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1950-12-16 第10回国会 参議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十六日(土曜日)    午前十時四十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二号   昭和二十五年十二月十六日    午前十時開議  第一 全国選挙管理委員会委員及び同予備委員の指名  第二 特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 健康保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 昭和二十四年度及び昭和二十五年度参議院予備金支出の件(承諾を求める件)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。星一君から海外旅行のため六十四日間、鈴木文四郎君から病気のため十六日間、それぞれ請暇の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第一及び日程第二をあとに廻し、日程第三、外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長小串清一君。    〔小串清一登壇拍手
  7. 小串清一

    小串清一君 只今議題となりました外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案大蔵委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、最近の輸出部門の活況に伴いまして、本特別会計における手持外貨は激増を辿つております半面に、円資金は一千三十六億円の不足を生ずるものと予想されます。従いまして、本年九月より実施されました日本銀行に対する外貨売却増六百七十六億円及び貿易特別会計からの繰入金二百六十億円を見込みましても、なお円資金不足が生じますので、一般会計から百億円の繰入を行おうとするものであります。  さて、委員会審議に当りましては、委員諸君より熱烈なる質疑があり、政府よりは懇切丁寧な説明がありましたが、その詳細につきましては速記録によつて御了承を願いたいと存じます。かく質疑を終了し、討論に入り、森下政一委員より、借入金操作ができるものを一般会計より繰入をなすことは、不必要に国民負担を過重ならしめ、又、かかる金融措置によつて打開策を図るよりも、むしろ輸入の促進を講ずべきであるとの反対意見が述べられました。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)又、油井賢太郎委員より、今回の措置は、政府貿易政策インフレ対策が当を得なかつたためにもたらされたものであり、政府の猛省を促すとの反対意見が述べられました。かくて採決の結果、多数を以て原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎登壇拍手
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして本案反対いたすものであります。  反対理由の第一は、この法律案貿易特別会計尻拭い法案であるということであります。政府が提出いたしましたこの補正予算説明書によりますれば、外国為替特別会計一般会計から百億繰入れることになつた理由として、こういうように説明しております。「輸出増加伴つて、本特別会計の二十五年度末における円收入不足は一応一千三十六億円となるが、貿易特別会計から二百六十億円(当初予算においては五百億円)の繰入があるので、差引收不足は七百七十六億円となり、更に日銀外貨貸付制度採用によつて六百七十六億円の收入が期待されるので、再差引不足額は百億円となる。上記の繰入はこの不足を補てんするためのものである。」こういうことを述べておるのであります。従いまして、若し当初予算通り貿易特別会計から五百億円の繰入をすることができたならば、一般会計から百億の繰入をする必要はなかつたはずであります。そこで我々は委員会におきまして、政府委員に、なぜ貿易特別会計から最初五百億繰入れるはずであつたのが、これが繰入ができなくなつたか、説明書によれば、それが二百六十億円に過ぎなくなつたか、その理由にいて我々は説明を求めたのであります。ところが政府委員の我々に対して行なつた説明によりますれば、貿易特別会計予算六百四億の中で、五百億は外国為替特別会計のほうに繰入れる、百四億は貿易予備費として取つて置くと、こういう予定になつていたところ、外国為替特別会計発足までに、即ち四月から十月までに輸出が非常に増加したので、貿易資金不足を生じたということが、外為特別会計貿易特別会計から繰入額が不足した第一の原因であると、こういう説明であります。この金額が百三十九億円、更に放出綿布七億ヤード値下りによつて、これを安く処分したために生じた欠損百二十四億円というものが生じて、このために貿易特別会計から外為特別会計への繰入が減つたという、これが第二の理由であります。第三は、鉱工品貿易公団手持原料が売れないので処分が延びているもの、これが四十三億円に達すると、これ又貿易特別会計から外為特別会計への繰入額が減つた理由となつております。更に又、軍放出物資の剰余、これは米国に対する債務であつて、これが三十億円に達しておる。こういうことが、貿易特別会評最初五百億を外為特別会計へ繰入れるはずであつたけれども、それが二百六十億に減つてしまつた理由であると、こういうのであります。これはなぜこういうふうになつたか、この根本原因をたずねれば、我々がしばしば政府に指摘したところでありましだが、政府のいわゆるめくら貿易です。これまでのめくら貿易政策によつて生じたところのこれは失敗であります。その尻拭いをするために、我々の税金から外為特別会計へ百億入れなければならぬ。こういう措置を含んでおるところの法律案なんであります。政府は、貿易か盛んになつて円資金不足するから繰入れるのだと言つておりますけれども、内情はそうなつておるのであります。不必要なものを輸入したり、又売れないようなものを民間から買上げて、それが輸出ができない。溜つて、これを安く放出しておる。輸入物資につきましても、不必要なものを、いわゆるローガン構想に基いてどんどん輸入して、これがうまく捌いけなかつたというのは、このめくら貿易によるところの失敗であります。又貿易政策貿易資金運用失敗を、この特別会計において、我々の税負担において補う、尻拭いをするというのがこの法律案趣旨であります。こういうような政府貿易政策、或いは貿易資金運用の仕方の失敗尻拭いに対して、我々ば我々の税金を以てこれを補うということに対しては反対であります。私は政府はこの点について重大な責任を感ずべきであろうと思うのであります。これに対しては何ら政府は遺憾の意も何にも表明しておらないのであります。こういうような内容を持つている法律案に我々は賛成することができないのであります。これが反対理由の第一点であります。  その第二は、外為特別会計に仮に百億くらいの不足が生じたといたしましても、これを一艇会計から繰入れるということに対しては我々ば反対であります。又この際にそういう制度が確立されてしまうどいうことに対してなおさら反対であります。公聴会において、これは資本家の団体の日経連の代表から聞いたのでありますが、折角現売先買制度が設けられ、日銀外貨貸付制度が設げられた。従つて貿易資金予算の外にはずすべきである。貿易金融予算に制約されることによつて貿易か阻害されるということは本筋ではない。折角そういうことを打破するために現売先買制度が設けらたのに、それを活用していない。六百七十六億円の日銀からの收入は、これは外貨貸付制度採用によつて可能になつたのでありますが、何故これをもつと活用できないか。而もこれは二十五年度の補正予算だけの問題ではなくて、これが二十六年度においては更に五百億一般会計から繰入れるということになる。こういうことが制度化されてしまう。その意味をこの法案は含んでおるということになれば、これは非常に重大な問題だと思う。これが我々この法案に賛成することのできないところの第二の理由であります。  更に又仮に一歩讓つて一般会計から貿易特別会計に百億繰入れなければならないといたしましても、ほかにまだ措置があるはずだと思う。例えば本年度償還すべき予定になつていた公債償還の未償還額が約二百五十億残つていると言われておりますが、これは預金部で持つている国債を償還するということになつているそうでありますが、この金を利用してもいいわけであります。新らしく一般会計から特別会計に繰入れるという、そういう措置を講ずることによつて政府公約が裏切られるわけです。このために最初政府は七十億の予算上の減税をする、公務員の年末手当は一カ月支給する、これが半カ月になつて予算上の凝視が税法上の減税になつてしまう。更に又給與べースの体系におきましても、上に厚く下薄く、而も調整号俸を切下げる。こういうようなことは、当初そういうさとを予定しておらなかつたにかかわらず、ドツジさんが来て急に百億外為会計へ繰入れなければならなくなつたので、最初政府が考えていた予算編成体系が全部崩れてしまつた。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて不合理極まるものになつでしまつた最初ばそういうものを予定しないで作つたところの予算編成体系が全く崩れてしまう。非常に無理をして、そのしわをみんな勤労大衆のほうに寄せて来てしまう。(「そうだ」と呼ぶ者あり)而も前に述べましたように、これが政府貿易政策、めくら貿易、そういうものの尻拭い意味を持つているということを考えれば、それを結局、勤労大衆の年末賞與を半分に削るということ、或いは給與体系を不合理にしてしまう、こういうようなところにしわが寄つて来ているのであります。こういうような意味から我々はこの法案に賛成することができないのであります。私は政府の重大なる公約違反であると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  最後の反対理由といたしまして、この法律案は、結局帰書ずるところ、政府財政金融政策に対する無能を最もよく典型的に現わしたものであると思うのです。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手ドヅジさんが来ましてから初めて明らかになつたことは、再来年度に対日援助打切りになる、来年度は対日援助は一億ドルになる。そこでドヅジさんは、対日援助打切りになつたときに見返賞金がなくなるがどうするのか。今からその準備をしなければならない。それば二十五年度補正予算、二十六年度予算に影響している。重大に影響しておるのです。そういう対日援助が打切られた後における日本長期金融の問題、それに関連する日本財政の問題、そういう大きい財政金融との関連においてこういう問題を考えるべきだ。併し政府には、その能力、或いは誠意、そういうものはなかつたわけです。ドツジさんから言われて初めてあわててポツンと百億円を無理して大衆の犠牲において捻出して、外為特別会計へこれを繰入れた。それによつて生ずるところのいろいろな諸影響に対しては、何らこれを補正するところの処置を講じていない。皆大衆にこの負担を押付けてしまつた。これは私は全く政府財政金融政策無能の最も典型的に、又最も具体的に現われているものがこの法案であると思うのです。この法案に賛成いたしますと、来毎度においてもこの五百億の外為に対する一般会計がらの繰入を、我々は趣旨において反対することができなくなるのです。これは資本家諸君反対しておるのです。経団連の堀越氏もこれに反対しておる。私は、若し資本家諸君が、又資本家諸君を代表する議員諸君がこれに賛成するといたしましたならば、これは実に矛盾極まるものであると思うのです。資本家諸君に対しても申訳ないことであろうと私は思うのでありますが、(「そうだ」と呼ぶ者あり、笑声拍手)こういう意味において、この法案は、法律案としては非常に條文簡單であります。又委員長が非常に極めて簡單報告されたことく、表面的には成るほど簡單なのであります。併しこれは氷山の一角であつて、この下に含んでおる、この下に意味しておるところの内容意味というものは非常に重大なのでありまして、今後の対日援助打切り後における日本財政金融政策、これをどうするかということと結び付いた重大なる法案であると思うのであります。そういう意味で私たちは、先ほど申述べたような政府貿易政策尻拭いをするということ、或いは又今後の財政金融政策の非常な政府の無定見、無能を表明した、こういうような法律案に我々は賛成することはできないのであります。これが我々この法案に対する反対理由でございます。(拍手
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 森下政一君。    〔森下政一登壇拍手
  11. 森下政一

