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1951-02-07 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月七日(水曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 淺沼稻次郎君       大西 禎夫君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       木下  榮君    木村 俊夫君       山口シヅエ君    中西伊之助君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     國安 誠一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君  委員外出席者         運輸事務次官  秋山  龍君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 昭和二十五年十二月十一日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として首  藤新八君が議長指名委員選任された。 同日  委員首藤新八辞任につき、その補欠として尾  関義一君が議長指名委員選任された。 同月十二日  委員堀川恭平辞任につき、その補欠として大  西禎夫君が議長指名委員選任された。 同月十六日  委員玉置信一辞任につき、その補欠として大  上司君が議長指名委員選任された。 同日  委員大上司辞任につき、その補欠として玉置  信一君が議長指名委員選任された。 昭和二十六年一月十六日  委員米窪滿亮君は死去された。 同月三十日  委員柳原三郎辞任につき、その補欠として河  本敏夫君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  山口シヅエ君が議長指名委員補欠選任さ  れた。 二月一日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として岡  村利右衞門君が議長指名委員選任された。 同月七日  理事米窪滿亮君の補欠として淺沼稻次郎君が理  事に当選した。     ――――――――――――― 一月二十五日  水路業務法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二号)(予) 同月十六日  鬼脇港に第二防波堤築設の請願玉置信一君紹  介)(第五八号)  日本国有鉄道法の一部改正に関する請願(亘四  郎君紹介)(第七一号)  同(松谷天光光紹介)(第七二号)  太東岬燈台設置請願田中豊者紹介)(第  七三号)  釧路、北見間鉄道敷設請願伊藤郷一君外二  名紹介)(第七四号)  各種自動車安全装置取付に関する請願坪内  八郎紹介)(第七五号)  小、中学校生徒乘車賃割引に関するる請願(  庄司一郎紹介)(第七六号)  直江津、六日町間鉄道敷設請願田中角榮君  紹介)(第七七号)  白河、仙台間鉄道電化促進請願外一件(今泉  貞雄君紹介)(第七八号)  中込、高崎両駅間に鉄道敷設請願今村忠助  君紹介)(第七九号)  東水俣駅外三駅を熊本鉄道管理局管内復元の  請願福永一臣外方一名紹介)(第八〇号)  出雲今市、三次両駅間鉄道敷設請願大橋武  夫君紹介)(第八一号)  同(山本利壽紹介)(第一二四号)  金町、新小岩両駅間の貨物專用乘客用電車線  併設の請願島村一郎紹介)(第八二号)  倶利伽羅峠隧道改修工事施行請願益谷秀次  君外九名紹介)(第八三号)  大間鉄道敷設促進並び大間国営修築請願  (山崎岩男紹介)(第八四号)  鉄道敷設に伴う防災えん堤築設の請願山崎岩  男君紹介)(第八五号)  御殿場線電化請願外一件(遠藤三郎紹介)  (第八六号)  黒島に航路標識設置請願田口長治郎君紹  介)(第八七号)  築別、遠別間鉄道敷設請願玉置信一君紹  介)(第一〇五号)  天塩港に河口右岸導水堤築設の請願玉置信一  君紹介)(第一〇六号)  朱鞠内、羽幌間鉄道敷設請願玉置信一君紹  介)(第一一一号)  鹿兒島本線外二線の電化に関する請願高橋權  六君紹介)(第一一二号)  猟犬の鉄道輸送運賃軽減等に関する請願島村  一郎紹介)(第一二〇号)  阿翁浦整備工事施行請願坪内八郎君紹  介)(第一二一号)  船舶職員法改正に伴う講習会費国庫負担に関す  る請願石原圓吉紹介)(第一二二号)  多古鼻燈台設置請願山本利壽紹介)(  第一二五号)  大津港駅改築請願橋本登美三郎紹介)(  第一二六号)  長倉大子間鉄道敷設請願橋本登美三郎君  紹介)(第一二七号) 同月二十五日  稚内より利尻、礼文両島国営連絡船開通の請  願(正置信一紹介)(第一八〇号)  深川芦別間鉄道敷設請願玉置信一君紹  介)(第一八一号)  海難防止に対する施設整備等に関する請願(田  口長治郎君外一名紹介)(第一八二号)  松尾寺駅を福知山鉄道管理局管内編入請願  (大石ヨシエ紹介)(第一八三号)  青函航路貨物運賃改正に関する請願冨永格  五郎君外二名紹介)(第一八四号)  根北線敷設促進請願伊藤郷一君紹介)(第  一八五号)  長倉大子間鉄道敷設請願尾関義一君紹  介)(第一八六号)  小千谷、越後滝谷両駅間に停車場設置請願(  丸山直友紹介)(第一八七号)  松前より江差を経て瀬棚に至る間に鉄道敷設促  進の請願冨永格五郎君外三名紹介)(第二三  二号)  金田の岬及び海馬嶋航路標識設置請願(玉  置信一紹介)(第二三三号)  武豊線を師崎まで延長請願早稻田柳右エ門  君紹介)(第二三四号)  港湾法の一部改正に関する請願坪内八郎君紹  介)(第二四五号)  西武鉄道田無駅、関前橋間並び武蔵関、武蔵  境両駅間に鉄道敷設請願滿尾君亮君紹介)  (第二四六号)  新潟、長岡両駅間鉄道電化請願渡邊良夫君  紹介)(第二六二号) 二月三日  山川、枕崎間鉄道敷設促進に関する請願(井上  知治君紹介)(第二七二号)  離島航路に対する国庫補助増額請願西村久  之君紹介)(第二八六号)  登米郡縦貫鉄道敷設請願内海安吉紹介)  (第二八七号)  越後長沢駅、只見町間に国営自動車運輸開始並  びに道路開設請願田中角榮紹介)(第三  一〇号)  農林省所管森林軌道日本国有鉄道に移管の請  願(伊藤郷一君紹介)(第三一五号)  芦尾災害復旧費国庫補助請願山本利壽君  紹介)(第三一七号)  雄勝港を避難港に編入請願内海安吉君紹  介)(第三五二号)  津軽線復活促進に関する請願山崎岩男君紹  介)(第三五八号)  青森港の整備拡張促進に関する請願山崎岩男  君紹介)(第三五九号)  青森市に鉄道管理局設置請願山崎岩男君紹  介)(第三六〇号)  岩切、品井沼間の線路撤去反対に関する請願(  安部俊吾紹介)(第三六一号)  両毛線小野寺地内に停留所設置請願山口好  一君紹介)(第三六三号)  稚内港埋立及び修築工事促進請願玉置信一  君紹介)(第三六四号)  深川芦別間鉄道敷設請願玉置信一君紹  介)(第三六五号)  吉都線に熊本経由門司行の準急列車増発請願  (渕通義紹介)(第三六六号)  大村空港設置に関する請願岡西明貞紹介)  (第三六七号)  船舶職員法改正法案無線通信士の資格及び定  員に関する請願中島茂喜紹介)(第三九三  号)  の審査を本委員会付託された。 一月十六日  船岡、仙台間国鉄バス運転開始に関する陳情書  (  第二号)  角田、仙台間国鉄バス運転開始に関する陳情書  (第三号)  国鉄石巻線雄勝まで延長促進に関する陳情書  (  第四号)  別府に民間航空路誘致促進に関する陳情書  (第九号)  日本国有鉄道法中一部改正に関する陳情書  (第二二号)  国鉄武豊線延長促進に関する陳情書  (第二七号)  福島駅本屋改築促進に関する陳情書  (第  三六号)  紀勢線全通に関する陳情書  (第五五号) 同月二十六日  軌道用枕木代用品に関する陳情書  (第六〇号)  大糸南線大町、中土間旅客列車増発等に関する  陳情書  (第六  四号)  猪苗代観測所を測候所に昇格促進に関する陳情  書(第六七  号)  大子豊浦間国鉄バス運転開始に関する陳情書  (第一〇四号)  白新線敷設促進陳情書  (第一二〇号)  離島船路に対する国庫補助増額に関する陳情書  (第一二一  号)  国鉄高山線電化促進等に関する陳情書  (第一  三一号)  宮原線貫通促進に関する陳情書  (第一三三号)  船川警備救難署巡視艇常置に関する陳情書  (第一三九号)  自動車輸送費タイヤ費の関連に関する陳情書  (  第一四一号)  五井、姉崎間にガスカー停車場設置に関する陳  情書  (第一四二号)  北海道の冬期間における道路運送確保に関する  陳情書  (第一五〇  号) 二月五日  吉岡、古川間自動車路線権復元に関する陳情書  (第  一六六号)  国鉄陸前古川自動車運転区間仙台まで延長に  関する陳情書  (第一八三号)  鹿兒島港琉球間折返し航路開設に関する陳情  書(第  一八六号)  鹿兒島港琉球間船荷運賃に関する陳情書  (第一八七  号)  宮原線貫通促進に関する陳情書  (第二〇一号)  を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長選任に関する件  水路業務法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二号)(予)  昭和二十六年度運輸省関係予算に関  する説明聴取  陸運及び海運事情等に関する件     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  議事に入るに先だちまして、元運輸委員会委員でありました故米窪滿亮君に対し哀悼の意を表したいと存じます。  米窪滿亮君は去る第八国会以来本委員会委員として、多年の斯界の御経験に基き、議案審査にあるいは国政調査に、全知全能を傾倒されたのであります。今後本委員会といたしましても、多くの重要議案等審査をいたさねばなりませんが、このときにあたりあの真摯な同君の御風貌を本委員会に発見できぬことは、まことに残念のきわみに存ずる次第であります。同君を失いましたことは、ひとり運輸委員会のみならず、国会、いな国家全般の大きな損失であると考えます。いかに天命とは申しながら、まことに痛惜の情たえがたきものがあるのであります。ここに米窪君の御長逝に対し、深甚なる御冥福をお祈り申し上げるとともに、本委員会といたしましては深く哀悼の意を表したいと存ずるものであります。  前回の委員会におきまして、国政調査承認要求書議長に提出いたしましたが、去る十二月十二日議長承認を得ましたので御報告申し上げます。  それではこれより議事に入ります。  理事補欠選任についてお諮りいたします。理事米窪滿亮君の御逝去に伴いまして、理事が一名欠員となつておりますが、先例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めます。それでは淺沼稻次郎君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 前田郁

