運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-29 第12回国会 参議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十九日(木曜日)    午前十時四十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十四号   昭和二十六年十一月二十九日    午前十時開議  第一 無畜農家解消に関する決議案北村一男君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 水産資源保護法案衆議院提出)(委員長報告)  第三 昭和二十六年度における給與の改訂に伴う国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金の額の改定に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 恩給法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第一一 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 戰犯者釈放に関する請願(四件)(委員長報告)  第一三 戦犯者の減刑に関する請願委員長報告)  第一四 北海道千歳町に簡易裁判所設置請願委員長報告)  第一五 満二十年以上の旧陸軍共済組合甲組合員年金下附請願(五件)(委員長報告)  第一六 中小企業融資対策に関する請願委員長報告)  第一七 国民金融公庫法中一部改正に関する請願委員長報告)  第一八 社会保険診療收入に対する所得税軽減請願委員長報告)  第一九 水あめ物品税撤廃に関する請願委員長報告)  第二〇 水あめ、ぶどう糖の物品税撤廃に関する請願委員長報告)  第二一 ルース台風によるり災者国税減免請願委員長報告)  第二二 揮発油税軽減に関する請願(二十三件)(委員長報告)  第二三 たばこ小売利益率引上げに関する請願(九件)(委員長報告)  第二四 粗製しよう脳およびしよう脳原油收納価格引上げに関する請願委員長報告)  第二五 教育財政確立等に関する請願委員長報告)  第二六 義務教育費国庫負担制度確立に関する請願委員長報告)  第二七 六・三制教育施設整備費国庫補助増額等に関する請願(七件)(委員長報告)  第二八 六・三制教育施設整備費国庫補助等に関する請願(三件)(委員長報告)  第二九 六・三制教育施設整備に関する請願委員長報告)  第三〇 六・三制学校建築費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第三一 六・三制学校建築費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三二 六・三制校舎整備費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三三 小学校舎増改築費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第三四 六・三制学校教育堅持に関する請願委員長報告)  第三五 六・三制教育確立に関する請願(二件)(委員長報告)  第三六 六・三制教育確立等に関する請願委員長報告)  第三七 六・三制教育確立促進等に関する請願委員長報告)  第三八 教職員行政整理等に関する請願(二件)(委員長報告)  第三九 教職員行政整理に関する請願(二件)(委員長報告)  第四〇 小中学校教職員行政整理反対に関する請願委員長報告)  第四一 教職員定員確保に関する請願委員長報告)  第四二 教職員行政整理反対等に関する請願委員長報告)  第四三 公立学校事務職員教育公務員特例法適用に関する請願(四件)(委員長報告)  第四四 学校給食廃止反対に関する請願委員長報告)  第四五 学校給食法制定に関する請願委員長報告)  第四六 学校給食法制定等に関する請願委員長報告)  第四七 学校給食継続実施に関する請願(七件)(委員長報告)  第四八 寒冷地帶学校屋内運動場建設費に関する請願委員長報告)  第四九 寒冷地帯中学校屋内運動場建設費に関する請願(三件)(委員長報告)  第五〇 小学校老朽校舎改築費国庫負担に関する請願委員長報告)  第五一 九州大学農学部農業工学科干拓工学講座設置請願委員長報告)  第五二 富山大学文理学部経済学科学部昇格に関する請願(二件)(委員長報告)  第五三 静岡大学工学部電子工学科新設請願委員長報告)  第五四 上田城跡国宝編入に関する請願委員長報告)  第五五 宮廷雅楽保存育成に関する請願委員長報告)  第五六 私立学校振興助成に関する請願(二件)(委員長報告)  第五七 私立学校共済組合法制定に関する請願委員長報告)  第五八 ルース台風による公立学校災害復旧費全額国庫負担等請願委員長報告)  第五九 私立学校ルース台風災害復旧費国庫補助に関する請願委員長報告)  第六〇 富山県立水産高等学校遠洋漁業練習船建造等に関する請願委員長報告)  第六一 結核教職員休職期間延長に伴う国庫補助増額請願委員長報告)  第六二 へき地教育振興に関する請願委員長報告)  第六三 福岡市立月隈小学校移転工事費国庫補助に関する請願委員長報告)  第六四 高等学校定時制教育振興に関する請願委員長報告)  第六五 教科書無償配布に関する請願委員長報告)  第六六 日本国創立記念日制定に関する請願委員長報告) 第六七 戰災都市等義務教育施設整備臨時措置法制定に関する請願委員長報告)  第六八 東北地方労働省立労災、病院およびけい肺療養所設置請願委員長報告)  第六九 電力危機打開対策等に関する請願委員長報告)  第七〇 電力危機打開に関する請願(十件)(委員長報告)  第七一 東北地方電力危機打開に関する請願委員長報告)  第七二 九州地区電力危機打開に関する請願委員長報告)  第七三 渇水期電力使用制限に関する請願委員長報告)  第七四 電源開発等促進に関する請願委員長報告)  第七五 電源開発促進および離島、へき地電化助成に関する請願委員長報告)  第七六 新潟県須原発電所電力増強工事施行に関する請願委員長報告)  第七七 関川水系笹ケ峰ダム建設に関する請願委員長報告)  第七八 宮崎県大淀川第一、第二両発電所復元に関する請願委員長報告)  第七九 電気事業に係る全納金保証年限延長等請願委員長報告)  第八〇 積算電力計に関する請願委員長報告)  第八一 美容業者に対する電力制限許可制請願委員長報告)  第八二 戰犯関係者恩赦等に関する陳情委員長報告)  第八三 戰犯者釈放等に関する陳情委員長報告)  第八四 全戰犯者恩赦に関する陳情委員長報告)  第八五 火災保険料率低減に関する陳情委員長報告)  第八六 ラジオ受信機等物品税免除に関する陳情委員長報告)  第八七 教育財政確立等に関する陳情委員長報告)  第八八 義務教育費国庫負担制度確立に関する陳情委員長報告)  第八九 六・三制教育施設整備豊国庫補助増額等に関する陳情委員長報告)  第九〇 六・三制教育施設整備費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第九一 六・三制教育施設整備費国庫補助等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第九二 六・三制教育確立に関する陳情(四件)(委員長報告)  第九三 六・三制学校教育拡充強化に関する陳情委員長報告)  第九四 教職員行政整理等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第九五 教職員定員確保に関する陳情(二件)(委員長報告)  第九六 学校給食予算措置に関する陳情委員長報告)  第九七 学校給食継続に関する陳情委員長報告)  第九八 学校給食継続実施に関する陳情(三件)(委員長報告)  第九九 新制中学校認証外建築費等国庫補助に関する陳情委員長報告)  第一〇〇 積雪寒冷單作地帯中学校屋外運動場建設陳情委員長報告)  第一〇一 山陰地方学校屋内運動場建設費に関する陳情委員長報告)  第一〇二 神戸市に商船大学設置陳情委員長報告)  第一〇三 ルース台風による被害学校復旧費国庫補助陳情委員長報告)  第一〇四 戰災学校復旧に関する陳情委員長報告)  第一〇五 教職員生活保障に関する陳情委員長報告)  第一〇六 電力危機打開に関する陳情(三件)(委員長報告)  第一〇七 中国地区電力危機打開に関する陳情委員長報告)  第一〇八 停電による損害補償等に関する陳情委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、無畜農家解消に関する決議案北村一男君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。  本決議案につきましては、北村一男君外十九名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。北村一男君。    〔北村一男登壇拍手
  5. 北村一男

    北村一男君 議題に供されました無畜農家解消に関する決議案につきまして、発議者を代表いたしまして提案の理由説明いたします。  先に本院におきましては、国際連合食糧農業機関憲章を受諾することに承認を與えるに当りまして、農林業振興基本政策を確立することの決議をなされまして、これに対しまして、政府は、でき得る限り趣旨に副いましてこれを具体化するという力強い表明をなされました。この決議案は、先に決議なされました農林業振興基本政策確立決議趣旨一環でございまして、即ち、我が国におきましては、農家のうち約半数の三百万戸が家畜を持たない無畜農家である。この三百万戸のうち、少しく力を與えますれば直ちに有畜化できる農家が百二十七万戸ある。そのほかに、今は家畜を持つておりまするが、老齢で更新しなければならない農家戸数が二十六万二千戸ある。この百二十七万戸の有畜農家を創設いたしますると共に、二十六万二千戸の更新を要する農家家畜を維持するということが本決議案狙いでございます。これによりまして、第一に食糧増産を実現する、蛋白油脂資源給源としての畜産を振興することが狙いの第一であります。第二には、これによりまして農家経営の安定を図る。第三には、これによりまして食生活改善をいたしまして、従来、ともすれば澱粉偏食の結果、我が国国民の三大病と言われまする脳溢血、結核及び胃拡張、この三つの病気を根本的に防止いたしまして、国民の健康と体位向上に資したいという、いわゆる一石三鳥の目的を具体化せんとするものでございます。  こういう有意義にしまして又効率の高い無畜農家解消有畜農家創設維持が実現するためは、いろいろの隘路があるのでございまするが、その中で最も根本的なものは、農家家畜を導入したいということを熱望いたしましても資金を自己調達することができないという点でございます。よつて我々は、国家資金を特別にかような農家に対して導入融資いたしまして、只今申上げた無畜農家解消の大きな目的を実現せんということを熱望いたしておる次第でございます。なお、政府は、国家資金特別融通による対策を確立いたしますると共に、農家畜産振興のために飼料対策を確立して、更に家畜取引改善に対して万全の措置を講ぜられんことを強く要望いたすものでございます。  以上述べました理由を案文化しまして、決議案文を作成いたしましたので、これを朗読いたします。    無畜農家解消に関する決議   さきに本院は、国際連合食糧農業機関憲章の受諾を承認するに当つてわが国農林業振興基本政策確立に関する政府の断乎たる措置を要求する決議を行つた。   しかして本院は、今日更に右決議一環として、政府において速かに無畜農家解消に関して次のような根本的対策を樹立し、これを強力に実施することを求めんとするものである。   おもうに農家に対して家畜の導入を普及することは食糧増産農業経営改善及び国民食生活向上等経済自立並びに民生の安定のための根本要件であつて、刻下喫緊の要務である。  ここにかんがみ、この際政府は、全国三百万戸無畜農家中容易に有畜化することのできる百数十万戸をして、速かに有畜農家たらしめるべく、国家資金特別融通による対策を確立するとともに、これ等農家有畜営農基盤を鞏固ならしめるため、飼料確保及び家畜取引改善等畜産振興について抜本的方策を実施すべきである。   右決議する。  以上であります。よろしく御賛同を仰ぎまする次第であります。(拍手