    森下政一君 日本社会党は本法案反対をいたします。  当初二十五年度の補正予算の大体の構想政府が新聞発表いたしました当時においては、かような外為会計に対する一般会計よりの繰入れなどということは全然考えられておらなかつたということは皆様御承知の通りであります。ところがその後に至りまして、いよいよ補正予算が前国会に提出されるという間際になつて、百億の繰入れが一般会計から行われるという、当初政府の予期していなかつた処置を講じたというのが、この法案になつて現われて参つておるわけであります。輸出があれば即ち外貨の受取りであつて、これに対して円を拂わなきやならん。輸入があれば外貨の支拂いであつて、円を徴收する。若しこの両者のバランスがとれなくて、輸出のほうが多くなるということであれば、円資金が大いに必要になつて来るということは言うまでもないことでありまして、二十四年度におきましては、現にその円資金不足というものを借入金によつて政府操作をして参つたわけである。必ずしも一般会計にその負担を帰せしめるという措置を講じていなかつたのでありまして、二十五年度においても、さような方針を一貫する考えであつたろうと思われるのみならず、日銀外貨貸付制度によりまして、よほどその点は緩和されておつたわけでありまするから、さような方針を堅持するものと思われておつたのでありまするが、突如として一般会計がらの繰入れを断行するに至つた。これはドツジさんが来られてさような要請があつたのかと思うのでありまするが、とにかく当初の構想を裏切つて政府みずからもかような措置を講じたということが考えられるわけであります。  そこで委員会におきまして、この点について厳しい質疑が行われたのでありますが、なぜかような措置を突如としてとらなければならなくなつたかということに対する大蔵大臣答弁は、当初政府が予想しておつたときには全くかようなことを考えていなかつたのであるがその当時においては朝鮮事変というものも全く考慮の外に置いておつた、否、全然考慮の中に加わつていなかつた。ところが朝鮮事変がその後に至つて突発して参つたので、重ねて我が国インフレが再燃するという危險が考えられる、そこでこのインフレを抑制するために一般会計から百億円の繰入れをする、こういう措置を突如としてとるに至つたというのが大蔵六年の答弁であつたわけなのであります。これを我々は簡單に承服することはできないのであります。一体今日若し我が国インフレ再燃危險があるといたしますならば、過去の苦い経験に鑑みまして、これを抑止するということに極めて愼重な、警戒的な態度をとらなければならぬということは言うまでもないのでありまするが、一体そのインフレ要因、再燃する要因があるとするならば、一体それは何であるかという根本に遡つて、これに検討を加えて見る必要があると思うのでありまして、若しその危險があるといたしますならば、それは單なる今政府のやらんとしておりまするような財政金融的な措置によつて抑止し得るようなものではないということを考えなければならんと思うのであります。即ち国際的な経済情勢変化海外市場をおしなべての物価高、そういつた事柄をよく考慮の外において考えるということはできないというふうに思うのである。元来我が国のように工業用原材料自給度の非常に低いところの国におきまして、我が国の産業の操業度というものを現状に維持する、或いは現状以上に上昇せしめるというとのためには、この原材料輸入ということにつきまして、政府担当愼重な、積極的な施策をするところがなければならんと思うのであります。ところが特需が好調であつた、或いは輸出貿易というものが相当に上昇して行つた、そうして外貨の獲得はでき、外貨というものは蓄積されるに至つたが、おのずからそこに円資金というものが不足になり、これに見合うところの原材料輸入、必要な欠くべからざるところの輸入貿易に対する政府根本的な政策というものが極めて消極的であつて、怠られておつたということが、今日のこの破綻を果たすところの大きな原因になつておる。(拍手)而もその政府失敗というものを結局一般会計からの繰入れによつて、補わんとするものでありまして、国民大衆負担政府失敗を転嫁しておるものだと申しましても過言ではないと思うのであります。(拍手)その根本的な対策というものに対して、具体的な輸入政策というものに対して、何ら政府が手を打つことなしに、かような一般会計からの繰入れによつて事を抑制することができる事を救済することがででるというふうに考えておりますということは、極めて先の見通しの悪いところの政策と言わなければならんと、かように考えるのであります。先刻木村議員からも御指摘になりましたが、若し政府がこの政策に誤まりのないところの検討を加えて、もつと早く輸入に対する具体的な措置を講じておつたならば、恐らくこの破綻は来たさなかつたであろうと思いまするし、政府が常に減税を吹聴いたしまして、公約を実行すると如何にも得意そうに吹聴しておりますところの減税というものが、現にこの補正予算の場合におきましては実質的な負担軽減にはならなかつた單純なる税法上り減税に過ぎないということになつておる。若しかようなことになつたならば、政府自然増収のごときも、当初二十五億を予想しておつたのを、忽ちにして、四十三億を殖やして六十八億の自然増収一というものを補正予算に計上しなければならなくなつたのであつて、この点は極力政府も、実績によるものであつて單純な水増しでないということを弁解いたしておりまするけれども、而もなおこれが本当にいわゆる国民に対する国民負担軽減して、負担軽減が直ちに家計を潤おす、而も生活水準が向上して行くというふうな、国民大衆の喜ぶような形の減税であるかと考えて見ますると、そうならなくなつたというところに、結局私は政府の今申しますような具体的な政策の欠如が然らしめておると思うのであります。従いまして、如何に政府減税公約し、これを果すというので、約束通りのことをやつたではないかと申しましても、ただ單純なる税法上の減税に過ぎない。真の負担軽減になつて来ないではないかということであれば、もはや政府といえども、如何に衆議院で絶対多数を占めておることを誇つておる、強力を以て任じておりますところの政府でも、国民大衆の心からの協力なくしては、私は政府施策というものは十分に行われなくなるであろうと考えざるを得ない。(拍手)そういうことにつきまして、私はこの際、政府はみずからに対して、そのみずからの行い来たつたところの政策の足らざる点に思いを新たにいたしまして、別の観点に立つての賢明な施策をしなければならぬものであるということを考えるのであつて、かような警告を発すると共に、この案に対しては断乎として反対せざるを得ない。いわんや来年度の予算には、今木村議員の指摘された通りに、一般会計からこの会計へ五百億を繰入れるということが予想されておるかのごとくでありますが、かようなことは一貫して日本社会党のこれに賛成することのできない点であるということを、ここに、はつきり強調して置きたいと思います。かような考え方というものは、ひとり日本社会党のみならず、民主党も委員会におきましては全く同意見を表明して反対をいたしておるのでありまして、自由党その他の緑風会の一部を除いて野党すべてがこれに反対しておるということを、特に政府に対して私はこの際、言葉を添えて、その反省を促して置きたいと思うのであります。  以上を以て反対理由といたします。(拍手
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  13. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 日本共産党を代表して本法案反対をいたすものであります。  この外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案と称するこのながながしい法律案、いわゆるインベントリー・フアイナンスという項目は、当初吉田内閣が組みました補正予算にはなかつたのであります。ところが、その後デトロイト銀行総裁のヨセフ・ドツジ氏が来朝されまして、その強力な指示がございまして百億円繰入れが生れたということは周知の事実であります。他出大蔵大臣はどういう都合か退場されたようでありますが、恥かしいから退場されたと僕は思いますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)池田蔵相もさすがにこの措置には反対であるらしく、これは雑誌ダイヤモンド」は次のようにこの間の事情を書いております。「寝耳に水のこの修正案を前にして、大蔵大臣はすべての希望が眼前においてがらがらと崩れ去るのを感じたようである。当時の大蔵大臣心境は次のような談話に窺われる。曰く、ドツジ氏は、自分がアメリカで訪ねた当時は、こちらの話がよくわかつてくれたが、今度の折衝では全く固くなつてしまつた。(「心境変化だ」と呼ぶ者あり)更に折衝しても駄目なら総司令部案を呑むよりほかに途はない。問題は、自分大蔵大臣をやめたとしても、あとに人が代つてもこの政策は変るものではない。ほかの人が大蔵大臣になつても同じことである。」こういうふうに雑誌ダイヤモンド」が当時の情勢を伝えております。日頃強気一点張で傲慢無比大蔵大臣池田君が、こういう泣き言を言われたということは、ただ一見しおらしい泣き言だというふうには、我々はこれを見るわけに行かないのであります。この一見しおらしい泣き言の背後に、池田流の驚くべき傲慢さがここに潜んでいるということを指摘したい。それは同じ占領下におります西ドイツキリスト教民主党総裁アデナウアー総理が、占領軍当局に対して職を賭して減税を主張した。その結果辞職することを要求された。ところがアデナウアー総理は敢然としてその主張を全人民の名において貫徹した。(「耳をほじつてよく聞いて置け」と呼ぶ者あり)このアデナウアー総理の、キリスト教民主党総裁の政治的な責任感民族的自覚というものを、この池田君のさもしい泣き言と比較して見るということは、非常に興味あることであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)これは月とすつぽんであります。(「それ以上だ」と呼ぶ者あり)これ以上であります。(笑声拍手)而も池田大蔵大臣こそこそ退却せられましたようですが、衆議院の本会議におきまして我が党の梨木議員がこの問題を質問いたしましたところ、彼一流の傲慢さを以て答えて曰く、吉田内閣政策はいつもその筋の政策とピチツと一致しているから、(笑声西ドイツアデナウアー内閣のように振舞わなくてもよろしいと、大へんな御自慢の模様であります。(「厚顔無恥だな」と呼ぶ者あり)誠に外国帝国主義のしもべであるところの吉田内閣大蔵大臣にはふさわしい答弁であると認めざるを得ないのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)  ところが、さてこの百億円のそれでは繰入の結果は、今回の補正予算にどういう影響を與えたか。少くも私はここに三つの影響を與えておるということをはつきり認めなければならんと思います。第一に、公務員諸君に対する年末手当として予定されておりました三十三億円が十六億円に半減してしまつたということ。第二に、地方庁の公務員諸君その他に関係の深い平衡交付金が、地方財政委員会の要求した八十八億に計上されていたらしいものが、約三分の一、三十五億円に減つてしまつたということ。それから第三に、これは有名な自由党の一枚着板の減税のスローガンでございますが、減税七十億円という減税額が、このために七億円、一割削られまして、六十三億円になつたのみか、自然増収は従来二十五億円計上していたものを六十八億円に引上げましたから、結局減税々々という看板の下に、人民にとりましては丁度五十億円の増税になつたということであります。「そうだそうだ」)と呼ぶ者あり)而も他出蔵相は如何にも財政に通じているらしく、得々としてこの繰入はインフレ防止のために必要であつたなぞと強弁いたしておりますが、併し来年の一―三月には四千億円に近い猛烈な税金徴收が参ります。それから輸出のために立替えておりましたユーザンスの期限が参ります。従つて政府資金はむしろ引上げ超過になりまして、日銀券は少くも五百億円くらいは収縮するのであります。つまりインフレどころか、デフレ的な、金融恐慌的な現象がむしろ来るのでないかということが消息通の間で言われております。従つて僅か百億ばかりを日銀から借入れることによつてインフレ云々ということは、これは、いつもながらの池田大蔵大臣の一流の恥を知らない欺瞞的なものであるということを断言して憚らないのであります。  そこで問題は、我が党はこの繰入を必要とする本当の原因をどこにあると見ておるか、これが問題の本質であります。私たちはこの百億円繰入のよつて来ておるところの根源は次のようであると考えております。一つは国連協力という名の下に朝鮮へ厖大な特需を送つたということ。それからいま一つは、米本国及び西ヨーロツパの軍備拡張に対して軍工業資材その他を強行的に搬出したということ。もう一つは、東南アジア、台湾、沖繩などのあの反共軍事基地を強化するために圧力を以て輸出が行われたということ。つまりこういう何らの生産的に役立たない、戰争のために役立つような輸出が、而も安い値段で、飢餓的な、いわゆる飢餓輸出という形で増大した。このために外国為替のドル資金が非常に増大して来た。ところがこれに見合うための、これは森下君も木村君も十分指摘しておられますが、天下周知の事実でありますが、この増大した輸出に対応するだけの輸入が伴わない。そのために、入つて来たドル資金に対して、政府がこれを円で拂わなければならない。その拂わなければならない円資金のほうが増大いたしまして、かようなやりくりをしなければならないようになつたということ、これが事柄の真相であります。(拍手)この不足をカバーするために人民の血と汗による税金を以てこれを補填しようとするところにその本質があるのであります。  去る一昨日の十四日に、私は経本委員会で、この演説のために、外為委員会政府委員に来てもらいまして質問いたしたのであります。ところが手持外貨がどういうふうな受拂いになつておるかの実情は全然発表することはできない。一体その総額は幾らになつておるかは言えない。その所有権が日本にあるのか、外国にあるのかということも言えない。どこに預金をしてあるということも言えない。ところが私どもの調査するところによりますと、これは天下周知の事実ですが、日本外貨手持は大体五億ドルと言われておる。これを三百六十六円で換算いたしますと、実に千八百三十億円という厖大な金であります。この千八百三十億円こそは、人民の血と汗によつてでき上つたところの工業生産品、農業生産品その他であります。こういうものを以上申上げましたような戰争目的のために飢餓輸出的にして、而もそれによつて受取つた金が幾らあるのか、どういうふうに受拂いしたのか、その所有権が日本人にあるのかないのか、どこに預金してあるのか、利子が付くのか付かんのかも分らない。答えられない。こういう状態でこの法律案に賛成したり反対したりするということは、これは猿芝居のような喜劇ではなくて、むしろ私は日本の国会の悲劇であると思います。我々は日本の復興と人民の生活の安定のために必要な物資は国内で十分に使わなければならないと考えております。実にこれを強制的にダンピングをする、而も輸入は進まない、これはまさに植民地的な、亡国的な道を進んでおると断定しなければならない。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)然るに今ノーノーの声のあつた通り、吉田政府は、このようなやり方を自立安定である、自立且つ安定である、我々が植民地的且つ亡国的であると言つているのに、これを現内閣及び與党の自由党はこれを自立安定であると言つておられる。前国会の初めに、衆議院で我が参議院と同じような審議権尊重の決議案が上程されましたが、その審議権尊重の決議案に対して、自由党を代表して有名な石田博英君が登壇されて言われたところによりますと、彼はこう言うのであります。「日本占領下にある。従つて完全な自主権がないのは当り前じやないか。こんなことのわからない人間は全く現実認識の能力がないのだ。現実認識が全くない人間がおこがましくも国民の代表として国会へ出て、そうして国政を議論することは、誠におこがましい限りである。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういう野党の諸君は、先ず国会へ来る前に大学病院へ行つて目と耳の検査を十分されることが必要である。」(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうふうに、これはいささか場所を違えてやられたら、もつとこの演説は派手だと思いますが、こういう逞ましい演説をされた。私はこの法律案反対するに当つて、いささかこの論調を自由党へお返しするのが礼儀であろうと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり、笑声)このような植民地的且つ亡国的な国の政治のやり方、(「どうした共産党は」と呼ぶ者あり)政策、経済のやり方、自立安定を(「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)おこがましく唱える吉田総理、大蔵大臣以下の閣僚諸君は、こういうものを国会において全国民の前に提出する前に、よろしく大学病院へ行かれて、(「共産党こそ行け」「そうだ」と呼ぶ者あり、笑声)精神科へ行つて、頭が確かであるかどうかという検査を必要とするということを申上げて、僕の討論を終るものであります。(拍手
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。よつて討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔「少いぞ」「足りないぞ」「少数」と呼ぶ者あり〕    〔起立者多数〕
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第四、健康保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長山下義信君。つきまして、厚生委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。  先ず本改正案の提案理由並びに改正の要点について申上げます。政府説明によりますれば、政府管掌の健康保險の財政状況は頗る窮迫いたしておりまして、二十五年度においてすでに三十億円を国庫から繰替使用し、保險給付の支拂に充てている実情でありますが、本年度の保險財政の見通しといたしましては、保險給付費等支出の総額は約百七十七億円、保險料等收入の総額は約百四十九億円、差引約二十八億円の赤字が予想されるのであります。よつて政府は、これに対処せんがため、一面においては保險料率を引上げてその増収を図り、他面においては被保險者の資格喪失後における保險給付につき資格期間の制限を設けんとするものであります。  即ちこれが改正の第一点は、保險料率を現行の千分の五十五から千分の六十に引上げようとするものでありまして、この料率の引上げにより本年度約三億円の收入増が見込まれております。  改正の第二点は、被保險者の資格喪失後において継続して保險給付を受ける者の資格要件といたしまして、被保險者たる資格を喪失した日の以前継続して六カ月以上被保險者であつたことを必要とする資格期間を設けますと共に、被保險者の資格喪失後における分娩に関しまして保險給付を受ける者につきましても、同様な資格期間を設けようとするものであります。この改正によりまして本年度約六千万円の支出が節減せられることとなります。従つて先に述べました保險料率の引上げによる收入増と合せますと三億六千万円の赤字を縮減できることとなりまして、予想された二十八億円の赤字は約二十五億円となるわけであります。そこで本年度末におきましては、二月分及び三月分の診療費等約二十五億円の支拂を若干遅延させまして、これを二十六年度で支拂うことによりまして、保險収支の調整を図らんとするものであります。  次に改正の第三点は、政府管掌健康保險の料率の変更に伴いまして、健康保險組合の組合員である被保險者の保險料の最高負担限度が従来標準報酬月額の千分の三十でありましたのを千分の三十五に引上げようとするものであります。  以上が本改正案の提案理由及び内容の概要でありますが、厚生委員会におきましては、本案が労働者階層に及ぼす影響の重且つ大なるに鑑みまして、特に労働委員会と連合委員会を開きまして愼重審議をいたし、証人として慶応義塾大学教授園乾治君、全日本産業別労働組合会議保健部長吉田秀夫君、並びに総同盟全国進駐軍労働組合同盟副会長市川誠君の三名の出頭を求めまして、本案に対する証言を聴取いたし、以て審議の参考に質したる次第であります。  証人の陳述の要旨を申上げますと、市川証人からは、健康保險経済の危機を打開するためには、医療給付の国庫負担、診療報酬支拂の適正化等の方策を講ずべきであつて、現在でさえ世界最高と言われている保險料率を引上げ、且つ医療給付に制限を加えんとする本改正案には全面的に反対するとの陳述がありました。又吉田証人からは、本改正案は社会保障制度に対する国民の期待を裏切るものである、健康保險経済の根本的解決を図るには、産業を復興して最低賃金制を確立し、赤字は全額国庫がこれを負担すべきである、要は社会保障制度に関する勧告の趣旨に副うよう施策することが肝要であつて、本改正案には反対であるとの陳述がありました。次に園証人からは、健康保險経済の均衡を図るには、要するに收入増加して支出を削減するにあるが、その対策としては、医療給付費の国庫負担、厚生年金保險積立金の利用、医療内容の適正化、運営の合理化等が考えられる、併し応急措置としては、本改正法案のごとく保險料率を引上げ、且つ資格期間を設けて一種の給付制限を行うことは又止むを得ないものと考える旨の陳述がありました。  厚生委員会においては藤原委員から、又連合委員会におきましては原労働委員から、政府根本方針及び健康保險経済収支の実情、医療給付の実情、保險料率の問題、資格期間の問題及び厚生年金保險積立金の利用状況等その他につきまして御質疑がありましたが、その詳細は速記録によつて御覧願いたいと存じます。  かくて連合委員会を閉じまして、本委員会において討論に移りましたるところ、中山委員から、社会保障制度審議会の政府に対する勧告の実施を促進せしめることとし、本案は事情止むを得ない応急措置であるから原案に賛成すると述べ、藤森、有馬両委員からも賛成意見の開陳がありました。藤原委員からは、本改正法案は被保險者の負担増加し、不利なる條件の下に問題を解決せんとするもので、社会不安を醸成する慮れがあるから本案には反対すると述べ、松原委員も原案に反対の意を表しました。かく討論を終り採決いたしましたるところ、起立多数を以ちまして本案は原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  簡單ながら以上御報告申上げます。(拍手
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇拍手
  18. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表しまして、只今上程されました健康保險法の一部を改正する法律案反対するものであります。  そもそも健康保險経済が現在のような危機に見舞われましたのは、健康保險経済が殆んど労働者の負担にされていることに基いているのであります。更に指摘しなければならないことは、健康保險の利用者が増大の一途を辿つていることであります。この利用者の増大は決して被保險者の健康保險に対する関心が高まつたからではありません。これは政府が一貫してとつているところの政策、即ち低賃金政策、失業増大政策、労働強化政策の結果によつて、労働者のかけ替えのない肉体が破壊されているからにほかならないのであります。即ち一般大衆の急激な貧困化、生活水準の低下と激しい奴隷労働が生んだものであります。特に朝鮮戰争の勃発以来PD工場その他、直接間接に戰争に関係ある工場においては、労働者は徹夜残業を強制され、全く文字通りの奴隷労働を強いられている結果、罹病と災害がとみに増大しているのでありまして、例を挙げますならば、大阪国際無線では、本年一月には病欠者が七十六名であつたものが、六月には百十三名に飛躍的に増加しているのであります。又或る工場においては、瘠せましたねというのが朝の挨拶になつているほどでありまして、労働者の国体は一部の大資本家が肥え太るのに比例してむしばまれているのが現状であります。このような現実を無視している政府は、十一月一日の社会保險審議会において保險料率の引上げを一度否決したのにもかかわらず、僅か数日後に再び審議会を開かしめ、少数の委員によつて強引に引上げを可決せしめたのであります。併しこの改正案に盛られているところの千分の六十という世界最高の保險料率によつて健康保險経済は救われるどころか却つてますますその崩壊を早めるであろうことは、自信のない黒川厚生大臣の提案理由説明によつてさえ明らかでありますが、料率の引上げは彌縫策にもならないのであります。貧しい労働者並びに中小経営者の負担の増大は、政府の予期する結果、即ち赤字に対して全く取るに足らない三億円の收入増さえ得られないでありましよう。政府は更に資格喪失者に対して極めてあくどい制限を設けたのであります。誰も予期して病気になるものはありません。病気は不慮の災厄であります。短期間に病気になつて首を切られることを予定して加入する者が一体ありましようか。これは全く労働者を奴隷や罪人扱いをする血も涙もない仕打ちではありませんか。厚生大臣はこれに対して、余り好ましい措置とは考えられないかと言つているが、それどころではない。このような立場に置かれた失業者は死んでしまえと言うも同然のやり方であります。これは去る十月九日に、政府の方策として、結核患者を療養所から追い出すための通牒が発せられ、その結果として、例えば千葉の松戸療養所におきましては二十一名の患者に退所が指示され、その中には排菌患者も含まれていることが明らかにされております。山口県の清風莊では、現に三十の空ベツドがあるにもかかわらず、百七十名中二十六名に退所勧告を迫つたので、患者は病気の悪化を押してハンストまで実行したのであります。結核患者に死の宣告を下すこのような非人間的な政策は、又この改正案を貫く精神であります。若し政府に一かけらでも、人民大衆の健康を高め、又政府のよく口にするところの健康保險制度の円滑な運用を望む心があるなら、保險金は全額を国庫で負担して人民の負担軽減し、更には低賃金と労働強化を排除して病気をなくする方向にこの危機の解決策を求めなければならないにもかかわらず、政府は全く逆な方向に進んでいるのであります。この一枚のぺらぺらな紙に書いてある法案が通過するならば、それによつて全国の病気に悩む労働者とその家族や、又いつか病気に侵される労働者や首を切られた失業者を、暗い太陽のない谷間に陷れるでありましよう。  日本共産党はこのような健康保險の本質までも修正してしまうような改悪に対しまして、絶対に反対するものであります。(拍手
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 藤原道子君。    〔藤原道子君登壇拍手
  20. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は日本社会党を代表いたしまして本法案に絶対反対をいたすものでございます。  元来社会保障制度は労働者にとりましてはその日その日の糧でございます。労働者を病から守り、労働力の保全を策するところの最も緊要なる制度でございます。ところが今はこの制度会計上の赤字によつて危機に陷つて来たのであります。これに対して政府は、三たび料率の引上げと被保險者の資格の制限によつて、その一方的なる犠牲において、この危機を切抜けようといたしておるのでございます。保險財政の赤字、保險財政の危機はすでにわかつていたはずでございます。社会保障制度審議会の勧告、医師会、保險組合等々、各方面より強く叫ばれて来ておりました。第五国会におきまして、料率の改訂で千分の四十から千分の五十五に引上げられましたとき、政府はこの引上げによつて保險制度の完全なる運営が可能であり、今後は断じて料率の引上げはいたしませんとはつきり言明いたしておるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)然るに政府はその後一ケ年半、何ら根本対策を考究せずして徒らに遷延し、今回の改正も目前の赤字財政に対処するだけで、全く無定見であり、無方針であり、何のために政府は保險局を持ち、且つ保險行政をやつておるのか。いつになつたらその根本対策を立てるのか。目前の姑息的な手段にのみよつて一時を糊塗せんとする怠慢極まるやりかたに対しまして、数百方労働者と共に心からなる怒りを感ずるものでございます。(拍手)当局は社会保險に努力すると言い、且つ社会保障制度審議会の勧告は尊重すると言つております。ところが勧告は、健康保險の料率は千分の四十に引下げること、国庫の医療給付の二割負担を言つております。そして被保險者の利益の増進と給付の拡充を勧告いたしておるのでございます。然るに今回の改訂案は、値上であり、資格の制限、喪失であつて、全く勧告とは正反対であり、近く実施されんとする社会保障制度の精神に逆行するものでございます。労働者の標準報酬を六千円といたしまして、一人年間四百三十二円の負担増は、明らかに実質賃金の厖大なる切下げであるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手日本経済復興にとつて大きな役割を果しておりますところの繊維産業に働く婦人労働者の平均賃金は三千三百五十円でございます。而もこれら低賃金の婦人労働者が、各種社会保險に対しまして月々三百六十二円、即ち一〇%強を差引かれております。低賃金の婦人労働者にとつては非常な負担であり、このたびの保險料率引上げは更に負担の過重となるのでございます。千分の六十という料率は世界でもイタリーと我が日本のみでございまして、利用者の負担がこの限界を超えておることは、すでに三十億の滞納でも明らかであるのでございます。これを引上げることは滞納を一層増加することを考えなければなりません。然らば何が故にこのような赤字を出したのでございましよう。政府説明によれば利用率の増加原因であると申しております。成るほど受診率は一カ年間に約三倍に殖えて参りました。而も漸次増加の傾向にあることも事実でございます。併しながら、かかる利用率の増加は、十年間の無謀な戰争と、戰後のインフレーシヨン、更に低賃金、給料の遅配、欠配等の悪條件の下における大衆の窮乏生活によつて国民の体力の低下と、抵抗力の減退を考えなければなりません。今日漸く保健精神の徹底したこと、或いはこれによりまして、大衆がその医療の恩典に浴することができる、これによつて国民の体力が増大され、国民経済の基本であるところの労働力の保全が保たれるといたしましたならば、政府の申しておりますこのことは断じて私たちには承服ができない。而もかかる事情で社会保險が危機に陷つておるのであるならば、社会保險の危機は政府責任で当然保障すべきものであります。なお昨日の委員会におきまする証人の証言におきましても、支出の軽減については何らの措置をされていないということが指摘されております。結局開業医の勢力に圧迫されまして、診療費支出についての審査も不十分である。ただ弱い労働者にのみ強制的に負担を負わせ、この危機を切り抜けようとする政府の無為無能力、その醜態を暴露したものと言わざるを得ないのでございます。(拍手)  次に何としても私どもが忍びがたい改悪は、六カ月以上拂込んだ者でなければ保險給付はせぬという点でございます。政府は保險詐欺をする者を予防するのだというようなことを言つておりますが、これは実に勤労階級を侮辱するも甚だしいものであります。(拍手)單なる推測を以て労働者の人格を無視した暴言は、吉田総理の言う不逞の輩の精神の現われでございましよう。(拍手)実際問題としては、就職のときに今日では厳重な体格検査があるのでございまして、病気の者は入社しておるはずはございません。新たに就職した者が、激しい労働のために三、四カ月で発病する場合が多いのでございます。雇用者が発病すれば首を切る。他の仕事はできません。現行法におきましては一カ年間は見てもらえるものを、かかる改悪は実に非人道的な残酷極まることでありまして、断じて承認できないのでございます。若し不正の目的で加入する者があるといたしまするならば、他の方法で幾らでも取締ができるのでございます。厚生大臣は相互扶助の精神と申しまするが、何年、何十年かけても発病しない者も、入社日浅くして発病した不幸なる同僚をも平等に診療できまするがの、相互扶助の精神だと私は理解いたしております。(拍手)これが保險の真髄であり、火災保險におきましても、生命保險におきましても、一度加入をすれば受益できることは、これを明らかにしておるはずでございます。而も政府は資格制限を一カ月の場合、二カ月の場合、三カ月の場合等の違いに対してさえ何ら研究されていないのであります。第七国会で衆議院におきまして、岡代議士が健康保險の危機突破の緊急質問をいたしたのに対しまして、吉田総理、林前厚生大臣、増田前官房長官らは揃つて、社会保障制度審議会の結論を待つて、必ず速かに健康保險制度根本対策を立てると答弁いたしております。然るに短かい第九臨時国会に社会保障制度審議会の勧告に全く反対なる改悪案を出した政府当局の厚かましさ、行き詰れば弱い者をいじめさえすればいいというような、一方的な犠牲を強制しておるこの料率の引上げや資格制限を以て臨む。全く無策と無誠意をみずから現わしているものでございまして、(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)我々は断じて承服できないのでございます。社会保障制度審議会は医療給付の国庫負担の獲得と厚生年金の積立金の融資を答申しているのでございます。然るに政府は各種公団の赤字補填には巨額の費用を注ぎ込んでおる。(拍手)例えば石炭公団のみにおいてすら二十五年五月に四十三億を支出しておるではございませんか。(「その通り、そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)かかる勇気を持ちながら、数百万の労働者の健康を守り、我が国復興のために大切な労働力保全のために、なぜ国費が出せないのでございましようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)同じ労働者の懐ろから強制積立をしておる厚生年金三百億からなぜ融資をすることができないのでございましよう。全くこの点、了解に苦しむのでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)政府は盛んに均衡予算を叫び、或いは資本の蓄積を謳つておられます。併しながら今日の日本では、資源に乏しく、生活物資に不足し、或いは設備、技術の面におきまして非常に低いのでございます。こういう段階では労働力こそが最も重要な再生産の基本でなければなりません。かかる労働力の保全に欠くことのできない健康保險制度に対し、何ら適当なる責任ある対策、保障を行わずして、労働者の健康を危險にさらすような状態に追い込む実質賃金の切下げを強行し、他面におきましては賃金引上げは姑息的にごまかし、農民には低米価を押付け、地方税の改悪で重税を搾り取る。これこそ全く反動吉田内閣の姿でございましよう。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)  私はこの政府当局に対し、目を開いて国内各所に起つておる騒擾事件について何が原因であるかを真劍に考えてもらいたいのであります。成るほど政府は共産党の煽動による暴力革命の予備行動と言うかも知れません。併しながらいくら煽動しようとも、国民生活が安定しておりましたならば、断じて煽動に乗ることはないのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)要するにこの騒擾事件は、労働者がその生活が全く危殆に瀕しておればこそ、明日の生活にも又今日の病気にもこれに対処することができないからこそ、こういう状態にあるのであります。(「そうだ」「ノーノー」と呼ぶ者あり)政府国民生活を無視した超反動政策根本原因であることを知らなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)ただでさえ苦しい生活、年の瀬もあと旬日に迫つておるこの騒然たる世相の下におきまして、生活苦に押し潰されて親子心中をしておる人もたくさんある。而もこれに対して一月一日からは、主食は内地米におきましては十キロ当り七十円の値上りと言われております。又必要欠くことのできないお醤油にいたしましても一升五十円の値上げをしたと言われております。貧乏人は麦を食えと池田さんに言われるまでもなく、すでに貧乏人は麦を食べておるのであります。なお且つ麦を食べるもお米を食べるも、或いはお醤油がないならば塩を嘗めるのも、これは自由だと言われるかもわからない。又自由に操作ができるかもわかりません。併しながら保險料は、この法律が通過いたしまするならば、強制的に一方的に俸給袋から引き去られることを私たちは恐れるのでございます。引き去られます。これによつて万一です。いつの場合にも労働者を押し潰し、弱い者を犠牲にして、そうして能事終れりとしておりまするならば、如何なる社会不安が起りましようか。これは政府が絶対にその責任を負うべきことを私はここに強く断言いたすものでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)憲法に保障された大原則を政治上に具現することを強く要望し、健康保險制度の立直しは、国費を注ぎ込むこと、医療内容の適正化を図ること等、根本対策の樹立をここに強く要望いたしまして、この労働者の一方的犠牲において一時をごまかそうとする政府原案に対しまして、私は、日本社会党は絶対に反対の意思を表明するものであります。(「そうだ」「政府よく聞いて置け」「政府原案引つ込めろ」と呼ぶ者あり、拍手
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 松原一彦君。    〔松原一彦君登壇
  22. 松原一彦

