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1951-05-18 第10回国会 衆議院 人事委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)     午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君    理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君    理事 松澤 兼人君       塩田賀四郎君    西村 久之君       藤井 平治君    今井  耕君       中曽根康弘君    八百板 正君       中原 健次君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人  事  官 山下 興家君         人事院事務官         (事務総局給與         局長)     瀧本 忠男君         人事院事務官         (事務総局給與         局次長)    慶徳 庄意君         人事院事務官         (事務総局法制         局長)     岡部 史郎君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 五月十八日  委員本間俊一君及び岡田春夫君辞任につき、そ  の補欠として佐藤重遠君及び中原健次君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月十八日  国家公務員災害補償法案内閣提出第六八号)  (参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  一般職職員勤務地手当支給地域区分に  関し説明聽取に関する件     —————————————
  2. 田中伊三次

    田中委員長 それではこれより人事委員会を開催いたします。  議事に入るに先だちましてお知らせを申し上げておくことがございます。昨十七日、人事院より国会内閣に対して一般職職員給與に関する法律第二条第六号及び国家公務員法第二十三条の規定に基いて、一般職職員勤務地手当支給地域区分に関する法律制定に関する意見書が提出せられましたので、ここにお知らせを申し上げます。  本日はまず先に意見書中心として一般職職員勤務地手当支給地域区分に関して政府当局より説明を聽取いたします。山下人事官
  3. 山下興家

