運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-10 第12回国会 衆議院 労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十日(土曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 吉武 惠市君    理事 森山 欽司君 理事 青野 武一君       金原 舜二君    船越  弘君       三浦寅之助君    石田 一松君       赤松  勇君    受田 新吉君       今野 武雄君    中原 健次君  出席政府委員         大蔵事務官         (日本專売公社         監理官)    久米 武文君         労働政務次官  山村新治郎君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    松崎  芳君         日本專売公社総         裁       秋山孝之輔君         参  考  人         (全專売労働組         合中央執行委員         長)      平林  剛君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員         長)      今井 一男君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 十一月九日  委員大矢省三君及び今野武雄辞任につき、そ  の補欠として受田新吉君及び林百郎君が議長の  指名委員に選任された。 同月十日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として今野  武雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月九日  労働基準監督行政職員行政整理反対の請願(  中原健次君紹介)(第九一四号) の審査を本委員会に付託された。 同月八日  労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書  (第六一一号)  道費又は国費による失業対策事業拡大並びに  国庫補助額増加等に関する陳情書  (第六一二号)  緊急失業対策事業全額国庫負担に関する陳情  書(第六一  三号)  職業補導事業国庫補助率増加に関する陳情書  (第六一四  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第一号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、議決第一号を議題といたし、前会に引続いて質疑を継続いたします。  この際山村政府委員より発言を求められております。これを許します。山村政府委員
  3. 山村新治郎

    山村政府委員 先般の当委員会におきまして、委員長から、公労法第十六條第二項によりまして、国会承認があつた場合、政府協定履行のために、必要な予算案提出をする法律上の義務があるかという問題についてのお尋ねがあつたのでございますが、この問題につきましてお答えを申し上げます。  公労法第十六條第二項によりまして、国会承認がありますると、その協定は、それに記載された日付にさかのぼつて効力を発生するものでありまして、公社組合との間には法律上の債権債務は生ずるわけでございます。この場合政府協定履行のために必要な予算案提出する義務は、公労法條文からは出て参らない次第でございます。しかしながら国会承認した協定を履行するために必要な予算案国会提出することは、公労法全体の精神から見て、政府国会に対する政治的責任であると同時に、大蔵大臣専売公社監督官庁といたしまして、履行すべき予算のない債務専売公社に負わしめるだけで、これに対する予算的裏づけをしないということは、道義的に考えてあり得ないと考えておる次第でございます。
  4. 森山欽司

    森山委員 ちよつと関連して……。公共企業体労働関係法から、政府義務が出ないという今の御説明だけでは、ちよつと納得できないのです。もう少し詳しく御説明願いたいと思います。それでは法律的関係がはつきりしない。公労法だけを見ますと、政府は拘束されるようなふうに私ども考えるのです。これは他の法令との関係があるのだと思いますから、御説明願いたいと思います。
  5. 松崎芳

    松崎説明員 今の政務次官答弁を少し敷衍て申し上げますと、公労法十六條におきましては、第二項によつて国会による承認があつたときは、この協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生するものとする。」と書いてあります。そういたしますと、国会承認という行為がありますと、公社組合との間におきましては、法律上の債権債務関係を生ずるわけであります。ところが政府につきまして、その国会承認いたしました裁定案履行のための予算案国会提出する義務というものは、公労法を探してみますと、一條の二項におきまして、「国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関與する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張不一致を友好的に調整するために、最大限労力を盡さなければならない。」と書いてありまして、この「関係者」の中には公労法十六條にいいます政府も、当然入つていると見るべきであります。そういたしますと、「経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張不一致を友好的に調整するために、最大限労力を盡さなければならない。」という法律上の努力義務は、政府はもちろん持つております。しかしこの努力義務に違反して――そういうことはあり得ないということを今政務次官から御答弁があつたわけでありますが、もしそういうことがありましても、法律違反であるというのには少し足りないじやないかというふうに考えております。それから専売公社法の第三十五條に――これは専売公社法改正になります前は財政法適用を受けておつたのでありますが、改正なつた後におきましては、財政法適用がはずれまして、専売公社法第三十五條で「法律に基くもの又は歳出予算の金額の範囲内におけるものの外、公社債務を負担する行為をするには、あらかじめ予算をもつて国会議決を経なければならない。」というふうに書いてありまして、これは専売公社法律に基いて債務を負担したという場合におきましては、あらかじめ予算をもつて国会議決を経る必要がないというふうに読む規定でありますが、政府については、その協定を履行するための必要な予算案国会提出しろということは毛頭書いてないのでありますが、結論におきまして、政府といたしまして、こういう協定国会承認がありました後におきまして、それに必要な予算案国会提出しないというようなことは、全然これは公労法の全体の精神から見ましてもあり得ないことでありますし、また監督官庁として、専売公社予算を支払う財源がないにかかわらず、そういう債務を負わすというようなことは、全然これは予想し得ないと考えておる次第であります。
  6. 森山欽司

