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1951-01-31 第10回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年一月三十一日(水曜日)    午前十時二十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七号   昭和二十六年一月三十一日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第五日)  第二 地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案両院協議会成案衆議院送付)(協議委員議長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程第一をあとに廻し、日程第二、地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案両院協議会成案、(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず協議委員議長報告を求めます。協議委員議長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐登壇拍手
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今から地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案両院協議会審議の経過及び結果を御報告申上げます。  御承知通り両院協議会の本院側議長としては野溝勝君、副議長としては不肖岡本愛祐が互選されましたが、なお衆議院側議長中島守利君、副議長山口喜久一郎君でありましたことを申し添えます。先ず抽籖により衆議院側中島守利君が議長となり、衆議院側から本院の修正案に対して不同意の議決をした趣旨及び両院協議会を求めるに至つた理由について、次のような説明があつたのであります。  衆議院としては、第一に、地方公共団体議員及び長の選挙については、「市町村議員都道府県議員」、「市町村長都道府県知事」とを組合せることが最も妥当であると考えていること。第二に、地方選挙を成るベく今国会終了後に行い、国会審議影響を與えないようにすること。第三に、参議院修正案によると、最初選挙と次の選挙との間に五日間しかなく、これは選挙事務支障を與えるものであるから、少くとも七日間は必要であること。以上三点において参議院側修正案同意することができず、且つ又本法律案が不成立となれば、現行公職選挙法の規定によることになり、これ又種々なる難点があるので、何とか話合いをしたいため協議会を求めた旨の説明があつたのであります。  次いで本院より、第一に、政府案によると、地方公共団体議員選挙は四月二十九日、長の選挙は五月二十日になつている。そうなると、現在の地方公共団体の長の任期ば、大部分四月四日に終り、新らしい長が選挙されるまでに実に四十五日間の空白状態が生ずる。かくては現下国際情勢下地方自治の運営上誠に遺憾であつて空白期間はできるだけ短縮すべきである。  第二に、各選挙組合せは、政府案によれば公職選挙法の建前と逆になつている。このように議員選挙を先にし、長の選挙あとにすることは、そこに間接選挙の色彩をも生じ、地方自治の本旨に反するものである。むしろ各選挙地方公共団体別にまとめて施行するほうが理論的にも実際的にもすぐれている。第三に、本院の修正案において、最初選挙と次の選挙との間に五日間の期間を置いたのは、本年四月五日に立候補禁止が解除となる旧市町村長助役等に、他の立候補者との機会の均等を與えるため、二十日間の選挙運動期間を與えようとする趣旨である。なお又選挙期日を五月上旬以降とすると農繁期と競合することになるので、できるだけ四月中に済ますべきである。  以上の諸点の理由により政府を修正した旨を参議院側から説明を行なつたのであります。  かく質疑応答を重ねたのでありますが、衆議院側は漸次本院の正しい主張を容れ、各選挙組合せ、全部の選挙を四月中に済ますこと等については、全面的に参議院に同調するに至つたのであります。而して最後に問題として残つたのは、最初選挙と次の選挙との五日間の間隔、及びそれと関連して選挙期日だけの問題となつたのであります。更に話合いを進めた結果、五日間の間隔を七日間とすることで漸く妥結が成りました。即ち市町村議員及び長の選挙期日参議院側は二十五日と考えておりましたのを、二日繰上げまして四月の二十三日とし、その他は本院修正通りとするという成案を得ました。参議院側岩木議員を除く他の協議員一致によりまして、多数を以て決定した次第であります。かくして本院の主張が大部分貫徹され、本院の修正案が妥当なものであつたことが立証されたわけであります。  以上簡單ながら御報告申上げます。(拍手
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより成案の採決をいたします。地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案両院協議会成案全部を問題に供します。成案に賛成の諾君の起立を求めます。    〔総員起立
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて成案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、国務大臣演説に関する件(第五日)。  昨日に引続き順次質疑を許します。藤野繁雄君。    〔藤野繁雄登壇拍手
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在我々日本国民にとつて最大関心事は、講和條約の締結自立経済達成であります。併しながら講和問題は、すでに同僚諸君より詳細に質問せられたところでありますから、私はただ国の運命にかかわる重大性に鑑み、その取扱は飽くまで真剣且つ愼重、いやしくも党利党略秘密主義を排し、国会において十分論議を盡し、よりよき講和條件を獲得し得るよう努力すべにことを要望するにとどめ、第一に、経済自立体制確立と、なかんずく食糧対策についてお伺いしたいと思うのであります。  吉田総理大臣施政演説において、平和條締結後、我が国が真の独立国家として立ち上るためには、経済自立を図ることが根本であると述べられましたように、今日我が国においては、経済自立体制確立することが焦眉の急務であり、施策重点も先ずこの点に集中すべきであります。周東安本長官も、自立経済達成を不退転の決意を以て努力を傾注すべき最大課題とし、又池田蔵相も、適時適切な措置を講じ、経済自立達成という目標に向つて着実に努力を続けて行くと言明しておられますことは、至極同感であります。政府は先に安本中心経済自立計画を進め、去る二十日には自立経済審議会の手に成る三カ年計画案が答申されておりますが、その考えるところは大体妥当と言うべきでありましよう。果して政府は、必要な予算的金融的措置を講じて、これを実現する熱意と誠意を持つておられるかどうか。総理大臣大蔵大臣安本長官にお伺いしたいのであります。  次に、自立経済推進の要点は、一方においては必需原料物資輸入他方においては国内資源開発による自給度向上生産力増大であります。而して国内自給度を高める施策は、差当り食糧増産電源開発船舶拡充の三点に集中すべきであるということができましよう。而もこれらに対しては曾つての石炭に対する傾斜生産方式のごとく、国家施策資金を集約的に投入するのでなかつたならば、十分の効果を挙げることは不可能であると思いますが、その用意があるかどうか。総理大臣大蔵大臣安本長官お尋ねしたいのであります。  食糧は、農民諸君のなみなみならぬ努力により、国内生産も漸次回復向上して来たことは御同慶に堪えませんが、併し一方、二割を依存することによつて、漸く食糧事情の安定をもたらしておる外国食糧は、世界的の備蓄傾向船舶不足運賃値上り等情勢の変化により、政府筋の楽観にもかかわらず、今後果して予定壁輸入確保することができるかどうか、頗る疑いなきを得ないのであります。即ち昨日佐多君から指摘せられた通り、昨年七月から本年六月まで、三百二十四万トン輸入計画にもかかわらず、昨年十二月までの実績は九十三万トン、僅かに計画量の三割に過ぎぬ。而も価格及び運賃値上り等を考慮いたしますれば、予定量確保にはよほどの党悟と強力な対策が必要となつて参ります。かくのごとく輸入食糧への依存に大きな不安と困難が予想されるとき、食糧自給度向上はまさに緊急の課題であります。申すまでもなく食糧増産確保国民生活の安定と産業振興基本條件であり、他方これにより職人資金の節約、延いては他の基礎資材輸入増大をも期待することができるのであります。政府は昨年七月末、閣議において国内食糧自給体制急速確立を申合せ、食糧増産興農運動及びその一環として一割増産を提唱しながら、その具体化、特に予算措置において殆んど見るべきものがなく、而も一方食糧事情の一時的好転に眩惑されて、統制緩和自由販売公約を強行せんとしておられるのは、矛盾撞著も甚だしいと言わねばなりません。よろしく政府は、この際、経済実態と具体的な資料に基き、食糧政策を再検討し、その根本方針を明確にすべきであります。そこで先ず私は、政府は先きの国内食糧自給体制確立に関する閣議決定を今回の予算編成に当りどのように取扱われたか。今後なお政策基本として尊重し、その実現努力されるつもりであるかどうか。その根本方針総理大臣に伺いたいのであります。  又、今こそ食糧難に苦しんだ戰時中の経験を再び繰返すことがないように、最悪の事態をも十分考慮いたしまして、万全の対策を講ずべきであると思うのであります。今後なお統制緩和方針を強行せられる予定であるかどうか。又、それによつて今後食糧生産確保及びその集荷配給支障なきを期し得る確信があるかどうか。更に、主食現行配給基準量確保し得る自信があるかどうか。なお、以上の食糧政策基礎條件たる食糧需給関係、特に輸入食糧について如何なる見通しを持つておられるか、又輸入食糧確保に如何なる対策を講ぜられるか。以上につき安本長官農林大臣お尋ねしたいのであります。  而して食糧確保の方向としては、戰時中のごとき農業経営実態を無視した主食偏重の一律的な作付強制による営合理化の見地から、米麦は勿論、「いも」類、雑穀を始め、菜種、大豆等油脂蛋白原料、進んでは畜産の奨励等、総合的な増産と食生活の安定改善を期すべきであると思うのでありますが、政府方針は如何てありましようか。特に「いも」類についてはこれを軽税することなく、その貯蔵と利用、加工の高度化につき積極的に努力するならば、食糧需給の上に大きく貢献することができるのであります。例えば我が長崎県において考案せられた甘藷米のごとき、これを全国に普及するならば、輸入食糧の不安をも解消し得るのでありますから、政府は積極的に奨励すべきものと思いますが、農林大臣見解は如何でありましようか。併せてお伺いしたいのであります。  さて、食糧増産には、土地改良災害復旧病虫害防除等農案生産力向上施策前提であります。併しながら農業生産力向上も、農家経済の今日の実態からは、国家資金の導入なくしては望むべくもないのであります。この意味において、我々が年来主張して来た農林漁業に対する長期金融の途が二十六年度から特別会計として実現の運びに至りましたことは喜びに堪えません。