    ○松原一彦君 健康保險法の一部を改正する法律案に対しまして、第一クラブの総意を代表しまして反対を表明いたします。(拍手)  もうこの理由は、すでに只今の藤原議員の長い御説明で十分にわかつております。私はくだくだしく申上げることを避けたいと思いますが、この法律案政府管掌の下における労務者三百四十万人を対象といたしたものであります。すべての社会保險の各方面に現われました最近の現象はどこでも行詰つておるのであります。特に市町村を單立とする国民健康保險のごときは、御承知の通り頻々として休止いたしており、まさに瀕死の状態に陷つておるのであります。従つてこれが根本的改善策は至るところに考えられております。私どもの厚生委員会におきましても、いろいろ調査もし、又その論議の集まるところはすべて一致いたしておるのであります。そうして、その根本的解決策としましては、何といつても医療費の幾ばくかをば国費を以てこれを負担する。これ以外に途はないということは、社会保障制度審議会がすでにこれを答申しており、又社会保障制度審議会がはつきりと政府に勧告しておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  然るに今回政府の提案せられましたところの、本年末までに概算二十八億の赤字が出るであろうということに対する対策として、今ここに政府管掌健康保險の料率を五十五から六十乃至六十五に上げようというのでありますが、これは一応算盤の上から申しましても合わないのであります。これを今年取り急いで上げたといたしましても、一月から三月までに僅か三億円、即ち一カ月に一億円の増収に過ぎません。今この保險資格者の制限を行なつて、そうして給付の節約をいたしましても、これは三カ月間に辛うじて六千万円に過ぎないのであります。二十八億円の赤字に対する三億六千万円の補慎ではどうにもならない。その結果として、二月から三月の医療費をば、医者のほうへの支拂を引延ばして、明年度に持つて行こうというようなことにまでなつておるのであります。してみまするというと、姑息な彌縫策をしましても、実は算盤は合わないのであります。何といたしましても、これは当然に根本的な抜本塞源の方策が講ぜられなければならないということは、厚生委員会のすべての諸君が一致した見解であるのであります。ただこれがどうして可決せられたかと申しますと、もう間に合わない、保險の赤字を幾らでもふさいで置かなければ間に合わないというところから、特に医者の支拂等が遅れては困るという懸念から、大勢としましては一応認めたのでありますが、これは私は一応認めたというので、ここを通つただけで済むものではないと思う。国会の意思は簡單にかような糊塗策を認めてはならないと信ずる余りに(「その通り」と呼ぶ者あり)反対を表明するのであります。(拍手)只今までの経過を見まするというと、昭和二十三年七月以前には保險料率は即ち千分の三十六であつたのであります。八月以降は千分の四十に上り、昨年の一月から七月までは千分の四十四、昨年の八月から五十五となつて今日に及んでおる。更にこれを六十乃至六十五に上げようというのであります。これは只今までにいろいろ御非難がありました通りに、一方的に低賃金労務者の保險料率を上げることによつて解決するのは誠に無理なことであるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)社会保障制度審議会はこの一般的な保險の保險率をば千分の四十六と見ている。どうして四十六と見られるかというと、それは医療費のうち二割は国費の負担とするものと見込まれておるからであります。前提條件として、一般の医療費は二割を国費において負担する、結核においては五割負担するということになつている。そのために社会保障制度における医療費は四十六で以て計算が立つように一応なつておるのであります。これはやつて見なければわかりませんけれども、すでにさような目標を示されてその実現を求められておるこの際に、たとえ一時の彌縫策とは言え、これに反するようなことをすることは、私は決して妥当ではないと思う。(拍手)かような意味におきまして、恐らくこれは数の上から申すならば通つて法律となりましよう。可決せられましようけれども、厚生大臣も不本意だと言つておるのであります。又厚生委員のすべても、これは穏当でないと言つておるのであります。それをはただ通つただけでは相済まぬのであります。大蔵大臣が何としてもこの医療費の方面に少しも金を振向けていないという大きな非難を現に黒川厚生大臣は言つておられるのであります。(拍手)私は黒川厚生大臣を鞭撻する意味から申しましても、この際においては国会は強い反対の意思を表明して置かなければ(拍手)この先が危いのであります。さような意味におきまして、私は反対のための反対ではない、将来のために強くここに反対の意思を表明して、厚生大臣並びに内閣の善処を要望するものであります。(拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕    〔「労働者の敵だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五、昭和二十四年度及び昭和二十五年度参議院予備金支出の件(承諾を求める件)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長山田佐一君。    〔山田佐一君登壇拍手
  26. 山田佐一