    山下(興)政府委員 私から大体の勧告趣旨をお諾いたしまして、それから詳しいことは給與局長から申し述べることにいたします。  この前の給與法の第十二条第三項によりまして、私どもは五段階にして、二五%、二〇%、一五%、一〇%、五%の勤務地手当にすることのその地域勧告われわれがやるべきであるということにきめられたのでありまして、その御趣旨に従いまして、私どもは今勧告したわけであります。  御承知のように今までは三段階にわかれておつて、この十二月までは三〇%、二〇%、一〇%であつたものを、一月からそれの五%引きにいたしまして、二五%、一五%、五%という三段階にして今日に至つておるのであります。ところが終戰後交通がだんだん改善いたしまして、物価差が都会といるかでは大分減つて来ておるのであり、そしてまた今のように一〇%ずつの段階ではあまりに差がはげし過ぎるので、こういう勧告をすることになつたのであります。地域自体にいたしましても、すでに相当な年月を経ておりますから事情がかわつて来ておりまして、地域をこまかく査定いたしまして、変更すべきものは変更するということにいたしますと、今度は多少でもそれが合理的になりますから、人事交流の上からいつても、またバランスの上からいつても、多少よくなつて来ると思うのであります。それで今度は二五%、すなわち五級地には二十三都市が三十六都市にかわりました。それから二〇%の地域、すなわち四級地が、今までなかつたものが三十八都市ふえました。それから一五%のもの、すなわち三級地が、百五十二都市のものが百十九都市になり、それから一〇%のもの、すなわちゼロが二百六十九町村、それから五%のものが、七百五十の場所のものが九百二十一というふうにかわつたのであります。これを査定する上からいたしまして、今までのCPSを二十八都市について研究したばかりでなく、特別に特別CPSを三百八十都市について研究いたしまして、それが大体二十四年の五月と十一月と二十五年の五月、この三回にわたつて総理府統計局調査していただきまして、それによつて根本をきめたのであります。但し場所はたくさんありまして、とても一つずつについて特別にCPSをきめることは困難であり、金が非常にかかるのでありますから、その間に入るべき部分はこれを府県にお願いいたしまして、府県順位をつけてもらつて、そしてなるべくその間にはさむようにというふうに計画いたしました。それでその後また朝鮮動乱その他によつて多少の影響を受けましたから、その特別に影響を受けたところはまたそういうものを多少修正いたしまして、今度ここへ提出するようになつた次第であります。原則論のうちでもう少しこまかい点につきましては、給與局長から御説明いたすことにいたします。
  4. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま山下人事官から、今回の地域給改訂につきまして概略の御説明がございましたが、なおその中で原則的部分について私から若干補足して申し上げます。この地域区分改訂は二五%から五%までの五段階ということになつております。これはわれわれが昨年八千五十八円の勧告をいたした一環となるものでございます。その八千五十八円の勧告というものは昨年の五月の現状に基いておるわけであります。従つて今回の地域区分勧告も、原則といたしまして昨年五月の現状に基いてすべて作業が行われておるということを、まず申し上げたいのであります。しかしながら先ほど人事官も言われましたように、その後において朝鮮動乱というようなことがございまして、部分的にそういう影響を非常に受けておる所もございますので、厳格に昨年の五月の状況によるということは、やはり実情に沿わないものであるということから、そういうことにつきましては十分事情調査いたしまして、必要があればこれを取入れるということをいたしたのであります。原則になつております部分はわれわれが三回行いました特別消費者価格調査、すなわち昭和二十四年五月、二十四年十一月、それから二十五年の五月、この三回に全国で約三百八十都市——これはばらまいてございますから、府県別に申しますならば、大約四つか五つになろうかと思いますが、そういう特別CPS調査を行つておるので、この特別CPSから求めました東京を一〇〇といたしました地域差指数、こういうものを一つの根幹といたしております。次は府県から出ております希望順位表、この希望順位表というものは県でおつくりなつたわけであります。府県におきましてはこれをおつくりになりますのに、あるいは物価事情生計費事情等もいろいろ考えられて、実際にそういう調査をされまして、おつくりになつておるように私は聞いております。この生計費事情というものを基礎にいたしました府県別順位表というものがございます。この両者をかみ合わせましてわれわれは作業行つたということになつております。ただ御存じのように、CPS調査地域が非常に少い、また一つ都市につきましても調査世帯というのは数が限定されております。従いましてこの特別CPSというものは、現在のわが国においては信頼し得る最も高度の正確さを持つておるものであろうというふうに私は考えるのでありますが、なおかつそれ自身といたしまして、十二分にそれを動かないものとして利用し得る程度に信頼し得るものかどうかということになりますと、これは若干問題がございます。統計局におきましても、大体CPSから求めました地域差指数の利用につきましては、大約二%ないし三%は標準誤差というものを見込まなければならないということを言つておるのであります。この前われわれが八千五十八円ベース勧告いたしましたときに、資料といたしまして提出いたしましたものの中に、われわれはこのCPIのみならず、消費形態というものをある程度入れて考えたい。すなわち東京に比べまして、標準的には九五%程度消費水準というものがあるということを御報告申し上げた次第でございますが、そういうことを勘案いたしまして、昨年の五月の現状においては、地域差を二五%にすることが適当であるというふうにわれわれ考えた次第であります。そういうふうにいたしますると、どういうふうに刻んで行けばよいかということになるのでございますが、まず消費者価格調査におきまして八四%という指数を示しておりますところを、一応これが地域手当のつかない地域というふうに考えてよいのではないかという結論に達しておるのであります。そうして、それを五%ずつに刻んで参りますると、次は八七・二%、その次が九〇・四%、九三・六%、九六・八%、一〇〇%、こういうことになるのでございます。そこにおきまして、統計局の方で示しておりまする標準誤差というものを入れて考えまするならば、すなわち地域差のつかないところは八四でございますから、五%の地域差をつける中心になります八七・二%というものの前後に、三%というものをとつて考えまするならば、八四・二%から九〇・二%まで、これが大体五%に入る地域として一応考えられるわけであります。次は八七・四%から九三・四%までが一〇%の地域差がつく地域というふうに考えられるわけであります。次は九〇・六%から九六・六%までが一五%の範囲に入る。次は九三・四%から九九・八%までが二〇%の地域給のつく地域に入る候補地になるわけであります。  ただいま申し上げましたのはみなダブつております。なぜこういうダブリをするか、はつきりきめたらいいではないかということでございまするが、先ほどから申し上げておりまするように、この調査には標準誤差というものがあつて、そういうことを考えて、われわれは初めてこのCPSというものを正しく利用し得るのであります。