○
小林(信)
委員 私は九月十日から十日間、
引揚者の
定着援護実態調査のために
中部、
近畿地方に派遣されましたので、この際
一行を代表しまして御
報告を申し上げます。
私
たちは三名の
委員でありましたが、事故がありまして、私と
堤先生がこれに当
つたのであります。われわれ
一行の班は
岐阜、
京都、兵庫の各県を順次
視察をしたのでありますが、あらかじめ
調査項目を一応各
府県に渡しておきましたので、
調査資料等がよく整
つておりまして、これを
調査し、さらにその
府県の案内してくれたところを
視察して来たのでありますが、私は各
府県を順次
調査順に申し上げまして、その
実情を
報告したいと思います。
まず
岐阜県の
引揚げ援護状況から申し上げますと、
本県は
一般引揚者数は三万八千八百、
復員者の方が五万八千二百でありまして、非常に数が多いのでありますが、
昭和二十四
年度から
引揚者の
住宅建設事業を開始して、本
年度も引続き
施行中でありますが、本年当初における
引揚者中、
住宅の非常に困
つている
方たちが千二百四十一世帶ありまして、人員にしますと四千二百九十六人でありますが、これが
対策としまして、本
年度引揚者住宅の割当百十戸を補
つておるような
状態でありまして、
岐阜県は非常に
住宅困窮者が多いのであります。
引揚者共同住宅の
施設もすでに五十箇所以上もあるのでありますが、これは大きなものを区画されまして、
平均七坪
程度のものが多か
つたのであります。これは各
地方において同様に見受けたのでありますが、
屋根かわら等が非常に破損しまして、これを修理するのに
屋根に上れないというような
状況のものがたくさんあ
つたのであります。ことに私
たちが
視察しました中で最も悲惨に感ぜられたのは第十
厚生寮でありまして、この中を
視察しまして非常に悲惨な
状況に
出会つたのであります。一家全部が
結核患者に
なつてしまいまして病院に收容されておる。それが順次他に蔓延しておるというような
状況を見たのであります。さらに流産が非常に多い。これは
用水等の
関係も非常にあるのでありますが、
ちようど堤先生が一緒においでだ
つたので、ことに婦人の
方たちが
堤先生に泣いて嘆願してお
つた事実を私目撃して参りました。こういうことを放置しておくことは非常に問題だと思うのでありますが、
岐阜県当局におきましては、
地方財政の
困窮しておる中にもいろいろと苦労しまして、この積極的な
援護に当
つておるのでありますが、これ以上何とかしなければならぬという点は、やはり政府の
責任としてしなければならぬのじやないかということが痛感されたのであります。ことにこれはこの寮に限らず、あらゆるところで目撃したのでありますが、
施設の不備の点からして、
火災の問題が非常に危險な
状態に置かれてあるのでありますが、
裸一貫で帰られまして、ようやく
生活し得る
程度のいろいろなものができておりますが、これが一旦
火災に見舞われたらすべてが烏有に帰して、再び
裸一貫になるのではないかという点を考えますと、
集団住宅の問題に対しては、今後大きな問題が残されておるように感じて参りました。
それから
集団入植者の問題でありますが、
岐阜県におきましては、
入植地五十六箇所、
入植戸数は千四百四十戸中
引揚者は三百九十八戸に達し、七七・七%に当り、
開拓面積は八千八百七十五
町歩中本年度中に二千十四
町歩売渡しを
計画しており、その
営農状況にも見るべきものがあるようですが、この
人たちの満州において、あるいは
引揚げの途中におきまして
困窮されたその結果として、この
人たちの力だけによりましてやつと
生活が維持できる
程度のものでありまして、これに対してはいよいよ積極的な
援護が必要に見受けられました。ことに
ジエーン台風によりまして
相当の被害があ
つたのでありますが、これなども
相当考慮する必要があると思います。
次に
住宅金融金庫の
利用状況でありますが、現在三十二箇町村に指定されておりますが、
引揚者の
利用というものは皆無であります。その
理由としましては、
頭金の必要というようなことは非常に障害に
なつておるように見受けられます。さらに
更生資金の
貸付状況を見まするに、創業以来現在まで、
引揚者その他
生活困窮者に対しまして四千件、七千余名、
金額にしますと三千八百余万円の
貸付を実施して、
借受者のために
生業の道を開きつつあるのでありますが、最近の
情勢と、第一、第二次の
貸付が簡易過ぎた
理由によりまして、貸金の
資金の
償還延滯が非常に見受けられておりまして、これに対しては非常に
計画指導に当
つて困難しておるようでありますが、現在第六次の
貸付でその
目標額というものは二百七十万円でありましたが、いよいよこの
貸付の増額ということが必要に
なつて来るように感じて参りました。
次に
岐阜県の
引揚者の
職業紹介状況についてでありますが、各