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。三橋八次郎君。    〔三橋八次郎登壇拍手
  7. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今上程になりました無畜農家解消に関する決議案に賛成するものでございます。  食糧の問題は、今日の問題であると共に、又将来に亘る重大問題でございます。目先のことだけで解決のできるものでないことは申すまでもないのでございます。昨今食糧事情が好転したと言うのでありますけれども、これは輸入食糧が増加いたしました結果でありまして、国内生産が増加したのではないことは申すまでもないのでございます。国際情勢から見ましても、食糧その他緊要資源国内開発を進め、自給度を高めまして、自立経済を促進すべきであります。  日米経済自立の要請の下で農業は如何なる態勢を整えなければならないかということは、先ず国際收支観点に立つてみましても、輸入額の過半数占むる食糧に着目しなければならないと思うのでございます。年に約三百万トンの不足を如何にして自力が賄うかであります。その方法といたしましては、輸出振興によりまして輸入食糧を賄うのと、又直接に国内増産による自給度を高める、この二つ方法によるほかにないのでございます。輸入食糧というものは、いつ如何なる変異が生ずるかも知れないし、又国内事情から言いましても、事故を生ずる原因が内在しておるのでありますから、食糧問題の解決は自主的に国内生産増強を第一義にしなければならんのでございます。先般本院において我が国農林業振興基本政策確立に関する決議を行なつたゆえんもここにあるかと思うのでございます。  日本農業は、その組織経営の面からこれを見ますならば、一部学者の唱 えます「農業とは自給自足のできる業なり」という点から見ましても、いわゆる農業ではないのでありまして、その内容は全く澱粉生産業と言わざるを得ないのでございます。而して人間の食糧は、澱粉蛋白脂肪の三要素を必要とするにもかかわらず、日本農業は全く澱粉生産が主体であつて食糧自給自足程度は極めて低いのでありまして、自己の生活のために、自分の生産した栄養の三要素のうち最も安価な澱粉を売つて、高価な蛋白質を購入して消費しているという事実は、日本農家経済赤字原因となつておるのでございます。同時に、農村経済基盤確立のできないのも、その原因はここに存すると思うのでございます。真の農業は、農業組織畜産を計画的に而も有機的に織り込み、畜産耕種、養蚕、園芸その他に縦横に働きかけ、農業経営全体に対する土地、資本、労力の按配活用を合理的ならしめまして、内面的に堅実化せしむると共に、最大なる経済能力を発揮せしむる農業経営でなければならないのでございます。  なお、国民蛋白資源としての畜産は、保健上から考えましても極めて重要なるものでありまして、昔は家畜なければ農業なしと言つたのでございますが、現在ではまさに家畜なければ生活なしと言わなければならないのでございます。(拍手)それほど日常生活と重要な関係のあることは皆さん御承知の通りであります。食糧問題解決の上におきましても極めて喫緊なものでありますことは申すまでもないのでございます。畜産物により蛋白質脂肪の供給を豊富にいたしますときには、澱粉質食糧消費を極度に節約することができるのであります。殊に農村におきましては、蛋白不足の傾向にあり、魚類によつて蛋白脂肪を補給しておりますけれども、これら魚類即ち冷血動物の蛋白のみでは栄養上十分なるものではなく、哺乳動物蛋白質中に含まれております高級アミノ酸を攝取することは文化の上にも極めて必要なのであります。デンマークオランダも以前は小麦作一式澱粉生産農業であつたのでございますが、戰後の農業の再建は家畜からというので、有畜農業奬励して、畜産物農村において消費することを勧めたのであります。その結果、世界で最も高い農村文化と確固たる農村経済を築き上げているのでございます。家畜は、農業経営を合理化し、農家経済を確立し、赤字解消せしめ、国民蛋白脂肪給源として食糧自給度を高め、生活改善保健衛生並びに農村文化向上等、又農業生産力増強農民社会的地位向上に最も重要なるものであつて、無畜農家解消は極めて緊急のことと存ずるのでございます。  飜つて我が国畜産の状況を見ますると、人口千人に対する牛の頭数は、日本では二十五頭、オランダでは三百三十三頭、デンマークでは八百二十六頭、又土地百ヘクタールに対する牛の頭数は、日本では四十四頭、オランダでは八百八頭、デンマークでは七百十三頭であるのであります。これのみを以て見ましても、我が国畜産の貧弱さを窺うことができるのでございます。我が国産業機構最大弱点は、国民半数を占める農民経済的に危殆に瀕していることでございます。穀菽主義零細農業経営では、国際農業に伍するときは経済的に破綻は免れないのでございます。農業が現状のままでは、農林業の窮乏はいつまでも日本経済の発展を妨げることになる。我が国家は資源には乏しいのでございますが、国土の八四%が未耕地で、牧野等活用ができるのでございます。現在において我が国には、無畜農家戸数は、先ほども説明のありましたように三百三十五万戸ありますが、そのうち有畜が可能であり、これを必要とするものが百二十七万戸あるのでございます。これを速急に解消することは、農林業振興基本政策確立一環といたしまして極めて必要なことでございます。更に畜産振興には、家畜の種類、大家畜としましては牛馬、中家畜、山羊から、それから家禽に至るまで、いわゆる適種を適地に奬励をし、又家畜改良、繁殖、衛生飼料自給牧野改良等、幾多重要なる政府の施策に待たなければならないところが極めて多いのでございます。  決議の主旨に従つて万全を期するよう要望いたしまして、本決議案に賛成するものでございます。満場の御賛成をお願いいたします。(拍手
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 永井純一郎君。    〔永井純一郎登壇拍手
  9. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は日本社会党第三控室を代表いたしまして、無畜農家解消に関する決議案に心から賛意を表したいと思います。  この一番初めにも書いてありまするように、無畜農家解消に関する決議は、單に無畜農家解消ということではなくして、我が国農林業振興政策基本として私は非常に大切である、こういうふうに考えるのであります。先般参議院におきましても両條約を承認いたしておりまするが、あの條約の文章の中にも、特に平和條約の前文には、国連憲章の五十五條、五十六條の関係、つまり日本国民生活水準を一層向上する、或いは完全雇用、こういつたようなことに努力するということを書いておるのでありまするが、私どもは、この條約を政府が強力に推し進めながら、この裏付けをなすこういつたような完全雇用国民生活水準引上げるといつたような問題と非常に矛盾をしてあの條約が推し進められたという感を深くしたのでありまするが、なお又、あの條約文の中には、我が国が存立可能な経済を維持するということを文章で謳つております。若し我が国が存立可能な経済を維持することを條件にいたしまするならば、賠償などは殆んど支拂う能力は今日ないと言わなければならないと思います。而してその存立可能な経済基本をなすものは、やはり食糧であります。衣食住のうち、やはり食糧が中心になつて、これが基本を私はなして行く、こう考えるのでありまするが、今日未だ食糧国民が安心しておるという状態にはないと私どもは考えておるのでございます。こういう観点からと、もう一つ更に重要なことは、自立経済達成するということを政府が言つておりまするが、この観点からも又食糧自給ということが非常に大切な問題になつて参ります。私どもは、今後の我が国経済政策の最も基本になるものは、我が国内における食糧自給度を高めるということが一番の基本になつて来る、このように考えておるのでございます。ところが政府は先般来主食統制撤廃の問題を提げて国民に相まみえ、且つ国会においてもこのことが論議されて参りましたが、この政府が言う統制撤廃食糧自給度向上ということとは、私どもは相容れざるものがあるというふうに考えるのであります。先般も農林大臣にこのことを私は少し申上げたのでありましたが、先ず食糧自給度最大限、できるだけ高い所へ持つて行つて、その不足分を外国の輸入食糧に待つ、そうしてこの二つを計画的に措置して行つて国民生活の安定の基本である食糧の問題を安定さして行くということでなければならんと思うのでありまするが、こう考えて参りますると、先ず農業生産が計画的でなければなりませんし、従つて国民に対する配給にもやはり一連の計画的な措置が講じられなければならないというふうに私どもは考えておるのであります。自由にすることによつて自給度を高める妨げにはならないというような意味の答弁を農林大臣はいたしておりまするが、これは農産物の、特に主食価格の問題と重大なる関係を持つて参りまするが、今日、政府が先般来言つておる程度価格に対する考え方では、恐らく有利作物へどんどん転換して行つてしまいまして、主食増産に資するということとは逆な答えが出て来るということは、私どもは明らかであるというふうに考えておるのでございます。  このように、自立経済達成ということから考えましても、食糧自給度を高めることは非常に大切でありまするが、更に、これが、今日から積極的な政策食糧増産について講じて置かなければ重大な結果を引き起して来るという心配は、人口の増大の問題でございます。今日厚生省等の調べによりますると、人口自然増は千人について二十数名かの殖え方であるようでありまするが、これは種々医学的或いは技術的に方法を講じて行けば、千人について十五、六名程度にとどめることは可能であるということを專門家が言つておりまするが、それにいたしましても、なお且つ昭和三十年頃に至りまするときには九千万近い人口になつて参ります。ところが、今日の政府農業政策をこのままの程度で行きまする場合には、私は主食増産は絶対に不可能である、こう申上げなければならぬのであります。予算等を見ますればそれが明らかにわかります。そういたしまするときには、昭和三十年頃になりますると人口が九千万近くになるときには、今日程度の一人当りの消費量でありましても、三千数百万石少くとも主食国内においては足りない。これだけのものをすべて輸入に仰ぐというようなことは、私は自立経済達成に最も大きな困難を加えるものであるというふうに言わざるを得ないことのように考えるのであります。