○河井彌八君
只今議題となりました両案につきまして、内閣
委員会の
審査の
経過並びに結果を御
報告申上げます。
先ず運輸省設憲法等の一部
改正案について御
報告申上げます。
この
法案につきましては予備
審査二回、本
審査が一回、三回
委員会を開きまして愼重に
審査いたしました結果、
全会一致を以て可決すべきものと
議決いたしたのであります。
本案の提出の趣旨を簡單に申上げます。十一月一日の政令第三百二十七号国内航空運送
事業会の公布によりまして、国内航空運送
事業の免許、旅客、貨物、郵便物の運賃の
決定認可、被免許会社の業務監査等の事務を運輸大臣が行うことにな
つたのでありますが、この行政事務はその政令によりまして、運輸大臣の指揮
監督の下に暫定的に電気通信省の外局であるところの航空保安庁において取扱うことに定められておるのであります。元来航空行政は運輸行政の一種でありまするから、これを運輸省の所管とすることが正当と認められるのであります。又その業務、運送行政と保安行政ということは、これを一元的に取扱うことが必要であります。それ故に電気通信省の外局としてすでにありまする航空保安庁をば廃止いたしまして、そして運輸省の中に運輸省の外局として航空庁を
設置いたしまして、そして航空保安庁の航空保安事務と航空運送事務、新たに加わりました航空運送事務とをこの所管とするのであります。これが
本案の骨子であります。この趣旨に基きまして運輸省
設置法及び電気通信省
設置法に所要の
改正を加えました。更に、従いまして、国家行政組織法及び
行政機関職員定員法にもそれぞれ
改正を加えたのであります。尚その地航空標識所を作ることにつきまして、
行政機関職員定員法に修正を加え、更に又国内航空運送
事業会の第十二條に削除及び修正をいたしました。それから更に附則におきまして、航空保安庁の職員及びその家族に対しまして、厚生施設の利用の関係から、当分の間従前の例によることにしてあるというのが
本案の全部であります。そこで法文について申上げますことは冗長になりますから省きますが、簡単に申上げますれば、この
法律は五ケ條と及び附則から成
つております。即ちその第一は、運輸省
設置法の
改正、これは権限を
拡張する
規定と、それから航空庁を
新設する
規定、それからそれに伴いまして組織をどうするか、事務の
内容をどうするか、及び機関
設置の、即ち標識所を設けるというような点。第二には、電気通信省
設置法の
改正、これは今申上げましたように、外局の航空保安庁の
規定を廃止して、それに伴うところの所要の
改正。第三には国家行政組織法の
改正。第四には
行政機関職員定員法の
改正であります。この職員
定員法の
改正は
通商産業省の航空保安庁の
定員即ち千九十六名を運輸省の航空庁の方に移すという趣意の
改正であります。そうして第五点は、国内航空運送
事業会の
改正、これだけであります。
で、この
改正案は極めて簡單なものでありまするが、併しその関係するところは極めて重大でありまするから、その点を御参考に申上げたいと思うのであります。即ちこの十一月一日に公布せられました政令、その
内容が最も重大なものであるからであります。終戦直後即ち
昭和二十年十一月十八日の司令部の党書によりまして、日本は一切の航空を禁止されてしま
つたのであります。従
つて航空法の廃止になり、航空の行政を掌る官庁も廃止せられることにな
つたのでありますが、そうなると日本の航空はどうしたかと言えば、すべて司令部の管理の下にあ
つたのであります。ところが只今申しましたように十二月一日に政令第三百二十七号を発布することにな
つて、ここに急激な変化が起
つたのであります。内閣
委員会は、日本の将来の発展は国内の航空
事業の繁栄にかかるところが極めて大きいということの見解を以ちまして、この政今につきまして慎重な細心な
検討を加えたのであります。即ちいわゆるポツダム政令と申しますこの政令がどうして制定せられたかという点について相当な
政府の説明を求めまして、強い意思の発表をしているのであります。それは
政府の説明によりますれば、今度の日本においての航空を許すこの事柄は、在来この日本において航空
事業に従事しておるところの外国の会社から成るところの一つの
事業団体、その団体に対して航空を許すということでありまして、それは本年の六月二十六日附の司令部の覚書によりまして、その新らしい
事業団体の会社でありますが、それの
事業免許、監査或いは運賃の認可というようなことの、こういろ重要な
事項の処理と、それから又その行政を取扱うところの責任官庁を、至急に日本政庁において