    前田委員長 次に小委員会設置の件についてお諮りいたします。先ほど御報告いたしましたように国政調査承認を得ましたので、本委員会といたしまして、去る第八国会におきまして設置いたしましたと同様、観光小委員会及び鉄道電化促進に関する小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めます。それでは観光小委員会及び鉄道電化促進に関する小委員会を設置することに決しました。  なおただいま設置することに決しました両小委員会の小委員及び小委員長選任につきましては、その手続を省略いたしまして、委員長において御指名いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認めます。観光小委員には    大澤嘉平治君  黒澤富次郎君    玉置 信一君  坪内 八郎君    畠山 鶴吉君  滿尾 君亮君    木下  榮君  河本 敏夫君    山口シヅエ君  中西伊之助君    飯田 義茂鉄道電化促進に関する小委員には    稻田 直道君  岡田 五郎君   岡村利右衞門君  尾崎 末吉君    片岡伊三郎君  前田 正男君    山崎 岩男君  木村 俊夫君    淺沼稻次郎君  石野 久男君以上の通り指名いたします。  次に観光小委員長には畠山鶴吉君、鉄道電化促進に関する小委員長には前田正男君をそれぞれ指名いたします。     ―――――――――――――
  7. 前田郁

    前田委員長 次に本委員会付託なつておりまする法律案について、審査を進めることにいたします。本日はその趣旨説明を伺う程度とし、質疑次会よりこれを行うことといたします。右御了承を願います。  それでは去る一月二十五日予備審査のため本委員会付託になりました水路業務法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府より本法律案趣旨説明を求めます。關谷政務次官
  8. 關谷勝利

    關谷政府委員 ただいま上程されました水路業務法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申し上げます。  従来水路業務の一環として、水路図誌とともに航空図誌調製並びに供給行つてつたのであります。しかるに終戰後国内航空運送事業の停止に伴いまして、航空図誌もまたその調製供給を一時停止して今日に至つたのでありますが、今般その事業復活により、航空図誌従前通り調製供給しなければならないのであります。従つて航空図誌は、水路図誌同様常に現状を表示するものでなければならないのでありまして、これに関する保護規定を制定する必要があります。  次に近時接岸航行する船舶が、定置または敷設漁具により事故を起すことが多いので、その航行の安全と漁具の保全とを期するため、資料入手の手段を講ずる必要があります。  また海上保安庁以外の者の行う水路測量にあたり、その基準の準拠を確実ならしめ、かつその調整と勧告に遺憾なからしめるため、若干の罰則を付して、その実施の確実を期する必要があります。  以上が水路業務法の一部を改正する法律案を提出する理由であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――
  9. 前田郁