    ○山田佐一君 只今議題となりました国会予備金支出の件について御説明申上げます。  ここに御報告いたします参議院予備経費の支出済額は、昭和二十四年度に属する分三百八万三千百八十円、昭和二十五年度に属する分二百十三万六千八百円、合計五百二十一万九千九百八十円であります。而して参議院の予備経費は二十四、二十五両年度ともその予算額はおのおの五百万円でありまして、昭和二十四年度の分のうち百九十一万六千八百二十円は、すでに第七国会において報告の上、承認済でありまするから、通じて五百万円全額が支出済となつた次第であります。  以下支出済となつた金額の内容を申上げますと、昭和二十四年度に属する分三百八万三千百八十円は、在職中死亡せられました議員二人の遺族に支給する弔慰金として六十九万一千二百円、議案類の印刷費に不足を生じたため、その補足額として二百三十九万一千九百八十円を支出したものであります。昭和二十五年度に属する分二百十三万六千八百円は、在職中死亡せられました議員三人の遺族に支給する弔慰金として百三万六千八百円、職員宿舎の風水害復旧費として百十万円を支出したものであります。従つて昭和二十五年度分予備金はなお二百八十六万三千二百円の支出未済額を残す計算となります。以上の支出はいずれもその都度議院運営委員会の承認を経たものであります。  ここに国会予備金支出に関する法律第三條の規定により御報告申上げる次第であります。御審議の上、御承諾あらんことを希望いたします。(拍手
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件に承諾を與えることに御異議ございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承諾を與えることに決しました。  議事の都合により、これにて午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ―――――・―――――    午後二時一分附議
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。議席第百九十番、地方選出議員、千葉県選出、片岡文重君。    〔片岡文重君起立、拍手〕      ―――――・―――――
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕  本日委員長から左の報告書を提出した。   一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書   地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案   修正議決報告書      ―――――・―――――
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。人事委員長木下源吾君。    〔木下源吾君登壇拍手
  33. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今議題となりました一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず、本法律案の提案理由及びその内容について申上げます。政府職員の給與につきましては、その生計費及び民間賃金その他の事情に顧み、これを適正に改訂し、その生活の安定を図る必要があることは申すまでもないことでありますが、諸般の事情により、今日まで政府職員の給與改訂を実行するに至らなかつたのであります。然るに最近に至り、国民経済は安定の段階に達し、一方、給與改訂の所要財源として経費の節約による財源の捻出の見通しを得るに至わましたので、この際、財政の計す範囲内において、努めて人事院勧告を尊重する建前の下に、政府職員の給與改訂を行うこととし、その一環として本法律案が提案せられたというのが政府説明による提案の理由であります。  次に本法律案の要旨について御説明いたします。本法律案は、一般政府職員に対して昭和二十六年一月以降における職員の平均給與額を月額約千円引上げて、おおむねこれを八千円程度とすることを目途とするのであります。  その内容について申上げますと、先ず第一に俸給につきましては、仕特別俸給表の適用を受ける税務、警察、船員等の特殊職員などについて、勤務時間差、職務内容等に基いた従来の取扱を或る程度改訂した点であります。  次に勤務地手当につきましては、その支給地域の区分を別に法律で定めることとし、その支給割合は、人事院勧告の通り、二割五分、二割、一割五分、一割、五分の五区分に改めることとし、支給地域に関する法律が制定施行されるまでは暫定的に従前の支給割合の五分引として、従来三割であつた地域については二割五分、二割であつた地域につては一割五分、一割であつた地域については五分とすることといたしております。なお扶養手当につきましては、人事院の勧告通り、現行の六百円、四百円をそのまま据え置くことになつております。  第三に昇給昇格等の基準に関しましては、従来政令に委任しておりましたものを、今回の改正を機に法律に規定することとしたものであります。  第四といたしましては、職員が離職及び死亡等により職員でなくなつた場合の現行の給與支給方法について、人事院勧告に基き所要の改正を加えているのであります。  人事委員会といたしましては、今国会初頭、本法律案が予備審査のため付託せられて以来、その公務員制度全般に及ぼす影響の重要性に鑑み、委員会における審議愼重を期するは言うまでもなく、数回に亘り懇談会を開き、関係政府委員説明を聴取し、資料の提出を求め、法律案内容に関して詳細なる調査検討を行い、法案審査の万全を期するため、でき得る限りの努力を続けて参つたのであります。  次に本法律案の審査経過の概要についてでありますが、委員会における質疑応答の詳細なる経過は速記録に譲り、その主なるものについて御報告申上げます。先ずこれを大別して申上げますると、第一点は、政府提出の本法律案と、先に昭和二十五年八月九日付で提出された人事院勧告との関係についての問題であり、第二点は、本法律案の附則別表第二による俸給の切替調整の問題でありまして、この二点が委員会における論議の中心となつたのであります。  第一点に関しましては、政府提出の本案が人事院勧告によることができなかつたのは如何なる理由によるのであるか、又本法律案と人事院勧告との差異はどの点であるかとの質問がありましたが、これに対して、政府側より、本法律案と人事院勧告による案と異なるのは、俸給表作成の方法、普通職員と特別俸給表の適用を受ける職員などとの号俸調整の格差を少くしたこと、検察官の俸給に関する規定を削除したこと、年末手当に関しては別の單行法に譲つたこと等の諸点であり、政府としては財政上の観点から人事院勧告を全面的に実施するのは困難であると認められるので、でき得る限り人事院勧告を尊重するという原則に基き、予算上の考慮を加えて立案したものである旨の答弁があり、続いて、本法律案は人事院勧告を尊重しているものとは考えられない、むしろ人事院勧告に基く給與体系を破壊するものであると思われるが、政府の見解はどうか、又、本法律案は如何なる理論的根拠に基き、如何なる過程を経て作成されたものであるかとの質問に対しては、本法律案は人事院勧告を尊重し、人事院の資料を用い、人事院勧告作成の方法に従つて作成したものであつて、俸給表の基準となる号俸の決定等について多少の例外があるが、決して人事院勧告の体系を崩すものではなく、十分なる科学的根拠を有するものである、その作成の過程においては各省の意見を聞くため会合を開くと共に、人事院とも相談を行なつて十分の検討を加えた旨の答弁がありました。なおこれに関連して、人事院としては、本法律案はその第一條に規定したように、人事院勧告を原則的に尊重しているものと認められると考えるかとの質問に対して、人事院側より、遺憾ながら本法律案において人事院勧告が原則的に尊重されているとは思つていないとの答弁があつたことを附加えて御報告申上げます。  次は第二点の、附則別表第二による俸給の切替調整に関する問題でありまして、これは終始論議の中心となつたのであります。先ず俸給の切替調整を行わねばならない理由についての質問に対しては、普通職員と特別俸給表の適用を受ける職員などとの号俸の調整は、両者の間の勤務時間差の減少、社会情勢変化等により、その理由もなくなつて来たので、両者の均衡を保つためにおおむね従来の調整額の半分とすることとしたのである旨の答弁があり、続いて具体的に個別的な場合についての問題に関して詳細な質問が行われたのでありますが、これに対して政府側より、本法律案が制定施行されるとした場合に、実情から見て不均衡であると思われるような問題が生ずることも考えられるのであるが、これに対しては予算の施行上考慮を拂い、政令又は人事院規則等により所要の措置を講ずる用意がある旨の言明がありました。その二、三の例を申し上げますと、第一に、今回の切替調整により、従来の調整号俸が全然なくなつてしまうような結果になる職員等に対しては、何らかの救済措置をとるべきではないかとの質問に対し、そのような場合には、政令乃至人事院規則により〇・五号俸の調整を加えるような措置を講ずる用意があるとの答弁があり、又、一例として、特別俸給表の適用を受ける税務職員等の場合、それぞれ同額の俸給を支給されている職員が、二級である職員は一号俸の切下げで済むのに対し、三級である職員は、ただ三級であるが故に三号俸の切下げを受けて、却つて二級の職員の俸給額を下廻る結果になるが、これは不合理ではないかとの質問に対し、理論的には不合理ではないが、実情から見て不均衡であるように考えられるので、そのような特殊な事例の該当者には、切替の直前に昇給を行わせて、切替後の俸給の均衡を図るなどの措置を考えているとの答弁がありました。  大別すれば以上の二点が委員会における質疑の中心となつたのでありますが、その他個別的な問題についての質問に関して二三の御報告をいたします。  その一つとしては、今回の給與法改正案に基く国家公務員の給與改訂に関連して、地方公務員については本案がそのまま準用されるべきものと考えるか否かとの質問がありましたが、これに対しては政府側より、地方公務員に関しては、おおむね国家公務員の給與に準じ、地方財政の実情に応じて地方公共団体自身が決定すべきものであると答え、次に、復興金融公庫、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、証券処理調整協議会等、政府四機関の職員に対しても、一般公務員の給與引上げに準じて給與改訂を行うように再検討さるべきであるとの要望に対して、これら四機関の場合に関しては、でき得る限り注意深く考慮するように検討を続けておるが、これらの職員に対し給與を引上げねばならぬという結論を得ることは困難であろうと考えているとの答弁がありました。  かく質疑を終了し、討論に入り、千葉委員、重盛委員、紅露委員よりそれぞれの理由に基き反対、加藤委員より賛成の討論があり、採決に入りましたところ、本法律案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本共産党を代表しまして、私は本給與法案反対するものであります。  本年五月の参議院選挙に当りまして、自由党、吉田内閣は、かねての懸案であつたベース改訂を公約し、下から盛り上る公務員諸君の不満を巧みに外らそうとしたのであります。その後住半カ年、漸く先国会に提案されました給與法を見ますときに、その期待は全く裏切られたという感じが深いのであります。これが目下極度の生活苦に呻吟し、一方職階制の圧迫と、苛酷なる労働條件の下に縛もれ続けておる公務員諸君に対するところの責任ある政府施策と言われるかどうか。殊に国家公務員法並びにこのたび新たに制定を見ました地方公務員法によつて組合活動の自由を全面的に奪われておるところの公務員諸君に対する反対給付と言われるかどうか。私は政府の公務員に対する親心のかけらをさえこの法案からは発見することができないのであります。本法案に対する欠陷や並びにその欺瞞的な性格につきましては、これまで委員会において繰返し論及されたところであります。例えば人事院の低きに過ぎる八千五百十八円ベースの線をさえ確保することができなかつたのみか、巧みにこれを自分勝手に歪曲変形している点、更に又勤務地手当の一律五%引下げ並びに特殊勤務に対しますところの号俸調整の切下げによつて既得権を剥奪したことなどは、政府はベース改訂に名をかりて種々の改悪を行なつているのであります。これは全く行きがけの駄賃といつたようなやり方であります。殊にも次官、局長級の上級官吏は厚く、下級官吏に薄いやり方は、明らかに職階制の一層の押付け、苛酷な勤務條件を通じて、職場における国連協力の戰時動員態勢を準備しようとする露骨な魂胆の現われと言うべきであります。即ち今度のベース改訂によりまして、大部分の公務員諸君は三百円から五百円程度、つまり一五%から二〇%程度の値上げであるにかかわらず、次官や局長級になりますと一方三千円、即ち五七%の値上げということになつて、ここに上と下とり開きが著しく大きくなつているのであります。この点に関しまして、政府は過日の予算委員会答弁におきまして、戰前は二十倍であつた、だからこれでも少な過ぎるのであるということを述べているのでありますが、これは下級公務員の現在の生活実態を全く無視した放言であると言うことができます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)而もこの放言の示唆するものは案外深刻なものがあると言わねばなりません。  先ず第一に、戰前と比べて下級公務員の最低生活の保障が著しく劣つている中で、このような不平等なことが行われたこと、又第二には、こうした給與体系こそが、公務員をしてその上属の奴隷として奉仕させるにますます便利な仕組を職場に打立てる、つまり権力盲従的な戰前の官吏道の復活がひそかにそこに意図されている事実を私は指摘せざるを得ないのであります。このようにしまして、便所に行くにさえ、一々上級者の許しを得なければならないという、全く人権を無視した職場の態勢が刻々強化されているのであります。更に職場には一体こういうような給與法案の押付けによりまして何が起つているか。当然にそこには公務員相互の間に嫉視反目が釀成されます。又対立がかき立てられます。勢いその結果は権力迎合の奴隷的服従の美徳を賞揚することになるのであります。これは疑う余地がない事実である。そうしん再び無気力で陰險な公務員が上級者の顔色を窺つておどおどとしている、あの陰惨な職場風景が現出される。これは人民大衆にとりまして、又日本の民主化のために、甚だ有害な結果を引起すことは明らかであります。而もこれらの人権蹂躪の奴隷的官吏道の復活に対しまして、常に批判的であり、或いはこれに反対して闘わんとする者は、職場から異端視され、レツド・パージの該当者として真つ先に槍玉に上げられるというのが、今日の実情であります。こうして職場の空気は廃頽し紊乱する。吉田総理が官紀粛正を如何に閣議で繰返し、事ごとに吏道刷新を訓示しましても、これを行うことができないような仕かけになつているのであります。而してその大きな原因は、このような奴隷的な賃金ベースの採用にあることを我々は考えなければならないのであります。  次に注目すべきことは、これらのベース・アツプは、一方において收奪的な国家予算の財源的な一つの基礎をなしているということであります。例えば先に通過を見ました二十五年度補正予算では、勤労所得税の自然増は、当初百二十億であつたにもかかわらず、それを二百五十六億に水増ししているのであります。これは明らかにベース・アツプによるところの源泉所得分のはね返りを見込んでいるものであり、この結果、減税は何ら減税にならないで、増税という結果を引起していることは、しばしばこの演壇でも繰返されたところであります。これらの財源は元来公務員の待遇改善に使用さるべき筋合のものと思うのでありますが、それが却つてインベントリー・フアイナンスその他の形で、政府資本蓄積を非常に有利ならしめているのであります。換言すれば、これら強度の資本蓄積のしわが、このたびの公務員のベース・アツプ並びに年末手当に大きくしわ寄せされていることも、又しばしば繰返されたところであります。なぜベース・アツプが十分に行われなかつ方か、最初一カ月分の予定であつたところの年末手当が、なぜ半カ月に切下げられたか。この間の事情につきましては、もはや今日如何なる公務員といえども、その真相を了解しない者はないのであります。このようにしまして、奴隷的な餓死賃金が公務員諸君の頭に押しかぶさり、職階制の強化と相待ちまして、二重、三軍の戰時動員的な收奪、強制を来たしていることは明らかであります。  ところで一方、公務員諸君の最近の生活状態はどうであろうか。言うまでもなくこれはますます窮乏の一路を辿つているのであります。すでにもう売るものがない。無論貯えはない。従つて子供の養育費や教育費にも事欠くというような事態が起つています。最近東京の大学の職員組合の生活実態調査によりますというと、赤字は平均五カ月から六カ月分になつております。職員の大部分は地方税をさえ納めかねるという実情に実に悩んでいる。曾つて、身は最高学府の教職にありながら、納税の義務を果すことができなかつたために、みずからの命をあやめて行きました彼の原日教授のことは、未だ我々の記憶に新らしいことでありますが、これは、もはや、ひとり原田教授の運命だけではないのであります。公務員全体の頭に押しかぶさつているところの運命と言わなければなりませつん。殊にも朝鮮事変後、繊維品を初めとしまして、一般物価の値上り、電気、ガス、水道料、その他日用品の値上りによりまして、一般公務員の生計は極度の窮迫を告げています。すでに官庁統計におきましてさえも二〇%の値上りを伝えているのでありますが、事実はますます深刻であります。食えない公務員、否、飢餓線を彷徨するところのこの下級官吏の群、これが一九五〇年をまさに終らんとする敗戰日本の植民地的風景であると言うことができるのであります。今から一千二百年の昔でありますが、万葉の歌人山上億良は、このようなミゼラブルな下級官吏の姿を歌つています。「風まじり、雨ふる夜の、雨まじり、雪ふる夜は寒くしあれば、固塩を取つづしろひ、糟湯酒うちすするひて、しわぶかい、鼻ひしびしに……しかとあらぬひげかきなでて、吾をおきて人はあらじと、ほころへど寒くしあれば、麻ぶすま引かかぶり、布肩衣、ありのことごと着そへども寒き夜すらを……」このように歌つているのでありますが、ここに歌われている官吏の姿は、塩を肴にして糟で作つた酒を飲み、而もなお寒さに堪えかねて、衣類のありつたけを取り出して、鼻ひしびしに暮しているこの下級官吏の情ない姿であります。これが憶良のあの有名な貧窮問答歌の一節でございますが、憶良はなおこれに引続きまして、むさ苦しい掘立小屋の中に両親や妻子と共に這いつくばり、食にも着物にも事欠きながら、田租賦役、つまり今の税金でありますが、この税金の強制取立に苦しめられている労働階級の生活をリアルに幸しているのであります。これが而も実は一方では、咲く花の匂うがごとくと歌いはやされた天皇制奈良朝時代の僞わりのない半面の事実、大衆の生活状態であつたのであります。ところでそれは遠い千二百年の昔のことであつたのでありますが、働く人民大衆の生活は、千年後の今日といえども、これと幾分でも変つているであろうか。成るほど池田蔵相は事ことに日本の経済は安定しているというようなことを言つております。又吉田首相は日本をエデンの園にたとえております。だがこのエデンの園の足下では、食に事欠き税金地獄の責苦に悩んでいる勤労者の群と厖大な失業者の群がうようよとしているのであります。現にそれは、毎年のことながら、「いちよう」の落葉の散り始める頃から年末の寒い靄を破つて国会に押寄せる大衆の叫びは引きも切らない有様であります。誠に今も昔も一向に変らないものが勤労大衆の生活であり、依然として千年前の嘆きを繰返しているのが目下の日本の人民の生活であると言うことができます。これではどこに果して政治があるか。そこにあるものは全く自主性を失つた植民地日本の姿であるのであります。  殊にこの法案審議するに当りまして関心を持たざるを得ないものは、地方財政の極度の窮乏のために何ら確実な財源的措置を伴わない地方公務員、特に五十万の教職員の場合、その影響は誠に深刻であると言わなければなりません。更にこのたびのベース・アツプから漏れた特別調達庁関係の諸君、日雇労務者の生活條件は、年末にかけて一層悪化の一路を迫ることは必至であります。併しながら今や民同幹部諸君の闘争にもかかわらず、かかる政府の圧制的奴隷政策は、下から盛り上る公務員諸君、人民大衆の反撃を受けないではいないのであります。このことは、最近のアジアの人民解放鬪争の実態が何よりも雄弁にこれを物語つているのであります。又我が国でも、つい一昨日行われた千葉県の選挙の結果は、よくこのことを示しております。従来自由党の金城湯池と言われました千葉におきまして、人民の統一戰線の圧力によりまして自由党が全面的な敗北を喫したこと、これは非常に重大な問題でありますが、果してこれに対しまして吉田総理並びに自由党の幹部諸君は一体どのように考えておられるか。この点を伺いたいのであります。  以上述べましたように、日本共産党は、このような吉田内閣の戰争協力的財政政策の犠牲的な賃金ベース、更に戰事動員的性格を露骨に現わした飢餓的ベース改訂に対して、公務員諸君の生活権を飽くまで寄り抜き、日本をポツダム宣言の指向する平和のとりで、民族独立の根城として守り抜くために、断乎としてこれに反対し、大衆諸君のこの要求を全面的に支持しまして、九千七百円ペース即時実施を要求するものであります。(拍手
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 石原幹市郎君。    〔石原幹市郎君登壇拍手
  37. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 私は自由党を代表いたしまして、只今議題となつております一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案に賛意を表するものであります。  政府職員の給與改訂方につきましては、かねてより政府を初め各方面において種々検討を加えられて来たところであります。然るところ、今回政府におきましては、漸く財政及び経済事情の見通しを得まして、この際、職員の給與の改訂を行うこととし、その一環として本法律案が提出せられておるのであります。よつて本案を仔細に検討いたしまするに、政府におきましては、本年八月九日附の人事院勧告の趣旨を尊重しつつ、目下の財政事情その他を総合勘案し、今回の給與額を決定しておるのであります。言い換えれば財政及び経済事情の許す範囲において、でき得る限り人事院勧告の趣旨を尊重し、合理的に給與改善を図つておる苦心のあとを看取することができるのであります。  そこで先ず給與体系についてでありますが、本法案においては、昭和二十六年一月以降における職員の平均給與額を月額約一千円引上げて、おおむねこれを八千円程度とすることを目途として、成年独身者の標準生計費及び民間給與の実態を考慮して一般俸給表が定められておるのであります。我々といたしましても、勿論理想的なる給與体系が一日も早く整えられることを希うものでありまするが、我が国現状は遺憾ながら未だこれを許しません。  これが審議に当りましては、一部より、比較的下に薄く上に厚いとの論議が出でまして、俸給表の全面的修正の試案も出たのでありますが、検討した結果は、政府原案こそ最も多数の公務員の利益を図るものなることが(「ノーノー」と呼ぶ者あり)はつきり立証せられたのであります。(拍手)即ち修正試案によりますれば、公務員の五〇%程度を占める五級乃至八級の中堅層が却つて待遇が悪くなるということがわかつたのであります。拍手、「ノーノー」と呼ぶ者あり)私は今日までの給與の実態に鑑みまして、公務員の過半を占める中堅階層の処遇にいま一段と愼重を期せねばならぬ考うるものであります。中堅層乃至それ以上の公務員は、一定の責任を有し、相当の年齢に達し、扶養乃至教育を要する多数の家族を持ち、従つて又交際の範囲が広く、むしろこれらの人々に対する処遇には従来欠くるところなかつたかを憂うるものであります。(拍手)徒らに下に厚くの観念論にとらわれまして、我が国公務員の中核をなす中堅層を犠牲にすることがありましては、それこそ我が国の公務員体系をみだる元となるのでありまして、(拍手笑声)国家のためとり得ざるところと固く信ずるものであります。  次は号俸切替調整の問題であります。即ち特別俸給表の適用を受くる税務、警察、船員等の特殊職域に勤務する職員につきましては、勤務時間差、職務内容等に基き、従来相当の号俸調整を受け、普通職員に比し有利な俸給が定められていたのであります。然るところ最近その時間差も狹まり、又職務の領域も比較的安定して参りましたので、或る程度これを是正して、普通職員との均衡を図ることになつたのであります。この問題につきましては、これは一部の既得の権益を侵すものとし、或いは公務員相互の間に著しく不均衡を生ずる場合ありとして、最も論議されたところであります。この点につきましては、本案は附則第三項におきまして、少くとも現実の引上率は一割、一〇%を保障しておるのでありまして、本改訂により却つて不利益を受けるような者の生ずることなきを期しておるのであります。又公務員の相互の間において、不合理、不均衡を生ずる虞れある場合にありましては、事前に昇給等の行政上の措置、更に政令の改正等によりまして、この欠陷を補うようそれぞれ、措置する旨の政府当局よりの言明を得ておるのであります。又従来一般職の者よりは、逆に特別職との不均衡を訴えられていたのでありまするが、この点は今回の改訂によりまして大いに緩和されるところとなり、むしろ給與体系としては却つて均衡化さるるところとなつたのであります。その他、扶養手当、勤務地手当等につきましては、人事院勧告の趣旨をそれぞれ織り込み、又昇給制度につきましては新たに能率給の制度を加味せられ、勤務成績特に良好なる岩等については特別昇給の途が開かれることになつたのでありまして、これは一つの進歩というべく、政府職員の能率増進にあずかつて力があることと考えられるのであります。(拍手)  以上を要するに、今回の改正を以て理想的のものと断ずることはできないのでありまするが、現下の財政経済事情の下においては最も時宜を得たる改正案と申さねばならぬと思うのでございまして(「苦しい苦しい」と呼ぶ者あり)政府職員の給與問題に深き関心を有する我が党といたしましては(笑声)一応満尾に考える次第でありまして、本法案に賛成する次第であります。(拍手)ただこれが実施に当りましては、公務員相互の間にかれこれ不均衡を生じ或いは不平不満を生ぜしめざるよう、格段の留意を要望いたしまして、本法案に賛成する次第であります。(拍手
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千葉信君。    〔千葉信君登壇拍手
  39. 千葉信