従いましてそういうある程度の幅を持ちまして、しかも府県から出ておりまする希望順位表というものとかみ合せまして、そしてそこに級地をきめて行く、これが原則であります。  先ほど人事官からもお話がございましたように、本年の一月一日に給與ース改訂がございましたが、そういう機会をとらえまして、全面的に地域給の改正もやりたいということを一応は考えておつたのであります。しかし御存じのようにそういう事情には相なりませんで、現実には一月一日から現在まで、従来の三割地域が暫定的に二割五分、二割地域が一割五分、一割地域が五分、こういう暫定案で現在参つておるわけでございます。しかもわれわれが勧告いたしました給與ース勧告は、昨年の五月が基準になつておる。その後におきまして朝鮮動乱影響を受けまして、全般的な経済事情の変化ということがあつたわけであります。しからば本年の一月一日に実施されました約八千五十八円——われわれの調査の結果によりますと、現実には八千二百円ないし八千三百円という公務員給與水準になつておりますが、その水準というものは、実は昨年の五月のものであるという事情がございまするので、すでに一月から現在までやつておりまする暫定的な地域給というものをさらに改訂いたしまして、この率を引下げるということがございまするならば、その引下げられる地域におきましては、非常に苦痛を感ずるわけであります。われわれといたしましては、これは給與行政相当摩擦を起すのではないかということを考えまして、今回はそういう下げることはいたしませんで、ただ従来に比べて非常に低く取扱われておつたものを上げる、こういう一方的な措置を講じた。従いましてわれわれがやりました作業原則というものは、CPSを使う、その使い方については、ただいま申し上げましたような次第であります。また府県順位表を使う。それから暫定的に行われておる現在の地域給は下げない。さらに朝鮮動乱影響を受けて経済事情の変化いたしました特定地域については考慮する、これが大原則でございます。しかしながらもう少し立ち入つて考えてみますと、特別CPSというものは五月と十一月という時期に行われている、しかもある特定都市におきましては五月と十一月という時期を選んで調査されたのでは、その都市年間平均消費事情がわからない、たとえばある観光地におきましては、そういう時期は物が安いのである。たとえば七月から九月までというような時期を調べてもらつたら、まだまだ高い値段が出たであろうというようなこともあるでありましよう。そういう事情があるところにつきましては、当然われわれは考慮いたしたのでございます。またある特定都市におきましては、たとえば一つ事業がほとんどその都市事業になつている。従つてその都市に居住しております消費者というものはほとんどその一事業に従事しておりますために、その事業が経営しております各種福利施設を利用するというような場合がございます。そのような場合に、そういうところにおきまする公務員はそういう恩恵には浴し得ないというような事情がありまするので、こういう点も考慮いたしたのであります。  なお先ほど申し上げました八四ないし一〇〇までの数字でございまするが、その数字を算出いたしますにつきましては、二十四年の五月、二十四年の十一月、それから二十五年の五月の数字を、三つを加えて三で割るというようなことをいたしませんで、十一月と五月はまた事情が違いますから、二十四年の五月と二十五年の五月の数字をまず平均を出しまして、これと二十四年の十一月の数字平均して出した、こういうことに相なつておるのでございます。  以上申し上げましたような基準に従いまして、われわれはでできるだけ合理的に、すなわち現在におきまして人事院が持つておりまする技術的な調査機関というものを最高度に、できるだけ合理的に利用いたしまして、そして人事院が現在期待し得る最も合理的な線というものを、われわれは出したつもりでおるわけであります。  以上のような作業をやつたのでございますが、われわれはさらにこの府県別——われわれが作業しおりまするうちに、われわれの予期いたしません事情から出て参りまする府県別アンバランスということがあつてはいけないということを考えまして、この点につきましても府県別アンバランスがないようにということを検討いたしたのであります。もつともこの検討はなかなかむずかしいのでございまして、的確に一つ標準をもちまして、それに照してみればはつきりそういうことが言えるというような標準はございません。従いまして各種標準を利用いたしまして、あの面からこの面からというふうに検討いたしまして、府県別アンバランスということのないように期した次第でございます。従いましてでき上りましたものは、先ほど人事官から御報告がありましたような、一級地ないし五級地数字になつておる、こういう次第でございます。それでは現在地域給というものは二五%から〇%までで適当であるかどうかということがやはり問題になるのでございますが、われわれの研究の結果によりますと、昨年の五月の状況におきましては、地域差というものは二五%の幅を持たぜるのが適当であるという結論に達しておるのであります。しかしながら、これを通観いたしてみますると、この幅というものは漸次縮小するのが適当ではないか、従いまして、現在におきましてはすでに二五%という幅は少し広過ぎる、われわれが次の機会給與ベース勧告をいたします際には、あるいはいま少しくこの幅が狭くなるのではないか、また給與行政上から考えましても、この地域差というものはできるだけ幅を狭くするということが好ましいのでございますが、しかしこれは実質賃金回復程度に従いませんと、これがなかなかできるものではない。しかし今の見通しから行きまするならば、漸次この幅は縮小し得るという見通しを持つております。なおこの作業によりまして、従来の二五%、一五%、五%という非常に段階の大きいアンバランスというものが是正されたわけではございまするが、これは一挙にして是正されたわけのものではないのであります。従つてたとえば人事交流等につきましても、まだまだ困難は残るのであります。しかしながら従前のものと比較いたしまするならば、そこに格段の改善が行われておるということは言い得ると思うのであります。またでき得る限りわれわれはそういう趣旨に沿うように、ある地域につきましては一つの郡内を大体同じように出すというようなことから、都一帯を同じパーセントにいたしておるところもあるのでございます。またある特定地域が、従前大蔵省の新給與実施本部時代には、市になつたならばこれを上げるというような一つ基準もあつたのでありまするけれども、われわれは今回そういう方針は採用いたしませんでした。すなわちその土地における消費事情、あるいは物価指数、すなわち東京に対しまする物価指数というようなものを原則といたしまして作業をいたした次第でございます。特にあるところが市になつたからそれを上げるというような考慮はいたさなかつたのでございます。たとえばある都市が近くの町村を合併したというような事情がありました際に、それではその新しい市域もみんな同じパーセントにするかというと、そういう原則もないのであります。必要な場合にはそういうこともいたしましたが、必要がない場合には、新しく編入された地域といえども、やはりその市域に適当なパーセントを定めるというようなことをいたした次第でございます、作業を行いました原則につきまして御説明申し上げた次第であります。
  5. 田中伊三次

