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1951-10-08 第11回国会 参議院 人事委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月八日(月曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員の異動 九月二十六日委員高橋龍太郎君辞任に つき、その補欠として杉山昌作君を議 長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件  (給與ベース改訂に関する件)  (地域給に関する件)  (営林労務者の職種に関する件)   —————————————
  2. 千葉信

    理事千葉信君) それでは只今から人事委員会を開催いたします。  議題国家公務員給與問題に関する調査案件でございます。なお今日お見えなつておられますのは、人事院法制局長岡部さん、林野庁労務厚生課長岡崎さんの両者でありまするが、予定として内閣官房長官菅野さん、人事官山下さん、大蔵省主計局のほうから岸本給與課長がお見えになる予定なつております。  議題に入ります前にお諮り申上げたいことは、閉会中の継続調査事項なつておりまする案件審議未了報告書をお諮りしなければならないのでありまするが、案文の作成その他についてまだできておりませんので、その作成方について委員長に御一任願いたいと思いまするが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉信

    理事千葉信君) それではそのように取計らいます。  それでは議題に関して順次御発言を願います。速記を止めて……。    〔速記中止
  4. 千葉信

    理事千葉信君) 速記を始めて下さい。
  5. 木下源吾

    木下源吾君 岸本さんに一つ。今度のベース改訂の件で、折角政府が今作業をしているようですが、なかんずく大蔵省では伝えられるように千五百円のベースアップの、ベースというか、引上げをやつておるようですが、事実そういう作業をやつておられるかどうか、先ずそれからお聞きします。
  6. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 只今の御質問にお答えいたします。坐つたままで失礼いたします。千五百円上げるということは先般の閣議で大体決定いたしまして、その後の千五百円の内部配分の問題につきましては、現在内閣と連絡いたしまして研究いたしております。
  7. 木下源吾

    木下源吾君 この千五百円というのは、勿論あなたでは答弁の限りでないということになるかも知らんが、まあ給與のことをおやりになつているからお尋ねするのだが、現在の公務員生活の状態、そういうようなのを基礎にして、千五百円というのが予算関係で千五百円ということになるのか、あなたのお答えできる範囲一つお願いしたい
  8. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 千五百円の数字の出て参りました根拠は勿論予算という問題もございますが、同時に公務員一般生活というものを考えてございます。つまり一般物価の騰貴であるとか、民間賃金上昇、そうしたものも考慮いたしまして、大体千五百円という枠が出て来ていると考えます。
  9. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、それらの調査根拠というものは人事院のそういう調査一体どこがやり方において違つているかお伺いしたい。
  10. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 人事院で御調査なつておりますのは、主として内部の、つまり俸給をどれだけ上げるかという内部の、つまり枠の問題として、内部分配の問題としていろいろ調査をお進めになつておられると思うのであります。千五百円という数字がどうして出て来たかということの調査については、これは又全然人事院とは別個の観点から見ているところでございます。
  11. 木下源吾

    木下源吾君 それは別個でもよろしいが、大蔵省のそういう数字が出て来る根拠あらましでもいいから、一つ説明を願いたい。
  12. 岸本晋

    説明員岸本晋君) この細かい数字只今ここに持合せていないのでございますが、まあ大体におきまして、一般民間賃金が現在こういうベースなつて、公務員現行ベースをとりましてから、どの程度民間賃金が上つているか、一般物価はどの程度なつているか、或いは将来それに対してどういう措置ベース改訂以外に政府考えているか、そういういろいろな観点から総合的にきめておるわけであります。
  13. 木下源吾

    木下源吾君 もう少し詳しく御説明を願いたいと思うのですが、まあ総合的といえば全部含んでいるようですが、人事院勧告根拠というものは御承知通りであります。政府の場合は多分に政策が加味していると思うのですが、まあそれは別としましても、幾ら政策というても何らの根拠なくしては出していないだろうと思うのです。根拠の具体的なあらましでもいいですね。
  14. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 具体的な数字をということでございますが、今ちよつとあいにく正確な資料を持合せておりませず、はつきり突込んだ御説明ちよつと申上げかねるのでございますが。
  15. 木下源吾

    木下源吾君 数字でなくてもよろしいですね。こういうものと、こういうものと、こういうものというだけでもよろしいですが。
  16. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 先ほど申上げました一般物価上昇CPIによります物価上昇率、それから毎勤の統計から見たところの民間賃金上昇率、それから将来におきます減税措置、そうしたものをいろいろ考慮いたしまして、できているわけであります。
  17. 木下源吾

    木下源吾君 そのことをおやりになる根拠は時期としてはいつ頃に選んでおられるか。
  18. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 根拠の時期と言いますと……。
  19. 木下源吾

    木下源吾君 つまりCPIとか、いろいろとつた時期ですね。
  20. 岸本晋

    説明員岸本晋君) これは時期の問題につきましては、現在のベースがいつから、施行されたかということが一番の元点になろうかと思いますが、同時に現在のペースがいつを根拠にしてきまつておるか、そうした点も考え併せてやつておるのであります。
  21. 木下源吾

    木下源吾君 従つて今度の千五百円の数字はいつを根拠にしておやりになつたか。
  22. 岸本晋

    説明員岸本晋君) これはいつを根拠にしてと申しましても、これはやはり考えようでございまして、現行ベースから出発したときからということも可能でありまするし、或いは現行ベースのきまつたと申しますか、例えば標準生計費基礎なつております昨年の五月でございますか、そうしたときからのものを考え併せているということも可能であります。
  23. 木下源吾

    木下源吾君 人事院の今度の一万一千三百六十三円という勧告ですね、これは検討せられたのですか。
  24. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 人事院勧告は勿論大蔵省といたしましても検討はいたしました。
  25. 木下源吾

    木下源吾君 その検討の結果は、やはり不適当だという考え方に立つておるのですか。
  26. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 適当、不適当ということはちよつと一概には申上げ兼ねるわけでございまして、いろいろな考え方参考とすべき点がありましたならば、これはやはり考えざるを得ないと思うのでありますが、ちよつと適当不適当という言葉内容はつきりつかみ兼ねるわけであります。
  27. 木下源吾

    木下源吾君 参考にせられた点はどれとどの点であるか。
  28. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 先ほど申しました千五百円ということは、一応閣議できまりました、わけでありますが、その後のいろいろ分配とか、その他の細部につきましては、まだ最終の段階にかかつておりませんので、ちよつと具体的にそれをどういうふうに取扱つているかということは、只今説明申上げられないと思うのであります。
  29. 木下源吾

    木下源吾君 そうすると、千五百円の閣議決定というその事実に基いて、その枠内でいろいろ配分その他の作業をする、こういうことになるのでありますか。
  30. 岸本晋

    説明員岸本晋君) つまり千五百円というものは、これに民間賃金であるとか、物価上昇とか、そういうものを考慮してきめたわけでございますが、その後の配分の問題につきましては、現在まだ操作中であるのであります。
  31. 木下源吾

    木下源吾君 その千五百円を閣議できめるためには、大蔵省のあなたがたのほうから、いろいろ民間給與とか、CPIとか、そういうものの意見を出されたのですか。
  32. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 勿論そうしたデータ基礎なつてきまつているものと思うのであります。
  33. 木下源吾

    木下源吾君 でありますから、いろいろなデータ、そういうものをお聞きしているわけなんであります。そこで今お聞きしますと、千五百円が閣議できまつたために、いろいろ配分をやつていると言われるが、そうではなく、私のお聞きしようとしているのは、千五百円をきめる基が、やはりあなたのほうから出ておるとするならば、その基のいろいろな條件をお聞きしたい。それが数字など細かいものは要らないので、民間給與CPIその他減税措置というようないろいろなことを言われますが、それだけでは人事院調査よりも非常に杜撰だと思うわけであります。そこで人事院勧告をどの程度まで参考にしたかということをお聞きしたわけでありまして、それもはつきりしないので、元来ならば人事院が、私は大蔵省のよりももつと専門的であり、一般的であつて正確であるわけです、私どもから見ますと……。ところがあなたのほうではその根拠内容をお示しにならんとすれば、今度の千五百円勧告で、一体人事院の千五百円の給與引上で、人事院のこの配分について、人事院とどこか多少でも一致した点がありますか。
  34. 岸本晋

    説明員岸本晋君) 千五百円の中の配分につきましては、まだ政府といたしまして統一した結論は出ておらない現段階であります。
  35. 千葉信

    理事千葉信君) ちよつと申上げますが、今菅野官房長官がお見えになりましたから、関連する問題がございましたら、一緒に御質問願つたらいいと思います。
  36. 木下源吾

