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1951-11-22 第12回国会 衆議院 経済安定委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十二日(木曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    奈良 治二君       渕  通義君    細田 榮藏君       村上 清治君    田中 堯平君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (管財局長)  内田 常雄君         資源庁長官   始關 伊平君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      森  誓夫君  委員外出席者         通商産業技官         (資源庁鉱山局         配油課長)   百武  寛君         経済安定事務官         (産業局次長) 岩武 照彦君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 十一月二十日  委員宮原幸三郎辞任につき、その補欠として  清水逸平君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員清水逸平辞任につき、その補欠として宮  原幸三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国土総合開発に関する件  石油の需給計画に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  本日は国土総合開発に関する件を議題とし、まず政府当局より説明を聴取いたします。今井田政府委員
  3. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 国土総合開発に関する仕事の現在の段階でありますが、御承知のように十九地域指定内閣に要請いたしまして、ただいま審議会において審議中であります。おそらく来週中には審議会審議が完了いたしまして、内閣の方に答申することに相なろうかと思います。従いまして来週中には正式に特定地域指定が決定されることになろうかと思うのであります。現在までの審議はまだ中間でありますので、最終的な結果はわかつておりませんけれども地域その他につきまして、審議会で若干の修正が、われわれの要請案に対して加えられるようなふうに聞いておりますが、詳細は答申を待ちません、とわからないような状況でございます。簡單でございますけれども仕事中間的な経過はそのようになつております。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 これにて政府説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。志田君。
  5. 志田義信

    志田委員 今井田次長から今御説明をいただきましたが、中間報告としての御説明の中に、審議会答申が来週中に行われる。そうして特定地域が今度正式に決定されるということでございますが、その中に若干の修正があるということでございます。その若干の修正の中には、特定地域指定というものが、何か現在もうすでに巷間に伝わつておるのでありますし、すでに建設省からは、地方のそれらの県に対しましては承諾書を求めておるというふうな状態でございますが、その承諾書を求めておる特定地域に、何か国土総合開発審議会の方から修正意見等が出ておるかどうか、それをひとつ伺いたい。
  6. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私も審議会に陪席しておる程度でありまして、詳しいことは存じませんけれども、現在要請しております地域を、全然指定から削除するというふうな答申はない模様であります。若干の修正と申しますのは、地域範囲修正でありまして、それもむしろ地域範囲を縮小しろというよりも、拡大した方がいいのではなかろうかというふうな意見なんです。それとある地域におきましては、行政区画上の便宜もありますので、一つ地域を二つの地域にわけたらどうかというふうな修正意見もあります。その程度でありまして、地域範囲拡大と、それから地域を分割した方がいいというふうな意見程度でありまして、根本的な修正のようには聞き及んでおりません。
  7. 志田義信

    志田委員 地域拡大という程度で、拡大の中にはやはり分割の分もあるようでありまするが、たとえば鹿兒島県離島については、何か削除されるとか、あるいは地域的な変更があるというようなことが伝わつておるのでありまするけれども、その点はいかがでございますか。
  8. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 審議中間におきまして、ただいまお話のありました屋久島でありますが、屋久島大隅総合開発には直接の関連がない、従つて削除してはどうかというふうな意見も途中ちよつと出たことがございます。しかし現在のところでは屋久島をも含めて指定した方がよかろうというふうになつておるように聞き及んでおります。
  9. 志田義信

    志田委員 大隅総合開発屋久島が直接関係がないというような議論が出たということは、私は実情を知らない結果ではないかと思うのであります。私たちは今年の六月でございましたか、私が委員代表といたしまして、現地を御案内願つて見て参りました場合におきましても、大隅総合開発をほんとうにやろうということになれば、この鹿兒島離島を切り離してやるというようなことはまつたく意味がない、海洋水面利用ということを考えないで鹿兒島総合開発考えられない。そういう点からわれわれは、この鹿児島屋久島、その他の離島につきましての総合開発は、あるいは電源の問題につきましても同様な問題があるのでありますが、ぜひともこれは大隅総合開発のために必要な離島である。離れ島でありますけれども、わけられない地域であるというふうに確信して参つたのであります。ところが最近当委員会あてに、所属いたしております岩川代議士の手元まで、鹿児島離島屋久島が、この大隅総合開発に関連して行くことについての不可能な状態が、国土総合開発審議会に取上げられておるという情報がありまして、きようはまだ岩川代議士はここに見えておりませんけれども、後刻見えると思いますが、これは同地域の人としては非常に容認しがたいものである。従つて国土開発審議会がもしそういう答申をするということであるならば、これに対して異なつ考え方を、十分中央に反映せしめなければならぬというので、代表者がすでに上京しておるような次第であります。しかし、今承りますと、大隅総合開発に、直接といわず、間接といわず、もちろん重要な関係があるということを認められて、この地域の中に入れることになつておるということを聞きましたので、その点は了承いたしたいと思います。  それからもう一つは、国土開発審議会答申案が、今日いまだもつて出ないということの理由は一体どこにあるのか、これをひとつ事務当局にお尋ね申し上げたいと思います。これは事務当局がいろいろな参考の調査を怠つている結果であるのか、あるいは国土開発審議会が愼重事を期しての結果であるか、あるいは国土開発審議会そのものが怠慢のために、今日まで答申が遅れておるのか、その点をひとつお尋ね申し上げておきたいと思います。
  10. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私ども外部から拜見いたしておりますのに、ただいまお話のように愼重審議しておる結果ではなかろうか。非常に委員先生方お忙しい中でありますにもかかわらず、週二回または三回くらい分科会を開かれまして、非常に詳細に関係者からいろいろ意見を聞かれて御審議になつておるようであります。現在といたしましては、政府に対しまする答申書立案中でありまして、きようも午後二時ごろから開くことになつていますが、きようで大体それも全部済みますので、来週中には答申が出て来ると思つております。
  11. 志田義信

    志田委員 了承いたしました。できるだけ早くこの問題は答申をしていただきまして、一日もすみやかに関係指定地域正式決定を見られるように、事務当局が最善の努力をしていただきたいと思います。  それから簡單にお尋ね申し上げておきたいと思いますのは、国土開発法を実施するにあたりまして、実施法案事務当局が用意しておられるようでありまするが、それの経過はどんなふうになつておりますか、それを一応ここでお聞かせ願いたいと思います。
  12. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 実施法立案は、すでに今年の春ごろから着手いたしまして、一応成案も完成しておるのであります。ところが、御承知のように、最近電源開発に関する法律でありますとか、あるいは河川開発法でありますとか、いろいろ国土開発に関しまする法律が各方面で論議されて参りまして、それらとの調整もはかる必要がございますので、今国会に提出するというふうな運びにならなかつたのでありますが、私どもといたしましては、次の通常国会には、ぜひ提出して御審議願いたいというふうに考えまして、目下準備を進めておる次第でございます。
  13. 志田義信

    志田委員 国土開発法は、申し上げるまでもなく、後進地域その他の国土総合開発を行うのであります。全国河川開発は、国土開発におきましても十分優先的に考えなければならぬものがあることは、論ずるまでもないのであります。特に電源開発に付随している問題といたしまして、国土開発法によつて十分考えて行かなければならぬのでありまするが、最近われわれの聞くところによりますと、重要河川開発法案というものが国会の一部に唱えられておるやに聞くのであります。しかもこの重要河川につきましては、水系ごと治山治水及び利水に関する総合的な基本的な計画を樹立して、これに基く流域全般保全や、もしくは開発利用に関する事業を強力に行う、そうして災害防除もあわせ行つて産業の復興に努力するということが目的のようであります。これは総合国土開発法が今日ねらつているところと何ら異なるところがないのでありますが、こういう建前における重要河川開発法につきましては、私たちはいろいろと類似の法律にならざるやをおそれるのでありますが、この重要河川ということにつきましては、国土総合開発とどういうふうに考えておるか、それを承りたいと思います。
  14. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 国土総合開発は、河川といわず、農地といわず、山といわず、全部を総合的に開発する目的を持つものであることは、申し上げるまでもないところでありまして、ただいまのお話河川、ことに重要河川等は、国土開発におきまして最も関心を持つて考えておる対象であります。
  15. 志田義信

    志田委員 重要河川というものは、すでに明治二十九年法律第七十一号をもつて掲げられている河川法というものがあつて、この河川法によつて、特にその開発を必要とするならば、いろいろな方法をもつてこの開発も十分可能ではないかと私は思うのであります。ところが特に重要河川開発法案というものが国会の一部において取上げられており、しかもその取上げ方については、われわれ国会の一部で取上げるという形にはなつておりますけれども、聞くところによりますと、この主務官庁である建設省河川局利水課中心になつて、いろいろな大会の準備をやつたり、文書等をつくるというようなこともやつておるようでありますが、重要河川開発法案と、このたびあなたたちの方で考えておる国土開発実施法案との間の関係について、何か当局として考えておるところがありましたならば、この機会に明確に述べていただきたいと思います。
  16. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまお話がございましたように、国会の一部で重要河川開発法というものが立案されつつあるということも、私ども聞き及んでおるのであります。その法案を拜見いたしますと、その目的及び内容は、現在経済安定本部において、関係各省と相談しまして立案中でありますところの総合開発実施法において、大体まかなえるものではなかろうかというふうに、事務的にも考えておるのであります。ただ若干、現在われわれの考えております法案ではまかなえない点もありますけれども、おもな点はほとんどそれによつてまかない得るのではなかろうか。先ほども申し上げましたように、総合開発は、河川といわず、山といわず、すべてを対象としておりますので、重要河川開発法総合開発法の部分でありまして、われわれといたしまして、全体を包含した一つ法体系をつくることが、総合開発が総合的に行われるという意味におきまして、とるべき態度ではなかろうかと考えております。従いまして安定本部といたしましては、河川だけを対象にした開発法規よりも、すべてを対象にいたしました総合開発法実施法をつくることの方が、総合開発を真に総合的な意味におきまして実施する上において、よりよき手段ではなかろうかというふうに考えまして、できれば、重要河川開発法よりも、総合開発実施法の方を御制定願いたいというふうに考えておる次第であります。先ほど申し上げましたように、この法案は近日中に成文化いたしまして、来国会にはぜひ御審議願うように進めるつもりでおります。
  17. 志田義信

