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1951-08-14 第10回国会 参議院 文部委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十四日(火曜日)    午前十一時二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○審査報告書に関する件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (調査報告書に関する件)  (教育予算に関する件)  (六・三制度完全実施に関する件)   —————————————
  2. 加納金助

    理事加納金助君) これより開会いたします。只今より理事補欠互選を行いたいと存じます。互選の方法はどういたしましようか。
  3. 高橋道男

    高橋道男君 只今理事互選の問題でございますが、成規手続を省略して委員長において指名せられんことの動議を提出いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加納金助

    理事加納金助君) 御異議ないと認めまして、それでは理事若木勝藏君をお願いいたします。
  5. 加納金助

    理事加納金助君) 次に未了報告書についてお諮りしたいと存じます。本委員会は第十国会閉会教育及び文化に関する一般調査及び管理法案継続調査及び継続審査を行なつて参りましたが、継続調査につきましては十回余の委員会と一回の小委員会を開会し鋭意調査を進めて参りましたが、未だ結論を得るに至らず、一方管理法案継続審査につきましては、調査事件に多大の日数を要したので閉会中質疑を行うことができませんでしたから、それぞれ未了報告書を提出いたしたいと存じますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加納金助

    理事加納金助君) 御異議ないと認めます。  次に閉会中の未了報告書案文作成委員長に御一任願いたいと存じますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 加納金助

    理事加納金助君) 御異議ないと認めます。委員長は、本院規則第五十五條によりまして、未了報告書に多数意見者署名を付し議院に提出いたすことになつておりますので順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     高田なほ子  矢嶋 三義     岩間 正男  若木 勝藏     荒木正三郎  木村 守江     木内キヤウ  平岡 市三     川村 松助  高橋 道男     櫻内 辰郎   —————————————
  8. 加納金助

    理事加納金助君) それでは昭和二十六年度補正予算につきまして、寺中会計課長より御説明をお願いいたします。
  9. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 昭和二十六年度補正予算要求案を約一週間ばかり前に大蔵省に提出してある次第でございます。その内容はそこにお配りいたしましたようなものでありまして、総額は百六億七千万円になつておりまするが、その重要なる部分は六・三制の工事費に関するものであります。その最初にあります六・三制工事費値上り補填並びに六・三制〇・七坪完成までの補充といいますのは、昨日来年度予算として要求しております数字と同様でありまして、これは筋といたしまして本年の補正予算でとるべきものでありまするが、いろいろ財政上の関係でどうしても駄目だという場合には来年度に繰込もうというような工合で両方に計上してあります。でありますからこちらに入れば来年度の方はそれだけ減るという形になるわけであります。この内容につきましては昨日監理局長より説明があつた通りであります。  それからc、dの関係は、これは六・三制以外の工事費でありまして、例えば給食施設であるとか或いは盲聾唖学校関係であるとか或いは国立学校戦災復旧であるとか、そういうふうなものがやはり工事費値上り関係工事量がそれだけ殖えて参つたような形になつておるわけであります。二十六年度発生災害復旧、これが四億七千万円に相成つております。これは最近七月の豪雨その他によりまして災害が一、二発生いたしましてそれらの災害復旧費であります。  次に学校給食用食糧購入運転資金四億一千万円と申しますのは、やはり向うから小麦並びに粉乳をもらいますにつきまして、従来ただでもらつてつたような関係でありますがこれを政府の金で一応購入いたしまして、それを加工し管理し輸送するというような金が必要であると、それを地方配つて児童負担によつて回収し又運転資金として使うということに必要なものであります。明年度は二億七千万円くらいになつておりまして、令年の方が多いのは、今年は粉乳関係は八百万人分、それから原麦の関係は四百万人分を予定いたしておりますので、それを購入する運転資金として必要なわけであります。  それから次の国立学校建築整備と申しますのは、これは国立学校関係で今年約十一億くらいの国立学校建築予算があるわけでありまして、それの工事費値上り関係であります。それと災害復旧関係であります。  四の教科書無償配布は、これは本年度予算で一億三千九百万円の金で一年の国語算数教科書を全学童に配ることになつておりまするが、それがやはり教科書印刷費或いは製本費というようなものの単価上つたというような関係で三千万円を補充する必要を生じたのであります。  大学附属病院経営費補充といいますのは、これは主として完全看護を実施いたします関係、或いは薬品が非常に値上りになつて来る関係その他で、最初見込年度を進行しますうちに不足になつて来る見込がついたために、これは同時に歳入の方も殖えるのでありますので、経営費全体といたしまして六億一千万円が不足という形になつておるのであります。  その次に文化財保護委員会がありますが、その第一は重要文化財建造物災害復旧費八千万円であります。これは昨年度発生いたしました災害復旧費でありますから、昨年度予算として、今年の予算に盛るべきであつたのでありますが、丁度予算を閉鎖した後でありまして、手続上来年度補正に組むからというような一応の内約束のようなことで今年の補正に廻つて来た、当然災害復旧関係は或る程度盛らなければやつて行けないのであります。  その次に文化財の買収というのがございますが、これは内容一つは、放つて置けば海外流出の虞れがあるようなものを各地でいろいろ持つておる。寺などが貧乏しまして何とかしてこれを売らなければ食つて行けないというような事情になつてつて置けば海外に出るという緊急の事情が生じておりますので、これを国において買上げるとか、或いは各方面で所持しておりますいろいろな宝物類で手離されるというようなものがあるのであります。これもやはり緊急な必要が生じておるわけであります。それからもう一つフランスにありまする松方コレクシヨン、これをフランス政府で保管しておつたわけでありますが、これを日本に戻してやろうということになつておりますが、勿論部分的でありますがこれを政府の方で買取ろうという、そういう大体三つの関係で、至急に或る程度文化財の買取をしなければならないという事情経費でございます。それから京都博物館奈良研究所と申しますのは京都市立恩賜博物館がございます。それから奈良県の商工陳列所があるのでありますが、この二つを文化財保護委員会附属施設といたしまして、修理費その他を加えてこれを正式の附属施設にして行こうという計画があるのでありまして、それでありますから建物そのものはいわば寄附という形になりますが、ここに要求いたしますのはその修理費或いは模様替の経費であります。その他いろいろ雑件的な要求委員会から出ておるのであります。  それから七番目のオリンピック大会選手派遣費と申しますのは、これは東京オリンピック関係で二千万円の選手派遣費を計上しております。  それから職員俸給不足補完でありますが、これは昨年度の千円ベース・アツプの際に各省共通事項といたしまして実際不足することが成る程度見えておつたのでありますが、やはりいわゆる調整号俸関係が後から出て来ましたために、不足するという関係が見えておつたのでありますが、予算閉鎖後のためにどうにもならなかつたの補正予算関係で考慮しようということにしておつたわけであります。それが文部省関係といたしまして三億一千万円あるのであります。以上のようなことでありまして、主として六・三制関係その他もいわば義務的支出に亘るようなものが補正予算として要求したいというふうに考えておる次第であります。
  10. 加納金助

    理事加納金助君) 御質問があればどうぞ。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この現在までの交渉経過並びにその見通しについて。
  12. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 六・三制の関係におきましては昨日もいろいろお話が出ましたが、工事費値上り関係、即ち物価騰貴関係は見ないということを大蔵省として方針に持つておるようなふうに聞いております。併しながら他の面の公共事業費でありますれば、まあ一坪あたり工事費が上ればそれだけ工事量を減してそうして来年度に廻すということもできるのでありますが、この学校建築費関係は或る程度工事量の指示が参りましてそれで工事を始めておるというような所もあります一昨日いろいろお話が出ましたように途中まで行つて屋根だけかからないというような場合もあるので、これは非常に困るのでありまして、現実にその工事が進んで立ち腐れになりそうな事情になつてどうにもならないというものだけでも、これはなんとかして見て貰わなければ困るというので強硬に今交渉をしておるわけであります。それは一のaの関係でありますが、bの関係におきましてはこれは昨年からの約束ということでもありませんが、昨年とにかく〇・七の完成までに行けないんだという見込が付きながらそれだけの予算がとれなかつたのでありますが、むしろまあ筋としましてはこれは補正予算要求するよりも当初の予算要求するのが適当だというような感じもするのでありまして、その意味でbの方も非常に見込が薄いという関係になつております。Cの関係はこれはやはり工事費値上り関係でありまして、これも単価増をみないという方針からいたしますと非常にむずかしいという事情にあります。dの災害復旧関係はこれは或る程度のことは見て貰わなければやつて行けないのでありますから、これは相当額が計上されるものであろうというふうな見込をいたしております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこでちよつと、交渉経過文教施設整備の点について承わつておるといずれも非常に難航しておるようでありますが、お尋ねいたしますが、本年度予算予算審議の時も論じられたように、昨年の十月の物価水準予算を編成してあるから執行にはとにかく支障を来たすであろうということが強力に各委員から論じられたのであるが、その当時大蔵大臣は大体やつて行ける見込であるということを答弁されておりましたけれども現実は昨年の十月の物価水準でやられた本年度予算はその執行上重大な支障を来たしておる。それで文教施設つまりaの項とか或いはcの項に現われて来ておるわけですが、他の省の関係のものも全部物価値上りに伴うものは一切やらないという大蔵省方針ですか。
  14. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) さようでございます。むしろ他の省は全部見ない、その中で六・三制の方は特別であるからこれはまあ理窟がつけば昂るべきであるというぐらいの気持を持つておるのじやないかというふうに私ども推量しておるのでありまして、一般的には見ないということを方針にしておるのであります。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは今一点についてお伺いいたしますが、例えば木造建築坪一万六千円、住宅学校建物とは若干違うということは一応了承するけれども住宅公団あたり木造坪二万三千円で組まれておると思うのです。そこらあたりはどういうふうに説明して了承させるわけですか。他の関係のは坪当り二万三千円を見込んで、文部省関係の而も若干地方公共団体の費用で補つてつて行かなきやならんような費目に限つてのみ定額を一万六千円にして置くというところに私は矛盾があると思う。政府直属事業については高く査定し、地方公共団体を補助する場合には、半額の補助にしてもその単価を切下げるというところは、私は非常に地方公共団体に対して中央は横暴だというふうな感じを持つておりますが、それをどういうふうにして納得させられますか。
  16. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 単価関係でありますが、この工事費値上りは二万三千円でございまして、一万六千円から二万三千円に見たために、これだけの差が生じて来たわけでありますが、只今お話一般住宅については二万三千円と見ているじやないかということでありますが、これはその地方費負担するから少いということじやなくして、住宅学校のような公共建物との違いであるというふうに思うのであります。これは建設省安定本部を中心にこの単価の基準というものが研究の上、できておりまして、住宅については幾ら公共建物については幾らということがまあ政府全体としてきまつて来ておりますので、特に学校建築をまあ安くする、特に六三制なるが故に非常に低い単価で見るというのじやなくして、建物の性質そういうふうなスタンダードをきめておるというふうに思つております。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その住宅学校建物坪単価が違うということは建築上からいつても簡単に了承されるわけですが、ただそれだけじやないと思う。それでは会計課長にお尋ねしますが、例えば郵政省電通省あたり直属事業であるところの地方出先機関建築ですね、これは例えば電通省郵政省関係の中の施設が余計かかるのはそれはわかります。けれどもその施設を入れるところの建物、容器というものはそう違うものじやないと思う。これらの単価は六・三の一万六千円と同じでありますか。
  18. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 工事費単価関係は実は今申しましたように、建設省或いは安定本部できめて参りますので、私ども実は直接にその方をやつておりませんからどういう関係でそうなつておるのかという細かいことは存じておりませんが、やはりこの学校については設備的に例えば廊下とか、壁とか、屋摂とか細かい計算をして出ますし、或いは地方の官庁についてはどうというような細かい積上げたもので計算されたものであろうと思つておるのであります。やはり細かい点に多少のこの設備的な違いがあるためにそういうようなスタンダードが変つておるのであろうと思いますが、それ以上細かいことは私ども存じません。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点私は違つているように記憶しておるのです。そこらあたり政府直属事業地方公共団体と合せてやるような事業については差が生じておる点が了承できない。  それからまだ水谷政務次官次官の立場としてお伺いいたしたいのですが深くお尋ねいたしませんが、さつきの政府方針として昨年の十月の物価水準で組んだところの予算物価値上りによる補正を一切やらないという方針ですね。これによつて事業量というものは遂行できないで困つておると思うのですが、これは政府はどういうようにお考えになつておりますか、私はもうちよつと申上げますが、例えば運輸省あたりああいう独立制のようなところはあれでうまいことをやつていると思う。今運輸省収入というものは予定収入以上の収入を上回つてつておると思う。その予定以上に上つたものを物価の膨脹によるところの事実上の補正に私どもは使つていやしないか、こういう私は疑念を持つているのですがね。それから又郵政省あたりにしましても、先般のように例えば電話架設あたりについても電話敷設臨時負担法というようなものを設けまして加入者が二万円負担する、ああいう法律を作つたわけですが、ああいうことによつて昨年の十月の物価水準によつて組んだところの予算執行を、或る程度そういう郵政とか運輸とかそういう所は行くかとは思うのですけれども文部のような場合は、ましてやこの地方財政と関連あるこういう問題については、当然私は物価水準の異動によるところの補正をやらなければできないと思うのですが、それを一律的に一切やらないという政府方針について政務次官として若干私はタッチされていると思うのです。その見解を承わりたい。
  20. 水谷昇