決定をせよということでありまして、こういう要求が向うから発せられたのであります。更に八月三十一日には、日本内国航空株式会社の、只今申したその特殊の会社の株式取得の許可と
事業の開始の許可の申請書を外資
委員会に提出いたしまして、それの発足を急いで参
つたのでありまして、どうしても
国会の開会を待たずに政令を制定しなければならぬという説明を得たのであります。更にこの新らしい会社は、只今申しましたように国内のただ一つの業者であるのでありまして、在日の外国航空会社によ
つて結成せられるものであります。そうしてこれが大変に差迫
つて念いでおるのでありまするから、早急に法的措置をと
つて置かないと、これは明らかに私的独占禁止法と
事業者団体法に抵触することにもなるのであります。従いまして、
政府は愼重に考慮をいたしたので、急速に運びかけてお
つたのでありますが、十月初旬から更に又司令部のほうから、会社
設立準備の進捗に伴
つて、しばしば日本側に受入体制を早く作れという催促をせられましたので、かようなポツダム政令を公布したということにな
つたのであります。その政令を決めまするためには、
政府は十分な
検討を加えて、公共の福祉に従
つて、これが運用せられるようにすることを確保する
目的を以て政令を制定したといろ説明であります。併し今日にな
つて見ますると、まだその会社の組織が完成しておるというようにも見えませんし、従
つて今期の
国会に間に合わないことはないとも考えられるのでありますが、その当時の事情から申しますると、これは誠に早急を要し、止むを得ないという御説明であります。
委員会はこの説明に対しましては、議院の
審議権を尊重するという立場から、これを歓迎しないという心持が濃厚であつたということを申上げて賢くのであります。更に次の点としてこの政令の
内容について簡単に触れて置きます。
政府は講和成立のあとには日本独自の航空の確立することを考えておりまして、ここに当面の実情に則する措置をしてこの政令を決めたというのそあります。その政令の
内容によりますれば、
事業の免許は、
昭和二十年の九月二日から二十五年の一月一日までの間に外国と日本との間に航空営業をした会社の協定
設立する一つの会社に対してのみ免許をするということであります。それからこの期限もこれを付けて免許するということであります。
〔
議長退席、副
議長着席〕
それから
事業計画、運賃の認可、それから
事業の
監督の方法、飛行場の使用のこと、これらのすべて重要なことは
審議会に諮問して
決定するということ、それからこれの取扱官庁といたしまして、航空庁を運輸省に
設置すること、その航空庁の権限、最後に罰則というようなことがその
内容とな
つております。この件につきましての質疑応答は沢山ありまするが、極く簡單に申上げますれば、外国企業者の意向は、講和の実現前において日本における航空
事業の独占の端緒を開くのではないかというような心配を見えたので、これに対しましては
政府の説明は、そうではない、どこまでもこれはビジネスとして行な
つて行くのである、従
つて新らしく
設立されるところの航空会社におきましては、投下資本が償う
経営ができればそれで足りるのであるからという説明であります。而して何ら政治的の野心に基いてはこれが司令部から迫られたものではないということをはつきり答えておるのであります。
次に飛行場
新設につきましていろいろな問題があるのであります。
新設を更に沢山するのであるかどうか、或いは
農地との関係はどうなるであろう、それから飛行場の使用権はどういうふうな性質を持
つているか、或いはその使用料はどうなるか、更に又不正な使用をした場合においての取締如何というような点につきましても、熱心な質疑がありました。更に資本につきましては、内国人の資本を受入れることが可能であるかどうかという点、或いは使用するところの飛行機の機種、それから航空はどことどこを連絡して営業するのであるかというような点等につきまして、詳しい
検討をいたしたのであります。大体さような
経過を以ちまして昨日この
審議を終りました。
そうして
採決に入りましたところが、
全会一致を以て可決すべきものと
議決した次第であります。
次に
行政機関職員定員法の一部を
改正する
法律案の
審査の
経過並びに結果を御
報告申上げます。
この
法律案につきましては、
委員会を開くこと予備
審査と共に二回、昨日
全会一致を以て可決すべきものと
議決したのであります。この
法律案を提出しました
理由といたしましては、第一に、地方財政