    森山委員 日本専売公社法の三十五條規定を引用された点については、現行の法律文理解釈だけからいえば、一応そういうよう考えられます。しかし一応憲法を読みますと「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会議決に基くことを必要とする。」という八十五條規定があります。この八十五條憲法精神から考えますと、この専売公社法の三十五條規定というのは、少しそのわくを小さくしてある。それと同じ規定財政法の十五條にもあるわけであります。全然同じ文句であります。従つて文理解釈だけから申しますと、これはなるほど法律上の義務を生じないというよう結論は出るかもしれません。しかしながら憲法精神、それから公共企業体労働関係法精神から見まして、協定がまとまらなければ調停調停がだめならば仲裁裁定行つて、そうしてそこに国会承認を経ても、しかもなおそれが政府を拘束しないというよう政府解釈になつて参りますと、政府公権的解釈というものは、結局この公共企業体労働関係法というものを全然骨抜きにする。少くとも十六條というものは完全に骨抜きにするということになると私は思うのでありますが、政府のお考えはいかがでございますか。
  7. 松崎芳

    松崎説明員 公共企業体労働関係法といいますのは、専売公社国有鉄道とその従業員との間の労働関係規定した法律でありまして、政府とそれらの公共企業体従業員との間の労働関係ということは、予定していない法律なのであります。でありますから、公社労働組合に対して債権を持ち債務を背負うということは、公労法から当然出て参りますが、その間に政府が出て来るというのは、この公労法十六條の規定によりまして出るだけであります。そういたしますと、さつきも申し上げましたように、政治上の責任というものは当然負うべきでありましようが、法律上の責任として、政府国会承認された協定ないし裁定を履行するための予算案提出しないから、法律違反だというところまでは、ちよつと言いかねるのではないか。しかしもちろんそうだから政府はそういう予算案を出さないのでありますという意味では毛頭ないのでありまして、出すべきなのは当然なことでありますけれども法律論としては、法律上の責任ありというふうに積極的にちよつと言いかねるのではないかと思うのです。
  8. 森山欽司

    森山委員 公共企業体労働関係法が、公社労働組合関係を律するものであるといたしますならば、十六條の解釈というものは、そういう裁定が出るとするならば、これはもう当然実行し得るよう解釈にして行かなければいけないと思う。政府公権的解釈というものは少しひんまがつておるものですから、私はそういうよう結論が出るのじやないか、こういうふうに考えるのです。あなたのおつしやるように、公社労働組合の間だけを律するものだとするならば、それだけでもう完結した結論が出なければならぬ。ところが実際問題としては、今の政府公権的解釈通りやると、最後の終点に行つてもまだこれは法律的にはかつこうがつかない。一体そんな解釈が正しいのかどうか。この際政府公権的解釈を改める必要を、ひとつ良心的に考えてお持ちにならないかどうか。
  9. 松崎芳

    松崎説明員 その点につきましては、一昨年来非常にこの裁定につきまして法律論争がかわされた点でありまして、私たちといたしましても、この前も森山委員がおつしやいましたように、悪法もまた法なりではいかぬのでありまして、悪法善法よう解釈して行くのが、正しい法律解釈だと思いますけれども公労法十六條という規定そのものにつきましては、今日の状態におきましては、私の申しましたよう解釈しかとれない。でありますから、問題は立法論として考えるべきであろうというふうに私たち考えて、現在政務次官から御答弁いたしましたように、労、使、中立、三者構成労働関係法令審議委員会で、何分の御検討を願うという態度をとつておる次第であります。
  10. 森山欽司

    森山委員 しからば、文理論としては政府のいかんともいたし方ないと言われますが、立法論としてどの程度までお進みになつておるかをもし伺えれば幸いでございます。その前にちよつと伺つておきたいのは、結局公共企業体労働関係法第十六條というものは、国鉄裁定の際も非常に問題になつた、その後予算総則の中に給與総額というものを公共企業体だけに特に織り込んだ。一体こういうことは労働省――少くとも労働省事務当局と十分御連絡の上におやりになつたかどうか、あなた方よく御存じだと思うので、ひとつそういうことが事前に十分連絡してなされたかどうか、参考のために伺わしていただきたい。
  11. 倉石忠雄

    倉石委員長 森山君、法律を決定することは国会がやることであつて提出するときのことですか。
  12. 森山欽司

    森山委員 提出するときのことです。
  13. 松崎芳

    松崎説明員 まず第一点の現在の法律改正進捗状況といたしましては、昨日、一昨日にかけまして、やつと本論に入りまして、昨日は公務員、公共金業体職員、それから公益事業従事者のいろいろな団体権団体交渉権、それから争議権の問題について労使双方議論が平行的にかわされて、その結論は出なかつた次会は二十日というふうに、委員さん方は非常に熱心におやりくださいますから、おそらく年内には何らかの結論が出るのじやないかというように期待しておる状況であります。でありますから、この公労法十六條について、今までいろいろな議論が出たかといいますと、これは全然出ておりませんが、将来おそらく出るであろうというふうに考えております。  それから今の予算総則の問題について、事務当局話合いがあつたかどうかということにつきましては、これはもう国会最高権威でおきめになつた後、事務当局話合いがなかつたからむくれるとかいうことはできないのでありまして、これは答弁をかんべんしていただけると思つております。
  14. 森山欽司

    森山委員 ぼくは委員長から御注意がありました通り国会は国権の最高機関で、唯一の立法機関でございますので、きまつた後のことを申し上げておるのではない。とにかくこういう法律最初の立案に当られた労働省当局が、法律骨抜きになるよう給與総額を設けることは、一応普通の立法経過から申しますと、話合いがあるべきはずだと私は思うのであります。あつたかなかつたかということを念のために承つておきたい。それはひとつ率直に申していただきたい。
  15. 山村新治郎