    説明員水谷昇君) お答えいたします。私どもはこの一万六千円の単価についてはあの当時からむずかしいということも考えておつたのでありますが、今日に至りますというと御承知の通り値上りでありますのでこれを極力要求することにしておるのであります。政府、と申しましても大蔵省考え方がこの値上りの分については今のところ見ない、こういう考えのようでありますが、只今お説の通りに、他の省の一部の単価については二万三千円というようなのもあるように考えますので、そういう点から考えましても、特に六・三制のこの建築については予定の坪数を建築しなければ間に合わないのでありますから、極力これを要求したいと考えております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは次官の政治的御尽力を要望しまして、文教施設整備に関する項の質問を打切ります。
  22. 木村守江

    木村守江君 ちよつとお伺いしますが、昨日はこの六・三制の工費値上りによる補填額ですね、これは補正予算としては他の各省工費値上り調査もあるから、それと睨み合した上に取上げなくちやならない問題であるから補正予算としては見ないが、来年度の本予算としては一応考えないといけないというような答弁つたと思うのだが、只今の御答弁を見ますと値上りは全然認めないというようなことであつたのですが、どつちが本当なんです。
  23. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 値上げがありましたために予定工事量ができない。その予定工事量をどうしてもやろうと思えばこの十九億二千万円というものが要るわけであります。それで昨日の大蔵省のほうの答弁は、これは値上りになつておるというそのことは認める、これはもう現になつておるのですから認めざるを得ないわけでありますが、それですから予定工事量ができないということも従つて認めざるを得ないわけです。で値上りになりましたために工事量が延びるということをまあ覚悟の上でしているわけで、それが明年度に延びるのは明年度予算として一緒に工事しよう、こういう形になるわけであります。
  24. 木村守江

    木村守江君 実際問題としてそれは工事は半端にしておくところもあるでしようがね。非常に高利の金を各地方の町村が借金をして、或いはもう非常な無理をしてやつと終つた県があるのですが、そういうやつは当然補正予算で見るべきだと思つて昨日も質問したのですが、そうしたことについてはほかのほうの各省工事関係があつてその値上りの見積りもまだできていない。従つて補正予算に見ることができない。併し来年度予算でそれは見なくちやならんというようなふうに聞いたのですが、そう考えておつていいのですか。
  25. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 値上りによる予定工事量完成補正予算で見ることはないというのでありますが、現に値上りになつておるのでありますから、それが来年度工事が延びれば来年度予算全体の調査をする、来年度計画全体を調査した上で見るべきであろうというような答弁であつたと思うのでありまして、そういうふうな大蔵省は態度でおるのではないかと思つております。
  26. 木村守江

    木村守江君 それでは結局値上りによる工事費不足を認めないのではなくて、今補正予算を組む場合には認めるような段階になつていない、当然認めるような段階に至るだろうから、来年度予算の際に認めるというように考えていいですね。
  27. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 大体そういうことです。
  28. 木村守江

    木村守江君 その次にお伺いしますが、この五番目の大学附属病院経営費補充ですね、これは歳入も殖えて来ますね。六億一千万円歳入が殖えるのですね。
  29. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 歳入も殖えて参ります。六億一千万円、そのまま殖えるかどうかわかりませんがとにかく歳入相当額見込まれるという意味でこの経費要求するわけであります。
  30. 木村守江

    木村守江君 大学附属病院経営費に六億一千万円を繰入れる、そうして大体どのぐらいの歳入になつておるかわかりませんか。
  31. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) この六億一千万円に伴うものが幾らであるかということは別に計算していないのです。ただ大学病院経営費につきましては大体こんな方針をとつております。歳入は歳出の大体七五%でありますから、反対に言いますと収入の一・二五%くらいの支出を見るというのを方針にいたしまして、その上に教授の研究費と、それから看護婦を養成する厚生女学部経費半分というものを加えたものを支出に見て行くというのが、現在の病院費を見て行く方針になつておるのであります。でありますからそれを適用しますれば、個々の補充費についても大体六億一千万円の七五%くらいの収入が殖えるということになると思います。
  32. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 六・三制の工事費値上り補填の問題でありますが、只今会計課長から御説明申上げましたのは、事務当局同士の話合いでありまして、私どもといたしましてはこれを強力に要求をいたしまして実現したいと考えております。昨日も久保田監理局長と共に大蔵政務次官西川君を訪ねて、そうしてこの十九億の分に対しまして懇々説明をいたしまして是非補正で獲得したいんだ、それから五十八億の不足分に対しましては、二十七年度に廻していいから是非これも入れて頂きたいと、かように詳しく説明して要求をして来ましたが、極力努力をしてみます、むずかしいことはむずかしいことだが努力をしようということであります。なお自由党のほうといたしましても一部に六・二制という意見もありますのでこの点が多少躊躇するところがありますが、六・三制を確保して行くということが確定いたしますれば、この値上り補填の分は可能であろうということを私どもは想像しております。とにかく私どもはこれを獲得することに対して極力努力をしてみたいと思つております。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 事務的なことを二、三お伺いしたいと思うのでありますが、この文教施設整備のうちの例の六・三制工事費値上りのうちの十九億二千万円というのは、今年文部省で認可するところの総工事量値上り補填ということになりますか。
  34. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) さようであります。大体四十一万坪の工事量工事費値上り関係であります。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、実際地方で今工事にかかつて、昨日もお話つたように柱を立ててあとどうにもならん、そういうようなやりかけたものについてどのくらいの補填をしなければならないかという数字が出て来ますか。
  36. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 実はその点を今極力調査中なんでありまして、只今ちよつと申上げましたように、六・三制の工事費については、普通の工事費値上りの場合と違つて特殊事情があつて現にその工事量工事を開始しておるものは、途中で工事をやめるといわけには行かないものも相当あります。具体的にそれを調べて少くともそこまではどうしても補填してもらわなければやり切れないのだという材料を今極力至急調査して大蔵省に持込む用意をいたしております。まだその数字が実はきまつていないのであります。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつとその事項について重ねてお尋ねいたしたい。只今水谷政務次官は重大な発言をなさつたと思うんです。それは政務次官の今のお言葉は私聞き誤りがないとするならば、次官はこういうふうに申されました。即ち六・三制工事費値上り補填の十九億は、自由党の一部に六・二制ということが論ぜられているが、その六・二制が成立しないで六・三制を堅持するということになつたならば、十九億二千万というものは十分可能性があると思う、努力したいと、こういうふうに申されましたが、私は自由党出身であるところの政務次官にあえてお尋ねいたしたい。それは水谷政務次官としては、自由党の一部にあるところの六・二制というものに対してどういう見解を持たれておるか。六・三制に対して水谷政務次官はどういう見解を持つてどういう努力をされるか、又文部政務次官として現在されようとしておるのか。
  38. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 今私が申しました一部に六・二制というのは自由党の一部というのではないのであります。世間の一部に六・二制という意見があるのであります。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでいいです。
  40. 水谷昇

    説明員水谷昇君) その次に躊躇しておるのかしらんということは想像なのであります。それで文部省といたしましては、六・三制継続ということは断乎として変りはないのでありますから、この点が了解をして頂けば可能性が多いんだろう、こういうふうに考えております。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次官としては六・三制の堅持の立場にあるし、又それから了解願えるべく努力をする、それが了解願えることによつて十九億二千万円というものを確保できるものと思うし、今自分は自信を持つて努力をする、こういうふうに政務次官の御発言は私は了解するのでありますが、それでよろしいわけですね。
  42. 水谷昇

    説明員水谷昇君) それで結構です。
  43. 若木勝藏

    若木勝藏君 第二項の学校給食用食糧購入運転資金四億一千万円、これはどういう食糧を対象にしたか、それからどういうふうにして運転資金が使われるか、もつと具体的にお話をお聞きしたい。
  44. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 現在学校給食はミルク八百万人分、これは都会と田舎を通じて全部やつている、まあ完全給食に近いわけであります。それから都会地に関しましては小麦を原料にしました。ハンを出しているわけであります。それが大体四百万人分ぐらいになつているわけであります。それでそれらの材料はアメリカから来るわけなんでありますが、それを一括購入いたまして、それが実は現在十一月頃までの食糧はこれは従来のストツクがあります。今年度十一月頃にそれが切れるのでありまして、そこで今年度中分の今言つた分の食糧をどうしても買入れて、そうしてこれを加工すべきものは加工し、原麦でありますからこれを加工し、又十分の保管もし、輸送もするということのために金が要るわけであります。それを一応この運転資で払います。そうして地方へ参りまして児童の手に入る。そのときには別に地方で、例えば副食物のようなものは現地で調達するものは調達して子供に食べさせるわけでありますが、その際にその分のミルクそのものはこれは見返資金で買込みますのでただであります。それから原料もただでありますが、その輸送賃とか加工賃とかに当るもの、それを児童から徴収してそうしてこれを中央へ廻して、この間に三カ月ぐらいかかるわけでありますから、そうして又次の購入の資金にして行く、こういうような形でこの運転資金を使うわけであります。
  45. 若木勝藏

    若木勝藏君 そのパンの原料であるとか、或いはミルクであるとかいうものはこれは有償じやないのですか。政府で購入するのですか。
  46. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) ミルクは見返資金で買います。これは別に三十四億ぐらい見返資金が出ております。それから小麦もそうでありますが、私はちよつとさつき言いましたのは少し間違つておりましたが、食糧購入は今おつしやつたようにただであります。ただここに食糧購入運転資金と書いてありますのは、アメリカから見返資金でもらうミルク、小麦のほかに砂糖も買込まなければいけませんし、その他加工をしなければいけませんし、輸送をしなければいけません、そういうことのための運転資金であります。
  47. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると食糧そのものを買うわけではないのですか。
  48. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 食糧そのものを買うには見返資金で三十四億出しております。
  49. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは見返資金というようなものがなくなつたときにはどうなりますか。
  50. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 今年三十四億見返資金を出すということになつておりまして、運転資金はこの方で賄う。来年度予算は来年度の分として、昨日御説明申上げましたが、大体食糧購入費は見返資金がなくなりますので三十六億要求しておりまして、別に運転資金は二億七千万円要求しているわけであります。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、来年度も児童としては現在と同じような給食を受けるということになりますか。
  52. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 来年度は今年と同様の給食を受けるとは申せないのでありまして、と申しますのは今言いましたようにミルクは八百万人分、それから小麦を四百万人分そのままを政府資金で買上げ給食するということになりますと百億近くの金が要るのでありまして、それは現在の財政状態で到底不可能でありますからそれを或る程度少くしようと思います。それでミルクの方は五百五十万人分といたしまして、小麦の方はやめにする、やめにするということは実際配給をやめにするというのでなくして、買込むことをやめにいたしまして、そうして国内調達で以て粉乳の方も大体月に五万人分ぐらいの国内生産もできるであろう、それから小麦の関係も国内統制が解けるであろうという見込で国内調達する、国内で調達する分は児童負担になる。そういう形で給食の国家の関係する範囲を狭めて行こうという計画を持つております。それで大体計画そのものは同じでありますが、児童の負担の方が少し殖えて来る関係になると思います。
  53. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで大分はつきりいたしましたが、今のお話で来年度は児童の負担が少し多くなると、こういうお話でありましたが、殆んど児童の負担になるという形になますね、食糧費その他については。
  54. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) ちよつと途中から参りましたので多少怪しいかも知れませんが、今現在児童の一食の負担が十円十銭の負担になるのでありますが、それを現在の案では十三円八十四銭、三円七十四銭の値上りという線を描いております。
  55. 若木勝藏