    木下源吾君 菅野さんでもどちらでもいいのですが、今私がお聞きしますと、千五百円の引上というものは、大体大蔵省のいろいろなデータによつて閣議決定せられたというふうな話が、だんだん聞いているとそうなるのですが、従つて菅野さんに今別にその根拠などをお聞きしても、いわゆる大蔵省のほうが元だと思うのですが、政府として菅野さんにお聞きしたのは、こういう点をお聞きしたのですが、元はどこから出ようと、何しようと、やはり政府閣議できめておるのだから、千五百円の給與引上というものは予算関係でどういうようにせられたのか、実質の公務員生活、そういうものをつまり根拠としてせられたのか、こういうことを一応お聞きしたい。
  37. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 官房長官渉外関係司令部に行つておりますので、私が代りまして出席したようなわけでありますが、今の御質問にお答えいたします。今回のベースアップにつきましては、先般御承知のように一万一千二百六十三円のべースにするようにという勧告国会並びに政府に参つております。政府もこれにつきましては、国家公務員法趣旨に基きまして、できるだけこれを尊重するという態度で以て検討をして参つた次第であります。従いまして、勿論この財政方面から財源関係さえなければ、これはそのまま実施すべきものでありまして、人事院がすでに公務員給與についてあらゆる資料等から愼重に研究された結果の勧告であります以上は、これをそのまま実施できれば一番いいのでございますが、ただ国としては国の財政一般考慮をどうしてもそこに拂わなければならないというような関係もございまして、国の内外情勢からいたしましてここに引当てらるべき財源というものは、おのずから一定範囲の中に入つてしまうわけであります。併しながらこれば又無制限にそれをいたしますと、折角の人事院勧告趣旨を没却いたしますので、その切の兼ね合いが非常にむずかしくなつて来るのでございますが、今般政府のほうといたしましては、いろいろ検討をいたしまして、人事院勧告をできるだけ尊重して、而も国の内外情勢からいたしまして、この程度の額を公務員給與引上に振り出しても、恐らく国会方面におかれましても御承認を願えるだろうという一定目度考えまして、それを一人当り千五百円といたしておるのであります。従いまして財源関係から来るというようなこと以外は、殆んど人事院勧告を尊重して、その通りにいたしておるわけであります。ただ一、二の点につきまして、まだ政府のほうといたしましては踏切りが付かない、検討を要するというような問題がございまして、それは保留いたしております。例えば奨励手当のことにつきましては、この制度を直ちに採用できるかどうかというようなことについてまだ決定いたしかねておりますが、少くとも一般給與改善につきましては、人事院やり方なり、考え方なり、そういうふうなことはできるだけ尊重いたしまして、一方先ほど申しましたような財源的の考慮をいたしまして、妥協いたしましたのが、今回予算の概算で閣議できまりました十月から平均給與一千五百円引上げという結論でございます。
  38. 木下源吾

    木下源吾君 すると、一千五百円引上げということについて、俸給切替時において一人当りどのくらいの差額が人事院勧告の額と、政府の千五百円引上げをした場合にあるかということをお聞きしておきたいと思います。
  39. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 詳細な数字はいずれ法案を国会に出しましたその際詳しく申上げたいと思いますが、今のところわかつておりますことを簡単に申上げますと、人事院俸給表作成の仕方は、独身男子の年齢十八歳ぐらいの人の生計費を理論的に計算いたしまして、それを或る一定の号俸に置きまして、それを基準にいたしまして民間給與と振合を保つて俸給表を作つておることは御承知通りであります。政府はその方針をやはりできるだけ尊重いたしたいと思いまして、独身男子理論生計費基準にとることにつきましては、人事院と同様の方法をとりました。ただこれはその計算する根拠なつております要素人事院と違つておりますので、数字は必ずしも同一ではございませんが、これを理論的に説明できる数字を二級の三号にとりまして、これを基準にしてやることは同様であります。人事院は広く一般民間給與を調べまして、その平均給與額を各級ごとにきめまして、それを曲線で結んで俸給表を作つておるのでありますが、それにいたしますと、非常にたくさんに財源が要るような計算になりますので、政府はそれを基準にとりました以外は、必らずし人事院やり方をそのまま使わずに、民間給與参考にいたしておることは同様でありますが、そのままの数字をとつておらないのでございます。大体財源等関係から見まして、平均いたしまして一割強人事院よりは少いような計算になるのであります。併しながら一方から考えまして、例えばこの数字がいいかどうかということを検討いたして参りますと、新らしいいわゆる現在の給與改訂が実施されたのが本年の一月でございます。本年の一月からいわゆる八千円ベースというのが実施されて現在に至つておるのでありますが、その本年の一月に八千円のベースを実施したということと照し合せまして、本年一月から最近に至るまで民間給與一体どのくらい上つておるかということを仔細に調べますると、約二割三分くらい上つておるのでございます。今回一千五百円の平均給與額改訂をいたしますると、丁度一月から二割三分くらいになりまして、その点は民間給與上り方と同様の上り方はするということは言えるのであります。併しながら御承知のように、人事院勧告民間給與の各級ごと計算して、その平均点基準にして一つ俸給表作つたのでありますが、民間給與通り公務員をやるということが果していいか悪いかという問題もございまするし、又財源等関係もありまして、只今申上げたような方法俸給表を作りつつございます。これは成案を得次第国会に出したいと思います。大体のところは只今申上げた通りであります。
  40. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、御説明によると今度十月に切替える給與平均は約九千五百円、こういうことに相成るわけですか。
  41. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) これも詳しい数字は後刻申上げますが、一月現在の俸給切替えのとき、あの法律案が実施されるならば公務員平均は八千円になるという計算なつておりまして、それがいわゆる八千円ベースと普通言われておるところでございますが、一月から三月、六月というふうに定期的の昇給もございましたし、又先般御審議を願いました法律案によりましても、特別なる昇給ということも稀な例でございまして、一般的には公務員給與は当時八千円を予想されておつたのでございますが、現在におきましては、それをずつと上廻つておりまして、八千五百円強になつております。従いまして千五百円のべースアップをいたしますると一万円強になります。一万六十二円という数字になります。まあ約一万円ということが八千円べースという言葉に対応する数字でございます。八千円ベースという言葉は非常に曖昧な言葉でありまして、非常に論議の的になつておりますが、その言葉が許されますならば、今回は一万円ベース言つて差支ないと思います。
  42. 木下源吾

    木下源吾君 人事院勧告はできるだけ尊重せられたということですが、今のお話では成年独身公務員の場合をその当時……、というのですが、人事院の示しておるこの基準というものは、これよりも低くならないのですか、どういうのか。そのあなたの尊重せられた基準はどのように考えられておりますか。やはり四千二百円をとつておられるか。
  43. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 先般山下人事官からもお話がございましたように、二級三号なら二級三号を基準に置きまして、理論生計費は最低のものでも生活を保障しなければならないというような御趣旨から、あの理論生計費基準にしておられるように聞いております。これは政府も当然考えなければならないことでありまして、今回は人事院同様に三級三号の基準をとりまして、人事院同様の方法計算いたしたのでございます。ただ人事院勧告にございますように、米の値上については人事院はお考えに入れておるようでありますが、そのほかガス水道電気、諸物価値上り、それからこれに対応いたしまして、減税のことは人事院のほうとしてはこれは無理からんことでありまして、まだ発表になつておりませんので、これは入れておらないように計算されております。従いまして同じ方法計算いたしたのでございますが、例えば攝取カロリーのごときは全く同じにやつたのでございます。結果におきましては減税要素が非常に強く働らきまして、四千円を割つた計算であります。三千九百九十何円かになりますが、これをラウンド・ナンバーいたしまして、政府は四千円ということを基準にいたしております。従いまして人事院とは基準給與におきまして、二百円の差があるという結果が出ておるわけであります。
  44. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、減税もやられるだろうから、そう見られるのもよかろうと思うのですが、人事院値上りを見ておる以外にまだ値上りがある思われるものがいろいろあるのですが、そういうものは見なかつたのですか。
  45. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 人事院は米の値上りだけを計算に入れているようでありますが、政府はそのほかに電気水道ガスといつたようなものばかりでなく、交通通信費値上りにつきましても考慮に入れております。
  46. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、人事院勧告を尊重しておる点は理論生計費のその点だけで、あとは余り尊重しておらんようですな。
  47. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) いずれ法律案を出してから詳しく御説明申上げたいと思いますが、只今申上げましたのは俸給表の作り方だけでございまして、その他給與やり方などいろいろ細かい点につきましては、まだ実は人事院勧告が出たままでございまして、その後に意見書というものが出て参りまして、それによつて細かい点はきめなければならない点が多いのでございます。そういう点につきましても、勧告一体考えまして、政府はそれを財源の点以外はできるだけ尊重して行きたいと、こういう態度でおる次第でございます。
  48. 木下源吾