    田中委員長 これで政府側説明を終りました。     —————————————
  6. 田中伊三次

    田中委員長 次いで本件について質疑に入ります。質疑通告順にこれを許すことにいたします。まず市川篤雄君。
  7. 平川篤雄

    平川委員 まず第一番にお聞きしたいと思いますのは、このことによつて大体国家公務員並びに地方公務員の予算がどういうふうに変化するかということを伺いたい。
  8. 淺井清

    ○淺井政府委員 多少の増額を伴うものと考えております。
  9. 平川篤雄

    平川委員 多少くらいにしかわかりませんですか。
  10. 淺井清

    ○淺井政府委員 大体八億ないし十億までのところだろうと考えております。
  11. 平川篤雄

    平川委員 ただいま原則論をいろいろ説明せられたのでありますが、府県順位表であるとか、あるいはその他を考慮せられたという場合の、特別な資料を御発表になる意思がありますかどうですか。
  12. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいますでに御説明申し上げましたように、人事院調査ということは、第一には特別消費者価格、第二には府県知事からの報告、第三には各種の陳情あるいは国会を通りました請願にも十分耳を傾けたつもりでございます。第四番目といたしましては、実地調査をも十分いたしました。この実地調査の中には、最近のその土地における特価の上昇傾向等も十分考えたつもりでございます。これらの資料につきましては、消費者特別価格その他すでに公表されておるものもあるように考えております。しかしその価格だけでは、はたして現実に妥当するかどうかは問題でございまするので、これには適当の給與政策が加味されております。それでただいま申し上げましたもので一番大きいのは、現在の施行地域給は下げない、こういうことでございます。そのほかただいま申し上げました府県その他の全体としてのアンバランスを避けるというようなことでございまするが、こういう方面の資料というものは、これはちよつと政策上の問題でございますから、お手元に差出すわけには参らないかと思つております。
  13. 平川篤雄

    平川委員 この案を個々に見れば、もう議論百出でありまして、どうにもならなくなるだろうと思うのです。ある程度原則的に了解がなければいかぬと思うのであります。たとえば先ほど局長お話にありましたように、CPS、三百八十都市の間に、府県希望する順位によつて市をはめ込むという考え方、これはいいのであります。ところが実際にわれわれの知つておる限りの問題でありますけれども、このS・CPSによつて選ばれております都市というものは、やはり相当生活水準の高いと思われるようなところだけ選ばれておつて、まんべんもなくずつと選ばれておるようには思えない。従つて具体的に申しますと、府県順位表に出ておるものは上の方だけで、下の方は全然比較する基準がないのじやないかと思われますが、S・CPSに選ばれた都市は一体どういう基準によつて選ばれておるのでありますか。
  14. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは統計局の方で確定をいたしておりますものでありまして、これを減したりあるいはふやすということは、これは現在の統計法上できかねるわけでございます。つまりこの調査指定統計の形でなつておりますから、これは動かすことはできない。そうすると、この以外の場所物価はいかがなるかという点が御不満のように思われますけれども、一体全国の津々浦々まで同様の調査をいたすということは、これはもはや不可能なことでございまして、そういう調査をいたしますれば、地域給について今日なお勧告するというような段階には立ち至らないかと思つております。そこでこれらにつきましては、やはり府県知事に責任を持つてもらいまして、適切な報告をしていただく。ただいま府県知事希望と仰せられましたが、これは單なる希望でなくて、やはり府県調査せられた資料を出していただくという意味でありまして、決して府県知事個人希望によつて人事院が左右されたものでないのでございますから、この点はどうしてもやむを得ぬように考えております。
  15. 平川篤雄