    若木勝藏君 十三円八十四銭は来年度ですね。現在は十円十銭ですか。そうすると今の又基本的な問題に戻りますが、十三円八十四銭という予算の中には児童の食糧費というものは全部児童の負担になりますか、或いは政府がそれに対して補助するとか何とかいうことで十三円八十四銭になるのですか。
  56. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 十三円八十四銭のその内容は、パンとミルクと只今非常に一番多く行われこおるのはシチユーでありますが、そういう副食類を取りまとめたもので、そのうちミルクは全額国庫負担、パンの原料にいたします原麦を小麦協定の関連において買います額が児童の負担からマイナスになりますが、それから運転資金を一応要求しております。その運転資金から出ますいわゆる金利面といつたものがマイナスになつて参りまして、児童の負担から申せば、そのまま政府が一切の世話をしないで現行の十円十銭を児童の負担のままにしますと十七円八十五銭という負担になります。その差額であります四円一銭というものが児童の負担に対して、ミルクのほかの国の負担と申しますか、国のそういう操作によつて利益が児童に及ぼす範囲の減であります。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 副食に関連して、今十円十銭を児童の実質な負担にすると十七円八十五銭になる。その差額の四円一銭というものを基準にしてこの価格を査定して行つた。こういうお話であつた。その差額を国が負担したというわけですね。そうすると、今後の物価値上りというものは到底この四円一銭というものでは賄つて行けないわけですが、これに対してはどういうお考えですか。
  58. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 只今の十円十銭も、十七円八十五銭も、十三円八十四銭も、いずれの場合も今中央で予定されております値上りを全部入れた計算でいたしております。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 その対象になるのは小学校だけではなく中学校も含めたいという先般の御意見であつたのでありますが、中学校の方はどういうことになりますか。
  60. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 取りあえずこの三十六億で賄うのは義務教育の中の小学校だけに限定いたしております。それから中学校延いては高等学校の夜間の学生という関係の種類のものも、仕事の操作としてお手伝いする上において扱うことは前と変りございませんが、三十六億の金の操作の面からは一応外してものを考えております。
  61. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではちよつと教科書の無償配付について……、来年度の分について昨日説明がありましたが、九億一千万円という問題であります。これはあの法律はたしか地方公共団体で以て無償でやる場合には文部省で以て、国庫で以てその半額を負担する、こういうふうないわゆる奨励法というようなもののように考えておつた。ところが昨日のお話では来年度は全額を二年まで国庫で負担したい、こういうふうな予算計画であるということを伺つたつたのであります。そうしますとこれは文部省としては奨励法ではなしに、この法律を改正するところの用意があるのかどうか。こういうふうなことを伺いたい。
  62. 辻田力

    説明員(辻田力君) お話のように今年の計画地方の仕事の奨励というような形でそういうふうな法律もできておるわけですが、いろいろ地方事情を聞いてみますと、これはどうしても国で全額を持つてもらわなければやり切れない。又その趣旨からいいましても是非そういうふうにするのは結構であるからそういうふうにやつてもらいたいという声が非常に大きいので、それで計画としまして全額国庫負担ということに現在考えております。そういうことになりますれば勿論法律も改正することになります。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 只今質問に附帯するのですが、前年度に前国会で通過した法案、この審議の過程で来年度のことについてはもう手放しの状態であるというので、今度又改めて二年の教科書無償配布に対する予算が組まれておるわけですが、そうするとこれは教科書無償配布という一つの問題を出たとこ勝負でやつて行こうとするのか、今後何年かの年次計画を立てて、全部義務教育の児畜に対する教科書の無償配布計画を立てておるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  64. 辻田力

    説明員(辻田力君) 教科書の無償配布は申上げるまでもなく義務教育無償の理想から出発したものでございますので、この義務教育無償の線を強く出すためにできるだけ速かに、できるだけ広範囲にこの実現を図りたいということが私どもの念願でございます。併し一面におきまして、国家財政の立場、地方財政の立場を十分考慮しなければなりませんので、このあたりを勘案いたしまして、本年度は御承知の通り一年生について国語、算数の二科目について半額を持ちまして、そうして来年度における諸般のそういう事情を考慮して二年生までこれを延ばして、一年、二年の国語と算数、それについては地方財政状況を考慮して全額を国で負担するというのが文部省の希望でございます。又将来の問題につきましては、そのときの財政状況もございましようが、我々としてはできるだけ速かに、できるだけ広範囲に無償の実現を期したいと考えておる次第であります。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 速かに広範囲という基本的な態度は誠に結構でございますが、そういう線に副うて今後二年生までやるという予算が組まれたわけですが、やはり文部省はそういう基本的な態度をとられるには一応の計画は持つておられると思いますが、ございませんか。出たとこ勝負でやつておるのですか。
  66. 辻田力

    説明員(辻田力君) これは前の教科書の無償配布の問題のときに、最も拡げた場合はどういうふうな計算になるということにつきまして御説明いたしましたが、相当大きな額になるわけであります。教科書につきましても一年だけ全額出せばどうなる、二年生にも出せばどうなるという計算は勿論いたしております。いたしておりますが現在の財政状況と睨み合して、文部省といたしましては一年二年の二科目、それを全額というふうなことにしたのでございます。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省としては教科書の価格というようなものについて検討したことがありませんか。少し高過ぎはせぬか。どういうふうに検討されておりますか。
  68. 辻田力

    説明員(辻田力君) 教科書の価格の問題につきましてはこれは私たちも高いと思います。この理由はいろいろあると思いますが、これについてはできるだけ内容のいい教科書を安い値段で配布するというのが、これは勿論我々の希望でございますが、そういうふうなことを実現するためには、現在のいろいろの行政の面においても考慮しなければならない面もございまするし、又金融その他の面につきましてもいろいろ考慮して、高い金を借りずに低利で借りて教科書関係の運営を円滑にするということも考えられなければならんと思うのであります。その他いろいろな現在では段階がございます。いろいろな段階を経て教科書が配布されておりますので、そういう問題につきましても適正にこれを調整してその間のマージンをできるだけ少くするというふうにいたしますと、教科書の値段もだんだん下つて来るという考えでありますので、これは文部省としても非常に大切だと思つて具体的な研究を進めている次第であります。昨日会計課長から教科書金融のための公社の予算についてちよつと説明がありましたが、これも一つのそういう面からの考慮を払わなければならんと思つております。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この義務教育の無償という立場から、教科書無償配布という非常に美事なものに感じますけれども、子供の親として義務教育の責任を果している父兄としては、教科書以外の教育の文房具費、こういうものも非常に高いですね。教科書費用というのはその極く一部に過ぎない。而もその教科書無償配布は、今年度のようなああいう実施状況だつたらそれこそ画にかいた餅みたいなものだ。だから私もいろいろ資料を集めているのですが、義務教育費を安くして国民負担を軽くするというような立場から、教科書並びに文房具費、これは教育者の工夫もあることと思いますが、そういう点について相当私は検討する余地があると思う。係りのあなたのところでも十分検討してもらいたいと思う。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のとちよつと関連して、昨日教科書の公社の話がありましたね、あれによつて大分金利が安くなる。そういう操作をやるために三億の予算を計上するということになると、それが教科書の生産コストにどういうふうに響くかという計算ができていない。できていないとすればその資料を大体見当をつけて、これは来年度予算と関連することですが出してもらいたい。そういうところが明確でない。漠然としている。あの公社ができることについて少くともコストが低下する、その低下する割合がどれだけ関連を持つかということについて、公社の割当の検討を我々はしたいと思います。これはお願いしたい。ただ業者に奉仕するのは意味ないですからね。大体の見当はつくでしよう。
  71. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 教科書公社というようなものができますれば、少くも教科書を製作するについて闇金融をやる必要がないということが一つございます。それからもう一つ教科書を作つて、これを確実に需要数を取り、確実にその計画によつて配布するということになりますれば売れ残るというようなロスがなくなる。そういうような関係で或る程度の価格が安くなるという結果が出て来ると思うのでありますが、併しそれがどの程度であるかということは、闇金融をいうことはちよつと調査するというようなことがむずかしい関係もありまして、それを一々を単価に取つて割り出すということは相当むずかしいと思うのでありますが、私直接の担当ではありませんが一つそういう資料ができるかどうか、担当の事務局に一つ相談しまして、できればそういうものを割り出してみたいと思います。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 できればでは困るのです。三億の予算を取つてこの苦しい最中にそういうものを発足させるとすれば、それが実際教科書のコストに安く響くという見通しがなくてやれば単に業者を利益するだけである、業者を利益するだけであれだけの三億という国家投資ができるわけはない。そこの見通しがないなどということでこういう案を提出するということは、そこのところが非常に不明瞭な感じであります。当然これは明確にすべきである、すべきであるという要請を我々は持つのであります。その点をそういうふうにお願いします。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この教科書無償配布の本年度の実施状況を私若干調べてみたのですが、非常に遺憾極まるものです。それで平衡交付金の中に入れて流す方法は絶対やめてもらいたい。これはどうしても直接補助金の形で行かなければ立法の精神を活かすことができない。私若干調べた例を申上げますとこういうことがあります。政府は昨年は教科書の無償を早くから放送した、大臣の談話でも出た、国会でも出たというので、若干の学校では父兄は入学式に教科書代を持つて行かなかつた。ところが地方公共団体では予算化をやつていない、平衡交付金の流れ方も遅い関係上支給できない。それで入学式に一年生の教科書代何日何十円出して下さいといつたところが各学校でも若干名恥をかいた者がいる。今年度は一年生は教科書代はただであるというから用意しませんでしたというので非常に肩身のせまい思いをした者が各学校でもあるという実態である。こういう立場から私は今の地方公共団体の首脳部あたりのこういうものに対する失礼ながら理解、見識、そういう立場から考えても、私は平衡交付金の形で流すことは立法の精神が活かされない、併せてこれは実情を申上げておきます。  次に第六項首の重要文化財の買取等について若干お尋ねします。先ず今年度に入つてどのくらい買上げられたか。
  74. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 本年度の買上については今ちよつと数字を持つていないのでありますが、やはり海外流出の虞れのあるものについて相当額の買上をやつたように思つております。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 相当額というと、一千万円ぐらいじやなかつたかと思いますね。続いてお尋ねいたしますが、この価格の査定はどういうふうにしてやつておりますか。相当私はやはりこれは海外流出の虞れがあるからといつて文部省に売込に来るのが相当出て来やしないかと思います。価格の査定というものは相当私は大事なものであると思いますがどういうふうにしてやられておりますか。それがはつきりしないと予算幾ら組んでも変な金が流れて行くことになりますね。
  76. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) お話のように売込が相当あるようであります。陳情も相当ありまして恐らくそこに、上しました金額の三倍以上に亙りますような売込があるように聞いております。併し必要のないものは極力切りまして本当に今すぐ買上げなければ、ちよつと例を挙げましたように貧乏寺あたりではこれを生活費の一部に充てるというようなことでどこかに持去られるというような虞れの非常に緊要なところについてやつておるわけでありまして、その価格の査定につきましてはこれは厳密に鑑定の専門家が見まして適正な価格を評価しておるというふうに思います。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう査定は専門家といつてどういう人を言うのですか。
  78. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 技術的なことは私は実はよく存じませんが、やはりそういうことを専門に仕事をしている人が相当あるようでありますから、そういうところの協議によつて細かくやつていると思います。
  79. 高橋道男

    高橋道男君 今度のサンフランシスコで国宝の展覧会、博覧会のために文化財高橋館長初め若干の方が国宝と共に渡米されると報道をせられておりますが、それに関して八百七十万円とかいう費用が政府予備金から支出されるということを聞いておるのでありますが、これは政府予備金というのは文部省予算とは関係ないのですか。
  80. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) そうであります。政府全体として持つております予備金の中から取りあえず支出しておるということに……。
  81. 高橋道男

    高橋道男君 取りあえずというお話でありますが、それは何らかの形において又文部省関係予算に繰入れられて追加要求されるものか、或いは或る種の業務によつては或る場合には文部省とは関係なしにそういう政府予備金というものを使うことができるか、そういうきまりなり方針なりがあるのでございますか。
  82. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 予備金といいますのは、前年度において予見し得ないいろいろ経費のかかることが起りまして而もそれが非常に緊急であつて、国会を召集して承認を得るいとまないという場合にこれを支出するという形になつておるわけでありまして、そういう観点から見ましてこれを出す必要があるということを大蔵省で認定をしましたものについて支出するというような形であります。
  83. 高橋道男