    前田委員長 次に、昭和二十六年度運輸省関係予算につきまして議事を進めます。当局より説明を求めます。國安政府委員
  10. 國安誠一

    國安政府委員 それでは私から昭和二十六年度運輸省所管予算案の大綱につきまして御説明申し上げます。  まず歳入予算でございますが、二十六年度の歳入予算額は十一億七千三百二十二万六千円でございまして、これを前年度に比較いたしますと、一千八百十八万七千円の増加なつておりますが、これは海上保安庁実施特別掃海に対する歳入が、二十五年度限りとして減少いたしましたのに対して、海沒くず鉄等の売拂い代金等、これらの新規歳入が見込まれましたため、増加いたしているのでございます。  次に歳出予算について申し上げますが、二十六年度の予定経費要求額は百二十六億百三十九万四千円でございます。これを前年度の予算額百二十五億六千六百三十三万二千円に比較いたしますと、三千五百十六万二千円の増加となりますが、これは全船舶船主返還に伴いまして、商船管理委員会に対する補助金が大幅に減少いたしたのがおもなる原因であります。他方におきまして、海上保安隊増強のための経費増加及び日本国有鉄道貸付金新規計上ということにより、差引増加になつたのでございます。  右の要求の各経費につきましては、お手元にまだ参つておりませんかと思いますが、予算参照書部局別の、あるいは事項ごと要求事由及び前年度に比較いたしまして特に増減の著しいものにつきまして、その増減事由を記載してございますが、今そのうち重要な事項について御説明申し上げますと、内容は次のようになります。  まず第一に、商船管理委員会管理費用といたしまして四千四百八十一万八千円でございます。そのほかシベリア、満州その他の地区からの引揚者を輸送する費用といたしまして三億五千八百二十八万三千円を補助金として計上いたしております。なお前年度に比較いたしまして、同委員会に対する補助金は約三十四億円減少いたしております。これは前年度におきますところの管理方式が、来年度からは全面的に切りかわりますために、従来の傭船料あるいは補助金、これが全部減少いたしたのでございます。  次に日本国有鉄道貸付金でございますが、これは最近における国内滯貨増加の傾向にありまして、かつ日本国有鉄道における二十六年度の貨物輸送トン数が前年度に比較して増加いたしておりまして、かかる輸送円滑化をはかるために、車両緊急増備ということを行う必要があるために、特にそれに必要な資金日本国有鉄道に対する貸付をいたしますために、二十億円を計上いたしたのでございます。  次に港湾に関する公共事業施行に必要な経費でありますが、これは内地の港湾施設修築及び災害復旧に必要な人件費及び事務費といたしまして、四億三千七百六十四万四千円を計上いたしました。  次に、気象官署に関する経費でありますが、気象観測並びに通報業務の完璧を期するための事業運営費用といたしまして十三億八千七百十三万一千円、それから連合軍の指令によります洋上固定点観測業務維持運営に必要な終戰処理事務費といたしまして、三千百三万一千円を計上いたしました。  次に海上保安庁に必要な経費でございますが、これは不法入国の監視、密貿易の取締り、航路標識維持運営、その他海上保安業務運営費といたしまして四十四億六千八百二十五万円、それから沿岸警備力増強するため、巡視船九隻を初め、浮標作業船水路測量艇等合計二十二隻の建造費といたしまして、十億七千七百五十八万八千円、合計いたしまして五十五億四千五百八十三万八千円を計上いたしております。なおこれを昨年十月、海上保安庁増強のための国債費からの移用額を含めました前年度予算額八十五億九千八万五千円と比較いたしますと、約三十億円減少いたしておりますが、これはおもに船舶建造費が減少いたしたからでございます。  次に航空庁に関する経費でありますが、国内航峯運送事業管理等経費といたしまして二千四百十万円、それから連合軍要求によりまして、航空保安施設等維持運営経費といたしまして、一億一千九百六十五万六千円を計上いたしております。  大体以上が二十六年度運輸省所管一般会計予算の概要でございますが、なお詳細必要でございますれば、追つてまた主管局長なり、あるいはまた私から順次御説明をいたすことにいたします。
  11. 前田郁

    前田委員長 質疑があればこれを許します。
  12. 岡田五郎

    岡田(五)委員 資料の配付がございませんので、こまかな数字ちよつとわからないのでございますが、ちよつとお尋ねいたしたいのであります。最近造船單価の切下げ、すなわち造船技術合理化、こういう面が取上げられておるようであります。たとえてみれば、溶接関係、あるいはエンジンの問題、その他造船技術につきまして相当研究する課題が多く、また問題も多く、またこれを急速に取入れなければならない情勢下にあるように思うのでありますが、こういう方面に対する研究費調査費というようなものが、昨年に比べましてどういうように増額されておりますか。昨年との比較の数字をお聞かせ願いたいと思います。
  13. 國安誠一

    國安政府委員 ただいま数字をすぐそろえて申し上げます。
  14. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 岡田君の御質問通りに、こまかい資料手元にありませんので、詳細な質問は次の委員会に譲ることにいたしますが、一点だけ伺つておきたいのは、先般予算委員会におきまして、運輸大臣出席を求めて御質問を申し上げる計画であつたのでありますが、運輸大臣に支障があつて出られませんでしたので、一点だけ伺つておきます。予算の中の国鉄に対する二十億円の貸付金でありますが、これは私どもが主として数年来、鉄道建設を急げ、経済開発のため、あるいは交通の発展のため、国土総合開発のため、すべての意味から考えてみて、鉄道の新建設を急げ、こういうことを連続主張して参り、すでに国会の本会議におきましても二回決議案が通過をいたし、前の第九国会最終日におきましても、同様趣旨のことを委員会において決議をいたしたのであります。そこでこれに対しまして、どういう具体的の処置をおとりになつたか。先般足羽監督局長からはちよつと伺つたのでありますが、なお不十分でありますので、この問題に対する処置としてはどういう処置をおとりになつたかということと、先に申し述べました二十億を国鉄に貸し付けるという趣意につきましては、私なども主としてこの問題に対しまして、大蔵大臣やその他に対して強硬に――というよりも、猛烈にこの金を貸し付けることを要求いたし、それが予算の上に計上されて参つておるのでありますが、この二十億の予算は、はたしてただいま御説明になりましたように、貨物その他の輸送増強のために、車両その他の改良補修費だけに充てられるものであるかどうか、この点についてひとつ伺つておきたいのであります。
  15. 足羽則之