併し農林漁業金融公庫が構想されたときの資金二百億円すら実際の需要額四百九十余億円からは遙かに違いとされた状況において、六十億の資金を以てしては、到底その目的を果すことはできないのであります。そこで預金部資金等運用によつて少くとも百五十億円程度を確保すべきであると強く要望されておるのでありますが、その用意がありますかどうか。大蔵大臣農林大臣に伺いたいのであります。  又その融資対象は極めて限定されておりますが、食糧備蓄の急務なるとき、農業倉庫の補修、新築等にもこれを拡大すべきであると思いますが、農林大臣は如何お考えでありますか。  次に、食糧増産効果を最も急速に期待し得るものとして、年々その損害は二百億円を超えるという農作物病虫害防除の問題が、昨年来取上げられ、防疫行政機構拡充強化防疫資器材確保等、その具体化が研究されておるのであります。併しその成否は要するに政府熱意予算措置の拡大にかかつておると言わねばならぬが、その用意がありますかどうか。大蔵大臣農林大臣お尋ねしたいのであります  農業生産増強の第二の前提は、必需生産資材確保であります。即ち肥料農機具農薬等基礎資材が適期に適量に、而も農家経済を脅成せざる価格確保されることが必要であります。肥料については、昨年の銃制摘発以来、漸次価格は高騰し、而もその輸出に関しては需給関係上から深刻な問題をも惹起したのでありますが、今春公団手持の分が全部放出されるとすれば、今後少くともその手持分以上を増産しなければ、再び価格騰貴供給不足を招来することが懸念されるのであります。又原料輸入に仰ぐ過燐酸、加里については、輸入食糧と同じ不安と困難が予想されるのであります。いずれにせよ積極的な増産輸入対策と共に何らかの需給調節が必要であると思われます。政府対策につき安本長官及び通産大臣農林大臣から承わりたいと思うのであります。なお又農機具農薬については、その原料戰略物資と競合する関係からも、よほど強力な手を打つのでなければ、将来これが確保は容易ならぬものと予想されますが、これに対する対策があれば併せて承わりたいと思うのであります。  農業問題の締めくくりとして農業協同組合再建整備についてお尋ねいたします。御承知通り農業生産発展向上農家経済改善維持のため設立せられました農業協同組合も、その現状を見れば、指導の不適正デフレ政策のしお寄せを初め、農業会よりの引継資産不良在庫品手持等のため、多額の資金を固定化し、その利拂に追われて、本来の使命達成に邁進できぬ状況であります。農業協同組合経営の破綻により、その機能を停止するようなことがありましたならば、直ちに農業金融混乱に陥れ、延いては農業生産の低下を来たし、その影響は真に憂慮すべきものがありますので、農協経営刷新合理化を図り、再建整備を要するものについては緊急対策を講じなければなりません。勿論、農民自主的組織として農協みずから刷新振興運動を展開しているのでありますが、資金難や固定したる資金に対する利拂の負担がその再建を困難ならしめております。周東長官農協を積極的に育成すると言明されたことに大いに意を強うするものでありますが、そのためには先ず農協事業資金として、適正なる融資と、これに対する損失補償をなすこと、次に固定したる資金に対して利子の補給をなすこと、第三に農協指導検査等に要する予算を増額することが必要であります。これらにつき安本長官大蔵大臣農林大臣から具体案を承わりたいのであります。  次に職人確保の問題についてお尋ねいたします。海外依存度の高い我が国において、必需物資輸入の重要なることは昨日佐多君から質問せられた通りでありますが、国際的な軍需増大に伴う著しい物資不足値上り傾向に鑑み、この際、貿易収支等にこだわることなく、手持外貨をはたいても必需品輸入促進努むべきことを私も重ねて強調したいのであります。勿論この点に関する政府の勢力と熱意は、これを認めるのにやぶさかではありませんが、いま少しく緊急強力な対策を講ずべきであろうと思うのであります。そこで、これら物資輸入促進に対してとられつつある政府施策と、その輸入目標及びその見通しにつき、次に緊急物資輸入基金特別会計二十五億円についても年四回転くらいの予定であると昨日答弁されたのでありますが、これによつて確保せんと予定しておられる物資の品目及び数量予定について、又将来この基金を増額せられる用意があるかどうか。更にこの基金が動き始める四月までの三カ月こそが最も重要な時期であろうと思うのでありますが、その間これに代るべき金融措置を講ぜられる考えはないか。以上につき安本長官大蔵大臣通産大臣に伺いたいと思うのであります。  第二は物資需給調節についてであります。米国の瞬時体制強化に伴う物資動員賃金物価の釘付けを初め、今や基礎物資統制世界的傾向であり、海外依存度の高い我が国経済として、不足物資需給調節は好むと好まざるとにかかわらず不可避の課題であると思われます。殊に大蔵大臣も指摘せられました通り海外上昇率を上廻る物価騰貴傾向は、到底これを放置することを許さない現況にあると申さねばなりません。勿論、戰待戦後を通ずる官僚統制の非能率、非現実性については、巌にこれを再反省すべきでありますが、政府公約や従来の行きがかりを固執して経済の実情に目を蔽うことなく、今にして万全の対策を講ずることこそ、とるべき態度であると思うのであります。この点に関し周東安本長官は、将来、物資不足物価が高騰するような場合には、効率的且つ彈力性ある調整措置を講ずると申しておられます。又新聞紙上、今後の統制方式として直接統制自主統制の二本建とし、後者の場合は臨時物資需給調整法私的独占禁止法事業者団体法等改正を考慮中と伝えておりますが、直接統制自主統制具体的構想、その対象物資及びその法的根拠としての物調法、独禁法、事業者団体法改正方針を明確にして頂きたいと思うのであります。次に自主統制の場合、統制団体を新たに設けしめる考えであるか、或いは現存の民間団体を活用せられるのか、併せて承わりたいのであります。次に統制が必要なる場合の根拠として、臨時物資需給調整法の延長が伝えられておるのでありますが、このようなあらゆる物資を思うままに統制できる広汎な権限を政府に委任している総動員法の身代りのような法律によることは、これまでの政府方針や、又効率的且つ彈力性ある調整措置を講ずるという周東長官の言明にも矛盾すると言わねばなりません。そこで、これを統制物資の種類、統制方式国会同意を得て決定するよう改正すべきであると思いますが、政府見解は如何でありますか。更に物価の安定に努力されるということであるが、如何なる方法によつてこれをされるか。以上につき安本長官の御答弁をお求めいたします。  最後治安対策についてお尋ねしたいと思います。治安対策の要は、国民生活の安定、即ち換言すれば衣食住安定確保にあるということができます。この点、政府衣食住の安定に力を注ぐというのは賢明の措置であり、賛意を表したいのであります。このうち食糧についてはすでに詳細申上げた通りでありますが、衣料と住宅についてもいま少しく具体的な計画を明らかにしてもらいたい。特に住宅問題については、住宅金融公庫の出資金を大幅に増額されるようでありますが、その手続運用等、積極的に簡素化するのでなければ、所期の効果を収めることはできません。これらの点について通産大臣建設大臣の所見を伺いたいと思うのであります。併しながら国内安寧秩序を維持し、現実に生起する混乱を防止鎭圧するためには、以上の施策と共に警察力強化も又必要であります。然るに国家及び自治警察警察予備隊海上保安隊現状を見れば、果してこれらの要請に応え得るや否や懸念なきを得ないのは遺憾であります。首相も施政演説中に、現下情勢に鑑み、警察制度改正海上警備の一層の充実につき目下検討中であると述べておられますが、警察制度改正海上警備充実具体案につき、特に警察機能を十分発揮せしめんがために、人口十万未満の都市及び町の自給警察国家警察に統合せられる考えはないか。又海上保安隊拡充警察予備隊の装備の充実については、どのような計画を持つておられるかどうか。更に進んで、これら各警察陣をしてその職務極右に専念せしむるためには、十分なる身分保障制度確立し、後顧の憂いなかちしむることが特に必要である思いますが、その用意がありますかどうか。法務総裁に承わりたいのであります。  以上を以て私の施政演説に対する質問を終りますが、総理大臣初め関係大臣の誠意ある御答弁を期待してやみません。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  講和の問題は全国民に関する国民的問題でありまして、日本の将来は講和條約の内容如何にかかわる重要な問題であります。その間、党利党略を差挾むべき問題でないことは申すまでもないことであります。故に、これは広く国民の要望、世論の趨向を考えて処理いたしたいと考えておりますことは、すでに申述べたところであります。又講和條約の内容については未だ内示も公示も受けておりません。従つて秘密主義を排するとか、秘密主義を守るとかいうような問題はないのであります。又仮に公表せられ若しくは公示いたされた場合には、特に国民、わけて国会とも十分な連絡をとつて処理いたしたいと考えております。  次に経済自立についてのお尋ねでありますが、経済自立については、政府としては特に重点を置いておることは施政方針の中にも述べた通りであります。又自立経済審議会の答申につきましては、十分慎重に政府もこれを審議いたしまして、具体化することに努めるつもりであります。その他の問題については所管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣周東英雄登壇拍手
  11. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えをいたします。経済自立を図るために自給度向上が必要である、食糧増産電力拡充船舶増強が最も必要であるが、これに対しての具体的の策を聞くというお話であります。御意見の通り政府におきましても、自給体制確立の上から申しましても、国際情勢現下事情からいたしましても、でき得る限り食糧自給度向上するということが基本方針でありまして、それに対しましては、第一に農業生産力の基盤である土地改良、これに中心を置きまして、農業水利或いは灌漑用水等設備等に関する関係面積百四十五万町歩に関する土地改良確立し、それからこれに関連いたしまして、過剰人口の農村からの転出というようなことを考えて、開墾、干拓等について相当の力を拂うべく計画をいたしております。これと同時に優良種苗配給とか或いは病害虫の予防駆除についてもそれぞれ計画を立てておるのであります。  次に電力拡充についてのお尋ねであります。これはすべての産業計画に関連を持つのでありまするが、要約して申しますれば、二十六年度から二十八年度の三カ年の間に水力約六十五万キロワット、火力におい三二十二万キロワット、合計九十七万キロワットの新電源開発をいたしまして、設備として水力発電設備六百五十九万キロワット、火力二百三十五万キロワット、合計八百九十四万キロワットの設備を増加して、これによつて供給電力需用端におきまして、二十八年度におきまして三百五十億キロワット時の計画を進めておるのであります。  船舶増強につきましては、たびたび申上げましたように、今日の必要なる原材料の輸入確保、又食糧確保衣料原料確保等が一番重要な点でありますので、それらについての船舶確保については、新造船増強に対し、又買船用般等に関する計画を進めて、それに必要なる金融的、財政的措置を講じておるのであります。新造船につきましては、恐らくはこの二十六年度内におきまして約三十万トン余の造船確立するものと考えております。  それから次に農業協同組合の育成についての具体策をというお話であります。