    高橋道男君 そうしますとそういうものを支出するについては文部省の責任というものはどの形においてやるのですか、或いは全然ないものかそういうことについてお答えを。
  84. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 予備金の支出については国会において追認を得ることになつておるのでありますから、そういう意味文部省は一応その責任支出をしましてそれをその後に御了解を得るという形になるわけであります。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 この今矢嶋君から質問のありました重要文化財の問題ですが、これは最近やはり海外流出の問題が非常に起きているのですね。これについて今までの文化財保護委員会、これは今の文化財保護委員会を煩わして出席を求めてもつと詳わしく聞かなければならないのですが、こういうものは目録のようなものは全部できておるわけですね。それでそれが今どこでどうなつているかということについて非常に重要だと思いますね、文化の保護の面から。こういうことはわかつておりますか。
  86. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 国宝の目録は従来のものは実は相当不完全になつておりまして、今年に実は国宝の再指定、第一次の再指定をいたしました。それで従来の国宝も終戦前後のどさくさで相当不完全になつておるのでありまして、その方面を固めて行きますために来年度も又今年度におきましてもその目録を十分完全なものにするという努力を続けている次第であります。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 今度新たに指定する分だけでなく、従来のやつ、そういうものがどうなつているかということは非常にこれは重要だと思うのです。委員会としてもこれは調査しておるわけで、いずれこれは文化販保護委員会のほうから詳しく聞きたい。今やはり当面の一つの重要な問題だと思つているわけであります。  もう一つこれは聞きますけれども、第七回のオリンピック大会の選手派遣費ということですが、本年度のやつですね、これは何に使うのですか。二千万円。
  88. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) そうであります。本年度冬季のスキー、スケートの関係のオリンピックであります。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 来年度予算はどうなつておりますか、来年度予算はすでに組まれておりますか、昨日の説明にはなかつたですね。
  90. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) それは重要事項以外といたしまして予算に計上いたしておりますが、まだ大蔵省との折衝は開始いたしておりません。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 オリンピック大会選手派遣に関連してお伺いするが、その二千万円というのは日本水連あたりとの協議の上きまつた額か、どういうふうにして算出されたか、大体内容を承わりたい。
  92. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 実はその内容の細かいところは私は存じていないのでありますが、事務当局を呼びまして細かい説明をして頂きましようか、大変恐縮でありますが。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは社会教育局主管の予算ですね。
  94. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) そうです。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではもう一つこれと関連してお伺いするが、最近先般日米陸上競技大会が東京大会初め全国で行われましたですね。ああいう大会の補助というようなものは一切文部省関係から出ていないわけですか。
  96. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) あれは向うの選手が向うの費用でやりましたので、こちら側としましては別に経費は出しておりません。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私スポーツの動向とか或いはその国家予算の使途についてはいろいろ意見をもつて今調べ中なんですが、いずれ又所管の局長からお伺いいたします。
  98. 加納金助

    理事加納金助君) 補正予算に関しての質問は大体以上で終了したものとしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 加納金助

    理事加納金助君) なお大臣の方は漸く閣議が終つたそうです。なお又大蔵次官の方は回答を受けませんが、大体都合つくと思います。どうでしようか一時に再開することに。    〔「一時半」と呼ぶ者あり〕
  100. 加納金助

    理事加納金助君) 一時半にそれじや再開することにいたします。それじや休憩いたします。    午後零時十五分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  101. 加納金助

    理事加納金助君) 午前の委員会に続きまして、これより開会いたします。  お待ちかねの大臣がお見えになりましたが、何か又地財のほうからもお話があるように聞いておるし、かたがたいたしまして、御質問はどうぞ一つ重点的に成るべく重複を避けて御質問のほどをお願いいたしたいと思います。
  102. 若木勝藏

    若木勝藏君 この際大臣に六・三制の完全実施の問題について質問したいと思います。新聞紙上で見まするというと、財政上の問題から六・三制が六・二制に切替えなければならない、こういうふうなことが自由党の政調会で以て取上げられておる、こういうふうなことが見られるのでありまするが、これは極めて重要なこの教育の問題につきまして、単に算盤珠の上からこの問題を解決して行く、非常に重要なこの六・三制の問題に対して、動揺を与えるところの無謀な論であると私は考えるのであります。先ほど水谷政務次官からのお話もありましたが、今度の六・三制の補正予算の問題について、この六・三制にからんでどうもこの問題については単価値上りちよつと考えものであると、こういうふうなことの一部自由党のほうに考え方があると、こういうふうなことも言われたようでありまするが、併し後ほどこれは国民の一部にそういうふうな声があるということを訂正されたようでありますけれども、やはり自由党の政調会方面等から考えまして、私は自由党の中にもそういう考えを方つておるところのかたがあるのではないか、こういうことを推測するものであります。然るに文部大臣が岐阜のほうに行かれる車中談といたしまして発表されておるものは、六・三制の学問的な根拠、又中学三年生のあの時代の成長期にあるところの子供たちの思想或いは生理的方面、こういう方面から考えてこれは絶対に六・三制は守つて行かなければならない、こういうことがこの車中談として述べられておるのであります。私はその文相の構想に対して敬意を表するところのものでありますが、この問題について果して閣議、そういうふうな方面においてどういうふうな一つの話合があつたか、先ずこの点について伺いたいと思うのであります。
  103. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) いわゆるこの六・二制というようなことについては、公には私はどこからもお話を聞いておりませんです。まして閣議においてそういうことが問題になつたことは全然ございませんです。ただ御承知のように非常にこの日本の経済、財政というようなことがむずかしいために、こういう問題が起つて来るというのも自然ではないか。起つて来ればそれを検討するというようなことがあつても当然ではないかと思つております。けれども、どこからも正式にそういうことを伺つたことはございません。けれども仮定的にそういう議論がなされるなら、私は今日六・三制を堅持するというようなことはこれは当然の話であつて教育に関心を持ち、教育に知識を持つておる人ならばすべてのかたがそういうお考えをされるだろう、私もそう考えて決してこの点は私は譲ることができない。たとえそういう論が起つたとしてもという考えでございます。
  104. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の文相のお話では、まだいわゆる自由党の政調会の方面からも、又閣議の席上においてもそういうような話合いが一度もなかつた、こういうようなことでありまするが、若しその際に、こういう問題が政調会或いは閣議、こういうふうな場合に話合いが出て来たとした場合に、文相は飽くまで六・三制を守つて行く、こういう御信念で以て徹底的にやられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  105. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういうことが正式に出て来るかどうか、私は知りませんが、仮にそういうことが出て来ても、私はこの六・三制を是非とも堅持しなければならないという考えを抱いております。
  106. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは六・三制のいわゆる本年度におけるところの補正予算の上で単価値上りの問題上、補正しなければならぬのが約十九億あるようでありますが、これについて今までどういうふうな折衝をしておりますか。この点についてお伺いいたします。
  107. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは初めに閣議で以て補正予算について述べたときに、私はこれは是非やつてもらいたいということを述べてあります。その後は事務当局に大蔵省に対して交渉をしてもらつております。そういう過程でございます。
  108. 若木勝藏

    若木勝藏君 この問題についてはまあ事務当局が折衝しておる過程にあるということになりますけれども、大臣の見通しとしては、必ずこの十九億の補正が実現できるとお思いであるか、この見通しについて伺いたいと思います。
  109. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは見通しでございますが、私はどうしてもこの物の値上り補正予算というのはしてもらわないと困る、是非これはしてもらいたいという考えでございます。
  110. 若木勝藏

    若木勝藏君 この六・三制の問題に私は或いは関連しておるのじやないかというふうな考えを持つておるのでありますが、今日の毎日新聞を見ますというと、仮称でありますけれども教育平衡交付金制度、こういうふうなことの計画文部省のほうにあつて、すでに七日の閣議のあと大臣は単独で吉田首相と協議されて、大体この大臣の構想に対しては吉田総理も同意しておるようなことが出ておるようでありますが、この構想は新聞の通りで間違いないかどうか、この点について伺いたいと思います。
  111. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 御承知のようにこの標準義務教育費の確保ということを私どもはこれまで非常に努めて来たのですけれども、それが成立することができなかつた。ところが今度知事とか市町村長というかたがたが全額国庫負担というようなことを言い出されたそれで全額国庫負担とか半額の国庫負担というようなことも確かにこれは一つのやり方でありますけれども、併し自分たちはよくそれを検討して見て、まだもつとほかによい方法があるのではないかといつて、今新らしい方法を検討しておるわけであります。それが毎日新聞に出ておつたのはそういう私ども研究を聞いて出したものと思つております。それから又七日の閣議後総理に会つたということが出ておるということでございますが、私は総理にお目にかかつておりませんです。で、この方法論ですね、いわば方法論についてはまだ総理と一度もお話をしたことはございません。
  112. 若木勝藏

    若木勝藏君 大臣とのお話合いはとにかくないということでありまするが、文部大臣としては標準義務教育費法案というものに対して、これと肩替したりいわゆる教育平衡交付金というふうなものについての構想を持つておられるでしようか、若し構想を持つておられるとしたならば大体その具体的なことについて伺いたいと思うのであります。
  113. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その大体の構想は昨日会計課長から話されたということですからすでに御承知かと思いますが、同じことでございます。要するに私どもは全額国庫負担というのには難点がある。で、やはり地方と中央とが両方が協定してやるというのがよいのではないか、それには地方がどれだけ金を出し、中央がどれだけ金を出すかということが何か標準がなければならないのですから、そういう標準を十分ここに立てて、そしてやろうというそういう考えでございます。詳細のことは会計課長からお話したということですが、それと同じことでございます、私の抱いておる考えは……。
  114. 若木勝藏

    若木勝藏君 昨日会計課長からのお話は今文相の答えられたようなそういう構想には何も触れておられなかつたように私は考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)それで文相の構想を改めて伺いたいと思います。
  115. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 若木さんはそのときおられなかつたそうでございます。ほかのかたには申上げてあるそうですが、併し大体のことを私から申上げれば、やはりこの一定の標準を先ずきめる、いわゆる定員額で以て一つの県なら県の費用を全部きめる、その費用をどうして出すかという標準を定めて、そうして一部分を地方から出し、一部分を中央から出す、そういう構想なんでございます、大体としては……。若し詳しいことが必要ならもつと詳しく申上げますが、大体そういう構想を抱いております。
  116. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、この新聞でも見えるようにそういうような予算は千億を越えると、なおその今度の第二次のべースアツプがあつた場合には更に二、三百億は上廻る、こういうようなことが新聞にも出ておりますが、一体仮に千億というようなことについて考えて見ても、そういう予算を来年度において取り得るところの見通しが文相としてはおありになるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  117. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その毎日新聞が書いておることを私は実は大体しか見ておりませんが、そういう金額、これは今度のその制度というか、その方法とは直接関係していないことで、そんな千億というような考え文部省考えたことはございません。新聞に出ておることであります。それならばどれだけになるかということは、私からはここに計数を持つておりませんので、お答えできませんが、併し千億なんということはないと思つております。
  118. 若木勝藏

    若木勝藏君 その場合にこういうことが私は考えられるのですが、この文相の持つておるこういうふうな構想が実施されたときには財政的な裏付がなければならない。そうなるというと、在来のこの教育予算の方面から見ても大体千億になつておるようでありますが、そういう点から考えてどうしてもこういうふうなことを実現するためには、他のほうのいわゆる教育を犠牲にしてこの方面に向けて行かなければならない。言い換えれば六・三制というようなものを六・二制に切替えてそこに経費を見出してこれに代るというようなことが一応考えられるのです。そういうことに対して文相はどういうふうにお考えになるか。
  119. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 決してそうではないのでありまして、六・三制というものを完遂するのにどういう方法によるかというその方法論なんでございます。それは決して六・三制とその方法論とのどちらを取るかということではないのです。六・三制を完遂するためにこういう方法論を考えたわけです。
  120. 若木勝藏

    若木勝藏君 いや、文相の今の御所見は私はそれではつきりいたしましたが、私はそういう場合もあり得ると、こういう仮定で質問したところが、文相は決してそういうものじやない、六・三制を守るためにこういう方面の構想を持たれておる、こういうことでありますれば、私はその点了承するのであります。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今若木委員から六・三・三・四の新学制についての質問があつたのでございますが、いろいろ新聞やラジオで放送される関係上、今まで六・三制について必死の努力をして来た国民は、教育者も非教育者も心配しておる状況でありますから、私は若木委員質問に更に補足して文相にお伺いしたいと思うのですが、先ず吉田総理のプライベート・ブロツクである文教懇話会、こういうようなところでいわゆる六・三制が論じられたことがあるかどうか、承わりたいと思うのでございますが、大臣がそのメンバーの一人であると思いますので……。
  122. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) それはこの間、箱根で文教懇話会が開かれたときに、六・三制でなければいけないと、六・二ということは到底採用できないということを私申して全部の委員が同意見でありました。そういうことがあります。総理もそれに対しては何も反対の意見は述べられませんでした。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理はそれに対して反対の意見を述べられなかつたとこういうふうにおつしやいますが、総理としては相当積極的な意見を持たれておると思いますが、大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやるか、なお吉田総理のお考えというものは現在でも変りはないかどうか承わりたいと思います。
  124. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 余り個人的に立入るということは、こういう質問、応答に適切であるかどうかは私はよくわかりませんが、併し私の主観的なことを申せば総理は私の考えを十分了承しておられると私は考えております。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 曾て文部大臣はよくこの文部委員会で文教政策に関しては一切総理から任されていると、こういうように再三天野文部大臣がこの委員会で言明されたと記憶いたしております。で再三天野文部大臣はこの席上で六・三・三制の基本線の堅持ということを主張されて参りまして、なおその新学制の生みの親である文教刷新委員会の天野文部大臣は当時一員であられたわけであります。更にこの新学制というものが決してアメリカから押付られたものではなくして、自発的にお互いが生み出したもので、それがいわゆる第一次米国教育使節団の意見と完全に一致したものである、こういうことを主張されて来た大臣としては、先ほどの言明の通り今後も努力されることを私は確信するものであります。当然又大臣としてはその責任があると思うのでございますが、吉田総理は勿論閣議においても文教政策の責任である文相の意見を尊重するだろうと思います。そこで私は文相はそういう決意である以上、国民はこの講和を控えていろいろな国内態勢が転換される現在心配しておられると思いますが、結論的には杞憂と思うのでありますが、併しながら一部にそういうことが検討されているという以上は、非常にこれは重大問題化するかも知れませんが、若しも重大問題化したときに、その堅持を主張して参りました文部大臣は如何なる政治的責任を持つてその責任を遂行せんとされておるや否や、その決意のほどをここで承わつておきたいのであります。
  126. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 先ほども申しておりますように、これはどこからもまだ正式に出ている話ではないのです。その正式に出ていない話を余り自分たちがこういうところで論議して、そんな国民に不安を与えるということはどうかという気がいたしますが、併し仮にそういうことが起つて来たときには、私は矢嶋委員のお考えになるような決意を抱いておるつもりでございます。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の答弁を了とするものであります。更にお伺いいたしますが、先ほども若木委員質問に対しまして、大臣は分けには一切開いていないというようなことを話されておりますが、大臣の部下であられるところの事務官僚のかたは、事務当局者は自由党の政調会あたりに招かれて、こういう意見について相当の党の意見というものを話され、なおその見解も問い質されたやに聞いているのでございますが、そういう事実はないのかどうか、事務関係者に承わりたいと思うのです。
  128. 辻田力