    足羽政府委員 一般会計からの二十億の貸付金につきましては、工事勘定財源として一般会計からの貸付を受けたわけでありましてそれが全体の工事勘定財源として使われておりまして、主としてそれが車両増強に今向けられている、こういうふうにも言い得るかと思うのでありますが、新線建設に対してこの二十億の金がそれに該当するのではないかというふうなお考えが相当あるようでございますが、実はこの点は少し話が複雑になつておるのでありまして、当初、新線建設及び都市計画の遂行に俘う所要の経費といたしまして、見返り資金公共事業費の中から二十億の金をそれに充てようということに、関係官庁の間で一応話がまとまつて、そういう案で当初進んで参つたのであります。ところがその見返り資金の中の公共事業費の中からそれに充当するということが全然認められなくなりまして、その話は全然進行することが絶望になつたわけであります。たまたま車両増強の問題が非常にやかましく議論をされまして、工事関係財源をどういうふうにするかという話が進行しておりまして、それに対して一般会計の方からこの二十億の財源工事勘定に持つて来るように話があつたのでありますが、その二つがたまたまこの同じ二〇億の金であつたために、これが新線建設のための貸付金であるように考えられた点もあつたのであります。しかしそういう意味の金ではなかつたわけであります。ただこの新線建設の問題といたしましては、われわれとしては何とかして、皆さんのお手元にございます、現在提出してあります予算に計上してある新線建設費のほかに、新線建設に充当する金を捻出して持つて行きたい、こう考えまして、いろいろ関係方面とも折衝いたしておるわけでございますが、それに対しては、その交渉がなかなか難澁をきわめておる次第でございまして、この二十億の一般会計からの貸付金は、広く今回来年度の工事勘定財源の一部となつておる、こういうふうに御了承を願いたいと思う次第であります。
  16. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御答弁の内容が、私の質問いたしましたこととは相当食い違つておるようでありますから、もう一ぺんこの問題を正しく御質問申し上げたいと思います。  一般会計から貸し付けられる二十億が、そのまま全部鉄道建設に充てる費用ではないか、こういう希望的の意見を申し上げておるのではないのであります。二十億の中から建設費にも相当使い得るのではないか、こういうことでありますから、その点をよく御了解願つて、あらためて御答弁を願いたいのでありますが、この淵源を申しますれば、私自体すでに三年前から予算委員会におきまして、いわゆる預金部資金を地方にくまなく還元せしめよ。今日地方町村というものはだんだん金融の枯渇のために疲弊をしておる。その理由はたくさんあるが、最も大きなる原因の一つは、郵便貯金、簡易保險、その他の名前によつて零細な金を吸收せられたものが、ことごとく預金部の資金なつて中央の方に集まつて来る。中央に集まつた預金部の資金が、ある特定の仕事のみ、あるいは公共的の起債その他の一部のことだけに使われるがために、ますます地方は資金の面から枯渇をいたしておる。であるから、預金部の資金をできるだけ地方に多く還流させる必要がある。そのためには、もとより農業、漁業等に対するところの長期または短期の貸付をやることも必要ではあるが、鉄道の開発のごとくいわゆる経済の開発にも必要であり、交通その他のことにも必要である。この鉄道建設のために多く使われることを希望するということを、国会のたびごとに要望をして参り、これを表向きの議論だけではなくして、與党としての私的の会談におきましても、強く大蔵省その他に要望いたしました。その力もまたこの二十億に相当入つておることを、私自体が当事者の一人としてよく承知をいたしておるのでであります。そういう建前から、二十億を全部建設資金に充てよというのではないが、その中から現在きまつておるところのこの新建設の路線以外に、関係方面等で了解を得られたならば、新しく建設の方に相当のものをまわせるのかどうか、まわす意思があるのかどうか、こういうことを質問いたしておるのでありますから、それらの二十億の中の使途についての含みと申しますか、いろいろ表向きに公表のできないこともございましようが、それらの点をおさしつかえない程度――要するに建設をできるだけ急がなければならないという建前から、あらゆる努力を数年間やつてつたのでありますから、その立場から御質問申し上げておるのであります。
  17. 足羽則之

    足羽政府委員 鉄道新線建設につきましては、国の必要と認める建設については、道路と同じような心構えで取扱うべきではないかという意味の議論は、われわれも今までしばしばいたしておつたわけであります。従つてちようどここに二十億の一般会計からの貸付金があります際に、そのうちできるだけ新線建設に向けたいという希望は、われわれとして十分に持つておるわけであります。従つてこの二十億を含めた三百十二億の工事勘定財源が、現在予算として提出されておるわけでございますが、そのうちには現在建設費として計上されております三億幾らのほかに、なお新線建設に相当額を向けるように、関係方面と現在十分折衝いたしておる、こういう段階でございますが、なおまだはつきりその内容については申し上げるほどの結論に達しておらぬ次第でございます。
  18. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいま足羽監督局長の御説明、並びに御説明の中にある含みはよく了承いたしました。そこで念のためにもう一ぺん、大臣代理としての政府次官に質問申し上げます。ただいま監督局長が述べられたように、建設の方に大いに努力しつつあり、また大いにやろうという御計画であることについて、大臣の代理としての御答弁を念のためにお伺いしておきます。
  19. 關谷勝利

    關谷政府委員 私前に委員会で申し上げたこともあるのでありますが、国会の熱烈なる御要望、国家全般としての輿論ということをよく承知しておりますので、私たちはこの二十億全額を新線に持つて行きたい――もちろん都市計画の方に十億、新線建設の方に十億ということになりますが、全般的に持つて行きたい、こういうふうな気持を持つております。大体以前に、国鉄裁定の当時でありますが、国鉄総裁はその際に、一般会計からの二十億の繰入れということもやらない、貨車の建造につきましては、建設費の中から捻出ができるのだ、それだからぜひとも裁定を実施してほしいというようなこともありました。その際に、国鉄といたしましてはこの二十億はいらないというふうなことも言つてつたのであります。従つてこの二十億というものは、当然この新線に持つて行けるものと了解をいたしておつたのであります。その後いろいろ見返り資金との関係あたりで錯雑はいたして参りましたけれども、われわれといたしましては、どうしてもこの新線建設にでき得る限りの金高を持つて行きたい、できれば全額を持つて行きたい、このように考えております。
  20. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの政務次官の御答弁で、できれば一般会計から借りた二十億全部を建設費に充てたい、できなくても、最大限度これに充てたい、こういう考えがあるということにつきましてよく了承いたしました。他の問題につきましては、こまかい資料手元にそろつておりませんので、あらためて予算の関係を御質問申し上げることを保留いたしまして、本日はこれで終ります。
  21. 前田郁

  22. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 この次に、資料を整えてからいたします。
  23. 前田郁