この点につきましては、只今農業協同組合健全化のために必要なる措置についての法制について準備中でありまして、まだ今日申上げる時期に達しておりませんが、近く法案等準備ができましたときに御説明申上げたいと思います。  それから物資需給物価対策についてのお尋ねであります。これに対しましての根本的な措置といたしましては、何と申しましても、必要物資数量確保することに重点を置いて価格上昇を防ぐということが第一の眼目であります。先ほどの食糧についての輸入ができるかということについての御心配は御尤もであります。今日までのところ、やや計画よりも遅れておりますが、只今申上げました船の増強、自国船の所有、増強等によりまして、買付の済んでおりまする食糧等につきましては至急にこれをこちらへ持つて来るということに措置をとりたいと思います。  なお衣料原料についての御心配ですが、幸いにして原綿及び羊毛等についても買付は実は終つております。要は、船で持つて来ることができれば御心配は要らんと思いますので、今後の国民生活の安定の上からいたしまして、食糧並びに衣料原料であるところの羊毛、原綿等の確保については大体確信を持つて進んでおりまするので、これらの数量の増加によりまして、物価に対する調節、緩和を第一眼目といたしております。  それから第二点について、いろいろと統制とか調整に関する処置のお尋ねでありますが、これにつきましては、昨日も御答弁いたしましたように、近くこれに関連いたしましての法制の準備ができ次第、御協賛を得るために提出いたすつもりであります。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  12. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) お答えいたします。食糧自給度向上を図るために、昨年の七月、閣議決定を経まして、その線に沿うて進んでおることは御承知通りであります。これも現在のような様相を予想してやつておりましたので、すでに農村におきましては、実際、地について参つて来ておるのであります。これに要する費用等は、すでに昨年末の補正予算においても相当額を計上し、今回の予算編成に当りましても、まだ少いという非難はございまするが、総額において昨年よりも相当殖えておることを御了承願いたいと思うのであります。而も又、作付予想、予定数と言いましようか、予定量も順次それを目標としてやつて行くような方途を講じておるのであります。  それから輸入についてのだんだんのお話でありますが、この細かい数字はあとで書面で差上げるといたしまして、大体買付或いは輸送中等のものを見て、多少は減つておりますが、決して心配のないような情勢になつております。又この前の戦争のように單に日本が孤立しておるのではおりませんので、今回はどことも戰さをいたしておりませんが、單に船繰り、その他についての不便の点があるのであつて、決してこの前のようなことを思い出させないように御承知を願いたいと思うのであります。  それから予算編成については、先ほども申上げました通り、さようなことを織り込んでやつておるのであります。統制についてのお話もありましたが、これは飽くまで我々は能率的に物を配給するというか、分配するというか、そういう意味において、不要な統制は飽くまで外す方針で参つておりますので、麦も七月から外し、又雑穀も近々外す方針には変りはないのであります。  増産についてのお話でありますが、これも一律でなく、適地適作という話でありまするが、これもそのような方向に進めて参つております。又「いも」、雑穀、油脂を含む植物等のことについてでありますが、これもその通りでありまして、裏作等におきましては、菜種その他について非常に増産になつておるのであります。これのみならず林業方面におきましても、油を含んでおる果樹類或いは又その他の樹木の増殖等についても力をいたしておるようなわけであります。特にあなたの御指摘になりました「いも」飯のお話でありまするが、これは農林省といたしましても非常に関心を持つておるのであります。実は私も試食をいたしましたが、この「いも」を混入したものと混入しないものとを食べて実際わからないくらいにまで発達いたしておるので、非常に心強く思つておりまするので、農林省といたしましては適当な奨励方法を考えて見たいと考えておるようなわけであります。増産についてのお話でありますが、この予算全般が増産に要する経費であると御了承願いたいのであります。それから又この増産について、一番経済力の弱い農業でありまするので、でき得る限り国家資本を導入するという方針には変りはないのであります。又農林省におきまして、農地改革以来、この市中銀行から締め出された農地に対して、政府資金を今度長期資金を入れることになりましたことによつて、これが誘い水となつて市中銀行からだんだん金が入つ乗ると私は思うのであります。なお又その他に、何と言いましようか、金を借りる一つの対象に農地がなつていないのでありまするが、この方面におきましても、農村金融が円滑に処くような方途も現在考えておるようなわけであります。  それから又、この長期資金について金題が足りないのではないかというお話でありまするが、これは預金部資金によつて中金債を引受ける等の方途によりまして、なお又、中金からも金を出すような方面で考えておるようなわけであります。それに連れて、なお又足りないところの漁業関係におきましても、この漁業関係に円満な金融を付けるために目下研究中でございます。それから、この資金の中に、倉庫に対する資金の割当がないのじやないかというお話でありますが、この中に我々は入れたいと考えておるようなわけであります。それと同時に中金を通じての資金もこれの方面に流す考えでおるのであります。  それから病虫害の対策につきましては、この前からだんだんのお話でありまするので、農林省におきましては、機構を変えまして、一課を創設いたしまして統一いたし、強力に病虫害対策を講ずるようにいたしておる次第であります。  それから肥料農薬等につきましては、必要な限度に応じて我々は万全の策を講じておるのであります。現在大蔵省にあつて清算事務に入つておりまする肥料は現在七十四万トンあるのでありますが、売出してもなかなか売れませんので、我々はこれを市内価格より相当引いて出したい、こう考えておるのであります。いわゆるあなたのおつしやる適期適作に出して、高いと言われるものを牽制したい、こう考えておるのであります。  それから燐鉱石につきましては、これもそれぞれ各省と相談いたしまして、万遺漏のないようにいたしておるようなわけであります。  協同組合の再建につきましては、目下あらゆる方面で検討いたしまして、極く最近の機会に国会にお諮り申上げたいと思つております。    〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  13. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 警察の能率を向上いたしまするために、人口十万未満の自治体警察国家警察に移管してはどうかとの御質問でございまするが、お説の通り、小さい自治体警察につきましては何らかの方策が必要であると考えております。併しその範囲及び方法につきましては目下愼重に検討中でございまして、近く結論を得る見込でございます。  次に警察予備隊の装備の改善についての御質問でございまするが、警察予備隊の武器に関しましては、従来かまして必要な武器を借り受けることと相成つておりまして、従来カービン銃を全員に貸し與えられておつたのでありまするが、最近に至りまして軒機関銃を貸興せられまして、目下これが訓練をいたしておる次第であります。その他、通信施設に関しましては、有線電話、短波通信及び携帯通信機につきまして、目下研究をいたしております。車輌につきましては、部隊編成と睨み合せまして、その車種目的を考慮中でありまするが、本年度約千七百台程度を購入の契約をいたしたい、かように考えておる次第であります。  次に警察官及び警察予備隊員の身分保障の問題でございまするが、警察官は国家公務員法により、又警察予備隊員はこれを準用いたしておりまする予備隊令の規定によりまして、身分の保障があるわけでありまして、これが運用により適正を期したいと考えておる次第であります。  なお、この機会に、昨日の本会議におきまして、佐多議員より川南工業の争議に関する取締りについて御質問がございましたので、これについて御答弁をいたします。川南工業会社の元社長某氏に対しましては、公職追放令違反の容疑によりまして、目下東京地方検察庁において鋭意捜査小でございまするので、御指摘のような事実が明らかに相成りましたならば、勿論その責任を追究いたす考えであります。次に、同会社の幹部等につきましても、賃金の不拂いによりまする労働基準法違反の容疑がございまするので、現在長崎地方検察庁において捜査中であることをお答えいたします。    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  14. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 藤野さんにお答え申上げます。  御説のごとく戦後における住宅難は相当甚次なものがございます。殊に戰災によつて焼失した戸数は二百十万戸、強制疎開によつて破壊された戸数は五十万戸でごいます。併しながら過去五年間において国民の御努力によりまして約二百六十万戸を建設されております。即ち失つた戸数だけはすでに建設されておるのであります。併し御指摘のごとく、人口も殖えましたし、又引揚同胞も非常に多い。でございまするから、三百万戸ほどまだ不足でございます。そこで政府といたしましては、本年度から御承知のごとく住宅金融公庫並びに低額所得者に対する公共団体経営の住宅をどしどし造ることにいたしておりまするが、約十万戸ずつ政府の直接間接の支出によつて造られておるのであります。従いまして、去年と違いまして、本年度からは年々六十万戸ずつは殖えて行くという勘定に相成つております。でございまするから、戰災都市の復興は五カ年計画によつて本年は第二年度に入るわけでございまするが、あと四年経てば全国百十に上る戰災都市は復興し得るという確信を持つておりまするが、そのときまでには、およそ三百万戸の住宅難も緩和し得る、勿論多少はございましようが、そういう見込でやつております。要するに本年度から政府のとつておりまする住宅政策というものは、戦後の客観状態の要請によるとはいいながら、列国にその比を見ない画期的の住宅政策をとつておるということを御了承を願いたいのでございます。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 大蔵大臣は後刻出席の際答弁される趣きであります。又通商産業大臣は渉外関係のため出席ができませんので、他日出席の際答弁される趣きであります。油井賢太郎君。     —————————————    〔油井賢太郎君登壇拍手