    木下源吾君 まあ人事院勧告を今後あなたのほうにおいてどの程度尊重して法律案を出されるかは今後の問題でありますが、そういうわけでありますが、財源ですが、財源給與に関して今回どのくらい見ておられるのですか。
  49. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 給與改訂につきましては、これは一般会計特別会計いろいろございますが、一般会計につきましては、給與改訂だけで今度の補正予算には約七十三億円余りを見ております。特別会計につきましては七十九億円という数字を出しております。これは勿論給與改訂だけの費用でございます。
  50. 木下源吾

    木下源吾君 それは今度の給與改訂だけで、そのほかに五月に地域給勧告も行われているのですが、それらの予算はどうなつておりますか。
  51. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 先般五月に地域給改訂勧告がございまして、実はこれはまだ法律化する機会がございませんで、一応暫定的な方法をとつておるのは御承知通りでありますが、今回の給與ース改訂につきましても、勧告は全部これを地域給につきましては取入れまして、この中には新らしい地域区分による勤務地手当給與というものが予想されて入つております。
  52. 木下源吾

    木下源吾君 それは基本給に対する地域給の割合はどのくらいになりますか。
  53. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) ちよつと細かい数字は何でありますが、概数を申上げますと、一二%ちよつと余りになります、地域給のほうは……。
  54. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、地域給で従来よりもどのぐらいの金額の増減がありますか。
  55. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 誠に申訳ないのですが、その関係数字を持つて参りませんで、詳しいことを申上げることができないのでございますが、いずれ後ほど……。
  56. 木下源吾

    木下源吾君 実は本日おいで願つたの給與全般に関してではありますが、なお当面問題が非常に深刻な、つまり要請がある地域給の問題で、御承知通り従来地域給地域指定或いは支給の率等においては、必ずしも合理的、科学的とは言われない点が多々あるのでありまして、そういう結果各方面から修正方要望がたくさんあるのです。それで我々としては特にその点について、本委員会全会一致申合せをして、人事院にできるだけ合理的な勧告をしてもらいたいというような申入れまでしておるわけで、従つて人事院としてもそういうことに関心を持たれておると考えておる、然るに一方予算の面でこれが制約を受けるというと、極めて顕著な修正と言いますか、そういうことも困難になる、こういうように考えられるので、実はそういう点について政府のほうも十分一つ考えておられるかどうか、考えておられんとするならば一つの注意を喚起したい。従つて今度の補正予算の編成の作業において御考慮一つ煩わしたい、こういうような考えなんであります。でありまして数字などをお伺いしておるわけでありますが、そういう点については政府は勿論、人事委員会ばかりではなく、全体として国会にいろいろ利害関係のほうから請願要請がなされておるわけでありますから、勿論政府のほうも考えておられると思うのですから、その点について何か御所見がありましたらお伺いしたい、こう思つております。
  57. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 勤務地手当の問題につきましては、先般、五月人事院から勧告がありまして、これは一日も早く実施すべき性質のものでございまするが、何分にもこれ又非常な財源を要するのでございまして、而も法律によつてその地域をきめなければならないということになつておりまするので、今日に至りますまで、僅かにその率の点について暫定的に給與法できめて、地域区分従前通りなつておるような次第であります。政府のほうにもいろいろ、先般人事院の出されました勧告について請願が各地方から参つております。併しながら政府のほうといたしましては、先般出された勧告すらもまだ採用実施できないでおるような現在におきまして、その改訂と言いますか、それに追加というようなことにつきましては、到底きまつた態度をとることはできないというふうに、実は今日までその点については態度を保留して参つたわけであります。今回給與改訂当りまして、少くとも先般五月にすでに勧告なつております地域区分は是が非でもこれは実施しなければならないだろうと思いまして、これは全部財源を見ております。併しながらその後にいろいろ各地の要望等がございますが、これは人事院愼重検討した結果、どういうことになりまするか、勧告が出ますか、或いは前の勧告を変えるというふうな形になりますか、それは存じませんが、いずれにしましても、非常に少い財源を分け合うのでございまするから、今木下委員お話になりましたように、あらかじめこれに或る程度の弾力性を以て、多少の変更はよいというようなことに財源をとるわけには実は参らないのでございます。勤務地手当のほうに財源をとりますと、公務員の一番すべての給與基準になりますところの本俸に割当てるべき財源も少くなつて参りまして而も勤務地手当の問題は全部の公務員の問題ではございませんが、本俸を必要以上に少くするということは何としても忍びがたいことでありまして、又全体の公務員としても喜ばないことでございますので、その辺の兼ね合いが非常にむずかしいように考えておる次第であります。今度の給與法改訂につきましては、先ほど申しました通り、五月の勧告は全面的に取入れるということを予想して計算もしておりまするが、その後にあることが予想される人事院の新らしい勧告又は前の勧告の訂正ということにつきましては、財源的には今考えておらないような次第であります。
  58. 木下源吾

    木下源吾君 まあ副長官にこれ以上お尋ねしてもどうかと思うのですが、政府の代表だからお尋ねしておきいと思うのですが、だんだん来ますと財源の問題になるわけであります。そうしますと、国の財政全般の問題になるわけであります。国の限られた財政のいろいろの配分については、これはまあ別といたしまして、今回講和後において少くも国民の生活の状態というものを一定の限度にきめなければならんという時期だと思うのであります。そういう観点に立つて今日公務員給與生活状態を我々が見るのに、なかなか非常に困難な状況であるということは御承知通りであります。ここで今一応の独立後の線を引いておかん限り、給與というものをより引上げる、その後において引上げるということは極めて困難な事情になるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。ですから今回の給與の決定、給與財政というものの取り方は非常な重大性を持つておると私どもは思うのであります。国民全般の生活水準というものが一定の線で今きめられて、若しもこれで満足だ、不十分だけれども満足だというような印象を與える場合においては、今後もうこれ以上に上げるという見通しは全然付かないのではないか。御案内の通り国民生活の水準一般に対して、連合国が、或いはアメリカは今後いろいろな面からかなり自由に裁量することができるという情勢であると思うのであります。例えば賠償の問題或いはその他の外債の問題であるとか。私は政府に、今度きめられるこのべースというものは、従来のような給與とは違うという、こういう根本的な考え一つ財政の措置をして頂かなければならんのではないか、こういうように思つておるわけであります。特に官房長官又は副長官等はこの給與に対して非常に御熱心であり、よく事情も常にわかつておられるのでありますから、只今の七十何億、それでも財政上どうにもゆとりが付かないということでは甚だこれは憂慮すべき行き方じやないか、もう少し一つこの際国全体の財政の上から給與の面を真劍に特に考えて行かなければならん、こういうふうに考えているわけであります。一定の枠がきまつて、その中の配分ということになれば、これはもう何をか言わんです。伝うるところによれば、警察予備隊が百二十億という線が出ておつたのが、今度百五十億というようなことも出て来ている。或いはその他においても必要なものも大分補正予算では削つてしまわれるというような面も出ている。かたがた全体の財政の面から見れば、必ずしも全体は満足いかんけれども、何せ国民の生活水準の標準をなす公務員、この点はやはりどうしても標準として確保しなければならないのではないか。で、この際何とか一つ、一旦閣議できまつたものはきまつたものといたしましても、もう少しゆとりのあるような面から、できるだけ給與の面に財源を殖やすという一つ御親切をやつて頂きたい、こういうように考えているわけであります。そういう点については何かはかにお考えがあられるかどうか、一つこの機会にお伺いしたい。
  59. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 只今木下委員から、いろいろお話を承わつて誠に御尤もであると私どもは考えております。公務員給與の定め方というものが独立日本の一般国民生活基準になるというお話に対しましては、全面的に同感でございます。誠にその通りであります。その意味において最も愼重にこれを考えなければならんと思う次第でございます。ただ今この機会に公務員給與を上げて置かなければ、将来はそういう機会がないだろうというようなお話でございましたけれども、この点につきましては、いささか違つた見解を持つておりまして、講和條約が効力を発生いたしますると、久しい間待望された日本の独立ということが実現するわけでありますが、それはただ形式上独立しただけでありまして、真の独立は日本経済の再建が十分に行きまして、本当に名実共にこの独立国家の態勢を整えるときであると私どもは考えている次第であります。従いまして、現在まで外国の非常な援助の下に生活して参りました一般国民の生活水準を、そのままの数字で以て公務員にとるほうがいいか、或いはそれほどまでにはとらないでも、まあ一般物価情勢等によりまして、上つただけは少くとも公務員に同じに給與の改善はすべきであろうというような見解をとるのがいいか。これはいずれ又国会で御審議を願うわけでありますが、私どもといたしましても、公務員給與をできだけ上げたいということは全く同じ考えでございます。殊に我々公務員の一人といたしましては、できるだけ公務員給與を上げたいのでありますが、これは国民の生活程度等の振合を見ましてあまり狭い公務員の見地からだけこれを主張することは、より高い視野の上に立つておられる国会において、これを通す自信がございません。国の内外情勢等からいたしまして、日本は講和條約が効力を発した後といえども、相当まだ苦しい段階を経て日本の経済は自立しなければならないだろうと考えておる次第で、ございまして国民の生活程度ということは、今すぐさまよくなるとは考えないのでございます。かような意味合からいたしまして、公務員給與は今回約一万円ベースになるのでありますが、それで以て全部足りたというふうには決して考えておらないのでありまして、将来国の財政の力、経済一般の力が増強するにつれまして、国民の一般給與との振合を考えまして、改善を進めて行きたいと考えておるのでございます。これが最高とは決して考えていない次第でございます。それからそのほかに何か政府考えておるかという点のお尋ねがあつたのでありますが、実は十月から千五百円のベースアップ予定しておるのでございますが、物価情勢、殊に主食の値上り等は八月から行われておりますので、実際は八月から実施したいのでございます。人事院ベース改訂勧告も八月一日から実施するようにとなつておりますので、政府といたしましても、八月一日から実施いたしたいのでございますが、これは御承知通り給與を遡つて改訂するということなりますと、非常にいろいろな支障が出て参りまして、国の行政事務を複雑多岐に亘らせる嫌いも相当多いのでございますので、実質的に八月一日から昇給したと同じようなことをしたいと考えまして、御承知のように年末に〇・五の特別給與をやつておりますが、それを今年に限りまして、〇・八程度にいたしたい、こういうふうに考えております。この〇・三の差というものは、一万円ベースに対しましては約三千円、そうしますると、それを八、九と二月に直しますと、丁度千五百円ベースアップしたと同様な実質的の効果が得られる。こういうふうに考えまして、その点を考慮中でございます。かようにいたしまして、人事院勧告を実質的には尊重いたしまして、八月一日から給與改訂をするというようなことを考えておる次第でございます。これもほかに考えておるかというお尋ねに対しまして、ただ一つそれだけお答えいたします。
  60. 木下源吾

