○油井賢太郎君 私は、一昨日の前之園
議員の後を継ぎまして、
国民民主党を代表いたしまして、
講和会議並びに
経済問題等について
政府の所信を質したいと思います。
講和問題につきましては、この
国会に対しまして
国民は全部重大なる関心を以て見守
つておるのでありまして、飽くまでも微細に亘る点まで追及するのが当然かと思います。
第一に
講和の方式について、真に
国民の希望し、且つ
国民に幸福をもたらすものはどういう方式であるかということの点に対する首相の意図を承わりたいのであります。先日この本会議におきまして、中田
議員より、
衆議院を解散して
講和に対する民意の存するところを明らかにされては如何との質問があ
つたのでありますが、首相は一昨年の
選挙に当
つてすでにこの問題は織込み済であるから、今更解散する必要はないという御回答をなさ
つておるのであります。併しながらあの当時は、
講和の方式に対しましては、まだ大した問題とな
つておらなか
つたのであります。昨年四月に至
つて全面
講和か多数
講和かという点について重大なる問題として
国民の間に輿論が湧き起
つたのであります。従
つて今日、国際
事情も
国内情勢も、
国民の
講和に対する観念も、更に各国から
日本を見る目もまるで変
つてしま
つておる際でもあり、改めて
国民の
講和に対する
見解を質して見る必要があると思うのであります。かかる見地から、首相としては、全面
講和論者との間にまだ意見のまとまりが付かない今日、断乎として
衆議院を解散し、
国民にあまねく
講和方式の是非を十分に検討せしめ、国論の帰趨を明確にすると共に、有力なる追放解除の人々に政界復帰の実際上の途を開いてあげるのが当然であると思うのであります。(
拍手)更に又、各地における
選挙にも現われておるのでありますが、共産党の衰退振りは全く著し
いものがあり、共産党に対する
国民の批判がようやく正常に立ち戻つたと言
つても過言でないと思われます。この際破壊と
混乱による革命を企図する共産党員を
国会より解散によ
つて一挙にして撃退せしむるという絶好のチャンスではないでしようか。あえて首相の勇猛心を期待するものであります。(
拍手)
第二に自衛と單備の問題であります。吉田首相が第一次吉田内閣当時公布した憲法の前文の中には、如何なる事態に陷
つても戦争手段はとらないと明白に調
つております。首相みずからもこの
国会におきまして再三に亘
つて再單備は憲法違反であると断ぜられておる。(「その
通り」と呼ぶ者あり)然らば、
日本の自衛は如何なる手段によ
つて達成されるのでありますか。これが今
国会に対する
国民の最も深い関心の的であるのであります。現在
我が国の
中心人物である吉田首相が未だに明確なる解決を與えておらないと
国民は思
つておるのであります。実際対岸の火災ではありません。火事は隣りに燃え移
つており、我々は火の粉を盛んにかぶ
つておるのであります。このときに当
つて首相は、頼むべきは
国民の独立自由に対する熱情である、或いは独立自由愛国的精神の正しき認識とその観念であると喝破されておりますが、この難解な文句だけで果して
日本の安全な独立自衛が守り切れると確信の付いた人は
国内で何人あつたかとお思いになりますか。(「吉田首相一人」と呼ぶ者あり)
国民は單備の費用を負担することを好まないのは当然であります。又首相の言われるように、国力がこれを許さないのも当然であります。池田
大蔵大臣が、これは木村
議員からも指摘されましたが、画軍備をするとしても人件費くらいのもので、
国民所得の四%程度あればいいと言
つておられるのは、その裏を
考えますというと、
国民所得三兆六千億の四%、実に一千五百億を
警察予備隊の
増強に使うのだとも聞えるのであります。外の国から砲彈を以て侵略を受けるような羽月に陥つた場合、熱情はあるけれども軍備のない
警察予備隊だけでは何人いても如何ともいたしがたいのは自明の理であります。二十八日の讀賣新聞に、パリ法科大学国際法教授ルンー氏と滞仏中の横田喜三郎博士が対談されておるのが載
つており、ルンー氏が、
日本が憲法で戦争を放棄したのは結構だが、軍備を全廃したのは防衛までも放棄したもので、これは了解に苦しむと言われ、横田博士が、
日本に軍備はないか、国連軍やその他の軍隊に駐屯して欲しいと言つたところが、外国が
日本のためにそのような犠牲をいつまで拂うか、それは疑問であると言
つておるのは、深く味うべきところではないでしようか。備えあれば憂いなしという言葉がありますが、自衛に対する精神上の