    山村政府委員 政府といたしまして提出いたします原案でございますので、いずれ事務次官会議を経てのことでございますので、事務的にも連絡があつたことと、私は当時関係いたしておりませんが、了承いたすものでございますが、当時おそらく当委員会にもかかつたことと推察いたす次第でございます。
  16. 森山欽司

    森山委員 なかなか労働次官非常にうまいお答えをされるのでありますが、私はそのお答えは、形式的には一応納得してもよろしゆうございますが、実質的には相反するものがあるのであります。少くとも労働省が深刻な御検討をなさつたとするならば、予算総則の中にああいう給與総額というようわくをつくりまして、そうして公共企業体労働関係法というものを骨抜きにし、少くとも十六條を骨抜きにするようなことを、まさか労働省の方が納得されて、あれをお示しになつたとは私は思いません。もしそういうことをやるといたしますと、少くとも国鉄あるいは専売労組の戰闘的な分子は、労働省を目して敵であるというような認識を持たざるを得ないのではないか。私はそういうことがないように希望しておるのであります。念のために一応お伺いしておく次第であります。あと質疑がございますので、私の質疑はこれで打切ります。
  17. 中原健次

    中原委員 ちよつと関連して伺います。ただいまいろいろ卓越した御議論を聞いたのでございますが、私はこの場合、仮説的に一つ法律論理をもてあそぶ必要はない、むしろ政府当局が今具体的に提出されている専売裁定を励行するための財源、それがしかも専売公社当局にあるということが大体うかがわれる。そういう場合に、政府がそれに対して、誠意を傾けての決意をするということが必要である。それであるならば、きようのこの席上にまず大蔵大臣がみずから進んで出席をして、そのことを明らかにすべきじやないかと思うが、そういうことができておらない。なぜそういうことができないのかということが一つ。  それからもう一つは、先ほどからの法理論の中で大体考えられたのでありますが、確かにこれは、公共企業体労働関係法並びに専売公社法というものは、もちろん国会がきめたわけです。そのきめた国会意思というものが、さらにこの裁定を実施すべし、こういうことを結論される場合にはどうなるかということが、今の議論だと思うのであります。そうなりますれば、実施すべしと結論したときに、それもまた国会意思なんです。従つてそれを善意にくみとつて、これを忠実に履行するために決議すべきだ、私はこのように思います。だから法律のいわゆる重箱のすみをほじくり合うて、少しでも法理的にのがれるようにする論理研究するのでなくして、立法精神善意従つて、できるだけこれを肯定するような方向へ論理を持つて行くのが私は妥当だと思う。ただいま森山委員の御質問も、そういうところにねらいがあつたと思うのです。そうでありますと、法規課長法律的な御研究の御発表もありがたいのでありますけれども、これはまた別の研究の機会に讓つていただけばよろしい。きようの場合はそういうことでなしに、もつと政治的に責任を負わなければならないという、この政治的責任を負うための結論を出すべく、誠意を傾けて、政府関係当局がすべてここに席を列せられて、ほんとうにやるということを結論していただけば、それで足りると思うのです。そのためには三十分もあれば足りると思う。そのよう措置をひとつお願いしたい。だからきようはひとつ大蔵大臣にどうしても出てもらいたい。大蔵大臣がどのように忙しいか知りませんけれども、ここへそれだけの時間をさくことができないほどに、目がまわつてはおらぬと思います。大蔵大臣もぜひひとつ呼び出していただきたい、このように思います。今労働政務次官答弁を要求しなくとも、政務次官の心持はよくわかつておりますから、ひとつ大蔵大臣をぜひ呼び出していただきたい、この点お願いいたします。
  18. 倉石忠雄

    倉石委員長 大蔵大臣の問題については、委員長において適当に出席のできるように処置いたします。それでは青野武一君。
  19. 青野武一

    青野委員 私はまず最初に、組合側平林委員長に一、二点お尋ねいたしまして、あわせて秋山総裁から、その委員長答弁が大体事実であるかないかをぜひひとつ答弁をお願いしたい。順序を追うて五、六点御質問申し上げたいと思いますが、第一点は、二点と非常に関係が深いので、あわせて御質問いたします。今の専売公社所要人員についてお尋ねしたいと思いますが、本年の四月以降は新規採用していないように聞いておりますが、それははたして事実であるかどうか、その理由を承りたいと思います。あわせて現在の職員の総数はいくらあるかということが第一点、それとあわせまして、本年度タバコ専売收益については、歳入予算が一千五百十億円となつておりますが、各月の平均が百二十五億円の予定をはるかに上まわつて従つて今年の四月から八月までの五箇月間において、タバコ売払い予定額に対しましては、六十七億円程度増加を示している、こういうことを私どもは聞いております。これは労使の協力によると私ども考えておりますが、その大体の内訳と理由を第一に御答弁を願いたい。二つ一緒に合せて、まず委員長お尋ねして、事実であるかないか、秋山総裁にあわせてお答え願いたい。
  20. 平林剛

