがあるのではないかというふうに思うのですが、この点はどういうふうにお考えになつておるか。
  262. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。国家財政のほうから地方に対して補給しますところの財源措置としては、こういう次第でやつておるのであります。同時に只今おつしやつたように、地方公務員法の中では、その地方の民間の実情に合つたようにしてもいいということになつておりますが、そのことには触れておりません。ただ問題は国家公務員法並びに地方公務員法の一端の理由といたしまして、即ち中央、地方はバランスをとれ、こういう精神に合うように財源措置の問題のことだけで申しておるわけであります。
  263. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は先ほど申上げましたように、地方公務員の給與切替えに当つては、やはり十分な調査と正確な資料の整つておらない現在において、ただ大蔵省の調査だけによつて地方公務員を不利な立場に追い込まないように十分な配慮を希望いたしまして、私の質問を終ります。
  264. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつと関連して。
  265. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 簡單に願います。
  266. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡單にやります。岡野国務大臣に私は今後のこともありますので、重ねてお伺いいたしておきます。例えば市町村公務員は国家公務員より五百六十七円高いという数字、これは大蔵当局が出した数字ですが、これを岡野国務大臣は自信なくて、平衡交付金の算出の基礎にすることを、それを呑んだというのは、如何なる理由か、まさか岡野自治庁長官は実情を知つてつて、市町村の公務員の給與が平均して国家公務員より五百六十七円多いということは、決して私はそういうことは考えられないと思うのであります。それをあえて算出基礎として認め、而もこれを、この趣旨を下部に流したということは、地方団体を保護指導すべき地位におる岡野自治庁長官に対して、非常に遺憾に感ずるわけでありますが、大蔵当局のフアツシヨに圧倒されたのかどうか、はつきり御答弁願いたい。
  267. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 別に大蔵当局の威力に圧倒されたわけでもございませんが、大量観察とし、同時に先ほど申上げましたように、抽出検査でございますが、それよりほかによるべき数字がございません。そこでいろいろほかの方面からも調べて見まするというと、これはもう一万数百の地方公共団体でございますから、五百六十七円どころじやございません。うんと高い所もありますが、又うんと低い所もございます。併し平均したら何に頼るかと言えば、そういう数字に頼るほかありませんから、そういう数字を出したのであります。併し今後給與の改訂をしますときには、一万数百の各地方団体が自分の財政に合せ、いろいろの事情を勘案して、そうしてきめることになるはずでございます。併しこれが平衡交付金を支給するという立場から行きますと、やはりよりどころが、何でもよろしいから、ある数字によつて算出した大量観察の数字を平衡交付金に廻した、こういうわけでございます。
  268. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 内村君ちよつと御相談ですが、順序から言うと小酒井君が先になつてつたのですが、丁度小酒井君がいられなかつたので、便宜委員長で順序を崩しておつたのですが、幸い小酒井君が参られましたから、小酒井君に……。
  269. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は先ず運輸大臣に二、三御質問申上げたいと思います。今年十月十七日の国家地方警察本部の発表によりますと、ルース台風によるところの被害として、主なるものを述べて見たいと思いますが、死者が五百七十名、負傷者が二千五百六十一名、行方不明が三百七十七名、家屋の全壊をしたのが二万百六十八、半壊が四万六千という数字が出ております。又船舶の被害を申上げますと、沈沒をしておるのが千三百五十二、流失が三千六十二、破壊が五千十四、主なるものを申上げても、こうした莫大な損害を受けておるわけでありますが、運輸大臣の所管事項であるところの気象業務が、果して現在これらの災害を最低で防止し得るような対策ができ得るような実情にあるかどうかということを先ず最初にお伺いしたいと思います。
  270. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 気象対策についての全国的の現在のあり方についてのお尋ねであるように考えるのであります。気象通報の仕事は、今日の、或いは今後の日本の情勢におきましては、多々益々充実の必要があることを感じておるものであります。ただ單に天気予報のみにあらず、農と言わず、商と言わず、工と言わず、水産と言わず、あらゆる面にこの気象通報を活用して、あらかじめ天災を除き得るものだけは防除して行くというような形に行かなければならないものではなかろうかと考えるのであります。併しながらこれらの要請を十分に果すためには、なお将來において機械的にも或いは人間の技術的にも、特に人間の技術的に相当な充実を図つて行かなければならないと考えておるものであります。今日の段階におきましては、そういう方向に向つてだんだんよき技術者を入れて、徐々に新陳代謝を図つて行くなり、よき機械を入れて新陳代謝を図つて行くなり、そういうことをして行かなければならないと考えておりますが、まだそれらを充すだけの財政上のことで達し得ざるところがありまして、私自身としては今後大いにやりたいということで精々努めておるような次第であります。
  271. 小酒井義男

    小酒井義男君 充実を図つて行かなければならないというお心がまえはおありのようですが、実際に我々が見た場合に、気象業務というものが、これが一つの予算で、與えられた範囲内で実行されておるというような、学術的な一つの研究機関のようなふうの扱いを受けておるという印象を抜けることができないのが私は実情だと思う。今運輸大臣はおつしやつておりますが、併し昭和二十四年の整理の際に、千三百人という人員整理を行い、更に二十四カ所の観測所を廃止しておる。こういうことで実際廃止したままでおかれておつて、業務の支障を來たしておるようなことはないかどうか、この点についての御回答を願いたいと思います。
  272. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 只今も私がお尋ねなきにかかわらずお答えを申上げたように、気象施設の社会的、国家的重要性が進みつつあるのでありまして、必ずしも量でなく、質的に向上、充実をさせて行かなければならないということをむしろより多く私は痛感いたしておる次第であります。從いまして二十何カ所廃止したと言いましても、これを質の充実によつて又補える面もあろうかと考えるのであります。併しながら現在におきましては、それよりもお尋ねのごとく、或いは更に新たなる面に、新らしい施設を施さなければならない点もあろうかと考えておるような現状であります。
  273. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは今回のルース台風が我が国を襲つた際に、気象業務の上で、或いは警報を伝達する上において十分な任務が果せ得ておるというふうにお考えになつておりますかどうか。例えば、更に今度の定員法によつて二百七十名の整理をせられようとしておる。こういうような余力が気象業務の中にあるのかどうか、そういうことを一つお伺いします。
  274. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。このたびのルース台風の異常なる災害の場合において、気象施設がどういう働きをしたであろうか、遅滯なくその任務を果し得たであろうか、どうであろうかということは、私は運輸大臣としては最も憂慮し、且つこの点に心配をいたした次第であります。勿論予測し得ざる形における災害であります。殊に鹿児島県の古老の談によつても、二百数十年初めて会つたような風変りな、異常なる災害であつたということが報告されておるのであります。併し、然らば気象施設がどういうふうに活動したかということでありますが、私の手許に集つた報告を総合して見まするというと、日曜でありました関係でありますか、又曾つてなかつたような姿の災害の襲來であつた関係でありましたか、幾らかそれを予報をするのにたくさんの時間ではないのでありますけれども、如何に予報をすべきかということについて、地元の当局者が躊躇しつつ慎重な態度で通報をしたというようなために、手遅れなく、遅滯なく早く予報をしたということよりも、幾分遅れたのではなかつたかというような感じを、その報告によつて私は得ておるのであります。併しその遅れたといつても、何時間も遅れたというのではなくして、三十分か、五十分、もう少し早く知らせたらどうかというような程度ではなかつたろうかと考えておるのであります。更に又この災害の形が、雨と風とが共に來たというよりもむしろ風である、風が高潮に乘じて襲い來たつたというような異常な姿の災害襲來であつたというようなことで、いささか気象関係の職員も慌て気味の感があつたのではないかと思うのであります。併しその風は非常に早い風であり、その間に停電などの事故も起つて、通信機関も不十分であつたというような非常な困難な状態の下に、実は運輸大臣といたしましては、よくもそれだけの活動をし、報告をし、予報をした、こう考えておるような次第であります。一面において不十分であつたかという感じもあると同時に、異常な未だ曾つて経験せざりしような姿の災害に対して、而も停電等の故障による通信網を絶たれたというような形の下にあつては、気象関係者は最善を盡してやつたものだというふうに考えておる次第であります。
  275. 小酒井義男