  24. 石野久男

    石野委員 手元資料が十分ありませんので、大きいところでひとつお尋ねいたしますが、質問の要点は二つございます。一つは造船の問題でございます。昨日もわれわれは本会議で造船問題について政府に対する要望をしております。本年度の満船が、第七次船を含めて約四十五万総トンだろうというふうにいわれておるのでありますけれども、この問題が二十六年度予算の中でどの程度可能性があるかということについてお聞きしたいのであります。特に最近朝鮮事変以来の日本の貿易事情が、東亜地区からだんだんとアメリカあるいはアルゼンチン等の方にまで伸びまして、船腹が不足していることは、だれが見てもその通りであります。従つて造船の急務であるということも、だれもよくわかつていることである。ところが浩船の根底をなす鉄鋼問題が、一番大きな問題になつて来ると思います。私は現在の日本の鉄鋼の供給力の面からいたしまして、造船の計画がどの程度可能性を持つているかどうかということについて、一応御意見を承りたい。
  25. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 現在の造船計画でございますが、昭和二十五年度におきましては、最初の計画として締め切りましたのが十七万総トン、それに追加いたしまして、最近船主の公募を締め切りまして決定いたしましたのが七万総トン、従いまして二十五年度としては二十四万総トンの建造に着手できる予定になつております。二十六年度といたしましては、私どもの方の考えでは、ほぼ造船能力一ぱいに近いところまで建造いたしたい、四十万総トン建造をいたしたい、かような希望を持つております。しかしこれに見合う見返り資金の方がそこまできまつておりませんが、さしあたり二十万総トンの建造に着手し得る見返り資金についての了解ができましたので、その二十万総トンを四月早々に着工できるように、目下手配を進めておる次第でございます。あとの分につきましては、来年度に入りまして、もう少し進行いたしました上において、資金の目当をつける必要が生じて来る、かように存じておる次第であります。なおこの造船計画に並行いたしまして、現在持つておりまする戰時標準型の貨物船、これの改造を船主に慫慂いたしておるのであります。これが貨物船で十八隻、そのほか緊急方策として外国船の購入並びに傭船、これも極力船主の責任のもとにおいてその確保に努めておる次第でありますが、現在まで買船として成立いたしておりまするのが約五はい、近く成立見込みのものが約五はい、引合い中のものを合せますると約二十ぱいでございます。
  26. 石野久男

    石野委員 計画はよくわかりました。その計画に対して可能性の問題なのでございますが、昨年度は手一ぱいの能力を遊ばしてしまうというような状態にあつた。これは資金がないからして、本年度はあるいは二十万総トンに対する見返り資金等の金の都合もついて来る、あともまたできる限りそれをふやして行こうという御意図はよくわかつたのでありますが、問題は、今年は金があつても、あるいは材料の面で苦しんで来はしないかという心配を私は持つのでございますけれども、その点についてはどのようなお考えでしようか。
  27. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 目下のところ造船用鋼材については、別段心配ないと考えております。
  28. 石野久男

    石野委員 造船用の鋼材の問題につきまして、私は今海運局長のお話のありましたようには楽観をしないのでおります。非常に問題をいろいろと他日に残しておりますが、これは後ほどまたお聞きすることにいたしまして、いま一点お聞きしたいのは車両の件でございます。先ほどの御説明車両の緊急整備の問題のために、約二十億くらいのものを予定しておるというお話がありました。こまかい数字は私もわかりませんのですが、この車両の緊急整備の問題と関連いたしまして、車両工業の面では、昨年の事変が始まりまして以来、特需用の車両を相当につくりまして、これが少くともその特需の現地に出向かないままに、手持ちされている実情があると思うのでございまするけれども、こういう問題と本年度の計画車両の問題とのからみ合せの問題について、当局はどういうふうにお考えになつておられるか、御説明願いたい。
  29. 足羽則之

    足羽政府委員 今ちよつと資料の持合せがございませんので、はつきりした数字をあげての御説明はいたしかねますが、今年度特需関係の機関車並びに貨車の注文が相当にございまして、それぞれメーカーが引受けて、十一月、十二月くらいに従来の注文は大体完成いたしたはずであります。そのでき上つた車両につきましては、先方には当初の契約によつては引渡しができない状態のものも相当あつたのでございますが、これは契約を変更して、その支拂いを受けたかつこうになつておる、こういうふうに考えております。なお来年度の特需の車両の発注の見込みはどうかという点でございますが、この点はまだはつきりした推測はいたしかねるのでございまして、これは情勢等の変化の関係によるのではないかと考えているわけであります。従つて来年度どのくらい特需の発注があるか、つまり車両をつくる能力があるかという問題についてははつきりいたしませんが、来年度の国鉄車両をつくる現在予算に上つておりまする計画程度のものは、車両工業としては十分にこなし得る能力がある、こういうふうに考えております。おそらく石野さんの御質問は、特需とそれから車両の整備と両方こなす能力があるかないかという問題ではないかと思うのでありますが、その点については今申し上げたように考えている次第であります。
  30. 石野久男