    志田委員 国土開発法は、ひとり河川のみならず、山もあり、あるいは農地もあるということは、これはもちろんのことでございますが、この重要河川開発法案におきましても、その目的とするところは、重要河川流域におけるいろいろな施設計画及び事業の效率的な開発であるということをうたつておりまして、ひとり河川に関する施設及び事業のみにとどまつておりません。たとえば砂防に関する施設及び事業考えられておるようであります。公有水面の問題も十分に考えられているところでありますし、さらにはなはだしきは、運河に関する点あるいは海岸保全に関する施設及び事業、たとえば海岸砂防のような点まで考えておるようであります。造林、営林、治山に関する施設及び事業灌漑排水及び干拓に関する施設及び事業、水道及び下水道並びに工業用水に関する施設考えられ、さらに水力発電に関する施設及び事業考えられております。その上にもつて気象施設洪水予防に関するような施設等が掲げられておるのであります。これはまつたく国土開発法法律内容と軌を一にするものであるということはもう明らかでありまして、政府部内においてこういう法案がいろいろと用意されておる。なるほどいうことは重要河川開発法議員提出法律案のごとく装つておりまするけれども、これはどこまでも装つておるのであつて、事実においては建設省河川局の水利の関係官が、そういうものをみんなつつておるようなわけでありますが、政府部内における紛淆を来しておるような法律上程に対して、安本当局としていつまでも荏苒日を重ねておるようなことでありますならば、私は重大なる結果が来やしないかということを恐れるのでありますが、どうして安本当局がこれら各省関係する重要法案についての調整に対して、もう少し熱意と努力に欠くるようなことのないようにしないのか、その点をひとつお尋ね申し上げます。
  18. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまのお話によりますと、その法案建設省の一部で立案されたように承つたのでありますが、うかつにいたしまして私ども建設省方面からそういうようなことは全然聞き及んでおらないのでありまして、もつぱら国会の一部で御制定に相なつたもののように聞き及んでおりますので、ただいままで承知しておらなかつたわけであります。その点まことにうかつでありましたので申訳ないと思つております。
  19. 志田義信

    志田委員 安本当局にこの際希望を申し上げまするが、安本当局がただいま鋭意努力して総合開発法に対する実施法議会上程を熱望せられておるという意見の御開陳がありました。ついてはこういう重要河川開発法案と、その他にも同じような性格の法律案が出ることもあろうかと思いまするが、それらの紛淆を、きわめて近い機会調整する意図があるかどうか。そうして国土開発法実施法一本でこれらの法律調整させ、それを国会の、たとえば先ほども申しておりましたような通常国会に出すようなお話でございましたが、国会に出すようなお考えがあるかどうか、その点をひとつ責任ある御答弁を特にこの際お願い申し上げておきたいと思います。
  20. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 安定本部といたしましては、ただいまお話がありましたように、是が非でも政府部内における意見を一致させまして、この次の国家にはぜひ上程いたしたいとかたい決意を持つておりますので、さよう御了承を願いたい。
  21. 圖司安正

    圖司委員長 ほかに質疑ございませんか。渕通義君。
  22. 渕通義

    渕委員 いろいろと国土総合開発につきましては質疑がかわされたことと存じますが、ダブる点があるかもしれません。私はこの国土総合開発法で事足りる、このたび指定されましたすべての問題を科学的に検討してみまするときに、何かしらん名前と反対の方向に行つているような気がいたします。が、政府当局はこの国土総合開発名前と一致しておるかどうか、この点をまず承りたい。
  23. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 御質問の御趣旨、私ちよつとのみ込みかねる点もございますので……。
  24. 渕通義

    渕委員 それでは煙幕を張るとわからぬから率直に申し上げます。まず極端な例をあげますならば、総合開発ですから、少くとも積極的の面が大きく取上げられなければならないと存ずるのに、いかにも消極的な方法のごとく考えられるのであります。たとえば宮崎県、鹿児島県のごとき南九州地帯総合開発指定をながめてみますると、シラス地帯総合開発、一体このシラス地帶というものをどういうふうにして開発されるのか、そういう点がいかにも消極的であつて開発にならないと私は確信いたします。少くとも科学的な立場に立ちまして、シラス地帶をいかに開発してどうなるかという問題について意見を承りたい。
  25. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 特定地域は御承知のように、現益の総合開発法におきまして、これらの資格要件を持つたところを特定地域にする。第一は資源開発目的とする地域、それから国土保全、いわゆる災害防除目的とする地域、それから都市周辺整備目的とする地域、これらの地域特定地域にするということが書いてあることも御承知の通わであります。シラス地帶につきましては、むろん重点国土保全災害防除ということにあるのでありまして、これを積極的に開発いたしまして、これらの地域から農業なり林業なわを興されるということも大きな目的になつておりますが、まず第一の段階といたしましては、現在災害が起りますその災害防除して参りたい、いわゆる国土保全の見地から当該地域は選ばれているということであります。
  26. 渕通義

    渕委員 私はもともと国土総合開発法案が出た場食にいろいろと質疑応答を聞いたのでございますが、第一国土総合開発という名前は、日本の置かれておる現段階は、御承知のように小さな島に閉じ込められた日本といたしましては要は先ほども申された第一点を強く推進し、第二、第三というものは、これは実をいうとそう力を入れるべきものじやない。これは当然の日本の施策でなけれげならない。世界各国の例をながめても、ごらんの通り小さな国が何をやつているかと申しますと、まずその地方開発、これが積極的なものに全力を傾倒いたしておるということは、世界のすべての国の今日の開発状況をながめてみましてもおわかりであろうと思う。私は国土総合開発法案が出た場合に質問はしておりませんでしたけれども、こういう点に大きな穴がある。従つてこのたび発表されました特定地域指定というものが、今言つた三つの点に集約されておるという点に、われわれといたしましては非常に不満である。従つて今日国会議員同志相集まりまして、国土総合開発とか、河川総合開発とか、こういうような国土総合開発と並行したようなことまでも言わなければならないという事態に立ち至つている。従つてこれはこういうことを言うのはおかしい。こういう法案自体をもう一ぺん整理し直して出るのが政府の最も妥当なる処置でないか。そうでなければさきに言つたような総合開発が、河川総合開発、山の開発、あるいは海洋総合開発とか、こういうものが次々に出て参りますると、今日の特別法はたくさん必要になつて参ります。こういう点につきまして、この国土総合開発の一点に集中して行く考えはないか。あるいはそういつた第二、第三、第四、第五というようなものが出て来ますと、海洋総合開発は最も必要なもの、河川も最も必要なものであるということで、海上は幾らでも行ける、こういうことを考えてみますると、水産上からいつたら非常に大きな問題が出ると思います。現に出ております。とういう点につきましてお考えを承りたい。
  27. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 日本におきまするところの国土総合開発の思想はずいぶん前からあつたのでありますが、具体的にこれを法律として取上げられ、あるいは明るみにいわば出たというのは、昨年五月に国土総合開発法が制定されてから初めてであります。それ以来政府はこの問題に対しまして何をしたかと申しますと、先ほど来問題になつておりまする特定地域指定ということに全力を上げて参つたわけであります。指定のための、どこを指定するかという候補地の選定に重点を置いて来たわけであります。これでやつといれものが近くでき上るという段階でありまして、いれものができ上りましたならば、さてこの中に何を盛り込むかということはこれからのことでありまして、といつてどもは決してゆつくりやろうというのではないのでありまして、もういれものがきまりましたら、まずおそらく年度丙かあるいは明年度早々には、各地域開発計画というものを具体的につくり上げまして、これを強力に推進して参りたい、それらの成果が出ますならば、総合開発とは何であるかということが具体的にお示しできようかと思つております。現在は出発早々でありまして、まだ形あるものをお示しできなかつたかもしれないと思いますが、明年度中には必ず形のあるものをお示しいたしまして、総合開発とはかくのごときものである、こういう目的でし、こういう效果があるものであるということを具体的にお示しできると考えております。
  28. 渕通義

    渕委員 そうしますと、現在指定されております国土総合開発指定地域の一、二、三というような順序、たとえば災害防除中心にして行く、開発中心にして行く、都市周辺整備、こういつたものの比率はどういうようにとられておりますか。
  29. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 各特定地域類型別の比較、いわゆる類型別にわけたものもつくつてございますが、別にどういう比率という比率を頭からきめて考えたわけではございません。大体安定本部といたしまして、関係各省あるいは府県から、各土地の持つております構造力と申しますか、ポテンシヤルと申しますか、そういうものを主として調査いたしまして、当該地域総合開発対象となり得るかどうかということを全部調査いたしたわけでございます。これは約一年かかりまして、実に浩瀚な資料を積み重ね上げまして調べたわけでございます。そしてその中から純粋に、客観的に十九地域を選んだのであります。ただここでお断り申し上げておきたいことは、御承知通り今回特定地域指定を行います前に、すでに建設省自体から、これは法律に根拠を持たないところの特定地域が、全国に十三地域指定されまして、そうしてこれにつきましてすでにある程度総合開発準備が進んでおるのであります。今回法律によりまして新しく特定地域指定いたします際に、これらの十三地域を削除するということは、いろいろな関係でぐあいの悪い面があるわけであります。従つてそういう地域をも包含いたしまして、当初われわれが意図しましたものよりもずいぶん多い十九というふうな地域指定することになつておるわけでありますが、それらのものの中にはいろいろな地域があります。先ほどお話になりましたように、比較的消極的な意味を持ちますところの、災害防除を主目的とするところの地域、あるいは電源開発でありますどか、森林開発とか、いわゆる積極的な面を主とする地域、あるいは中間的な都市周辺整備目的とする地域というものもありますが、大体類型別にいたしますと、おつしやいますような積極面中心にした地域が、ほとんど七、八割を占めまして、残りの二、三割程度が、大体国土保全を主目標にした地域だと私どもは了解しております。
  30. 渕通義