    ○千葉信君 私は労農党を代表して本案反対をするものであります。(拍手)  去る一日の衆議院における公聽会で、前の大蔵給與局長であつた今井一男君が次のように述べられておるのであります。若しも人事院の今度の勧告が民間賃金を標準としたものであるなら、少くとも一万二千円ぐらいが至当であつたはずだと、こう言つておるのであります。民間の現在における賃金指数、或いは八月におけるCPSの一二九という指数、それから本年一月におけるところの食糧四十二品目の一九三という指数、或いは又その地金商品が一九五という、殆んど二十三年七月に比べまして倍数に近い、こういう指数を考えますならば、私はこの今井一男君の言う一万二千円案に全面的に賛成するのでございます。この観点からすれば、八千五十八円という人事院の勧告はむしろ非常に低い水準である。そして又人事院が国家公務員法の第三條によつて公務員の福祉を擁護すべきだつた一つの機関であるという事実を想起すれば、あらかじめ與えられた枠の中でかかる低い水準の勧告を出したというその自主性の喪失が、結局は問題の解決に非常に不利な影響を與えたという点において、我々は人事院の責任を徹底的に追及せざるを得ないのであります。それにもかかわらずこの人事院の勧告をこの際我々が支持しましたゆえんは、その給與体系としての理論的構成、或いはその俸給表において累進率の適正なこと、少くとも政府案に比べまして百日の長あることは事実でございます。そのためにこそ我々は人事院勧告を支持するのでございまして、堪えがたきを忍んで、これが讓り得る最後の一線であるという立場において支持するものでございます。然るに政府はこれを蹂躪しております。成るほど政府は今度の改正法案の第一條におきまして、人事院が国会及び内閣に対し勧告をした給與体系を原則的に尊重した、こう言つております。併しこれは正しく言えば部分的尊重というふうに置き替えられる必要があるのであります。事実、部分的にはこれを尊重しておる。例えば地域給の暫定措置としての全体の五分引下げ、或いは又最高最低の俸給の幅を更に人事院勧告よりも拡大して、結局は自分にとつて有利な点だけをいわゆる尊重しているのでありまして、そして又最も憎むべきことは、この部分的な尊重において人事院案に対して逆手をとつておる。これを具体的に言うならば、若しも政府が今度の改訂において言うがごとく、予算上如何ともしがたかつたというならば、上級者に対しても下級者に対しても、予算上の理由において、平等に平均してこれを減額するという態度をとるならば、初めてこれは原則的に倉重したと言い得る。下級者に対してはその給與体系を崩すがごとき状態において減額し、上級者に対しては大幅にこれを増額している。この上級者の引上げの倍率を計算すると実に二三・三倍強になつているのであります。これが我々の政府に対して承服し得ない理由の第一点でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  反対する第二の理由は、以上のやり方で六級或いは七級以下の下級者の増加額が非常に少いという上に、調整号俸の切下げという苛酷の措置をとつております。更に又地域給の引下げのために、従来の六千三百七円ベースからたつた一割も上らない公務員諸君が相当多数にある。その結果として、政府はその増額が一割に満たない者に対しては、少くとも一割だけは何とかする、こういう附則第三項のいわゆる最低保障額を確保するという方法を講じなければならなかつた。而も政府はその手段において明らかに誤謬を犯しておる。政府はこの場合、最低保障額に含まれる地域給をいきなり本俸に直した。元来が地域別の物価に応じて支給されておりましたこの地域給が、こういうやり方のために、いきなり本俸に繰入れられてしまう結果として、如何なる事実が起つたかと言いますると、これらの人々が他の地域に転任した場合に、本俸自体がその転任した先の地域の諸君の本俸より上廻つてしまう。政府のこれに対する答弁は、該当する人員が少いとか、金額が非常に微々たるものだということを言つておりまするが、我々はこの場合に、金額であるとか或いはその対象人員を問題にしておるのではない。我々の問題にするところは、給與政策の上にこういう不合理が許されていいかどうか。少くとも給與政策上における最も愚劣なこういう方法に対して我々は到底賛成することができないのであります。  更に理由の第三は、すでに御承知の調整号俸切下げの問題でございます。この号俸の調整は、二千九百二十円ベースの改訂に際して、税務、警察、船員、或いは癩、結核療養所の職員諸君、電通、郵政の従業員の諸君に対して、時間の差、勤務時間の差、若しくは職務の内容に応じて加算されたものでございます。従つてこの問題に対しては既得権云々の問題は抜きにいたしましても、若しもこれらの減額をし、或いは切下げをする場合には、その職務内容危險の度合、複雑の度合、責任の度合等に対して十分に愼重なる科学的な検討が必要でございますし、且つ他の職種との権衡というものが十分考慮されなければならない。能うべくんば、そういう措置というものは、皆さん御承知のように職階制というものが国会を通過しておりまするし、本格的な給與体系としてのいわゆる給與準則が人事院の手によつて着々整備されつつありまして、その制定を待つてこういう措置をとることが初めて合理的に解決をするゆえんであると信ずるのでございます。然るに政府は、單なる給與予算をぶつたぎるために、給與予算を減額する必要だけに基いて、勤務時間の同一になつたということだけに藉口して、こういう無謀なやり方をしておるのであります。それだけならまだしも見解の相違或いは意見の違いということが言えるかも知れない。ところが問題はここにある。今度の切下げ方を見ますると、各給與ことに号数が皆まちまちでございます。切下げる号数がまちまちでございます。その結果次のようなでたらめが随所に行われようとしておる。先ほど委員長からも御報告がございましたが、引例いたしますると、三級の一号の場合には、税務官吏の場合でございますが、三級の一号は二級の五号の下僚の諸君と同じ二十一号俸をもらつております。通し俸給表の二十一号の俸給をもらつておる。金額は四千二百二十三円でございます。それが今度の切下げのために、三級の諸君ば三号切下げられるために十八号になる。二級の者は一号だけ下つて二十号になる。三級だつたというために、下僚の諸君よりも、下の諸君よりも二号下位に転落するということ自体が問題であるばかりでなぐ、俸給額が実際上三百円下廻る。三級だつた者が四千九百円、二級だつた者が五千二百円という珍現象でございます。これは單なる一例に過ぎません。こういう事実は枚挙にいとまないほど起つておるのでございます。政府はこの問題に対する我々の追及に屈して、明らかに不合理なこれらを修正すると言明いたしました。政府はこの不合理の修正を本法律施行以前の本年十二月三十一日までの間に、その該当者に対して一齊インチキ昇給するということを言明しております。今までの政令にも規則にもないこういうやり方をして、この法律の立案者自身であるところの政府が、この法律を合法的にする必要からこういうインチキな手段を講ずるということが、これがこの民主社会において白晝堂々と適用するということになると、我々は民主主義のために誠に慨歎に堪えない。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)こういう点から言いますると、この法律案はそのためだけでも当然これは修正されるべきであつたと考えるのであります。  本案に対する反対理由の第四として、我々は次の事実によつて政府責任を追及するものでございます。申すまでもなく事務能率の向上は人事行政の巧拙に待つところが多いと同時に、給與政策の適不適はこれ又人事行政の根幹をなすと言つても過言ではないのでございます。公務員が制定せられ、厖大なスタツフを擁する人事院が、常に給與政策の策定に努力しておるのは、この目的に副わんがためであります。一体、人事院を除いて、内閣のどこに給與体系の確立や若しくは各職務の内容の判定に専心し得る所がございましようか。若しあるとすれば、それは各省の人事担当官以外にこれを求めることはできない。然るに我が人事委員会における去る六日の準公聽会におきまして、参考人として出席ざれた各省の人事担当官が一致して本法案反対しておるという事実は、これはどうでございましようか。これらの人々はニカ月くらい前にただ一回大蔵省に集合したというにとどまる事実、或いはその際、表明して置いたところの調整号俸切下げ反対意見が殆んど採用されなかつたという事実について、はつきりと不満の意を述べられておるのであります。これは本院の速記録に明らかでございます。大蔵省はその設置法にも明示せられるごとく、特別職の場合は別として、公務員に対しては旅費、共済を除いては、給與に関する限り権限もなく、又従つて見識もこれを期待することができない。あるとすればそれはただ予算上のこれに対する考慮だけである。この限界を超えて泥足で這い廻ることは越権沙汰であるばかりでなく、給與政策上の害毒も又今度のように測り知れないものがあるのでございます。いわんや若し本法案の具体的な計画そのものが主計局の一二の属僚の手によつて一夜漬になされたというようなことがあるとすれば、その責任たるや、我々は徹底的な追及をせざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)本法案の随所に散見する矛盾、或いは先ほど申上げたような、政府自身が倉皇としてインチキな救済措置を講じなければならなかつたというような、こういう不合理があるということは、それらの事実を立証して余りあることでありまして、その弁解を許さないものであり、我々としてはかくのごとき法案に対しては断乎として反対するものでございます。(拍手
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 森崎隆君。    〔議長退席、副議長着席〕    〔森崎隆君登壇拍手
  41. 森崎隆