対策でなく、具体的の方策をお示し願いたいのであります。今朝の新聞には、
警察力強化というようなことも載
つており、又
警察予備隊の
増強も
考えておられるようでありますが、先ほど大橋
法務総裁からも
お話がありましたが、
警察予備隊に対しまして外国から武器を貸與されておるというのは、一体軍備とどの点が違うのでありますか。それを明確にして頂きたいのであります。
又軍備を持たなければ侵略を受ける率が邊かに少いと言われた
議員のかたもお
つたのであります。これは戸締りをしないほうが泥棒が入らないというような理窟だとも
考えられるのであります。(「戸締りと違う」と呼ぶ者あり)無防備のままで侵略を受ければ、侵略国に対し、たとえ国連軍が出動して制裁を行うということにしましても、
日本が職場と化しまして、隣国朝鮮のような惨状を呈することは、わかり切つたことではないでしようか。西ヨーロツパ諸国、或いは仏印、チベットの例でも、これは明白に物語
つております。共産党の諸君は、今、
日本は侵略されておるということを言われておる。侵略という言葉を使つたとしても、事実は平和であり、平穏であります。併し、いつ砲爆、破壊掠奪、
混乱を伴う侵略がないとは誰もが保障できないはずであります。侵略に対し如何なる自衛態勢をとるかが問題である。この際、首相は、遠慮なく卒直に
国民が納得できるような明快なる方策を示されんことを、共産党以外の平和を好む大多数の
日本国民に代
つて要求するものであります。
又これに関連し、自衛権の発動により
国家の安全を期する上から憲法の
改正も必要とする事態も起り得ることと思われますが、首相は今日の段階において憲法を
改正される意思はおありでないか。軍備のない
警察予備隊に対し他の国から武器を貸與してくれることも事実とな
つて現われておる。貸與されても軍備はやはり軍備である。憲法は
改正して置かなければならないと私は思います。吉田首相の下に公布されました憲法ではあるが、
国家あ
つての憲法でありまして、ユダヤのごとき憲法あ
つての
国家では
日本はないのであります。單なる個人的面目にとらわれることなく、
国家国民のために憲法の
改正も所信を以て行うべきであると思いますが、潔癖な吉田首相は、こういう場合に至りましても、他の人によ
つて改正を行うならいざ知らず、自分はどうしても行えないというふうにお
考えにな
つておられるのでありますか。
次に
経済問題につき質問をいたしたいと思います。先ず今回提出されました
予算案についてでありますが、第九
国会に補正
予算を出されました際、十五ヵ月
予算として
説明がありましたので、大体のあら筋は
承知しております。併しながらこのあら筋とい
つても、ドツジ・プランのやはり実行というような立場において組まれたものと思います。ところがドツジ・プランなるものは、
日本に対して如何なる
経済自立体制をとるかという誠に立派な指針であるのであります。ただ
政府に任せてあるこの
運用が甚だ拙劣であるというのが我々
国民民主党の
主張であります。我が党といたしましては、かかる見地から、給與ベースの改訂、平衡交付金の増額、インベントリー・フアイナンス反対等の諸点よりいたしまして不満の意を表して参
つたのであります。今回出されました二十六年度
予算は、遺憾ながら我々の意見は少しも取入れられず、相変らず当初の
方針通りの案を出されておるのであります。池田
大蔵大臣は手離しの自己礼讃をされておる。いずれ
予算或いは大蔵等の委員会におきまして我が党の委員より詳細なる
質疑は行いますが、
予算に関連し吉田内閣の
経済自立根本方針につき以下若干
お尋ねをいたしたいと思います。
第一に、二十六年度の
予算は昨年の同月を基準にして組まれたか
お尋ねしたのであります。周東安定本部長官の御
説明によると、
物価の
騰貴は十分織込み済みだと言われておりますが、すでに現在相当のズレを来たしておるのではないでしようか。
物価の
騰貴率につき、一昨日、長官は、生産資材で四〇%、消費財で、五%の値上りがあつたと言われておるのでありますが、日銀の卸売特価指数を調べて見ますというと、朝鮮動乱当初の七月に比べまして、十一月にな
つて生産資材が二五%、消費財が三%の値上りとな
つておるのでございます。長官の調査が若しこの以降においてなされたといたしますならば、今日まで約二月の間、
物価の値上りは非常に大き
いものであると言わなければならないのであります。然らば