    平川委員 総裁はそういうふうに言われるのでありますが、なるほど出て来たものを扱うのは非常に科学的だと思います。ただいまの局長の御説明つたと思いますが、総理府統計局調査を依頼したというお話であつて、二十四年五月から三回にわたるS・CPS調査は、先ほどの言葉によれば、明らかに地域給勧告をするための基礎資料として人事院が計画せられたものと考えざるを得ない。また府県順位表というものを提出させましたのも、同様にこの種の意図があつてやられたに違いないと思います。ところがその府県にこの順位表をつくるために一体どういうような基準を示されておるかというようなことは、仄聞をいたしますと、どうもはつきりした一定の基準があつたようには思えない。あるところでは人口なんかを加味しておるとか、また従来の既得権とか、そういうものを加味しておるというのがあるし、勘で行つておるのだろうというのもありますし、そこがはつきりいたしていない。またそれぞれの調査を命ぜられた都市におきましても、一体どういう目的に使われる資料であるかということを全然知らずにやつておるというものがあるのであります。従つて中には、あまり消費価格水準が高くなると税金に響くのではなかろうというので、これをわざわざ少くし出したというようなところもあると聞くのであります。こういうふうな統一のとれない、はつきりした意図の示されない、何と申しますか、調査を命じて、それによつて得られたものをいくらいじられても、科学的なということには私はならぬのではないかと思うのであります。私の率直に言いたいことはこうなのであります。たとえばS・CPSをお選びになるのでも、その都市は大体一応その県の最高の所と、それから中間の所と、それから最下位の所というようなものを出されまして、そうして政府の手によつてこれは内密におやりになつて、しかる後に府県順位表を、かくかくのものに使うのだからというようなことをはつきりと示され、かつそれの調査基準方法というようなものを示されました上に、一つの県における順位を出させれる、そういうようなはつきりした用意があつてやられたものであるならば、私はある程度納得ができるのでありますが、その点はどうでございますか。
  16. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一に特別消費者価格調査の件でございまするが、こういうふうな調査をもし統計をとりまする場合は、これは統計法上のあれに従いまして、統計局で統一してやる、こういう形に相なつておるのでありまして、三百八十幾つかの都市の選び方等につきましては、十分その点を考えてとつてあるように思つております。それからそれと比較して、府県知事の方からの報告がはなはだ不正確でもあり、また特殊の意図もあり、いろいろそこに不完全なものがあるのではなかろうかというような御趣旨の御質問がございましたが、私どもの方としましては、この府県知事報告に決して盲従してきめたものではございません。これにつきましては、人事院といたしまして十分個々にいろいろな調査をいたしまして、はたしてそれが正確であるかどうかというような点につきましては、場合によつて実地調査等もやつて参りましたし、また各種の陳情請願等につきましても、それに添付されておりまする資料を十分考慮いたしましたので、まずこれは、はなはだ私の方から申し上げにくい言葉でございますが、現状におきましてはでき得る限りの手段は盡した、かように思つております。
  17. 平川篤雄

    平川委員 私は広島県でございますが、広島県で選ばれているS・CPS調査をされている都市というものは、村は全然ないのです。町というものになつておる。こういうようなことが一体どういう基準で出て来たものか、もう少し詳しく……。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 特別CPSは、いろいろな関係で、人事院地域差指数をきめますために特に統計局に依頼してやつたものであります。もちろんそういう意味から人事院は参画しておりますが、しかしこれは先ほどから総裁から御答弁がありましたように、統計法に基きまして、統計局統計的に正確を期する意味で行われております。これはランダム・サンプリングという方法で行われております。われわれが今承知しておりますところでは、大体地域差指数が八六%という数字が出ておりまする所以上は、ほとんど悉皆調査になつております。八四%未満の市町村になると、これは抽出調査になつております。従いましてただいま御指摘の大きい都市は入つているが、小さい都市は入つていないじやないかというお話はまことにごもつともでありまして、実はそういう小さい都市につきましては、ランダム・サンプリングによりまして抽出調査が行われている。たまたま広島県におきましてはそういうものがなかつたかもしれませんが、全国的には抽出調査というものがなされているのであります。従いましてわれわれは先ほど指数をいろいろ申し上げたのでありますが、大体八四%%未満というような指数につきましては、その数字を読みます場合、それ以上の数字といささかウエイトを軽くしておるのであります。従いましてそれと府県順位表とかみ合わせるという際に、われわれは現在におきましては最も正確を期し得たというふうに思つております。  それから特別CPSを何の目的で行うかわからないから、税金のため等で低い報告しておることがありはせぬかということでありますが、そういうことを言いましたら、切りのない話であろうと思うのであります。それならば特別CPSにかわるような、全国的に統一ある、これよりいい調査があるかというと、そういう調査は現在持つておりません。従いましてわれわれは、現在の場合使用し得る最善の資料であると考えておるのであります。また特別の地域につきましては、現在われわれがとにかく使用し得る最善の資料であると思つておりまするし、またその統計をやります際には、おそらく県の統計課というところで十二分の指導をしているのでありまして、これはほかの目的には何も使わない、もし使つたならばこれは統計法上罰則があるということも徹底しているはずであります。従つてうその申告をした場合には、やはり統計法上の罰則があるということも一応言つておるのであります。そういう周到なる用意をもつて行われておりますので、われわれはそれほど、巷間伝えられるほど不自然な現象があるというようには思いません。ただ税金の問題等があつて、心理的にそういう影響があるではないかというお話がありますゆえに、これは特定地域だけの問題ではございませんので、全国的にそういうことはあるはずでありますから、そういうことは平均的に出て来るはずである、そういうようにわれわれは考えております。また府県順位表等につきまして、そうでたらめなものがなされておるとは一般的には考えません。ただ特定府県におきましてはそういうところもありました。そういうところにつきましては、これは二度、三度、こういう順位表で間違いはないかという照会を発しております。しまいに少し政策的にお考えになつたような順位表を持つておいでになつた場合におきましては、むしろ前に出されておりますものに重点を置いてやるというようなこともいたしております。
  19. 平川篤雄