    小酒井義男君 海上の定点観測業務の関係でありますが、戰前は南洋諸島或いは小笠原、南西諸島の各地に観測所があつたわけですが、それらの地域日本の領土でなくなつた、こういう関係になりますと、将來これらに代るべき観測の方法を何かお考えになつておりますかどうか。
  276. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。定点観測所につきましては、主として漁業、或いは海上におけるマツカーサー・ラインの地点に設けられておる観測でありますが、その詳細は気象台長が見えておりますから、お答えすることにいたします。
  277. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 定点観測についてお答えいたします。現在はX点と申す北太平洋と、E点と申す土佐沖と二点定点観測を行なつております。現在においては小笠原とか、或いはその他の、今まで外地として持つておりました観測所を失いましたし、又船舶も減少しておりますので、この定点観測というものが気象にとつて非常に重要なものになつておるのであります。で、私どもといたしましては、この定点観測は特に南方の、先ほど申しました土佐沖のE点が我が国にとつて最も重要なものと考えておりまして、今後もこれだけはどうしてもいたさねばならん。又西のほうの気象の材料が十分手に入りません関係もありまして、只今は行なつておりませんが、東支那海のほうにも是非とも持ちたいという希望を持つている次第であります。
  278. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、現在やられているような船舶によるところの観測は、條約発効後もやはり引続いて行なわれて行くべきものと解釈をしてよろしうございますか。
  279. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この定点観測はアメリカの指令において行なつているものでございまして、今後のことは私にはお答えできません。
  280. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 国務大臣お答えはありませんか。
  281. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 只今のお尋ねでありますが、気象台長のお答えもその通りでありますが、條約締結後も勿論現在の通りに継続したいという意思を持つております。
  282. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは気象台関係の最後ですが、国内におけるところの予報の伝達網というものは明確なものがもう確立されているのかどうか、完全なものができておらなければ、それらのものを強力に整備する必要をお考えになつておらないか。
  283. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 勿論それらの網は持つているのでありますが、今後もできるだけそれを整備することに努力することは当然であります。これらにつきましても気象台長よりお答えいたします。
  284. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 災害を防止軽減いたしますのに気象警報が一般によく周知徹底するということが非常に大切なことであるのにかかわりませず、從來この点に非常に困難な点が多かつたことは申上げるまでもないと思います。それに関して災害防除のための気象警報通報組織というものが本年の七月の閣議了解に基きましてこれを行なうようになつたのであります。私どもといたしましては非常に年來の希望がここに達せられた感がありますけれども、これが又一層強力に有効に活動されることを望んでいる次第であります。
  285. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは運輸、大蔵両大臣がおられますので、とにかく気象業務というのは單に学術的な研究じやない、国民生活と非常に大きな繋がりを持つているものですし、国富がいろいろな点で損害をする、それをあとから復旧するという問題も必要でありますが、それよりも私は以前に最低に防止するというために根本的な対策を立てるべきであると思います。そういう点で今後の予算にはそういつた点を十分考慮されるように希望意見を申上げまして次の問題に移りたいと思います。
  286. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して……。
  287. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 今の問題に関連してですか。
  288. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ええ。
  289. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 簡單に一つ
  290. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 運輸省はルースの災害については非常に愼重を期して時間的に通報が遅れたことと、異常であつたから災害が大きかつたと、こういうふうに説明されておりますが、事実はそうでなくて、時間的に遅れたことと、それから予報に誤りがあつたということが災害を大きくし、失わなくてもいい漁船とか漁具を喪失したというようになつておるのではありませんか。從つてそういう角度から原因を究明し、積極的な対策が講ぜらるべきではないかと思うのですが、そういう報告は現地から参つていないかどうか念のために伺つておきます。
  291. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 先ほど私がちよつと申し落しましたが、愼重な態度で現地の職員が警報したと申上げたのでありますが、あらかじめ特報を出したことは同じことであります。特報を発しておいて更に詳細な警報を発したという段階に進んでおりますから、何も愼重なる警報を発するまで何の処置もしなかつたのではないということを附加えて申上げておきます。更に又特に地方によつてはこの警報によつて町村やほかの活動が伴つて起るのであります。先刻も申上げたように、その当日は日曜であつたというような関係から町村内における伝達が遅れたというような惡い状況にあつたということを附加えてお答え申上げれば御了解頂けると考えます。
  292. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在の気象警報は水防法によつていろいろと規定せられておると考えるのでありますが、こういうふうな特別な法律ではなくて、気象の警報は気象法というような法律を作つて警報をやるのが各系統に対する伝達もよくはないかと、こう考えておるのでありますが、気象法というような法律を作られる考えがあるかどうかということが一つ、それから定点観測といたしましては、今気象台長の話によれば東支那海における定点観測が非常に重要であるというようなことであれば、政府は進んで東支那海の定点観測をやるべきであると思いますが、この点やるという確信があるかどうかお尋ねいたしたいと思うのであります。第三点といたしましては現在の気象台の者であつて米軍の使用の下にある者が何人おるか。又そういうふうな者の身分はどういうふうに保障されておるのであるか。講和條約発効後にはそれがどういうふうになつて來るのであるか。この三点についてお伺いいたしたいと思うのであります。
  293. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 気象法というようなものは今後十分調査研究をしまして、必要に応じて立案して御審議を願うことにいたしたいと考えます。  定点観測、殊に東支那海の状態は、今日非常に国際的に微妙な状態にあるのでありますので、必要であるにかかわらずその微妙な国際情勢の下に、殊に今日の占領統治下の日本においては自由にそこにおける施設をなし得ざる状況であるということを御了承願いたいと思います。  それから第三のお尋ねに対しましては、私現状を現在把握しておりませんから、気象台長よりお答えいたします。
  294. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 中央気象台から進駐軍の気象業務に対して要員を派遣いたしておるのは只今三十四名でございます。これは気象台の身分を持つておりまして、そうして気象台の給與を停止して、そうして定員外の取扱をしておる少し変則的のものでございまして、我々としましてはこれが正当化されることを熱望しておるのであります。
  295. 小酒井義男

    小酒井義男君 運輸大臣にお尋ねします。ガソリン、石油の統制撤廃に運輸大臣は賛成でございますか。
  296. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) ガソリン統制、撤廃に賛成であります。
  297. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは運輸省で御計画になつておりますところの需要量はたしか二百十五万キロリツトルだと私記憶しておりますが、安本のほうで輸入する計画は百五十万キロリツトル、こういうことになりますと、全部をそちらへ廻しても足りない。その中で運輸省へ廻る分は百三十八万キロリツトルだという数字を私は聞いておりますが、そうすると非常に不足をするままで統制の撤廃をやられることになると、私は陸運行政が非常に混乱するのではないか、例えばガソリンが金持の所に集つてしまつて、そうして貨物自動車や或いはバスのほうへ廻らなかつたり、又高い値段でそちらへ使われるということになると、更に貨物運賃や或いは旅客運賃の値上げというような問題が再発して來る。こういうことは運輸行政の上で非常に私は惡い結果になるということを心配するものですが、運輸大臣はそういう心配はないという御見通しで御賛成になつているのでございますか。
  298. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 統制には統制の弊害あり、又統制撤廃には撤廃後のよき点もあるのであります。いずれも完全無欠で欠点なしとは断言いたしかねるのでありますけれども、現状におきましてはむしろなし得るものなれば統制を撤廃いたしたほうが自由に流れていいのではないか、こういう考えから賛成をいたしておるものであります。更にその数字等につきましては事務当局より詳しく申上げることにいたします。
  299. 小酒井義男