    渕委員 今の話によりますと、一応指定して、ことしの結果を見て、来年度において国土総合開発の意義ははつきり再認されて来る、それによつてまた再検討するという意味でございますか、それともそれによつて再検討にあらずして、現在のような行き方で進むという考えですか、どちらですか。
  31. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 先ほど申し上げましたのは、お前たち何をぼやぼやしておるかというお叱りのように私ども了解いたしましたので、実はまだ何もやつていないのであつて、お叱りを受けるものならば来年度ぐらいの国土計画の進行状況を見てからお叱りをいただきたいという意味のことを申し上げたのでありまして、まだ再検討するとか何とか、そういうふうなぐあいには考えておりません。ただ地域指定は、とりあえず十九地域を選んだのでありまして、もし今後の調査によりまして地域指定を増加する必要が起つて参りますれば、その限度におきましては再検討いたしまして、地域の追加を指定することもあろうかと思つております。
  32. 渕通義

    渕委員 私はあえて積極面を主張して消極面を排撃するわけじやございません。従つて南九州のシラス対策は、まことにけつこうであるから大いに推進していただきたい。がしかし、こういつたものは別途の方法によつて救済して行く、これが総合開発という名前の示す通り最も妥当である。少くとも総合開発という以上は、いわゆる第二、第三の、都市周辺整備、あるいは災害防除、こういつたもの代、総合開発という名前といかにもかけ離れておりますから、法の体裁からいつても、第一点のみにしてもらつて、あとの第二、第三点は別途考える。たとえば都市周辺整備をやるならば、それは特別法——今日は議員諸君もまことに頭がいいから観光都市法とか、いろいろなものができますが、そういつた点で整備してもらう、あるいはまたシラス地帶につきましては、その特別なる防除法を考えて、單独法として整備する。こうしなければ、総合開発とダブつて参りまして生きて来ません。日本の現在一番大きな問題は、この小さな日本国土において、いかにすれば最高度に経済能力を発揮するか、これ以外にはない。これに帰する。これはたびたび各種の委員会で質問されておると思いますが、この国家の資源を総合的に、最高度に開発するということが結論であろうと思います。そういつた点を考えられまして、今後の国土総合開発は一本にまとめて行くべきである、こういうように考えて一応申しておきますが、これに対するお考えは、安本長官か総理大臣じやないと無理かと思いますが、一応あなたの考えを伺いたい。
  33. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 十分御意見を拜聽いたしまして、そのように善処いたしたいと思います。
  34. 圖司安正

    圖司委員長  村上清治君。
  35. 村上清治

    ○村上(清)委員 一点だけ質問申し上げます。先ほど質問があつたかと思いますが、国土総合開発に関する予算的の措置について一言お聞きしたいと思います。昭和二十七年度の予算に、この開発に関する予算はどのくらい要求なすつておるかということ。それからこの前の委員会で調査区域のお話がございましたが、調査区域に関する調査費用、こういうものに対して要求した額及びこれからの見込みをお聞きしたい。
  36. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発に対しまして明年度要求しております予算は、大体調査費が主でありまして、調査費といたしましては、建設省関係が大体二億程度、それからその他の関係各省で大体七、八千万円、合計三億足らずのものを今大蔵省に予算といたしまして要求しております。これはいずれも調査が主でありまして、事業費ではありません。事業費の方は、結局公共事業費という形で使われるものが大部分でありますので、この特定地域に対しましては、すでに従来からも公共事業費の形によりまして国家資金が投資されておるわけでありますが、これが来年度どの程度にふえるかということにつきましては、公共事業費のわくがきまつておりませんので何とも申し上げかねますけれども、できるだけ特定地域に対しまする公共事業費の投資を多くしたいというふうに考えております。これは幾らになつておるかということにつきましては、現在それを集計しておりませんので、ちよつと私ここでお答えできかねます。  それから次に、調査地域の問題でありますが、これは今回の政府の正式指定があります際に、あわせて調査地域指定もいたしたい。これに対しまする予算は、現在の制度におきましては、遺憾ながら調査費として正式にとるわけに参りませんので、先ほど問題となりました法律が近くできます際には、法律上の調査地域にいたしまして、これに対しましては、調査地域予算を別途要求したいというふうに考えております。
  37. 村上清治

    ○村上(清)委員 大体公共事業費をそのまま国土総合開発の予算に振りかえるようなお話なのですが、そうしますと、国土総会開発に関する独自の予算は要求しないのですか。またこれからもしないつもりですか。その点をひとつ……。
  38. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 できますならば別途でやつた方がはつきりいたしますので、そういう事務的な打合せもいたしたのでありますけれども、国の財政からいたしまして、明年度ただちに特定地域開発事業費としまして別わくで予算を計上することは困難であるという意見もございましたし、また公共事業費の予算編成にあたりまして、特定地域のみを別掲いたすことも技術的にもどうかと思われます点もありますので、事実上、最後に集計しました場合に、特定地域に対しまして、より多くの予算がついておればいいということになりますので、さしあたり二十七年度といたしましては、従来の予算方式のままで、なるべく特定地域に対しましては公共事業費をより多く出すという方針だけで参りたいという考えであります。
  39. 圖司安正

    圖司委員長 国土総合開発に関する件はこの程度にとどめます。     —————————————
  40. 圖司安正

    圖司委員長 次に石油の需給計画に関する件を議題とし、まず政府当局よりその説明を聴取したいと存じます。岩武説明員。
  41. 岩武照彦

    ○岩武説明員 石油の今後の需給の状況でございますが、御承知のように石油は九割程度まで輸入しておりますので、需給の問題は一にかかりまして外貨予算の額あるいは方法いかんということになるわけでございます。そうして外貨予算を組みますときに、大体需給の関係としましては、原油につきましては二・四半期先の需給を考えて組んでおります。つまり六箇月先までのことを考えてやつている。それから製品の輸入につきましては、一・四半期先の需給を考えてやつているというふうになつております。従いまして現在経過しております第三・四半期並びに一月から三月までの第四・四半期の需給につきましては、すでに第三・四半期までの決定しております外貨予算で、需給の問題は一応既成事実になつているというふうに見ているわけでございます。その結果を申し上げますと、第三・四半期におきましては、ガソリンにおきましては大体需要の七五%程度充足し得る。桐油においては九三%、軽油においては八四%、重油におきましては若干用途によつて相違がございますが、通常の配給分におきまして約八五%、それから石炭の代用としまして転換分に対して一〇〇%、滑滑油は一〇〇%、その他の半固体精油につきましても、大約全量というふうに見てございます。第四・四年期、つまり一月から三月までの需要におきましても、大体この程度の需給が達成されると考えております。問題は、先日も他の委員会で問題になつておりますが、この需要の見方が若干違うのではないかというお話でございましたが、安定本部としましては、揮発油につきましては運輸当局の方の話もございますが、若干見解を異にしておりまして、結局立場の相違で、需要を所管される官職側の立場と、それから需給の方を見ております安定本部の立場の相違かと思つております。いろいろ市況等を見ておりますと、ガソリンの価格等もそうひどくマル公を上まわつていないようでございます。従つてまあ大体この程度の数量で、そう大きく需給の関係が均衡を失するというふうにも見られないだろうと思つておりまして、一応この程度の需給率が達成されると見て、まずそう大きな狂いはないものと考えております。そこで今後の問題でございますが、四月以降におきましていかが相なるかということでございます。これは実は四月から六月につきましては、原油から、できます製品につきましては、すでに一応今期までの外貨予算で量が決定しておりますが、製品の輸入につきましては、その大部が第四・四半期の外貨予算で決定することになつております。従つてこの一月三月の外貨予算で、石油の製品輸入について幾ばくを計量するかという問題になつております。御承知のように外貨予算の編成につきましては、まだ十分な自主性を持つておりませんので、今後の折衝によつて、ある程度様子もかわるかと思つておりますが、安定本部といたしましては第四・四半期におきましては相当外貨の額を増額いたしまして、四月六月の製品の需要に対処しまして、そう大きな狂いのないようにいたしたいと考えております。目下まだ具体的な編成手続に入つておりませんので、一応金額等ははじき、それに基いて需要の総計をいたしておりますが、この増額分が完全に充足されるかどうかは、実はまだ申し上げ得る段階になつておりません。しかしわれわれとしましては、できるだけ外貨の額をふやしまして需給の均衡を得、できればこの時期において統制もはずせることにいたしたいと考えておりますが、まだ決定的にこの程度まで需給は充足されるという段階になつておりませんので、一応中間的な御報告にとどめたいと思います。
  42. 圖司安正

    圖司委員長 これにて本件に関する政府当局説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。志田義信君。
  43. 志田義信

    志田委員 今外貨の額を増すというお話がございましたが、どの程度に増すというおつもりですか。それをひとつまず先に伺つておきたい。
  44. 岩武照彦

    ○岩武説明員 石油の外貨の方は、大体現在までのところでは、一応基準としまして一・四半期二千万ドル程度のものを計上しております。年に直しまして約八千万ドル程度になるわけでございやすが、いろいろわれわれ需給の方を見ますと、どうしても年間一億ドル程度のものはいるようでございます。またこれに必要な外貨の裏づけもあるように考えておりやす。第四・四半期につきましては、できれば約千三百万近いものを増加したいと考えております。まだその折衝に入つておりませんので一応希望だけを申し上げておきたいと存じます。
  45. 志田義信

    志田委員 価格改訂であなたの方では、いろいろここにアメリカの製品のCIFその他の表が出ておりますが、いかがでございましようか、この程度の値上げで行けば国内精製業者に利得せしめる結果にはならないということを書いておりやすが、これをちよつと御説明いただきたい。
  46. 百武寛

    ○百武説明員 お答えいたします。現在きまつております原油石油製品の価格というものは大分以前にできましたもので、その後におきまして一般的に見ますと、潤滑油及びアスフアルトその他の製品の値不り等がございまして、ことに精製品の方におきましては、諸物価の値上り等のために、大幅な精製費の値上りを免れませんので、特に今度の価格改訂におきまして、精製業者に対して特別の不当なる利得は考えられないというふうに考えております。その点物価庁からまた……。
  47. 森誓夫

    ○森政府委員 物価庁の第三部長でありますが、お説明申し上げます。  このたび重油、軽油の製品としての輸入を円滑にするために、現行のものを若干引上げまして、世界的な価格にやや近づけるという操作をいたすことに考えておるのでございまするが、その結果として、重油につきましては五%ないし八%、現行のものより上ります。それから軽油につきましては九・六%程度の値上りが起るわけであります。ところでこれは石油製品の輸入を円滑にするためにやつたことでありまして、原油を輸入して国内で精製される石油製品の価格も、当然これに便乗して値上りを来すということが考えられるわけであります。その結果、国内の精製業者も、重油、軽油の点では收入がふえて来るわけでありまするが、一方機械油、アスフアルトその他のものが、従前のマル公に比べまして大体二割近く値下つておるのであります。この機械油、アスフアルト等のマル公は、ごく最近、九月に停止いたしましたのでございまして、現在はございませんが、すべての製品につきましてマル公が存在するとして、精製業者が得られる收入というものと、今度の重油、軽油の引上げ一方機械油その他が二割程度現在のマル公から下つておるということを考えて計算した精製業者の收入というものは、大体かわりはないということになつておりまして、こういうふうな説明をつけ加えたのでございます。
  48. 志田義信