そこで私どもは、政府が今日只今から、この食糧自給度を大きく引上げることに、真劍な努力を、まじめな努力を講ずることが是非とも必要であるということをここに強調したいのでございます。そこで問題になつて参りまするのが家畜関係であると私どもは考えます。食糧生産を大きくすると同時に、又農家経営改善をするということも勿論必要でありまするが、私どもは先ず食糧生産を増大することについて土地を肥やす必要がありまするし、このために家畜を導入しなければならぬ。それからもう一つは、農業経営改善の点からいたしまして、農業の機械化ということを言つておりまするが、我が国経営の実態からいたしまするときには、脱穀調製その他の点で機械化することは可能でありまするが、経営そのものに機械を取入れて行くということは非常に無駄があると同時に、非常な困難が伴いまするので、その意味からは家畜の導入は最も適切なものである、このように考えるのであります。ところが、この家畜の導入に伴つて重大な問題は飼料の問題であると私どもは考えまするから、無畜農業解消決議をいたしますると同時に、私ども飼料対策というものを、この裏付けになる飼料対策を、根本的な対策をしつかり政府は考えるべきものである、(拍手)そのことがこの裏付けをなしておるということを申し添えたいのでございます。このようにいたしますると、私の申上げたいということは、食糧増産しなければならない。自給度を高めなければならない。そのために無畜農家解消をするが、結局はそれは、農業の收入が相当多くして、農業の資本の蓄積ができる程度のものでなければ、この増産なり或いは家畜の導入というものができないから、その点までを考え合せて、政府は予算的措置或いは資金措置というものを一連の計画性を以てしつかり一つやつて頂きたい。このように考えるのでございます。いずれにいたしましても、私どもはこの無畜農家解消に関する決議に対しまして心から賛意を表しまして、政府がこの決議に忠実に予算的措置或いは資金措置等を講ぜられることを希望する次第でございます。(拍手
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案は全会一致を以て可決せられました。  只今の決議に対し農林大臣より発言を求められました。根本農林大臣。    〔国務大臣根本龍太郎君登壇拍手
  12. 根本龍太郎

    ○国務大臣(根本龍太郎君) 無畜農家解消の問題は、我が国食糧増産並びに農業経営改善はもとより、食生活改善のために緊要の問題であると存じます。政府もこの趣旨に従いまして、従来も力をいたしておつたのでございますが、只今の御決議の線に沿いまして、一段と政府は体系的に組織的に、この問題の解消のために実現を図りたいと存ずる次第でございます。(拍手)      —————・—————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二をあとに廻し、日程第三、昭和二十六年度における給與の改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案日程第四、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案日程第五、旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  15. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程になりました昭和二十六年度における給與の改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案の提案の理由について申上げます。国家公務員の給與につきましては本年十月分から改訂いたすこととなつておるのでありますが、これに伴い、本年九月以前に退職した共済組合の年金受給者に対する年金の額を、新給與水準を基準とするように引上げようとするものであります。即ち本年十月分以降は、従前の年金額の算定の基準となつた俸給を国家公務員の新給與水準に引き直して計算することといたし、又、国家公務員共済組合法施行以前の公務に起因する年金についても同様に増額しようとするものであります。なお、この年金額の引上げによつて増加する費用は、国、地方公共団体又は公社がそれぞれ負担することにしようとするものであります。  本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案について御報告申上げます。  先ず本案の提案の理由並びに内容について申上げます。国家公務員の給與につきましては本年十月分からその給與水準を改訂することといたしたのでありますが、それに伴いまして、陸海軍関係共済組合、外地関係共済組合等の旧令による共済組合等からの年金受給者に対する年金額も同様に引上げることといたそうとするものであります。即ち、旧令による共済組合等からの年金受給者に対する年金額は、本年十月分以降は、従前の年金額の算定の基準となつた俸給を国家公務員の新給與水準に引き直して計算することといたし、なお、これに要する費用は国庫より交付することにいたそうとするものであります。  本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案について御報告申上げます。  本案は、我が国の国際信用を保持し、且つ将来における外資誘致を促進する見地から、旧外貨債処理法、旧外国為替管理法及び旧敵産管理法によつて、一方的な国内措置のために無効とされた外貨債の証券及び利札の一部について、その効力を復活する等の措置を講じようとするものであります。  次に、本案の主な内容について簡單に申上げます。第一に、借換済外貨債の残存証券及び附属利札のうち、その借換が当を得なかつたと認められるものについて、大蔵大臣の指定により、これを旧外貨債処理法による借換の日に遡つて有効なものとし、又旧敵産管理法に基いてとられた措置によつて無効とされた利札につきましても、これを有効なものといたそうとするものであります。第二に、これにより有効とされます外貨債が、地方債又は社債であります場合には、旧外貨処理法の趣旨に従いまして、その元利支拂義務を政府が承継することといたそうとするものであります。第三に、それら借換済外貨債の復元に伴いまして、すでに借換により発行されている邦貨債との二重発行を調整するため、邦貨債の取得者から借換価額相当額を政府に納付させることといたすほか、本人の選択により借換発行された邦貨債を以てする代納を認めようとするものであります。  さて、委員会の審議に当つては種々熱心なる質疑が行われたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、討論、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず昭和二十六年度における給與改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第六、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案日程第七、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案日程第八、裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長小野義夫君。    〔小野義夫君登壇拍手
  22. 小野義夫

    ○小野義夫君 只今上程の裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過及び結果について御報告いたします。  最近における生計費、民間の賃金その他の事情の変動に鑑み、政府は一般職の国家公務員の給與改善する必要を認め、一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、この例にならい、その給與改善する必要がありますので、この両法律案が提出せられました次第でございます。改正の要点は、両案ともそれぞれ報酬又は俸給の月額を定める別表を改正すると共に、現在も認められております特例につき同様の改正をしようとするものでございます。改正月額の増加比率は一般職の職員のそれとおおむね等しいのでございます。なお、両案とも、一般の官吏の例にならい、本年十月一日に遡及して適用することとなつております。  委員会の審議に当りましては、各委員より活溌な質疑が行われました。討論におきましては、一松委員より両案に賛成する旨の意見が述べられましたが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。討論終結の上、両案を一括採決いたしましたところ、いずれも全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、只今上程裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過及び結果について御報告いたします。  本法案は、今次の行政各官における人員整理に対応いたしまして、裁判所におきましても、裁判官以外の事務職員等につきその定員中八百九十九人を減少いたすと共に、これに関連いたしまして、裁判所法の一部の規定を改正しようという趣旨のものであります。なお、本法案の実施によつて生ずる過剰人員の整理につきましても、一般公務員のそれと同様に六ヵ月の猶予期間を設け、且つ、いわゆる審査請求の制度を適用しない旨の規定を設けてあります。  委員会におきましては、愼重に審議を重ねましたが、その詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。討論に入りまして、羽仁委員より本案に対する反対意見が述べられ、次に伊藤委員より、本案による人員整理によつて裁判所の機能を低下せしめず、又任意退職者と欠員とを以てこれに充てることを希望條件として本案に賛成する旨の意見が述べられました。かくして討論終結の上、本案を採決に付しましたところ、多数を以て可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告をいたします。(拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第九、恩給法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔河井彌八君登壇拍手
  28. 河井彌八