    小酒井義男君 この数字が間違つておれば御訂正願えれば結構ですし、間違つておらなければそれで結構なんです。
  300. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 運輸省で有効需要として査定いたしましたものについては先ほどお話がありました、通りであります。併しこれはそれだけの数量が如何なるルートから入つて來ましてもかまわないのでございまして、いわゆる安本の言われる希望的数字というものは、いわゆる正式に配給に乘る数字でございまして、運輸省の立場といたしましては船なり自動車なりが動くために必要な数字でございまして、それが如何なるルートで入つて來ましても、大方それだけのものが充足されればよいと、こう考えておりますので、私のほうの数字はいろいろ議論があると思います。検討する余地があると思いますが、今一応の現在の段階ではそのような数字を考えております。
  301. 高良とみ

    高良とみ君 関連して。先ほどの気象の問題を……。
  302. 和田博雄

    委員長和田博雄君) できるだけ委員長も関連質問は許したいのでありますが、まだ相当質問者のかたもおられますし、関連の質問の範囲というものがなかなかむずかしいので、まあ今二人だけを一応許したわけでございます。大体その意味質問を進行さして頂きたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  303. 高良とみ

    高良とみ君 二、三分……。
  304. 和田博雄

    委員長和田博雄君) じや高良君。
  305. 高良とみ

    高良とみ君 これは先ほどのルース台風の警報のことでありますが、一つ肝腎なことが御報告にない。或いは大臣その他のかたが拔かしていらつしやるのじやないかと思う。  如何に気象のほうをよくなさいましても、小型船舶等におきましてはこれを受取る施設を持つていないぐらいどん底生活をしておるのであります。瀬戸内海においては殊にそういう状態でありますし、鹿児島地方においてもそういう報告をたくさん受ける。現地にいて数千の船舶が沈沒したのでありますが、そのくらい貧しい設備のないところにおきまして、先ほど東支那海の話もありましたが、大蔵大臣にお伺いしたいことは、片方では非常に二十億の多額を要するテレビジヨンの組織ができて、それは仄聞するところによりますると、あらゆる方面の強力な放送網ができることを期待しておられるのじやないかというふうに考える。そうするとそういうものが、片一方には受信機さえも持てないような貧しい漁夫があるのに、片一方には、マツカーサー元帥がしばしば繰返して、日本の経済状態においては未だテレビジヨンを普及するには経済的余裕がないと言われておりますにもかかわらず、片一方ではそういう会社が独占で以て許可されているところに、私どもとしては非常に理解に苦しむところがあるのであります。今後とも気象の通知が大事でありますと共に災害を防止するためにもう少し貧しいところに受信機等の施設をお拡めになる意思がないか、それを大蔵大臣から伺いたい。
  306. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) テレビジヨンの会社が二十億円でできたとはまだ聞いておりません。それから気象観測並びにその伝達法につきましてはお話のような点がありますので、漁船なんかにもラジオを置くような方向に進みたいと思いまするが、只今具体的の計画はございません。
  307. 小酒井義男

    小酒井義男君 ガソリン、石油がどういうふうなルートでも間に合いさえすればいいというようなふうに聞き取れるわけですが、あれですか、闇のものが相当国内に流れている、併しそれは政府は認めているのだというような印象を受けますが、そうじやないと思うのです。いそれについて一体どのくらい国内にそうしたものが闇で流れているか、大体御想像がつきましたら一つ聞かして頂きたい。
  308. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 申上げますが、私は如何なるルートでもよろしいと思うわけでございますが、統制が撤廃になりますと、闇のルートということがなくなるわけでございますから、統制撤廃後においては供給される数量は即ち違法な形において供給されるのではない、こういうことになるわけであります。現在において闇があるではないか、こういうことでございますが、遺憾ながら闇があるわけでございまして我々は勿論関係当局者もその闇をなくすることに努力をいたしているわけでございますが、遺憾ながら現実問題としては闇が相当にあるということは事実でございます。
  309. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと闇をなくするために努力するのでなしに、闇が防げんから統制を撤廃しよう、こういうような方針のように受取れますが、どうしても闇というものは取締りができんものですか。
  310. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) これは議論をいたしますとそういうはずはないはずでありますけれども、それにもかかわらず闇があるのが現実の実情であるのでありまして、どうかこの点は一つ常識的判断で、その範囲で言つて頂きたいと思うのであります。
  311. 小酒井義男

    小酒井義男君 石油の統制問題は一つ愼重にやつて頂きませんと、いろいろな面で国民が影響を受けるわけですから、その点一つお願いをしておきます。  次に運輸省として国鉄を一体今のような形で運営を続けて行く御方針であるかどうかということをお伺いしたい。つまり独立採算制というのが強化されて行くために、需要の多い所は非常に発展をしますが、そうでない山間僻地が非常にといいますか、不利益な扱いといいますか、非常に困難な状態のままで放任されるという傾向になつていると思うのです。海陸の併用でき得るような地域がやはり貨物も旅客の動きも多いわけですが、そういう所はどんどんと改善をされて行きますが、そうでない僻地が今のままですと経済的にも非常に困難な状態になりつつある。こういう一つの例を申上げますと、山陰地方に行きますと貨車廻りが惡い、貨車廻りが惡いために林産物などは駅頭に溜つてしまつて、あとでできた品物が山元へ積まれてしまつて駅に輸送することもできない。そうしますと製品が市場に流れませんから金が廻つて行かんわけです。これを金に換えることができない、從つて次の生産がやりたくても次の生産ができない。そのためにその地方の小運搬にしても或いは山で働く人たちの仕事もできないというような、いろんな惡い條件が重なつてつて、それらの地方の経済が非常に困難なままで放置されておるというのが現状であろうと思います。こういう国鉄がこれが営利の会社であれば別でありますが、国の輸送機関ということになれば、やはり国民全体の利益のために私は運営せられなければ国鉄としての意義がなくなると思う。こういう地域に対する対策を何かお考えになつておるかどうか、一つお聞かせ願いたい。
  312. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。今日の国有鉄道というものが独立採算制で公共企業体で行く、こういう形でありますが、私も実は質問者と同じようにこういう形の鉄道が、日本の現状にぴつたり当はまつておるかどうかということについては疑いなきを得ないのであります。もう少しぴつたり国情に合つた国の交通機関であつて欲しいという考えを持つのは御同感なのであります。独立採算制を強化いたして参りますれば、どうしても今お尋ねのような結果に陷つて参るのであります。併し国の交通機関として国民の期待するところは自分たちの鉄道であるので、万遍なく国中に行き亘つたところの鉄道であつて欲しい、この考えるのが国民の考え方としては極めて当然であると私も考えるのでありますが、併し今日の国有鉄道法で参ります場合においては、どこまでも独立採算制を推し進めて行かなければ成り立たないのでありますから、今日の国有鉄道法である限り止むを得ないと私どもはかように考えるのであります。一方国民から申せば、自分たちの鉄道である、国有鉄道であるという考えから行けば、只今お尋ねのように山間僻地、辺陬の地区までも行き亘るようにして行かなければ、文化の交流もできなければ、経済、産業の面の円満なる発達もできないということに参るように考えておるのであります。更に又現状を発展して参れば新しい線をどうしてかけて行くか、山間僻地を開拓して行かなければ人口の適当な按配もできないのにそれでもきない。天然資源の開発もできないというような異なつたる希望、要求もあるわけであります。でありますから若しそれらの国民的な希望を満たそうとすれば、独立採算制で辛うじて赤字、黒字の間をさ迷つておる現状においては、それらの新たなる御希望に応えることができないのであります。これに対しては何らか別の資金を造成する措置を講じなければなるまいかと考えるのであります。それには或いは国費を以てこれに充てるという途もあるかも知れません。或いは又公債等によつて資金を集めて行くという途もあろうと考えるのであります。そのいずれにしても日本国有鉄道は、これを実施以來二年余りに相成つて二年間ばかりの経験を経たのであります。そこで私どもとしてはこの根本的の問題について研究をして然るべき時期に到達しつつあるのではないかと、こういうふうに考えるのであります。私も質問者と同じようにこの点について不満と疑いとを持ちつつ、如何なる途によるべきかということを考えておる最中であります。
  313. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に大蔵大臣にも一つ関連をして御回答願いたいと思うのですが、二十七年度の財政規模をこの頃中御説明によると大体八千億台で押えて行く、そうして増税はやらない、こういう御方針のようです。そうしますと、その予算の中で新しい講和後の情勢に対応する予算に相当支出を行うことになりますと、いろいろな面で從來と同様の事業を行なつて行くことがなかなかむずかしい條件ができて來るのではないかと思うのです。今後それに対するどういうような構想で大臣は來年度の予算をお立てになるか、構想で結構ですからお聞かせ願いたい。
  314. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今まで申上げております通りに八千億円台に切り詰めたいと考えております。平和関係で特別に要るのもありまするが、又節約し得る点もないことはないのであります。予算委員会等へ出てみますと如何にも経費をたくさん要求なさるようなことばかりでありまするが、実際財政当局といたしましてはできるだけ切り詰めて国民の負担を少くする。これが私の第一の方針でございますので、お話通り減税を続けて行く。而して金の使いかたをできるだけ効果的にする。こういう考で進んで行きたいと思います。
  315. 小酒井義男