委員会の職員の
定員を十名増加するという点であります。即ち市町村の中心財源であるところの固定資産税の賦課に関する事務におきまして、移動性の資産とか、或いは二つ以上の市町村に亘
つて在存する固定資産とか、大規模の場等の評価とか配分という事務が極めて複雑でありまするから、現在の職員を以てしては足りないということで、十分その専門的の知識を備えた者を増加したいというので十名の
定員増加であります。第二点は、これは第七
国会で成立いたしました首都
建設法によりまして、総理府の外局として首都
建設委員会が
設置せられたのでありますが、その職員の
定員がこの
法律の附則によりまして
行政機関職員定員法を
改正して二十五名とすると決ま
つたのでありますが、そのときに
行政機関職員定員法第二條第一項の表の中で、総理府の項の計の数と合計の項の数とに二十五名の増加に応ずる加算が行われなか
つたのであります。これは手落ちであります。これをつまり直すという点であります。もう一つ、同じく第七
国会におきまして成立いたしました文化財保護法によりまして文部省の外局として
設置せられました文化財保護
委員会についても、その
設置に当
つて文部本省から移管された
定員の外に更に三十五名を附加えたのであります。それが
定員とな
つたのでありますが、
行政機関職員定員法の第二條第一項の表の中で合計の項の数を改めなかつた。これも手落ちであります。それがために三十五名を合計の数に加算するというのであります。
それから尚今回の
改正案によりまして
改正せらるべきものとな
つております合計の項の数が、現行の
行政機関職員定員法の第二條の表の中の合計の項の数よりも六十七名多くな
つているのでありますが、これは本日只今本議場において可決せられました
裁判所職員の
定員に関する
法律等の一部を
改正する
法律案において、連合国人に対する刑事裁判権の
拡張に伴います検察庁及び矯正機関等の職員の
定員の増加を行うことにな
つているのに対応させたものであります。
尚この外に、丁度この機会に、前回の
国会閉会後、ポツダム政令によ
つて行政機関職員定員法が三回に亘
つて改正せられておりますから、このことを附加えて御
報告申そうとするのであります。先ず八月十八日の政令第二百六十三号を以
つて法務府
設置法等の一部を
改正する政令が公布せられまして法務府の
定員が六百六十二名増員とな
つております。次に、九月三十日の政令第二百九十五号を以て出入国管理庁
設置令が公布せられまして、これに伴な
つて法務府の
定員が四角減じ、外務省の
定員が六百二十六名増加いたし、運輸省の
定員が六十名増加いたしまして、差引結局六百八十二名の増員とな
つていることであります。更に又もう一つ、十月二十二日の政令第三百十八号を以て、海上保安庁法等の一部を
改正する政令が公布せられまして、これに伴いまして運輸省の
定員が二千二百四十六名増加いたしているのであります。以上前回
国会の閉会後、ポツダム政令によ
つて行政機関職員定員法が
改正せられました結果、行政機関職員の
定員は合計三千五百九十名の増加とな
つたのであります。
委員会におきましては、中井委員から、この本
法案の
定員の数字
改正の中に、
定員の計算違いのために、つまり手落ちのために数字が合わないという結果が出て来ておるのは甚だ遺憾である、今後そのようなことのないように
政府においても注意してもらいたいという要求がございました。これがためには、行政機関職員
定員の
改正の必要がある場合には、
行政機関職員定員法一本の
改正で行うようにして、他の沢山の
法律の附則等で以て
改正を行うべきものではないと思うという意見が出たのであります。これに対しまして
政府側におきましては、今後はこの点において十分注意をする、併し只今ここに挙げました例のこの首都
建設委員会というものは衆議院において発案し、それから文部省の外局と
なつた文化財保護
委員会というのは参議院において発案した、こういう
政府提出案でないものにつきましては、これを行政管理庁において統轄して行くということは甚だ困難であるという事情も訴えられたのであります。併しどちらにいたしましても、できるだけ
定員法一本で
改正をすることが適当であるという見解であります。結局、内閣
委員会におきましては、本
法律案の
改正の
内容が
政府の
提案の
理由の通り、これは相当であるということを認むるに
至つたのでありまして、討論を省略いたしまして
採決いたしました。そうして
全会一致を以て可決すべきものと
決定した次第であります。
これを以て
報告を終ります。