    ○森崎隆君 私は日本社会党を代表いたしまして、このたび政府より提出されました一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案反対の意を表明するものであります。  現在勤労階層に属する大多数の国民と同様に、国家、地方を問わず、公務員の人々が低劣な給與のために生活苦の中に喘いでいることは、今更賛言を要しないところであります。加うるに朝鮮動乱による特需景気のため、必需物資の高騰を来たしている今日「彼らの生活がますます困窮の度を加えて来ましたことは、万人の承知するごとく、まさに生活破壊の一渉手前まで来ていることは、これ又皆様がたも肯かれることと存じます。彼らが最低生活保障給といたしまして九千七百円ベースを要求しておりますることは、又当然のことと言わたければなりません。去る第八臨時国会におきまして、一度勧告を言明されまして、数日のうちにこれを取消されまして、その責任を追及されました人事院は、八月の九日に八千五十八円ベースを国会並びに政府に勧告をしたのでございます。我が社会党は、労働組合等の謙虚な要求を真に妥当なものと認めながらも、今日の経済情勢に思いをいたし、あらゆる角度からこれを検討いたしました結果、誠に不満なのでございまするが、人事院の勧告案を承認して、一日も早くこれが実施を決意して来たものでございます。それ以来四カ月を経て第九臨時国会に提出されましたのが主題の政府案なるものであります。私たちが何故にこの政府案に絶対反対をしなければならないかを制限時間内におきまして簡單に申上げたいと思います。  第一に、政府案は、現行の六千三百七円ペースは昇給昇格等によりまして本年十二月末には実質六千九百七十三円となるとの一つの仮定の上に、約一千円をその上に積み上げました七千九百八十一円案というものでありまして、これは全然給與体系をなしてい、ないものであります。昇給昇格等によりまして平均額の上昇しまするのは当然のことでございいまして、現行六千三百七円ベースも、そのままに放置いたして置きますれば、昇給又は学歴、年齢構成の変化につれまして、いつかは八千円に移行して参ることは自然の事柄でございまするが、この場合といえども、ベースは依然六千三百七円ベースと言わなければならぬ。政府案は、最低生活費に基礎を置きまして、科学的な調査資料に基いて有機的な秩序を保持した給與体系では絶対にないゆえんなんであります。その結果は私たちをして絶対に承服を許さたい不合理を幾多包含いたし、これを実施いたしまするには非常な困難を伴うこととなつて参りました。この不合理は現実において如何に政府が頑張りましても是正せざるを得ないものであります。換言いたしますれば、たとえこの法律案衆議院同様多数の力で本院を通過したといたしましても、この法律それだけでは絶対にベースの切替えはできないのであります。(拍手)たつてこれを強行いたしますならば、大混乱が各職域に巻き起ることは必定なんであります。従いまして、一つの嘘は百の嘘を作り出すという古人の諺の通りであります。政府は当然人事院の権限でありまするところの実施面にまで手を入れまして、やれ政令の改正、やれ人事院規則を直してくれ、又闇のいわゆる昇給をしなければならないといつたようなことをどうしてもやらなければいけない、複雑怪奇な手続を伴うゆえんであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)若し公団の赤字補填に出しまする厖大な金額に比べまして、ほんの僅かでありまするところの僅か十億程度の金を出しまして、人事院の勧告案をそのままに採用いたしまするならば、事は至極簡單に運ぶのであります。ここに給與体系の生命があるのでありまして、政府案が如何に非合理的な、文明国にはふさわしからぬものであるかは、これによつて明らかなんであります。日本文明は、若しこの法律案が通過をいたしまするならば、この一角が政府並びに国会の手によつて一歩後退せしめられることになると私は結論付けていいと考えております。(拍手政府案が人事院勧告の八千五十八円給與ベースに比較して見ますると、八級の三号あたりで丁度交叉しておるわけです。即ち八級の三号以下におきましては、勧告案、人事院案を遥かに下廻つております。この八級三号以上におきましてはカーブは急に上昇を見ております。而してこれが人員構成を見ますと、大蔵省の主計局の報告書によりますれば、国家公務員法に定められました一般職に属する、公団を除く政府職員、特別職たる裁判官及び公共企業体の職員等約九十万人につきまして、一級から八級までに包含される人員は実に九三%二二であります。即ち人事院の勧告案に比較いたしまして、政府案はこの約九〇%の人員のベースを切下げましてり(拍手)同時に僅か一〇%の上の者にこれをすり替えようとする案なんである。べース改訂による増給は、現在のように公務員が低賃金によりまして劣悪な生活状態を強いられておる段階におきましては、できるだけ検討さるべきものであると私は考えます。それにもかかわらず政府案は、いわゆる下に厚く上に薄からざる給與の原則を踏みにじりまして、これに逆行するものであります。政府提案の説明では、人事院の勧告案を尊重していると申しながら、その結果ば給與体系に実に革命的な変化を生ぜしめております。これは明らかに職階制を強化いたし、職場を暗澹たらしめ、勤労意欲を減殺するものでございます。  次に附則第二項に定められましたところの俸給の切替調整につきまして申上げたいと思います。すでに委員長の経過報告内容にもありましたし、千葉委員討論内容にも詳しく述べられておりまするが、これは、現行の六千三百七円ベースより八千円べースと称している政府案に切替える際に、調整表によりましておのおの一号乃至三号の切下げ、言い換えましたならば減俸を強行いたしまして、然る後、同給同号へ切替えるというこれは計略なんであります。誠に事の乱暴さに驚歎いたす次第であります。その結果、級別に削減される号数が異なつている場合におきましては、千葉委員の申される通り、例えば五級の初号は二号切下げられ、四級の最上位は一号下げられるために、両者とも俸給額は同額でありますため、かくして切替えました結果におきましては、これまで上位におりました者が下位になり、下位においた者が上位になるという矛盾を起して参ります。更に人事院規則の職務の特殊性によりまして合理的に加算されておりまするところの調整号俸は、何らの理由もなくめちやくちやに切りさいなまれることとなつたわけであります。若しこの人事院規則の九條及び政令四百一号の第十二條の処置が、現在の経済情勢より考えまして、政府の申しますような不合理であると思うならば、これを人事院におきまして研究いたし、職務の再評価を行いまして、その結果に基きまして合理的に調整号俸の修正を行うこと、これ又私は止むを得ないと考えております。然るに政府はこうした基本的研究調査に基かず、人事院の実施権を侵犯しまして、独断を以てこれを切るのでありまして、その暴挙は如何に周章狼狽の結果であるかは、何回もの人事委員会での政府委員答弁がこれを証明している通りであります。その結果は各職場の給與の秩序を破壊いたしまして、混乱を惹起することは私は必定であろうと思うのであります。かかる悪法が若し参議院の良識を踏みにじつて通過いたしますれば、これが実施の責任を、人事院が果してその作業をなし得るや否や。私は心から危ぶむものでございます。  これを要しまするに、本法案は先ず予算の枠を作りまして、この枠の中で不当な号俸体系をでつち上げ、その上、枠にはみ出したものを切る。これを切るためにはり号俸調整、即ち減俸措置を敢行いたし、更に飽き足らず、更に間に合わず、地域給を何らの理由なくして五分引をしている。こういつたでたらめなものでありまして、絶対に公務員の生活を保障する妥当なものではございません。而も人事院の長い努力になる勧告案に徹底的な変更を加え、その科学性を蹂躪いたし、その相貌を変えてしまつたことは、誠に残念といいますか、悲しいことだと私は考えます。法規の如何にかかわらず、給與体系につきましては一切これを人事院に委ねるべきではないでしようか。これは良識の認めるところでなければなりません。大蔵省主計局の一隅におきまして計画され、各省の人事官並びに給與担任者の真摯な意見を殆んど聞くことなく、民主的討議は一切これを排しまして、ひそかにこれが作成せられ、聞くところによりますと、次官会議をふつ飛ばしまして、直ちにこれが閣議に持ち込まれたということを聞いております。若しこれが果しで真実であるといたしますならば、かかる暴挙に対しましては実に唖然たらざるを得ないのであります。  本月一日、衆議院の人事委員会におきましては、政府委員より、これらの不合理と困難は全部承知している、十分承知しているが、今実施することが必要であるから実施するのだとの発言があつたことは政府自体がこの法案の矛盾を痛いほど意識した、実に自暴自棄的な態度を表明しておるのであります。私たちは、意地どか面子とかによりまして不合理と困難性を多分に包蔵するかかる法案を強硬に押切るべきではないと考えます。私たちは去る第九臨時国会におきましてこの法案に真摯な検討を加え、時間の不足と鬪いながら、これが合理的な修正に努力をして参りました。幸いこれは審議未了になりまして、衆議院與党各位のまじめな再検討を期待し、更には政府の猛省を促したのでございますが、去る十二月十日、本国会開会劈頭、突如として、而も何ら反省のあともなく、再び原案をそのまま提案されましたことは、政府の私はこの蛮勇的糞度胸にただ呆れるばかりであります。(拍手)而もこの被害を直接受けるところの者は、実に百万人の国家公務員と、これに更に百万を重ねるところの地方公務員でありまして、このことを考えますると、実に無智と暴力に対する場合にも劣らぬ憤怒を覚える次第であります。(拍手政府は常に予算の均衡を口にいたします。それも諒といたします。併しながら忠実に職務に精励いたし、以て国民に十分なる奉仕をいたすことは、公務員の当然の責務でありますと共に、同時に最低の生活を保障する適正にして妥当なる給與を受けることは、これ又彼らの当然の権利であります。(拍手)富める者が米を食い、貧しい者は麦を食うということをおつしやるようなお方はいざ知らず、(笑声日本国憲法の下におきましては、全国民の民生安定の一環といたしまして、公務員の生活の保障がなされなければいけないと思います。思えば昭和二十三年七月三十一日政令二百一号によりまして、彼ら公務員は尊い団体交渉権を剥奪されまして、その代償として、政府は、彼らの福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講じなければならない義務を負うに至つたのであります。その政府が、彼らの最低の要求九千七百円べースは勿論のこと、公務員の福祉と利益を保護するたつた一つの機関たる人事院の長期に亘る努力の結晶でありますところの勧告案を無視いたしまして、今回の愚劣なる法案を我々に押付けて参りましたことは、日本国の一大悲劇であります。(笑声)苦しい生活と鬪いながら、職場を守り、家を守つておるところの幾百万の公務員並びにその家族の人々が、大いなる期待をかけまして、黙してこの白亜の議事堂を凝視し、全神経をここに集中しております今、彼らの生活の最低限度を保障せんとする私たちが、衷心よりの主張と努力にもかかわりませず、人事委員会におきまして採決の結果、七対五の多数決によりまして敗れ、ここに反対討論をしなければならないことを誠に私は悲しむものでございます。政治は飽くまで国民のためのものでなければいけません。政治は神聖なものであります。如何に口に文化を唱え平和を叫びましても、如何に危險思想の防止に努力をいたしましても、若し国民の納得の行かない政治を多数のカで強行せんとするならば、必ず国民の希望を奪い、その思想を危險の方面に導くことは、これ又必定なりと私は考えます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)過まちを改むるに憚ることなかれ。いやしくも参議院議員の良識を以て篤と御判断を頂きまするならば、かかる文明を毒すると言いたい法案を通過せしむることは、私は永久に悔いても償うことのできない汚点を議会史に残すものでありまして、反省の誠意なき政府には、もはや望みを捨てました。私たちは、議員諸君の公正なる御判断に心から待ちたいと思います。  これを以て私の討論を打ち切ります。(拍手
  42. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を願います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  43. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開銀〕    〔参事投票を計算〕
  44. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百九十五票、  白色票即ち本案を可とするもの百十二票、(拍手)  青色票即ち本案を否と、するもの八十三票、  よつて本案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名  百十二名    山本 勇造君  村上 義一君    溝口 三郎君  前田  穰君    堀越 儀郎君  藤森 眞治君    藤野 繁雄君  久松 定武君    早川 愼一君  波多野林一君    野田 俊作君  西田 天香君    徳川 宗敬君  常岡 一郎君    竹下 豐次君  高橋 道男君    高橋龍太郎君  高田  寛君    高木 正夫君  田村 文吉君    杉山 昌作君  新谷寅三郎君    島村 軍次君  西郷吉之助君    高良 とみ君  小宮山常吉君    楠見 義男君  木下 辰雄君    河井 彌八君  柏木 庫治君    加藤 正人君  岡本 愛祐君    岡部  常君  尾崎 行輝君    小野  哲君  草葉 隆圓君    尾山 三郎君  木村 守江君    長島 銀藏君  宮本 邦彦君    秋山俊一郎君  高橋進太郎君    仁田 竹一君  上原 正吉君    宮田 重文君  石川 榮一君    大谷 瑩潤君  深水 六郎君    加納 金助君  鈴木 恭一君    大矢半次郎君  野田 卯一君    植竹 春彦君  岡崎 真一君    中川 以良君  小野 義夫君    鈴木 安孝君  黒川 武雄君    横尾  龍君  岩沢 忠恭君    北村 一男君  中川 孝平君    一松 政二君 橋本萬右衞門君    徳川 頼貞君  中山 壽彦君    泉山 三六君  工藤 鐵男君    小杉 繁安君  小串 清一君    飯島連次郎君  伊藤 保平君    井上なつゑ君  赤木 正雄君    黒田 英雄君  廣瀬與兵衞君    川村 松助君 大野木秀次郎君    杉原 荒太君  長谷山行毅君    愛知 揆一君  古池 信三君    加藤 武徳君  平井 太郎君    白波瀬米吉君  山縣 勝見君    山本 米治君  岡田 信次君    西川甚五郎君  瀧井治三郎君    石村 幸作君 池田宇右衞門君    入交 太藏君  島津 忠彦君    石原幹市郎君  平沼彌太郎君    大島 定吉君  郡  祐一君    松本  昇君  西山 龜七君    山田 佐一君  堀末  治君    團  伊能君  寺尾  豊君    重宗 雄三君  大屋 晋三君    平岡 市三君  左藤 義詮君    小林 英三君  城  義臣君    松原 一彦君  平林 太一君      ―――――・――――― 反対者(青色票)氏名 八十三名    紅露 みつ君  深川タマヱ君    木内キヤウ君  谷口弥三郎君    有馬 英二君  油井賢太郎君    櫻内 義雄君  櫻内 辰郎君    中田 吉雄君  村尾 重雄君    青山 正一君  金子 洋文君    門田 定藏君  カニエ邦彦君    藤原 道子君  野溝  勝君    加藤シヅエ君  若木 勝藏君    永井純一郎君  三橋八次郎君    原  虎一君  齋武  雄君    高田なほ子君  吉川末次郎君    小林 孝平君  松浦 清一君    荒木正三郎君  菊川 孝夫君    赤松 常子君  菊田 七平君    三輪 貞治君  成瀬 幡治君    田中  一君  松永 義雄君    小泉 秀吉君  大隈 信幸君    岩木 哲夫君  片岡 文重君    伊藤  修君 小笠原二三男君    吉田 法晴君  駒井 藤平君    羽生 三七君  江田 三郎君    大野 幸一君  曾祢  益君    中村 正雄君  細川 嘉六君    須藤 五郎君  岩間 正男君    兼岩 傳一君  千葉  信君    木村禧八郎君  堀  眞琴君    水橋 藤作君  鈴木 清一君    梅津 錦一君  重盛 壽治君    東   隆君  森  八三君    佐多 忠隆君  小林 亦治君    岩崎正三郎君  相馬 助治君    千田  正君  石川 清一君    松浦 定義君  三浦 辰雄君    森下 政一君  椿  繁夫君    堀木 鎌三君  羽仁 五郎君    内村 情文君  山下 義信君    矢嶋 三義君  佐々木良作君    木下 源吾君  棚橋 小虎君    和田 博雄君  下條 恭兵君    河崎 ナツ君  上條 愛一君    森崎  隆君
  45. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第二、特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長小串清一君。    〔小串清一君、登壇拍手
  46. 小串清一

    小串清一君 只今上程せられました特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、六蔵委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申上げます。  先ず本案内容について申上げます。特別職の職員の給與については、従来一般職の職員の給與と権衡をとり、その職務の内容に応じた給與が定められて参つたのでありますが、今般人、事院の勧告に基き、一般職の職員の給與が改訂せられることになりましたので、特別職におきましても一般職と同様、給與の改訂を行い、併せて国会閉会中新たに特別職の職員となりました者を適用範囲に加えようというのであります。  改正の要点を簡單に申上げますと、第一に、国会閉会中新たに特別職の職員となり、政令で定められております者を適用の範囲に加えたこと、第二に、内閣総理大臣等の給與につきまして、一般職の職員の給與改訂と権衡を図り、且つその職務内容に応じ俸給月額をそれぞれ増額したこと、第三に、首都建設委員会委員等の給與は日額千円の範囲内で手当が支給せられているのでありますが、これを一般職の非常動職員である委員、顧問、参與等と同様に、日額千八百五十円に改めたこと、第四に、食糧配給公団の職員に支給する特別手当の総額は、俸給総額の百分の三十を超えてはならないことになつておりましたのを、一般職と同じく百分の十に改めたことであります。  本案につきまましては愼重審議し、委員諸君から熱心な質疑をされまして、これに対し政府からも詳細に亘る説明がありましたが、その経過の詳細は速記録によつて承知を願いたいと思います。かく質疑を終了し、討論に入りましたところ、油井賢太郎委員から、内閣総理大臣、国務大臣、国会議員等とその他の特別職の職員との間に権衡がとれておらないものがあるので、将来これを是正せられたい、又食糧配給公団の職員の特別手当が法律の上では百分の三十を超えぬとなつておるにかかわらず、現実には百分の二十とせられておるのは、国会の審議を無視するものと言わねばならない、今回これを百分の十にしようというのであるが、予算措置の上から止むを得ない、としても、今後給與に関しては国会の審議権を十分尊重せられたいとの希望を附けて賛成の意見が述べられました。採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  47. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  48. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  49. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案  可決報告書      ―――――・―――――  可決報告
  50. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する決律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長山田佐一君。    〔山田佐一君登壇拍手
  52. 山田佐一

    ○山田佐一君 只今議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について、議院運営委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、国家公務員の給與の引上げに伴い、国会議員の歳費及び秘書の給料を増額するため、衆議院から提出されたものでありまして、その内容は、議長の歳費を現行の四万円から六万円に、副議長の歳費を現行の三万二千円から四万八千円に、議員の歳費を現行の二万八千八百円から四万三千円にそれぞれ増額し、又秘書の給料を現行の九千円から一万二千円に増額しようとするものであります。  本議院運営委員会におきましては、本法案の提出前からその内容について愼重に協議を重ねて参つたのでありまするが、このたび提出を待つて正式の審査に入り、質疑及び討論を省略して採決の結果、多数を以て可決すべきものと議決いたしました。  以上を以て御報告を終ります。(拍手
  53. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  54. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  55. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐君登壇拍手
  57. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今議題となりました地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の地方行政委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申上げます。  先ず本法案の提案の理由といたしますところは、全国大多数の地方公共団体におきましては、その議会の議員及び長の選挙が、公職選挙法の規定によりますれば、明年地方公共団体の予算編成時期に行われることになるのでありますが、これを避けまして、地方公共団体の議員及び長をして、選挙に煩わされることなく、明年度予算編成並びにその審議に当らしめるため、選挙の期日を四月下旬以降に定めると共に、これらの各選挙をできるだけ同時に行わしめて、選挙事務の合理化と経費の節減を図ることが適当と考えるというのであります。  以上の趣旨によりまして、本法案は、第一に、公職選挙法に対する特例を設け、この法律施行の日から昭和二十六年四月二十九日までの間にその任期が満了すべき都道府県及び市町村等の議会の議員の任期満了による一般選挙は、四月二十九日に同時にこれを行い、又この法律施行の日から昭和二十六年五月二十日までの間にその任期が満了すべき都道府県知事及び市町村長等の任期満了による選挙は五月二十日に同時に行うこととし、第二に、この期間内においては議会の議員の数がその定数の二分の一を欠き、議会が成立しない状態となつた場合のほかは、議員の再選挙又は補欠選挙を行わないこととし、第三に、この法律施行の日において現に退職の申出をしておる長の後任者の選挙のほかは、明年五月二十日までの間に長が欠けても、その選挙はすべて五月二十日に行うこととし、第四に、議員の選挙に立候補した者については、同時選挙の趣旨の徹底と選挙の公正とを期するだめ、同一区域について行われる長の選挙の候補者とはなれないこととし、なお現在公職選挙法の規定中、地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了前に行う任期満了による選挙の告示後に議員又ば長が欠けた場合の選挙の取扱い並びにそれらの後任者の任期の起算方法に関する部分について若干の改正を加えております。  次に、地方行政委員会における質疑応答の主なものを一、二申上げますと、選挙期日は如何なる考えに基いてかように定められたかとの質問に対し、政府側より、成るべく現行法を尊重し、最少限度に動かすことを考えて本法案のごとくきめたのであるとの答弁があり、又本案によれば相当長い期間に亘つて地方公共団体の長の空席を生ずるが、この場合何故にその任期の延長を考えなかつたかとの質問に対しては、政府側より――選挙の期日まで任期の延長を規定することは、現職者を不当に有利ならしめて、選挙の公平を失する虞れがあり、又副知事、市町村の助役等、地方公共団体の長に、あつては、長を欠く期間中その職務を代行する者もあるのであるから、特に任期延長の必要を認めなかつたのであるとの答弁がありましたで、地方行政委員会におきましては、本法案の重要性に鑑み、十二月十四日には特に東京大学教授杉村章三郎君ら五名の参考人より意見を聴取する等、慎重に審査を重ね、最もよい修正の可能性をも考慮いたしました。その考慮の重点は、知事選挙、市町村長選挙、都道府県議会議員選挙、市町村議会議員選挙の四つを同時に行うことが理想的であるが、現状ではそれは実行不可能であるから、この四者を二つずつに組合せて行うことは止むを得ない。併し如何にこれを組合せて行うか、即ち地方公共団体ごとの選挙、即ち知事と都道府県議会議員の選挙を組合せて同時に行い、別に市町村長と市町村議会議員の選挙を組合せて同時に行うことが政府原案よりも優れておるかどうか、又大多数の、知事、市町村長の任期満了日は四月四日であるが、その直前直後にその選挙を行うことは、政府側の言うがごとく、予算編成に支障を来たすから、これを避けることは適当であるが、政府原案のごとく、その選挙日を五月二十日とするときは、地方公共団体の長の欠員期間が四十数日に亘るという欠点を生ずるから、これを防止すべき方法がないかどうか等の諸点でありました。  かくて本十六日討論に入りましたところ、国民民主党の岩木哲夫君より、国民民主党、社会党及び第一クラブの共同修正案が提出されました。右修正案は、政府原案が市町村と都道府県とを通じて地方公共団体の議会の議員の選挙と長の選挙とに分けて選挙を行う建前をとつておるのに対して、市町村と都道府県の団体ごとに、その長と議会の議員の選挙を組合せて選挙を行い、市町村関係の選挙は四月二十五日に、都道府県関係の選挙は四月三十日に行おうとするものであります。右修正案だ対して、社会党の中田委員及び小笠原委員より賛成の討論があり、自由党の高橋委員より修正案反対、原案賛成の討論がありました。次いで採決に入りましたところ、修正案に対しては八対五を以て可決せられ、修正案を除く原案については全会一致を以て可決せられ、本案はここに修正可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  58. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 委員会修正案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。安井謙君。    〔安井謙君登壇拍手
  59. 安井謙