    小酒井義男君 国鉄の東海道線の電化計画は、從來の方針通り來年度も計画通りに実施されて行く御方針でありますか。
  316. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 国鉄当局といたしましては從來の計画の線に沿うて、予算の許す範囲において進行させるつもりでおります。
  317. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵省のほうもやはりその方針でございますか。
  318. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国鉄電化は必要なことでございますので、独立採算制が維持できればやつて行きたいと考えております。
  319. 小酒井義男

    小酒井義男君 いや独立採算制でやればということは、それでは政府の資金の支出ということは、大蔵大臣としてはお考えになつておらんわけですか。
  320. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今年もそういうふうに一般会計からの支出は考えていない、電化のために。來年度におきましてもこの方針は続けて行く考えであります。
  321. 小酒井義男

    小酒井義男君 大蔵大臣にもう一点お尋ねしますが、大臣日本の経済の再建のために資本蓄積ということを非常に力をお入れになつておるようですが、この方針はやはり二十七年度も從來の方針を堅持される心組みでありますか。
  322. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 從來の方針よりももつと強くやつて行きたいと思うのであります。
  323. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ず資本の蓄積が国のために必要でありましようが、併しそのために一般勤労者の生活が犠牲にせられるような蓄積であつては、我々は好ましい方法じやないと考えておるのです。こういう方針を更に強行して行こうという大蔵大臣考え方に私は賛意を表するわけには行きませんが、併し一つの問題として今度所得税の軽減を少し基礎控除を引上げることによつてなされておりますが、所得税の問題で当面是正しなければならないような点があるのではないかと思うのですが、大蔵大臣としてはそうした点について何かお考えになつておることがありますか。
  324. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のように來年度は相当経費がかかるのでありますから、今御審議願つておる減税の措置を続けて行くのが精一ぱいでございます。ただ勤労所得と一時所得については或る程度の減税措置をやつて行きたいというので研究をいたしております。お話通り資本の蓄積が必要であり、勤労者のほうのことも考えなければならないのでいろいろな話がありますけれども、国の歳出をそう殖やすわけには行かない、こう考えておるのでございます。
  325. 小酒井義男

    小酒井義男君 税の問題で非常に制度としては公平な制度が作られても実質的には非常に不均衡なものがあると思うのであります。そういうことをやはり大蔵省として是正をされる必要があると思うんですが、つまり源泉徴収を受けておる者が非常に税負担の面で納得の行かん点がたくさんあるわけであります。その点についても地方へ行きますと、この根本的な基礎控除のつまり源泉徴収の問題はそれほど身近じやない、つまり給料から差引かれてしまうので、それが果して不均衡なものを受入れておるということを感じないわけですが、住民税で行くと特にそれが露骨になつて行く。軒を並べて、勤労所得者以外の者の生活実態と勤労者の生活実態とを比較をしてみると非常に勤労者が重い税を取られておるというのが実情です。これは今度の税制がああいう形に変りましても、前年度の所得の何パーセントということで住民税が取られて行けばいいわけですが、そうでなしに所得税によつて住民税がかけられて行くという形になるとあれでは是正されることにはならんと思う。こういう点でもう少し税の実質的な均衡を図る措置が、私は講じられて然るべきだと思うわけですが、大臣はこういう点についてもこれで妥当なものだというふうにお考えになつておるかどうか。
  326. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは国税だけの問題と国税と地方税を通じての問題があるわけであります。国税だけの問題については源泉徴収のものは所得が全部把握できるが、申告納税のほうは把握がしにくいから困難だから不権衡だという増え方が多いのであります。そこで我々といたしましては申告納税の所得につきましても十分把握して行きたい、こういう意味でやつておるのであります。少し十分把握しますと苛斂誅求だということを二、三年前から非常に聞いておるのでありまするが、我々はできるだけ実額調査をして把握して行きたい、把握を完全にしたいというので努力を続けております。  それから国税と地方税を通じての問題はやはり税制の関係で今言つたように把握が少いという点が又影響いたしまして、地方の住民税では負担がまちまちになり、これが所得税の何割で行く所と所得額の何割で行く所とによつてかなり不権衡か点が現われて來ておるのじやないか、而もこれが前年度のあれによるというので実際に不権衡な点があるやに聞いております。この点につきましては目下どういう原因で來ておるかというのを調査いたしておる次第であります。
  327. 小酒井義男