    木下源吾君 だんだんお伺いしましたが、最後に地方公務員の場合です。地方財政の状態はすでに御承知通りであります。この地方公務員の場合は、今回は政府としてはやはり形式的に地方は地方で勝手にやるのだというような考えでおられるのか。少くも地方公務員国家公務員に準ずる面が多多あるのであります。国家公務員給與引上げをやつたならば、当然いろいろ道義的にも又実際的にも地方の公務員の場合、これを考えなければ、ならんではないか。こう我々は思うのです が、そういう点については何かお考えなつておりますか。
  61. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 地方公務員につきましては、国家公務員に準ずるということになつておりまするので、国が平均千五百円の給與額上昇をいたしました場合には、大体それと同じくらいの給與改訂をするということは政府も予想しております。併しながら国の財政と違いまして、地方の財政は非常に各府県、各地方公共団体によりまして違つておりまして、必らずしもこれを全部中央で以てその財源を見出してやるとかいうふうなことには行かないのでありまして、各公共団体の実情と、国の又そのほうに割き得る財源とを見まして、きめたいと思いますが、いずれにいたしましても、国だけ上つて地方はそのままにして置くべきだということは全然考えておりませんので、地方の公務員のことを考慮に入れて実は千五百円ということもきめておる次第でございます。
  62. 木下源吾

    木下源吾君 公共企業体の面にはどういうようなお考えですか。
  63. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 公共企業体のうちで一番大きいのは国鉄でございますが、国鉄につきましては、すでに労働調停の機関から調停案も出ております。政府は一応千五百円の一般公務員給與改訂というようなこととは別にいたしまして、そういう権威ある調停機関の調停の案につきましては、これをできるだけ尊重いたす考えでおります。これを全面的にそのまま採用できるかどうかということにつきましては、なお多少時日がないときまりませんが、とにかく公共企業体の経営状況等から見ましても、できるだけそういう調停機関の調停は尊重して実現を図りたいと、こういうふうに考えております。その他の公共企業体等については、専売でありますが、専売等につきましても、公務員とは別に必ずしも千五百円というようなことに拘泥されないで、その公共企業体の経営状況或いは関係労働調停機関等の意見によりまして、きめて行きたいと、こういうように考えております。
  64. 木下源吾

    木下源吾君 まあ本日は別に法案が出て参つておるわけでもありませんから、かれこれ巷間伝えられるところを基礎としていろいろお尋ねしたわけでありますが、今日はまあこの程度にして……。
  65. 森崎隆

    ○森崎隆君 菅野さんに……。少し私遅刻いたしましたので、多少重なる点があるかも知れませんが、二、三の点をお聞きいたしたいと思います。実は七月に私党を代表しまして、官房長官にお会いいたしまして、このべースの問題は折衝いたしたのであります。そのときに岡崎さんのほうで、こういうような発言があつた。国家公務員だけのことにつきましてならば、人事院勧告はその通り実施することができるが、地方公務員のことを考えますと、あながちその通りできない点もあるのじやないかと思うというような発言があつたのでありますが、この発言につきまして、どういう含み、御解釈があるか、菅野さんからちよつとお聞きしたい。これは政府を代表した官房長官の御発言でございますから、お聞きしたいと思います。
  66. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) これはその通りでございまして、国家公務員だけの給與改訂となりますと、国の財政だけのやりくりで以てできますので、まあ人事院勧告を尊重しなければならんという立場からは、当然これは人事院勧告通り実施するのが当然でありまして、又その財源等につきましても、国だけで以て処理できますので、これを何とかやりくりすれば実現できるという結論になるわけでございまするが、その何倍とかかる地方公務員給與改訂につきましては、これは政府といえども、どうすることもできない、地方財政の状況がよくわかつておりますものといたしまして、そう無茶な値上げは非常にむずかしいのであります。ただ官房長官がお答え申上げたのは、こういうような意味だと私は聞いておりますが、或いは言葉が足りないで誤解を招いたのじやないかと思います。仮に人事院勧告を中央の国家公務員に全部できるとしても、これは国家公務員だけの問題であつて、地方公務員はこれを勧告通りにしたならば大変な負担増になるから、地方公務員のほうから見ても、この給與改訂ということはなかなか人事院勧告通りにはできないのだというふうな意味で申上げたようなことをあとから聞いております。私その場に立会つていませんから、何とも申上げられませんが、官房長官はそのように言つておるのであります。
  67. 森崎隆

    ○森崎隆君 今のことに関連してそれじや申上げたいと思います。人事院勧告通り地方公務員のことを考えて実施はできないということは、言換えましたならば、閣議で決定されておるやに承つておりますところの千五百円ベースアップということは一応決定した。これを国家公務員のほうに押付けると、同時に地方公務員のことを考えた上で、こういう下廻つた線が出た関係上、同時にこれと同等のものにつきましては、地方公務員全体につきましても、政府予算的な意味において当然責任をはつきりととつておるというように私たち確認してよろしうございますか、この点はつきり承わりたい。
  68. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 地方財政に対する政府態度は、平衡交付金とか、補助金の給與金以外は、これにどうこうと支配する力はないことは御承知通りでございまして、ただ平衡交付金等の配分計算基礎等につきましては、千五百円の給與ベースは当然行われるものと予想して計算することは考えておる次第でございます。
  69. 森崎隆

    ○森崎隆君 大体今度の補正予算で地方公務員ベース改訂に伴うところの交付金はどのくらいになつておりますか。
  70. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 平衡交付金は別に紐付きの交付金でございませんので、何のためにどうというふうなことはないのでございますが、それが又平衡交付金の特徴になつておりますので、給與改訂のためにどれだけの交付金を増すとか、そういうふうな計算はなさないのでございまするが、地方財政の歳入歳出を考えます場合におきまして、国家公務員に準じた給與改訂は行われるものということは当然計算に入れたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  71. 森崎隆

    ○森崎隆君 その点はよく承知しておりますのですが、言換えましたならば、算定の基礎として大体どういう枠が考えられたかということをお聞きしておるわけでございます。
  72. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 算定の基礎と申しまするか、現在の地方公務員給與額というものがきまつておりますが、それに対しまして、国は千五百円ぐらいの平均給の値上り考えております。それに準じた給與値上りというものは当然地方公務員の歳出に上るべきものであるということを予想して平衡交付金等の計算基礎にしたいと、こういうわけでございまして、具体的にどういう枠とか、何とかということはまだきまつておりません。
  73. 森崎隆