    説明員(辻田力君) 私からお答えいたします。只今お話ございましたように、自由党の政務調査会のほうに私ども呼ばれまして、私たちの意見を聞かれました。併し政務調査会でどう考えておるということについてはお示しが別になかつたわけであります。
  129. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 自由党の政調会から庇ばれたというのは私が呼ばれたのであります。事務のかたがたはどういう質問があるかわからんので、私が用意して行つてもらつた。そのときには六・三制の問題についで私の意見を政調会に聞かれました。それから文部委員会のかたもここに見えたのでありますが、その意見も聞かれましたが、六・二制について政調会で問題になつておるということは聞いておりません。又六・二制についての政調会の意見も聞いておりません。たた私ども意見を聞かれたたけであります。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の水谷政務次官並びに文部省の事務官のかたの答弁では、ただ新学制についてどういう意見を持つておるかと聞かれた、当然背さんがたは六・三・三・四学制を飽くまで堅持しなければならない、こういうことを極力主張して参つた考えるのでありますが、間違いありませんか。
  131. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 間違いありません。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは私は当然だと思うのです。これだけの質問を繰返せばここで六・二制というものが考慮されておるということは一応デマだという程度になるかとも思うのでありますが、これは曾ての参議院選挙なり、或いは地方選挙において六・三新学制完全実施という公約を掲げて選挙選を戦われた大自由党としては私は当然のことたと考えるのであつて、にもかかわらず、(「その通り」と呼ぶ者あり)新聞報道関係で六・二制が論じられ、それが国民を惑わしておる点、これは私は自由党、特に自由党出身政務次官でもありますし、責任をもつてそういうことは全く事実無根であるというような声明でも出されて、国民を私は落付かせる必要があると思うのでございますが、そういう用意があるかどうかを政務次官一つお伺いしたいと思います。政務次官個人でできないとすれば、未だに一切問題になつていなければ自由党としてもそういうデマが飛んでは非常に迷惑かとも思うのでありますが、自由党の政調会あたりはそういうことは一切ないのだということを前以て声明を発表されるのが最も時宜に適しておるかとも思うのでありますが、それに対しての答弁を……。
  133. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 政調会でも、それから総務会でも六・二制の問題が正式にそういう論議があるということを私は聞いておりません。従つて自由党としても全然問題になつていないのでありますから、そういうことをする必要はないと考えます。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私のお伺いしたいのは、自由党にそういう事実があるかないかということでなくて、事実がないということは政務次官からここに言明された以上、私はそういうデマを払拭する意味において国民に対する影響も考えて、この際そういう話は政府の中にも自由党の政調会の中にも一切ないのだということを私はここで声明みたいなものを発表することが最も私は時宜に適しておる、そういう用意があるかないかということをお伺いしておるのであります。
  135. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 自由党のほうでの考え方は私が個人で推測してお答えすることはできないのであります。私どもは十分私どもの趣旨を申述べているわけでありますから、よく了承してもらうつもりであります。
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自由党のことを次官一人で申されることができないということは勿論諒といたします。私は政務次官個人として、文教政策の最高責任に準ずるところの地位にある政務次官として私はそういう談話でも発表するということが最も必要な時機じやないか、こう考えるのでございますが、それに対する用意はあるかないかということをお伺いいたしたいのであります。
  137. 水谷昇

    説明員水谷昇君) 私は新聞記者諸君からお尋ねになりますと、はつきりお答えを申しておりますので、新聞記者諸君が発表せられんだけでありまして、私に尋ねられたときにははつきり申上げております。
  138. 加納金助