    ○河井彌八君 恩給法の一部を改正する法律案の内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。  この案につきましては、予備審査を含めまして二回委員会を開会いたし、愼重審議の結果、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしましたのであります。  この法律案は、昨日、本院を通過いたしました国家公務員の給與に関する二つ法律、即ち一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律と、特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律、この二つが成立いたしましたので、これに伴うて現行恩給法の一部に所要の改正を加えんとするものであります。改正の要点は三つの点にあります。  その一つは、国家公務員の給與水準が本年の十月一日に遡つて引上げられることになりまする結果、九月三十日以前に退職した者と十月一日以後に退職する者との間に恩給の支給水準に差異が生ずることとなるのでありまして、これを調整するために、九月三十日以前に退職した者の恩給算出基準俸給額を今回新たに制定せられた国家公務員の俸給に照応するものといたしました点であります。その結果といたしまして、本年十月分からの恩給を増額決定せんとするのであります。第二点は、恩給及び恩給外所得の高額所得者に対する恩給の一部停止に関する基準額の引上げであります。従来普通恩給年額五万円以上にして、これを受けておる者の前年における恩給外所得二十五万円を超える者につきまして、普通恩給年額と恩給外所得年額との台算額に応じて普通恩給の一部を停止することになつておるのでありますが、今回の国家公務員の給與増額に伴いまして普通恩給の年額が増額されることになり、又他面におきましては、最近における貨幣価値の変動等、諸般の情勢の推移に鑑みまして、恩給の一部停止に関する基準金額の引上げを行うことといたしまして、従来の五万円以上を六万五千円以上に改め、恩給外の所得年額二十五万円以上を三十三万円以上等に改めんとするものであります。なお、この普通恩給の一部停止は、現行法では毎年七月から翌年六月までの期間を一停止期間としておりました関係で、今年七月から来年の六月までの恩給停止額はすでに決定されておりますので、これはすでに決定された通りの取扱をなすというわけであります。第三点は、日本專売公社の役員又は職員で、本年一月一日から三月三十一日までに退職した者の恩給の計算に関するものでありまして、国家公務員の給與は本年一月一日から増額支給されたのでありますが、專売公社の役員又は職員の俸給増額は遅れて四月一日から実施せられ、一月から三月までの三ヵ月間の増俸額に相当する金額は一時支給を受けておるのでありますが、この間に退職した者は、本年三月三十一日以前の俸給、即ち増俸前の俸給を基礎とする恩給を受けておりまする関係で、四月一日以後即ち俸給改定後の退職者との間に恩給の支給水準に差異を生じておるのであります。そこで恩給法の準用を受けるところの日本專売公社の役員又は職員で本年一月一日から三月三十一日までの間に退職した者に対して、本年四月一日に改定された俸給額を基礎としてその恩給の額を計算することとし、すでに恩給を受けた者については、その恩給額と右の改正規定によつて計算した恩給額との差額を追給するということになつておるのであります。  内閣委員会において審査いたしました結果重要なる点を申上げます。さきに成立いたしました「公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の規定による覚書該当者の指定の解除に関する法律」第四條におきまして、「覚書該当者について指定の解除があつたときは、その者に係る公私の恩給、年金その他の手当又は利益を受ける権利又は資格は、指定の解除のあつた日において回復する。」という規定があるのであります。これらの覚書該当者が、昭和二十二年勅令第一号、ポツダム勅令でありますが、その勅令の第五條によつて従来恩給を受ける権利を失つてつたのが、この法律の制定によりまして恩給を受ける権利を回復することになるのであります。ところが軍人軍属で覚書該当者として追放せられておつた者は、この法律規定によつてその指定が解除せられ、恩給を受ける権利が一応回復することになるのでありますが、他方において、昭和二十一年勅令第六十八号、ポツダム勅令でありますが、それの第一條において軍人又は軍属に対する恩給は給せられないこととなつておるのであります。このポツダム勅令は平和條約発効後におきましては一応消滅することになるのでありまするが、政府はこれらの軍人軍属に対し将来恩給を受ける権利を回復せしむるかどうか、その範囲は如何であるかという点につきまして、山花委員から熱心な質疑がありました。これに対しまして政府は目下検討中であるということであります。これに対しまして、どうか速かに適正な措置をとるようにという山花委員の強い希望が開陳せられたのであります。第二点は、この法律による恩給の増額によつて昭和二十六年度の補正予算額において約四億円の増額が計上せられてあるということであります。その他の質疑応答につきましてはこれを省略いたします。  内閣委員会は、この法律案国家公務員の給與の増額に伴うところの当然の恩給額の改訂等身規定しておるものであつて、適当な改正案と認めましたので、討論を省略いたしまして採決に入つて、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。(拍手
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます    〔賛成者起立〕
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員長山田佐一君。    〔山田佐一君登壇拍手
  32. 山田佐一

    ○山田佐一君 只今議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、国家公務員の給與及び郵便料金、電信料金等の引上げに伴い、国会議員の歳費及び秘書の給與並びに通信費を増額するため、衆議院から提出されたものでありますが、本案の内容につきましては、先般来庶務関係小委員会において愼重に検討を加え、このたび法律案として提出されるに及び、改めて本委員会において審議いたしました結果、衆議院送付原案通り多数を以て可決すべきものと議決いたしました。  甚だ簡單でありまするが、以上を以て御報告を終ります。(拍手
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十一、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長山縣勝見君。    〔山縣勝見君登壇拍手
  36. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今上程になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  この法律案は、主として従来長期欠勤による休職者の取扱において欠くるところがありましたのを、一定の年限内は所定の給與を受けさせることにいたしたものでありまして、その概要を申上げますると、現行法におきましては休職の期間は一年、給與は俸給の三分の一と相成つてつたのでありまするが、今回の改正におきまして、休職の期間は公傷の場合を除いて三年、給與は、公傷の場合は全額、その以外におきましては、結核性疾患の場合は二ヵ年間、結核性疾患以外の場合におきましては一年間だけ、俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれの八割を支給することに改正しようとするのがその骨子であります。右は一般職の職員の給與に関する改正法律第二十三條と同じ趣旨でありまして、国鉄職員も一般公務員に倣つておるのでありまするが、国鉄の業務の性質に鑑みまして、公傷の場合の休職期間につきましては三年の制限を設けていないのであります。  委員会におきまする質疑の大要について御報告を申上げまするが、先ず第一に、「休職及び休職期間における給與の問題につきましては団体交渉の対象となり得るか」との質問に対しまして、当局より、「総裁のきめる休職期間及び給與の基準につきましては、公労法第八條を排除するものではない」との答弁があつたのであります。第二に、「現行法では、休職期間が満了いたしても、なお故障が消滅しないときは、当然退職者とする旨の規定があつたのでありますが、今回の改正案にはその規定がないが、かかる場合においては如何なる処置をするか」との質問に対しましては、「一応期間満了により復職をすることとなるが、その後は容態に応じて法二十九條の対象になる」との答弁があつたのであります。最後に、「刑事事件につきまして無罪の判決を受けた場合において、休職期間中給與の保証をするか」との質問に対しまして、当局より、「かかる場合の給與の保証は考えていない」との答弁かあつたのであります。  次いで討論に入りましたるところ、岡田委員より、従来国鉄法においては長期欠勤者の取扱に欠くるところがおつたが、今般、一般職の職員の給與に関する改正がなさるることと相成つたに対応いたして、国鉄法においてもほぼ同様の改正を行い、長期欠勤者をして療養に專念せしめ得るようにいたさんとすることは適当と考え、賛成する旨の意見の開陳があり、小酒井委員よりは、現行法と比較して改正案は内容が具体的になり、実情に即応するように改正されておるので賛成するものであるとの意見の開陳があり、併せて、公労法第八條で、休職の件は団体交渉の対象になり得ることに相成つておるので、その建前を尊重して、一方的に処理されることのないように運営に当つて十分考慮して欲しいとの希望意見を述べられたのであります。なお又前田委員よりは、今回の改正案は現行法に比較して改善されておると認めるので賛成するが、その実施に当つては総裁の決定に委ねられておる点が多いと思うから、具体的に決定する際は十分考慮して欲しいとの意見の開陳があつたのであります。  これで討論を終りまして、直ちに採決に入りましたところ、原案通り全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。  以上御報告申上げます。(拍手
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十二より第十四までの請願及び日程第八十二より第八十四までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長小野義夫君。    〔小野義夫君登壇拍手
  41. 小野義夫

    ○小野義夫君 只今議題となりました請願及び陳情に関しまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  請願第五百三十八号、第八百四十三号、第九百十八号、第九百五十一号、第九百七十七号、及び陳情第七十七号、第百五号、第百八十八号は、いずれも講和條約締結後戰争犯罪人の釈放方につき善処せられたいとの趣旨のものであります。これには又個人の減刑釈放について特筆されておるものも含まれているのでありますが、委員会においては一般的な減刑釈放の趣旨といたしまして採択いたしたのであります。併し委員会の審査報告書に附して提出いたしまする意見書案には、各個人に関する具体的事実については政府において調査の上善処されたい旨を明示しておくことにいたしました。次に請願第九百十七号は、北海道千歳町に簡易裁判所並びに区検察庁を設置してもらいたいとの趣旨のものであります。  以上の諸件につきまして、本委員会は、政府の所見を開き、愼重に審査いたしました結果、いずれもこれを採択し、院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十五より第二十四までの請願日程第八十五及び第八十六の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事伊藤保平君。    〔伊藤保平君登壇拍手