    平川委員 これは私どもには資料がないことで、それで全国東京都を一位にいたしまして、最も低い所まで並べるということはわれわれにはできない。また局長の今おつしやるように、現在あります資料を最も科学的に御判断になつたということ、それがしかし十分なものでないかもしれないということもわれわれにも納得ができるけれども、その間に何と申しますか、あなた方が資料について加えられた考慮というものが一体どういう程度のものであるかということがわかれば、現在ここに存在する資料以上のものはないということはわかるのでありますから、納得はできるので、そういう意味で全体質問をいたしておるわけでありますから、ひとつ御了承願いたい。  そこでただいま総裁は、いろいろ実地について調べたとおつしやつたのでありますが、先ほどのお答えの中には、全国の各町村一つずつ疑つて調べておつたら、今でも勧告ができないのだけれども、これと思うものは個々について調べてみたと言われますが、それはいわゆる陳情というものに多く左右されていないかどうかということを明らかにしていただきたい。
  20. 淺井清

    ○淺井政府委員 全国の津々浦々まで全部調べるということは不可能でございますし、また実はその必要もないのでございます。ただいまの調査の方法は、全部一々しらみつぶしに調べなければならないほど幼稚なものではなくて、大体見当はつき得るものでございますから、特に必要のあるところだけを調べたのでございます。それから陳情請願等に左右されたかどうかというようなお尋ねがございましたが、その左右という言葉の意味合いになるのでありますけれども、それに盲従した、あるいは陳情のあつた所を調べて、そのほかの所は調べてないという意味ならば、決してその意味で左右はされておらぬことをはつきり申し上げたいと思つております。ただ何分にも公務員諸君に非常な影響を及ぼすところでございまするから、地元から陳情、請願等のありました場合は、決してそれをむだにしないで、一々それを十分に調べたという意味ならば、確かに左右されたといつてもよろしいと思つております。
  21. 平川篤雄

    平川委員 その問題はその程度で打切つておきますが、ただいま局長は、次の勧告の際は縮小すべきだとおつしやつたが、次の勧告というものをお考えになつておるようでありますが、どういうふうに具体的にお考えになつておりますか。
  22. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま局長が申し上げましたのは、ただ将来の漠然たる考え方——漠然という意味は決して動揺しておる考え方という意味ではなくて、将来いずれの日かのことを申し上げておるのでありまして、現在われわれは、国家公務員法が描いておりまするような純然たる職務給の制度は取り得ないと思つております。どうしても生活給的な要素が入る。地域給すなわち生活給的な要素の一つでございまするが、次の勧告がある場合は、縮小するということはまだはつきりはきまつておらないのであります。たださような方針をとりたいと思うわけでございます。従つて次の勧告をいついたすかということは、ここで言明する時期に達していないのでございます。
  23. 平川篤雄

    平川委員 現在はすでにこの幅が狭いがよいというふうに考えておられる。昨年五月から見れば大体これでいいけれども、現在はもうすでに二五%からゼロの間よりか幅を狭くした方がよいと考えておると言われているのであります。それだつたら私は、何月何日ということを要求しているのではないのです。一体どの程度に変化が来たときに次の勧告をしたらいいかという御方針くらいはあると思いますが、どうですか。
  24. 淺井清