    理事加納金助君) 大体どうですか。
  139. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ、最後に私はこの問題について文部大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、九月四日からサンフランシスコで和解と信頼の講和條約を締結する、こういうことが盛んに今問題になつているわけでございますが、六・三・三・四の問題を実施以来五年くらいで変えるということは、和解と信頼の講和條約に反しはしないか、国際信義という立場からこういうことを変えるということはどういうふうに大臣はお考えになるか。ヒイリピンの教育あたりでは、或いは国会あたりでは日本の教育は非常に危険であるから講和條約締結後も向う三十年間くらいはこれを管理する要があるであろうというようなことを国会議員が発言されているかたがございますが、六・三・三・四をここに実施以来日が浅いのに、これを変えるということは私はやはりそういう面に影響して来て、国際信義上総理が言う和解と信頼の講和という立場から到底考えられないと思うのでありますが、こういう国際信義という立場からとこの新学制をどういうふうにお考えになるか、それだけ承わつて終りたいと思います。
  140. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その前に先ほど矢嶋委員からデマという、六・二ということがデマであるというようなことがありましたが、これはデマといつては言い過ぎるので、実業界のかたがたには以前からこういう考えがありますから、これを検討したところで何も差支えないことなんで、丸きり何もないデマということは少し言い過ぎると私は思つております。実業に従事されているかたにはこういう考えがありますが、併し私はそれに初めからもう絶対反対なんであります。それから又国際的な影響も好ましくないということは、私も同様に考えております。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も今問題になつております六・三制の現行の問題について二、三大臣に質しておきたいというふうに思うのです。成るほど大臣は只今の御答弁で、相当深い決意を持つて飽くまでこの新学制を守り抜くのだ、こういうことを述べられたのであります。そういう点に関する限りは、我々もこれは敬意を感ずるものでありますが、ただ問題は今までの文部を行政のあり方を見ますときに、通り一遍の声明だけで果してこの現実が守り抜けるかどうかという問題にある。つまり問題は六・三制の内容をなし、裏付をなすところの財政がこれに伴わなければ、どんなに文相が希望されてもこの点は財政的に崩れて来る、その問題につきましては、去る七月の当委員会におきましても、私は文相の見解を質したのであります。如何に希望する、これを守るのだ、こういうことを言いましても、財政面から崩れては何もならない、こういう点を極力申上げたのであります。そこで現在六・二制が問題になつているというのは、これは非常に日本の国民に対しましては不可解な感じを禁じ得ない。なぜかと言いますと、すでに講和が予想されておる、そうして講和が予想されれば、現在におきましては、いろいろな講和に対する考えがあるようでありますが、単独講和、全面講和を主張するそういう人たちのその議論にかかわらず、ひとしく希望していることは講和によつて現在よりもいい事態が出て来る、そのうちの最も一番深い関連を持つておるのは、やはり現在の税金の重いのが軽くなるか、或いは又生活がもつと楽になるか、もつと我が国の主権が回復されて自由になるかどうか、こういう点については恐らく日本国民全部一致したところの希望として私は持つているのだ。そこで例えば講和会議が開かれれば終戦処理費の一千二十七億が浮くのではないか、従つて当然これを教育費のほうに廻せば、現在非常に破綻に苦しんでおるところの教育財政のごときは非常にこれは息をついて来るのではないか、こういう希望を持つてむしろ六・三制の内容充実などということを一般の大衆が考えておると思う。ところがそういう矢先に当りまして、逆に新学制を改革して、そうして六・二制に持つて行かなければならないということになりますと、これは講和に対する国民の希望というものとはまるで裏腹の事態が発生して来る。この点につきまして、どうしても六・三制を守り抜くということを本当に文相がここで声明されるならば、この裏付としての財政を如何にこれは確立するかという固い決意が当然述べられる、私は裏付としてはつきり声明される必要があると、こういうふうに思うのでありますが、この点に対しては、蔵相はどのような決意を持つておられるか先ず承わりたい。この具体的な内容についてはなお二、三御答弁の結果によりまして質問したいと思います。
  142. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 幾ら六・三制を希望しても、金がなければ駄目だということは当然のことであります。だからして是非そういう財政の裏付をしようというために、今新らしい一つ財政計画というものをしているということを申上げたわけであります。でありますから、私はそういうようにして財政的な基礎を立てて、そうしてこの六・三制を守ろうというのであつて、決してただ宙に六・三制を主張しようというのではありません。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 今そういうような、例えば先ほどから問題になりました教育平衡交付金というような制度を考えておるのだ、こういうお話であります。併しながらここに出されておりますだけの金額を教育財政として確保するだけにも非常な決意を持たなければ私は不可能だと思う。その例としましては、現在問題になつておるところの六・三制の補正の八十七億の問題、或いは過般から教員に対して生活に直接の関係のありますベース・アツプによるところの財政欠陥が、すでに昨日も地財委からの資料を求めたのでありますけれども、百七十億の赤字を出しておる。教員給だけでも百七十億の赤字が出ておる。そこへ持つて来てベース・アツプを考えれば恐らくこれに倍するところの財政欠陥が出て来る。こういうような問題がすでに眼の前に出て来ておる。この問題を解決することなしに、而もその前にその先に行つてこういうような制度を考えるのだ、これでは非常に私はそこのところが逆になると思うのでありますが、先ず当面の六・三の建築予算並びにこの地方財政平衡交付金の不足から生じましたところのこの財政欠陥をどのようにして埋められるか。この点に対する所見を承わりたい。
  144. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういう財政の問題が決してやさしいと考えておるわけではないのでございます。これは非常にむずかしいと自分は思つておるのです。今言われた補正予算でも非常にむずかしいけれども、併し値上りによつて殖えて来ておる予算、こういうものは是非これは出してもらわなければならぬ。併し又あなたのおつしやいました百七十億ですね、或いは又べース・アツプによる増額、そういうものも当然これは問題になつておるので、私も決してそういうものを知らないわけではないのです。でありますから、事務当局を督励してよく地財委のほうにもそういう点を数字を出して折衝をしてもらつておるのです。そればかりでなく、ただの法律論から言えば、文部省はそれだけでよいのかも知れませんが、なお大蔵省ともそういう点について事務当局の間に話をしてもらつておるのです。そういうようにしてできるだけこれをやろうとしているので、ただ安閑として六・三制を唱えていればいいという考えでは私もございません。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今のような御説明があつたのでありますが、昨日地財委並びに大蔵省の主計官の話を聞きますと、只今のような問題が殆んどこれは困難であります。こういうことが出されおります。又八十七億の六・三制の建築予算については、文部省でも現在逆櫓戦術をとつている。逆櫓戦術というのは両方に櫓を付けている、つまり今年度補正で取れなければ、来年の本予算で取るのだという両方を予算書の中に入れておる。こういう事態では現在行なつているところの建築の中心問題、それが後援が続かないために立ち腐れとなつているのであるが、この事態を解決することはできない。事実今年においてこの八十六億というものを補正予算で徹底的にこれを解決しなければならないと思うのでありますが、これについては殆んどこれは現在の折衝過程ではどうも希望的観測を生み出すことさえ困難だというような意見が出ておる。殊に地方財政の百七十億の財政欠陥補填の問題については、殆んど昨日これは地財委の意見として不可能だ、又主計官もそういうような意見が出ておるのであります。こういう事態をどのようにして文相は一応打開されるのであるか、もつと具体的にこの問題を追及することなしには、私はこれと深い関連を持つところのこの六・三制の問題というものについての徹底的な裏付のある言葉としては受取れない、こういうふうに思うのでありますが、この点の見解を承わりたいと思います。
  146. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は地財委のほうでそれが絶対に不可能だということを言われるわけはないと思う。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 地財委が言つたのではない。地財員が大蔵省のほうに折衝して、今の段階では非常にこれは解決は困難だ、大蔵当局としてこれを解決することは非常に困難だ、無論地財委はこういう問題と共に地方財政の問題を取上げて、これを含めたところの起債並びに平衡交付金の増額の要求を現在やつているわけです。併しそれが非常に見込薄だというようなことが申されているのです、困難であるということが漏らされているのです。これに対して具体的にどのような処報を一体考えておられるか、承わりたい。
  148. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) どのような処置をすると言つても、文部省としては、地財委に自分たちの数字をよく報告をして地財委を通じて大蔵省に折衝してもらう。なお直接にも大蔵省と折衝をする。事務当局が極力そういう努力をするという以外に途はないのであります。そういう途をとつて私は今やつておるわけなんです。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 まだ無論大臣折衝の段階にはこれは行かないかも知れません。この教育問題について大蔵当局並びに場合によつては総理大臣の裁断を仰がなくちやならない事態が起ると思いますが、文相はこういうふうなつまり政治的な折衝の面においてどういうふうなことを考えておるか。決意を有しておられるか。承わりたい。
  150. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今は事務当局の折衝の段階だと私は思つております。併し必要があれば今でも大蔵大臣でも総理大臣にでもお話をしようと思つております。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、今の問題はなかなか我々の見通しでは困難である。殊に地方財政委員会のほうなんかの意見では、非常にこれは困難だというような形が出て来ております。そうしますと、この問題はやはり六・三の基礎をどうするかという問題と非常に深い関係があるわけですが、こういう問題が具体的に解決されない場合にはこれはどうなるのですか。如何に文相が一方で六・三は堅持するのだ、こういうことを言つても一片の空声明に終ると思うのでありますが、これはどういうふうに処置をされるのでありますか。
  152. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 地財委の今の百七十億、又これにベースアツプをすると加わると思うのでありますが、そういうものを解決するということと、六・三を堅持して行こうということとは、これは片方が解決できなければ全然意味がないというのではなくて、片方も解決するが、片方も堅持して行こう。こういうのです。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは私は非常に大臣は事態の認識を誤つておられると思う。六・三制という一つの看板が欲しいのではありません。我々は今日教育の実体が欲しい、充実した内容が欲しい。六・三制という看板の干乾びたものをいつまで抱えておることがいいかどうかという問題じやないのです。日本の教育の実体がどうなるかということが一番大切な問題であります。而も文相はそういうふうに切離して考えておられますが、例えば平衡交付金におきまして、教育の中に三百億の予算というようなものが確保されない場合には、当然これはどういう結果を惹起すか、言うまでもなく財政縮小が始まります。この財政縮小によりまして当然教員の馘首というものが望むと望まないとにかかわらずそういう事態が地方財政から惹起されて来る。現在予定される線から言いますと、そういう形であつて一割乃至一割五分の教員の馘首というものが財政的にはこれはどうしてもやらざるを得ないという事態が発生して来る。そうしますと、これと符節を合したようにどうしても六・三制の義務、九年間を一年短縮して、そこに人員の整理並びにこれに対するところの費用の節約という線が当然並行して来るのであります。我々はこうしたような事態に対して具体的に憂えておるのであります。ですから文相がこういう一方で財政問題はこれは解決付かないが、これで六・三制はどうなるものでもない、これで以て六・三制が駄目になるというふうには考えない。こういうふうに言われるとしたら、私は歴代の文相がやはり当委員会において同じようなことを言つて来たに過ぎない。皆そういうことを言つて来たのが今日のような内容のない六・三制、空廻りの六・三制が行われておる現実を惹き起したところの原因であります。そうでない、我々は日本の教育改革の根本條件としまして、財政的な基礎的な問題を解決することなしに教育の再建の問題はできない、こういうことを当初から主張して来たのでありますけれども只今の文相の答弁によりますというと、丁度これは六・三制は六・三制だ、財政の問題は必ずしもこれは必須の條件ではないというふうに考えておられるように思うのでありますが、我々は六・三制即財政の問題というふうにこれを把握し、そうでなければこれは六・三制というものは空念仏になるというふうに考えておるのでありますが、この点は如何でありますか。
  154. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 六・三制は財政の裏付がなければ成立たんというようなことは申すまでもない話なんです。二と二と加えれば四になるというようなことです。それをここでいつまでも言つてつてもしようがない話だと思います。ただ皆さんが私に六・三制を堅持する気があるかというから、堅持する気がある。それから又一方において今のような問題を解決するにはどうするかと言うから、それは事務当局をしてこれを今交渉させておると言うのです。それがむずかしいことはわかり切つた話なんです。それがやさしければ何も問題ないのです。私はあなたと少し違つていて、今講和が来たからすぐ何でもかんでも楽になつてしまう。こうは私は国民は思つていないと思う。敗戦国がそんなに一遍に楽になつてしまうわけはない、これからなかなか困難なことが多い。教育も六・三制を堅持するかと言うからするという考えだ、生やさしいことだとは思つていない。非常にむずかしいことだと思つております。ただ財政の裏付がない六・三制などをするというような考えは毛頭ありません。私は四と四を加えて五になるというようなことを言わないのと同じであります。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはそういう論議をされても文相自身の御答弁の中に明らかにその矛盾が私は含まれておる。これを再指摘する必要はありません。切り離して考えておいて、これは止むを得ないというふうに追い込んで来たのが今までの姿であります。  そこでもう一点伺いたいのですが、教育予算というものが確保できない。そうして現在考えておるような教育平衡交付金制度というような一つの制度を考えられたのでありますが、併しこの問題はこれは非常に困難な問題だと言われた通り、私は困難だと思います。併しこの困難の原因の中には日本の今後の関内態勢、講和と即応したところの国内態勢にはつきり絡まつているから困難である。現在の財政経済の状況を見ますというと、すでに当然これは講和の能勢の中には外国軍の駐屯問題と更に再軍備の問題がこれは日程に上つて来ておる。そして半月後にはこれが望むと望まないにかかわらず、いや応なしに調印させられるという段階に追い込まれて来ておる。従つてこのようなものが果して日本憲法に一体明示するところか。或いは国際條約にこれは公約された線を我々が堅持するところであるか。こういう問題と深い関連を持つと思うのです。従つてその線は文相としてもこれは明らかに体得されなければ、如何に財政的にこれを確保するというようなことを言つても空念仏に終ると思う。日本の乏しい財政の中に二十個師団を持つ。或いはこれに附随したところの戦略空軍を持つ、沿岸の海上保安隊を持つ。これだけでも厖大な五千億に余るところの予算が要る。そうして終戦処理費のごときは外国軍の駐屯費として大部分を使用される。こういう形になつておるからこそ現在におきましても、これは昨年度予算の問題におきましても、いろいろそういう財政経済の中にいろいろな余剰金或いは経済再建費或いは予備金というような形でこれは隠れておる。而もそれでも足りない、こういう財政経済がとられておるが故に教育財政に対してこれは支出することができない。こういう事態を文相ははつきり認識されて、この問題を根本的に解決するその一環として、こういう態勢のなかに我々は捲き込まれない。飽くまでも平和を守り抜いてポツダム宣言や日本憲法の指示する方向に行つてはつきり具体的に保障のあるところの教育を守り抜くのだというもつと根本的な態度に立たれなければならないと我我は考えるのでありますが、如何に文相が部下を督励され、そうして只今のようないわばお座なりの御答弁をされたとしても、この問題は解決付かないと思うのでありますが、こういう点について一体文相はどういう見解を持つておられるのでありますか、この点が非常に私は重要だと思います。この問題がすべての問題を決定すると思うのであります。如何に平衡交付金の要求をしましても、これが成立つか成立たないかというようなことは、財政経済の面から見ればわかる。どんなに理想的なプランを立てたとしましても、実際大もとの戦争をやめて、本当に平和態勢を守り抜く、そうしてその具体的な表現としての教育を守り抜くという固い決意を持たなければ、そうしてこれを大きく国民と協力してやつて行かなければ絶対に私は解決付かないところの、一つの欺瞞じやないか、こういうふうに思うのでありますが、文相はどういうふうにこういう一つの大きな問題について信念を持つておられるか、この点をはつきり伺つておきたい。
  156. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は欺瞞を述べたことなんかありません。ですから欺瞞だといつたようなことでは御答弁できない。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は欺瞞の意志を以て文相が言われておるなどということは毛頭信じません。併し結果において欺瞞になるのです。そういうことを私は言つておるのです。ですから本当の過去の裏付のある一つの仕事を通じて初めてそれを表白してもらいたい。一つの声明や空念仏で終つてしまつて、実態は殴れてしまうのならば、これは欺瞞以上のものであります。私はその点を指摘しておるのでありまして、誤解のないように願いたい。従つて答弁要求いたします。
  158. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 我々は非常に平和を望んでおる、非常に自分たちは平和を熱望しておる。けれども、平和をどういう方法によつて来たすかという方法になると、人々にいろいろな意見がある。ところが社会の一部には、自分らと同じ方法で平和を望むと言わなければ、そういう連中は戦争を要求しておると、そういうことを言うのは非常に間違つておると思う。それは戦争中丁度私どもが人格の尊厳とかそういうことを唱えれば、それは非愛国的だ、何でも自分と同じ考えを方たなければみんな非国民だと、こう言つてフアツシヨ的の考えと全然同じだと思う。平和を如何にして来たすか、これはすべての人の念願だと思う。そういう点について岩間さんのも一つ考えでしよう。けれども他にも考えがあり得るということをお聞き頂きたいと思う。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは文相は日本で今なされておる平和運動というものの実態を御存じない。どういう形で日本で今国民大衆が平和の問題を取上げようとしておるか、もう少し広汎にもつと実態を御覧なさい。あらゆる階級の思想や、それから政治的意見を超越して、宗教家も或いは又相当右翼がかつたという入も、日本を、ここを戦略基地にすることは許されない。そうしてこういうことの態勢をとつたならばこれはみんな破壊があるという点では、成るべく戦争など避けて平和を守るために今日大同団結の線で動いておる。こういう実態がこわいからこそそのような私は態勢がとられておると思う。文相はそういう事態を御承知になつて申しておられるのでありましようか。私は今申されたような一つの主張、これはそういう主張をやつておる人もあります。併し今日の祖国の危急の場合におきましては、みんな平和を守るという一線、戦争を廃止するという一線では、実にいろいろな小異を棄てて大同についておるというのが実情なんだ。こういう実態について私は文相の今のような言葉は非常に不思議に聞えるのでありまして、もう一度意見を質したいと思う。
  160. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は只今申しているように、日本人のすべての人が平和を望んでいる、こう言うのです。そうして、ただ如何にして平和を守るべきかという方法についていろいろな意見の違いがある。こういうことを申したのです。
  161. 高田なほ子