  46. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 只今上程せられました請願四十四件、陳情二件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本委員会におきましては、特に小委員会を設け、紹介議員からの趣旨説明、各委員の意見及び政府の見解を十分に聽取し、その上、質疑応答を重ね、愼重に審議をいたしたのでありまして、その結果は次の通りであります。  先ず請願第七百十一号、第七百十二号、第七百二十二号、第七百八十一号、第九百四十一号の五件は、いずれも組合加入後満二十年以上を経過した旧陸軍共済組合の甲組合員に対して年金の受給資格を付與せられたいとの趣旨であり、請願第一千百四号は、中小企業金融の極度の窮乏に対して政府は速かに有効適切な対策を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第一千百二十七号は、近い将来に国民金融公庫法の一部を改正して五十億の出資を追加せられると共に、公庫の役職員の待遇を、開発銀行、輸出銀行、復金等の役職員と同じ待遇に改められたいとの趣旨であり、請願第一千百二十八号は、昨今の物価上昇の結果、社会保険診療收入のうち、経費の占める割合が増大したのであるから、現行の所得標準率を適正に改めて所得税負担を軽減せられたいとの趣旨であり、請願第七百九十号は、水あめの物品税を、第一千五十八号は、水あめ、ぶどう糖の物品税をそれぞれ撤廃せられたいとの趣旨であり、請願第八百二十八号は、ルース台風による罹災者に国税を減免せられたいとの趣旨であり、請願第八百四十八号以下二十三件は、いずれも揮発油税を軽減せられたいとの趣旨であり、請願第八百七十一号以下九件は、いずれも「たばこ」小売の利益率を引上げられたいとの趣旨であり、請願第一千二十一号は、粗製しよう脳及びしよう脳原油の收納価格引上げられたいとの趣旨であつて、以上の各件はいずれもその願意を適当と認めますので、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  なお、陳情第百六十六号はラジオ受信機に対する物品税を免除せられたいとの趣旨でありますが、この件につきましては、大衆用のものに対して免税にするのが適当と思われますので、採択の上、内閣に送付いたすこととし、陳情第二百六十三号は、相互救済の社会政策である火災保険を発展せしめると共に、民生を安定せしめるためにも、火災保険料率を低減せられたいとの趣旨であり、これに関しましては今後漸次低減の方向に持つて行くのが適当と思われますので、その趣旨で採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二十五より第六十七までの請願及び第八十七より第百五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事高田なほ子君。    〔高田なほ子君登壇拍手
  51. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 只今上程せられました文部委員会付託の請願並びに陳情に関しまして、本委員会における審議の経過及びその結果を御報告申上げます。  請願第七百二十七号ほか一件、陳情第六十七号ほか一件は教育財政の確立等に関するものであります。請願第百三十二号ほか十四件、陳情第十八号ほか三件は六三制建築整備に関するものであります。請願第五百三十五号ほか四件、陳情第三十二号ほか四件は六三制学校教育の堅持に関するものであります。請願第五百三十三号ほか六件、陳情第百一号ほか三件は教職員行政整理に関するものであります。請願第百三十五号ほか三件は公立学校事務職員教育公務員特例法適用に関するものであります。請願第百十二号ほか九件、陳情第三十八号ほか四件は学校給食の継続に関するものであります。請願第二十一号ほか四件、陳情第六百三十五号ほか三件は、寒冷地帯の屋内体操場、老朽校舎の改築及び認証外建物の国庫補助に関するものであります。請願第七百十三号ほか三件は、大学に学部、講座の新設、專門学校の大学昇格等に関するものであります。次に文化財保護に関するものといたしまして、請願第一千四十五号ほか一件は、上田城跡国宝編入及び宮廷雅楽の保存育成を趣旨とするものであります。請願第百三十六号ほか二件は私立学校の振興助成に関するものであります。請願第一千六十六号ほか一件、陳情第百十四号ほか一件は、ルース台風による教育施設の災害復旧等に関するものであります。次に請願第二百二十四号ほか七件、陳情第二百六十五号は、富山県立水産高等学校の遠洋漁業練習船の建造、日本国創立記念日の制定、結核教職員休職期間延長に伴う国庫補助、僻地の教育振興戰災都市等義務教育施設整備臨時措置法制定福岡市立月隈小学校移転工事費国庫補助、高等学校の定時制教育振興教職員生活保障等に関するものであります。  本委員会におきましては、以上の請願六十七件、陳情二十七件に関しましては、愼重審議の結果、いずれも趣旨妥当と認め、採択の上、請願第二百五十号及び第六百七十八号を除く九十二件を内閣へ送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、日程第六十六及び第六十七の請願のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  53. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、日程第六十六及び第六十七の請願のほかは内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六十八、東北地方労働省立労災病院及び珪肺療養所設置の請願議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長中村正雄君。    〔中村正雄君登壇拍手
  55. 中村正雄

    ○中村正雄君 只今議題となりました請願第千二百四十九号、東北地方労働省立労災病院及び珪肺療養所設置の請願につきまして、労働委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告いたします。  本請願は、昭和二十五年度中の東北七県内に発生せる労働災害件数は九万余件で、その補償費は一億八千万円余りの多額に上つており、特に東北は多数の鉱山を有するので珪肺患者の発生も顕著なものがあります。然るにこれら災害者は、遠く東京労働病院、北海道整形外科療養所、或いは栃木珪肺療養所に收容されるのでありますが、その不利不便は誠に甚だしいのみならず、これら病院自体も施設狭隘のため自県内の患者さえ完全に收容し得ない現況でありますから、速かに東北地方に省立の労災病院及び珪肺療養所を設立せられんことを要請しておるのであります。  委員会におきましては、審議の結果、願意妥当なるものと認めてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第六十九より第八十一までの請願及び日程第百六より第百八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電力問題に関する特別委員長栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇拍手
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今議題となりました請願二十二件及び陳情五件について、電力問題に関する特別委員会における審議の結果を御報告申上げます。  請願第七百十六号、請願第七百五十二号、請願第八百五十二号、請願第八百八十五号、陳情第二十五号、陳情第九十三号、陳情第百七十一号、陳情第百七十二号及び陳情第九十四号は、全国的電力危機は、全産業は勿論、国民生活にも甚大な影響を及ぼしているから、火力用石炭及び重油の確保、電力ロスの軽減、電源開発工事の促進、地帯間電力融通の強化、使用制限の均等化等を図り、緊急にその打開策を講ぜられたいというのであります。  請願第千百六十四号は、公益事業委員会より発せられた通牒「渇水期における使用制限について」による受電電力容量を加味する制限方式を廃止されたという内容であり、又請願第千十一号、第千十二号、第千十三号、第千七十八号、第千七十九号、第千八十号、第千八十九号、第千九十号、第千二百七十号は、電力不安を除去するため国家資金による電源開発の即時実施、分断による各社の不均衡を是正するため電力需給の一元的運営の強化、及び公益事業委員会を民主的機関に即時改組されたいとの趣旨であります。  次に請願第千百五号は、電源開発促進のため、電源開発助成法の制定、電源開発金庫の設置等により開発を促進し、離島及び僻地に対して自家発電事業に対する融資、長期起債許可の措置をとられたいとの願意であり、請願第四十五号は、豊富な水力電源を急速に開発し、復興計画の実現を期し、又国有鉄道の電化を促進されたいとの趣旨であります。請願第七百五十三号は、新潟県破間川水系須原発電所増強工事を早急に着手されたいとの内容であり、請願第千百六十五号は、電力不足を救うため、関川水系笹ケ峰ダム建設の実現を図られたいというのであります。次に請願第四百八十八号は、宮崎県大淀川第一、第二、両発電所は、戰前、電気化学工業株式会社の自家用発電所として建設されたものであり、電力不足生産の一大障害となつているから、速かに復元されたいとの内容であり、又請願第五百七十九号は、電気事業にかかる公納金保証年限の延長と増額を図られたいとの趣旨であります。請願六百十七号は、積算電力計生産状況が上昇しているにもかかわらず、最近電力会社の購入が僅少となつて積算電力計取付による電力の消費規正と需給合理化を停滞させているので、見返資金の融資の実現、電力会社の計画的発注、計器取付の促進等の措置を講ぜられたいというのでございます。請願第千百七十六号は、美容業者の電力使用量は僅少で、現在家庭線より使用している状況でありまして、現今の電力不足による損失は大きいので、許可制の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。  以上の請願二十二件及び陳情五件につきまして、本委員会におきましては、政府関係者の意見をも徴して愼重審議の結果、それぞれの願意はおおむね妥当と認め、これらを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定をいたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後五時三十五分開議
  63. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続き、会議を開きます。  参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日議長は、衆議院送付の左の内閣提出案を郵政委員会に付託した。  郵便振替貯金法の一部を改正する法  律案本日衆議院から左の内閣提出案を受領した。よつて議長は直ちにこれを大蔵委員会に付託した。  租税特別措置法の一部を改正する法律案本日委員長から左の報告書を提出した。  食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書  日本專売公社法の一部を改正する法律案可決報告書  租税特別措置法の一部を改正する法律案可決報告書  商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案可決報告書  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案可決報告書本日議員から左の修正案を提出した。水産資源保護法案に対する修正案(小林英三君外二十八名発議)      —————・—————