公共職業安定所が
市町村引揚者関係団体その他
関係方面と随時密接な
連絡のもとに、帰着した
引揚者の
状況を把握しまして、また
安定所の存在とその機能を周知せしめるとともに、これに対して積極的に努力しておるのでありますが、現在までにそのあつせんしたものは非常に微々たるものであります。この点について私
たちは
懇談会を持
つたのでありますが、その際にもその
人たちからまず
職業を與えろ、これが切望されているのでありまして、これもまた
相当重大な問題だと考えられるのであります。
引揚者に対する
農地返還状況につきましては、
海外引揚者として、
農地調整法第九條第三項の規定による
土地引上げの
許可申請を提出したものは皆無であります。
買收関係で、
引揚げを
理由として
農地の
買收取消しを要求したものはわずか六件であります。
応急家財特別配給物資等につきましては、二十四
年度配給分が、
引揚げ一般邦人三百五世帶に対して
配給済みは二百十六であります。そのおもなるものは、原反綿布、
かま等でありました。
岐阜県におきまして要望された
事項を申し上げますと、
引揚げ予算の本
年度残額を分與してもらいたい。それから
育英資金の使途を
引揚者に優先的にしてもらいたい。それから
引揚者住宅を
引揚者が店舗に流用したものがあるのでありますが、これを
経済安定本部が
調査に参りまして、これはその資格なしというようなことで、
本県が困
つてお
つたのであります。ここら辺に厚生省、建設省、あるいは
経済安定本部というような幾つもの
機関が、
一つの問題に対しまして、それぞれの立場から
関係するところの問題というものを見て参
つたのでありますが、
引揚者が
引揚者住宅をつく
つてもらうときに、それが自分の
生業に間に合うようにつくるというようなことは、これはむりないところでありまして、
県当局としましても、この点を認めてもらいたいものであるということを強調しておりました。
それから次に
京都府の
状況を申し上げますと、
住宅関係の
状況につきましては、
京都府の
引揚者の
大半は、応急
援護的に二十一箇所の
收容施設に八百六十一世帶、三千五百四名を收容いたしておりますが、これらの
施設も腐朽が非常にはなはだしいのでありまして、今後
長年月の居住に適せない
状況であります。その都度補強、
補修工事等を加えて、毎年大体四百万円ないし五百万円を支出して、辛うじて
現状を維持しておる
状態であります。特に
京都府は非
戰災都市でありますので、他
府県からの
転入者が多く、
住宅不足は非常に多いのであります。ことに
生活の基礎を持たぬ
引揚者は、いろいろ
住宅に
困窮しておりまして、各
施設の
利用者が殺倒する
実情であります。本
年度の
計画としまして、
府営住宅を——これは
個人住宅でありますが百戸、
集団施設を一寮設置しております。
寮管理の行き届いているのは、私
たちが非常に喜ばしく
思つたのでありますが、特に高野川、三
條等においてはなかなか感心したものがありました。しかしまた同じ府におきまして、東舞鶴の
白鳥寮等は、これと反対に非常に
管理が乱雑であ
つたというようなことも見受けて参りました。
なお
住宅金融金庫の
引揚者の
利用状況といたしましては、全体の五%に当
つております。申込み
金額の
平均が二十万八千円、約十五坪の
木造建築を
希望しておりました。
岐阜県におきましてこの
利用が絶無であ
つたのに対しまして、
京都府がたといわずかでもあ
つたということは、
京都府において
頭金を
融資の形においてと
つてお
つたことが、
利用しておる原因であります。これは
京都府が
援護に対して非常に熱心であ
つたという点を感心したのでありますが、何かこういうようなものを特別に考慮しなければ、
せつかくの
住宅金融金庫も、この
人たちには
利用できないということがこれからわかるのであります。
次に
開拓及び
入植状況につきましては、本府の
入植定着戸数は、本年六月末で三百五十八戸、
うち引揚者は九十八戸に達し、約二七%に当
つております。その大
部分は満
洲引揚げの大体
農業を営んでおられた方でありまして、その開墾、営農
成績はきわめて良好であります。おもなる
開拓地区は原谷ほか三箇地区で、二十一年から二十四年の間に
入植しております。
引揚げ当時の労苦を征服しまして、その精神力をも
つて最低
生活から雄々しく立ち上
つておるのでありますが、
現下の経済
事情と
開拓地の立地
條件によ
つて、多数の者が
生活保護法の適用を受けておる
状態であります。今後適切な
援護が必要であります。九月三日の
ジエーン台風によりまして、原谷並びに碇両地区が多大の損害をこうむ
つております。これはことにそこに強力な風が吹いたために、大
部分が倒壊の
状態であります。従
つて家畜等が散逸しまして——ただいま鶏を飼育して、その卵によ
つて現金收入を辛うじて講じてお