    小酒井義男君 それは調査をおやりになるまでもなく、もう具体的にそうした形になつて現われて來ておるのです。どこの地方に行つても住民税の優位な位置にあるのはこれは勤労給與所得者が相当なところまでこれで占めておるというのが実情なのですから、これは地方税の住民税の税法を一つ変更して頂く以外に、現在の地方では是正のできない問題であるので、私はこの点を十分大蔵省のほうとしても考慮をして是正に努力をして頂きたいことをお願いしまして質問を終ります。
  328. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣と運輸大臣ちよつとお尋ねしたいのですが、先ほど小酒井委員からも実は国有鉄道の経理の問題につきましても質問がありましたし、大蔵大臣のお考えと又運輸大臣のお考え方は少し違つておるような私たちは感じがいたす。それは運輸大臣のほうは現在の公共企業体の経理状態が独立採算制のみによつて強行するということはもう一つ考え方も変えなくてはならんじやないかというような言葉が含まれておりますが、大蔵大臣はどこまでも独立採算制で行く、電化の問題も來年度もその方針で行くというような考え方で、今回の補正予算で約四百億ばかりの補正がなされたわけです。国有鉄道のほうでは白書を発表して、運輸收入においてはこれは損益勘定で約五百億ぐらいの赤字が出るんだと、又この工事勘定のほうを含めて見ると約三百億ばかりの赤字が出て行くからして合計八百億ぐらいの赤字が出るであろう。その主たる原因というものは、これは皆朝鮮動乱以後の物価騰貴から來た物件費の値上り、こういう点が主たるこの赤字の原因であつたわけでありまするが、そうして今回四百億の補正をなされて、その物件費の赤字或いは給與の、これは全く不満足ながらの給與の財源と、こういうものを直接埋めるために運賃値上げと、こういう形になつて來たわけです。これは大蔵大臣のお考えからすれば、すべて経営の赤字というものは運賃値上げによつてそうして解決して行かなくてはならない、こういう原則が打立てらるるわけですが、その負担というものは、これは利用者負担である。これは何も利用者が負担するのが当然じやないか、こういう一点に帰着いたしますると、すべて今後はやはり運賃値上げを以て独立採算というものがなされて行くという一貫した形態というものが打立てられるのであつて、これはやはり国民全体の気持からいたしましても、そうたびたび運賃値上げが続行しては、これはもう国民生活上やり切れない。こういうこともこれは大きに大蔵大臣一つ考えて頂かなくてはならないわけであります。ただ問題は、この独立採算制を強行するために資本形態においての行き詰りがやはりなされて來る。線路の補修も十分でない、或いは又先ほど言われた電化のほうにも費用の廻し方もできない、或いは新線の建設もできない、こういうようなことになつて來まして、結局それが從事員の給與の問題にも響いて來る。職場の環境の問題も響いて來る。こういうことで私は国有鉄道とは名ばかりであつて、国有鉄道の今後の発展性というものが非常に制約されて來ておりはしないか。特に又終戰後のまだうんと負担をした線路におきましても、建家にいたしましても、或いは又給與の面におきましても、いろいろな面において負担を継続しておるところの鉄道自体の発展というものが、大蔵大臣の堅い決意の方針では制約されて來やせんかと思うのですが、この点に対しまして大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  329. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 三年前でございましたか、鉄道は三百億余りの赤字で、そうしてその赤字を補填するという意味ではございませんが、取引高税を設けましてやつてつたのであります。私はその当時取引高税という税の制度は、それは考えようによつて一つの制度だけれども、国鉄の赤字を埋めるための取引高税には反対して來たのであります。で、今お話のような点から申しますると、鉄道の運賃が、独立採算制のために、上らないから、少いから税金を取つて埋めろ、こういう考え方には私は賛成できません。やはり原則は独立採算制で行くべきだ、そこで新線の建設とか或いはレールの補修とか、或いは貨車、機関車の増強等はやはり今回の補正予算で御審議願つておりますような方法で行くのが原則だと私は思つております。私はこう言いながらも本年度の補正予算で二十億入れたということは、或る程度独立採算制を堅持しながら一般会計のほうで余裕ができればこれは国鉄とか或いは電気通信等においてやることも考えないことはございませんけれども、原則として新線の建設とか補修を増税によつてやるというふうな考え方は私は持つておりません。
  330. 内村清次

    ○内村清次君 いや、これは大蔵大臣の議論はちよつと飛躍しておるようで、私はすべてを国民の税金で、そうして運賃は値上げしてはならないということを私は言つておるのじやないのです。やはりこれは一応の公共企業体である以上は独立採算制ということは、これは考えなくちやいかんだろうが、併しながらそれをあなたのように強行されて、その制約というものは今いつたこの資本形態のほうに、国鉄の資本形態のほうでこのカバーができないために、現在の経営状態においてはそういう面に窮屈になつて來て、電化の問題も新線建設の問題も、それから又明るい職場建設の問題についても、それが非常に制約されるのだ、こういうことを私は言つておるのでありまして、ただ先ほど大蔵大臣がおつしやいました、この国民の税金を以てやつて行くということはできない、これは勿論その通りですが、私はその税金というものも、例えば運賃コストを、これは税金で全部カバーしてしまえというようなことの極端な議論もやつておらないわけです。ただ公共企業体であるならば一般会計から繰入れることもこれは一つの方策でありましよう。これは併しこの額においては又検討の余地がありますが、併し鉄道公債あたりを発行して、そうしてその発行したところの公債関係に対する責任は公社自体が持つのでありますからして、この発行の限度だけはやはり大幅に大蔵大臣としてお認めになつて然るべきではなかろうか。こういうようなことを現在の国鉄が望んでおりますること自体をやつて頂かなくては、新線建設もやつて行かれない。そこであなたのほうの所属しておられるところの自由党のほうでは、これはまあ国民公約に対して政策の面から新線建設も來年度は三百億ばかりを出して、そうしてその新線を建設するというようなことがこの間の政策にも出ておりますが、あなたのお考えからいたしますると、独立採算制からやつて行く。こうなつて來ると、一体公約はどうなつて参るのでありましようか。国民は、その間において、非常に地方的にも今百何線ですか、戰前の建設の未完成線というものが今本当に待望して待つておるのです。こういうようなことが国民の公約とあなたのお考えとずれて來まして、結局公約の履行ができないということは、自由党が天下の即ち物笑いになつて來るというようなことも自然起きて來はしないかと思うのですが、鉄道公債の発行の問題、それから又一般会計からの繰入の今後の御方針の問題、こういう点につきまして御所見を承わりたい。
  331. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 独立採算制を堅持しながら、これは借入金の問題は別でございます。これは、御承知通りに、昨年度におきましても見返資金から相当入れております。本年度におきましても、百億ばかり資金運用部から出ております。こういうことは私は今までもやつておる。これは独立採算制の問題ではない。金繰りの問題であります。そこで、お話のように、鉄道公債とか、或いは電気通信公債とかというふうな議論がありますが、さあ、それは鉄道公債を出したときに、日銀の引受けでなしに埋めて行けるかどうかという問題なんです。鉄道公債も出して、民間の資金を集めるとか、或いは市中銀行に持たす、或いは電気通信公債を出して持たすということもそれは考え得られましようが、そういうふうに、各特別会計が思い思いにやつて効果が挙がるかどうかということは、今これはなかなか実は問題だと思う。そこで、私といたしましては、銀行のほうの普通預金の増加を図ると同時に、預金部資金もできるだけ集めまして、これを鉄道なり、電気通信なり、或いは各必要部門に出して行こう、こう考えておるのでありまして、まあ鉄道公債の問題、独立採算制の問題は私は違えて考えております。預金部から借りるか、或いは一般の市中から、日本銀行以外の市中から持つて來るか、こういう問題につきましては、私は今各特別会計が思い思いに公債を発行して行くことはよくないと考えておるのであります。ただ、自分は今計画いたしておりますのは、電力の問題でございまするが、何と申しましても、資源開発の意味から水力のほうは必要だから、できれば特別の資金吸收の方法を考えよう、こう思つておるのであります。鉄道電化の問題でも、問題はすぐ來るのは電力の問題です。だから電力を早く起すことが鉄道電化を達成するゆえんだと、こう考えております。
  332. 内村清次