  64. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事古池信三君。    〔古池信三君登壇拍手
  66. 古池信三

    ○古池信三君 只今議題となりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につき、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  御承知の通り、商工組合中央金庫は、中小企業者の協同組合に対する金融業務を目的として、昭和十一年に設立せられた国家的な性格の強い金融機関でありまして、中小企業金融にとり最も重要な機構の一つであります。然るに最近中小企業金融が行き詰りの状態を呈するに伴い、その対策の一つとして商工中金の機能の拡充強化を早急に実現する必要が生じて来たのであります。よつて今回衆議院議員の小金義照君ほか十八名により本改正法案の提出を見た次第であります。  いま、本改正の要点を申上げますと、  第一点は、取引の対象を拡大すること、即ち従来預金受入の対象が中小企業等協同組合だけに限定しておりましたのを今回組合の構成員にまで拡張し、同時に貸付の対象が組合だけに限定せられておりましたのを組合の構成員にまで拡張することであります。  第二点は、業務範囲を拡充すること、即ち商工中金は銀行などに比べて業務範囲が種々制限せられているのでありますが、新たに先ず現行の荷為替手形の保証業務のほかに一般の債務保証業務をも行うこととし、又業務上の余裕金を例えばコールローンに活用するなどのように、銀行等の他の金融機関に貸付けできることにしたのであります。更に国、公共団体、又は他の金融機関の業務の一部を代理できるようにすることであります。  第三点は、商工中金に対する一組合の出資口数の制限を従来の一千口から十倍の一万口に引上げることであります。  当委員会におきましては愼重に審議をいたしたのでありますが、その焦点になりました第一点は、たまたま十一月十五日の新聞紙上に掲載されました商工中金の融資に関する汚職事件の究明であり、その第二点は、第二十八條の改正によつて、組合構成員より直接預金を受入れ、又直接に貸出を行い得るようにする点であり、    〔副議長退席、議長着席〕  その第三点は、本法案と中小企業の年末金融難打開との関連性であります。  いわゆる汚職事件につきましては、四名の証人を喚問し、警視庁捜査当局並びに商工中金側の説明を求めたのでありますが、現在までのところ不正融資の事実はなく、ただ贈收賄について疑点を残しておるに過ぎないのであります。委員から、商工中金における綱紀粛正、殊に今回の改正によつて商工中金の業務が拡張されるので、一層その徹底を嚴重に要請したのであります。第二点の組合員個人と直接の取引を許可することについては、これによつて協同組合の結束力に支障を来たさぬか、改正によつて得られる資金は結局他の中小企業金融機関に向うべき資金が流れを変えて商工中金に集まり、中小企業全体としての資金源充実とはならぬではないか、又このように民間資金を吸收する以上、理事、監事等の選任方法の改正の要はないか、かような点でありますが、政府側並びに提案者側からは、その心配は少く、役員の任免方法も現状のままにして政府の監督を嚴重にするほうがよいとの答弁がありました。第三点につきましては、本改正案が年末金融に対しては効果が薄いのではないかということを中心に、大蔵大臣の出席を要求いたしまして、中小企業の年末金融対策について政府の所信を質し、その善処を要望したのであります。右のほか注目すべき質疑応答が多かつたのでありまするが、詳細は速記録を御覧願いたいと思います。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、境野、佐多、島、松本、山内の各委員より、それぞれ所属党派を代表して次のごとき希望を附していずれも賛成意見の開陳がありました。希望意見と申しますのは、この改正法案による商工中金の業務拡充その他はいずれも必要と認められるが、これを以て差し迫つた年末における中小企業の金融逼迫に資するところは極めて少いと思われるので、主として中小企業を対象とする金融機関の資金源充実に政府は意を用いられたいこと、殊に商工中金に対しては政府出資の増額又は商工債券の資金運用部資金による引受増加が望ましいということ、商工中金の業務拡張は即存の中小企業金融機関と競合するため、金融体系に若干の混乱を生ぜしめる傾向なしとしないので、この点を配慮して中小企業金融の体系樹立を考究して欲しいこと、本法案の成立は、或る意味で商工中金の普通銀行化となるので、中小企業金融機関としての機能を果すよう監視を怠らぬこと等の諸点でありました。  かくて討論を終り、採決に入りましたところ、本改正法案は全会一致を以ちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告を終ります。(拍手
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長岩崎正三郎君。    〔岩崎正三郎君登壇拍手
  71. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 只今議題となりました郵便振替貯金法の一部を改正する法律案につきまして、郵政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず提案の理由及びその内容を御説明いたします。この改正案の骨子は、最近における人件費及び物件費の高騰に伴うところの経費の不足を補うために、郵便振替貯金に関する料金の引上げを行い、又拂出金額の制限額を引上げて利用者の利便を図ろうとするものでありまして、その第一点は、拂込、振替及び拂出の料金と拂出証書の再交付の料金を総体において約二割四分引上げようとするものであります。第二点は、従来加入者が自己の口座に拂込む場合、拂込料金を免除し又は低減しているのでありますが、この規定を悪用して料金の逸脱を図る者がありますので、料金免除又は低減は加入者があらかじめ指定しておるところの一つの郵便局においてする、押込の場合にこれを限定しようとするものであります。第三点は、現在加入者の差出すところの拂出書の金額は原則として一枚につき一万円までとなつておるのでありまするが、これを無制限といたしまして、又拂出請求によつて口座所管庁の発行する排出証書の金額を現在の一万円から十万円に引上げようとするものであります。  本法案の審査に関しましては、各委員より、振替貯金制度の利用を積極的に周知勧奬する必要はないか、又振替貯金の利子引上げの必要はないか、排出証書の最高限度を十万円とした根拠如何など、当局との間に熱心な質疑応答がございましたが、その内容は速記録によつて御覧を願いたいと思うわけであります。  かくて質疑を終りまして、討論に入り、中川委員より賛成の討論がありまして、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上を以て御報告を終る次第であります。(拍手
  72. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  74. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案日本專売公社法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、(以上いずれも内閣提出衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  76. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程になりました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案の内容について申上げますと、第一は、昭和二十五年度において農業災害補償法に基く農作物共済にかかる麦類の共済掛金標準率の改訂に伴い、共済掛金の消費者負担分の増加に相当する金額一億八千七百一方六千円を食糧管理特別会計が負担することとなりますので、これに相当する金額を一般会計から同特別会計に繰入れいたそうとするものであります。第二は、食糧消費者及び生産価格の改訂措置等に伴つて生ずる食糧管理特別会計の支拂資金の一時的不足額を補填するため、百億円を一般会計から食糧管理特別会計に繰入れをいたそうとするものであります。なお、支拂資金の一時的不足を補填するための百億円につきましては、後日食糧管理特別会計から予算の定めるところによつて一般会計に繰戻すこととなつております。本案審議の詳細は速記録によつて御承知願います。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に日本專売公社法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  本案は、今回国家公務員の休職に関する規定が整備せられますので、この機会に日本專売公社の職員の休職に関する規定を整備しようとするものであります。即ち休職の期間については、職員が心身の故障のため長期の休養を要する場合における休職の期間は、従来満一年となつておりますが、これを三年を越えない範囲内で休養を要する程度に応じて総裁が定めることに改め、又休職の期間中の給與については、おおむね国家公務員の場合と同額の給與を支給することに改めようとするものであります。  本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。質疑を終了し、討論に入り、清澤委員から反対の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に租税特別措置法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  本案は、最近における経済情勢の急激な変転に鑑み、企業の有する棚卸資産及び有価証券について、新たに価格変動準備金制度を創設して、これらの資産の価格の低落による損失に備えることとしたほか、土地区画整理又は土地改良事業が施行せられた場合の課税の特例を設ける等の措置を講じようとするものであります。  以下その概要を申上げますと、先ず価格変動準備金制度についてでありますが、この制度は青色申告書を提出する個人又は法人に対して認めるものでありまして、その所有する棚卸資産及び有価証券について、一定限度において価格変動準備金勘定に繰入れた金額を、個人又は法人の所得の計算上必要な経費又は損金に認めることとなつております。次に、土地区劃整理又は土地改良事業が施行せられた場合の課税の特例についてでありますが、換地処分又は交換によつて清算金を取得したときは、清算金の額を再評価額として資産再評価税を課税し、所得税及び法人税は課税しないこととなつております。