  16. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 私は、一昨日の前之園議員の後を継ぎまして、国民民主党を代表いたしまして、講和会議並びに経済問題等について政府の所信を質したいと思います。  講和問題につきましては、この国会に対しまして国民は全部重大なる関心を以て見守つておるのでありまして、飽くまでも微細に亘る点まで追及するのが当然かと思います。  第一に講和の方式について、真に国民の希望し、且つ国民に幸福をもたらすものはどういう方式であるかということの点に対する首相の意図を承わりたいのであります。先日この本会議におきまして、中田議員より、衆議院を解散して講和に対する民意の存するところを明らかにされては如何との質問があつたのでありますが、首相は一昨年の選挙に当つてすでにこの問題は織込み済であるから、今更解散する必要はないという御回答をなさつておるのであります。併しながらあの当時は、講和の方式に対しましては、まだ大した問題となつておらなかつたのであります。昨年四月に至つて全面講和か多数講和かという点について重大なる問題として国民の間に輿論が湧き起つたのであります。従つて今日、国際事情国内情勢も、国民講和に対する観念も、更に各国から日本を見る目もまるで変つてしまつておる際でもあり、改めて国民講和に対する見解を質して見る必要があると思うのであります。かかる見地から、首相としては、全面講和論者との間にまだ意見のまとまりが付かない今日、断乎として衆議院を解散し、国民にあまねく講和方式の是非を十分に検討せしめ、国論の帰趨を明確にすると共に、有力なる追放解除の人々に政界復帰の実際上の途を開いてあげるのが当然であると思うのであります。(拍手)更に又、各地における選挙にも現われておるのでありますが、共産党の衰退振りは全く著しいものがあり、共産党に対する国民の批判がようやく正常に立ち戻つたと言つても過言でないと思われます。この際破壊と混乱による革命を企図する共産党員を国会より解散によつて一挙にして撃退せしむるという絶好のチャンスではないでしようか。あえて首相の勇猛心を期待するものであります。(拍手)  第二に自衛と單備の問題であります。吉田首相が第一次吉田内閣当時公布した憲法の前文の中には、如何なる事態に陷つても戦争手段はとらないと明白に調つております。首相みずからもこの国会におきまして再三に亘つて再單備は憲法違反であると断ぜられておる。(「その通り」と呼ぶ者あり)然らば、日本の自衛は如何なる手段によつて達成されるのでありますか。これが今国会に対する国民の最も深い関心の的であるのであります。現在我が国中心人物である吉田首相が未だに明確なる解決を與えておらないと国民は思つておるのであります。実際対岸の火災ではありません。火事は隣りに燃え移つており、我々は火の粉を盛んにかぶつておるのであります。このときに当つて首相は、頼むべきは国民の独立自由に対する熱情である、或いは独立自由愛国的精神の正しき認識とその観念であると喝破されておりますが、この難解な文句だけで果して日本の安全な独立自衛が守り切れると確信の付いた人は国内で何人あつたかとお思いになりますか。(「吉田首相一人」と呼ぶ者あり)国民は單備の費用を負担することを好まないのは当然であります。又首相の言われるように、国力がこれを許さないのも当然であります。池田大蔵大臣が、これは木村議員からも指摘されましたが、画軍備をするとしても人件費くらいのもので、国民所得の四%程度あればいいと言つておられるのは、その裏を考えますというと、国民所得三兆六千億の四%、実に一千五百億を警察予備隊増強に使うのだとも聞えるのであります。外の国から砲彈を以て侵略を受けるような羽月に陥つた場合、熱情はあるけれども軍備のない警察予備隊だけでは何人いても如何ともいたしがたいのは自明の理であります。二十八日の讀賣新聞に、パリ法科大学国際法教授ルンー氏と滞仏中の横田喜三郎博士が対談されておるのが載つており、ルンー氏が、日本が憲法で戦争を放棄したのは結構だが、軍備を全廃したのは防衛までも放棄したもので、これは了解に苦しむと言われ、横田博士が、日本に軍備はないか、国連軍やその他の軍隊に駐屯して欲しいと言つたところが、外国が日本のためにそのような犠牲をいつまで拂うか、それは疑問であると言つておるのは、深く味うべきところではないでしようか。備えあれば憂いなしという言葉がありますが、自衛に対する精神上の対策でなく、具体的の方策をお示し願いたいのであります。今朝の新聞には、警察力強化というようなことも載つており、又警察予備隊増強考えておられるようでありますが、先ほど大橋法務総裁からもお話がありましたが、警察予備隊に対しまして外国から武器を貸與されておるというのは、一体軍備とどの点が違うのでありますか。それを明確にして頂きたいのであります。  又軍備を持たなければ侵略を受ける率が邊かに少いと言われた議員のかたもおつたのであります。これは戸締りをしないほうが泥棒が入らないというような理窟だとも考えられるのであります。(「戸締りと違う」と呼ぶ者あり)無防備のままで侵略を受ければ、侵略国に対し、たとえ国連軍が出動して制裁を行うということにしましても、日本が職場と化しまして、隣国朝鮮のような惨状を呈することは、わかり切つたことではないでしようか。西ヨーロツパ諸国、或いは仏印、チベットの例でも、これは明白に物語つております。共産党の諸君は、今、日本は侵略されておるということを言われておる。侵略という言葉を使つたとしても、事実は平和であり、平穏であります。併し、いつ砲爆、破壊掠奪、混乱を伴う侵略がないとは誰もが保障できないはずであります。侵略に対し如何なる自衛態勢をとるかが問題である。この際、首相は、遠慮なく卒直に国民が納得できるような明快なる方策を示されんことを、共産党以外の平和を好む大多数の日本国民に代つて要求するものであります。  又これに関連し、自衛権の発動により国家の安全を期する上から憲法の改正も必要とする事態も起り得ることと思われますが、首相は今日の段階において憲法を改正される意思はおありでないか。軍備のない警察予備隊に対し他の国から武器を貸與してくれることも事実となつて現われておる。貸與されても軍備はやはり軍備である。憲法は改正して置かなければならないと私は思います。吉田首相の下に公布されました憲法ではあるが、国家つての憲法でありまして、ユダヤのごとき憲法あつて国家では日本はないのであります。單なる個人的面目にとらわれることなく、国家国民のために憲法の改正も所信を以て行うべきであると思いますが、潔癖な吉田首相は、こういう場合に至りましても、他の人によつて改正を行うならいざ知らず、自分はどうしても行えないというふうにお考えになつておられるのでありますか。  次に経済問題につき質問をいたしたいと思います。先ず今回提出されました予算案についてでありますが、第九国会に補正予算を出されました際、十五ヵ月予算として説明がありましたので、大体のあら筋は承知しております。併しながらこのあら筋といつても、ドツジ・プランのやはり実行というような立場において組まれたものと思います。ところがドツジ・プランなるものは、日本に対して如何なる経済自立体制をとるかという誠に立派な指針であるのであります。ただ政府に任せてあるこの運用が甚だ拙劣であるというのが我々国民民主党の主張であります。我が党といたしましては、かかる見地から、給與ベースの改訂、平衡交付金の増額、インベントリー・フアイナンス反対等の諸点よりいたしまして不満の意を表して参つたのであります。今回出されました二十六年度予算は、遺憾ながら我々の意見は少しも取入れられず、相変らず当初の方針通りの案を出されておるのであります。池田大蔵大臣は手離しの自己礼讃をされておる。いずれ予算或いは大蔵等の委員会におきまして我が党の委員より詳細なる質疑は行いますが、予算に関連し吉田内閣の経済自立根本方針につき以下若干お尋ねをいたしたいと思います。  第一に、二十六年度の予算は昨年の同月を基準にして組まれたかお尋ねしたのであります。周東安定本部長官の御説明によると、物価騰貴は十分織込み済みだと言われておりますが、すでに現在相当のズレを来たしておるのではないでしようか。物価騰貴率につき、一昨日、長官は、生産資材で四〇%、消費財で、五%の値上りがあつたと言われておるのでありますが、日銀の卸売特価指数を調べて見ますというと、朝鮮動乱当初の七月に比べまして、十一月になつて生産資材が二五%、消費財が三%の値上りとなつておるのでございます。長官の調査が若しこの以降においてなされたといたしますならば、今日まで約二月の間、物価の値上りは非常に大きいものであると言わなければならないのであります。然らば予算面におきまして、公共事業費を一千三十億から一千百四億に今年は殖やし、七十四億を増加した、或いは平衡交付金を一千八十五億から一千百億にしまして十五億を増したというようなことを言われておりますけれども、その増加率というものは極めて少額でありまして、実質的には減額と同様なものであると断ぜざるを得ないのであります。国民を欺いておると言われてもいたし方がないと思うのであります。  なお財政の縮小に伴いまして、首相は施政方針の御演説中に、行政機構の簡素化によりまして経費を節減すると御披瀝になつておる。先日併しながらレッド・パージを行いまして一千百六十六名というかなりの人員を整理しております。殊に物によつては再統制も止むを得ないではないかと今日言われております関係上、それに伴う官公吏の増員も見込まねばなりませんし、中央機関の地方委譲も図られるとするならば、地方自治体においても減員はなかなか困難となつて参るのではないでしようか。中央、地方を通じ、幾多の事業計画の実施は物価高により大きな狂いが生ずるものと思われますが、行政の簡素化、或いは官公吏の減員見込、並びに諸事業計画の齟齬に対する調整は如何なる方策を以て対処されるつもりでありますか。首相並びに池田、周東、岡野の諸大臣のおのおのの立場において具体的にお示しを願いたいのであります。  なお、ここに重大なる点が予算案の中にあるのでありますが、それは見返資金勘定が一千百九十四億というものが載つております。そのうち経済再建費として総計七百五十四億というものが何らのプランなしに記載されておる。これは一体如何なる方面にお使いになるのであるか。来年にお持ち越しになるのか。こういう重大なる大きな金額のままにして置く予算というものは実にかたわの予算であると言わねばならないと思うのであります。  第二に減税問題であります。大蔵大臣は税制上の減税は実質上の減税であると大見得を切られたが、国民所得の変動と税制とが常にスライドして行かない限り、いつも両者が一致するとは言い切れないのであります。極端に申しますならば、同一税率であつても、国民所得が二分の一になつたときと倍になつたときでは、税額におきまして一対四どころではない、一対六にも七にもなるはずであります。実例を挙げて見ますというと、妻帯者の収入が現在月に八千円といたしまして所得税を計算すると、月に七百十七円となります。若し先ほど安本長官に申上げたごとく、物価高のために、ここに三割の支給増を行わなければならないとなりますると、所得税は一千二百二十九円となつて、税負担は七割増ということになるのであります。決して実質上の減税と又学問上の減税というものが一致するとは言われないのであります。今日のように物価高が続き、国民所得が増大すればするほど、実質上の税の増加を来たすことは明白となるのであります。現に先日衆議院の本会議におきまして、予算よりは相当の税収増加が見込まれておると池田大蔵大臣が回答されたと聞いております。減税という公約の看板上、徴税額を予算措置におきまして不当に過少見積りをしておるようにしか我我には考えられない。この例を法人税にとつて見ましても、二十五年度の予算が四百六億三千万円の金額であつたのですが、それが補正予算によつて五百七十二億八千万円となり、百六十五億からの増収となつたのであります。ところが二十六年度の予算を見ますと六百三十六億五千万円となつておる。これは恐らく二百億以上も殖えるであろうと言われてお力ます。