    ○森崎隆君 さつき木下委員のほうからの質問に答えられまして、実施の時期についてお話があつたようでございまするが、八月一日の実施が十月一日にズレると、その二カ月の点は実質的にこれを補う、補う方法としましては、年末手当を〇・三ヵ月分だけ殖すというようなお話でございましたが、官房副長官におきましては、今度のベース改訂勧告案に年末手当は幾らであるべきかということは出されておると思いますのですが、これは御存じでございましようか。
  74. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 金額の点でございましたら、ちよつと私存じません、が、人事院勧告につきましては、六月と一緒にしまして、特別手当は一月分というふうになつておるのでございます。併しながら、政府は実は六月のことはすでに済んでおりまするししますので、本年度のことは一応制度といたしましては、〇・五カ月分といたしまして、先ほど木下委員にお答え申上げましたような事情から、それに〇・三を加えた本年度に限つて〇・八というふうにきめたいと、こういうふうに考えておる次第でございますが、そのために増額されるべき補正予算の金額は約二十億でございます。
  75. 森崎隆

    ○森崎隆君 重ねて……。これは私非常にまあ菅野さんの発言には以外な気持を持つたのでございますが、あなたの御発言を結論的に申上げますと、年末手当の勧告につきましては、全然これを考慮しないというようにとれるわけですが、それでいいのですか。
  76. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 年末手当につきましては、実は年末手当と言つておりますが、人事院勧告は、これは必ずしも年末だけではなく、民間の風習に従つて盆暮、いわゆる六月と十二月に分けてやるような意味におきまして、合せて一月分というような勧告であると承知しております。併しながら六月の問題はすでに過ぎてしまいましたし、○・五カ月という特別手当の問題は、実は昨参年きまつたような問題でありまして、今直ちにこの制度を動かすことは如何かと考えましてかたがた一方におきましては実質的に二月分の給與改訂を繰上げるというような要請もございまして、本年度におきましては、制度としては〇・五カ月をやはり踏襲して行きまして、その意味におきましては人事院勧告を実は採用しておらないのでありますが、それで本年度に限りまして、それにプラス〇・三で合計〇・八カ月分の年末の特別手当をやりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  77. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の問題は、実は私としましては腑に落ちないんでございますが、これもやはり七月の折衝の時に岡崎官房長官のほうからお話があつたのですが、これは自由党の公約でもあり、又政府の公約でもあり、米麦の値上げと同時にこれは必ず責任を持つてベース引上げをしなければならない。ただ方法としまして、繰上げて改訂をするか、或いは又何かほかの方法でするか、これはいろいろ問題はあろうが、何とか責任を持つてやりたい、こういうお話があつた。その時私は実は口頭でございましたが、附加えまして、それはどういう形でも一応結構だと思いまするが、給與引上げにつきましては、基本給とか地域手当給とか或いは又年末、又六月等を含めましたこの特別の手当とかいろいろのものがありますので、そういう勧告も勿論尊重してもらわなければならない。そこで私たちの心配しておりますのは、今現実にあなたから御発言のありましたように、年末の手当にこれがいわゆる置換えられまして、非常にこれはずるいやり方じやないかと実は思うわけです。今年は六月のことはもう済んだから、年末に一応半カ月分というようなお考えでございますが、それでは来年はどうするかという問題になる。来年度においては、六月のことを一応考えるといえば、やはり人事院勧告の一カ月分は当然法律化しておかなければならない。本当に良心的に八月一日に実施して人事院勧告を本当にその点だけ実施するということになれば、これは当然その年末におきまして一・三カ月分というものは絶対あなたがたの手で組んで出して頂かなければならないと私は思うわけです。これはまあ私たちから見ますと、言訳は誠に一応合理性を持つておるように聞えますが、私たちとしては絶対にこれは承服できない。いずれ法律案が出ましてからこれは正規の場でいろいろと要望を申上げ、討論をいたしたいと思いますが、何とか一つこの点、できますならば案が固まらないうちに善処方を私は特に要望するものであります。  それからもう一つ地域給の再修正勧告のことが今人事院考えられておるやに実は承わつております。又これに伴いまして五月の勧告案よりも多少上廻るように予想されております。従いましてその間のズレとしまして、大蔵当局といろいろ折衝もあるのではないかと思います。さつき私はちよつと途中から入りましたが、菅野さんの御発言を聞いて不安に思つておりますが、予算折衝ということを若しなされるといたしますならば、それに便乗いたしまして、人事院の再修正勧告の案というもがだんだん低下して行くといつたような結果が若し出るとすれば、まさに憂うべき私は事態ではないかと思います。そういう意味で一つ人事院の再修正勧告というものが、若し地域給の問題が出るといたしますならば、これには絶対に政府の手で制約を加えられないように特に切望いたしたい。  いま一つ予算の枠というものが随分さつきから申されておりますが、今度のベース改訂勧告も、人事院勧告通りできないのは予算関係、又地域給のほうに多少廻すとすれば、せめて廻し得る予算基本給のほうへ廻したほうが全体に渡る。一応枠の中ではよくわかるわけでございますが、やはりこうなると予算というものの壁というものへ実はぶつかつて来るわけです。予算も、この点岡崎さんもいつも申しますが、税金だ、税金だといつも申しておりますが、まさにその通りだ。私は公務員ベース改訂のときに限つて税金だ、税金だと言われるその真意が実はわからない。すべて国家の予算は全部国民の税金から成つておることははつきりしておるわけです。そのベース改訂勧告のときだけ、これは税金だから、国民の税金だから、国民の納得行くような点でいつてやらなければならんとおつしやいますが、それじや私はすべての他の面におきまして国家予算というものが公正に使われておるかどうかということを特に反省をしてもらいたい。例えば昨年の薪炭特別会計何十億という赤字補填をやつておりますが、又先ほどの例をとりますと、法務総裁が関連しておるところの、僅か少額でございますが、二重煙突事件の始末が果してできるかどうか、こういう不拂の問題でも全部国民の税金になつておる。こういうことを全部整理して、責任のあることはとらないで、公務員のべース改訂につきまして、これは国民の税金だからたくさん上げられない。こういつたことには非常に不満を感ずるものであります。(「所管外、所管外」と呼ぶ者あり)又外国為替特別会計関係につきましても、三十億や五十億のものをこちらに廻そうと思えば、あなたがたの肚でできるわけです。そういうような予算の根本的な問題で是非官房副長官お帰り頂きますれば、官房長官、大蔵大臣、できましたならば総理大臣にもよく我々のこうして発言する真意をお汲取り頂きまして、はつきりと御伝言頂きまして善処方をお願いいたしたい。そういう良識を以て何とかしてやろうという気持さえありますれば、人事院勧告、ごときものは、簡単に予算編成を確立した上において実施できるのではないかと私は思う。管轄外と今発言がありましたが、以ての外、すべて国家予算にこれがです、関連を持つておる、重大なるものです。そういうことでおこがましいのでございましたが、とんでもない例を出して恐縮ですが、そういうところに国民は随分割切れない気持を持つておる。この割切れない気持を一応納得せしめなければならない。在日の外人の資産の賠償とか、或いは戦争終結に伴うところのいろいろの賠償問題、いろいろな問題でどうしても金が要る、枠がこれだけだ、止むに止まれないということならば私話はわかるのです。そういう点で決して無理は言いたくないのでございますが、国家予算の本当の公正なこれの使途につきまして、もう少し政府考えて頂かなければならないと思う。ただ公務員だけにつきまして、国民の税金だから、どうだ、こうだということをおつしやることは、私としては本当に納得が行きかねる。この私たちの真意だけは十分に閣内の皆さんにお伝え頂きまして、できることならばせめて人事院勧告案の実施だけは私はやつて頂きたい、こういうことを希望を申上げまして質問を終りたいと思います。
  78. 菅野義丸

    説明員菅野義丸君) 私先ほど千五百円の御説明を申上げましたときに、予算の枠が絶対にこれはもうきまつたこととしてお話申上げたので、或いはそういうふうにお取りになつても無理からんことと存じまして、誠に恐縮に存じておる次第でありますが、ただこの説明を申上げる場合に予算全般の使い方のことについて詳く申上げればいいのでありますが、その資格もございませんし、又時間も足りませんので、一応その枠を前提として御説明申上げたような次第でありまして、勿論その枠自体の善し悪しにつきましては予算委員会等で愼重審議されますので、関係の大蔵当局等から詳しく御説明申上げて、如何にしてこの程度の枠しか取れないかとか、或いは殖やしたらどうかということに関しましては、政府といたしましても十分御了承を願うように努力するつもりでございます。私はここで千五百円の枠を一応きまつたものと仮定いたしまして申上げたので、大変言葉が足りなくて申訳ありません。
  79. 千葉信

    理事千葉信君) 森崎さんに申上げますが、林野庁のほうから岡崎厚生課長がお見えなつております。人事院のほうからは岡部法制局長がお見えなつております。若し御質問がございましたら、この際御発言を願いたいと思います。
  80. 森崎隆

    ○森崎隆君 林野庁関係のかたがたその他に案はお聞きいたしたいのでございまするが、国有林の労務者の身分の問題につきまして、いろいろな陳情、請願その他代表のかたがたからいろんなお話を実は承わるのでございますが、国有林の労務者の現在身分がどうなつているか、こういう点につきましてちよつと御説明を伺いたいと思います。
  81. 岡崎文士