なお、このほか、国及び地方公共団体に対して贈與及び遺贈があつた場合に、資産再評価税及び讓渡所得税を課税しないこととし、又森林法により立木の伐採制限を受けた者に対して農林漁業資金融通法によつて伐採調整資金の貸付が行われた場合の抵当権の取得の登記については、その登録税を現行の債権金額の千分の六・五を千分の一に軽減し、外国人が対外支拂手段の提供によつて取得した株式の配当等に対する源泉徴收税率を百分の十に軽減し、又外国人に対する退職所得の課税の特例を廃止する等の措置が講ぜられております。而して本案は衆議院において、証券投資信託の信託財産に属する株式又は出資について、支拂を受ける利益の配当又は剰余金の分配による所得に対しては、源泉徴收をしないこととする趣旨の一條を追加修正せられております。  本案審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。質疑を終局し、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  77. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  79. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に日本專売公社法の一部を改正する法律案全部号問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  80. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  81. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に租税特別措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  82. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、水産資源保護法案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。    〔木下辰雄君登壇拍手
  84. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今議題となりました水産資源保護法案につきまして、水産委員会における審議の経過及びその結果につき御報告いたします。  この法案の提案理由について簡單に申上げますと、由来我が国は四面海に囲まれ、特に水産業には地理的に惠まれた環境にありまして、水産の資源は無盡蔵であると考えられるほど豊富であつたのであります。然るに戰争中から戰後にかけて不適当なる漁獲を行なつて来た一方、他産業との関係におきまする水質の汚濁その他人為的障害の影響を受けまして、最近まで無盡蔵であると信じておりました我が国沿岸の水産資源は年と共に荒廃して参りました。その上に、戰後漁業者の人口が著しく増加いたし、漁船の数も勢い増加しましたために、漁獲量がだんだん減少するに至つたのであります。この実情を正しく認識し、速かに水産資源保護に対し万全の策を講じないならば、遂には資源を枯渇せしめ、漁業の悲運を招来して、悔いを百年に残すばかりではなく、水産業を破滅に陷れる危險さえあるのであります。ここに適当なる対策を立て、適正なる最高漁獲量を恒久的に確保することが最も必要なる事柄でありまして、現下我が国の水産事情から申しましても、又国際関係、特に隣接国との漁業協定から考えましても、看過することのできない極めて重要な刻下の喫緊事であると確信するものであります。これは、もとより、現行漁業法に基く水産動植物の繁殖保護、取締規則の励行を期するは当然でありますが、もはや、このような消極的な方法によつて、水産資源の枯渇を防止して、資源確保を図らんとしても、これは余りにも遅きに失する感があるのであります。従いまして、これが対策として、一刻も早く積極的な水産資源の保護培養を図ることが、我が水産業を救うべき道であると考えるのであります。而してこの目的達成のためには立法的措置によつて水産資源を保護せんとすることが本法案提出の理由であります。而してこの法律案は、衆参両院の水産委員会の共同調査及び立法事項として、昭和二十五年四月以来、衆参両院の水産委員会が中心となりまして、それに業界各層の意見も十分取入れて作成し、更に両院協議の上、今回衆議院から提案されたものであります。  次に本法案の内容について簡單に御説明申上げます。  その第一点は、農林大臣又は都道府県知事は水産動植物の保護培養の必要上、水産動植物の採捕、販売、移植を初め、有害物の遺棄又は漏泄、その他保護培養に副わないものには、制限又は禁止をできるように規定しているのであります。  第二点は、農林大臣は水産資源の保護のため必要があると認めるときは、許可漁船の定数を定め、若し定数を超過している場合には許可の取消及び変更ができるようにいたし、又漁業の種類、漁獲物の種類及び水域別に漁獲の年間の最高限度を定めて、関係者又はその団体に勧告することができるように規定したのであります。  第三点は、農林大臣は、水産動植物の産卵場、稚魚の生育する海面等を保護水面に指定し、管理計画を立て、知事に運営せしむることといたし、又、大臣は「さけ」「ます」の人工孵化放流を実施し、保護するように規定したのであります。第四点は、農林大臣は水産動植物の種苗の確保のためその生産及び配付につき指示できるようにすると共に、資源の保護培養に必要と認められる漁業には科学的調査をしなければならないようにしたのであります。なお、本法案には、漁業法中の水産資源保護に関する條項十二カ條及び水産資源枯渇防止法の全部を包含いたしておるのであります。従つて水産資源枯渇防止法は廃止となります。  以上が本法案の大要であります。  而して本法案は本月二十二日及び二十四日の委員会におきまして愼重審議を重ねましたが、質問応答の内容等につきましては、速記録を御覧願いたいと思います。但し、一つだけを申上げます。「本法第十八條は、保護水面の区域内において埋立若しくは浚渫の工事、又は水路、河川の流量若しくは水位の変更を来たす工事をしようとする者は、政令の定めるところにより、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣の許可を受けねばならぬ。こういうふうになつておりますが、河川法等との関係はどうであるか」という質問がありました。これに対して政府は、「この保護水面というのは魚介類の産卵、育兒の重要な海域である。これを十分に保護しなければ沿岸漁業の壞滅を来たす虞れがある。河川法等の関係については十分に協議をして、万違算なきを期するつもりである」との答弁がありました。又「他省との関係については、政令を定める際に十分検討して、法の円滑なる運用を期するつもりである。」こういう答弁があつたのであります。その他の質疑応答は先に申しましたように速記録によつて御覧願いたいと思います。  而して討論に入りましたところ、各委員から、目下日米加三国の漁業條約の会談が進行しているが、この会談の骨子は水産資源の保護培養にある。これに鑑みても、この法案は我が国として一日も早く成立せしめて、他国に対し日本の漁業政策を明らかにする必要があるという賛成意見、又、この法律は漁業法と並んで我が水産業の進展に極めて重要な意義を有する内容であるが、他省との関係又は他の法律との関係もあるから、その運営に当つては本法の趣旨を十分に体して、空文に終らないように当局の努力を切望するという意見を付した賛成がありました。かくて討論を終了し、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本法案に対し、小林英三君外二十八名より修正案が提出されております。この際、修正案の趣旨説明を求めます。小林英三君。    〔小林英三君登壇拍手
  86. 小林英三

    ○小林英三君 私は、この際、只今上程になりました水産資源保護法案に対する修正案の提案理由につきまして御説明申上げたいと存じます。  修正案の内容につきましては、お手許に配布されておりまする印刷物によりまして御覧を願うこととし、この際、朗読を省略させて頂きたいと存じます。  我が国産業の大宗でありまする漁業の発展に寄與いたしますることを以てその提案理由といたしておりまする水産資源保護法案趣旨につきましてほ、衷心より賛意と敬意とを表するものでありまするが、ただその内容に関し、若し運用を誤まるときは、他の産業並びに施設の上におきまして重大なる影響を及ぼしはしないかと考えられる点がございまするので、修正案はこの点を法文の上に明らかにいたしておきまして、本法案の円滑なる運用に寄與いたしたい所存であるのであります。  即ち第一点といたしましては、原案第四條第四号及び第五号に関するものでありまして、この点、修正案におきましては、河川法、砂防法との調整を図るために別に一項を設けることといたしましたのであります。なお、原案第四條第四号は、水産動植物に有害な物の遺棄又は漏泄、その他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止に関する省令又は規則を定める権限を、農林大臣又は都道府県知事に與えんとする條項でありまして、これは水産資源の保護培養の見地からいたしまして十分理解ができる事柄であります。従いまして我が国の鉱工業者におきましても、非常にこの水質汚濁の問題につきましては従来より十分考慮が拂われ、又折角鋭意研究中のものもあり、或いは施設によりましても、これが除去に努力が拂われておるのではありまするが、ただ本法案の通過によりまして、仮に、かかる制限又は禁止に関する省令又は規則を定める権限が農林大臣又は都道府県知事にのみ與えられて、一方的にその発動を見るがごとき場合におきましては、鉱工業者の努力もために水泡に帰し、我が国鉱工業の発展に重大なる支障を来たす虞れがあるのであります。よつて本修正案におきましては、農林大臣が右のごとき省令を定め、或いは同條同号に関する規則につきまして都道府県知事に認可を與えようとするような場合におきましては、あらかじめ鉱工業の主管大臣である通産大臣と十分協議して、妥当なる結論を得た上において決定することが適当であると考えたのであります。  第二点は、本法案第十八條についてでございますが、同僚は第十五條以下に規定されまする保護水面内の工事制限に関するものでありまして、原案におきましては、保護水面内における埋立、浚渫、水路工事、即ち治水、砂防に関する工事及び河川の流量、水位の変更を来たす工事、即ち水力発電、灌漑、水道等の各種の利水工事、これらをなさんとする者は、政令の定めるところによりまして、当該保護水面を管理するところの都道県知事又は農林大臣の許可を受けねばならぬことに相成つておるのであります。而も原案の第十五條によりまする保護水面なるものは、農林大臣の指定するところでありまして、申すまでもなくこの保護水面は河川法の適用河川又は準用河川並びに砂防法による指定地に対しましても設定されることも勿論あるわけでございます。然るに、すでに前述のごとき各種工事の制限というものは、河川法第十七條乃至第十九條並びに砂防法第四條によりまして規制せられておるところでありまして、かくては当該工事者は建設大臣並びに農林大臣の二者によつて二重の許可を得なければならぬ結果に相成りまして、これが運用を誤まるときは極めて複雑なる手続の下に悩まねばならぬことも予想されるのであります。今日災害復旧工事の促進或いは電源の開発等は現下の国家的要請でございまして、このような情勢下におきまして、河川に関する諸施設をかかる二重の規制の下に置くことは策を得たるものとは認めがたいのであります。よつて工事の制限に関しては、適用河川又は準用河川並びに砂防指定地は十八條の制限からこれを除外するを適当と考えるのであります。さりながら、一方的に治水、利水の立場のみを強調いたしましても、本法案の目的に副わない場合も考えられまするので、かかる水面が本法案のいわゆる保護水面に該当いたします場合におきましては、工事の施行又は許可に関しまして、建設大臣又は地方行政庁は、あらかじめ当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣に協議して、万違算なきを期せしむることを適当と認めた次第でございます。  更に第三点といたしましては、第十八條に関連いたしまして、本條項と港湾法との関連上、保護水面における港湾工事施行の調整を図る必要があるのでございます。即ち港湾区域にかかる保護水面における港湾工事に関しましては、許可の食い違いを避けるために、関係者の協議に待つことに修正をいたし、その他、原案第二十四條及び三十五條中、法律上不備の点につきまして多少の修正をいたした次第であります。  即ち本修正案は、以上申しましたごとく、水産資源の保護に関しては十分にこれを支持し、尊重し、これに加うるに鉱工業の発展及び水の一体性を考慮いたしたのでありまして、本法案の円滑なる運用に寄與せんとするものでありますから、この点、十分御賢察の上、本修正案に御賛成あらんことを切に希望いたしまして、本修正案の提案理由説明といたす次第であります。(拍手