    平林参考人 四月以降の新規採用についてどうかというお尋ねでありますが、この点についてはおおむね一般的に申し上げたら、そういう方針を公社はとつておりません。これは前回も私から申し上げました四月以降九月における人員の対比において、明瞭に減少しておる通りに、補充措置が行われておらないことで明らかであります。現在の人員につきましては、いろいろの角度から調査をするので、多少の相違はございます。私ども組合員の数を中心にして調べる、こういうことでありまして、多少の数字の違いはございますが、現在人員は正確な数字は記憶しておりませんが、三万八千四百数名だと記憶いたしております。  それから第三の四月以降の専売益金が、予定以上にあつたかどうかということは、最初私から意見を申し上げましたように、八月末までに約六十七億の増加を見たというふうに、私ども販売実績から資料を得ました。その後も若干の増加をいたしておる、かように把握をいたしましたが、これは專売公社の方の販売実績調べから、私ども得た結論でありまして、正確なことは公社の方がよく御存じのはずであります。
  21. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまお尋ねの第一期における製造数量増加及び販売数量増加は、ただいま青野委員のお話の通りでありまして、これはもちろん一方的な経営者努力ばかりでなしに、労務者の協調、努力もこのうちの大きな部分を占めておると思います。なお新しい人員採用ということは、御説の通りに差控えておりますけれども、特殊の技能者、やむを得ざるもの、そういう人はやはり採用いたしております。こまかい数字につきましては、当該の係の者に説明いたさせたいと思いますから御了承願います。
  22. 青野武一

    青野委員 あとから書類ででもよろしいと思いますから、その点は私の手元までひとつお送り願いたいということを希望いたします。  第二点は、これは秋山総裁お尋ねしたいと思いますが、今度の臨時国会で問題になつております政府の本年度補正予算において、専売收益を四十五億と見込んでおる。タバコ製造量を約二十八億本増加して、大体八百四十八億本の製造要請しておる。これは非常に要請量が多いのでありますが、こういうことの目的を達するためには、人員補充をするとか、あるいは新規採用をするとかいつたようなことが考慮のうちに置かれておりますかどうかということをお尋ねしたい。
  23. 秋山孝之輔

    秋山説明員 御説の通り増製は非常に多数の要請であるのでありますが、工場方面技能におきましても、相当戰争後六年の経過中に熟練もいたし、また能率増進もやつておりますために、製造数量販売数量というものも、私正確な数字は記憶しておりませんけれども、相当にふえております。しかしそれだけではなかなかできないわけでありまして、これに加えるに超過勤務というものも相当考慮されて、今日の計画が立てられておるのであります。なお人員増加におきましても、来期の予算に計上するつもりでやつておりますが、そういうようなことで、増製計画しておる次第であります。
  24. 青野武一

    青野委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、大体特別な熟練工は採用する、あるいは超過勤務手当を支給して努力してもらうという秋山総裁の御答弁はよくわかりますが、大体こういう増産計画目的を達成しようとすれば、現在では相当無理が来ておるのではないか、この点につきまして重ねてお尋ねいたしますが、私どもの手に入つております資料が正確な数字かどうか知りませんが、大体昭和二十五年四月ころには一人当り製造本数が三十一万六千本程度であつた。ところが人員補充新規採用しない今日、二十六年八月では、八万二千本多い三十九万八千本程度を今生産しておる。これは一年間でございましようが、補充をしないために、一人の製造本数が一年間八万二千本も多くつくらねばならぬ、この点だけでも相当無理がある。しかも八百四十八億本を製造せよということが補正予算ではつきりしておりまするときに、こういう無理をすれば、勢い専売公社職員諸君労働力超過提供の要求をするように私どもは思う。一方においては、政府仲裁裁定に対しては公労法十六條をたてにとつて出すことについて出し澁つておるが、反面においてはこういう無理を強行しておる。これは数字の上から見ましても明らかでありますが、これらの点について平林委員長並び秋山総裁山村労働次官はどうお考えになつておるか。一方においては仲裁裁定に基くものは出さないで、一方においてはこういう無理を強行する。そういうことではたして専売公社職員諸君労働意欲を高揚させて、労使が渾然一体にたつて生産の増強のために努力し得るものであるかどうか、こういう点についてひとつお答えを願いたい。
  25. 平林剛