これは少しく経済事情に通じておる人々の異口同音とするところであります。かような過少見積りの課税に対しまして将来如何なる措置をおとりになるか、今より明白にされたいのであります。このほかにも、源泉課税とか、酒の税金とか、同様のものがたくさん例があるのであります。池田大蔵大臣はここにお見えにならないので甚だ残念でありますが、物価はこれ以上上らないと言うかも知れない。併しながら安定本部長官は、現に物価が大幅に上つたということをお示しになつております。併し政府計画通りの生産の向上が行われ、輸入が順調なら、当然国民所得はこれに伴いまして増加し、税の収入は殖えることになるのであります。七百億の減税は、煎じ詰めると、これは池田屋という酒屋が酒を安く売るという宣伝をして、二割も三割もの水を入れて儲けるのと何ら変りがないことになつてしまうのであります。(拍手)七百億の減税論の本質をこの際明らかにされまして、予算より見てどのくらいの増収が見込まれておるか、更に増収による資金はどの方面に使うことが最も適当と思われるかということを重ねて明確にお願いしたいと思うのであります。  なお税制問題に関連いたしまして、物品税として高級織物を取上げ、昨年末あたり二割課税と発表しておりましたが、大分反対が多いので一割と訂正されたようである。シヤウプ勧告によりまして、織物消費税が撤廃されて間もない今日、又織物に課税したいとは余りにも朝令暮改であり、而も大半は純国内物資であるところの生糸製品を対象とするものでありますが、世論ごうごうたるものがあります。我が党として、織物物品税をこの際お取りやめになることを強く要求するものでありますが、大蔵大臣の御意見を承わりたいのであります。  第三に貿易事情につきお尋ねをいたしたい。海外物価高或いは船舶不足等によりまして、政府の企図される輸入計画が全面的に狂いを生じ、生産増強に必要な物資がますます不足を告げ物価騰貴、輸出不振という事態を懸念するものであります。即ち備蓄物資、或いはランニング・ストツクとしての重要輸入物資たる綿花であるとか、或いはパルプ、鉄鉱石、粘結炭というものの輸入を非常に大量に見込まれております。果してこれが満足に入るかどうか。而も食糧さえも今年は三百万トンを入れたいというような計画を立てておられる。先ほど藤野議員にも確約されておつたようですが、本当に食糧三百万トンは入る可能性があるかどうかということを明白にして頂きたいのであります。殊に量は極めて少量ですが、僅か半カ年の間に七倍以上も値段が上つたニッケルというようなものにつきまして、この輸入が途絶えますというと、我が国の化学工業は大変な影響を受けることになります。通産大臣及び安定本部長官は、輸入計画が確信を以て期待できるか否かを国民の前に明白にされたいのであります。  なお輸入に対する金融問題でありますが、ユーザンスの設定も、結局一時的金融緩和でございまして、順次売先からの代金回収が握れ、結局決済時になりますというと苦労することとなり、輸入に対する意欲が非常に減退する虞れがあります。すでに輸出入のバランスをとるために輸出に何らかの制限を行うのではないかと心配する向きも出ておる今日、輸入の積極化を図るために、政府におきましては、公社組織のような輸入物資の備蓄機関を設けて、輸入金融の円滑化を図られるべきではないでしようか。これについて通産大臣の御回答を願いたいのであります。  第四に、主として廣川農林大臣お尋ねいたしたい。先ず我が国自立経済計画が現内閣によつて示されましたが、国民食糧は先ほども申しました通り、今年三百万トンの厖大なる輸入によるにあらざれば賄い得ないという現状にあります。廣川大臣は福島県の農村出身であられ、農村のことについては深い蘊蓄を持つておられるはずであります。又非常に押しの強いかたであるということも我々は了解しておる。(笑声)併しながら国民の食生活の総元締として、食糧自給体制をとるための予算獲得に当つては、余りにも腰が弱かつたのではないかと郷里では心配しております。(笑声)この際、如何なる具体策を以て食糧自給を図らんとするのか。先ほど藤野議員にも申されましたが、ただ今後研究するとか調査するというようなことでなしに、本当の抱負経論をお示し願いたいのであります。  第二といたしまして林業対策についてお伺いいたしたい。我が国の国土と森林面積の比率は六七%となつておりまして、実に世界第一位を占めております。併し森林国でありながら、森林に頼ることの過重な国民生活は、約三十年後には至る所、禿山となり丸裸になる危険に襲われております。一カ年間の木材の消費量は、国民生活に欠くべからざる燃料、建築材、パルプ、坑木その他二億二千万石となつておるのでありますが、これに対する生長量は約半分の一億一千六百万石しかありません。若し不足分の輸入ができないものとしますれば、三十年の期限を切つて死の宣告を與えられたと同様になつてしまうのであります。森林の激減は、毎年八千町歩の山崩れとなり、二千三百町歩の耕地の埋没、六百万石の産米の喪失となり、公共的土木工作物の被害だけでも年一千億に運しておるのであります。場この際、廣川大臣は、死人の引導を渡される代りに、八千万国民の生きる道に対する忠実な道案内者となつて、森林対策に百年の大計を立てて頂きたいと思うのであります。(笑声、拍手)森林のため、造林の促進、奥地林の開発、国有林の合理的経営等に対して如何なる抱負経綸を持たれておるか。これが具体化に対しまして、予算面におけるところの農林大臣主張はどのような形で現われておるかをお示し願いたいのであります。  なお吉田首相にこの際お伺いしたいのでありますが、たばこ民営論が又くすぶり出しておりますが、これは一体どういう方向に向けるのか。六十万耕作者は非常に心配しておりますので、この際お示しを願いたいと思うのであります。  次に田村郵政、電通大臣お尋ねしたいのでありますが、たばこの民営論と違つた角度で以て、電信電話の民営論が相当強く要望されて来ておりますが、これに対する大臣の御見解を願いたいのであります。  次に思想問題につき二三お尋ねをいたしたい。  第一に、昨年の夏の共産党の幹部に対する逮捕問題である。僅かに春日正一君一人のみが捕われまして、徳田球一君初め八名はまだ地下に潜つたままとなつておる。特審局、検察庁、国家警察、自治体警察と幾多の機関がばらばらになつて、おのおの多くの費用を使いながら、功名争いからか、連絡に統一を欠いておる結果、こんな状態になつておると聞いておりますが、治安維持上国民は全く不安に駆られております。当局が躍起となつて行方を捜査しているのにもかかわらず、吉田首相よりも却つて顔が売れているかのように思われているところのあの特徴のある徳田球一君が、杏として消息が不明なのは一体どうしたことでありますか。(拍手)これでも首相は平和に秩序が保たれておると言い切られるのでありますか。大橋法務総裁の責任ある御答弁を願いたいのであります。  第二に第三国人の犯罪についてお尋ねをしたい。戰後の犯罪中第三国人の関係しておる事件は非常に多いのであります。新聞でおわかりとは思いますが、朝鮮人の関係しておる犯罪は毎日報道されておる。我が国人口のたつた一%足らずの朝鮮人によつて惹起される騒動、秩序の破壊、法律無視等の件数は余りに多い。これに対しまして、政府といたしましては、将来不良分子の朝鮮人に如何なる処置をとつて参るつもりであるか、明確にされたいのであります。(「何を言うか」「意味をはつきりさせろ」と呼ぶ者あり)私は隣邦朝鮮人の人たちに、関東大震災のときた惹起したような不慮の出来事のために、善良なる人々に重大なる迷惑を及ぼすことは、心から残念でならないのであります。どうぞこの点に対して明確にお示しを願いたいのであります。  第三に、義務教育に携わる教員の思想についてお尋ねをしたい。全国四十五万人に達する教員の思想が穏健中正であるか或いは不穏過激であるかによつて、今後の日本のあり方が全く左右されるものであると言つてもいいのであります。極く少数の不穏分子のため、一時は教員組合そのものが世人から白眼視された時代もあつた。併し私には、大多数の教員諸氏が子弟の教育に献身的であり、聖職として努力されておるように見受けられるのでありま目す。(「その通り」「同時に進歩的であるぞ」と呼ぶ者あり)只今のお言葉の通り進歩的な人々も勿論多い。私は、去る正月、郷里の小学校で、子供のとき習つたことのある八十一歳の老校長から歴代の校長、現在の校長に至るまでの五人を中心として、いろいろ話合いをしたのでありますが、いずれも実に素朴な服装で、誰一人物資的に恵まれておると見える人はなかつたのであります。否、生活に苦労さえなさつておると見受けられるかたもあります。(「それをどうする」と呼ぶ者あり)この人々が異口同音に、ただ誠一つを盡して国民のお役に立つ人間を作ることを終生の目的として専念し、教え子が社会のお役に立つよう成長したのを見るのが何よりも嬉しいと言われ、物質的苦情等何一つ言い出されなかつたので、これらの人々に対する尊敬の念は一しお増したのであります。自分の生活苦もじつと堪えて教育に専念する人々に対して、一体我々はどれだけの待遇をしておりますか。衣食足つて礼節を知るどころではない。衣食足らざるも礼節を知る人格者が全国の教員中に数多くおられることを、政府議員も心から銘記すべきであります。私は、この際、教員の待遇を特に優遇し、生活に懸念することなく聖職に邁進されるよう強く要望するものでありますが、文部大臣はどれほどの熱意を以て実現をお図りになるか、お示しを願いたいと思います。  以上を以ちまして私の質問は終りますが、各大臣より、目下研究中とか、いずれ調査するとかといその場限りの御挨拶でなく、誠意のある御回答をお示し願いたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  17. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 第一の御質問は、單独講和か全面講和か、国民の世論を問うために衆議院を解散しないかというお尋ねでありますが、未だ全面講和とも單独講和ともきまつておるわけではないのであります。講和條約の内容については未だ内示も受けておりません。従つて、得べくんば全面講和に持つて行きたいということは、私がかねて申しておるところであります。止むを得ざれば一国といえども成るベく早く平和関係に入りたい。故に、この問題のために議会を、国会を解散するということば考えておらないのみならず、一問題ごとに解散をするということであれば絶えず解散いたさなければならんということになります。(笑声)又再軍備問題につきましてはしばしば私の所見を述べております。この私の所見に対しては、即ち再軍備は軽軽しくなすべからずという議論については、共産党の諸君も私に同調されておられるようでおりますが、(笑声)実は共産党の諸君の賛成は有難迷惑であります。(笑声、拍手)が併し、更にこの問題についてはここに申しませんが、少くともこの問題の取扱い方については私一人でないことは明らかであると思います。  その次は、たばこ、電信、電話等の民営移管の意思があるか。これは私が明らかに申しております通りに、政府といたしましては民営に移したいと思います。併しながら利害関係のある国民の意向もよく承知した上で以て、愼重に審議いたしたいと考えております。  又行政の簡素化については、従つて又冗員淘汰については、政府方針としては飽くまでもこれを実行いたしたい考えであります。ただその方法については、お示しのように、現在の状態から言つて見て、よほど考えませんと、却つて混乱を生ずる虞れがありますから、十分愼重に審議いたすつもりであります。その他は主管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣周東英雄登壇拍手