    説明員(岡崎文士君) 国有林の労務者につきましてでございますが、一応この国有林の労務者がどういうものであるか、実態を一つ説明したほうがよろしいかと思うのでございますが、国有林の労務者につきましては、大体日本の全国にあります営林署で、国有林事業に使つている労務者でございますが、これにつきまして大体総数について申しますと、十一万から……月によりまして違いまして、多い月には十七、八方の労務者が働いておるわけであります。それでこの労務者の働いておる勤務状況と申しますか、非常に複雑なものがあるのでございまして、大別しますと、日給拂いのものと出来高拂いのもの、この二つの給與の支給形態からの区分でございますが、その二つに分れるのでありますが、日給拂いと申しますのは、これは一日幾らというふうに支拂うものでありまして、これ線夫と申しまして、山から木を運び出します森林鉄道の保線をやりましたり、或いは造林と申します木を殖えるほうの労務者も大体この日給拂でありますが、そのほか製材工とか、その方面のものが日給拂いが多いのであります。それから出来高拂いと申しますのは、それはその人が伐りました木とか、製造しましたものの高によつて給料を拂うものでありまして、これは大体伐採手、或いは集材手、木を伐るものとか、或いは木を伐りましたものを谷、沢になつております所へ集めるような人でありますが、又そこから木馬と申しまして、木で作りました橇みたいなものに木を積んで或る一定の場所まで運んで集めますようなものでありますが、そういうものにつきましては、その出来高によつて給料を拂つておるのであります。その伐採手と申しますのは木を伐るほうでありますが、これが大体賃金が、一月の収益が多いのでありまして、一月の間にどれだけの木を伐るかという高によりまして、一石幾らという代金によりまして、その人が何石伐つたかを計りまして、それによりまして給料を拂つておるのであります。それから集材手につきましても、木馬手、こういうものにつきましても同じように木材を何石どこからどこまで集めたという、集めた高によりまして給料を拂つておるのであります。こういうふうな二つの大別があるのでありますが、そのほかとにかく事業場は山の中でありますので、非常にその監督がむずかしいのであります。一々見廻つておるというわけには参りませんし、そういうことからしまして出来高制というものが生まれて来たわけでございますが、そういう出来高制のものがあるのであります。従つてこの出来高制につきましては、勤務の拘束というものは自主性が強いと、こういうのでありまして、まあ一月のうちと申しますか、大体何石かの木を伐るという目安は立つておりますが、それは伐ればよろしいわけでありますし、従つて大体屋外作業でありますので、雨天の日には出て来られないということになりますし、それから非常な筋肉労働でもありますので、非常に疲れたというような目には出て来なくてもいいわけでありまして、そういう点におきまして勤務の拘束性が非常に薄いわけでございます。まあそういうふうなことになつているようでございますが、大体そういう区分でございますが、そのうちで出来高の者が、全体で大体十一万としますと、四万五千程度、大体四割くらいの者が出来高になつておりまして、六割程度の者が日給ということになつているのであります。まあそういうふうになつているのでございますが、これの処遇方法についてでありますが、現在どうなつているかとのお話でございまして、現在におきましては、これは一般職の職員ということになつております。そのうちに常勤労務者と申しまして、日給制のものでありまして、相当永年永続的に勤務するという意思があつて、勤務の状態も非常にいいという者につきましては、これを常勤労務者としまして、一般職員と同じような処遇の方法をとつているのであります。これはまあ日給制の者だけでありまして、その他の者につきましてはこれは公務員法では非常勤職員でございます。で、この非常動職員の待遇の方法でございますが、非常勤職員の待遇と一応なつているのでありますが、出来高制の労務者のうちでございますが、……先ほどちよつと落しましたのですが、この出来高の労務者につきましては、年がら年中ずつと働いている者と、それから農業などと兼業で働いている者が非常に多いのであります。非常に兼業者が多いわけでございますが、非常勤職員のうち出来高制の労務者のうちに、年がら年中ずつとおりまして、意思も強固で相当の仕事を続けるという意思のあるという者につきましては、常傭的の出来高労務者ということにしているのであります。これは日給制の常勤労務者に大体対するものであります。その常傭的な労務者のうちに期間労務者というものを設けまして、これは大体一年のうち何カ月間はずつと勤務するという予定の者を期間労務者というふうにしておりまして、この期間労務者のうちに期間日給労務者と期間出来高給の労務者がいるわけであります。それからなおそのほかに期間出来高労務者ですが、その次に今度はもう本当の日雇労務者というものがございまして、これは日々雇い入れられるという形態の労務者を作つておるわけでございます。  まあそういうふうな区分にしておるのでございますが、そのうち常勤労務者の処遇の方法でありますが、常勤労務者につきましては、大体一般職員と同じような待遇の方法をしておるのでございます。ただ事業の内容からしまして、昇給とかという方面において違いがございますので、そういう点だけを除きまして、その他は全部一般職員に準ずると、同じ取扱をしておるのでございます。その次に常傭出来高労務者でありますが、この常傭出来高労務者につきましては、大体勤務形態が非常に……給與形態が、第一に出来高拂いでありますのと、それから勤務拘束度等が非常に低いと申しますか、勤務の拘束度が低いというような観点からしまして、これを常勤職員という状態に取扱うことはできなかつたのでありまして、成るべく年から年中おるという点に鑑みまして、これを常勤に近付け得るならば得るような処遇の方法を講じたいと思つておるのでございます。その次に期間労務者でありますが、期間労務者につきましては、これは将来もずつとあるという者ではございませんので、これについては特別の処遇は現在のところはやつていないのでございますが、ただ同じ期間労務者と申しましても、国有林の事業の地域において非常に違いがございまして、高知とか熊本、あの方面になりますと、出来高の伐採とか集散地でありますが、こういう殆んど山の中に入りまして年がら年中入つて住み込みましてやつている人々が多いのでございますが、これを東京とか青森、秋田、その方面になりますと、この伐採地なども農業と兼業の人が殆んど大部分でございまして、半分は農業をやりまして、半分は国有林に出て来る、こういうふうな形態になつておるのでございまして、従いまして事業上の重要さから申しますと、期間労務者、秋田、青森におきましては、期間労務者でありましても、これは本当の主力をなすものでありまして、常傭出来高と申しましても、たまたま山の状態とか、そういうことで山の中に住み込んでおるというようなために、こういう恰好になつておるのでございまして、秋田とか、或いは北海道のほうでもそうでございますが、事業上の重要さというものは区分がありませんので、或る程度はその常傭来高と均衡のとれた方法でこれを処遇しなくちやならん、こういうふうに考えておるのでございます。次には日雇労務者でございますが、日雇労務者については、格別申上げることはございませんが、大体労働基準法にある程度の何はしなくちやならんと考えております。以上であります。
  82. 森崎隆

    ○森崎隆君 それで十三万とか申されましたが、そのうちで一般職として正規に処遇されておる者は大体どのくらいおるのですか。
  83. 岡崎文士

    説明員(岡崎文士君) これは大体十一万ばかりでございますが、本年の六月三十日の調査で、これは大体総数十一万としまして、その常勤労務者として処遇しておる者は五千八百人でございます、現在のところは。
  84. 森崎隆

    ○森崎隆君 その他の者につきましてはどういうような給與関係ですか。何か体系か何かありましようか。
  85. 岡崎文士

    説明員(岡崎文士君) 給與体系と申しますと、現在のところ営林局長が労務者処遇規程というのを作つておりまして、この中に大体その給與内容を盛つておるのでございますが、それで給與体系のうちでございますが、一番主な賃金について申上げますと、賃金につきましては、現在のところ、常傭出来高以下の人は非常勤職員ということになつておりますので、これはこの処遇規程によりますと、賃金はこれを林野庁長官がきめる。基本賃金表によつて支拂うということになつておるのでございます。賃金は処遇規程の第二十一條で、「賃金の区分は別表に定める。」としまして、賃金は大体基本額を林野庁できめまして、これによりまして支給するという措置をとつておるのでありますが、ただ林野庁の現在の労務の状況が非常に複雑でございまして、労務者自身も参りましたり、或いは出て行つたり、変動が甚だしいという現状からしまして、正しくこれは実施できないのでありますので、「営林局長が定める額を以て別表第十三表の賃金の基本額と看做す」ということによりまして、大体営林局長が定める賃金額表によつて実施しておるようになつております。
  86. 森崎隆

    ○森崎隆君 それでは五千五百名を除いた他の労務者につきましては、給與の問題の決定権は、林野庁並びにその出先機関である営林署で適当にやつておる、勿論処遇規程というものがありますが、これに則りましてやつておる、こう確認してよろしうございますか。
  87. 岡崎文士