    志田委員 これはあなたの方ではそうおつしやつておりますが、なかなかそうも行かない状態が出て来るのじやないかと思うのでありますが、それはあまりここでは申し上げません。きよう実は私当委員会におきまして、特に国内原油の問題で御質問申し上げたいと思つておるのであります。きようおいでになつている石油関係の内田管財局長は、参議院に呼ばれておるそうでありまして、実は内田さんに対しては質問が一番最後になるのでありますけれども、特に年来のよしみをもつて一番最初に御質問申し上げたい、かように思いますから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。  実は帝国石油の問題なのでありますが、帝国石油に対しまして、政府が持つておる持株を今後どうするつもりであるかということを、まず先に御質問申し上げたい。これはほんとうは一番最後に聞くことなのでありますが、最初にお尋ね申し上げたいと思います。
  49. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 どうも質問の順序を変更していただきましてまことに申訳ございません。帝国石油は、御承知通り資本金十億円に昨年度増資されましたために、株式総数が二千万株あるはずでございます。そのうち政府が持つておりますものが四百六十万株余り、これを金額にいたしますと、資本金十億円のうち、二億三千万円余が政府の出資金になつております。そもそも政府がこの帝石の株式を持つておりましたゆえんのものは、御承知のように、この会社が特別法に基くいわゆる特殊会社でありまして、政府が資金援助その他の援助をしておりました時代の政府出資のなごりでございます。本会社は昨年、この特殊会社法であるところの帝国石油株式会社会というものが廃止になりまして、普通の商事会社に相なつたわけであります。そこで政府の現在保有いたしております株式は、政府法律上の義務ないしは特に当会社を助成する意味をもちまして、保有し続ける必要はなくなつたわけでありますから、政府といたしましても、適当な時期において適宜に処分して参りたい考えであります。もつともただいま申し上げましたように、相当大きな割合を占める多額の株式でありますから、政府の処分の時期なり方法なりというものは、一般株主にも影響を與え、またひいては株界全体にも影響を與えることなきを保しがたい点もありますので、これらの処分につきましては、時期なり額なり、方法について、槇重にとりはからつて、会社の株主に対してはもちろん、一般株界に対しても、できるだけ影響を避けるようにして参らなければならぬかと存じます。なお立ちましたついでに従来の経緯について申し上げますと、すでに昨年、本会社は企業再建整備によりまして増資をいたし、増資前の四億六千万円に五億四千万円を増資いたし 十億円になつたのであります。その際政府の持株に対して、一対一の新株の割当別あつたのでありますけれども政府といたしましては、すでにこの会社が特殊会社として、政府の特別の資金的援助のもとに置かれるものでないことがはつきりしておりましたから、その新株引受権はこれを処分をいたしまして、その当時から政府はすでに実質的には当会社の株を処分いたしておつたのであります。
  50. 志田義信

    志田委員 今お話を承ると、政府の持つておる株は四百六十万株というのでありますから、帝国石油の二千万株に対して、二三%は政府が持つておるということになろうかと思うのであります。そういう場合に、一般株主に與える影響いかんを考慮して株を手離す、あるいはそれをそのままにしておくというお話のようでありますが、收益の非常に悪いような状態のもとに離すとすれば、一般株主に対して非常に影響を與えるということになるのであります、その点を管財局長はやはり見はからつて、そういうことのないように、そういう株価との問題、あるいはその会社の常業收益の問題をよく見て処分する考えがあるか、あるいは政府の一方的な考えで処分する考えであるか、その点をお尋ねいたします。
  51. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 先ほど申し述べました通り、その会社の現在の株主等に対する影響、またさらに広い株界に対する影響等を考慮いたすのでありまして、その趣旨はただいま志田委員のお尋ねの通わ、その会社の收益なりあるいは株価なりというものも、もちろん考慮の内容に入れまして処分するつもりであります。政府で一方的に処分すると申しましても、政府が特に歳入を上げる等のためにこの会社の株式を手離して、一般歳入の財源にしなければならぬという事情にございませんから、もつぱら株式に関する市場の影響というようなことを主にいたしまして、歳入の方を従にいたす、かような考えであります。
  52. 志田義信

    志田委員 これは管財局長にももちろん御答弁願わなければならぬことでありますが、主計局の次長さんがお見えになつておるようでありますから同時にお尋ね申し上げますが、帝石はこのたび、二十七日の株主総会の招集にあたりまして、四割配当を証券界その他に流しております。これに対する大蔵省主計局並びに管財局のお考えをひとつお漏らし願いたいと思います。
  53. 石原周夫

    ○石原政府委員 帝国石油会社が相当いい收益の状態にあるのではなかろうかというようなことは、私どもも一般に承知をいたしておるわけであります。主計局の関係といたしまして、この際考慮をいたしまする点は、お尋ねの御趣旨はもつともと存じますが、私どもの方で考えてみますると、試掘の助成の点が考えられる、試掘助成の金は、本年たしか八千五百万円ほどの予算に相なつているかと思います。こういうような試掘の助成は、御承知のように非常に古い制度でありましで、これを受ける会社の現在の收益の状態ということと多少離れまして、長期にわたりまする日本資源の維持あるいは開発というような問題でございます。御承知のように、通産省資源局の資源調査課におきましては、探鉱奨励金でありますとか、かつてはそれ以上にいろいろな補助金を出しておつたのであります。現在も非鉄金属、金というようなものに対しまする探鉱の奨励金が出ておるのであります。従いまして、会社の收益の状態が、ある状態に達しまする場合に、今日の問題ではなくて、将来にわたりまする資源の維持開発についての補助金を、ただちに、そのために多く出すということについては、にわかに結論を出しがたいというような点がございまして、石油のような資源状態を常に見ながらやつて行かなければならないものについては、そこらに疑義もあるかと考えております。ただ相当な收益状態にありまする場合におきましては、その補助のやり方なり、あるいは率なり、あるいはその他の関係におきまして、予算の計上の仕方をいろいろ考慮するという点はあるかと思います。実は来年度も、資源開発につきまして、本年度の予算を数億越えまする予算の要求があるのでありまするが、今申し上げたような点を考慮いたしまして考えて行きたいと思つております。
  54. 志田義信

    志田委員 今の主計局次長お話は、非常に私は問題がある点に触れておると思いまするが、幸いに今始關長官が見えましたから、先に始關長官の方にひとつ質問を申し上げます。長官は、帝国石油の四十四号井の問題について、GHQのNRSのスケンクさんから、勧告の問題についておしかりを受けたやに拜聴いたしておりますが、このあなたが発しております四十四号井の第一次勧告の内容というものを、それをひとつお尋ね申し上げます。
  55. 始關伊平

    始關政府委員 帝石の生産は、御承知のように終戦後十六、七万台におきまして、その生産の回復が非常に長い期間停滞していたのでありますが、だんだん試掘なり掘鑿なりの技術が進歩いたしまして、本年度におきましては三十六、七万キロリツターの生産を見ることができるようになりました。ところが一方一本の井戸から出します油の量が多過ぎますと、結局地下にあります資源の完全な回收ができないというような、コンザーヴエーシヨンの問題が起つてつたのであります。さようないろいろな経緯はございますが、問題がございまして、NRSの示唆もありまして、本年の八月になりまして、東大の上床教授を委員長とする委員会に対しまして、いわゆるコンザーヴエーシヨンの問題、採油管理の技術的な問題をどうすべきかということを諮問いたしたのでございます。それに対しまして、ただいまお話のように、第一次の答申がございました。この答申の趣旨は、四十四号井という井戸は非常に不完全な状態である、これをそのままにして採油を続けると、油層全般に非常な悪影響を與える。これはとりあえず出口をふさいで、しばらくの間油をとらない方がよろしいというような答申でございます。その委員会の答申に基きまして、資源庁から帝石の社長に勧告を出しました。帝石では、ただちにその趣旨に従いまして、坑口の一時間閉塞を行つたというような状況に相なつております。なお一時閉塞を行いました結果、油層の状況は漸次回復をして参つております。経過を申し上げますと、一応そういうことになります。
  56. 志田義信

    志田委員 四十四号井の一番悪い井戸を一部閉めさせろという勧告を資源庁長官がなさつたそうでありますが、それに対して帝石は、ただちにその意を受けて、その処理をいたしたのでございますか。あなたの方は、第一次勧告後、第二次勧告もしているのではないのですか、それを聞きます。
  57. 始關伊平

    始關政府委員 第二次の勧告は、この井戸以外の井戸についての問題でございまして、この四十四号井につきましては、ただちに勧告の趣旨に合うような措置を帝石の方でいたしました。
  58. 志田義信

    志田委員 四十四号井の井戸が悪いということについて、帝石が処置した——それは応急的な処置をしたのだろうと私は思います。さらにあなたの方では、それだけではいかぬというので、第二次勧告もしておるように思いますが、それは二十五坑井の調節を意味しているのではないかと思います。あなたは帝石がその第一次勧告をすぐ受取つて、それに従つたというように言つておりますが、それに間違いありませんか。
  59. 始關伊平

    始關政府委員 元来問題になつております井戸の数が三十幾つあると思うのでありまして、その中で特に緊急であるという意味におきまして第一次答申がございまして、それに基いて第一次勧告をいたしたのでございます。それ以外の井戸につきましての勧告が、第二次の勧告に相なつております。
  60. 志田義信

    志田委員 始關長官はどこかおからだのぐあいでも悪いのではないのでしようか、私の質問がよくのみ込めないように思う。私の申し上げておるのは第四十四号井の勧告に次いで、さらに第二十五坑井の調節その他についての第二次勧告をしたことに対して、帝石がただちにその勧告の趣旨通りの処置を行つたかどうかということを聞いておるのです。それをひとつお尋ねしたい。
  61. 始關伊平