つたのが、その鶏等が全部散逸してしま
つて、目下のところ非常に
生活に
困窮しておる
状態を見受けて参りました。
それから更生貸金の
運用状況につきましては、最近のデフレ傾向の進行に伴いまして、ますますその需要度を高めております。これが
貸付の万全を期しておりますが、
貸付金額は申込み額のわずか三五%にすぎない
状態であります。その
貸付に苦慮している
状態ですが、なるべく連帶
貸付よりも個人
貸付によりまして、一人でも多く
利用せしめておりますが、とうてい年間
貸付目標額のみではまかない切れないので、
償還元金の確保に全力を盡しているようです。
京都府の特色としましては、
更生資金の運営
委員会制度が私
たちに特に見受けられたのでありますが、現在
貸付事業の育成
指導をはかりまして、特に十万円以上の
貸付運用方針決定等の審議に、不断の努力をいたしておるのであります。その
一つとしまして、借受
事業体で真に更生目的を達し、
償還成績優秀なものには、これを表影して行くというふうな制度をと
つておりましたが、
簡單な制度でありますが、非常に有効であるように見受けて参りました。
生業資金の
利用状況でありますが、大体月
平均一千万円の
貸付を行
つておりますが、需要がやはり旺盛で、申込み
金額に対しまして、
貸付金額の比率はわずかに三四%であります。ますます増加する傾向が多々見受けられました。
京都府は非戰災の都市でありますので、設備
資金よりも
運転資金の方が多く活用されておりました。
民生安定
生業資金の
貸付状況でありますが、
資金二千万円、この
資金は
京都府下に居住する
引揚者、遺族であ
つて、働く能力があり、かつ具体的な
事業計画を有するもので、自立して
生業につき、
生活再建の道を切り開こうとする者に一世帶二万円以内で
資金の
貸付を行うのでありますが、本
資金の
貸付が開始せられるや、
引揚者にとりましては再生の決意を新たにした模様で、一大期待を持たれております。
就職あつせんの
状況は、
京都府にありましては、
公共職業安定所と緊密な
連絡を保ちまして、強力に
対策を遂行するとともに、各
市町村におきましても、
民生委員等を督励しまして、縁故
就職を依頼し、また広く同胞愛に訴えまして啓蒙宣伝に努めました。
雇用主に対しましても、
引揚者の特殊な
事情を
説明し、
協力を求めております。また一方労働部あるいは
安定所、大
雇用主等の
懇談会を開きまして趣旨徹底に努め、現在
就職率は七九%に及んでおります。大
部分は日雇い人夫でありまして、
職業安定法の第三條によりまして、
引揚者を優先紹介するということはいたしておりません。安定
機関の積極的なあつせんによりまして、紹介に努力中でありました。
農地返還の
状況でありますが、
昭和二十二
年度から現在までに返還申請のあ
つたものは約六十五件、内返還を許可したものは二十件、府の処置に対しまして問題を起したものは皆無であります。
その他
援護状況といたしまして、教育上
中共地区よりの
引揚者学生
生活に対しまして、その
状況に応じ授業料の減免を実施し、
援護の実際化をいたすべく、よく教育
委員会等とも
連絡をいたしまして、
対策を講じております。
府税の減免。
引揚者、戰災者等に対しましては、府税の減免に関する條例を制定しまして実施中で、新しい
地方税法か出ました後も、同様引続いて
措置をとるということを言
つておりました。
引揚者に対する慰問及び
留守家族の実態
調査等を行い、再起に対する相談を受ける等、時宜に適した
援護の方策を立てつつあるのであります。また多大な推進力として、各地区婦人会の
協力のもとに愛の運動を実施しております。特にその特別な例を申し上げますと、
留守家族等を全部集めまして、これに対していろいろ慰めたり、あるいは相談に応ずるというようなときに、
旅費を府で全部支給するというようなことは、この点について府が最も強力に
援護されている実体だ、こう考えて参りました。
それから兵庫県に参りますが、
住宅援護の
状況は、
住宅困窮事情がやはり深刻でありまして、今なお壕舎あるいは仮小屋、こういうところに住居する者、学校等の公共建造物に仮住する者、あるいは隔離病舎に仮住する者、あるいは国立病院、神社、仏閣の庫裡、こういうところに居住する者が合計八百三十四世帶ありました。その他仮
住宅にありまして立ちのきを要求されて困
つた状態にある
方たちが、千百三十四世帶あるということを私
たち聞いて参りました。従
つて引揚者住宅の新設が要望されておるのでありますが、既存の
住宅中には終戰後の応急のものが多いのでありまして、この市の修理を大々的に要するような
状況からしまして、まことに県としましては
困窮している様子でありました。やはり
補修費等が
京都府と同じように大体年々五、六百万円を要しているようであります。しかも現在工業方面の隆盛からしまして、日発という会社が、今まで工員の宿舎があいておりましたので、これを