    石野委員 こまかい点についてまだお聞きしたいことはございますが、私は一応本日はこれで終ります。
  31. 前田郁

    前田委員長 他に御質疑はございませんか。     ―――――――――――――
  32. 前田郁

    前田委員長 なければ次に、陸運及び海運事情等に関する件を議題といたします。  まず陸運関係につきまして御説明を願います。
  33. 秋山龍

    ○秋山説明員 輸送状況について御質問のようでありますので、資料は後ほどお届けすることといたしまして、私から簡單に私がただいま把握しております状況におきまして、陸運並びに海運の輸送状況及びその隘路等がありますれば、それらの問題等について御説明を申し上げてみたいと思います。  輸送状況は、昨年の十月ぐらいには非常にいわゆる閑散でありまして、各方面輸送力が余つたような状態であつたのございますが、秋の食糧の出来秋とともに、朝鮮動乱に伴う特需景気の増大、そういう面から出荷が非常に旺盛になりまして、漸次繁忙を加えて参つたのでございます。その上昇カーブは、大体十月ごろから起つておるようでございまして、それ前までは鉄道について申し上げますと、駅頭在貨が大体五十万トン程度であつたのでありますが、逐次増加いたして参りまして、最近では百五、六十万トンという線まで上つております。このことはそれだけ鉄道輸送が追われておるという状況を示しておるわけであります。駅頭在貨は戰争後の最も忙しかつたときには、三百二、三十万トンまで上つたことがあるのでございまして、そのときの状況までには至つておりませんけれども、とにかくも在貨がふえ、貨車まわりが悪いという申告を、各方面から受けなければならないような事態になつたわけであります。これに伴いまして鉄道輸送も非常に馬力をかけておるのでありまして、一月の中旬だと思いますが、一日発送量三十七万トンというような、今までにないレコードを出したこともあるのでありまして、貨車まわりにおきましてもその他におきましても、最大の努力をいたしておるわけであります。現在のところ貨車の配給を特に制限いたしておるようなところはないのでございますけれども、部分々々によりましては、貨車の配車が悪いために、貨車を請求してからもらえるまでに十日間あるいは十五日間かかる、ものによりましては二週間くらいかかるというものがありまして、その点で非常な不平も聞いておるのであります。またあるところによりますると、たとえば常磐炭のごときは、生産力一ぱいまでの貨車がないために、生産を制限しなければならないというふうな状態で、非常にやかましいお話があつたのでありますが、最近大体において貨車の需要と生産とがマツチいたしておるように思つております。こういう状態でございまするので、来年は鉄道としては、やはり何といつても貨車の増備にはよほど力を入れまして、貨車の配給が円滑になり、輸送力をうんと上げるようにしなければならぬと考えておるのでございますが、しかし貨車の増加だけでは、鉄道輸送力が上る限界というものはおのずから限度がございまするので、そこらは来年の閑散な夏枯れの事態ともにらみ合せまして、再来年はよほど見当をはつきりつけて行かなければならぬと考えておるのであります。  それから自動車の方は、燃料が逐次増加いたして参つておりまするので、今のところ自動車輸送に対する需要で非常に困つておるという声は、まず聞いていないように考えております。また鉄道の貨車まわりが相当に悪いところもありまするので、品物によりましては、自動車輸送に相当転移いたしまして、自動車の運ぶ距離が漸次延びておると思います。この関係の数字手元にございませんので、ただいまちよつと御説明いたしかねるのでございます。  これに伴いまして海運の方はどうかと申しますると、海運の方も一番ひどく感じておりますのは、外航船の不足でございまして、これは昨年十二月、米国のトルーマン大統領の非常事態宣言のありましたときから、急激に一種のヒステリツク的な状況から船が隠れまして、急激なる運賃の高騰を見たのであります。そのために各方面で輸入手配に手違いを生じましたので、たいへん憂慮されたのでありますが、最近米国におきましては、予備船隊から百五十七万重量トンの船腹を、米国の船主に売却または貸與いたしまして、世界の船腹を緩和する方策を講じまして以来、逐次市況はおちついて参つておるようであります。これに伴いまして運輸省といたしましては、外航船の増強対策というものを立てまして、目下これが推進に当つておるわけでございまして、その内容は、ただいま海運局長より御説明申し上げましたような次第でございます。  ところが一方内航の船腹でありますが、内航の船腹は現在約八十万トンほど動いておるのであります。これは非常に遊休船がたくさんありまするので、これが買上げ始末をするという始末でありまして、戰時の標準船を買い上げる制度をつくりまして、新しい船に漸次、かえて行くという方策を、昨年の臨時国会におきましてお願いいたしまして、幸いに御賛成を得まして実施いたしたのでありますが、一般的な輸送需要の増加に伴いまして、内航船腹に対するきゆうくつさが現われつつあるのでございます。去年の五月、六月ころには、内航汽船輸送量は約百万トンでございましたが、現在は百五十万トン程度になつております。それだけの輸送量の増加があり、従つて船は金稼働の状態にございます。ところが最近やや本船の船まわりも悪いのではないかというふうにいわれるようになつたのでございます。これにつきまして、いろいろと私どもで原因を究明いたして来たのでございますが、八十万トンの船腹に対して百五十万トンの輸送量では、回転率と申しますか、稼行率が二・一ないし二・二になります。この数字はあまりに低いものでありますから、その原因を探究いたしましたところが、最近港湾の事情が非常に惡いということを見出したのであります。港湾の事情は、特に東京から横浜、清水、名古屋、四日市、大阪、神戸、関門、博多、こういう主要港湾の実情を特に調べて行つたのでありますが、この主要港湾の荷役力のうち、岸壁の荷役力は、相当大きな部分が国連軍の使用に充てられておるという実情でございます。この内航船に対する荷役は、主としてはしけにたよつておるわけでございます。しかるにこのはしけが戰争前に比べまして、少いところは二割五分、多いところでも五割ちよつと、こういう程度まで減つておるのでございます。従つてはしけを増強するということが、今非常に緊急課題となつておるというふうに認識いたしております。従いましてはしけが足りませんために荷役が遅れまして、船の回転が思つたほど上つていないということが、海上輸送の船まわりの惡い大言な原因になつております。つまりはしけが足りませんので、船が少しよけい港に入りますと、全部に荷役ができなくて、はしけのあくのを待つておるという状態でありまして、そのために船の在港日数がふえまして全体の回転が惡くなる、こういうふうになつておるように思われます。そこではしけの増強策を考えておるわけでありますが、その対策といたしましては、現在の港湾運送業者が非常に数が多うございまして、しかも規模が小さいために、大修繕または新造するための資金が、銀行等から得られないという状態にございますので、港湾運送事業法というふうなものをお願いいたしまして、そして競争がめちやめちやになる状態をある程度制限する。また運賃その他での賃率の競争等を、何らかの方法によつてある程度制限する。そうしてまたはしけ等を一つの財団として、信用を得るようにするといつたようなぐあいに、はしけ港湾運送事業に一つの公益事業的な規制を行う。そうして港湾運送事業というものの地位をある程度保護いたしまして、同時に片方見返り資金等の融資によりまして、急速にはしけの増強をはかりたい、かような方策を進めまして、目下関係方面と折衝いたしておるような次第でございます。  機帆船におきましては、現在の輸送が大体二百二、三十万トン程度にとどまつておりますが、これは機帆船の能力ではなくて、重油、燃料油の供給が大体一定程度にとどまつておりまするために、およそ毎月同じような数字が出ております。しかしながらこれに対する需要は相当増して来ておるのでありまして、油があればもつと運べるのに、油をどうしてくれないかという声が、非常に強くなつて参つております。今後一番手近に輸送力を増加し得る方法は、自動車に対する燃料油の増配と、この機帆船に対する燃料油の増配だと思うのでありまして、特に機帆船の燃料油の増加につきましては、従前とも努力いたしておる次第でありますが、なお一層この点についての努力を強化いたしたい、かように考えておる次第でございます。  概観いたしまして、ただいまのところ輸送力は、ややきゆうくつだという程度で、およそ需要と供給とがマツチしておるという状態でありますが、それ以上に輸送要請が増して参りますと、随所に困難が感じられるのでありまして、それを前もつて――たとえば鉄道におきましては貨車の新造による増加、船の面におきましては、はしけの増加が、あるいは自動車及び機帆船業におきましては燃料油の増配、こういつた方面に総合的な対策を講じて進めて行くことが必要であろうかと考えておる次第でございます。  ごく概括でございますが、ただいまの輸送状況の大体につきまして御説明申し上げました。
  34. 前田郁