    始關政府委員 第一次の勧告に対しましては、ただちに閉塞の措置をとつたのでございます。第二次の勧告に対しましても、それぞれ適当な方法によりまして、ただいま採油管理を実施いたしておるのであります。その結果、従来、一時千二百キロ程度の産出がございましたのが、現在では九百キロを切るような状況に相なつております。
  62. 志田義信

    志田委員 私は、そういうお答えになると、やはりもう少し聞かなければならぬことになるのですが、それではその勧告の方法が遅れたということによつて、あなたの方は、資源局から何かさらに強いサゼスチョンを受けたような事実はありませんか。
  63. 始關伊平

    始關政府委員 この委員会の勧告が出て参りましたのが、十月の十七日でございます。これに基きまして私どもの方から勧告を出しましたのが十月二十九日であります。その間におきまして、勧告が遅れたというようなことを、関係方面から指摘されたという事実はございません。
  64. 志田義信

    志田委員 それでは勧告が遅れたことはないけれども、勧告したことを公表することが遅れたという指摘がありましたか。
  65. 始關伊平

    始關政府委員 勧告を二十九日にいたしまして、新聞発表は十月のたしか三十日にいたしました。
  66. 志田義信

    志田委員 新聞発表をしてそれをどうしたのです。
  67. 始關伊平

    始關政府委員 公表の問題についてお尋ねがありましたので、公表の方法としましては、この経緯を述べまして委員会からの勧告並びに私どもの方から帝石への勧告、従来の経緯とを述べまして、これを新聞を通して公表いたした次第であります。
  68. 志田義信

    志田委員 スケンク氏が現場におもむいたようでありますが、そのとき長官は一緒に行きませんでしたか。行つたときはどうでした。
  69. 始關伊平

    始關政府委員 七月の初めにスケンク局長が八橋に参りまして、私も一緒に参りました。
  70. 志田義信

    志田委員 そうしてそのときどういう話を受けたのですか、それをお尋ねしているのです。ただ行つたというだけでなく、もう少しとぎらずに話したらどうですか。
  71. 始關伊平

    始關政府委員 承知しました。その当時問題になりました点は、主として八橋油田の採油管理の問題であります。採油管理の問題につきまして従来の帝石のやり方が適当でない、不徹底であるということを指摘せられまして、それに対しまして帝石といたしましては、重役会におきまして、一体採油管理をどういうような基準でやつておいたらいいかということを研究いたしまして、これを報告するというふうな——大ざつぱな要点を申しますと、そういうことであります。これが七月の一日から四日、五日ごろまでの問題でありますが、そのときの示唆に基きまして、帝石では七月の十九日に一応の結論に到達いたしました。それに基きまして採油管理を始めたのでございます。ところが帝石で自主的に立てました案につきまして、さらに帝石とは無関係な権威のある第三者からなる委員会におきまして、客観的に検討した方がよかろうという示唆が重ねてスケンク氏の方からありまして、それに基きまして先ほど申し上げましたような、東大の上床教授を委員長とする委員会ができたわけであります。従いまして、伊もう一ぺん繰返して申しますならば、七月の二十日ごろから一応の採油管理は実施に移されておつたのでございますが、委員会の調査の完了をもちまして、あらためてこの採油管理をやり出したというのが、十月の末の勧告からと存じております。但しこの委員会の勧告をごらん願いますとわかりますように、帝石で七月二十日ごろにきめました採油管理の基準というものと、それから委員会の方で決定いたしました基準というものは、多少の出入りはございますが、それほどの違いのないものであります。
  72. 志田義信

    志田委員 この八橋油田は帝石内にとりましての産出油の約六〇%以上を自分の井だけで出している、このように聞いております。この油田が悪くなることは、帝石の経営にも直接響くというような重大な問題なのでありますが、適当でない採油管理をやつておつたということを、あなたの方ではいつわかつたのですか。
  73. 始關伊平

    始關政府委員 採油管理を全然無視しておつたということではないと思いますが、やり方に不純な点があるということは、今年の四月ごろから議論をし、また関心を持つておつた次第でございます。
  74. 志田義信

    志田委員 あなたは資源庁長官として、こういう採油管理の状況が悪いということが四月ごろからわかつておつた。そうして第一次勧唐、第二次勧告を出して、さらにスケンク氏の勧告があり、公表が遅れたということでその筋からも御注意をいただいた、そういう注意をいただいて、しかも帝石はあなたの方の勧告通りつているということを、ここでまだ言うことができますか。
  75. 始關伊平

    始關政府委員 私どもの方から出しました勧告の趣旨にのつとりまして、帝石では大体誠意をもつて実施に移しつつあるというふうに存じております。
  76. 志田義信

    志田委員 あなたの方の採油の制限をするということは、会社にとりましては生産量を減らすということになるのじやないですか。そういう生産量を減らすということであれば、会社としてはただちにそれが会社の今期の收益に影響するという点があろうかと思いますが、その点についてはいかがでございますか。
  77. 始關伊平

    始關政府委員 先ほど申し上げましたように、全体としての回收量を多くいたしますために、さしあたりは減産になりますので、経理の面にも当然響いておりますが、これは資源の立場並びに会社の長い事業考えまして、当面收益の関係その他が減つて参りましても、やむを得ない次第であるというふうに考えております。
  78. 志田義信

    志田委員 あなたは従来資源庁長官とじて政府最高首脳者から、油層の状況から推して、あまり国内油の石油会社が濫掘になるようなことがあつてはいけない。将来採油不能になつた場合には困るからということで、御注意をいただいたことがございませんでしようか。
  79. 始關伊平

    始關政府委員 ただいま申し上げましたように、今年の五月ころから、われわれの方といたしましても、この問題に関心を持ちましたし、またGHQのNRSの方面でも、そういうような問題につきまして重大な関心を持たれまして、この問題についていろいろお話を伺つたととがございます。
  80. 志田義信

    志田委員 今年の五月ころからそういうようなところに重大な関心を持たれた。ところがスけンク氏から勧告を受けて、さらにあなたの方が第一次、第二次勧告をやられたのは三箇月もあるのでありますが、その間どうしたのですか。
  81. 始關伊平

    始關政府委員 私どもといたしましては、この問題につきまして帝石の方に注意をいたしました。ただ先ほどから申し上げておりますように、コンサーヴエーシヨンの問題は、実施をいたすといたしましても、その基準等をどうするかという問題につきまして、いろいろの問題の点がありますし、適切な資料等を集めるにも時間がかかるというような点がございまして、帝石といたしましてもその具体的なプランをつくるのにいろいろ研究をいたしておつたと存じます。私どもの委嘱いたしました委員会におきまする審議も、ほぼ一月かかつておるような状況でありまして、この実施に移すことが遅れたということにつきましては、私どもといたしましても遺憾であると考えます。
  82. 志田義信

    志田委員 遺憾の意を明らかにされましたのは、まことに私どもけつこうなことと思つておりますが、あなたの方の資源庁の勧告によりますと、採油制限によつて、本年度の石油の需給計画に影響があるかないかということを考慮して処置されたかどうか、それをひとつ伺いたい。
  83. 始關伊平

    始關政府委員 実は根本的な考え方といたしまして、採油管理に関する一つの技術的な要請というものは、すべてに優先いたしまして考慮しなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。のみならず全体の、ただいま国内の石油の需給面に上つて参ります数字は、四百三、四十万トン程度と存じます。採油管理によりまして、影響して参ります計数は約三万トン程度と存じますので、需給の計画を立てます上に特別に考慮するということは実はいたしません。
  84. 志田義信

    志田委員 今明らかになつたことは長官のおつしやる採油制限によりまして、帝石の本年度の生産計画から採油制限による生産の減少を見込んでも三万トン程度、たしかその程度のものなんでございましよう。帝石の本年の生産計画は三十六万五千キロということになつておりましたが、そうすると三万トン程度ということになりますと、三十三万五千キロ、この程度が減少すると、さように了承してよろしゆうございますか。
  85. 始關伊平

    始關政府委員 上半期の採油管理を実施に移します場合に、実は若干の誤算がございますので、ただいま御指摘の数字はちよつと多くて、三十三、四万程度かと思つております。
  86. 志田義信

    志田委員 探鉱には非常に費用がかかるのでありまするが、帝石に対しての助成金は従来どのくらい出ておりましたか。
  87. 始關伊平

    始關政府委員 試掘の奨励金は、大体本年度分といたしましては、七千万円程度かと思います。
  88. 志田義信

    志田委員 試掘費は七千万円ですか。二十五年度ですか。
  89. 始關伊平

    始關政府委員 ただいま申しましたのは、探鉱奨励金といたしまして政府から出しております補助金の額でございます。
  90. 志田義信

    志田委員 試掘探鉱費は幾らあるのですか。
  91. 始關伊平

    始關政府委員 ただいまここに資料がないのでございますが、大体四億程度ではなかろうかというふうに存じております。
  92. 志田義信

    志田委員 そうすると、四億円の試掘探鉱費を出しておるのですが、石油を掘り当てて行つて石油が出た場合におきましては、還付金はどうするのですか。
  93. 始關伊平

    始關政府委員 政府からの補助によりまする試掘とそうでない試掘とございますが、政府の補助によりまして試掘いたしまして当りました場合には還付金はとりもどす建前になつております。
  94. 志田義信

    志田委員 どうも資源庁長官は舌足らずで困る。どのくらいとりもどすのですか、ただとりもどすだけでなく……。
  95. 始關伊平

    始關政府委員 どの程度取返すかということは、省令できまつておるパーセンテージによるのでございますが、二十六年度におきましては、金額で申しまして千五百万円程度をとりもどす考えでおります。
  96. 志田義信

    志田委員 これは私はいろいろ問題がここにあると思います。もちろんあなたはあまりこまかい資料その他をきよう持ち合せてない、あなたの頭の中にも資料が入つてないということですから、それは別の機会にお尋ねしてもいいのですが、先ほど管財局長あるいは主計局次長にもお尋ねしたのですが、帝石が四割の配当をやろうということを言つておる。政府の補助金、試掘探鉱費、あなたは今四億円くらいと言われた。それからさらに二十五年度と二十六年度の間に、あなたの言つたのも一千万円ほど違つておりますけれども、七千万円から八千五百万円程度の補助金を出しておるというようなことも言つておられるのであります。そういうふうな金を出して配当を四割にするということを言つておるが、これは合理的なものだとお考えになつておるでしようか。
  97. 始關伊平