予算面におきまして、公共事業費を一千三十億から一千百四億に今年は殖やし、七十四億を増加した、或いは平衡交付金を一千八十五億から一千百億にしまして十五億を増したというようなことを言われておりますけれども、その増加率というものは極めて少額でありまして、実質的には減額と同様なものであると断ぜざるを得ないのであります。
国民を欺いておると言われてもいたし方がないと思うのであります。
なお財政の縮小に伴いまして、首相は
施政方針の御
演説中に、行政機構の簡素化によりまして経費を節減すると御披瀝にな
つておる。先日併しながらレッド・パージを行いまして一千百六十六名というかなりの人員を整理しております。殊に物によ
つては再
統制も止むを得ないではないかと今日言われております
関係上、それに伴う官公吏の増員も見込まねばなりませんし、中央機関の
地方委譲も図られるとするならば、
地方自治体においても減員はなかなか困難とな
つて参るのではないでしようか。中央、
地方を通じ、幾多の事業
計画の実施は
物価高により大きな狂いが生ずるものと思われますが、行政の簡素化、或いは官公吏の減員見込、並びに諸事業
計画の齟齬に対する調整は如何なる方策を以て対処されるつもりでありますか。首相並びに池田、周東、岡野の諸
大臣のおのおのの立場において具体的にお示しを願いたいのであります。
なお、ここに重大なる点が
予算案の中にあるのでありますが、それは見返
資金勘定が一千百九十四億というものが載
つております。そのうち
経済再建費として総計七百五十四億というものが何らのプランなしに記載されておる。これは一体如何なる方面にお使いになるのであるか。来年にお持ち越しになるのか。こういう重大なる大きな金額のままにして置く
予算というものは実にかたわの
予算であると言わねばならないと思うのであります。
第二に減税問題であります。
大蔵大臣は税制上の減税は実質上の減税であると大見得を切られたが、
国民所得の変動と税制とが常にスライドして行かない限り、いつも両者が
一致するとは言い切れないのであります。極端に申しますならば、同一税率であ
つても、
国民所得が二分の一に
なつたときと倍に
なつたときでは、税額におきまして一対四どころではない、一対六にも七にもなるはずであります。実例を挙げて見ますというと、妻帯者の収入が現在月に八千円といたしまして所得税を計算すると、月に七百十七円となります。若し先ほど
安本長官に申上げたごとく、
物価高のために、ここに三割の支給増を行わなければならないとなりますると、所得税は一千二百二十九円とな
つて、税負担は七割増ということになるのであります。決して実質上の減税と又学問上の減税というものが
一致するとは言われないのであります。今日のように
物価高が続き、
国民所得が
増大すればするほど、実質上の税の増加を来たすことは明白となるのであります。現に先日
衆議院の本会議におきまして、
予算よりは相当の税収増加が見込まれておると池田
大蔵大臣が回答されたと聞いております。減税という
公約の看板上、徴税額を
予算の
措置におきまして不当に過少見積りをしておるようにしか我我には
考えられない。この例を法人税にと
つて見ましても、二十五年度の
予算が四百六億三千万円の金額であ
つたのですが、それが補正
予算によ
つて五百七十二億八千万円となり、百六十五億からの増収とな
つたのであります。ところが二十六年度の
予算を見ますと六百三十六億五千万円とな
つておる。これは恐らく二百億以上も殖えるであろうと言われてお力ます。これは少しく
経済事情に通じておる人々の異口同音とするところであります。かような過少見積りの課税に対しまして将来如何なる
措置をおとりになるか、今より明白にされたいのであります。このほかにも、源泉課税とか、酒の税金とか、同様のものがたくさん例があるのであります。池田
大蔵大臣はここにお見えにならないので甚だ残念でありますが、
物価はこれ以上上らないと言うかも知れない。併しながら安定本部長官は、現に
物価が大幅に上つたということをお示しにな
つております。併し
政府の
計画通りの生産の
向上が行われ、
輸入が順調なら、当然
国民所得はこれに伴いまして増加し、税の収入は殖えることになるのであります。七百億の減税は、煎じ詰めると、これは池田屋という酒屋が酒を安く売るという宣伝をして、二割も三割もの水を入れて儲けるのと何ら変りがないことにな
つてしまうのであります。(
拍手)七百億の減税論の本質をこの際明らかにされまして、
予算より見てどのくらいの増収が見込まれておるか、更に増収による