    平林参考人 ただいまのお答えに入る前に、先ほどの数字についで申し上げますと、私ども調査では四月に三万九千五百五十名、七月一日の調べで三万八千八百十七名、かよう数字になつております。  ただいまおつしやられたように、一人当り製造本数もそれに伴つて増加をして参つたのであります。さようなことで、実際上私ども労働條件は、数字の上からも、あるいは現実の組合の声から行きましても、最近とみに加重して参りました。私ども組合の内部におきましては、たとえば一年間における休暇を協約で年二十日間とつてありますけれども、実際上とれなかつたり、それから超過勤務をやつても、予算がないために超過勤務の手当がもらえないで、俗にいうただ働きをしておるのが地方の現実です。私どもの地方における組合の実態は、通常一日実働八時間になつておりますが、実際はそうきちんと行きませんで、三十分ないしはそれ以上の金をもらわない労働時間がある、これが現状であります。地方へ行けば行くほどさようなことがありまして、結局これは地方の家族的な雰囲気でやつておる、実際はそういうよう状況が全国的な傾向であります。特に婦人労働者におきましての生理休暇なども非常に減少して参りまして、最近ではごくわずかの生理休暇しかとることができないでいる。基準法には相当の定めがしてありますけれども、実質上とれなくなつて来ておる、こういうような現状があります。私どもが地方へ参りますと、組合本部が第一に言うのは、仕事が非常に強くなつたということを言います。公社の方は、この点についてはぎりぎりの生産目標を立てられておりますので、そういう意味で機械のわきにいろいろな数字を書いておいて、機械ごとに競争させるということで、お互い同士機械に携わつておる組合員は競争し合わなければならぬ、成績が悪くなつては困るというような心境から、お互いに競い合つているような現状で、まことにこの点は今後もこういう傾向が強まつて来ると思つて、実は労働條件の低下について、組合としてたいへん心配をしておるところであります。特に補正予算において、専売益金がなお四十五億も増加をするということになりますれば、これからも人員が削減されて行く傾向であるときに、ますます仕事の面において苦しい実情になつて行く、こういう面の問題は今後とも起きて来るおそれがあるのであります。この点については、私どもはその補償を賃金に求める、たとえばオーバー労働に求める。こういう形で公社との間に交渉を進め、今回国会において御審議を煩わしておる裁定の出発点は、さようなところから私どもの労働に対しての補償を求めたいという気持があつたのでありまして、私どもは今後もこの状態の中で仕事はして参りますが、それに見合うような賃金は要求をして参りたい。今回出されております裁定につきましても、そういう意味で、私どもはとにかく働けるだけは働いて来たのでありますから、それについてすみやかに裁定が実施されるように、極力国会に対して、この点の御同情ある結論をお願いしたいと思つておるわけであります。
  26. 山村新治郎

    山村政府委員 公共企業体の運営といたしましては、できるだけ能率を上げまして、無理のない範囲に、なるべく少い人員で、予定した事業をやつて行くのが望ましいと考えております。従いまして必要な超過勤務手当予算は、計上する方針をとつておる次第でございます。
  27. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまの話の一人当りの労働のふえて行くということも事実であります。また技能、能率という点において上昇しておることも、ただいま申し上げた通りでありまして、ようやく最近に至つて戦前の能率に到達したのでありますが、こまかい数字につきましては、先刻御要求のありました数字と同時に、詳しく調べまして、お届けされてあります。私は労働の過重に対しては、常に高能率、高賃金ということが私の主義でありまして、なるべく労働も能率的にやつていただきたい。また私どものこれに対する賃金の裁量も、公社予算の許す限り、またこれをふやす点においても、関係方面との折衝においても努力をいたして、漸次ふやして行きたいというのが、私初めからの念願であります。ために今回の裁定におきましても、初めから態度をはつきりして、ぜひ仲裁裁定国会において御承認をいただきたい、こういうことで、社中の福祉ということについて、私は専心今後もやつて行きたいというふうに考えております。
  28. 青野武一

    青野委員 重ねてお尋ねいたしますが、この提案説明書によりましても、大体調停委員会で最後の決定をいたしましたのが一万一千九十三円、これは昇給は別途に実施せよということが書いてありますし、第二は、現行の二級一号俸を改訂して、改訂は当事者の団体交渉によれ、公社は一人当り平均四千七百円を可及的すみやかに別途支給せよ、この三つの項目が大体一品に申しますと調停委員会で決定されたのでありまするが、これは公社組合双方受諾せずに、その結果仲裁委員会にかかつたのでございますが、仲裁委員会にかかる前に調停委員会で出ました一万一千九十三円が、現実に仲裁裁定によりますと、一万四百円と減額したのです。総裁にお尋ねしておるのでありますが、組合の要求は一万一千八百円だつたのが、調停委員会の決定は一万一千九十三円、このときは公社側も、この賃金ベースでは経理の面からどうすることもできないとお考えになつてつた。ところが組合公社側と同じように、これを受諾せないで、仲裁委員会にかかつたのでありますが、結果から見ると、一万一千九十三円から組合側は一万四百円に減額させられた、こういうことになつておりますが、仲裁委員会にかかる前の調停委員会で決定をいたしましたのは、公社側が反対することはよくわかるのでありますが、当時決定した金額は組合側が不満であつた。今日では仲裁裁定の、前よりずつと下つておる一万四百円を公社組合側承認しておる。この経過は、ずつと前の委員会で、島田委員かだれかが質問したように思いますが、そのときの答弁で私はまだ納得しておらない、この点どういう立場から双方に双方服従されたかということ、これはもちろんお話の中では、公労法立法精神に双方服したというお話は聞いておりますが、調停委員会から仲裁に移るときの金額のずれに対して、私自身はつきり納得しかねるところがありますから、この点をお尋ねいたします。
  29. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまのお尋ねでありますが、調停当時におきましては、組合の一万一千八百円、これに対する私どもの対案としては、約一万円が少し足りないというところ、これは單に経理上不可能というばかりでなしに、私ども考えから、今日の情勢においては組合の要求は少し高過ぎる、そういう意味合いにおいて調停に応じられなかつたのであります。
  30. 平林剛