    ○内村清次君 少し軟かくなつて來たようでありますが、大蔵大臣、今回の国鉄の、これはまあ工事勘定のほうに五十億の資金運用部資金の貸付をなされておりますね。ところがこれは主たる原因というものは、何としましても、今の輸送要請、特に又貨物の滯貨、こういう問題に対応するために貨車を一つ新造しようじやないか、これは十万両の貨車の中で、年々もうすでに使い古してしまつて危険な程度になつておるのが二千両ぐらいはどうしても更新しなければならない、それに現在の輸送要請の二百万トン、これをカバーする、満たして行く、それから又これは全般的に一億五千万トンの輸送に対応して行くという貨車の態勢を整えるならば、やはり九千両ぐらいの貨車は必要だろうというのがこれは運輸省を通じ国有鉄道のこれは切なる希望であるし、而もこれは本院におきましてもやはり決議をいたしまして、そうして輸送混乱を是正しようというのが根本の要旨であつたわけですが、今回五十億の資金運用部資金の貸付があつたわけです。これがやはり或いは新線のほうに、ちよつと流れて行つたり、或いは又高崎線電化のほうにちよつと流れて行つたりして、実際に貨車新造に当るのは三十九億ぐらいではなかろうか。そうしますと六千両乃至九千両というような貨車が物価の高騰によつて一車の建造費も高くなつている今日においては、それだけの要請はもう微々たるものであつて、話に聞くと約七百両くらいの建設しかできないというような話ではこれは一体どうなつて行くかと考えておるのでありまするが、この点は大蔵大臣には切なるこれは希望として大臣も耳の痛かつたように要請が來たと思うのですが、こういうようなふうで、折角借されました運用部資金というものは非常に微々たるものである。こういうことでは私は結局今言つた国鉄の基本的な充実というものがなされて行かない。それよりも以上に荒廃して行くところの面というものが、これが多くなつて來て、これでは国民サービスというものが公社自体の考え方ではできない。だからしてやはり政府のほうで何一つ国民に対するところのサービスはおやりになつておらないという、政府として……公社は安い給料で職員を使つて幾らか明るいサービスの面も出て來たことは私たちも認めるのですが、政策的にあなたがたの御方針では国民に対するサービスというものは本当になされておらないのじやないか、こう考えるのでございますが、この点につきましてはどうお考えでございますか。
  333. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資金運用部資金の運用についての御意見でございまするが、御覧に入れておりますように国鉄にも出しますし、又電気通信のほうにも出しておるのであります。私は今の電化の事情から申しましてこれにはもつと出したいと思うのでありまするが、出しますところはやはり国民金融公庫とか、或いは住宅公庫、こういうところに金が集まつた分は全部使うようにいたしておるのであります。お話の点でございますが、貨車にいたしましても五千七百両を計画いたしておるのであります。これは一度に殖やせればそれに越したことはございませんが、政府のほうで、これだけ要するのだと言つても、十分にやつて行きますと他の物価にも影響を及ぼしますから、ほどほどにしなければいかんと思います。從いまして今回の運賃値上げによりまして船賃との権衡もとれるようになりますし、又片一方では貨車も増強いたしますので、よほど運送事情もよくなると私は考えております。
  334. 内村清次

    ○内村清次君 これは運輸大臣にお尋ね申上げますが、先ほどの新線建設の問題ですが、これは一応現在運輸大臣の諮問機関といたしまして新線建設審議会があつて、これが答申を得て、そうしてその答申の結果によつて運輸大臣が御判定になるということになるでありましようが、これは現在の国鉄の予算面におきましても、未完成線路の補修、例えば補修というと語弊があるが、隧道が掘り放しになつておる、こういうようなものを維持して行かなければならん。こういうような費用も決して少くないと思います。やはり早くこの線路を通して運用して行つたほうが、これは国民に対して当然すべきことでありますが、こういうような御計画につきまして実は具体的には時間の関係もありましようが、どれくらいの規模の新線を御計画になされておるか、或いは又電化にいたしましても東海道線電化というものは皮切りだけをしまして、一体どれくらいの延びの、区間の電化を御構想になつておるか、この点につきまして一つ伺いたい。
  335. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 第一の新線の点でありますが、今御指摘通りに運輸大臣の諮問機関として新線建設審議会があるのであります。この議を経て答申があつて始めて決定するわけであります。併しながら運輸新線建設の審議会におきましても、新線とは申しますけれども、同時に又鉄道敷設法はまだ生きておるのでありまして、その別表に掲げられたる線も相当にあるのであります。併しながら戰争前の敷設法に挙げられた別表の線が、戰後の社会情勢、経済情勢、国情に照らして果してそれが急を要するや否や、必要ありや否やということは、今日の日本においては再検討を必要とする段階にありまするので、新線建設審議会においてはそれらをも併せ考えて、必要と認める分を審議答申されることと考えておるのであります。私どもは申すまでもなく、狹い国に多く人間が入つておるのでありますから、人口の疎開、天然資源の開発というようなことから考えれば、開拓的の意味における鉄道を許す限り長く、多く建設したいということは申すまでもないのであります。併しこれ又貸金面の調達如何によつて決定せられるのであります。今のところは建設審議会から答申がありませんので、どの程度までをとるべきかという具体的の予定は持たないのであります。更に又仮にできるだけ多くの線を新設したいと思いましても、これは調査、測量或いは技術的、機械的の設備もしなければ、金があつただけではできないのでありますから、これらはやはり系統立つた計画を立てて、そうして年次を逐うて建設を進めるということでなければならないはずでございます。これは資金、線の必要、それらの準備等と相待つて新線の建設を進める考えでございます。大体こういうふうにして行こうと考えておるのであります。  更に又電化の点は、先ほど大蔵大臣も言及せられたごとく、資金と同時に、電力源の供給力を持たなければ、これ又できないわけでありますから、電源開発と、相待つて行くのでありますが、これ又資金の許す範囲で最大限にしてできるだけ早く電化を促進したいと考えるのであります。電化はひとり東海道ばかりではありません。電気機関車の強力を利用して傾斜の急なる所、トンネルの多いというような所は、必ずしも東海道線のような大通りばかりでなしに、山間僻地に向つて大いに電化を促進しなければならないのであります。例えば京都から入る山陰線の貨車のごとき、短かい距離の間に百カ所以上もトンネルがあるような所はどうしても辺鄙な所ではありますけれども、電化に最も適切な場所でなければならないと考えておるようなわけでありまして、日本もそういう面から非常に全面的に多くの場所から促進の希望を受けておるのであります。実は電化の点については、新線建設審議会の仕事のほかになつておるのでありますから、審議会の審議は、現状においては経ないで選定をすることに相成るわけであります。大体そういう方向に向つて新線の建設並びに電化の促進をしたいと考えております。
  336. 内村清次

    ○内村清次君 運輸大臣には、最後にこの一点で質問を打切りたいと思いますが、それは今回の国鉄職員に対しまする給與の問題につきまして、これは当局及び組合との非常な努力によりまして、昨日の午前の十一時ですか、一応の妥結を見たわけであります。この間にありまして、これは政府におきましても特に又責任の運輸大臣におきましても、御努力頂きましたことはよく私ども存じておるのであります。問題は調停が済みましてから今日まで八カ月になる、八カ月の間この調停案の実施というものがなされておらなかつたということで、而も又今回の政府が組んでおります国鉄の給與額の引上げにおきましても調停案とは非常に違つた、又非常に低いところの予算が組んである。こういうようなことは私はもうたびたびの国鉄の問題のみならず人事院の問題、或いは又地方公務員のかたがたの給與の問題、こういうものと関連いたしまして、国鉄自体におきましては過去二回の裁定というものの取扱方につきましても、これはただ大蔵大臣がおつしやるように、財源だけというようなことの問題ではなかろうと思うのです。そこにはやはりこういう生産面に携わつておられるところの労働者の賃金問題に対するところのこれは一貫した政府の御方針の下にこういう長い間の解決がなされないという事態ではなかろうかと考えるのでありますが、ただ問題は、一方大きな事態にならずして、とにかく努力によつて解決した問題ですが、これはまだ細目の妥結ということは今後、特に直後にこれはなされるわけでありますが、而も今回の国鉄労組が要求いたしました線というものは、他に比べて非常に低い線であります。この妥結が最終的に有効に、円満に解決をするように私たちは希望して止まないのでありますが、運輸大臣におきましてはどういうお考えがあるか。又大蔵大臣のその点につきましてのお考えを述べて頂きたいと思います。
  337. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 国鉄労使の間の団体交渉が相当激しい対立であるかのごとく予想され、憂慮されておつたにもかかわらず、互助妥協、昨日の午前十一時に一応妥協成立をしたということは、これは全く内村君と共に御同慶に堪えない次第であります。こういう処理がどこまでも経済的立脚点に立つて進んだということは、重ね重ね喜ばしい傾向であると私は考えるのであります。私としましては昨日午後、前日來徹夜でこのことに携わつて來た国鉄総裁長崎君から一応の口頭による報告説明を聴取した次第なのであります。長崎君も連日の徹夜でありましたから、昨日は休んだことでありましよう。祭日のことでもあります。いずれ追つて書面を以て報告に接することと考えるのでありますが、まだ国鉄のほうがその段階に進んでおりませんのでありましよう……私のところでは、その報告により、国鉄の解決の経過は仔細に明瞭になることと考えます。できるだけ労使双方のために最もよき、最善はできないまでも最も最善に近い具体的実行面に到達するように運輸大臣といたしましては今後も引続き監督をし、協力をして、指導をしたい、こう考えておる次第であります。
  338. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣どうですか。
  339. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は今朝新聞ちよつと見ただけで何にも存じません。いずれ運輸大臣或いは国鉄総裁から報告があると思いまするが、新聞の見出しで見ただけでございます。答弁する何も持つておりません。
  340. 内村清次