資金はどの方面に使うことが最も適当と思われるかということを重ねて明確にお願いしたいと思うのであります。
なお税制問題に関連いたしまして、物品税として高級織物を取上げ、昨年末あたり二割課税と発表しておりましたが、大分反対が多いので一割と訂正されたようである。シヤウプ勧告によりまして、織物消費税が撤廃されて間もない今日、又織物に課税したいとは余りにも朝令暮改であり、而も大半は純
国内物資であるところの生糸製品を対象とするものでありますが、世論ごうごうたるものがあります。我が党として、織物物品税をこの際お取りやめになることを強く要求するものでありますが、
大蔵大臣の御意見を承わりたいのであります。
第三に貿易
事情につき
お尋ねをいたしたい。
海外の
物価高或いは
船舶の
不足等によりまして、
政府の企図される
輸入計画が全面的に狂いを生じ、生産
増強に必要な
物資がますます
不足を告げ
物価騰貴、輸出不振という事態を懸念するものであります。即ち備蓄
物資、或いはランニング・ストツクとしての重要
輸入物資たる綿花であるとか、或いはパルプ、鉄鉱石、粘結炭というものの
輸入を非常に大量に見込まれております。果してこれが満足に入るかどうか。而も
食糧さえも今年は三百万トンを入れたいというような
計画を立てておられる。先ほど藤野
議員にも確約されておつたようですが、本当に
食糧三百万トンは入る可能性があるかどうかということを明白にして頂きたいのであります。殊に量は極めて少量ですが、僅か半カ年の間に七倍以上も値段が上つたニッケルというようなものにつきまして、この
輸入が途絶えますというと、
我が国の化学工業は大変な
影響を受けることになります。
通産大臣及び安定本部長官は、
輸入計画が確信を以て期待できるか否かを
国民の前に明白にされたいのであります。
なお
輸入に対する金融問題でありますが、ユーザンスの設定も、結局一時的金融緩和でございまして、順次売先からの代金回収が握れ、結局決済時になりますというと苦労することとなり、
輸入に対する意欲が非常に減退する虞れがあります。すでに輸出入のバランスをとるために輸出に何らかの制限を行うのではないかと心配する向きも出ておる今日、
輸入の積極化を図るために、
政府におきましては、公社組織のような
輸入物資の備蓄機関を設けて、
輸入金融の円滑化を図られるべきではないでしようか。これについて
通産大臣の御回答を願いたいのであります。
第四に、主として廣川
農林大臣に
お尋ねいたしたい。先ず
我が国の
自立経済計画が現内閣によ
つて示されましたが、
国民の
食糧は先ほども申しました
通り、今年三百万トンの厖大なる
輸入によるにあらざれば賄い得ないという
現状にあります。廣川
大臣は福島県の農村出身であられ、農村のことについては深い蘊蓄を持
つておられるはずであります。又非常に押しの強いかたであるということも我々は了解しておる。(笑声)併しながら
国民の食生活の総元締として、
食糧自給体制をとるための
予算獲得に当
つては、余りにも腰が弱か
つたのではないかと郷里では心配しております。(笑声)この際、如何なる
具体策を以て
食糧自給を図らんとするのか。先ほど藤野
議員にも申されましたが、ただ今後研究するとか調査するというようなことでなしに、本当の抱負経論をお示し願いたいのであります。
第二といたしまして林業
対策についてお伺いいたしたい。
我が国の国土と森林面積の比率は六七%とな
つておりまして、実に世界第一位を占めております。併し森林国でありながら、森林に頼ることの過重な
国民生活は、約三十年後には至る所、禿山となり丸裸になる危険に襲われております。一カ年間の木材の消費量は、
国民生活に欠くべからざる燃料、建築材、パルプ、坑木その他二億二千万石とな
つておるのでありますが、これに対する生長量は約半分の一億一千六百万石しかありません。若し
不足分の
輸入ができな
いものとしますれば、三十年の期限を切
つて死の宣告を與えられたと同様にな
つてしまうのであります。森林の激減は、毎年八千町歩の山崩れとなり、二千三百町歩の耕地の埋没、六百万石の産米の喪失となり、公共的土木工作物の被害だけでも年一千億に運しておるのであります。場この際、廣川
大臣は、死人の引導を渡される代りに、八千万
国民の生きる道に対する忠実な道案内者とな
つて、森林
対策に百年の大計を立てて頂きたいと思うのであります。(笑声、
拍手)森林のため、造林の促進、奥地林の
開発、国有林の合理的