    始關政府委員 四割配当という話は私ども聞いておりますが、そのうちの半分、二割程度は、創立五十周年の記念配当で証あつて、本来は二割配当であるというようなことを聞いておるのであります。ただいま申し上げましたような、政府からの助成を受けておるというような点からいたしまして、経理面からこの配当が無理でないという結論が出るにいたしましても、あまり高率な配当であるという感じを世間に與えるような配当は思わしくないのではないかというふうに考えております。
  98. 志田義信

    志田委員 四割配当というようなものをやるということは、この会社が助成金をもらつたり、あるいはその他の生産についてもいろいろな政府の援助を受ておる。場合によつては保護関税も一年間免税というようなことも、いろいろ今考えておられるというような状態にあります場合に、実際の利益はない、真実の利益はない、試掘費をもらつてつておる、実際はそれだけは株価が上つてない、株価は上つていたにしても、その收益がない、言つてみればたこ配のような状態である。こういうことに対して四割配当は不当であるということをあなたはお考えになつて、これを会社側に対して勧告か、あるいはそうしたことをやめなさいというような御注意をしたことがありますか。
  99. 始關伊平

    始關政府委員 計数的な数字の内容につきましては必ずしも詳細な検討をいたしておるわけではございませんが、先ほどから問題になつておりますように、コンサーヴエーシヨンの実施がある程度遅れたということ、並びに政府からの助成を受けておるというような点からいたしまして、高率な配当は思わしくないのではないかというようなことを、帝石の方面に注意を促したという事実があります。
  100. 志田義信

    志田委員 帝右側はただちにその勧告に従つて、四割を従来の二割にするというような意思表示をあなたにしたことがございますか。
  101. 始關伊平

    始關政府委員 帝石といたしましては、その勧告の結果によりまして、考え直したというようなことを申して参つたことはございません。
  102. 志田義信

    志田委員 そういう考え直したということを言つて来た事実がないばかりでなく、重役会ではすでに四割配当を決定しておるという反対の事実がありますが、資源庁長官はこれをどういうふうにお考えになつておりますか。
  103. 始關伊平

    始關政府委員 帝石はただいまのようなプライヴエートの会社になります前におきまして、特殊会社でございまして、そういつたような点につきまして、一々政府の承認が必要であるという建前の会社であつたと思うのでありますが、ただいまではそういうような法律上の監督権が全然ございませんので、はなはだ遺憾でございますが、目下の状況は、普通の会社の場合とまつたく同様でございますので、私どもといたしましては、一応の注意を喚起するということ以外に、有效なそれに対する手は持つていないわけでございます。
  104. 志田義信

    志田委員 そうでしようか。あなたは先ほど来、適当でない採油管理についても十分手を打たせて、その会社の收益に影響するような勧告をも與えて、そして会社側をそれに従わしておるのだと言つている。そのために他の方法で、たとい増産がありましても、三万トンないし三万五千トンくらいの減産を見込まなければならぬような状態になつている会社の経営に対しては、きわめて重大なあなたの発言でございます。そういう発言を行つて、なおかつそういう採油管理を適当でないとして、あなたの権限で勧告しておられる。しかるにあなたは、国の金は四億もつぎ込んでおる、補助金をやつて探鉱試掘もやつておるのだ、そういうことを言つておりながら、なおかつ国民の公僕としての資源庁長官が、会社は株式会社であるから、配当を四割にしようと、適当でないと思いながらも、これに対して勧告を與えたけれども、その後の処置は会社側の自由であるというような考え方で、あなたの職責が勤まるかどうか、他に方法考えようとする手を打たなかつたのかどうか、それをお尋ねいたします。
  105. 始關伊平

    始關政府委員 採油管理の問題につきましても、ただいまのところでは、政府といたしましては、法律上の強制力はないのでありまして、ただこれは国家資源の完全な活用という点からいたしまして、きわめて重要でございますので、できるだけ早い機会に、コンサーヴエーシヨンの根拠になりますような法律を制定していただきたいというふうに考えておる次第でございます。さような次第でございまして、実際上の勧告という点につきましては、コンサーヴエーシヨンの方と、それから配当の方も同様いたしておるのでございます。なお政府から出しております金は七千万円でございまして、四億円と申しましたのは、会社自体の経費を含めまして、いわゆる試掘に使つております経費を含めた、会社経費の総額と推定されるのであります。
  106. 志田義信

    志田委員 あなたは第四十四号井ほか第二十五坑井を調節させ、その他十五号坑を、八月から事業計画を組み直してやるように勧告し、会社側が事業計画を立て直したのは、それぞれ第一次、第二次の勧告が行われた結果であると、こういうことを言つておられる。ところが重要な四割配当の問題に関する限りは、勧告はしたが、その結果については向うの自由裁量であるというふうに考えられることは、私はまことに遺憾であると思いますが、その勧告は文書をもつてしたものであるか、口頭をもつてしたものであるか承わたい。
  107. 始關伊平

    始關政府委員 口頭をもつていたしました。
  108. 志田義信

    志田委員 あなたは、第四十四号井その他の作業中止に対する勧告は、文書をもつてつておるようでありますが、特にこの四割配当だけを、口頭をもつてやつたという真意はどこにありますか、それを承りたい。
  109. 始關伊平

    始關政府委員 両方とも会社の経営の内容に関する問題でございますが、特に採油管理の方の問題は国家資源の立場からいたしまして、特に公共的な色彩が大きいということと、それからこれは先の問題でありますが、将来の問題といたしましては、この問題については法律をつくつていただいてまで強制しようというふうな立場にございますので、この点については特に文書をもつていたした次第であります。
  110. 志田義信

    志田委員 それはちつとも区別にならない。あなたは事の重要性に対して区別をつけたと言われるならわかりますが、あなたは埋蔵資源だけを大切にすると言われる。資金計画の問題もきわめて重大であつて、幾ら埋蔵資源だけを大切にしても、これの採油の方法その他を誤つてはいけないのだから、従つて採油の問題についても、あなた方の御意見が出るということになる。大事なのは採油管理の方式だけではない。石油をどうして探し出すかということが問題です。そうして見れば、それにつぎ込む政府の金というものは、きわめて重大であるといわなければならない。そうすれば、この第一次勧告第二次勧告は、コンサーヴエーシヨンの結果書類をもつて勧告したと言いますが、四割配当だけはなぜ口頭をもつてしたか。またその口頭をもつてだれにしたか。あなたがしたのですか。
  111. 始關伊平

    始關政府委員 私が帝石の社長にしました。
  112. 志田義信

    志田委員 それはいつおやりになりました。
  113. 始關伊平

    始關政府委員 十一月の九日でございます。
  114. 志田義信

    志田委員 そのとき酒井社長は、その勧告に対して誠意をもつて当るという回答をいたしましたか。それともただ漠然とあなたの口頭勧告を聞いたにすぎなかつたのですか。
  115. 始關伊平

    始關政府委員 帝石といたしましては、いろいろの行きがかりその他ございまして、勧告の趣旨はよくわかるけれども、まあ困難ではなかろうかということと、重役会で相談するというようなことを言つて来ました。
  116. 志田義信

    志田委員 従来の行きがかりというのは何ですか。
  117. 始關伊平

    始關政府委員 これは私の想像でございますが、大体四割程度の配当をするというふうに、世間一般あるいは株主方面考えておるとか、そういつたような事情だろうと思います。
  118. 志田義信

    志田委員 帝石は十億の会社でありますが、五億の利益で四割の配当をやろうと言つている。これは他にそういう例があるかどうか、私は寡聞にして知りませんが、日石あたりは資本金十五億で十七億の利益で四割配当したという事実があるのであります。しかし帝石は十億で五億の利益で四割の配当をやる、しかも帝石は政府助成金を受けている。あなたは帝石の社長とはきわめて懇親の間にあるように私たちは聞いている。元同じ役所にいた関係があるかどうかしりませんが、お互いにきわめて尊敬し合つている仲だと思いますけれども、あなたは長官としての立場においてそういうことをやることはいけない。国民の血税を配当するという結果になることを、なぜ強く勧告しなかつたか。特に文書をもつてなぜやらなかつたかということについては、私たちには解せない点がある。その点をもう少しはつきりさせていただかなければ、当委員会としては非常に困る。第一会社内の行きがかり上できないというような話であつたが、その行きがかりとは何だと聞けば、株主方面でそうことを考えておるからできないと言われる。株主方面といつても特定の株主です。国民全体ではありません。しかるにこの会社に対する国の補助というものは、国民の税金からなつているものです。そういう点を考慮して、資源庁長官としては、十分この四割配当を阻止しなければならぬ。国に奉ずるところの精神をもつて国民につかえるという立場で、なぜ重要な勧告をば、文書をもつて社長に手交するの方法をとらなかつたか、その点をひとつお伺いいたします。
  119. 始關伊平

    始關政府委員 ただいまのお話はたいへんごもつともでございますが、われわれといたしましては、法律によつて與えられました権限の範囲内におきましてやつて参る必要があるわけでありまして、帝石につきましては、従来はすべてそういうようなことについての管理、監督の権限を持つてつたのでございますが、これが商法上の一つの会社になつたという点、その他ただいま申しましたようにいろいろな点からいたしまして、あまり法律でやるという印象を與える方法をとることは思わしくないというような勧告をいたし、その勧告に基いて注意を喚起いたした次第宅ございます。
  120. 志田義信

    志田委員 八橋の第七層の不合理な採油によりまして、その石油の壽命は五年くらい短縮されるということであります。われわれの方にもすでに今年の夏ごろにわかつております。われわれは経済安定委員会から特に秋田に参りましてあの地方を視察いたしたときも、この点を念を押して聞いたのでありますが、そのときは十分セメントで固めてしまつてあるからそういうことはないというようなことを言つて、われわれには技術的でよくわからない点を、帝石当局はたくみにごまかしているという関係が、今になつてみれば私はあると思う。八橋第七層の不合理採油により壽命は五年短縮され、急いで毎日四百キロあて二年間採油すれば、その半分の二百キロあて七年採油することに比べては、採收不能量は、二十一万キロで、キロ当り一万円としても、二十一億の損失であるということを、帝石の技術者の中から私どもの方へ書類をよこしております。あなたの方では今後大いに石油管理の適正な施行に努力なさるということは、私はまことに国家のために同慶にたえないのでありますけれども、四割配当なんということは、それと遜色のない、軽重のないほど重要なことであるにかかわらず、それに対してあなたは口頭の勧告だけにとどめておる。法律上の権限がないからそれで終つておると言われることは、官吏として国に盡す道であるとお考えになつているかどうか、それをひとつ承りたい。
  121. 始關伊平