    前田委員長 ただいまの秋山次官の御説明に対して、質疑があればこれを許します。
  35. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど運輸省関係の予算説明に引続きまして、国鉄関係の二十六年度予算説明を期待しておりましたが、ございませんでした。なるべくなら次会資料を配付していただきまして、詳細に予算事業計画というものの御説明をお願い申し上げます。  では次に秋山次官から御説明いただきました最近の輸送事情につきまして、簡單でございまするが、質問いたしたいのであります。先ほど秋山次官は、最近の荷動き、輸送力の逼迫は、そう大したことがなさそうな口吻の御説明でございましたが、私は少くとも陸上輸送におきましては、非常な逼迫であると感じておるのであります。最近の駅頭滯貨は百六十万トン、戰時中には三百万トンの滯貨を持つたことがある、こういうことを言われましたが、その戰時中の三百万トンは、これはもう異常の状態でありまして、これを例にとつて百六十万トンの駅頭滯貨多からず、かような論断を下されることは、私はもつてのほかだと考えるのであります。皆さん御承知のように、この駅頭滯貨は製品であり、原料でありまして、一日も早く工場に運ばれ、また消費者の手に渡ることが、流通経済の最も好ましいことであると私は考えるのであります。しかもこれらの駅頭滯貨は、非常にたくさんの荷主によつて持たれておるのであります。この滯貨に対する悲鳴は、非常に散発的であり、散在的でありまして、ややもすれば声が聞えないのでありますが、私は為政者としてもつと真劍に、この滯貨を取上げるべきであると考えるのであります。昨年初めの営業倉庫における滯貨、かようなものに対しましては、集団的に滯貨をいたしておりましたがために、金融措置あるいはその他の措置をもつて救済されたのでありますが、この駅頭滯貨は救済されるだけの余地はないのであります。しかもこの滯貨は平均いたしまして、三日とか、四日分ということになつておりますが、おそらくそのうちには特殊な輸送のものもありまして、百パーセントすぐ輸送されるものもあり、その他の一般民需物資に至つては、おそらく需要の二割か三割程度しか配車されておらないのじやないか。おそらく十日なり、一週間分というものは、駅頭に滯貨されておるのではないか。しかも最近の取引から行きましても、貨車乘り渡しあるいは倉庫渡しであります。この金の支拂いの面において、金融逼迫の折から、駅頭の途中において滯貨されておるということは、非常に嘆かわしいことであり、日本経済の復興のために、大きな支障をなしておると思うのであります。この滯貨の一掃こそ、国鉄に與えられた輸送の大使命を完遂するゆえんだと思うのであります。この滯貨の一掃、このサービスの完全を期せずして、国鉄の使命いずこにありやと断言いたしたいのであります。しかも来年度の車両費その他につきましても、最近の物価騰貴その他の関係からいたしまして、予期の車両が増備できないのではないか。しかも一方、日本の国内の経済復興に伴いまして、過般の周東安本長官の演説にもありましたように、大体生産は昭和七―十一年度に対して一一五%になるだろう、こういうことをいわれております。かような情勢から勘案いたしますると、国内の国有鉄道によるべき貨物輸送要請量というものは、相当増大することが予想せられると考えるのであります。また現在の国鉄車両計画の状態から勘案いたしますると、滯貨はますます逐増の一途をたどるのみである、かように考えるのでありますが、この辺の次官の感じ――私の推測でございまするが、やや軽く見ておられる感じがするのでございますが、はたして軽く見ておられるのか。非常に緊急重大なものであると考えておられるのか。また考えられておるとすれば、運輸省、すなわち国鉄の監督官庁としての運輸省、運輸大臣は、これについてどういうお考えで、どういう措置を講ぜられるつもりであるか。また現在の国有鉄道法によつて、何ら処置を講ぜられないのであるか、講ぜられるのであるか、その辺のところを一応御説明をお願いいたしたいと思います。
  36. 秋山龍

    ○秋山説明員 私が滯貨を非常に簡單に扱つたような御印象を與えましたことは、まことに不徳のいたすところでありまして、実はさようなつもりではなかつたのでございます。三百数十万トンの滯貨と申し上げましたのは、実は戰争中の異常事態ではないのでございまして、戰争後の、いわゆるドツジ・ラインというふうなもので、少し経済の上昇が押えられましたその直前のことなのでございます。私どもとしましては、そのときの事態というものが異常な事態であつたということは、承知いたしておるのでございますが、今日といえども滯貨のない方がいいということはもちろんでございまして、できるだけさような事態のないように、始終駅頭滯貨の増加状況というものも注視いたしておるわけでございます。御説の通り百六十万トンの滯貨は、大体三十五万トンの輸送力といたしますと、四日半ないし五日でございますが、その中には相当に待たされるものも確かにあるのでありまして、その点も国鉄輸送会議をいたしまする際には、常に注意いたしまして、一番惡いものでどのくらいで運んでおるかというふうなこともチエツクいたしておりますが、大体十日くらいということになつておるのであります。もちろん鉄道輸送といたしましては、輸送要請のありましたものを即座に配車いたすということは当然でございまして、われわれ監督官庁のものは、常にその状況を総合的に検討いたしまして、国鉄輸送能力の向上、能率の向上というふうなことにつきまして、鞭撻をいたしておるような次第でございます。  なお来年度の貨車の新造につきましては、いろいろと見方があるようでございますが、運輸省といたしましては、ただいま予算で考えられております貨車の新造と、それから新船といつたような問題につきましても、一応貨車の新造は、ぜひ現在考えられている通りやりたい。新船の方は、そのわくにつきましては、ただいま政務次官が御答弁申し上げた通りでございますが、その範囲内において、他の方の差繰りでできないかというふうなことで、両方を調和せしめるように、今苦心努力いたしておるような次第であります。決して滯貨の状態を楽観的に考えているというわけではないのでございまして、一々その状態を注意し、かつできるだけその問題を解消し得るよう努力いたしておるということをお答えいたします。
  37. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 ただいまの岡田委員からの御質問に対しまして、次官からの御説明がございましたが、私の県は御承知の通りりんごの生産県でありまして、今年度のりんごの生産は二千二百万箱であります。一個ずつにして並べますと、世界を四・半まわりするだけの生産量がある。その二千二百万箱のうち二千万箱はよそへ出している。すなわちこれは鉄道の最もいいお客さんでありますが、その状態がどうなつておるかと申したならば、これは先ほど岡田委員の御注意があつた通り、まことに残念なことながら、駅頭において凍傷を起したものは二百万箱以上あると私は考えます。現に私のところに五箱のりんごが届けられたが、その五箱のりんごのことごとくが全部凍傷を起しております。私はこれを人様に上げようと思つたのですが、一々その梱包を開きまして、凍傷を起していないかどうかということを調べてみたところが、五箱が五箱とも全部凍傷を起しておる。私はそれを明日運輸省に持つて行つて皆さんにお目にかけましよう。この通りの凍傷を起しておるということをお目にかけたいと思います。二百万箱のりんごが駅頭において凍傷を起したとして、一箱五百円の価格を見積りまして、約十億円に該当するだけの生産されましたりんごが、腐つて食いものになりません。いかにこういう時代になつて参りましたからといいながら、この二百万箱というものは、今日まで農民が営々苦心をして生産をいたしたものです。それが食いものにならぬということになつたならば、これは国家の資源の上からいいまして、どういうことになるのでございましようか。私はその詳細な点をただいま青森と連絡をつけておるのでありまして、詳細にわたつて数字を持つて来いということを電報を打つておきました。十二日に全部そのデーターを持つて来ることになつております。運輸省当局や天坊総支配人もおられますけれども、決してこれはなおざりにできることではない。私のただいま言いました二百万箱以上のものが、損傷を受けておるに相違ないと確信を持つております。詳細なことは十二日か十三日ごろ全部整えた資料によつてお話申し上げます。これは国鉄当局の英断を仰がなければならぬ。そうでなかつたならば、農民の生産意欲がなくなり、日本のこれからの産業開発の上においても、重大な影響があるということを一言申し上げまして、今度私は詳細を御報告する機会を得たいと考えております。
  38. 滿尾君亮