    ○内村清次君 善処を一つして頂きたいということを私は希望しておるわけですが……。
  341. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 内容を存じませんが、聞いてからいずれ善処いたしたいと思います。
  342. 内村清次

    ○内村清次君 以上を以ちまして運輸大臣に対する質問は終りますが、一、二点大蔵大臣に御質問申上げたいと思いますが、これはまあ同僚議員のかたがたから財政及び金融の問題につきましては根本的な、或いは又具体的な問題について質疑が交されておりまするからして、私はこの際当面の、特に又年末の金融の問題、年末をどうやつて乘り切るかというような問題につきまして大蔵大臣の御政策について伺いたいのであります。その前に先ほどこれは緑風会の藤野委員からお尋ねになりましたこの補助金の流用ですね。これはまあ大蔵大臣は九月二十八日の閣議で各省の政府補助金の流用というものが非常にこれは又、而も内容的には紊乱をした、或いは又は会計法にも欠陷のある、こういうような事件というものが相当多くなつて來た。而し又二十四年には千八百件にも上つて來たというような一応の報告をして各省大臣に対する警告を発しておられるようでありますが、これは警告の出しつぱなしではいかない。この内容は、相当報告書の内容を検討いたしましてもこれは直ちに国民に対する政府の綱紀粛正の面からしましても相当深酷な問題もある。私はこれを一々大蔵大臣にその事例を示して、又その反響を示しつつ、或いは又刑事内容になつております事態を示して今日質疑をしようとは考えておりません。併しただこの警告の出しつぱなしはいかんが、これをけじめをどうつけようとしておられるか、その点について大蔵大臣から確固たる御信念を伺つておきたいと思います。
  343. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 各事案ごとにけじめをつけるように指示しております。これは公共事業費の使用の問題とそれ以外の省内における事務費の流用、二通りございまして、私は今後両面につきまして一つ強力な監察制度と申しますか、監督制度を設けなければいかんというので、そういう制度も今検討いたしております。
  344. 内村清次

    ○内村清次君 まあ、次にこの補正の項目の中に、中小企業に対する金融関係といたしましては中小企業の信用保險と、それから又国民金融公庫の二十億と、こういうようなものがただ唯一の小中企業に対する問題のようでありまして、とにかくこの年の瀬が迫るにつれまして、御承知のごとく不渡手形の件数というものはうなぎ上りに上るばかりであるというような事態が発生をいたしておりますし、特に又市中銀行のほうはオーバー・ローンのためになかなか融資もしてくれない。こういうところで結局詰つているのは中小企業一般商店のかたがた、こういうかたがたにおいては相当金融の問題で今困つておるようでありまするが、只今中小企業等の信用協同組合法によりまして、信用関係から発しまする金融機関でありまする信用協同組合、こういう問題が今各地において発生しておるようでありますが、併しこれもまだ法律が出ましてから間もないことであるし、自主的な組合の結成あたりもこれは地方的におきましては非常にまばらである。ただ魅力を持つておるというだけであるが、これだけではこの金融の問題を解決するとは考えられない。そこでこの中小企業の金融に対しまして、大蔵大臣はどういう、当面の一番よい案を以て臨んでおられるか、この御方針を承わりたい。
  345. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 年末にかけまして、金詰りの声を聞くのは例年でございます。ただ今年は相当いわゆるオーバー・ロンのあれも殖えておりますし、それから輸入の関係でかなりストツクを持ち過ぎているところもありますし、又貿易商社で或る程度思惑をしたのもおられますし、大企業並びに中小企業でかなり例年に増して苦しい場面もあるやに聞き及んでおります。併しこれは我々としてできるだけ支障が少くて、楽とは申しませんが、とにかく越年しなければならんのでございます。あらゆる方策をその場その場でとるようにいたしております。御質問中小企業の問題でございますが、国民金融公庫とか、或いは中小企業の専門店とか、或いは信用保險制度の拡充とか、或いは又各都市でやつております信用協会との結び付きの問題、或いは又商工中金の拡充の問題、こういういろいろな点について個々に気を配つておるのであります。補正予算が通りましたら、認められました金は何も国民金融公庫のみならず、農林漁業のほうにつきましても金の潤うようになります。全般的に潤おわして行かなければなりません。又年末資金需要に対しましては例年もこれに対処いたしておるのであります。今年も大体私は五百億円を超える通貨発行高になるのではないか、こう考えておるわけでありますが、特に問題になつているのは中小企業ということよりも或る貿易商社の問題、貿易商社で非常に困つておるところがありますので、これが他に惡影響を及ぼさないように具体的な措置を講じつつあるのであります。
  346. 内村清次

    ○内村清次君 今漸く信用保証組合あたりが生立つておりますが、やはりどちらかと言いますると地方的にはこれが資金関係のために、融資関係で潰れかかつている所もあるのですね。折角できたものが潰れかかつている。こういうような、こういう規制はやはり金融の面から來て、これを規制してもらわなければできないと思うのですが、一通り大蔵省といたしましてはこういう地方銀行あたりの融資関係につきましても直接見通しをつけて、監督その他の点におきましても一応これがスムーズに生立つて行くような方策をとられているかどうか、この点についてお伺いしたいのですが……。
  347. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 全国に相当数の昔の信用組合と申しますか、信用金庫がございます。各財務局を通じて監督しているのでありますが、中には何と申しまするか預金吸收に汲々たるの余り相当の経費をかけまして経営不如意のものが数多い中でございますからあるやに聞いているのでありますが、そういう問題につきましては、特に注意いたしまして何とか切拔けるような方策を講ずるように指導いたしております。
  348. 内村清次

    ○内村清次君 それから最近になりまして、この市中銀行関係におきましては、とにかく貸出の点について非常に情実関係が多くなつており、而も又不正融資的な、これは不正融資ということは全くこれは不正な問題でありますが、合法的な融資関係をやつている面が、これはもう直接私たちも聞くわけですが、例えばですよ、例えば今物権の担保によるところの融資というものができないからして、一応銀行預金をやつたというようなことで、その額が全部即日流れてしまつている。一方現金の収受というものがその銀行になされたかということも不明確のために、ただ借りるだけ借りている、こういう方策によつて融資がなされておるというようなことも聞くわけですが……事実こういうようなことを監督官庁といたしましてお聞きになつたことがありますか、どうでしようか。
  349. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の点がちよつとわかりませんが……。
  350. 内村清次