  18. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 予算編成当時における物価はいつをとつたかということでありますが、大体十月頃の物価を基準としまして、騰貴を見込んでおることは事実であります。ただ先日もお話申上げましたように、最近における特殊な基礎物資の値上りが著しいために、平均いたしまして生産財のほうが四割がた上つておるということを申上げました。併しそれがために直ちに予算上盛られたるところの公共事業等の実施にどれだけの影響があるかということについては、まだそれほど著しい影響はないと考えております。それは物資別によく騰貴状況を今注目いたしておるのでありまして、全然ないとは考えませんけれども、まだそれほどの影響が出て来るものとは考えておりません。  それから第二のニッケル等を例示してのお尋ねであります。成るほど今日ニッケル等は世界的に奪い合いになつておるものであります。恐らくはこういうものにつきましては将来国際的な割当関係も起るかと考えますが、その際におきまして、当然日本に対しては相当量の割当があることは期待しております。従つてこういうものについての日本の産業に及ぼす影響考えつつ、それらの物資入手につきましては特別の措置を講じつつあるということを申上げて置きます。  なお大蔵大臣おいでになりまして所管をお答えになりますと思いますが、特に御指摘の、物価騰貴によつて国民所得と税との関係の御指摘でありますが、これらにつきましても、私どもの従来までのやりかたによりまして、二十四年度が、国民所得と税、国税及び地方税を合わした額との比率が一番最高であります、二七%でありましたが、爾後、政府措置よろしきを得まして、二十五年度は二十三%、それから二十六年度の計画は一九%にまで、漸次国民所得中に占むる税の割合が下りつつある現状でありますので、多少物価騰貴等の関係によりまして御指摘のような点がありましても、税の負担は漸次軽減されつつあるということを申上げて置きます。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  19. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私は地方自治関係についてお答え申上げます。  物価騰貴によりまして矛盾の実質的内容の低下をいたしますことは、これは御指摘の通りであります。従いましてその内容を維持いたしますためには更に所要経済費の追加を必要とするのでございますが、要はこれら追加財源の調達の如何にあるものと存ずるのでございます。なかんずく地方財政におきましては、その現況においてすでに相当逼迫いたしておりますし、又その収入は景気の変動に応じまして増收を得られるといつたような種類のものではございませんので、地方財政自体において所要財源の捻出を行うことに多くを期待することは適当でなく、新たに何らかの財源措置を必要とするのでございます。併しながら国庫財政並びに国民経済の現在よりいたしまして、今直ちにこれに即応した措置を講じますことは困難であると思います。差当り可及的緊要でないところの部面の経費の節約を行いますと共に、既定財源の収入の確保を図ることに全力を挙げたいと思います。これら余裕財源を以て充当し、その不足するものにつきましては若干行政規模の縮小も又止むを得ないものと存ずるのであります。  なお地方行政機構の簡素化ということの点に触れますが、地方行政を能率化し、地方行政費用を極力経減して、地方住民の負担を緩和することは、政府といたしましても最も時宜を得た対策であると考えております。又そのようにいたしまして得ました地方財政の余力を、地方公務員の待遇改善とか、その他、地方行政の実質的改善のほうに振向けて行くことも、過当な措置であると考えております。この点につきましては油井さんの御意見に全く同感であります。政府といたしましては、今後地方行政機構の簡素能率化を図るため鋭意研究を進めて参りたいと考えております。これを以てお答えといたします。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  20. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) お答えいたします。  食糧自給体制確立についての予算が十分でないのじやないかというお話でありますが、私たちはあの予算に現われておるものを有効適切に使いまして、自給体制確立を図る考えでおるのであります。  又その次におきましてお尋ねになりました林業行政のことについてでありますが、この日本の国有財産である、いわゆる国有林の企業は、日本においては一番大きな企業であるのでありまして、又国にとつては大事なこれは事業であるのであります。ただその森林事業につきまして我々が考えなければならんことは、国有林の分布状況を本当の農民生活ともう少し結び会せなければならんということにあるのであります。單に明治時代において官軍であつたから、或いは大叛軍であつたからというようなことで、藩全部の森林を国に取つたり、或いは又それでないものを民有林にしたりしたような、でこぼこのことを直さなければなりませんし、或いは又大事な保安林とすべき場所、或いは水源林とすべき場所、そういつたようなもの思い切りて民有林もこれに入れなければならんのであります。さようにいたしまして日本の林政を整えて参ることが大事なんでありまして、これに関する法律改正を目下検討いたしておりまして、本国会に私は出したいと思つているのであります。  なお又大事な木材の伐採に連れまして日本土地を干からびさせるということは非常に大事なことであります。特にパルプ材等に対し、或いは又抗木等に対しましては、我々愼重にこれを考えているのであります。なお各自の家庭生活の改善によりまして、毎日燃料として失うところの大事な木材を如何ようにかして防ごうといたしまして、我が農林省における生活改善課におきましては、この対策を立てることが急務と思いまして、これに対しては十分対策を講じております。又植林その他に関しましても、これ又法律改正を皆様にお願いするわけでありますが、これ心立案中であります。その他、有閑地その他における未利用地に対する植林等についても千分予算を盛つておりますので、この予算について皆様がたの御協賛を得るならば、この予算によつて十分我々は目的を達成するように努力いたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣田村文吉君登壇拍手
  21. 田村文吉

    国務大臣(田村文吉君) 電信電話事業を民営に移す考えがないかという御質問でありますが、先ほど総理から御答弁もありましたように、民営の形態につきましては目下愼重に調査研究いたしておりますが、まだ問題が非常に重大でありまするので、結論を得るまでに至つておりません。従いまして差当つては現在の形態のままで進むつもりでありまするが、併しその間におきましてもできるだけ官営の弊害を矯めまして民営の長所を取入れると、こういうふうに考えて進んでおりまする次第であります。(拍手)    〔国務大臣大橋武夫岩登壇拍手
  22. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊強化についての御質問でございましたが、警察予備隊の増員につきましては現在のところ政府といたしましては考えてはおりません。ただ現在の隊員の訓練及び装備を充実いたしまして、できるだけ能率的なものにしたいという考えでございます。併しその程度は畢竟国内治安の確保に必要な範囲にとどまるものでありまして、断じていわゆる軍備と申すべきものではないのでございます。  次に共産党幹部の逮捕に関連いたしまして、特審局、検察庁、国家警察、自治体警察等の捜査機関の間に不統一がありはしないかという御質問でございまするが、未だ共産党の八幹部が逮捕を見ていないことは甚だ遺憾に存じている次第であります。これらの捜査関係の機関はいずれも独立のものではございまするが、併し同じ捜査の一面を分担しているものでございまするから、緊密なる連絡をとる必要のあることは勿論でございまして、政府といたしましては、昨年八月以来関係機関に勧奨いたしまして、自主的な発意により常設的な連絡機関を持つことを指導いたして参りまして、これにより情報の交換及び相互の活動を調整いたすという方法を図ることに努めさせているわけでございまして、これらの機関の間におきましては特に取上げて不統一であるという点はないものと考えておるのでございます。  第三に朝鮮人に関する問題でございまするが、現在国内に六十万以上の朝鮮人がおりまするが、大部分は日本国内におきまして、平和にして秩序ある生活を欲してとどまつた人々であり、日本の社会生活に同化し、日本の社会の繁栄と共にみずからも繁栄するということを希望しておる人々でございます。然るに一部不良分子の破壊的行動がありまして、これがため日本の平和と秩序を破壊いたしますのみならず、朝鮮人に対しまする日本国民の感情を刺激いたし、その結果、多数の善良なる朝鮮人の日本国内におきまする社会的経済的地位に対しまして、重大なる影響を與える虞れがあるのでございまして、(「それは独断だ」と呼ぶ者あり)国内の輿論及び多数善良なる朝鮮人諸君の希望によりまして、政府といたしましては、善良なる朝鮮人諸君に対しましては、日本国民と同様、飽くまでも日本国内において平和にして安全なる生活を保証いたすものでありますが、一部不良分子に対しましては(「それを事実を以て示せ」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)これを国外に強制退去せしめるという措置を講じたいという方針を決定いたしまして、現に関係当局と協議いたしまして、これが具体化を図りつつある次第でございます。(拍手)    〔国務大臣天野貞祐君登壇拍手