    ○淺井政府委員 つまりさつき給與局長が申しましたのは、物価地域差というものはだんだん少くなつて来るのだ、従つて地域給で差をつけて給與を合理化し得る範囲というものはだんだん少くなつて来るのだ、三割から二割五分になり、将来はさらに落ちるであろう、しかしそれは單にそれを減すという意味ではなくて、同時に本俸の方を上げることが問題になつて参る、つまり本俸を操作することによつて地域給を減すということを申しておるわけでございまするから、ただいまどれだけ地域給を減すかというお尋ねでございましたが、これは結局どれだけ本俸を上げるかという問題と表裏一体をなしておるものでありまして、ただいまのところ、この次に本俸をどれだけ上げるかということをここでお答えを申し上げる段階に達していない以上、将来どれだけ地域給を減すかということは、同様にちよつとここではつきり申し上げることはできかねると思います。
  25. 平川篤雄

    平川委員 ちよつと関連してお聞きしておきたいと思いますが、五%の差ができたときには給與改訂をするということになつております。ただいまはどういう状態に置かれているのでありますか。
  26. 淺井清

    ○淺井政府委員 昨年末までの人事院の調べるところによりますると、御承知のごとく物価には季節変動というものがございます。ことに十二月の物価におきましては、相当の季節変動を差引いてよろしいように思つておりますので、勧告をいたす時期には達していないものと考えておりました。しかるところ今年度に至りまして、物価の上昇傾向はだんだん高まつて来ているように思つております。ただここで申し上げたいことは、物価が五%上りますればただちに人事院勧告する、かようには相なつていないのでございまして、俸給表を五%上げるべきものと人事院が認めたときに勧告をいたすということになつておりますので、これは民間の会社でやつておりまするようないわゆるスライド制ではないということを御承知おき願いたいと思います。
  27. 平川篤雄

    平川委員 この地域給の問題につきまして、いろいろ根本的にむずかしい問題はほかにある。たとえば僻陬に住んでいる者をどうするか、あるいはこれが勤務地の問題になつておりますが、それを居住地の問題にする方がむしろ正しい、こういうようなことはだれも認めていることなんであります。ところが今回の勧告はまつたくさようなものは問題外として、ただその勤めておりますところの官公衙が存在する場所の実態というものだけになつておるのでございますが、そういうことについての御見解を、この際もう一ぺんはつきり聞いておきたいと思います。
  28. 淺井清

    ○淺井政府委員 勤務地手当につきまして、居住地主義をとるか、勤務地主義をとるかということは、従来から議論のあつたところでございます。しかしながらこれはどつちも二つともとるということはできないのでございまして、結局どつちかを画一的にとり、どつちかを画一的に捨てるよりほかいたしかたがないように思つております。そこで居住地主義をとれば望ましいという考え方もございまするけれども、これはただいまの情勢に、おきましては、給與体系を非常に複雑ならしめ、人によつて非常に違つて参るような状況にあります。それからまた居住地と申しまするものは、今の現状において勤務地と相当離れておりまするけれども、決して居住地が大阪で勤務地が東京であるというような距離にはあり得ないものでございます。従いまして現在では、給與の行政の單一化その他のために勤務地主義をとつておるのでありまするが、これは従来からもその通り勤務地主義をとつておる。今回これを居住地主義にかえるという決心は持つていなかつたのでございます。
  29. 平川篤雄

    平川委員 居住地主義と勤務地主義ということについて、今どつちかを画一的に捨てると言われるのですが、これはまあしかたがないと思いますが、一体ほんとうの地域給を給するという意味からいいましたならば、これは居住地にすべきものか、勤務地にすべきものか、画一的に捨てるとすればどつちを捨てる方がいいかということの御見解を承りたいのです。別にこのたびの分がどうこうというのではありません。総裁原則的にどちらがいいとお考えになつておりますか。
  30. 淺井清

    ○淺井政府委員 現在におきましては、やはり勤務地主義をとるほかいたしかたがないと思つております。但しただいま御指摘になりましたような欠陷をなるべく除去したい、かように考えまして、今回の勧告におきましては、大都市周辺、すなわち居住地と思われるところの勤務地手当の度差を十分補正をして、その辺においてあまり大きな不均衡を生じないように考えておるのでございます。それから僻陬地云々のお話がございましたが、これは現行給與法におきましても、特殊勤務手当の制度がございまして、これは別個に取扱つてよろしいように思つております。
  31. 平川篤雄