    ○安井謙君 本員は自由党を代表いたしまして、政府提出の原案に賛成の意を表するものであります。  そもそも本案提出の動機について考えまするに、先ほど委員長からの御報告もありましたごとく、明年四月に行われまする地方公共団体の公職選挙の時期がたまたま予算編成とか或いは年度替りといつた重要なる時期に遭遇いたしますために、この地方選挙の時期を若干繰延べて、地方行政の運営に支障なからしめんという意図にあつたことでありまして、飽くまでこの動機は地方行政運営上の便宜から来ておるものにほかならないのであります。(「便宜主義だ」「自由党の選挙」と呼ぶ者あり)従いまして、この措置の是非につきましては、技術上の観点その他から現行法といろいろ矛盾を来すことがあるのは当然でありまして、事実、委員会審議過程におきましてもいろいろと議論は沸騰いたしたのであります。併しながら、飽くまでこれが便宜上の特例であるという性質上から、その本質から見まして、これはベスト案であるという修正意見、即ち決定版はらいに我々の感ずるところでは出なかつたのであります。本案政府原案の内容につきましては、先ほども委員長から説明がありました通り、地方団体の長の選挙期日を五月二十日に延期いたすと同時に、議員の選挙につきましては現行法に準じた期日に行うという、即ちでき得る限りこの選挙期日の変更を小範囲にとどめようとする意図に出ておるのでありまして、又全国一齊に行われますこの複雑な地方選挙を、二回に、相当な期間を分けまして行いますことによりまして、各種の事務上の繁雑と選挙民の判断とを誤まらないように原案は仕組まれておりますので、我々はこれを最も妥当な措置であると考える次第でございます。  然るに本案に対する先ず反対論者の論拠を伺つておりますと、この選挙法の改正の意図が何らかの政治的意図に出たるやの(「その通り」と呼ぶ者あり)先入観を持つて御議論をなさつておるように伺えるのであります。(「その通り」「当り前だ」と呼ぶ者あり)これはこの取扱いにつきにましては、渦般我々が公聽会を開きました際にも、朝月新聞、毎日新聞の荷政治部責任者からもその点を指摘されたのでありますが、先ほど申上げましたごとく、これは飽くまでも臨時的な特例に過ぎないことは、本案内容を仔細に御覧下されば相わかることであろうと存じます。(「臨時だからどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)この法案に対する反対の議論の第一点は、この長の選挙を議員の選挙のあと廻しにする、これが即ち間接選挙の弊に陥り、長の選挙に対して不公平である(「その通り」と呼ぶ者あり)という御議論でありますが、長の選挙につきまして、これを支持する党派、或いは議員、或いは住民がこれに対しまして挙つて応援をいたしますことは当然でありまして長の選挙が議員選挙のあと先になるということは、何ら本質的な矛盾がないということは、およそ常識を以て判断できるところであります。(拍手、「そんな議論は駄目だ」「兄貴に聞け」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  第二に、五月二十日まで長の選挙を延長いたしますことは、約四十五日間の首長の空白を存する、(「その通り」と呼ぶ者あり)これが地方自治の運営上甚だ不都合である、こういう御議論であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しながらこれ又およそ首長が選挙に立ちます以上は、三十数日間は当然空白になるのでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)僅か十日ばかりその定められました代理者によつてどうして運行ができないということが言えましよう。これ又反対根本論拠になり得ないものであろうと存ずるのであります。(拍手、「なつちやいないぞ」「市長会が反対してるんだ、市長会が」「恥かしくないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)むしろ議員の選挙期日を延期いたす修正案によりまして、議員が数日乃至十数日の空白期間を持つということは、議会自体が必要以上の空白を持つということでありまして、地方行政の民主的な運営上からは、代理者のいない議会に空白状態を生ずることのほうが、より不合理であると言わざるを得ないのであります。(拍手)  次に今回提出されました修正案についてでありますが、修正案によりますと、四月二十五日と三十日と、この地方を挙げての大選挙をたつた五日間の期間を置いて殆んど同時に行おうとするものであります。(「この前やつたじやないか」と呼ぶ者あり)先ず第一に、今おつしやる通り、これは前例があるということで以て、この大選挙の選挙施行上の技術上の困難を抹消されようとしておるのでありますが、当時の選挙と今回の選挙とは甚だ内容が異なつておるのであります。(「どうして」と呼ぶ者あり)わからないから申上げますが、今日は公営選挙ということになりました。公営選挙によりまして、立会演説会、或いは掲示、その他いろいろと公営上の手続は、選挙管理人にとりましては前回の数倍の煩瑣な手続を要することに相成つておるのであります。(「役人の選挙じやないぞ」と呼ぶ者あり)同時にこの複雑多岐に亘る大選挙を僅か五日間の間で行いますことは、この投票の技術士の点におきまして、現に選挙管理委員会その他において大変な不満と反対の意を表明しておることは、委員会の当然承知いたしておることであります。(拍手)又選挙民にとりましても、この四つの複雑なる選挙を殆んど同時に重複していたしますことは、各人の少くとも脳裡にありまする候補者の判断を誤まらしめる因にもなる、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)従いまして無効投票の続出ということの危險を伴なうことを我々は憂慮いたすものであります。(「封建思想」「筋の通つたことを言え」「だまつて聞け」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)更に長の選挙につきましては、御承知の通り八分の三以上の投票数を獲得できなかつた場合におきまして決選投票という面倒な手続があります。(「それは特例だ」と呼ぶ者あり)この決選投票は、特例であろうとどうでありましようと、あることは嚴然たる事実でありまして、この地方の選挙を二回に分けてやるということによりまして、更にもう一度決選投票が殖えるという、選挙の上に選挙、選挙の上の選挙と、誠に混乱の状態を来たすであろうということは、当然賢明なる議員諸君の御推測の通りであります。又有効投票、或いは投票率の向上とか、その他の点につきましても、平日を外すとか、いろいろ選挙の技術上の点を考慮されております原案に我々は賛成せざるを得ないのでありまして、この複雑な、而も第二回目の画期的な投票におきまして、最も賢明愼重なる投票を行使するという建前よりいたしまして、我々は政府原案に賛成をせざるを得ないのであります。(拍手、「まだ言い残したことはないか」「支離滅裂」と呼ぶ者あり、その他発言する者し)
  60. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 岩木哲夫君。    〔岩木哲夫君登壇拍手
  61. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は国民民主党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする該法律案に対しましての修正意見に対し、賛成の意を表するものであります。(拍手)  只今皆様もお聞きの通り、自由党の安井君が、政府原案はベストな案でない、決定版でないということを告白いたしておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)元来私たちはこの法律案に殊更反対せんがために反対をしようという考え方及び論拠はいささかも持つておりません。ただこの法律案が、当参議院において、先の国会において何故審議未了になつたかという、この委員会審議の経過に鑑みましても、又只今自由党の安井君がそれぞれ御意見を発表されたに対し、最も野党色のある社会党その他のかたがたが痛烈なる反駁をいたして議場を騒然といたしておる事態に見ましても、この法律案が非常な問題な点があるから、我が参議院におきましては一層愼重を期さねばならんという観点に立つて、当国会に引続き論議が重ねられて来たところであります。(拍手)私は今回政府の提出されておりまする法律案につきまして、先ほど申上げました通り、あえて反対をしようとは思うておらない。ただ欠点があるから、その欠点を指摘して修正をいたさんとしたわけであります。政府が意図されておりまするこの法律案の欠点といたしましては、  第一に、この選挙の方法をとりますることは、地方自治の達成を図る上に、且つ地方自治のそれぞれの執行機関の長、地方自治の決議機関の議員を選挙するには、全く違法であるということを私は指摘したいのであります。これは先ほど安井君も御指摘になりましたが、即ち政府原案によりますれば、都道府県の議決機関の議員の選挙を先にやつて、執行機関の長をあとからやるということは、而もこの間の間隔を長い間置いておくということは、間接選挙の現象が生ずることは明らかであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ここに大きな問題があることが第一点でありまして、かような方法をとることは、現在の国会のごとく、総理大臣を間接選挙によつて構成する国会の方法と著しく相違をいたしまする地方官の達成、地方自治の目的を速かに達成する民主的な方法といたしましては、かような方法は犬なる誤まりがあるということを先ず指摘いたしたいのであります。(拍手)  第二点は、政府原案によりますれば、即ち都道府県の議員と市町村の議員とを同時に選挙いたしますることは御承知のごとく都道府県の地方自治の性格、その行政の内容、特にとりわけ当面する行政事務再配分の問題、殊更税金の問題等に鑑みまして、非常にその性格と行政内容、且つ税金その他の各般の問題が相違いたしておるのであります。これらの問題を一緒に選挙目標として選挙民に並べ出すということは、政府の最も意図する選挙の結果が昏迷に降り、それぞれの自治体の議員が、市町村の議員が県会の議員か非常に明確を欠き、その主張する政策、行政内容、あらゆる点に非常に混乱を来たして、却つて選挙に間違いを生ずる点を指摘したいのであります。かような工合に、現在意図する政府の二つの組み方の本法は、最も政府の考える点の欠点をみずから暴露いたしておるということを私は指摘いたしたいのであります。  第三点は、空白が生ずるということであります。即ち現在の政府原案によりますれば、執行機関の長の五十日号及ぶ空白が生ずるということは、もとより執行機関にはそれぞれの代理者がありまするけれども、現下極めて国際情勢、極めて地方自治に重要なる段階でありまして、殊に政府が平衡交付金の問題につきましても、地方公務員の問題につきましても、その他、地方財政の上におきましても、現下極めて国際的におきましても、国内的におきましても重要なるときに、執行機関の長の五十日に亘る空白が起るということのやり方は、地方自治を速かに達成し、地方自治の目的によつて我が国の総合的な中央地方の政策を遂行せんとする政府の全き政策とは人なる矛盾を来たしておるということを指摘いたしたいのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)  第四番目は、只今安井君も御指摘になりましたが、これは感覚の相違か存じませんけれども、我が参議院で特に本法案に対し慎重なる議論、活溌な議論の生じたのは、この選挙のやり方は、何らか政治的意図或いは政治的臭いが濃厚であるという点に(「嘘言え」と呼ぶ者あり)極めて問題が多いのであります。(拍手)現在の政府及び自由党の説明によりますれば、かような問題はいささかもないとは申しておりまするが、今日公述人のいろいろ議論を聞きましても、又世論、一般の論評を考えましても、その他各般の陳情内容を見ましても、この点ば指摘しておるところが大いにたくさんあるのでありまして、あえて私たちは猜疑の眼で、猜疑の耳を以てこれに相接せんとするのではありませんけれども、特にかような政治臭味、政治の特定の方法に基くかような日取りの組み方をしたというところに極めて問題があると考えるのであります。  以上の四点を靜かに考えました場合に、我が国会の第二院の参議院におきましては、かような立場におきまして、最も公正にこれを慎重審議すべき役目がある場合に、特に選挙の場合におきましては純理でなくてはいかん、公正でなくてはいかないという観点から、我々は超党派的に、只今委員長報告がありましたる通り修正意見を有したわけであります。その修正の骨子ば、大体おわかりでありまする通り、地方公共団体のうち、その執行機関、いわゆる県知事と県会議員、都道府県知事と都道府県会議員の選挙を同じ日にするということと、又市町村長の選挙と市町村の議会議員との選挙を同じ日にするということであります。この問題は、現に選挙管理委員会のかたがたも、その趣旨ば全く同感であると、又政府におきましてもこれは全く結構な話だといたしておるのであります。ただこの日眠りを如何にするかというところにいろいろ問題があるのでありますが、この際、我々の修正意見の骨子なるものは、市町村の長とその議会議員の選挙を四月二十五日とし、都道府県知事と都道府県会議員の選挙を四月三十日といたしたわけであります。かような方法を取組みますることは、前段に申上げましたる通り、おのおのその自治体の性格、行政内容税金の問題、各般の問題がそれぞれ異なつておりますから、先ず最も枠の小さい市町村とその議会議員を四月二十五日の先にいたしまして、それから後に、大きい選挙である都道府県知事とその議会議員の選挙をいたしますることは極めて合理的である。ただ問題は、只今安井君も御指摘になつた通り、日が五日間の間隔を直くということは、選挙管理委員会の事務に非常に手数がかかる、非常に困るということでありますが、これはいささかは多忙かもわかりませんが、絶対に不可能な問題でないということは、御案内のごとく昭和二十二年の選挙におきましては、四月二十日に参議院の選挙を行い、四月二十五日に衆議院の選挙を行い、四月三十日に都道府県の議員並びに市町村の議員を、この三つを立て続けに五日間置いてやつた事例もあるのでありまして、その後、選挙訓練に相当日のたつておりまする今日におきましては、而も各般の用意を現在いたしておる段階といたしましては、これが事務の煩瑣が到底堪えられないということの理論は成り立たないのでありまして、これらの理論は、我々どうも賛成し難い点であるわけであります。かような見解に基きまして、私たちは、特に参議院の性格におきましては公正妥当、而も二院制度の妙を得まして、最も論議の中心である点を率直にこれを分解作用いたしまして、公正妥当、純理の立場でかような修正をいたすことこそ、参議院の使命の最も重大顯著なるものと確信いたしまして(拍手)かような方法をとつた次第であります。  何とぞ御賛同を煩わしてやみません。(拍手
  62. 三木治朗