    平林参考人 組合側仲裁前の経過についての考え方を申し上げますと、調停案が一万一千九十三円に出され、しかも一時金一人当り平均四千七百円の、今から考えると有利な調停案が提示されましたけれども、私ども考えでは、組合の要求はまだ正しいものであるという考えで、今でも一万一千八百円の要求が賃金としてはごく控え目な要求である、私どもはそう確信をしておるわけです。もちろん日本の国全般から見て、財政的なことや、あるいはその他の制約があるかもしれませんが、われわれ日本の労働者の賃金としては、私どもが出した一万一千八百円は、この程度で甘んじなければならないという程度の賃金であると、私は今でも思つておるわけです。事情が許し、あるいはもつと違う政策を国家がおとりになれば、われわれは一万千八百円の要求も実現し得るのではないかと思うのでありまして、そういう意味では調停案の額はなお不満であつたのであります。しかしその不満とは別に、公社側が現在の予算上とてもできないという態度をとりましたので、こういう形では賃金の紛争は、最終的に解決しないと思いまして、そこで最終的に結論を得るためには、仲裁委員会裁定を求めることであるというふうに公労法解釈いたしたのであります。そこでとにかくただいまのよう調停案を出されまして、今までの仲裁委員会はこの調停委員会の線を大体尊重せられておつた。今までの仲裁委員会調停委員会が紛争の処理に当るときに、おおむねその経過を尊重されて裁定をなされておつた。しかも今回の紛議というものは、公社予算上できないということで断られましたけれども、われわれはその数字においてまだ不満である、こういうような紛争でありましたから、そういう意味で仲裁裁定調停案をそんなに下まわらないで済むのじやないか、あるいはもつと同じ程度のものが出されるのではないか、こういう考えもありましたので、仲裁の請求をしたわけであります。この点は私どものまつたく見込み違いでもあつたわけでありまして、裁定については、今私ども公労法の建前から、服従をする態度をとつておる次第であります。これは同時に裁定を求めようとした気持が、すみやかに最終的な結論として即時実施をされる、こういうところに希望がありましたので、組合員の生活を少しでも早く解決するという建前から、裁定に服従をする態度をとつたのであります。
  31. 青野武一

    青野委員 重ねて山村政務次官お尋ねしたいと思いますが、この間大蔵省を代表してこの提案理由説明をされたときにも、公務員と国鉄職員との給與の均衡上という言葉がたびたび使われたのであります。御承知のようにことしの八月現在で、全専売職員諸君は七千九百円、これは一週間四十四時間勤務で、公務員は八千三百四十円、これは一週間四十一時間で約三時間少いのであります。国鉄の方は八千四百五十円、これは一週間四十八時間になつております。これを比較してみますと、大体国鉄政府職員との給與の均衡をにらんでおるということが、この裁定がのめない大きな理由ように私どもは聞いておるのであります。現在でも全専売と公務員の開きは四百四十円で、全専売の方が少い。しかも一週の勤務時間は四十一時間と四十四時間でありますから、差額は三時間で、専売公社職員の方が多いのであります。国鉄と比較いたしましても、国鉄の方は八千五百四十円、ずつと多い。但し勤務時間は四十八時間で、これは特殊の関係でありますから約四時間ほど多いのでありますが、現在はこういう関係である。それを仲裁裁定で一万四百円にきめることが、やはり公労法十六條第一項によつて、かなり無理だという解釈のもとに、ここに問題になつておるのでありますが、私どもお尋ねいたしたいと思いますることは、それでは給與の均衡を保持されるためにこういう問題が起つたとすれば、大体現在重要な民間産業における、たとえば炭鉱あるいは金属鉱山あるいはその他の重要産業に従事しております諸君の一箇月の実収入と、専売公社、公務員、国鉄を含みまして、どういう統計に現在なつておるか。それから公務員が人事院の勧告によつて一万一千二百六十三円にかりに上るとする。大蔵省の方針で千五百円のベース・アップでありますから、これは一万円前後でしよう。二千七百円のベース・アップが人事院の勧告でありますが、これまた専売公社裁定と同じように、政府が出し澁つて問題になつておりますが、このベース・アップされた公務員、国鉄専売の比較はどうなつておるか。これはすでに労働省の方でも統計ができておると思いますから、ひとつどもの方にお示しが願いたい。
  32. 山村新治郎

    山村政府委員 お尋ね数字につきましては、詳しいことにつきましてははつきり把握いたしておりませんが、大体九月におきまする全産業の平均は、一万一千六百五十七円でございます。専売と最も近い製造工業の平均は、一万一千六十九円になつておる次第であります。
  33. 青野武一