  23. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 教育者の優遇に対するお考えには私も同感でございます。昨年末、教員の俸給につきまして級別推定表を改善いたしました。それによつて幾らかよくなりましたけれども、到底こんなものを以て私は満足するものではございません。殊に本当に地味な、いわば社会の縁の下の力持ちというような役をしておられる教育者に対しては、どうか飛び切つた優遇の途を講じたいと熱望するものでございます。(「するだけか」と呼ぶ者あり)熱望するだけでなく、そういう方法を講じたいと思つております。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  24. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ずこの機会に藤野さんの御質問にお答え申上げます。  私に関係いたします部分は、農林漁業長期金融のため特別会計の新設は結構であるが、六十億円の資金を以てしては足りない、百五十億円くらい預金部から出したらどうか、農業倉庫の新設補修にも資金を融通する考えか、こういう御質問でございましたが、御承知通り六十億円を一般会計並びに見返資金から出したのでございまするが、この六十億円は公共事業費に含まれております土地改良とか或いは林道その他漁港の問題とも関連があるのであります。土地改良或いは公共事業費でできないようなものをこれでやろう、又相当利益がある部分につきましては、農林中金なんかを使つてやろうといたしておるのであります。多いに越したことはございませんが、やはり財政の状況から考えまして、この程度で御我慢願うよりほかにはないと考えております。なお農業倉庫の新設補修にも勿論これは使いたいと考えておるのであります。  次に、農業協同組合の整備強化は必要と考えるが、具体策如何——これは全く同感でございまして、昨年末農業協同組合の資産状況農林省と我々のほうで共同で調査いたしまして、資産状況がどうなつておるかということを調査の上、具体的措置考えようと思つておるのであります。今折角調査中でございまするので、暫らく御我慢を願いたいと思います。なお輸入促進策として新設される特別会計基金二十五億円は少額に失すると思うがどうか——この二十五億円は特殊の物資輸入で回転基金に使う考えでおります。従いまして、私は大体一年に四回転くらいし、百億円くらいの輸入ができるのではないかと思うのでありまするが、情勢の如何によりましては、もつと殖やしたいという考えの下に、関係方面と話をしております。その殖やす方法は、借入金の制度を認め、これを一般の銀行から借入金ということになりますと、市中金融を圧迫いたします。日銀からの借入金ということになると復金の二の舞になる。こういうことから考えまして、借入金の制度は、政府の当座預金、政府日本銀行に対します当座預金の限度ぐらいの借入金は認めても差支えないのではないかというので折衝いたしておりますが、まだ結論に到達いたしません。  次に油井議員の御質問にお答え申上げます。昭和二十六年度予算の基礎となつておる物価は昨年の何月のものか——これは昨年の大体十月頃を基準といたしております。そうすると、今相当物価は上つておるから、予算の執行上困るのではないかという質問が、只今予算委員会であつたのでありますが、物価は、特殊な物価につきましては、闇価格等が上つておりますが、大体今のところでは私は予算を変更しなくてもやつて行けると考えておるのであります。公共事業費、地方財政平衡交付金のごときは、物価が上つたから実際上減るのではないか、こういうお話でございますが、公共事業費につきましては、地方の負担というのも、負担を来年度からいたしますので、これは三分の一になるか四分の一になるか、今検討を加えておりますが、いずれにいたしましても、地方の負担、地方の災害の大きさと、そうして財政収入等によりまして、適当に実際に合うような負担の仕方にいたしたいと今法案を準備中でございます。かくいたしますと、一般会計の予算も殖えております。地方も新たに負担することになりますので、公共事業費はそう減らないのではないかという考えを持つております。暴力財政平衡交付金は御承知通りに財政収入と財政需要を見てやるのでございますから、物価関係とは直接関係ないと考えております。  次に見返資金運用計画中、経済再建の七百五十四億円は如何に使うか、翌年度に繰越すつもりか——これは昭和二十六年度におきましては、今年度予定いたしております債務償還を今年度いたしませんので、来年度に繰越すことにいたしたのであります。来年度七百五十四億円の経済再建費を、来年度の状況によりまして、昭和二十七年度に繰越すか、二十六年度に使うか。これは来年度の状況によつて考えたいと思つております。  次に減税に関連して、物価上昇すれば実質上の減税とならないのではないか、こういうお話でございますが、私は来年の租税収入の見積りは主として生産の増強による国民所得の増加ということから割出しておるのであります。物価が上りましても、或る程度上りましても、今回の減税によりまして、実質賃金等はよくなつて来ると考えておりますので、家計が非常に困るというふうなことはないと考えております。昭和二十六年度の税収入見積りは相当低目に失し、政府実態を隠そうとしておる、例えば法人税のごときは二百億円ぐらいの過少見積りではないか、こういうお話でございますが、昭和二十六年度の税收入は私は大体予定通りに行くと思います。昭和二十四年度におきましても、大体予定五千五百億円の中で三十億円ぐらいしか違いません。今年の租税収入も、四千四百五十億円の中で相当、私は昨年来景気がよくなりましてから、そう大して自然増收はないと思う。二十六年度も、二十四年度の実績と二十五年度の実績をお考え下されば、私の見積りは誤まりないと思います。法人税につきましては二百億円の増収で、予算よりももつと多いのではないかというお話でございますが、法人の利益は相当伸びております。御承知通りに資産再評価をいたしまして、償却が非常に殖えておりますので、大体六百億円余りの収入が適当ではないかと考えておるのであります。  高級織物に対する物品税を課するつもりであるか——これは当初高級織物に対して物品税を課税する考え方で進んでおりましたが、只今のような状況では、私は高級織物には課税すべきではないという考えで進んでおるのであります。折角一昨年の暮やめたものを、租税の公平負担という観念から高級織物には課税すべしという議論がありますが、私はこの際見合わしたほうがいいという考えで進んでおるのであります。(拍手
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 通商産業大臣答弁は他日に留保されました。岡村文四郎君。     —————————————    〔岡村文四郎君登壇拍手
  26. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 私は、講和に対する問題は各員からいろいろな角度で質疑を行われておりますので、主として食糧、農業に関します質疑を行いたいと存じます。  政府、特に農林大臣は、食糧の需給の見通しについて極めて楽観的な態度を示しておりまするが、これは現在のところ国務に参画いたしまする者は如何なることも楽観を許されない状態にありますときに、殊に現在の食糧は決して楽観すべき状態でないと思うのであります。国民食糧の需給は、年間三百万トン余の輸入によりまして、ようやくバランスをとつておるということになつておりまするが、然るに国際情勢の現況において、外国食糧の現地価格、買付又は船舶の輸送、あらゆる関係に非常な困難が伴つておりますので、この際、楽観は絶対許されぬのでありまするが、政府計画いたしております昨年七月から本年六月までの輸入計画、即ち三百二十五万トンに対しまして、現在九十一万トンの積込完了にしかなつておらん現状であります。私はこの際、政府は、食糧輸入に関してもう少し詳細に……藤野議員、油井議員から質問がありましてお答えがありましたが、それこそ非常に楽観的なお答えで承服がしがたいのであります。  次に、戰後において日本の農業は輸入食糧影響によつて生産費の切下げの必要に迫られたのであります。一方、一般勤労者の生計費の低下のため農産物の価格の引下げを要請されたのであります。然るに朝鮮動乱の勃発によりまして国際情勢は一転して参りまして、食糧国内自給強化経済自立の基盤でありまして、農業生産重点としては量の増加が強調される事態になつたのであります。情勢かくのごとき段階にありますので、国民食糧事情の将来に不安を抱いておる者もありますから、この際、輸入食糧依存を速かに廃して、国内自給に切替えるべきだと思うのでありまするが、施政方針演説の中にも、又、安本長官計画の中にも、いろいろとその計画はあるようでありまするが、どうもすぐに実現をしそうにはないのであります。私は、政府が十分に施策を講すれば国内自給可能であるという確信を持つております。政府はこの際、国際情勢が最悪の場合を考慮して、食糧自給・増産に如何なる対策を持つておるか、重れてお伺いをいたします。  次に、日本の農業は戰後ようやく封建性より脱却をし、過去における恵まれざる農業者の経済的地位を向上せしめ得る素地が作られたとは言つておりますが、これは全く形式的に過ぎないのであります。農家における支柱ともいうべき農産物の価格については、戰時中の極めて低価絡政策、又戦後における生産費を全く無視したバリテイ方式計算によりまして、農民をして自主性を持たぬ経済的破綻者としておつたのであります。食糧産を達成するためには、先ず農産物の価格の引上げが最も肝要ではありまするが、併しながら現在において食糧の消費者価格を引上げますことは一般勤労者の生活を脅かすものでありまして、農産物価格のの適正化は何と申しましても政府の助成政策が必要なのであります。よつて公共事業費の拡大、非公共事業助成政策及び低利資金の融通が絶対必要なのでありまして、これに対し、政府の補助政策及び財政資金の投下の計画並びに長期低利資金の融通計画お尋ねいたしまするが、特に大蔵大臣にその点十分御説明を願います。  次に蛋白質脂肪食糧の自給は最も大切でありまするが、これは畜産を振興することが必要なのであります。畜産の導入には中期的資金が必要でありまするが、これに対して政府はどのような具体案をお持ちになつておられまするか、お伺いをしたい。  次に、昨年来より不振農業協同組合対策が問題となつておるのでありまするが、農業協同組合法施行当時、政府における法律の規定を逸脱した過度の分散を強いられたがために、これが不振農協の発生の重大なる原因となつておるのであります。政府は第七国会において農協育成強化に関します本院の決議に対しいろいろな公約をいたしておるのでありまするが、未だに見るべき何らの施策も実施されておらんのであります。ところが、政府農協再建整備法案を第十国会に提出されるやに承わつておりまするが、過般提出されました予算案にはその措置が講ぜられておりません。この際、政府は、農業者の自主化、近代化を促進するために、速かに農協再建整備に関する法的措置予算措置を講ずる必要があると思いまするが、これに対しまして、農林大蔵大臣は如何なる御所見をお持ちであるか、お伺いをしたい。  次に農業災害補償制度についてでありますが、最近不慮の災害が頻発をいたしまして、共済組合連合会の事業不足金は二十数億となつております。これがために共済制度の基盤に大なるひびが入り、農業生産上重大なる支障があるのであります。これはもとより事業不足金を政府において補填をし整理することが政府の責任であるのでありますが、又その整理の時期におきまして間に合わぬときには低利資金融資を必要とされるのであります。これが対策として政府は如何なることをお考えになつておりますか、責任ある回答を承わりたいのであります。  次は農地の開放によつて自作農が創設されたのでありますが、農村における人口の増加は日本農業の零細化に拍車をかけ、更に零細ならしめつつあるのであります。かくては農地改革の成果は失われるのでありまして、従いまして農家の次男三男などの過剰人口対策が必要でありますので、これらの子弟を海外に移民せしめることが急務と考えるのでありまするが、政府は一般過剰人口対策と共に十分検討されておることと存じまするが、その点、伺いたいのであります。  最後に、最も農業に理解があり、殊に計画庁であります安本長官に要請をいたします。政府国民も、輸入食糧のお陰で、食糧の重要性を忘れかけたのではないかという疑義を持つものであります。咽喉元過ぐれば熱さを忘れて、現に二十六年度の燐鉱石の輸入補給金が撤廃になつております。誠に、私は時間がないのでたくさん申上げることができないのでありまするが、実に遺憾でありまして、船舶も持たない、一朝事ありまするときには、我が国輸入食糧或いはその他に実に重大な影響があるのでありまして、食糧は人間として一日も欠くことのできないものでありまするがために、この際、農業者は農業者以外の四千五百万の国民に十分に食糧供給する義務を負い、政府又その生産増強に必要な施策の責任を十分に達するなれば、必ず自給はできると考えるのでありまするが、政府はその計画をお立てになりかけてはおりまするが、まだ十分でないようでありまするが、一日も早くその計画を立てて、我々国民が安心をして行くような施策をとるべきであると思いまするが、その点、如何か、お伺いを申上げます。  