    説明員(岡崎文士君) そうでございます。
  88. 森崎隆

    ○森崎隆君 それで人事院の法制局長から、この問題についてはいろいろ詳しいようでございまするから私ちよつとお尋ねいたしたいと思いますが、今も聞きましたように国有林の労務者のことにつきましては、非常に他の業務と職種との関係においては違つた特殊性があるように承わつております。第一には、民間の林業関係の労務者との交流の問題、これは当然なことだと思いますが、やはり條件の良否によつてどちらにも行き得るようなことろを持つておる。又給與の問題につきましても、やはり民間労務者との関連性があります。併し長期、継続的、断続的と、いろいろ言い得ると思いまするが、ただここで考えられる問題は、民間の林業に従事している者と比較いたしまして、国有林の事業に従事している労務者につきましては、労務の比較的安定性というものがあると思う。又就業の機会の特殊性というものがあると思いますので、或る程度私は有利かと思いますが、有利と申しましても、賃金そのものが民間林業労務者と比較して非常に低劣なものになれば、これはそういう労力というものは当てにできないという問題は出るじやないか。又雇用、免職の問題につきましても、非常に自由であり、今も承わりましたように、兼業制の問題も非常にある、こういう問題も引くるめて考えますと、私は国有林の作業に従事しておる労務者につきましては、一般職という性格は全然ないと私は実は考えるのでございます。大体彼らは肉体労働によりまして賃金を獲得するのが目的でやつておる。言い換えましたならば、国家全体の奉仕者というような、そういう性格は、果してこういう人々にとつては意識を持つておるか、そういう責任付けていいかどうかの問題、そういつたような意味では、国家公務員法の適用ということは、全然私は比較が無意味ではないかというような気もいたすのであります。又公務員法の職階制の規定というようなものも、とてもこういうような複雑多岐な出来高拂いとか、いろいろな制度が現実に行われておるところの労務者につきましては、とてもその実情に即してはこれは適用できるものではない。試験制度、任免等にいたしましても、そういうことが言えると思います。そういうふうに全体的に考えますると、どうしても私は特別職でなければならないというような結論しか持てないのでございまするが、而も私陳情を受けました人から聞きますると、国有林の労務者につきましての特別職編入ということにつきましては、いつ頃でございましたか、三年ほど前二十三年だつたかと思いまするが、聞きましたが、局長におきましても、はつきり確約を與えておるというような実は話を承わつておる。真偽のほどはあなたからお伺いいたしたいと思います。又当時私の党の安平君が衆議院の労働委員長をしておりましたときにも、人事院総裁自身でこの点の確約をやはり與えられておるというようにも実は聞いておるのであります。これは現実は依然としてこの特別職編入というものが実現せられずに放置されたままになつておるというのは、これは事実らしい。この間の事情もいろいろあつたかと思いますが、どういうふうな事情があつたか私はわかりませんので、そういうふうなことに一番お詳しい法制局長さんに特にこれまでの経過、どうしてこういうようにこの問題が未解決のままに今日残されておるかということにつきましていろいろの御説明を頂きたいと思うわけであります。
  89. 山下興家

    説明員山下興家君) 私から……、今森崎さんからいろいろお話があつたのでありますが、これは実は非常に複雑な問題でございまして、同じような種類の労務者であると簡単に解決ができる、ところが今説明せられたように、非常にたくさんなものが入り混つておりまして、それの間にどういうふうな処理をしたらよろしいか、実情に一番適する方法はどうかというのにつきまして、先ず法制の上というよりも、実態をよくつかむ必要があるということで随分この間から研究しておる。随分長い間研究しておる。非常に複雑なものでなかなか骨が折れる。尤も森崎さんが言われますように、今言つたような営林労務者の本当の機構というようなものにつきましては、職階制に試験や任用制は似つかわしくないということがはつきりしておるのであります。ただ一方から考えますと、時に災害補償、それから不利益処分の訴願、それからまたこれから御審議を願うような恩給の問題、いろいろなものがからみ合つておるので、それでえらい長くかかるようでありますが、熱心に研究しておるのであります。ただ把握するのに非常にむずかしいということをお考えつて、もう少し研究さして頂きたい。適切なものを出したいと思いますので、暫らく御猶予を願いたいと思います。
  90. 森崎隆

    ○森崎隆君 御研究をされておりますことは非常に有難いと思いますのですが、研究ということにはやはり一つの限度があろうかと思います。今日まですでに研究の期間が三カ年間経過しておる。その間に大多数、今は十一万約六千近くの者が一般職の公務員として一応処置されておりますが、それ以外の者は林野庁長官の手によつて、又営林局署の長の手によつて、処遇規程に従いましてやつておられますけれども、一応人事院がこれは本当に知つておられるかどうかわかりませんけれども、末端におきましてはやはりこれについていろいろな不満の声があるわけであります。それじや営林局署の労務者の処遇規程というものを改善すればいいじやないかと申しますけれども、そういうような末梢的な改正の問題だけではこれは解決できない。人事院で非常に熱心に研究しておられますならば有難いが、研究の結果はつきりした身分が確立できない間は、そういう犠牲を受けておる者はやはり現場の労務者自身なんであります。そういう点からたまりかねていろいろ御意見なり、陳情なんかもあつたろうと私は思います。やはりそういう人々の身になつて見ますれば、このままではどうも私どもも黙つておれない、一応催促をしなければならない、実はそういう気持になつて来たのであります。  ただ一つ重ねて申しますが、過日も或る人事院のおかたにお聞きいたしましたが、一般職でとにかく十分に保護しておるというようなお言葉すら実はお聞きしたのであります。このことは私から考えますと、意外の気がいたすのでありまして、例えばまあ以前のことは知りませんが、昨年の十二月のあのベースのときですが、年末手当の問題等もありましたが、あのときも実は人事院におきましても又営林局署、その他につきましても、こういう労務者につきまして年末手当のことは全然考えておらない。お忘れになつたといえばこれは罪のない、そうだつたかという笑い事で済むことでありますが、黙つていればそのままで行つたかも知れない。それを国会で我々取上げまして、或る程度のことはなされたと思うのです。ここでは一般職の中に編入しまして、人事院が保護しておるという言葉は多少反対を持つのではないかと私は考えております。一般職に編入しまして十一万のうち僅か六千近くの者が、身分が保障されておる。職種その他が複雑性を持つておりますので、十分研究する必要があるということは十分その通りだと承知いたしまするが、重ねて申上げたいのは時期の問題、早く一つこの問題を解決して頂かなければ問題にならない。細かいこの日雇関係又常傭夫、季節的労務者の問題とか、出来高抑制をとつておるところの労務者の細かい規定ができなければ、一応全体として何か大きなまあ職種を決定しまして、全体としてやはり特別職というものの枠の中に入れまして、成るべく最大多数の者を特別職というものの中で本当の意味でこれを保護する、そうして逐次小さな特殊性の、最後の特殊性のことにつきましては逐次研究の成果が出ることにこれを改善して行くというような手を打つて頂かなければ、全部が完成するまで全部未解決のままで放置されておるということになりまするれば、研究中と人事院で申されましても、これは或る意味では放置されておると、現場の労務者はやはりそう考えてそこにやはり不満を持つ。不満を持てば結局いろいろな点で彼らの労働意欲とか、労働の効果というものにつきまして何かとやはり我々は心配するような部面も出る虞れもあるのではないかと私は考えるわけなんです。こういう点も特に一つ人事院で早急にお取上げ頂きまして、早く御解決を頂きたい。今のところ私いつ頃に大体この問題の最終的の結論が出るか。今何月何日と聞いてもわからないと思いますが、大体の目安、期限を一応ここで切つて頂きましてそれまでに結論を出すべく努力をして頂くということを、実はお願いいたしたい。大体の予想、今からどのくらいかかれば……、この問題も研究し盡されたと思いますが、あとは人事院人事官、総裁等の最後のきめ方じやないかと実は考えるわけなんですが、大体のめどだけはここで言つて頂きましても、その日にできないならばできないでどうということではございませんが、大体のめどをおきめ頂けますれば、末端の労務者もその時期に対する希望を持つて相当安定した気持の上に作業能率も向上するのではないかと実は考えるわけです。その点だけ一つお伺いしたい。
  91. 山下興家

    説明員山下興家君) 只今ぐずぐずしておるということについて大変お叱りを受けて誠に恐縮なんですが、決してこれを等閑に付しておるわけではありませんで、いろいろ営林署のほうからの資料を承わりましてやつておる。併上その特別職の考え方もありますし、それから又附則十九條による特別扱いの方法もありますし、その他のいろいろ複雑なものがまざつておりまして一つ一つ適当にうまや満足が行くように解決をしようと思つておるためにえらくぐずぐずしておることになるのであります。併し間もなく数ヵ月のうちには成案を得てそうして完了できるものと思います。できるだけ早く実行することにいたします。
  92. 森崎隆