    平川委員 ただいまおつしやることによつて、大都市周辺の都市は差があまりないと言われるのでありますが、なるほどそれは原則的にはそうなつておるだろうと思いますが、たとえばこの別表に出ておる名古屋市なんかは非常にこまかくわけてありまして、一級ほど同じ市の中にも違いが出て来ておるというようなところがあるかと思いますると、同じく愛知県で全郡全部が同じ級になつておるというようなところがあります。私は先ほど居住地主義がいいか、あるいは勤務地主義がいいかということについて御質問した底意は、そういう点にむしろ茫漠たるやり方と言つたら悪いですけれども、かえつてその方が科学的ではないかと思いますがゆえにお尋ねをしたのでありますが、今のお話によると、東京が勤務地で、居住地が大阪というような奇妙な例をお出しになりましたが、ただいまの大阪とか名古屋とかというような都市の中に、二つにお割りになつておるというのは、これはどうなんですか、実際この方が科学的だとお考えになるのでしようか。
  32. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今回われわれが作業いたしました原則を先ほど申し上げたのでありますが、それはすなわち現在暫定的についております地域給というものは下げない、こういう方針が入つたのであります。われわれが作業をやりまする際に立てておりまする方針が、みな並行して同様な方向に向いておるかというと、なかなかそうは参りません。ある場合には相反する方針である場合もあるわけであります。従いまして三つの方針をとつてやりまする場合に、それぞれ相反した結果になつて、どこかで調和点を求めなければならないという場合もあり得ると思います。名古屋のごときは、ある場合には指数としましては低いものが出ておるということもございますが、しかし従前確保しておりました地域給というものを確保するという建前から申しますならば、その従前の狭い範囲に限つてそういうことを特にやらなければならぬということがあるわけでございます。そのほかにつきましては、先ほど総裁からお話がございましたように、全部ならして行くという方法をとりましたし、また全部一円にべたについておるというようなところは、これはたまたまその郡の状況を見てみますと、ついていないものはほんとうの一つか二つではないか、だからむしろそれは、そういうことよりも全部へやつた方がよろしい、この方が人事交流にも便利であるという意味から、全郡べたになつておるところもございます。以上申し上げましたように、方針がいろいろございますので、それを調和いたさせますために、やむを得ずそういう不十分な点が出て来ておるところはあろうと思います。
  33. 平川篤雄

    平川委員 質問を留保して、この問題で打切りますが、私はこの際今まで質問いたしました真意について、もう一ぺんはつきり確認をしておいていただきたいと思いますことは、ここで議論をいたしましても、この別表が正鵠を得たものであるかどうかということについては、議論をいたしましても、これは限界があろうと思います。われわれの方も不可能であるし、それから当局の方でも不可能である。問題ははつきりとCPS、CPI及び府県順位表というものによつて、いわゆるこれを官僚的に処理せられたということなら、一つの納得のできるやり方である。ところがいわゆるできるだけ科学的にしたいという御意図のもとに良心的におやりになつたことが問題になるのではないかと思うのであります。それを明らかにしたいという気持が私にはあつたのであります。将来ともこの問題が中心になつて数々の問題が出て来るだろうと思いますが、それにつきまして——この研究課を中心におやりになつていたと思うのでありますが、今後ただ国会だけではなしに、一般の地方からどんどんいろいろな意見やら苦情やらが出て来ると思いますが、そういうことについてどういうふうに処理をせられるおつもりでありますか。それを最後にお聞きして、一応打切りたいと思います。
  34. 淺井清

    ○淺井政府委員 私の方から申し上げるのはいかがかとも思いますが、この別表には大体御満足が願えるんのではないかと思つております。各地の陳情その他は、ただいままでに十分聞き盡しておるように思つております。
  35. 平川篤雄

    平川委員 今のでは私の聞いたことは盡きておりませんが、ただいま総裁のおつしやるように、一方的にいえばそうでありましよう。しかし苦情というものは必ずある。一級地を二級地に上げてくれろとか、あるいはその他の地域一級地に入れてくれというような要求は、今後一層熾烈になつて来ると思うのであります。これで満足ができると思うというので捨てられたのでは、先ほど来総裁局長人事官、それぞれおつしやつたように、十全を期する態度ではないと思います。今後とも御研究をお続けになり、いいものにして行かれようという御努力があるならば、必ず何らかの機関を残し、そうしてそれによつて研究を続けられる意図があると思うのでありますが、どうなんですか。
  36. 淺井清

    ○淺井政府委員 私案は平川さんの御質問を取違えておりまして、たいへん失礼いたしました。今回の勧告は、人事院はこれ以上変更することはないという意味を申し上げたのでありまして、将来の地域給に関しましては、決してこれに満足しないのみならず、実情の推移もあると思いますから、十分研究をいたし、将来また訂正すべきものが出ました場合には訂正いたす、かように考えております。
  37. 田中伊三次

    田中委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、明日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会