    ○副議員(三木治朗君) 中田吉雄君。    〔中田吉雄君登壇拍手
  63. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題に供されましたる案に対しまして、政府案を批判いたしつつ修正案に賛成の趣旨を弁明いたしたいと存じます。  先ず第一に、政府は、第九国会に提案されたものと全く同一な法案をそのまま第十国会に提案されていますところの基本的な態度に対しまして、鋭く猛省を促さんとするものであります。衆議院におきまして可決ざれながら、参議院においてあえなくも審議未了になりましたことは、決して野党の徒らなる遷延策や政府に対するいやがらせではないのであります。それは本法案が極めて多くの矛盾と許しがたいところの欠点を有するからであり、そのことは地方行政委員会におきまして余すところなぐ指摘された次第であります。然るに政府は、これらの正しい意見と、澎湃として起る世論を参酌いたしまして、よりよき法案として地方住民の輿望に応えるという謙虚な態度をとられませずして、参議院はうるざいものである、衆議院において多数を占める自由党の威力を誇示するためにも、原案を一挙押切るべきであるという態度をとられましたことは、全く神を、真理をも恐れないところの、單に数を頼みとするところの一種の暴力政治とも指摘すべきであります。(拍手)  更にそれのみではありません。吉田内閣衆議院において二百八十五名、参議院において七十五各の議席を占め、憲政史上においても稀な多数党内閣であるにもかかわらず、なおそれでも足らないといたしまして、巷間伝えられるような国際危機に藉口し、挙国政権の美名の下に忌わしい方法によつて多数党の工作をなと、政局の安定を期せんとするがごときことが若しありといたしますならば、真に国政運用上憂慮に堪えない次第であります。(「いよいよ不安定になるぞ」と呼ぶ者あり)自由党内閣に最も必要なことはこれ以上の数ではありません。謙虚に国民の声なき声を反省される点であります。(「頑張れ」と呼ぶ者あり、拍手)  第九国会において審議未了になりました重要法案を、全部そのまま、修正改善されることなく、ここに提案されましたところに、救いがたい自由党の基本的な性格が現われていると存じます。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手反対意見に対しまして寛容なる態度のないこのような態度が今後長きに亘つてとられますならば、議会運営上重大な支障を果たすではないかということを心配いたしまして、僣越ではありますが、あえて一言する次第であります。(「僣越にあらず」と呼ぶ者あり)  第二に、本法案の致命的な欠陷は議員の選挙を先にし、長の選挙を後にした点であります。議員の選挙と長の選挙のいずれを先にすべきかということに対しまして正しい判断を下しますためには、昭和二十二年四月法律六十七号を以て制定されましたところの現行自治法について謙虚な反省をして見ることが必要であります。従来の知事は、住民の意思にかかわりなく天皇によつて任命されました。市長は、内務大臣が市会をして推薦せしめ、勅裁を経て選任いたし、更に町村長は、町村会が選挙し、知事の認可を受けて決定したのであります。いわゆる間接選挙の制をとりまして、これは名は自治でありますが、住民の意思が端的に反映されず、官治的な色彩が極めて濃厚であり、これが我が国を誤まらしめました彼の有名なプロシア制度の伝統を汲むものでございます。併し敗戰の苦しい体験からいたしまして、現行自治法は、自治体の長は住民が直接選挙をするというアメリカの大統領制度に範をとつたのであります。これによつて地方公共団体は、その議会と長を二つの支柱といたしまして、全く独立し、主体性を保ちながら、相互の牽制と協力の上に立つて地方政治を展開するという三権分立の主義を完全に貫いているのであります。これは地方自治の画期的な前進です。かかる観点からいたしまして、昭和二十二年四月五日に長を、四月三十日に議員の選挙を行うことになりましたのは、全く以上の新精神に則つて愼重な配慮によつて決定されたものであります。然るに今回の改正案では、これは全く反対にいたしまして、議員を先に長を後にしています。若しこの制度採用されまするならば、知事や市町村長に立候補せんとする者は、必ず先に当選しました新議員にその応援を依頼し、その基盤と背景の上にみずからの選挙を進めることは、過去の経験に徴しまして明らかでございます。かくては実際上は旧自治法の間接選挙の復活となり、知事や市町村長は議会に従属的な立場に置かれ、その独立性を喪失し、現行自治法の精神を根本的に否定するものと言わなくてはなりません。特に申上げなくてはなりません点は、我が国の中央の政治は、先ず議員を選挙しまして、その上に首班を決定するというイギリスの議院内閣制をとつていますが、実態の異なります地方自治におきましては、そのような制度採用せずに、完全に長と議会とを分離して行くという立場を堅持しています。発展途上にありますところの地方自治におきまして、数多くの不正や或いは腐敗というようなものが起つていますが、これは知事や市町村長が議会に従属いたしまして、議員の不当な要求を抑え得ないか、或いは議会が知事や市町村長の不正不当を嚴しく批判しないが、或いは両者の馴れ合いによつて免れるか、そのいずれかであります。この際、最も大切なことは、議員と長の双方が十分独立性が保てるようた仕方において選挙の期日を決定するということが根本でございます。従つて来春の改選期がたまたま予算編成期に当りますので、それを避けるといたしましても、依然として長の選挙を先にするか、或いは地方公共団体ごとにいたしまして、決して如何なる場合にも長の選挙を後にするようにしてはならないのです。政府は先国会に公務員法によつて公務員の政治活動を制限し、更に今回の改正法案によつて議員の選挙を先にいたしまして、その余勢を駆つて、自党の知事や市町村長を多数獲得せんとするところの遠大な計画を以て樹立されたところの選挙対策の一環が、実に本法案であります。併し賢明なる皆さん、四カ年間の長きに亘り地方住民の負託に応える議員と長は極めて重大であり、決して一党一派によつて二、三にすべきものではありません。自治法の根本精神によつて立案すべきであります。我々は、政府改正法案の裏面に潜みます意図に対しては、地方公務員法と共に参議院の良識に従つて嚴しく批判すべきであります。  第三に、今回の政府提案は、知事と市町村長、都道府県会議員と市町村会議員と同時に選挙を行うという昭和二十二年の方式がそのまま踏襲されています。併しこれは、その後、昭和二十五年四月、法律第百号を以て制定されました公職選挙法の新精神を正しく理解しないものでざいます。同法第三十三條には選挙の告示は、都道府県議会の議員と知事は投票日の少くとも三十日前に、市町村長と市町村会議員は投票日の少くとも二十日前に告示をするように規定いたしまして、同法の基本的な精神は地方公共団体ごとの議員と長との同時選挙を予想しているわけでございます。なお、この地方公共団体ごとの同時選挙の修正案の利点は、都道府県と市町村との選挙費用の負担区分がはつきりする点でございます。選挙費用はおよそ三十億から四十億の巨額に達しますが、府県と市町村どの選挙を組合せまして行います場合には選挙費用の負担区分が明瞭でありません。必ず府県は市町村にその多くを転嫁いたしまして、最も弱い市町村財政が必要以上に圧迫されるという事例の起りますことは、過去の経験に徴して明白であります。新地方税法は附加税制度を撤廃していますが、この府県と市町村とのからみ合いは、あたかも地方税制度における附加税制度のような古い制度を踏襲するものと言わなくてはなりません。従つてこのような弊害を是正いたしますためには、府県を市町村の選挙をはつきり分けて行い、府県が市町村に委託しましてこれを行なつた場合には、それ相当額を市町村に支給するという原則を打立てるべきでございます。修正案はこの趣旨に完全にマツチするものです。  これを要しまするに、一、三権分立の地方自治法の趣旨が十分生かされること、二、公職選挙法の新精神に合うこと、三、長と議員の空席をできるだけ少くすること、四、選挙事務が能率的で又経費の節減に役立つこと、これらの諸点を勘案いたしますなら、修正案は、政府提案の正しい意図だけを生かしまして、そしてその持つ欠点はほぼ完全に除き得る、そして考え得る最良の案であると我々は考えるものでございます。ただ市町村と府県の選挙期日が二十五日と三十日では、間隔が余りに少いではないかという点は、先に指摘されたところでございます。併し行政区域の狭い市町村の選挙が先でありますので、技術的な困難性は全くないと私ども乏しい経験に徴しましても確信いたします。特にこの点、全国選挙管理委員会が強く主張いたしまして本来純技術的であるべき委員会が、政府案支持のためにポリテイカルに動いた点には極めて遺憾の意を表さざるを得ません。併し我々は、岩木議員からも指摘されましたように、昭和二十二年四月五日に知事と市町村長、四月二十日に参議院選挙、四月二十五日に衆議院、四月三十日に府県会議員と市町村会議員の選挙が行われ、地方の選挙管理委員会は極めてその事務能率の高いことを実証した点を主張いたしまして、その筋におきましてはむしろ知事の空席が余りに長過ぎるではないかということを指摘し、我々の修正案に賛成されたわけであります。特に政府案のごとく知事の空席が余りにも長いという点は、決選投票の十五日を考えて見ましても、自治法百六十二條におきましては副知事と助役が置けるようになつておりますが、すでにその副知事の任期も満了して、全く行政機関の長のない空間ができます。国政のように議院内閣制をとるところでありますれば別でありますが、地方自治体のように、大統領制をとつて、長と議会との二つによつて初めて地方自治体が存立するという使命に鑑みましても、余りにも空間を長くした点は自治法の精神に反するものであると我々は考えるわけであります。  以上の諸点からいたしまして、私は政府案の持つ矛盾を指摘いたしまして、修正案は地方住民有権者の輿望に最もよく応え得るところの案であることを確信するものであります。先に地方公務員法に示されたところの良識を我が参議院においてここに再び表明して頂きますように心から念願いたしまして、社会党の立場を表明する次第であります。(拍手
  64. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。先ず委員会修正案全部を問題に供します。本修正案の表決は記名投票を以て行います。本修正案に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  65. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  66. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百九十八票、  白色票即ち本修正案を可とするもの百十八票、(拍手)  青色票即ち本修正案を否とするもの八十票、  よつて修正案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名  百十八名    山本 勇造君  溝口 三郎君    前田  穰君  藤森 眞治君    藤野 繁雄君  徳川 宗敬君    常岡 一郎君  竹下 豐次君    高橋 道男君  高橋龍太郎君    高木 正夫君  杉山 昌作君    新谷寅三郎君  西郷吉之助君    高良 とみ君  小宮山常吉君    楠見 義男君  木下 辰雄君    河井 彌八君  片柳 眞吉君    奥 むめお君  岡本 愛祐君    井上なつゑ君  紅露 みつ君    深川タマヱ君  木内キヤウ君    竹中 七郎君  谷口弥三郎君    有馬 英二君  油井賢太郎君    櫻内 義雄君  西田 隆男君    林屋亀次郎君  櫻内 辰郎君    中田 吉雄君  村尾 重雄君    青山 正一君  金子 洋文君    門田 定藏君  清澤 俊英君    カニエ邦彦君  藤原 道子君    島   清君  野溝  勝君    加藤シヅエ君  若木 勝藏君    永井純一郎君  三橋八次郎君    原  虎一君  齋  武雄君    高田なほ子君  吉川末次郎君    小林 孝平君  松浦 清一君    荒木正三郎君  菊川 孝夫君    赤松 常子君 深川榮左エ門君    菊田 七平君  三輪 貞治君    成瀬 幡治君  田中  一君    松永 義雄君  小泉 秀吉君    大隈 信幸君  岩木 哲夫君    片岡 文重君  伊藤  修君    小笠原二三男君  吉田 法晴君    駒井 藤平君  小川 久義君    境野 清雄君  稻垣平太郎君    羽生 三七君  江田 三郎君    大野 幸一君  曾祢  益君    中村 正雄君  細川 嘉六君    須藤 五郎君  岩間 正男君    兼岩 傳一君  千葉  信君    木村禧八郎君  堀  眞琴君    水橋 藤作君  鈴木 清一君    梅津 錦一君  重盛 壽治君    東   隆君  森 八三一君    佐多 忠隆君  小林 亦治君    岩崎正三郎君  相馬 助治君    千田  正君  石川 清一君    松浦 定義君  三浦 辰雄君    森下 政一君  椿  繁夫君    堀木 鎌三君  松原 一彦君    羽仁 五郎君  内村 清次君    山下 義信君 池田七郎兵衞君    矢嶋 三義君  佐々木良作君    木下 源吾君  棚橋 小虎君    和田 博雄君  下條 恭兵君    河崎 ナツ君  上條 愛一君    森崎  隆君  平林 太一君     ―――――――――――――  反対者(青色票)氏名  八十名    村上 義一君  田村 文吉君    島村 軍次君  柏木 庫治君    加藤 正人君  小野  哲君    草葉 隆圓君  尾山 三郎君    木村 守江君  長島 銀藏君    宮本 邦彦君  秋山俊一郎君    高橋進太郎君  仁田 竹一君    上原 正吉君  宮田 重文君    石川 榮一君  大谷 瑩潤君    九鬼紋十郎君  深水 六郎君    加納 金助君  鈴木 恭一君    大矢半次郎君  野田 卯一君    植竹 春彦君  岡崎 真一君    中川 以良君  小野 義夫君    鈴木 安孝君  黒川 武雄君    横尾  龍君  石坂 豊一君    岩沢 忠恭君  北村 一男君    中川 幸平君  一松 政二君    橋本萬右衞門君  徳川 頼貞君    中山 壽彦君  泉山 三六君    工藤 鐵男君  小杉 繁安君    小串 清一君  赤木 正雄君    黒田 英雄君  廣瀬與兵衞君    川村 松助君 大野木秀次郎君    杉原 荒太君  長谷山行毅君    愛知 揆一君  古池 信三君    加藤 武徳君  平井 太郎君    白波瀬米吉君  山縣 勝見君    安井  謙君  山本 米治君    岡田 信次君  西川甚五郎君    瀧井治三郎君  石村 幸作君    池田宇右衞門君  入交 太藏君    島津 忠彦君  石原幹市郎君    平沼彌太郎君  大島 定吉君    郡  祐一君  松本  昇君    西山 龜七君  堀  末治君    團  伊能君  寺尾  豊君    重宗 雄三君  大屋 晋三君    平岡 市三君  左藤 義詮君    小林 英三君  城  義臣君      ―――――・―――――
  67. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に只今可決せられました修正の個所を除き、残り全部を問題に供します。残り全部に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  68. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て修正議決せられました。      ―――――・―――――
  69. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 参事に報告いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕 本日議員中村正雄君外十七名から委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。  参議院規則の一部を改正する規則案     ―――――――――――――
  70. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、参議院規則の一部を改正する規則案(中村正雄君外十七名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。  本案につきましては中村正雄君外十七名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。中村正雄君。    〔中村正雄君登壇拍手
  73. 中村正雄

    ○中村正雄君 只今議題となりました参議院規則の一部を改正する規則案につきまして、発議者を代表して提案の趣旨を御説明申上げます。  今回の改正点は、第一に、諸般の情勢に基きまして外務委員会の定員を増員する必要があると認められまするので、その数を二十人といたし、これに応じて他の委員会の定員に調整を加えたことであります。第二といたしましては、先般設置せられました公益事業委員会、土地調整委員会及び首都建設委員会は、いずれも総理府の外局でありますので、常任委員会の所管としては内閣委員会の所管となるわけでありまするが、これらの委員会は、その所管事務の内容よりいたしまして、それぞれ通商産業委員会及び建設委員会の所管とすることが適当と認められますので、その趣旨の改正を加えようとするものであります。  本案につきましては、議院運営委員の間におきまして事前に十分な協議を逐げ、発議に至りましたものであります。何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられんことをお願い申上げる次第であります。(拍手
  74. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者……〕
  75. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 起立者の多少を認定しがたいので、本案の表決は記名投票を以て行います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕    〔中村正雄君発言の許可を求む〕
  76. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 中村君。
  77. 中村正雄

    ○中村正雄君 只今の投票につきましては、記名投票という御宣告がありましたが、一応各会派の出席を求めます関係上、暫時休憩の動議を提出いたします。
  78. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 只今の動議のごとく休憩することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  79. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 休憩に賛成のかたの起立を求めます。    〔起立者少数〕
  80. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 起立者少数と認めます。  よつてこれより記名投票を行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の開銀を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  81. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めす。これより開票たします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開銀〕    〔参事投票を計算〕
  82. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百七十一票、白色票即ち本案を可とするもの八十二票、  青色票即ち本案を否とするもの八十九票、  よつて本案は否決せられました。(拍手)      ―――――・―――――    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名  八十二名    高橋 道男君  杉山 昌作君    小宮山常吉君  片柳 眞吉君    赤木 正雄君  竹中 七郎君    油井賢太郎君  林屋亀次郎君    中田 吉雄君  村尾 重雄君    青山 正一君  金子 洋文君    門田 定藏君  清澤 俊英君    藤原 道子君  島   清君    野溝  勝君  加藤シヅエ君    若木 勝藏君  永井純一郎君    三橋八次郎君  原  虎一君    齋  武雄君  高田なほ子君    吉川末次郎君  小林 孝平君    松浦 清一君  荒木正三郎君    菊川 孝夫君  赤松 常子君    三輪 貞治君  成瀬 幡治君    田中  一君  松永 義雄君    小泉 秀吉君  大隈 信幸君    岩木 哲夫君  片岡 文重君    伊藤  修君 小笠原二三男君    吉田 法晴君  境野 清雄君    羽生 三七君  江田 三郎君    大野 幸一君  曾祢  益君    中村 正雄君  須藤 五郎君    岩間 正男君  兼岩 傳一君    木村禧八郎君  堀  眞琴君    水橋 藤作君  梅津 錦一君    重盛 壽治君  東   隆君    森 八三一君  佐多 忠隆君    小林 亦治君  岩崎正三郎君    相馬 助治君  千田  正君    石川 清一君  松浦 定義君    三浦 辰雄君  森下 政一君    椿繁  夫君  堀木 鎌三君    松原 一彦君  羽仁 五郎君    内村 清次君  山下 義信君   池田七郎兵衞君  矢嶋 三義君    佐々木良作君  木下 源吾君    棚橋 小虎君  和田 博雄君    下條 恭兵君  河崎 ナツ君    森崎  隆君  平林 太一君     ――――――――――――― 反対者(青色票)氏名  八十九名    村上 義一君  溝口 三郎君    前田  穰君  藤森 眞治君    藤野 繁雄君  徳川 宗敬君    常岡 一郎君  竹下 豐次君    高橋龍太郎君  高田  寛君    高木 正夫君  田村 文吉君    新谷寅三郎君  高良 とみ君    楠見 義男君  木下 辰雄君    河井 彌八君  柏木 庫治君    加藤 正人君  奥 むめお君    岡本 愛祐君  岡部  常君    草葉 隆圓君  尾山 三郎君    木村 守江君  長島 銀藏君    宮本 邦彦君  秋山俊一郎君    高橋進太郎君  仁田 竹一君    上原 正吉君  宮田 重文君    石川 榮一君  大谷 瑩潤君    九鬼紋十郎君  深水 六郎君    加納 金助君  鈴木 恭一君    大矢半次郎君  野田 卯一君    植竹 春彦君  岡崎 真一君    中川 以良君  小野 義夫君    黒川 武雄君  横尾  龍君    石坂 豊一君  岩沢 忠恭君    北村 一男君  一松 政二君   橋本萬右衞門君  徳川 頼貞君    中山 壽彦君  小杉 繁安君    小串 清一君  黒田 英雄君    廣瀬與兵衞君  川村 松助君   大野木秀次郎君  杉原 荒太君    長谷山行毅君  愛知 揆一君    古池 信三君  加藤 武徳君    平井 太郎君  白波瀬米吉君    山縣 勝見君  安井  謙君    山本 米治君  岡田 信次君    西川甚五郎君  瀧井治三郎君    石村 幸作君 池田宇右衞門君    入交 太藏君  島津 忠彦君    石原幹市郎君  平沼彌太郎君    大島 定吉君  郡  祐一君    松本  昇君  堀  末治君    團  伊能君  寺尾  豊君    大屋 晋三君  平岡 市三君    左藤 義詮君  小林 英三君    城  義臣君      ―――――・―――――
  83. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 先ほどの地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の採決の結果の宣告に当り、議長は、「よつて全会一致を以て修正議決せられました」と申しましたが、これは單に「よつて修正議決せられました」と宣告すべきでありました。ここに訂正いたします。(拍手)  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後四時五十一分休憩      ―――――・―――――    午後八時三十一分開議
  84. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
  85. 中村正雄

    ○中村正雄君 本員は電力問題に関する特別委員会を三十人の委員を以て構成するの動議を提出いたします。
  86. 小川久義

    ○小川久義君 只今の中村君の動議に賛成いたします。
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて電力問題に関する調査のため三十名より成る特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十條により議長が選任いたしました特別委員の氏名を参事に朗読いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕  電力問題に関する特別委員    秋山俊一郎君  石坂 豊一君    石原幹市郎君  大屋 晋三君    岡田 信次君  古池 信三君    重宗 雄三君  高橋進太郎君   橋本萬右衞門君  江田 三郎君    栗山 良夫君  島   清君    三輪 貞治君  森下 政一君    山田 節男君  吉田 法晴君    加賀  操君  野田 俊作君    久松 定武君  溝口 三郎君    山川 良一君  結城 安次君    岩木 哲夫君  小川 久義君    境野 清雄君  西田 隆男君    東   隆君  佐々木良作君    水橋 藤作君  須藤 五郎君      ―――――・―――――
  89. 木村守江

    ○木村守江君 私はこの際、在外同胞引揚問題に関する調査のため、二十名から成る特別委員会を設置せられんことの動議を提出いたします。
  90. 小川久義

    ○小川久義君 只今の木村君の動議に賛成いたします。
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて在外同胞引揚問題に関する調査のため二十名より成る特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十條により議長が選任いたしました特別委員の氏名を参事に朗読研いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕  在外同胞引揚問題に関する特別委員    石川 榮一君  大谷 瑩潤君    草葉 隆圓君  長島 銀藏君    木村 守江君  安井  謙君    内村 清次君  河崎 ナツ君    小酒井義男君  曾祢  益君    森崎  隆君  飯島連次郎君    高良 とみ君  杉山 昌作君    鈴木 直人君  木内キヤウ君    紅露 みつ君  千田  正君    堀  眞琴君  兼岩 傳一君      ―――――・―――――
  93. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、全国選挙管理委員会委員及び同予備委員の指名を議題といたします。  全国選挙管理委員会委員につきましては、自由党から牧野良三君、大木操君、中御門経民君、山浦貫一君、国民民主党から金子武麿君、日本社会党から海野普吉君を、同予備委員につきましては、自由党から小林次郎君、次田大三郎、渡擾銭蔵君、田口弼一君、国民民主党から小島憲君、日本社会党から荘原達君をそれぞれ推薦して参つております。以上の各党派の推薦通り指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて各党派推薦の通り指名することに決しました。  なお委員一名、予備委員一名につきましては、推薦あり次第、議長において指名することに御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  96. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、お諮りをして決定いたしたいことがございます。地方行政委員長から、朝鮮人騒擾事件に関し実地調査し、治安維持に関する関係法の改正に資するため、愛知県、滋賀県、京都府及び兵庫県に、安井謙君、吉川末次郎君、竹中七郎君を十二月中七日間、法務委員長から、検察及び裁判の運営等に関する調査のうち、朝鮮人騒擾事件及び警官発砲事件に関し実地調査のため、静岡県、愛知県、滋賀県、京都府及び兵庫県に、伊藤修君、長谷山行毅君、須藤五郎君を十二月中十日間、厚生委員長から、朝鮮人騒擾事件に関し実地調査し、生活保護法の運用と社会保障制度の確立に資するため、愛知県、滋賀県、京都府及び兵庫県に、藤森眞治君、河崎ナツ君を十二月中七日間の日程を以てそれぞれ派遣いたしたい旨の要求がございました。これら入名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。  次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十九分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第三 外国為替特別会計資本増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案  一、日程第四 健康保險法の一部を改正する法律案  一、日程第五 昭和二十四年度及び昭和二十五年度参議院予備金支出の件(承諾を求める件)  一、一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第二 特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案  一、国会職員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案  一、地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案  一、参議院規則の一部を改正する規則案  一、電力問題に関する特別委員会設置の件  一、在外同胞引揚問題に関する特別委員会設置の件  一、日程第一 全国選挙管理委員会委員及び同予備委員の指名  一、実地調査のため議員派遣の件