    始關政府委員 先ほども申し上げましたように、ただいまの帝石の立場からいたしまして、従来のようにこの会社を特殊会社として扱う法律があれば別でありますが、それ以外の場合におきましては、勧告を行つて注意を促すということよりほかに方法はないと考えております。
  122. 志田義信

    志田委員 資源庁長官は勧告以外に方法がないと言つておりますが、何も勧告がそのまま聞かれないからといつて、それで資源庁長官として能事終れりと私は思いません。もしこの勧告を聞かない場合においては、われわれは国のためにこうしなければならぬ、ああしなければならぬという制限を加えることができます。今後の問題について、そういうこともあなたは考えてとの勧告をやる決意がなくして、單に口先だけの勧告であつたならげ、しなくてもよろしい。あなたは自分の意思で、国家のためになるという建前で遂行ずるために勧告になつた。單に口先だけの勧告ではないと私は思うのです。それをなお強力に押し進めるだけの執行力を持つた勧告をやらないのか、執行力のない勧告はいくら勧告をしてもしようがない、あなたはそういう勧告なら、しなければよろしい。執行力を持つた勧告をすることをあなたは努力したという形跡があれば、私は非常に了としたい。それをひとつお尋ねをしたい。
  123. 始關伊平

    始關政府委員 強制力を持つた勧告ということになりますと、どうしてもこれは元のような法律的に会社を規制するような背景がいるわけであります。それ以外の場合においでは諸般の状況を見まして、会社側の反省を促すということ以外に方法がないのではなかろうかと思います。
  124. 志田義信

    志田委員 私は資源庁長官の人柄も他から聞いてよく知つております。あなたの人格高潔な点もよく知つております。また友情のきわめて厚いという点も私はよく聞いておる。そこであなたは酒井社長に対して、国家の将来においても、また国民に與える影響からしても、四割配当は不当であるという信念をもつて勧告せられたのであるか、その勧告は法律的基礎がないから、勧告そのものはそのまま会社の行きがかり上のことで、その勧告は無になるということがあつたならば、私はあなたのせつかくの会社を思い、国を思い、また日本の国民の血税をもつてする補助金その他に対する遠大のお考えも無になると思うが、そういうことは無になつてもあなたは少しも意としないというお考えであるか、それをひとつ承りたい。
  125. 始關伊平

    始關政府委員 たびたび申し上げてありますように、世間が不当に高過ぎるというような配当をするということは、はなはだおもしろくない、遺憾であるというふうに存じます。
  126. 志田義信

    志田委員 あなたが、そういうことを帝石がやるということはおもしろくないというお考えであるということがわかりましたので、その点は私了承いたします。  さらに長官にひとつお尋ねを申し上げますが、帝石は機械類を補助金その他によつて買つた事実があると思う。工具類、機械類あるいは鉄管というものを買つた事実があると思いますが、それの処分をどうしているか、これを監査したことがあるか、それをお尋ねいたします。
  127. 始關伊平

    始關政府委員 その点はちよつとここに係りの者が参つておりませんので、調査いたしまして御返事申し上げたいと思います。
  128. 志田義信

    志田委員 当委員会の知り得ましたことを御参考までに申し上げておきます。私は経済安定委員でありますと同時に、行政監察委員を兼ねておりますから、この機会に申し上げておきます。港間伝えられておりますが、いまだ実証をあげるに至りませんので、われわれも鋭意努力して実証をあげることに努めたいと思いますが、現在帝石が保有しておる貯蔵品は九億円に達するという模様であります。しかるにこの会社には山勝工業という会社があつて、これは柏崎にあるそうでありますが、その山勝工業が鉄管、工具類、あるいは機械類をくず鉄として買つておる事実がある。一体機械類はくず鉄になるのであるかどうか。この点は資源庁長官にひとつお尋ねしなければなりませんが、こういうものを廃棄処分にして、使用不能としておるかどうか知りませんが、国家の補助金によつて買つたものであることには間違いがない。全部でなくとも、国家の補助金によつて探鉱試掘施設に使われておるのは間違いない。こういうものに対して、あなたとしては監査の必要があると思つておるかどうか、それをひとつお尋ね申し上げたい。
  129. 始關伊平

    始關政府委員 それはただいま申し上げましたように、よく調査いたしましてお答え申し上げたいと思いますが、政府の補助によりましてあるものを買つたという場合におきまして、それを処分するにつきましては、三年なり五年なりという期間を置きまして、その期間内に処分する場合には、特に承認を受けるとか何とかいう條件がつくのが普通だと思います。もちろんその期間内でございますれば、監査その他する必要があるわけであります。御指摘の点は調査いたしまして、あらためて御返答申し上げます。
  130. 志田義信

    志田委員 資源庁長官の誠意あるお答えに対して私は満足いたしますが、そういう事実を御調査なさる前に、政府の承認を受けて払下げをする、そういうときに検收をした事実があるのかどうか。今までやつた事実があるかないか、それをひとつ。
  131. 始關伊平

    始關政府委員 そういうものを処分するという事柄につきまして、会社の方から報告がございましたときは検收いたしておるようでございます。
  132. 志田義信

    志田委員 今までに何度検收したことがありますか。
  133. 始關伊平

    始關政府委員 今日事でに何度やつたことがあるかということも調査してお答え申し上げますが、ただいま問題になつております事例では東山の坑道掘りの場合におきまして、これは廃止いたすのでございますが、その場合におきまして、御承知のように補助金で買い入れた分につきまして、同じような問題がございまして、お答え申し上げておるような趣旨によりまして、監査検收いたしておるようでございます。
  134. 志田義信

    志田委員 きわめて重大な国の補助をもらつて、しかもそれでもつて買つた機械類をくず鉄として売り下げたり、あるいは鉄管を、もう抜くことができないということで廃棄したり、そうしてこれを山勝工業というきわめて小さい会社今は非常にもうけておるそうですが、昔は工具類のブローカーをやつておつたそうで、金淵という社長ですからお調べになればわかる。そういう社長のところに一手に払い下げてしまう。こういうことをやつておる。しかも今資源庁長官の話によると、東山の坑道掘りを廃止することについての補助金についても、いろいろ今部内監査をやつておるというお話であつた。こういうような重大な問題がある会社が、四割の配当が今期の收益なりとして国民の了解を得ることができると思つているかどうか、それをひとつお尋ねしてみたいと思います。
  135. 始關伊平

    始關政府委員 先ほどから繰越して申し上げておりますように、四割のうち二割は記念配当であり、かつ一年のうちの申分についてだけ配当するというような説明のようでありますが、それにいたしましても、若干配当率が高過ぎるのではなかろうかというふうに、私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、考えておる次第でございます。
  136. 志田義信

    志田委員 大蔵省主計局次長にお伺いいたしますが、株主総会には大蔵省は大蔵大臣が出席することに表面はなろうかと思います。来る二十九日——二十七日か九日か私もよく記憶しておりませんが、株主総会には大蔵省からどなたが株主を代表して出席する御予定であるか承りたい。
  137. 石原周夫

    ○石原政府委員 こういう政府の持株の関係は管財局で取扱つておりまするので、管財局長あるいは管財局の主管課長でありまするか、いずれにいたしましても管財局の責任のある人間が参つてからお答えしたいと思います。
  138. 志田義信

    志田委員 四割配当をやつておる帝石に対して、やはり補助金をやらなければならぬというお考えをお持ちになりまするかどうか、それをひとつ端的にお尋ねいたします。
  139. 石原周夫

    ○石原政府委員 今お尋ねになつておられまする四割配当という問題——先ほど私申し上げましたように、石油の試掘助成という問題は、一つ資源の維持という趣旨によりますので、必ずしも会社の收益状態ということだけで判断すべき問題ではなくて、先にわたつて資源の維持保存という点から、相当程度会社が收益をあげております場合におきましても、国から金を出して、そういう資源の維持保存に必要な施設をやつてもらうという趣旨があるわけであります。従いまして、今その補助金を受けます会社が、どの程度の配当をいたしておるか——私どもの方から見ますれば、配当も配当でございますが、むしろ利益率の問題である。非常に高い利益率をあげておるところに対しまして、おつしやるように国民の税金から出すということにつきましては問題でございますので、私といたしましてはそれを受領いたしまする会社の利益率ということを当然問題にいたすわけであります。それではある配当をする、あるいはある一定程度の利益率を越えればただちに助成をやめるかと申しますと、御承知のように、従来ございました価格調整補給金というようなものでございますと、当然やめなければならない。それに対しまして、先ほど申し上げましたように、この石油の場合における試掘助成、あるいは非鉄金属関係において残つておりますところの探鉱奨励、そういうようなものにつきましては、この利益を受けます会社の收益状況という点よりは、主務の役所が、資源の維持保存という点から、どういうところにやらしたらいいか、どういう場所にやらしたらいいかという見地から、助成をいたすということになります。そういう意味におきまして、こういう資源維持保存の助成金というものは、ただちに利益会社の利益によつてそう二、三になるというわけには必ずしも行かぬのでありますが、ただ利益会社が非常に莫大な收益をして、みずからの力をもつて国が希望するような仕事ができるというふうなものにつきましては、もちろん国として必要以上の助成をいたす必要はないのであります。この帝国石油の場合におきましても、先ほどお話のありますように、試掘をいたしておりますもののうちで、助成をしておりますものと、していないもの、それからついでに申し上げておきまするが、先ほど私八千五百万円という試掘助成金の数字を申し上げましたが、これは帝石以外の石油試掘会社の分も含まれておりますので、そのうち帝石の分は、先ほど資源庁から申し上げました通り、七千万円程度かと思います。
  140. 志田義信