最後にもう一言申上げますが、実は第七国会大蔵大臣が渡米準備のために、私が質問を申上げましたときに御出席が願えなくて、次官の御出席を願つて、そうして私の質問に対して立派な答弁を願つたのでありまするが、それは全く実現をされておらぬのであり害す。これは如何なるわけか存じませんが、公人として、壇上で、考慮するのでなくて、確たる答弁をされましたことは、実行できると確信をいたしておりましたが、今日になつて何らその措置の講じられぬことを実に遺憾といたします。  時間がありませんから急いで申上げましたが、どうぞ関係大臣は親切に御答弁願いますことをお願い申上げます。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  27. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) お答え申上げます。食鶴問題についてのだんだんの御心配でありまするが、先ほども申上げました通り、多少買付け船繰り等で遅れてはおりまするが、我々といたしましては大体予定通りに入れる方針でおるのであります。先ほども申上げましたように、この前の戰争のように孤立しておるのではないのでありまして、特に日本を了解している連合單がおりまするので、決してさように神経を尖らせる必要は私はないと思つております。又農林省といたしましても、政府といたしましても、安心の行くような方途を講ずる考えでおります。  それから農産物を増産することが自給経済の基盤であるということはお説の通りであります。又あなたの抱懐しておるように、全食糧国内で自給でき得ることを我々も望んでおりまして、それに一歩々々近付けるように総合的な施策を講じて予算面に盛つておるようなわけであります。又これに対する対策と申しますか、農業は全部面に及ぼしでおりまするので、天元の一手という妙手はなかなかないのありまして、全部の予算を通じて全部の農民に満足をいたしてもらいまして、そうして、それが一々増産に結び付くようにいたしておるのであります。  それから農産物の物価の問題でありまするが、農産物の価格は今まで非常に虐げられておつたのでありまするが、我が党政府になつて初めて米の価格が上り、(笑声)又今後予期しております麦にも、だんだん上げて行くことは、この前「いも」を外したときに非常に御心配でありましたが、外して最低価格をきめた結果は非常に高くなつておるのでありまして、麦もさようになることを私は期待いたしておるのであります。  それから長期の資金その他を以て経済力の弱い農村にどんどん金を出して助成して行つて欲しいというお考えでありますが、そのような方途で今度の長期資金も出しておるのでありまして、又大蔵省とも話しまとて、中金を通じてこれも金を出すようにいたしておるのであります。  それから脂肪を含む食料に関しても、関連いたしまして畜産のお話でありますが、これは最も大事なことでありまして、この金は中金を通じて相当額出してもらうように折衝いたしておるような次第であります。  協同組合のことについて立法当時において行過ぎてあつたということは我我も認めておるのでありますが、この我々が進駐單のいわゆるサゼツシヨンによつていろいろやつた結果、まずいものはやはり進駐軍がおる間に直すほうが適当であると私は思つておるのでありまして、こういう万両も十分研究いたしております。又この協同組合育成整備と申しましようか、これについては只今法律を出すために準備いたしておりまして、今国会に出すつもりでおります。  それから共済組合のことは、これは法の不備等がございますが、率の改正等についても我々といたしましては考えておりますが、先ず第一に利子の補給をどうしてもしなければならんと考えております。  それから農村人口のことでありますが、次男三男対策はこれ又大きな問題でありまして、増反或いは開拓その他農村等に工業を起すような方途を講じて、だんだん策を進めて行つておりますが、あなたと同じように海外の移民は我々も望むところでございます。(拍手)    〔国務大臣周東英雄登壇拍手
  28. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 農業の増産計画について折角立案しておられるが、まだ不足だというようなお話でございますが、先ほど農林大臣かちも一部お答えになりましたように、二十六年度予算内におきましても、自立経済達成の一環として、食糧増産対策については相当額の予算計上をいたしておるのであります。大体農業関係における公共土木事業関係にいたしましても、昨年に比較して大体三十五億円増加いたしております。又来年度から新たに立てようといたしまする農業金融の長期資金関係、これが大体差当つて六十億程度出る予定になつておりまするし、又農業災害保険基金に関しましても、このたびは新たに二十五億というものを予算に計上しておる等、二十六年度における施策については相当従来より増額いたしております。もとよりこれで十分だとは考えておりませんので、二十七年、二十八年と年次計画に応じて二十八年度において総額九百万石の食糧増産を目指しておるわけであります。二十九年度に至つて初めて千二百万石の増産ということになる計画の下に推進いたしております。このことは今お話にありましたように、でき得る限り輸入食糧を減じて、国内における自給度を高めて行くということに対する方針は、あなたと同じ意見であります。  これに関連して肥料の問題のお尋ねでありますが、当然にこれらの増産達成いたしますについては土地改良だけではいかんのでありまして先ほど申しましたように、優良肥料配給だとか或いは肥料の増加供給ということが問題になります。従つてこの年次計画の下には肥料増産対策は区十分に織込まれておるのでありまして、例えば窒素肥料等につきましては、二十八年度に二百万トンの増産を図り、別途石灰窒素等は更に増加の傾向でありますが、なかんずく内地に原料を持たざる過燐酸並びに加里の肥料については、その原鉱石、原料輸入については特段の注意をいたし、優先輸入のこと等については只今それぞれ手配中であり、殊に質のいい過燐酸を作るためのフロリダの燐鉱石の獲得については、最近輸入の手続につきましては自動許可制をとりまして、その確保に努めて行くつもりであります。なお十分手配いたすつもりであります。    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  29. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 只今農林大臣からお答え申上げました通りでございます。私に直接に関係のございます農業協同組合再建、これにつきましては、農林省と会議の上、その悪い所又直すべき所等につきまして指導をいたしております。これが指導に要しまする経費も昨年の倍額を計上いたしまして、五年間にとにかく立派なものにしようというので努力いたしております。  次に畜産の問題でございますが、お説の通りでございまして、昨年度よりもよほど経費を殖やしまして、家畜保険の問題或いは家畜改良資金等は相当出しておるつもりでおります。  なお農業共済組合連合会の二十億円余りの不足金、これらの措置につきましては只今農林大臣も答えられた通りでございます。私は農業災害補償制度につつきまして根本的にやはり検討しなければならんと思います。で、この二十億円の不足をどうするかという問題と、今後そうした不足の起らないように一つ制度根本的な改革を行わなければならなや。然らばそれをいつからやるかという問題、又二十億円余りの不足金をどうして補うかという点、これが今十分検討すべき問題でありますが、御承知通りにこれが再保険のほうで二十五億円ほどの基金を繰入れましたから、これを何とか活用して二十億円の不足金の利子補給をやつたらどうかというので、まあ利子補給も全部ではございません、或る程度国のほうで利子補給を考えたらどうかということで、今関係方面と折衝いたしておるのでございます。趣旨は誠に御尤もでございまして、その線に沿つて進んでおります。    〔国務大臣黒川武雄君登壇拍手
  30. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) いわゆる農民的多産は経済的に逼迫いたした中小農家に見られるのでございます。従つて農家の合理的経営を可能とする積極的な農業政策が必要であります。又農家には特に娠娠調節の知識を普及いたしまして、そうして指導してその実行を盛んならしめねばならんと思うのでございます。且つ又生産増強によりまして、農村の過剰人口の転出を図らねばなりません。講和後におきましてはできるだけ多くの海外移民に努力いたしまして、人口問題を解決せねばならんと存じます。(拍手
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 国務大臣演説に対する質疑はなおございますが、これを明日に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国会法第三十九條但書の規定による国会の議決に関する件(医師試験審議会委員及び医師億科医師実地修練審議会委員)、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る二十九日、内閣総理大臣から、医師試験審議会委員及び医師歯科医師実地修練審議会委員に谷口弥三郎君を任命することについて、本院の議決を求めて参りました。本件は、内閣総理大臣の申出通り、医師試験審議会委員及び医師歯科医師実地修練審議会委員に谷口弥三郎君を任命することに同意の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て任命に同意することに決定いたしました。(拍手)      ——————————
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、土地調整委員会委員長及び同委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る二十九日、内閣総理大臣から、土地調整委員会設置法第七條及び同附則第二項の規定により、我妻榮君を土地調整委員会委員長に、井手成三君、佐野憲次君、津田廣君及び諸橋襄君を同委員に任命することについて、同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本院は我妻榮君を土地調整委員会委員長に、井手成三君、佐野憲次君、津田廣君及び諸橋襄君を同委員に任命することについて同意を與えることに決定いたしました。  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第二 地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案両院協議会成案  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第五日)  一、国会法第三十九條但書の規定による国会の議決に関する件(医師試験審議会委員及び医師歯科医師実地修練審議会委員)  一、土地調整委員会委員長及び同委員の任命に関する件