    高田なほ子君 文相の六・三制に対する固い御意見はわかつたわけでありますが、くどく申上げるようでありますが、これに対しては飽までも教育財政を確立するという、この一線は絶対に退けない問題だろうと思います。そこで先ほどの教育財政確立に対しては新らしい形を考えておるというような御答弁でありましたが、勿論これは中央の責任と更に逼迫した現在の地方の財源をどう処理して行くかとい二つの大きな問題に逢着していると思うのであります。一昨日来の文部委員会において、中央の財源措置の責任が果してどの程度果されるかというこについては、文相の苦衷を私どもは誠に察するに余りあるものを感ずる次第であります。吏に地方財政状態を見ましても、二十七年度におきましても平衡交付金並びに地方起債というものの大幅の削減が一応数字の上に出ていると思うのでありまして、文相は八月十二日の東京新聞で、六・三制を絶対堅持する、そうして義務教育地方費負担を以てというようなことが大きな見出しで出ていると思うのですが、これは先ほどからの文相の御答弁によりまして、中央と地方との双方の負担であるということが一応明瞭になつたわけでありますが、さてこの逼迫した地方の財源をどういうふうに一体切抜けて行けば教育財政が確立するかということは非常な問題であろうと思う。わけても現在までの平衡交付金制度による教育の財源というものが非常に窮迫している。更に六・三制を堅持して行くというこの方針をとつた場合に、どうにもこうにもやりきれなくなつてしまつて、聞くところによれば知事会議あたりではどうしてもこの実質的に六・三制を完全に実施して行くことができないから、止むを得ず六・二制にしなければならないのではないかというよな誠に現実の上から起つて来ているこのそこはかとない六・二制というものは、今後の大野文相の六・三制堅持の固い決意を相当圧迫する大きな要素を私は持つていると思う。従つて今後逼迫した財政の中でどう教書財政を確立して行くか、これは勿論税制の改革というような面についても、或いは天野文相はすでに交渉の過程にあられるのではないかということを観察するわけでありますが、その辺の経緯並びに文相の御決意について承わりたいと思います。
  162. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今おつしやいましたように、非常に事がむずかしいと私も思つているのです。むずかしいけれども、一体この六・三制というものを六・二制にした場合に、いろいろな場合が考えられる。この今のように三年を置いて二年だけを義務制にする。或いは二年は下につけて三年は上にやつてしまうというようなさまざまのことが考えられる。そういう場合にどんな金が浮いて来るかということを詳しく研究しております。成る程度の結果も出て来ております。それから又国の収入とか租税というものと教育費はどいうことになつておるか。六・三制を堅持しては実際国の財政は成り立たないものであるか、私はそういうことを政府を離れた公平な優れた経済学者等によく意見を尋ねたり、いろいろ研究してもらつております。そういうようないろいろの検討の見通しから言えば、いろいろなことを倹約すれば六・三制を堅持して行けるのではないかというのであつて、ただ私は決意があるというのではなしに、もつと客観的な検討の上に日本は六・三制ということを堅持できると、こういうので是非すべきであると、こういうことを申しておるわけでございます。
  163. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点、そうすると巻聞伝えられておるところの六・二制という問題は、文相がどうしてもこの六・三制を堅持するために、その三の問題の検討、六・三の三の問題の検討が、上に一年を義務制から外して持つで行くか、或いは別の形で持つて行くかという検討をされておるところに出て来た一つの浮説である。併し文相は飽くまでも現在の日本の状態、客観的の状態、主観的の状態から見て、この六・三制は必ず堅持して行けるという一つの確信を持つたという御答弁でございましたので、そのように私は了承するわけでありますが、よろしうござまいすか。  続きまして、これについて文相の御決意並びにこれについての見通しが明瞭になつたわけでありますが、然らば六・三制を堅持するという建前におけるならば、教育行政の面においてもこれは当然今の定員というもの、教育の定員定額というものは、これはやはり堅持すると共に、更にこれを最高のレベルにまで引上げて行くというような努力がされなければならないと私は思うわけでありますが、昨日も鳥取県からの電報によれば、教員の六百名の首切りというものが現実にここに現われて来ておるという問題であります。これに関連して考えられますことは、認定講習に対する旅費を今年度で打切つてしまつて、そうして教員の資格を取る途を財源的にここで切つてしまつて、そうしてこの首切りと搦ませて行くような危険性を持つのではないかということと、もう一つ文部委員会におきまして質問いたしました、最も弱い婦人教師の面に自然の形で以て退職を慫慂するというような傾向が出て来ることは、この六・三制堅持の文相の御意思とは甚だ相反する現実のように考えられるわけであります、これに対しまして文相の御意見をお伺いしたいと思うのであります。
  164. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそういう細かいことをよく知つておりませんから、局長から御返事させます。ただ私は大体として、若し省けることがあるなら、これは省かなくちやいけない。たとえ一部では、校長が中等学校の校長と小学の校長は一つ建物などにおるときは兼ねてもよいのではないかという論があつたり、又それほど大きい学校でないのに校長と教頭と両方あつて、両方とも授業を持たないというようなことはよくないではないかとさまざまのことを聞いております。併しそういう点については自分らは虚心恒懐、削るべきものは削る、又こういう敗戦後の事情ですから、不便なことを忍んで行く、ただシステムはこれを守つて行きたい、又内容についてもいろいろな検討をしようと、こういうように自分は考えております。只今申されたその手当をやめるとかいうようなことを私はよく存じませんから、係の者にお答えいたさせます。
  165. 内藤譽三郎

    説明員(内藤譽三郎君) 只今の御質問について申上げさして頂きます。今高田委員からのお話の定員定額制の件が出ましたが、現在は定員定額制というものをとつておりません。これは国庫補助金がございましたときに、国庫補助金の配分の基準といたしまして定員定額制をとつたのであります。従いまして現在平衡交付金制度になつておりますので、その定員定額制という形はすでに解消されておるはずでございます。只今お尋ねの点でございますが、実はこれに教員の定員をどういうふうにするかということは勿論地方がきめるべきに問題なんであります。そこで鳥取県の場合は、これは地方財政委員会のかたが鳥取県の財政調査においでになつたときに、そういう話を私ども聞いておるのであります。そこでこの地方財政委員会のかたのお考えが正しいかどうか私は若干疑問を持つておるのであります。と申しますのは、五十人につき一・五で計算した分の余りがまあ五百名程度あるというので、これは少し教員が多過ぎるのるのではないかという話が出たそうですが、私はまだ詳細に地方財政委員会のかたとお打合せしておりませんので、一方的なことになるかも知れませんので、この点は御了承頂きたいのですが、ただ私は地方財政委員会のほうへこの点は申入れたのですが、つまり地方自治でございますから、或る県が教育に非常に熱心である場合には、教員の質もよくし、或いは給与もよくするということは、これは自主的にきめられていいじやないでしようか。第二に、鳥取県の場合五十人で割つて一・五ということは余り根拠がないではないか、と申しますのは、鳥取県の平均学級が三十六人でございますので、三十六人で、小さい山間僻地の学校が非常に多いのでございます。そういう点から実際学級に対してどういうふうになつておるかということを考えなければならんのじやないか、ですから単に財政の面からのみ、地方財政という面からのみ教育費を判断されるということは、私は適当でないという意味で、地方財政委員会の注意を喚起しておいたのであります。ただ直接の担当者が見えなかつたので具体的にお話を聞く機会はなかつたのであります。ですが、定員の面におきましても、現在平衡交付金で最初に見た五十分の一・五の定員は最近遥かに下廻つておりますので、今後これ以上なるべく下げないようにして、教員の教育活動の最低が保障されるように努力を払いたい考えであります。
  166. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと事務的なことでありますから、これで私は質問を打切りますが、御答弁通りに理論学級というものの矛盾は、すでに鳥取県を初めもう各所に現われている問題で、今後教育財政が逼迫するということになれば、この理論学級数による教員の配置というものに対する現実というものは、もう私が申上げるまでもないので、只今の御答弁の中にあつたように、やはりその地方の実態に即した教員が配置されるように、更に一層文部当局のよい指導を要望いたしまして、私の質問を打切ります。
  167. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 本委員会におきまして、文部大臣が重ねて六・三堅持の堅い決意を表明せられましたことにつきましては、深い敬意を表するものでありまするが、この六・三教育内容を充実して、今後なお教育の振興を図つて行くというためには、相当今後において教育財政の増額を図つて行かなければならない事情にあると私考えておるわけであります。ところが近く締結されるような情勢にある講和の問題と関連をして考えまするときに、講和條約の締結、或いは日米安全保障協定の締結、こういうことから再軍備の問題が現実的に考慮されておるというふうに私ども承り知をしておるのであります。日本の困難なる現在の財政事情におきまして、一方において教育の振興を図るために教育費を確保しなければないという実情と、一方においては再軍備において相当多額の金をこの方面に割かなければならない事態が起るのではないかと、こういう事情にあるのではないかと私は思うのであります。そこで私の考えでは、再軍備を行う場合にはどうしても教育だけではございませんけれども教育費の面においてもかなり犠牲を払わなければならないことになるのではないかと、かように思うのです。日本の困難なる財政事情においては、この二つを両立さして行くということは困難であるという私は考えを持つておるのですが、大臣はこの問題についてどういうふうにお考えになつているかということを承わりたいと思うのです。まあこの問題を一つお尋ねいたしまして、次に……。
  168. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は日本の置かれておる現実というものは非常にむつかしいところに立つておりますから、ただ教育だけやつておれば、何にも、日本が平和で安心しているというのなら楽ですけれども、日本の置かれている現実というものが非常にむつかしい。外国に対する再軍備の問題は暫らく措くとしても、国内においてさえも警察予備隊とか、そういうものを置かなければ国の治安が維持できないというような、そういうことに金を非常に使わにやならないからして、教育の問題も勢い非常にむつかしくなるということは当然だと思うのです。ここに非常な悩みがある。我々は決してただ安易にこの教育がやつて行けるということを私は言つているわけじやございません、非常にそこにむつかしい問題を持つておると自分も思つております。
  169. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで更に進めてお伺いしたいのですが、再軍備の問題と、教育財政の問題とに関連してでございますが、再軍備を行うということになれば、自然教育を初めその他の面において相当大きな犠牲を負わなければならないということは明白であると思います。その際に文部大臣はやはり教育の面において多少、多少というような言葉は適当でないと思いますが、相当な犠牲を払つてでも再軍備をせざるを得ないと、こういうふうな考え方を持つておられるのか、その点の文相の見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  170. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私も一個人としては見解を持つておりますけれども文部大臣としてはまだそれに答える時機でないと私思つております。
  171. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの際一個人の見解というものをお聞きしたいとは思いません。国務大臣或いは文部大臣としての見解を聞きたいと思う。今述べることはできないということであれば、私は他日にお伺いしたいと思います。  次に、やはり文部大臣、国務大臣としての天野文相にお伺いしたい、かように思うのですが、講和の締結或いは日米安全保障條約の締結、こういうことによつて日米の現在の憲法、普通言われている平和憲法を変えなければならないという事態が来るのではないか、私ども考えておるわけであります。そこで端的にお伺いをいたしますが、文相は日本の平和憲法を変えるのも止むを得ないと考えておられるのが飽くまでもこの憲法を守つて行こうという考えに立つておられるのか、これは端的に一つ意見を伺いたいと思います。
  172. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは荒木さん、非常にデリケートな問題なものですから、それでちよつとどういうふうに私もお答えしていいかと思つておりますが、差当つて私はこの憲法は守るべきであると思つております。この憲法と軍備というようなことは、これは矛盾すると思つております。で、差当つて私は再軍備というようなことはないと思つております、差当日つて……。だからしてそういう意味で憲法は守るべきだと思つております。
  173. 加納金助

    理事加納金助君) ちよつと今申上げたいのですが、先ほど開会の際に申したように、大臣のほうは地財委のほうへ三時頃までに伺うということでお話しているわけです。
  174. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 やはりそれは文部委員会が終つてから……。私ども非常に簡単に質問しているのですから、くどくとしておらないのです。
  175. 加納金助