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 修正案に対し討論の通告がございます。発言を許します。栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇拍手
  88. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今上程になりました水産資源保護法案及び同一部修正案に対しまして、日本社会党第二控室を代表いたしまして、修正案及び修正部分を除いた原案に対して賛成をいたすものであります。  水産資源保護法案の立案趣旨であります水産資源を保護培養することと、我が国漁業の国際的信用を回復いたしますることには、衷心より賛意を表する次第であります。ただ、その内容につきまして、以下述べます二つの條項につきましては、その運用の如何が我が国鉱工業の発展及びその基盤である電源開発に重大なる影響を及ぼす虞れがありますので、修正の必要を認めるものであります。  第一点は、第四條第一項第四号でありまして、同規定によりますると、農林大臣又は都道府県知事は、水産資源保護の見地から、省令又は規則を以て水産動植物に有害なものの遺棄又は漏泄その他水産動植物に有害な水質の汚濁に関しまして制限又は禁止をすることができることとなつております。我が国の鉱工業者はこの水質汚濁防止に関しまして目下懸命に研究し努力を傾けておるのでありまして、鉱工業方面によつてこの防止が漸次実現しつつあるのであります。然るに、この際直ちに水産資源保護の見地のみから制限禁止を行いまするときには、我が国鉱工業の発展に重大な支障を来たす虞れが多分にあるのであります。よつて、この制限禁止の省令又は規則を定め又は認可をしようといたしまするときには、鉱工業の所管大臣でありまする通商産業大臣と十分協議いたしまして、鉱工業の発展と水産資源保護との二つ目的を調和的に達成し得るようにする必要がございます。これ故に、第四條の原案に反対をいたし、修正案に賛成をいたすものであります。(拍手)  第二点は、第十八條でございまして、同規定によりますると、保護水面に指定された区域内では、水力電源開発のためにする埋立、浚渫工事、水路、河川の流量若しくは水位の変更工事につきましては、政令の定めるところによりまして、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣の許可を受けなければならないのであります。又これらにつきまして、許可を受けないでなされました工事が当該保護水面の管理に著しい障害を及ぼすと認めましたときは、当該工事の施行者に対しまして、当該工事の変更若しくは当該水面の原状回復が命ぜられることとなつているのであります。第十五條によりますると、河川法の適用河川又は準用河川の水流水面につきまして、保護水面が指定され得るわけでありまして、これらの水流水面につきましては、河川法第十七條乃至第十九條によりまして、すでに前記各種工事についての規制がありまする上に、本法案によりまして更に規制を受けるということになりますれば、当該工事者は建設大臣並びに農林大臣の二者により二重の許可を受けなければならないことになるのであります。電源開発の急速な実現が現在国家的に要請せられております。然るに、一方では水産資源保護の目的で、他方では水の利用、治水等の河川管理の目的を以ちまして、この目的を異にする二重の規制が加えられることになりますると、水力電源開発工事について、それぞれの立場からの各種の制限が加えられ、又許可を得るのに長い日子を要する虞れがありまして、電源開発の急速な実現に重大な支障を招く虞れがあるのであります。よつて保護水面の区域内における水力電源開発工事の許可に際しまして、従来からの河川管理者たる建設大臣又は地方行政庁は、あらかじめ当該保護水面を管理する都道府県知事若しくは農林大臣に協議をいたしまして、電源開発に支障なからしめる必要があるのであります。この故に、第十八條の原案に反対をいたしまして、修正案に賛成をいたすものであります。  最後に、同一の河川水面につきまして、本法案による水産資源の保護のほかに、河川法による治水及び利水、工業用水の確保、電源の開発等、多面的な目的がそれぞれ追求せられておるのが現状でございます。従いまして、河川水面につきましては、これらの多面的な目的達成し得るように、時代の変遷に伴う総合的な施策が必要であると存ずるのでございます。  本法案は去る二十二日衆議院で議決せられまして、中一日の休日をおいて二十四日本院水産委員会で可決せられたのであります。併し前にも述べましたるがごとくに、同一の河川、水面を対象といたしまして、多面的な目的達成が必要なのであります。従いまして、河川水面に関係を有しております建設、通商産業、電力特別の各委員会への連絡が不十分でありましたことは、本法案が、立法の基本原則でありまする我々が十分育成して行かなければなりませんところの議員立法として提案せられておりまする点に鑑みまして、手続上いささか遺憾であつたと言わなければならんのであります。(拍手)誠に奇妙なことでございまするが、この重要法律案が参議院水産委員会で可決をせられまして、本会議に上程の手続が進められますまで、参議院の関係委員会は勿論のこと、行政府におきましても、関係各省間において事前の連絡が殆んどなかつたようであります。(拍手)伺うところによりますると、本法律案政府提案といたしまするためには、各省間の微妙な関係からいたしまして、原案のごとき内容を以てする成案がむずかしいので、議員提案となつたとの風評が頻りであります。(「怪しからん」と呼ぶ者あり)議員立法は飽くまでも立法の基本原則でありまして、熱心な議員諸君の研究の結果が固まつて法律案となり、且つ愼重に審議されるのが建前でありまして、今回の法律案の取扱につきまして起つております風評が若し事実であるといたしますならば、まさに議員立法の邪道と申さなければならんのであります。(拍手)併し幸いにして関係議員諸君の深い御理解により、修正案を本会議に提案いたすことができまして、犯さんとする誤りを未然に正し得ましたことは、誠に御同慶に堪えないのであります。(拍手)私は、河川水面の多角的な目的達成のためには、更に総合的な考えによりまして河川関係法規の根本的な再検討の必要を痛感いたしておりまするが、この根本的再検討は後日に讓ることといたしまして、今回は、原案の中で従来なかつた新規定のみにつきまして、その円滑な運用を図りまするためには、是非とも只今賛成を述べましたるところの修正個所について各位の御賛同を得まして、そうして修正案が通過いたしまするように切望いたしてやまないものであります。  一言賛成の意見といたします。(拍手
  89. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  先ず大林英三君外二十八名提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  90. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本修正案は可決せられました。      —————・—————
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に只今可決せられました修正の部分を除く残り全部を問題に供します。残り全部に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。残り全部は可決せられました。よつて本案は修正議決せられました。  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 無畜農家解消に関する決議案  一、日程第三 昭和二十六年度における給與の改訂に伴う国家公務員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律案  一、日程第四 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定による年金の額の改定に関する法律案  一、日程第五 旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案  一、日程第六 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第七 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第八 裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案  一、日程第九 恩給法の一部を改正する法律案  一、日程第十 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十一 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案  一、日程第十二乃至第十四の請願  一、日程第八十二乃至第八十四の陳情  一、日程第十五乃至第二十四の請願  一、日程第八十五及び第八十六の陳情  一、日程第二十五乃至第六十七の請願  一、日程第八十七乃至第百五の陳情  一、日程第六十八の請願  一、日程第六十九乃至第八十一の請願  一、日程第百六乃至第百八の陳情  一、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案  一、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案  一、食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案  一、日本專売公社法の一部を改正する法律案  一、租税特別措置法の一部を改正する法律案  一、日程第二水産資源保護法案