    滿尾委員 次官にお尋ねいたしたいのでありますが、実は先般来外車の輸入に関しまして、自動車の業界の新聞にしばしばいろいろな報道が出たのであります。わが国の乘用車の供給が、三十七年型を輸入いたしましたものを一番新らしいものといたしまして、その後絶えております。従つて国内の小型のごく僅少の乗用車が供給せられますだけで、財源が枯渇して、いずれも非常に古い車を無理をして使つている。従つてこの際わが国に乘用車の新らしい血液を注入いたしますことは、焦盾の急だと考える。そこでこの外車の輸入というものは、まことにみんなが熱望しているわけであります。しかしまた一面、わが国の自動車工業をどういうぐあいに措置して行くかということも、非常に重大な題問であり、おそらくは工業立国を志すわが国といたしまして、自動車工業のない工業立国というものは考えられない。従つてわが国の自動車工業というものも立てて行かなければならぬ。しかしそこにはおのずから緩急の差があり、あるいは業種の選択があり、あるいは国際的な分業というようなことも考えられるので、これらの政策に対しては、私は虚心坦懐に考えれば、きわめて簡單明瞭であると思う。ところがこのたびの外車の輸入の話が出ましてから、すでに半年になんなんとしている。しかもきまるがごとくきまらざるがごとく、いろいろなかつこうで業界の新聞に伝わつておる。ぜひこの際――私のひが目かもしれませんが、どうも運輸省と通産省との間に権限上の見解を異にせられるようなことがあつて、それがこの外車の輸入の専務をなめらかに進捗させていないのではないか、私はかような疑念を持つている。従つてわれわれのこの疑念に対しまして、次官は直接いろいろ御折衝になつておるかに伺つておるのでありますから、わが国の行政をガラス張りの中に入れて見せてやるというお気持で、経過を明らかにし、今後のこの問題に対する見通しを明快に教えていただきたい、かように考えます。
  39. 秋山龍

    ○秋山説明員 滿尾さんのお尋ねの外車輸入の問題でありますが、通産省と運輸省との間に権限上の争いがあつて、この問題の決定を遅らしたのではないかというようなお話でございますが、実はそういうことはないのでございまして、ただ技術的にどういう方法によれば、割当その他がうまく行くかというふうなことについて、意見の相違はあつたのでございます。その点については、いろいろと議論をいたしました結果、その点は早く片づいておるわけであります、最もむずかしかつた問題は、結局国産工業の維持と、それから使用者の立場を代表する者は、できるだけたくさん入れてもらいたいという思想と、どの点で調和することが一番全体のためにいいのか、この問題につきましては、お互いに相当真劍に検討をいたしたわけでありまして、その点の検討に一番時間がかかつた、こういうわけであります。逐次その問題につきましても両者の見解が一致いたしまして、むしろわれわれ使用者を代表する方の意見が漸次認められて参りまして、当初考えられておりましたよりも相当多数の自動車を、少くとも近き将来において入れることができるというところまで一致いたしたのでございます。実は今日参りますまでに、最後の決定がどうなつておるのか、それからその数字がどうであるのかということを、当局から聞いておりませんが、あるいはすでに、少くとも第一・四半期につきましてはきまつた数字が出ているのではないか、こう思われる程度まで進捗いたしておるのでございますけれども、その数字を聞いておりませんので、お答えいたしかねるのはまことに残念でございますが、そういつたような事情でございますので、相当早く解決する、こう考えておる次第であります。
  40. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほどの私の質問が、多少ほかへそれてしまつたのでございますが、私は先ほど次官が言われました抽象的な御答弁では満足できないほど、滯貨は真劍に検討すべき重大な問題だと考えるのであります。これにつきましては少くとも――そう言つては語弊がありますが、国鉄の方にも御出席願いまして、来年度の貨車の輸送予定量、または今後起り得る海上から陸上への貨物の定期の輸送、その他あるいは貨車の保有量、あるいは増備計画等、詳細にわたりまして、今後起り得べかりし貨物輸送に対する措置に万全なりやいなやということを、一応許されるならば検討させてもらいたい、かように考えるのであります。次官の話は非常に抽象的でありまして、多少陸上の輸送力の拡充あるいは陸上輸送に興味を持つておる者にとりましては、はなはだ不満足であります。またこの不満足のままこの問題を放置するには忍びないほど重要な問題である、かように考えるのであります。従いまして二十六年度の国鉄予算及びこれに基く事業計画というものを承ります際に、私は詳細にこの陸上輸送力拡充についての運輸省の所信、または国鉄の最高方針を詳細に承りたい、かように考えまして、一応次官の御答弁に対しては、はなはだ不本意でございますが、不満足の意を表しまして、この問題についての質問は私はこれでやめます。
  41. 前田郁

    前田委員長 本日はこれにて散会いたします。次回は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時十四分散会