    理事加納金助君) 重複を避けて一つ……。
  176. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は重複していないと思つております。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は今お伺いしたい問題は二点に書きるわけなんです。この問題に対しては、私は文部大臣に非常な期待を持つている一人です。従つてこの問題について大臣が前々から所信を披瀝しておられた事柄から考えて非常な期待を持つておるわけなんです。この際毅然たる態度をとられるものと、こういうまあ考えを持つてつたものですから、本日の委員会において明らかにしてもらいたい、かような考え質問しているわけなんです。極めてデリケートな複雑な問題であるということも私どももわかつております。併し日本の動向を決定する重要なポイントになつているんではないかと、私ども考えますので、できれば明確にこの際私は大臣が勇気を振つて、誠に失礼な言いで分すけれども、所信を明確にされたいと切望してやまないものです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  177. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は私の所信というふうなものの考え、従来の考えというものも、私は荒木さんに十分理解されているかどうかということを疑問に思つております。今現在まだ講和のこととか、戦争のこととか、そういうようなことについては閣議で何も話も出ていないし、そういう問題についてはつきりしたことはきまつていないのですから、国務大臣の一人としてそういうことをここで意見を述べられるわけがない、私はそういうように思います。
  178. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この再軍備の問題とか、或いは平和憲法を守るかどうか、こういうことは十分私に大臣として決意を述べることはできると思うのです。今日の段階において特に私はしなければならんじやないかというふうに考えておるのです。差当り再軍備はないと、こういうふうに大臣はお考えになつて、そういう立場から差当りは憲法を変える必要はない、こういう私どもにとつては非常にあいまいな答弁であつたわけなんです。併し今の講和條約の進展の状況から見まして、これは再軍備必至だということは、私は内閣に列しておられる大臣の十分知つておられるところであろうと思うのです。私どももあの内容を検討したときに、そういう結論で出て来るということは、あの講和條約の内容、或いはアメリカにおけるいろいろな決議、そういうものから勘案いたしまして、再軍備が必至のものであるというような見解を持つておるわけです。当然日本の平和憲法の改廃、改訂の問題が起つて来る、かように考えておるわけです。それらに対する態度を明確にすべき時期は、本日この時期で近く調印も行われようとしておるその直前にあるわけなのです。そういうときにおいて大臣が明確にされるということは、私は時期から言つても当然ではないかというふうに思うのです。又国務大臣として文部大臣はこれは平和憲法を守るかどうか、或いは再軍備を賛成するかしないか、こういう点は私は述べられて何ら差支えがない問題であるというふうに考えておるわけです。
  179. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今の日本の置かれておる現実というものはそれは非常にむずかしいと思う。一年前或いは二年前とは事情が変つて来ておる、だから私は先々のことをここで言うあれはない。差当つて再軍備はない、憲法は変らないと思つておる、これでいいと思うのです。勇気云々ということを言われましたが、それは主観的なことであつて、勇気を出してよいことならいつでも勇気を出すつもりでおります。
  180. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣にお伺いいたしますが、今荒木委員質問のあつた点でございますけれども、私もお伺いしたいと思つてつたのでございますが、日米の駐兵協定によるところの所要経費約五百六十億を本年度アメリカ側が持ち、対日援助を打切り、大体それと同額の金を日本の予算で賄う、こういう報道がされておるわけでありますが、これは教育財政限らず、すべての財政は日米安全保障協定と関連を持つて来ると思うのですが、大臣は日米安全保障協定の内容を国務大臣として熟知されておるかどうか。更にはその協定の締結によつて或いは義務付けられ、或いは自然支出されるところの国費というものはどのくらいと把握されておるかどうか、予算と所要予算教育財政というものをからみ合して御検討になつておられるかどうかということを承わりたいと思います。
  181. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はまだ協約というものの内容を聞いておりませんです。
  182. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従つて予算のことは一切御存じないわけですね。
  183. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そうです。
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはちよつと方向を変えますが、さつきから随分質疑を皆さんなさつておられるのを承わりまして、私は何か不安と物足らなさを感ずるからあえてお尋ねするわけです。まあ文相は教育財政と国家財政の関連について、学者に諮問してその意見を聞いて自分の決意の資料としているという点を承わりましたが、その点敬意を表するわけでありまして、大臣は恐らく公私の土場及び大臣の政治的信念の貫徹のために努力をされておると私は存ずるのでございますが、併しながら何となく聞いておつて不安と物足らなさを感ずるのです。と申しますのは、私は端的にお伺いしますが、先ほどから居間委員の御質疑で六・三制或いは教育財政について質疑が行われたのでありまするが、私は当面の問題といたしまして、大臣は新学制について少し甘過ぎるのじやないか、実業界だけに一部の意見があつて云々ということをさつき答弁されました。私は当面の問題として補正予算を組むにしても、或いは来年の本予算を組むにしても、今まで歩いた六・三制を堅持するかどうかというこの日本の教育の要めだと思うのですが、これを再確認するかしないか、この再確認という前提に立たなければ、今の補正予算も本予算も組めないのではないか、これが先決問題じやないかと考えるのですけれども、大臣の政治的信念の貫徹のために、この問題で大蔵大臣あたり意見交換、公私交換されたことがあるのかないのか、あつたらどういう意見を交換されたのか、或いは本日から政令諮問委員会で検討されると言いますが、どういう立場においても、その政治的信念貫徹のために、政令諮問委員のポイント、或いはこういう点について大臣は如何なる交換をされたのかどうか、或いは今後される意思があるのかないのか、そういう点是非承わりたいと思います。これが当面の問題は、問題解決の要めになつている、こう考えるが故にあえてお伺いするわけであります。
  185. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は決して問題を甘く考えているとは自分は思つておりません。それは誰がどう考えるか、誰が何を言つたかということではなくして、この日本の経済事情そのものが非常にきびしい。だからこの問題を容易に考えない。又誰とどういう話をしたとか、そういう個人的なことをここで私は述べる責任があるかどうか、非常に不思議な感もするのですが、併し私は先ほども申したように、政令諮問委員会の中におられるかたがたの中の財政の知識のあるかたとか、いろんなかたとはお話合いをしております。そして空の信念であるとか、確信だとかいうのではなくして、そういうかたがたの御意見をも参考にして、日本人が本当にやろうと思えばできる、こういうふうに考えているわけであります。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は大臣が政治的信念貫毒のために努力されていると只今確信しておつたのが大体当つているようで満足であります。更に手続の点について若干お尋ねするのでありますが、政令諮問委員会で答申案が出た場合、或い当プライベートのグループと思うのでありますが、これができた場合、直ちにそれを閣議に持つて参られるようになりますか、それから答申があつた場合に文教政策の最高責任者である天野文部大臣を中心とするところの何らかの委員会が持たれて、その委員会において答申案を検討し、政府の態度を決定するというような形で進められるか、いずれになりますか、なお大臣としてはどういう形を国務大臣としてとりたいというようなお考えであるか承わりたい。
  187. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 政令諮問委員会でおきめになつたことは、内閣のほうでそれを採用するしないは、又例えば文部省に関したことは私などがよく検討してきめることと考えております。
  188. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう終りますが、この平衡交付金並びに地方都道府県の税収のトータルの約四二%から四四%を食つているという教育予算ですね、これについてまあ知事会議は教育の立場から相当大幅に国家が負担すべきだというような結論を知事会議の世話人会が出したと承わつているのですが、なお新聞で真偽はわからないのでありますが、吉武自由党政調会長も、そういう見解に近い見解を政調会の責任として持つているということを新聞紙上で承わつているのでありますが、大臣のタツチされる範囲内ではその点どうなりますか。
  189. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) あの知事会議では、その知事会議の席で、知事のかたがたの一致した御意見として、全額国庫負担を望むということを承わつております。又市町村会からはそういう要求が出ております。けれども吉武政調会長からは何もそういう点について御意見は承わつておりません。
  190. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に要望として承わりたいと思うのでありますが、これは事務当局にお願いでございますが、この教育基本法、それから教育委員会法の第一條あたりに調われているところの教育の自主性ということですね。これは勿論文部当局としては死守する決意だ、これは聞くまでもないと思いますが、国家予算についても殆んど発言権が非常に弱くなつた文部省、それから地方教育委員会においては何ら教育財政について発言権がない。この教育委員会、こういう財政の立場から自主性というものが果して基本法或いは教育委員会法に調われているものが貫徹できるかどうか、これらについては相当疑問を持つているので、更にこの六・三制に対する文部省見解あたりはまあ発表されたのかされていないのか、されていないのであつたならば、私はここに信念に基くところの見解を責任を持つて勇敢に発表して頂きたい。その発表されたものは我々にも印刷に廻して欲しいと思う。これは要望なんです。と申しますのは、終戦後我が国のあらゆる階層において混乱が起つたと同時に、講和を控えて、それほど対蹠的な混乱が今やまき起らんとするこの時期に、そういう信念に基くところの見解を私は表示するということは最も大切なことではないかと思います。そういう見解を発表されておれば、その印刷物を頂きたいし、なおされてなかつたならば、私はそういう見解を発表されるよう切に要望するものであります。
  191. 若木勝藏

    若木勝藏君 今までの文相の御答弁で六・三制の完全実施に対するところの決意、信念、又来年度におけるところの新らしい構想に対する決意は大変よく私わかりました。そこでこの際の信念の実現に当りまして最も重要なことは、何といたしましても柱だけ建つてもどうにもならん、そういうような事情にある、いわゆる補正予算における十九億のこの問題を解決することが、これが文相の信念の第一歩である、そこで何といたしましても、十九億の補正予算は獲得するという、こういうことについての確信があるので周りますか。
  192. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は是非それを獲得したいと思う、自分はそのために十分な努力をしようと思つております。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は簡単に二点だけ最後に伺つて置きたいと思います。これは明日大蔵当局の出席を求めて、我々の当然これを要求しなければならん点と、非常に深い関連を持つ、そのために文相の真の決意を伺つて置きたい。第一に先ほど荒木君から述べられました平和憲法の精神を真に守ることなしに、果して新学制を堅持することができるかどうか、これに対して文相はどう考えておられるか、第一点。第二点は、再武装は現在の情勢が進められれば必至たと思う、そういうときに無論これについては世界の情勢がどういうふうな変化を与えるか予断はなりませんが、現在の情勢はそういう條件が非常に出ております。そういう場合に、どうしても教育内容の変更ということが、この再武装と並行して起ると思うのでありますが、こういう事態を文相は認められるかどうか、若し認められるとすれば、そういう場合の教育内容の変更についてはどのような決意を持つておられるか、この二点を最後に伺つておきたいと思います。
  194. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 憲法の平和的精神、これをどこまでも貫徹するものだと思います。それから第二番目の普通いわゆるこの再軍備ですね、いわゆる再武装というようなことは、私は起らないと考えております。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも言葉の綾じやなくして平和精神と言いますか、私の申上げたのは平和憲法の精神を本当に充足すれば当然再武装はできないわけです。外国軍の駐屯ということはこれは不可能なことです。こういうような精神、つまり飽くまでポツダム宣言に規定され、日本憲法により貫かなければならない神精を堅持することなしに、果して新学制を守ることができるや否や、こういう点について私は端的に伺つているのであります。第一の問題、それから第二はいわゆる再武装とか、何とかいうことがございましたが、これは日本国民が現在望んでやつているのではない。実は日米安全保障協定でありますか、或いは防衛協定でありますか、軍事協定でありますか、名前はいろいろと呼ばれているのでありますが、こういうような取りきめによつて、これはそういうことは当然次の課題としてそういう課題が浮んで来ている、日程が浮んで来ている。そういう事態が起つて来たときに当然起ると思いますが、こういうときに教育内容の変更があるかないか、こういうことを伺つているのです。
  196. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はこういう点についてまだ本当を言うと、諸君に詳しく述べることが必要かと思いますが、荒木委員にも私の考えをもつと本当に述べなければならない、私は荒木君が私の考えを十分に理解されたとは思つていない。これは諸君は個人の道徳というものと国家の道徳というものを一つにして考えておられる、個人は死んでもいい、いつでも我々は身を殺して仁をなすことができる。国家は死ぬわけに行かない。どうしても国家というものは、どういう方法かによつて生きて行かなければならない。日本国は死んでもよいという考えなら別ですよ。けれども私個人はいつでも身を殺して仁をなしていい、国家は身を殺して仁をなすというわけには行かない。国家はどうしても存立しなければならない。存立するには一体どうしたらよいか、そこに非常にむずかしい問題がある。だからして簡単に皆さんが私にすぐ言えとか言われても無理だ、大臣をやめる勇気などはいつでも持つています。そういうことじや国というものは成り立つて行かない。私は日本国はどうあつても成り立たせて行かなければならない、こういう考えを抱いているわけです。現実は絶えず生きて変化している。こういうむずかしいときにあつて、簡単にどうだ、こうだという論は国務大臣としては言えないと言つても私は差支えないと考えております。
  197. 加納金助

    理事加納金助君) あとは討論に入るようですから……。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はそういう討論をお聞きしているんでありません。この問題につきましては、もつといい機会を選んでやればいいので、私は結局新学制の堅持という問題から具体的にお聞きしているんであります。どうも文相は別なほうにいつでも問題を持つて行かれがちでありますが、私は端的に今の平和憲法の精神、それを具体的に守ることなしに、六・三制という形で表現されている新学制が果して堅持できると考えられておられるかどうかということをお聞きしたい。それに対してそうでないとか、そうであるとかいう、そこのところをお聞きしているんであります。どういうお考えですか、ここのところは私は非常に重要であります。
  199. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今私がここで言つている学制のシステムの問題ですね、学校とそれと今の政治問題とは切離して考えてもよいのじやないか、あなたと私はそういう意味の世界観を異にしている、これを幾ら論じても仕方がありません。自分はそう思います。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはおかしいです。世界観の問題じやないのです。世界観の問題でなく、具体的に私は聞いておるのです。こういうものを守り得なくても、文相は例えば新学制は守れると考えられるか、答えはどつちかなんです。それをお聞きするのは重要なんです。世界観の問題じやありません。
  201. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は世界観の問題だと思います。あなたは国民の中に二つのものを分けて、そうして一方の独裁ということを考えておられる。そういうことは私のヒユーマニズムに反しておる。私は日本国は皆が同じ立場で、同じに愛して、お互いにこの国を守つて行こうという考えなんです。併しこれは余り論ずると結局議論になると思いますから、私は又機会を得て岩間さんとお話したいと思います。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は議論をする気はないのです。世界観の問題だと言われるが、文相の世界観においてどう考えておられるのですか。
  203. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私の世界観によれば、是非この国を守り立てて行かなければいけない。それには六・三制をやることはできる。この国を守りながら六・三制をやることはできる。こういう考えです。
  204. 加納金助

    理事加納金助君) これを以て質問は終りだと思います。  ちよつとお諮りしたいのですが、昨日会計課長より、青年学級数が二万五千、あれは二千五百の誤まりであるから、それを訂正したい。  もう一つありますが、大蔵大臣は身体の工合が悪くて今日は出席できない。又次官は居所不明でまだ尋ねておるのです。主計局長は渉外関係で以てここには出席ができない。従いまして大蔵関係は全部都合が悪くて本日出席はできない、かような回答が参つております。
  205. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この際要望しておきますが、私は総理大臣にこの六・三制の問題について明らかにしたいと思います。出席せられるように一つ手続きをして頂きたいと思います。
  206. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さつき要求したのに総理大臣は何という回答があつたのですか。
  207. 加納金助

    理事加納金助君) 本日の委員会はこれを以て終りにいたします。明日は午前十時から開会いたします。    午後三時二十七分散会  出席者は左の通り。    理事            加納 金助君            高田なほ子君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高橋 道男君            櫻内 辰郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部政務次官  水谷  昇君    文部大臣官房会    計課長     寺中 作雄君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省初等中等    教育局庶務課長 内藤譽三郎君    文部省管理局長 久保田藤麿君