    ○内村清次君 銀行に当座勘定を持つている人でも、或いは新規の当座をする人でも、借りるためには物権の担保は今できないからして、先ず預金をした形において、そうして通帳に書込んでもらつたその金額というものがもう即日流れて行つた。借りるための預金ですね。こういうような仕組で融資をされている。これはどうしても情実関係がないとそういうことはできないと思うのですが、そういう点が頻繁に行われているというようなことを聞くわけですが、御存じであるかどうか。
  351. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは預金してから借りるのじやないのであります。例えば百万円を借りるというときに、百万円をすぐ使わずに、三十万円なり五十万円なりは定期預金で置いておきなさい、こういうことは聞き及んでおります。これは預合いというのであります。私は、新聞にもたびたび載つておりましたように、そういうことはよくない、こう銀行家に注意しておるのであります。銀行家はこれに歩積み、いわゆる一定額百万円の場合においては一割とか、或いは五%くらいは取引を開始する、或いは取引を続ける意味において少しずつ貯めて行つてもらう、こういうことは昔からやつておりましたから、それはよろしうございますが、百万円貸して三十万円か五十万円定期預金にしておかなければならんということは正常な金融でないからよくない、こう指導いたしておるのであります。それで定期預金についても百万円の利子を払つて、定期預金の利子は低うございますから、金利調整法その他の点から言つて思わしくないから、現にそういうことは慎むように指導いたしております。その点は例えば百万円借りても今すぐ要らないからというて預けておくのはよろしうございます。三カ月たつても五カ月たつてもずつと定期預金にしておくということはこれは一般貸付金利を実質的にまげるものでございますから、指導としてはそういうことのないようにというので銀行検査をしたり、或いは特にそういう点だけを取上げて各銀行の支店を調査しまして注意を、勧告したりいたしておるのであります。
  352. 内村清次

    ○内村清次君 これは大蔵大臣は、私の言うのはそういうようにひどいというのです。百万円預金に入れるのが目的でなくして、借りるのが目的だからして、入れたことにして、これは当座を作るのでしよう、作るがその日に百万円をちやんと借りて行く。こういう対象に向うから……銀行のほうから一応預金に入れておきなさい、それなら貸しましよう。こういうような手が相当動いておるということを聞いておるわけですがね。これはもうあなたのように百万円入れておいて、それから三十万円貸す、或いは又そのあと二十万円を貸す、結局累計五十万円貸す。これは銀行商売です。商売ですけれども、借るためにちよつと口座に入れるというのです。こういうような不正な金融というのが情実関係から相当流れているように聞くのですが、こういう手を知らないまじめな企業家はこの年の瀬はなかなか越年ができないがなあと、同情して新聞面を眺めて見ておりますと、新聞には親子心中であるとか、或いは倒産が載つておる。こういうようなことで、これは大蔵大臣も、どうもそういう実情に対してはこれは新聞を見ていらつしやるだろうから……こういうところで私は心配いたしまして、これはまだほかにも闇金融というものが相当跋扈しておるらしいですが、こういう闇金融の問題をも含めてもう少し一つ下情に通じた……年の瀬を皆一様に越すような金融対策の名案をお持ちではないであろうか。こういうことで私は聞いておるわけです。
  353. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あなたのお話は、実際百万円預けるんですね。
  354. 内村清次

    ○内村清次君 預けたことになるらしいんです。
  355. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それなら実際百万円預けて百万円貸すなら意味をなさない。あなたは下情に通じておるから(笑声)百万円現に預けて、それから百万円持つて來るんですか。百万円を持つて行かずに預けたことにして、そうして百万円貸すなら初めからこれは無担保で貸すということになるので、そういう預けずに百万円貸してくれるならこれは非常にいい。(笑声)私は百万円借るときに百万円貸すけれどもこれだけ預けなさい。こう言つてやりますと、折角百万円借りても五十万円預ければ結局五十万円しか貸したことにならん、こういうことはよくないからやめるように言つておる。初めから預けずに百万円貸すなら、それは銀行が無担保でよくも貸しておる、貸してくれるならいい銀行だと思います。いい金融だと思います。(笑声)
  356. 内村清次

    ○内村清次君 これはもう少し大蔵大臣の下部に対する認識の問題といたしまして、やはりこの零細金融関係におきまして、これは何としても公益質屋、こういう機関というものは、これは非常に一時凌ぎの問題としてこれは非常に重大な問題ですが、これは先般イタリー関係の公益質屋の問題につきましては、非常に組織的に、勿論この金融面についても国家が大体目を通して助成もしているようでありまするが、又そういう機関自体も整然としているようです。これは、イタリーは相当まだ経済復興の何と申しますか、困難な国柄でありまするけれども、そういう点については非常に行届いたような設備でありまするが、この公益質屋あたりの問題について何か大蔵大臣として御方針があるかどうか。この点につきまして一つ……。
  357. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 公益質屋の問題で、イタリーは相当発達した制度を持つておるということを聞いております。日本でも十五、六年前に公益質屋を公共団体で営むというなことをやつております。その後発達が非常に遅れたやに聞いておりまするが、私は公益質屋のみならず、一般の質屋につきましても或る程度の金融がやつて行けるように考えなければいけないという気持を持つております。ただ私としては、国民金融公庫というものを一つ拡大して行こうと、こういうので一般会計から出すのみならず、今度は資金部からも貸付をするような新たな制度にしたのであります。先ほど來お話がありましたように、鉄道のほうに五十億や百億では少いとおつしやいますけれども、国民金融公庫のほうに出資したり、預金部の金を使わなければならないというので、鉄道なんかに行くのが少くなつているのでありまするが、私は正常な状態として中小企業には御承知の商工中金なんかを育成発達させて、又別な方面から無担保の生業資金として国民金融公庫を使う、こういう線で行くのが本筋ではないかと思うのです。
  358. 内村清次

    ○内村清次君 問題はそういう闇金融が跋扈したり、又不健全な貯蓄心というものがそういう闇金融に化けて行つて、これから国民の何と申しますか、不健全な射倖的な問題が起きて來るとやはり社会秩序の紊乱の原因になつて参りますが、やはりそれには健全な貯蓄心の高揚ということがそこから生れて來るわけですが、そうして見ますると、これは例えば今の郵便貯金や銀行というような、こういう貯蓄機関の利子というようなものが余りに低額に過ぎはしないか。先ほどこの利子の問題についても幾らか今回は政府のほうでもドツジさんと交渉して、そうして引上げをやつたというようなことも聞いておるのですが、これは、郵便貯金の利子の引上げ、銀行貯金の利子の引上げというような問題はいつから実行されるのでありますか。どういう利率関係になつて來るか、その点を明確にして頂きたい。
  359. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 銀行関係の利子は御承知通り定期預金を一年以上六分に上げました。一般の定期預金もこの線に沿つて上げておるのであります。郵便貯金の利子は最近銀行預金が二回に亘つて引上げられましたが据置きしておりました関係上、私としては二分七厘六毛でありましたか、これを三分九厘六毛に引上げるというので、関係方面と折衝しておつたのであります。なかなか結論向うのほうに出なかつたのでありますが、今朝漸く私の申出通り三分九厘六毛にしてもいいというのが出たのでございまして、返事がありましたので、至急に閣議で御承認を得まして、できれば今国会に出したい、こういうつもりでおるのでありますが、何と申しましても、会期も切迫しておりますので、国会方面のお気持を聞いてからにしよう、こう思つておるわけであります。
  360. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これで一応質問者の質問は全部終つたわけでありますが、ただ今までの質問者のかたで、大臣質問を留保されておるかたが三、四人ありますので、又資料を要求しまして、その資料に從つて質問すると言われて留保されておるかたもあります。深川タマヱ君が法務総裁に対して御質問が留保されておるのでありますが、委員長としましては、そういうかたがたの取扱をどうするかを一応理事会を開きまして、理事にお諮りした上で決定して、一応この質疑は本日を以ちまして終了したいと思いまするので、そのように一つ取計らわして頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  361. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それじや御異議ないと認めまして、そうさせて頂きます。  二十六日月曜日は、午前十時から各小委員会を開き、小委員長を互選の上、審査を進めて行かれるようお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二分散会