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内村参議院在外同胞引揚問題に関する
特別委員長 未
復員者給與法の一部を改正する
法律案の発議者の一人であります参議院の在外同胞引揚
特別委員会の
委員会の
委員長内村でございます。ただいま議題となりました未
復員者給與法の一部を改正する
法律案につきまして
簡單に御
説明いたします。
未
復員者給與法は、未復員者を対象といたしまして必要なる給與を行い得ますように、昭和二十二年の十二月に制定公布せられたものでございます。その後主として経済
事情の変化に応ずるために、六回の改正を経て現在に及んだのでございます。この六回の改正のうちに、五回は参議院がイニシアチーブをとりまして、議員提案の
法律案として
提出いたしまして、成立公布せられました経緯を有する法律でございます。今回また前例の
通り、本院から議員
提出の
法律案といたしまして
提出いたした次第でございます。
未
復員者給與法の制定いたしますところによりますれば、未復員者に対する俸給、その扶養親族に対する扶養手当、引揚げ時における必要な旅費、遺骨埋葬費、遺骨の引取費、復員した患者に対する療養費、以上の大種類の給與を行うように
なつておるのであります。在外同胞引揚問題に関する
特別委員会におきましては、第八国会及びその後の休会中における審議並びに
実施調査によりまして得ました結果、今回の改正におきましては未復員春の俸給、遺骨埋葬費及び遺骨引取
経費の三点につきまして、未
復員者給與法を改正して、現在の事態に即応するようにいずれも増額することが最も緊要、適切であるとの結論に到達いたしまして、本改正
法律案を
提出するに至
つたのであります。
改正の第一点でありますが、未復員者の俸給は、現行法におきまして月額わずかに三百円と
なつておるのでありまして終戰後五箇年を海外に過しつつあります未復員者に対する俸給といたしましては、まことに問題にならぬ少額であります。一般公務員と完全に同一税するわけには参らぬといたしましても、六千三百円ベースからさらに今回増額せられようとしておりますときにおきまして、この俸給と比較いたしましたならば、実に雲泥の相違と申さねばならないのであります。かような観点から、財源等も勘案いたしまして、本改正案の
通りに月額千円ということにいたしたのであります。
次に遺骨埋葬費は現在一柱について千五百円と
なつておるのでありまして、これは俗に申します葬式代でありますが、千五百円では、いかなる僻地におきましても、とうてい葬儀を営む費用を償うわけには参りません。このために遺族の中には、あえて遺骨の引取りをも行わないという
向きもあるというような
実情にありますので、これを三千円に改めたいというのが改昭案の
趣旨であります。なお遺族が遺骨を引取るための旅費といたしまして、現行は千七百円と相
なつておりますが、これを二千二百円に改正しようといたしますことは、先般行われました公務員の出張旅費規定の改正と、その
趣旨を同一にいたしておるのであります。
今回の改正は以上の三点にきるのでありますが、私
どもはこれをも
つて十分なりといたすものではありません。さらに十一月の二十八日にも、全国の留守家族の代表者約三十名が、在外同胞引揚問題に関する
特別委員会に陳情のため参られまして、いろいろと
事情をお聞きいたしたのでございますが、朝鮮動乱及びこれに伴います引揚げの困難が、なかんずく中共地区におきましては、すでに引揚げの準備を終つた残留者が、各種の
事情のために引揚げをはばまれております現状が、留守家族としていよいよ憂慮を深めつつあるばかりでなくて、その上経済的にもまつたく行き詰ま
つております
実情が、全
委員の胸を強く打
つたのであります。申し上げますまでもありませんが、今回の改正によりましても、留守家族などを十分に満足せしめ得るものでは決してありませんが、さきにも申しましたように、本改正案の裏づけとなりますところの財源の問題も考慮いたしまして、今回の改正では以上申し上げました
程度でやめなければならなかつたような次第でございます。この未
復員者給與法は元の軍人、軍属をその対象としておるのでありますが、本法の規定が改正せられますと、
特別未帰還者給與法の規定によりまして、中共地区などに残留いたしておりますところの一般邦人にも、自動的に均霑いたしますことを特につけ加えて申し上げたいと存じます。
未
復員者給與法及び
特別未帰還者給與法の
実施の面でございますが、本法の適用の対象やその他の点につきまして、必ずしも十分でないところもございますが、これらの点につきましては、さらに
特別委員会といたしまして努力を続けまして、これら法律の精神を
実施上に十分に生かしたいと存じておる次第でございます。
以上
簡單でありますが、未
復員者給與法の一部を改正する
法律案の
趣旨を
説明いたしたわけでございます。何とぞ御審議の上、御賛成のほどを要望いたします。
なおつけ加えて申し上げておきますが、この改正案を
提出いたすにあたりましては、ここにおいでであります衆議院の海外同胞引揚
特別委員会の若林
委員長とも種々打合せをいたしまして、前例によりまして参議院の方で
提出をしたということでございます。どうかその点もつけ加えて御願いしておきます。