    志田委員 主計局次長さんは会社の利益率で考えるという話であつたが、先ほどもあなたは、最初相当いい收益を帝石が上げておるという。それはほんとうにあなたはそう思つていらつしやるのかどうか。一体いい收益を上げておる、利益率がいいということを、ほんとうに思つてつておるのならば、私はここに一つ例を申し上げたいと思う。会社はこのたび作業予算を変更いたしまして、試掘探鉱を大部分中止しておる。そうして労務者を遊休状態に置いて、会社はもうからないからというので、労働組合の要求である賃上げに対しても、やらないですえ置きを重役会で決定しておる。賞與におきましても、前回重役のみは五割増しであつたそうで、四百万円を六百万円とするということをしておりまするが、従業員に対しましては、賞與も従来通り、賃金も上げない、特別配当の四割の配当の中には、何周年記念かの特別配当があるのだということですが、二割増加しておるといつたようなことを言つておりますが、会社の重役及び株主に対しましては、会社は非常に成績も上げておる、利益率のよい会社になつておりまするけれども、その基本をなしておる労働者に対しましては、今年は金はないということで、賃金もすえ置きしておる。賞與もそのままである。加えて大部分の試掘探鉱を中止するということによつて労務者が遊休状態に陷り、これはただちに労働組合が黙止することができないといつて、すでに会社側との間に争議が起きようとしておる、社会問題としての争議が起きようとしております。こういう実態を見つつ、なおかつ大蔵省主計局次長は、相当收益を上げておるから利益率がいい会社であるというふうにお考えになつておるようでありますが、その点の誤差をひとつ私は承りたい。
  141. 石原周夫

    ○石原政府委員 私が最初に、帝国石油という会社は比較的いい收益状態にあるように聞いておるということを申し上げましたのは、先ほどお話になりました資本金に対しまして、利益金が幾らであるというふうな正確な数字に基いて申し上げたのではございませんので、私どもの方の予算の担当者が、いろいろそういうような会社の経理内容を研究いたしておりまして、そういうような話を、予算の会議をいたします際にいろいろ聞いておるわけであります。ただいま御指摘になりましたような、この会社の経理の実態の内容におきまして、どういう労働賃金が払われ、あるいはまたどういう争議が起るか、あるいは起らんとしつつあるかというようなことを、踏み込んで調べて申し上げたわけではございません。
  142. 志田義信

    志田委員 そうすると今のお話は雲をつかむようなお話であるということになりますが、それでよろしゆうございますか。
  143. 石原周夫

    ○石原政府委員 雲をつかむというおしかりではなはだ恐縮をいたすのでありますが、今私が申し上げましたのは、資源維持のための補助金というものは、必ずしも收益の状態でそうただちに打切つたり、減額した。することにはならないのだ。帝国石油については経理内容がいいんだという話も聞いておるが、しかしそれで私は補助金を切るということを申し上げたのではありませんので、御指摘のような内容でありますならば、なおさら私どもとしてはその具体的な内容を明らかにしまして、来年度の予算の際に十分その辺を詮議をいたしまして、どういうような補助金を計上するのが適当かということを考えたいと思つておる次第であります。
  144. 志田義信

    志田委員 どうも今のお話では、私はあなたに国をまかせることはできますが、帝石をまかせるここはできないような気がする。大体あなた、そうじやありませんか。相当な收益があるというような裏づけが何もない話だ。私はこういうようなむちやな四割配当というようなことをするのを、政府はなぜとめないのだろうかということがふしぎな気がする。とめていいじやありませんか。特に大蔵省が二六%の株を持つておる。その他帝石法はなくなつたといえども、補助金の点からいつても、炭鉱費の点からいつても、いろいろな点で帝石は資源庁長官や、あるいは大蔵省や、あるいは安本等の支持育成がなければやつて行けないものであるということが明らかになつておる。そういう会社がのんべんだらりと四割配当をして、しかも労働組合に対しては、損しておるから賃上げはできない。賞與はそのままだ。重役の賞與だけ五割増しにする。こういうようなことを平気でやるような会社に政府の助成金をやることはできない。政府の保護助成するようなことを国民は許せない。あなたたち簡單なことを言つて、相当な收益を上げているのだからとか、あるいは收益がなくても利益率によつて考えてやる、あるいは損をしていれば、損をしているだけの助成をしてやるんだということを言つておりますけれども、ほんとうにこれに助成することが国のためになるんだという信念に基いてやつておるのじやないのではないか。私は非常に義憤を感ずる。しかも政府が監督しなければならぬ立場において、いろいろな問題が行われておる。帝石は伏魔殿のようになつておるにかかわらず、これに対して何ら行政官庁で監督の責めに任じていないということは、私はきわめて遺憾にたえない。このままにしておきますならば、とうてい皆さんはそうしたことで今後行政の任務についていただくわけに行かないような気がする。そこで私は大蔵省主計局次長さんからも、雲をつかむような話でありまして、これ以上聞いてもいたし方ありませんが、安本の産業局次長さんは——もうおられませんから聞かれない。けれどもこれは当委員会で別の機会、あるいはその他でやりたいと思います。一体帝石というのはどこにありますか知つておりますか。皆さん、鉱区はどこに存在しておるか知つておりますか。東北にある。われわれの祖先が長い間住んでやつて来た東北にある。その東北地方というのは産業の最も遅れておるところである。地下資源と農業が多少いいということが唯一の秋田、山形におきましては、私は山形県選出の代議士でありますから、その辺はよく知つております。産業的に最も立ち遅れておる山形県あるいは秋田県のうちのただ一つの石油資源が、このまま衰微するような状態に行くというようなことになつたならば、資源庁長官一つの腹を切るということでは間に合わない。千や二千の資源庁長官産業局次長が腹を切つても問題にならない。こういうような重大な問題に立つておるのですが、政府はこれらに何ら処置をしないということは私はふしぎでならない。このままで過すつもりですか。資源庁長官は、特に勧告をしたけれども、勧告が聞かれなければしかたがないというようなことを言つておる。こんなばかなことが許されますか。行政官廳としては許されても、国会としては許さない。こういうような不合理なことをやつてつて、部内監査も十分やつていない。何かを聞けば調査する、調査するというだけで終つておるあとでお話する、あとで御報告するということで終つておる。この事実が明らかになつたときにこれはどうするつもりですか。ほんとうに誠意をもつてこの問題を解決するお考えがあるかどうか、特に私は資源庁長官にお尋ね申し上げたい。
  145. 始關伊平

    始關政府委員 いろいろの問題があると思いますが、一番根本の採油管理の問題につきましては、将来法的な背景によりまして嚴重にやつて参りたいと思います。ただいま御指摘のございました払下げに関連する問題等につきましては、十分調査をして行きたいと思います。
  146. 志田義信

    志田委員 調査をしてどうするのですか。
  147. 始關伊平

    始關政府委員 調査をいたしまして、たとえば非常に刑事的な問題があるということでありますれば、その方面に連絡するとか適当な措置をとつて参りたいと思います。
  148. 志田義信

    志田委員 帝石内のこれらの問題は不日天下に明らになると私は思つております。私の恐れることは、不日天下に明らかになる前に、行政府の人たちがこれだけの処置をしたということを国民に見せべきであると思う。それをしなければ皆さんの職責は勤まらない。私は自由党に属しておりますから、できるだけ與党のことにつきましては、あまりことあげすることを欲しませんけれども、私が内々にしてことあげしないとすれば、野党連合の方でことあげしようとする空気がすでに見えておる。そういう政治的な問題にまでなることを私は非常に恐れる。資源庁長官は今までの間にこれに対して何ら監査もしなければ、勧告も跡始末もしていない。そんなことであなたは職責が勤まると思つておられるかどうか。今後あなたは調査の結果、意外なことが出て来た、十分反省を促さなけれげならぬ事実が出て来たときには、どういう立場で、どういう処分をするつもりなんですか。今は刑事上の問題があつたならば何かその筋に連絡をすると言うが、あなたは連絡官ですか。告発は国民ができます。告発は国民の権利です。あなたをまつまでもない。すでに準備もされておると私は聞いておる。そういう前に、監督の官庁たるあなたが事を知らぬで済まされるのですか、それをひとつ承りたい。
  149. 始關伊平

    始關政府委員 いろいろお話がございますが、私どもといたしましては、帝石が従来の特殊会社から普通の民間会社になつたという建前のもとに、ただいま石油管理の問題のごとき、国家的に重要なことにつきましての監督をいたしたいと存じておるのでございます。なお助成によりました資材あるいは機械等が、何か不当に払い下げられるとかなんとかいう問題は、当然私どもの責任の範囲の中に入つて参ると存じますので、もし不当がございますれぼ、たとえば補助金の返還を命ずるとか、それぞれ適当な措置をとつて参りたいというふうに考えております。
  150. 志田義信

    志田委員 適当な措置だけではだめだ。嚴重な措置をとるということを当委員会で明言してください。そういうなまやさしいことではいけません。そういう事実があつたら嚴重な措置をとる、国民におわびをするということを明言してください。それくらいの信念がなければならぬと私は思います。それを資源庁長官にお尋ねをいたします。
  151. 始關伊平

    始關政府委員 たとえば政府がら補助金を出しておる。ところが補助金によりまして、調達せられましたものが本来の用途に使われませんで、不当な方面に払下げをされておるとかいうような事実がございましては嚴重な処置をとるつもりであります。
  152. 志田義信

    志田委員 いろいろ声を大にして関係官に対してお聞き申し上げましたが、これは決して皆さんを愛することに浅いわけではなく、一に国を愛すること深いために私は申したのでありまして、今の資源局長官のお言葉で私も了承いたしました。すみやかに資源局長官は内部の監査を行つて、これらに関する不正事実がありまするならば、これを十分えぐり出して、そして輿論の高まる前に処置を講じていただきたい。これをまずお願い申し上げておきます。  大蔵省の主計局次長さんに特にお願い申し上げておきたいことは、もう少しあなたの方は帝石の内容をお調べくださつて、そうして今後の予算の内容についても万遺憾なきを期していただきたい。これを特にお願い申し上げておきます。  なおこの問題につきましては、私たちはこれのみで終りません。他のところでさらに皆さんに御質問申し上げる機会もあるかと思いますから、今日は私の質問はこれでとどめておきます。
  153. 圖司安正

    圖司委員長 ほかにございませんか。——なければ本日はこの程度にとどめます。  次会は公報をもつてお知らせすることといたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時二分散会