    ○森崎隆君 時間がありませんからこれ以上私は申上げないことにしたいと思いますが、大体年度末までには一応この問題は決定して頂けるというように私たち了解してよろしゆうございますか。
  93. 山下興家

    説明員山下興家君) まあ大体そうお考え願えば結構だと思います。
  94. 森崎隆

    ○森崎隆君 それではそのように伝えまして暫く辛抱いたします以上。
  95. 千葉信

    理事千葉信君) 只今の林野庁関係の職員の公務員法第二條に関連するところの問題については、加藤委員のほうからも発言をしたいということでありましたが、今所用のために席を外しておりますので、次の機会に讓りたいと思います。  最後に人事院のかたに、この際お尋ねして置きたいと思いますが、只今森崎委員から言われました林野庁職員の特別職編入等の問題についても、非常に人事院は研究好きで余りに愼重に問題を研究しているために、そのために時期を失したり、実際利害関係の深い職員にとつては一日も待つことができないような気持で待つているにかかわらず、研究に籍口されながら、問題の有利な解決を常に遷延したり、時期を逃がしたりしているというような弊害が非常にたくさん起つて来ております。問題が單にこの林野庁職員の問題に限らず、給與ベース引上げ勧告にしても、同様に余りに長く研究に時日を費しておられる。又同様のことは先ほど菅野官房長官のほうからも言われたように、もうすでに政府のほうでは千五百円引上げということで、給與ース引上げに関する具体案を着々整備し始めている。而も先ほどはこの公式の席上で政府の代表者のほうから、近く人事院のほうから給與ベース引上げに関する給與法改正についての意見書が出されるであろうから、その意見書が出るのを政府のほうでは待つておる。これはまあ逆に政府のほうからなぜいつまでも人事院がぐずぐずして、その意見書を出さないのかと言われておるに等しいと思う。こういう問題が、又給與ベース引上げが、金額の如何にかかわらず問題の解決に不利な影響を及ぼしつつあるということは蔽えない事実であると思います。従つて給與法改正に関する人事院意見書を早急に出してもらうということが、年末手当の問題にしても、或いは報漿手当の問題の解決にしても同様に人事院考えている科学的な俸給表の実施という問題にも大きな影響を持つて来る問題ですから、至急この際法律改正に関する意見書を出して頂きたい。  それから又もう一つの問題は、今具体的に問題になつている地域給の、前の勧告修正する問題にも関連しておると思うのです。人事院でももう五月十七日に出した地域給勧告修正する用意があるということを言つてから、相当長い時日が無駄に遷延されて来ておる。この前の五月十七日の人事院地域給勧告というものも、今林野庁職員の一般職か特別職かという問題に関する森崎委員質問に対して答えられた研究中というような、そういうやり方が、余りに愼重に研究し過ぎて、問題を不利にしたということは、地域給の場合にもはつきりあつたと思う。そのためにこの前当然第十国会の最中に改訂せらるべき地域給改訂が今日まで遷延しておる。勿論政府としては、当時予算上の見通しその他について相当人事院当局は苦心されたということは知つておりますけれども、今日の状態は又丁度この前の地域給勧告と同じように、今人事院が用意しておるという地域給修正勧告の結末に対して、やはり同様な状態が今日の状態に起つておるじやないかと思う。先ほど菅野長官の答弁の中でも、政府としては、一応若し地域給に関する修正勧告があつたにしても、予算作成上の現在の段階では、その問題について考慮する余地がないかのような答弁が木下委員に対して行なわれた。又森崎委員に対しても同様の答弁が行なわれた。若しも人事院が又今度の地域給修正に対する勧告の問題で予算上の見通し、或いはこれの国会通過、政府のこれに対する態度等を揣摩臆測したり、模索しながら、若しも地域給改訂に関する修正勧告を遅延せしめて、あるとすれば、丁度この前の地域給の問題も今日の林野庁の問題と同じように、これは責任が人事院にかぶさつて来るのではないか。従つてそういう点がありますから、地域給のこの前の勧告修正するという人事院態度を早く明確にしてもらつて、早くこの勧告を行なつてもらう必要が現在あるのではないか。そういう点について二点。給與法改正に関する意見書の提出、それから地域給のこの前の勧告修正する、その勧告をできるだけ速かに出してもらいたいと思つておりますが、その時期についてこの際一応御答弁を願いたいと思います。
  96. 山下興家

    説明員山下興家君) 給與のべース・アツプの勧告をいたしまして、それについて法律案考えております。ところが丁度給與準則が間に合つて、それと一緒に出すということが非常に工合がいいと、毎年並行するようなものでなく、基本的の準則と一緒に出そうというので大分努力して来た。今も一生懸命にまあ間に合うように努力いたしておるのでありますが、こういうものは人事院が細かな点まで各省と連絡をとりまして、そうして研究をしなければならんと、それで現在人事院には人事主任官会議というものがありまして、各省からその人事主任官が集まられて、そうして毎週それを審議しておるのであります。殊に給與に関しては給與の小委員会までできて、細かく討議しております。それで給與準則が出来上つたときにはどういう結果になるだろうかという最後のところまで計算をして、そうしてその審議を待つてきめるという方法をとつておるのであります。そのためになかなか骨が折れまして、こちらが思うほどに早く結論に達し得ないのです。それで実は今度臨時国会に、まあ今もなおですが、何とかして間に合うようにと言つておりますが、どうも怪しいものですから、結局又それならば給與法の改正意見書、普通のものは先ずこの臨時国会に出して、そうして続いて通常国会に準則を出すことにしようというような気持になつております。それでそういうことになりますと、これは私のほうだけでできることでありますので、非常に楽になりまして、そうしてこれは臨時国会が開かれて、そうして審議に間に合うように出せる状態に大体なつております。  それから地域給の問題でありますが、地域給もそれに間に合うようにやろうと思つて大分やりました。そうして実際大体の方針はもうできておるのでありますが、これは普通のものと違いまして、五月のは予算に組まれておる、併し追加勧告の分はなかなか折衝に骨が折れると思います。で、それではこれをのけて、一緒にして足りない分は出せばいいじやないかと言われますが、普通の問題と違いまして、地域は僅かの部分が棚ざらしになるということは、えらいどうも迷惑を及ぼす虞れがありますので、この問題だけは関係者と打合せまして、大体これが行けるという見込がついてからでないとどうもできない状態です。割合に予算がたくさん増すのでありますから、なかなか了解が得られない状態であります。それで若しもいけなかつたら、これは給與準則は通常国会に出しますから、そのときには無論出したい、こういうふうに思つております。これは情勢だけでありまして、まだどうなるかはつきりいたしません。そういうようなことで、いろいろこちらだけのことでなしに、各省の意見がまとまらなくてはいけないような問題がたくさんありますので、つまりぐずぐずするようでありますが、お許しを願いたいと思います。
  97. 千葉信

    理事千葉信君) 最後に重ねて、これはお尋ねとお願いと一緒になるわけですが、私どもの考えておりまする地域給の問題につきまして、私どもの考えておりまする点から言いますると、どうも人事院のほうで地域給修正に関する予算上の折衝を、これ以上政府当局と折衝を重ねるということは、場合によつては折角修正を用意している幅を縮小される結果が出て来ないか、それから又そういう予算上の見通しについて、折衝をした経過の中から、人事院が折角現在用意している地域給修正というものを引込めたりするような恰好にまで行きはしないか、そういう点も非常に心配でありますので、私どものほうの希望としては、もうそろくそういう予算上の見通しや折衝等を打切つて、この際人事院としては一切を政府国会にやらせるという形で、勇気を振いまして修正勧告を出してもらいたい、そういうことのほうが……人事院だけの折衝では見通しの立たない、或いは困難な問題でも、国会並びに政府のほうでこの問題を直接に取扱うということになれば、或いは人事院だけで今あくせく孤軍奮闘している状態よりももつと有利に恐らく解決できるだろう、こういう見通しや考えを我々持つているわけでありますので、人事院としても、最後まで予算の問題に首を突つ込んでそうして問題を不利に陷れさせるようなことのないように、この際一つ修正勧告ということについて勇気を出してもらいたい、こういうふうに私ども考えておりますから、その点についてはよろしくどうぞ人事院のほうで善処されるように希望いたします。  それでは今日は以上で人事委員会を閉会いたします。次回の委員会について、これは委員が非常に出席が悪うございますから、後の委員長理事打合会で次回の問題を決定したいと思います。散会します。    午後零時五十四分散会  出席者は左の通り。    理事            千葉  信君            加藤 武徳君    委員            木下 源吾君            森崎  隆君            小野  哲君            杉山 昌作君            紅露 みつ君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   説明員    内閣官房長官 菅野 義丸君    人事院人事官  山下 興家君    大蔵省主計局給    與課長     岸本  晋君    林野庁林政部労    務厚生課長   岡崎 文士君