    青野委員 もう一つ重ねてお尋ねしますが、これは今ただちに出せなければ、ほかの委員からの御質疑がありまするうちに、ここに出席委員に全専売と国家公務員と国鉄の今度ベース・アップされた比較、今までの比較、それからそれを中心にして民間の重要産業の実質賃金、これらが炭労あたりでも問題になつておりまするが、それらと比較して大体どの程度数字が出て来るかということを、ひとつ資料として御提出を願いたい。  それから、それに伴いまして重ねて御質問をいたしますが、大体先ほどの秋山総裁や、あるいは平林委員長の御説明を聞いてみましても、仲裁委員会が決定したときと調停委員会が決定したときとは、多少賃金のずれがございますけれども公労法立法精神従つて、私どもは三十五條が当事者双方を拘束するという建前から行きましても、これを承認をしたのであるというお話が、労働委員会の五日の日からすでに行われておりましたが、問題になるのは、政府はこの裁定をのむかのまないかということで、これは労働委員会でも論議の中心になつておるのでありまして、私もその線についてはこの裁定をのむべしという立場に立つての質問をしておるわけでありますが、一昨日の山村政務次官の御答弁によりますと、国会議決をすれば、かりに予算上支出不可能であつても、支出可能にするよう努力しなければならないといつたように、実は聞き取つたのであります。それでは労働委員会も本会議も残余の額を予算上支出すべし、公社責任者も、予備費その他の関係でまかなえると言つておる。労組側の代表者もそういうことを要求するのに無理はないと言つておるのに、せんじ詰めて行くと、大蔵大臣一人が、法律責任は持たない、予算上これは支出不可能だ。これは昨年の十二月二日に国鉄裁定がありましたときに、労働委員会でも問題になりましたが、四十九億五千百八十一万三千円は出せないと言つてつたが、どうですか。十七億は朝鮮動乱の関係で新車、いわゆる貨車を新しくつくる予算と、京都駅が焼けたから二億円を予定しておる、合計十九億円も、国鉄五十万の職員に、最後のどたんばでは投げ出して、四十九億五千百八十一万三千円を出しておる。今度は数字からいつてみるとわずかに四億程度です。この四億が出せるとか出せないとか、第十六條の第一項がどうだとかこうだとか言つても、公労法立法精神から行けば、国鉄専売裁定のあるたびにこうやつて専売公社職員諸君には無理なことをしいておる。三十一万程度の本数をつくつてつたものが、今度は三十九万本つくれと言つておる。人員新規採用しない、相当無理をしておるということは、秋山総裁自身もここで御答弁の中で言われておる。この四億程度をいろいろなことを言つて出さないように出さないようにするということは、これは労働委員会には要望しておりますけれども、腹を割つてみれば、みなこの裁定はのむべしという立場をとつております。それができないのはどこに原因があるのか。いろいろな口実をつけておるが、せんじ詰めれば大蔵大臣がいやと言つておるのではないかと私は思うのです。その点について政府側はもう少し好意と誠意をもつて善処してもらいたいと思いますが、大体労働委員会なり本会議議決したときには、予算上支出不可能であつても、何とかするというように聞き取れておつた。この点が非常に重要でありますが、これを政務次官からお答え願いたい。
  34. 山村新治郎

    山村政府委員 まことにお説ごもつともでございまして、労働省といたしましても専売裁定の結果というものは、尊重してほしいことと考えておる次第でございます。ただ現行の予算上支出不可能であるがゆえに、ここに裁定の結果をいかにすべきかということにつきまして、国会におかけいたしておる次第でございまして、従つてこの国会においてこの裁定の結果をのむべしという結論が出ましたならば、おそらく政府といたしましては法律上の責任はないにいたしましても、政治的の責任におきまして、何らか善処の方法をとられることと考えておる次第でございます。
  35. 青野武一

    青野委員 もう一点重ねて政務次官お尋ねいたしますが、この間の秋山総裁の御説明に上りますと、大体予備費から流用すれば何とかなると言い、あるいは今後の労使双方努力によつて増收ができるから、支出はそうむずかしいことではない、こういうように私は聞いておりますが、予備費の流用を政府側として許さないという立場をとつておりますならば、一応これは別にいたしまして、出ましたならば生産報奨金、これは大体既定予算では二億二千三百万円か組まれております。問題になるのは四億円でありますが、既定予算のこの生産報奨金を何かの方法で、たとえば大蔵大臣予算の流用を認めるといつたようなことで、何とかそこに方法がこの臨時国会中につくのじやないか。ほんとうに公労法精神を尊重して、公社組合側もこの仲裁裁定承認しておる、一切の條件が整うておるときに、わずかに四億円が予算上支出不可能というので、いろいろ法律上の解釈によつてこういう結論が出ております。でありますならば、たとえば生産報奨金というようなものによつて、何かここに仲裁裁定に準ずる、仲裁裁定をのんだと同じ効果のある行き方があるのではないか、これをお尋ねしたい。
  36. 山村新治郎

    山村政府委員 生産報奨金によつて、この足らざる財源を補えという御意見につきましては、拜聽いたしておく次第でございますが、国会におきまして、この裁定をのむべしという結論が出ました場合におきましては、それらの問題もいずれ十分検討されることと思うのでございます。
  37. 青野武一