経営等に対して如何なる抱負経綸を持たれておるか。これが
具体化に対しまして、
予算面におけるところの
農林大臣の
主張はどのような形で現われておるかをお示し願いたいのであります。
なお吉田首相にこの際お伺いしたいのでありますが、たばこ民営論が又くすぶり出しておりますが、これは一体どういう方向に向けるのか。六十万耕作者は非常に心配しておりますので、この際お示しを願いたいと思うのであります。
次に田村郵政、電通
大臣に
お尋ねしたいのでありますが、たばこの民営論と違つた角度で以て、電信電話の民営論が相当強く要望されて来ておりますが、これに対する
大臣の御
見解を願いたいのであります。
次に思想問題につき二三
お尋ねをいたしたい。
第一に、昨年の夏の共産党の幹部に対する逮捕問題である。僅かに春日正一君一人のみが捕われまして、徳田球一君初め八名はまだ地下に潜つたままとな
つておる。特審局、検察庁、
国家警察、自治体
警察と幾多の機関がばらばらにな
つて、おのおの多くの費用を使いながら、功名争いからか、連絡に統一を欠いておる結果、こんな状態にな
つておると聞いておりますが、治安維持上
国民は全く不安に駆られております。当局が躍起とな
つて行方を捜査しているのにもかかわらず、吉田首相よりも却
つて顔が売れているかのように思われているところのあの特徴のある徳田球一君が、杏として消息が不明なのは一体どうしたことでありますか。(
拍手)これでも首相は平和に秩序が保たれておると言い切られるのでありますか。大橋
法務総裁の責任ある御
答弁を願いたいのであります。
第二に第三国人の犯罪について
お尋ねをしたい。戰後の犯罪中第三国人の
関係しておる事件は非常に多いのであります。新聞でおわかりとは思いますが、朝鮮人の
関係しておる犯罪は毎日報道されておる。
我が国の
人口のたつた一%足らずの朝鮮人によ
つて惹起される騒動、秩序の破壊、
法律無視等の件数は余りに多い。これに対しまして、
政府といたしましては、将来不良分子の朝鮮人に如何なる処置をと
つて参るつもりであるか、明確にされたいのであります。(「何を言うか」「意味をはつきりさせろ」と呼ぶ者あり)私は隣邦朝鮮人の人たちに、関東大震災のときた惹起したような不慮の出来事のために、善良なる人々に重大なる迷惑を及ぼすことは、心から残念でならないのであります。どうぞこの点に対して明確にお示しを願いたいのであります。
第三に、義務教育に携わる教員の思想について
お尋ねをしたい。全国四十五万人に達する教員の思想が穏健中正であるか或いは不穏過激であるかによ
つて、今後の
日本のあり方が全く左右されるものであると言
つてもいいのであります。極く少数の不穏分子のため、一時は教員組合そのものが世人から白眼視された時代もあつた。併し私には、大多数の教員諸氏が子弟の教育に献身的であり、聖職として
努力されておるように見受けられるのでありま目す。(「その
通り」「同時に進歩的であるぞ」と呼ぶ者あり)
只今のお言葉の
通り進歩的な人々も勿論多い。私は、去る正月、郷里の小学校で、子供のとき習つたことのある八十一歳の老校長から歴代の校長、現在の校長に至るまでの五人を
中心として、いろいろ
話合いをしたのでありますが、いずれも実に素朴な服装で、誰一人
物資的に恵まれておると見える人はなか
つたのであります。否、生活に苦労さえなさ
つておると見受けられるかたもあります。(「それをどうする」と呼ぶ者あり)この人々が異口同音に、ただ誠一つを盡して
国民のお役に立つ人間を作ることを終生の目的として専念し、教え子が社会のお役に立つよう成長したのを見るのが何よりも嬉しいと言われ、物質的苦情等何一つ言い出されなか
つたので、これらの人々に対する尊敬の念は一しお増したのであります。自分の生活苦もじつと堪えて教育に専念する人々に対して、一体我々はどれだけの待遇をしておりますか。衣食足
つて礼節を知るどころではない。衣食足らざるも礼節を知る人格者が全国の教員中に数多くおられることを、
政府も
議員も心から銘記すべきであります。私は、この際、教員の待遇を特に優遇し、生活に懸念することなく聖職に邁進されるよう強く要望するものでありますが、文部
大臣はどれほどの
熱意を以て
実現をお図りになるか、お示しを願いたいと思います。
以上を以ちまして私の質問は終りますが、各
大臣より、目下研究中とか、いずれ調査するとかといその場限りの御挨拶でなく、誠意のある御回答をお示し願いたいと思うのであります。(
拍手)
〔
国務大臣吉田茂君
登壇、
拍手〕