    青野委員 もう最後と思いますが、御答弁によりましてはもう一回お尋ねしたいと思いますが、それは実際問題として、きようは私も心配して、委員会の前に平林委員長にここで尋ねたのですが十数人の諸君が自分たちの生活権を確保するために、悲壯なる決意のもとに国会の付近で去る四日からずつとハンストをやられておる。これは私は現実の問題として非常に心配しておつた。ところがけさの読売新聞の朝刊でありますが、これを見ると、浜松の工場支部は、四百四十名の従業員が、大体今問題になつております一万四百円の引上げ要求の目的を達するために、八日から中鬪指令に基いて、晝食抜きの二食ストを開始した、なお支部長である安藤義雄君ほか三名が、八日の午後六時から工場入口でハンストに突入した、これは本日の読売新聞の朝刊に出ておつたので、事実はどうか知りませんが、新聞記事を事実といたしますならば、東京の方はかりに中止せられましても、各支部においては陸続とこういう問題が惹起せられておるのではないか。裏返しにいたしますと、こういつたような無理な増産計画政府が強要しておる、新規採用せずに、このまま目的を達するためには相当無理がある。その無理をしておるその職員の諸君が、一律に金額にして五億円程度の生産をする実力を持つておる職員の諸君が、次から次に公社意思に反し、政府考え方と全然対立して、こういう行為をなして行くということを政府はどう考えるか、それが生産の上に大きな影響を及ぼし、国民生活の上に大きな影響を及ぼす。これについて政務次官政府を代表して責任が持てるか。かりに二食スト、一食スト、こういうことが集団的に各所において行われれば、勢い人心に及ぼす影響から言つても、増産にならないことは火を見るよりも明らかなことであります。こういう点について政府誠意を示さぬ場合には、次々にこういう問題が起つて来る、この責任はあげて政府にありと考えますが、どうお考えになつておりますか。
  38. 山村新治郎

    山村政府委員 実は浜松の問題につきましては、私まだ聞いておらない次第でございますが国会のそばのハンストの方々につきましてはお気の毒に考えまして、昨晩私もおそくそばに参りまして、陰ながらそのことなからんことをこいねがつてつたのでありますが、労働省といたしましては、たびたび繰返して申しますように、この公労法精神からいいまして、専売裁定の結果を十分尊重して参りたいと考えております。従いまして現在の予算上支出不可能であるという点をもちまして、国会におきまして御審議を願つておる次第でありますので、この専売裁定の結果をのむべしという結論がもし出ましたならば、必ず政府といたしましては、これにつきましてその国会議決に対する政治的責任におきまして善処の方法をとることを確言いたしておきます。
  39. 青野武一

    青野委員 生産報奨金を出そうと思えば出せるのですか。結局大蔵大臣予算の流用を認めれば出せるのか、これをひとつお尋ねいたしておきます。
  40. 久米武文

    ○久米政府委員 生産報奨金の問題は、事予算の問題に関係いたしておりますので、便宜私から先にお答えいたします。生産報奨金は、もし公社側がふやす必要があるということを大蔵大臣に申請いたしまして、大蔵大臣がそれを承認いたしますれば、出すことができるという制度に相なつております。
  41. 青野武一

    青野委員 最後に、これは倉石委員長お尋ねいたしますが、これも今朝の読売新聞の朝刊に出ておりましたが、民主党の川崎君と社会党の三宅、猪俣、三人が委員長にお目にかかつて専売裁定のことについていろいろ要求をしに行つたそうであります。新聞記事でありますから、委員長自身がその通りつたかどうかわかりませんので、お尋ねしたいと思いますのは、これはどうせ継続審議で、通常国会に持ち込んで承認するといつたよう意思が活字の上に出ております。自由党としてもその善後措置をどうするかということについて、かなり苦心しておるが、大体公社の経理内の操作で支給するようにしたいということで、何か自由党全体をひつくるめて、ここに結論を持つて来るというような印象を私どもは受けて読んだのでありますが、その点について、関連しておりましたので、政務次官にただいまの生産報奨金の問題にあわせて尋ねてみたのですが、委員長としては、自由党の最高幹部の一人として、いかにこの仲裁裁定をうまく解決づけるか。継続審議で通常国会に持ち込むということでなしに、この会期十八日までの間に、どうして実質的に仲裁裁定の線に沿うようにするかということについては、かなり御努力をいただいた立場でございますから、新聞に出たことでもあるし、ここで釈明する責任もあると思いますのでお尋ねしておきます。
  42. 倉石忠雄

    倉石委員長 青野君にお答えいたします。自由党のことは別といたしまして、労働委員長といたしましては、公労法の建前はもちろん尊重すべきものであるという趣旨で、本問題を解決したいということを考えておる次第でありますが委員諸君に、もつぱら今熱心に、その結論を見出すために検討していただいている次第でありますから、委員会の御意思によつて、私はその意思通りに行動をとるつもりであります。ただ私といたしましては、今申しましたように、公労法の建前が貫けるように、全力をあげて努力いたしておるということを、各政党の方々に面会いたしましたときにお話申し上げたのが、新聞に出たことであろうと存じますが、私が今とつている態度は以上申し上げました通りであります。
  43. 青野武一

    青野委員 各委員からの質問によりまして、それぞれ関係当局からいろいろ御答弁がありましたので、みなかなり努力してくれておることは私自身も認めますが、かりに最後になつて政府誠意がないときは、この裁定に対しては残余の額を予算上支出せよというように、労働委員会は満場一致で決議をしてもらいたい。その決議ができるように、残余額の四億円を支出せよという議決に労働委員会を持ち込んでもらうように、誠意をもつて労働委員長の御努力を希望しておきまして、私の質問をこれで終ります。
  44. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会の開会日時は公報をもつてお知らせいたします。なおその際は参考人各位の御出席を再びお願いいたしまして、審査を進めたいと存じますから、本日御出席参考人各位は、御足労ながら次回の委員会にも御出席をお願いいたしたいのであります。御了承をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十三分散会