引揚者の
住宅として貸與してお
つたのでありますが、最近の
情勢からしまして会社の工員を寄宿させなければならぬという点から、大体ここに二百七十四世帶住ま
つておるのでありますが、これの立ちのき場所を県としまして考慮しなければならぬ
状態で、政府にもこれを要求しておるということを聞きましたが、その場合
援護庁の御返答は、
予算措置等は非常に困難である、もし補正
予算が出ましたならば、その方からまわすという回答であ
つたが、ぜひ補正
予算の中からこういう財源を捻出していただきたい、こういうことを強く要望されました。なお新設の分はもう少し総数をふやしていただきたいということを要望されて参りました。
特に県立の長尾寮を私
たちはつぶさに
視察して参
つたのでありますが、この長尾寮は他
府県に見るのと反しまして、非常に自治制が強調されておりまして、自治的に寮の運営がなされておりまして、非常に私
たち感心して参
つたのであります。ちよつとその概観を申し上げますと、
施設は元大阪の陸軍獸医資材支廠のあ
つた跡で、敷地が九万四千坪にもわたる広大なる地域であります。大小建造物は三十九棟ありまして、授産工場七棟を持
つております。在寮者は二百七十八世帶、一千十六名に及んでおります。内
引揚者は二百二十八世帶、八百二十八名であります。県営移管後、社会
事業総合
施設とな
つたのでありまして、理解ある寮長のもとで、再建に、積極的
援護に邁進しております。
生活保護法による該当者としましては、総計二百二十八世帶のうちで、
生活扶助費を支給する者が四十九、医薬費全額扶助の者が七十二、医療費一部を負担する者が九十、居宅を提供されるものが十七世帶というふうに、この二百二十八世帶というものが区分されております。
保護するかたわら、みずから自力で更生するという角度から内容が構成されておりまして、その実践綱領としましても、なるべく自分で居宅を見つけるとか、あるいはその周囲に散在します空地を
利用しまして、一坪でも農園をつくれとか、授産場の設立並びにその
利用等、やはりお互いが
協力し合う、こういうことが掲げてありまして、寮長が私
たちに自慢して見せたのでありますが、どこの
府県におきましても、あそこにある授産場のようなものは見受けなか
つたのでありまして、なかなかりつぱにできておりました。それから特に自慢したのは医療
施設であります。自力によりまして、
相当内容の完備したものを持
つております。しかし内容を私
たちが検討しますと、そこに働く医師とかあるいは看護婦等の給料等は、きわめてわずかなものでありまして、辛うじてこういう
人たちの犠牲によ
つてこれがなしとげられつつある
状態でありまして、やはり私
たちは何とかこれに対しまして、政府に考慮していただきたいものがあ
つたのであります。
開拓入植につきましては、
開拓入植地のおもなるものは、広野
開拓農業協同組合外五箇所でありまして、
入植戸数は合計二百十三戸であります。
営農資金の
貸付状況も
資金難を訴えております。営農
状態も五反ないし一町歩
程度で、家畜頭数等は十分でなく、副業としましてかわらをつくるとか、あるいは製粉、製麺、製油、製材等を行
つておりますが、概して都会地に近接しておらないところが多いので、なかなかうまく行
つておらぬようです。ことに電燈すらないという
入植地もありまして、
相当この点は考慮しなければならぬ
状態にあります。
それから
住宅金融公庫の
利用状況でありますが、
利用数といたしましては東京、大阪についで第三位に全国的にあるそうです。その申込みは指定金融
機関で取扱
つておりまして、收入一万五千円見当の申込みを該当者としますが、
頭金の調達、あるいは
土地の取得困難のため、
引揚者の
利用はきわめてわずかと思われます。また
貸付予定者に対する設計、審査、申請の基準が嚴格過ぎるというようなことが非常に遺憾であるということが叫ばれております。
さらに
更生資金運用状況につきましては、
本県の
引揚者に対する
更生資金貸付件数は本年三月末で五千八十八件、人員にしますと一万六千六百余名でありますが、
貸付金額が八千八百四十余万円、
償還率が八一・四%で業種別の
貸付対象は商工業が
大半を占めておりました。
生業資金の
利用状況を申し上げますと、
引揚者の
利用は小口
貸付でありますが、約二割であります。立上り
資金でなくて、やはり
運転資金としての
利用状況が多いのでありますが、その
條件を嚴選するために
回收は非常にいいという見解でした。
民生安定
資金運営の
状況でありますが、兵庫県の場合は運営基本要綱に基きまして一口五十万円、特別の場合は百万円まで
融資しております。
それから前の
更生資金の
運用状況の中で特に申し上げなければならぬ点は、兵庫県はこれを
貸付いたしますのに特別な制度を設まして、なかなか公平を期しておりますこれは御質問等があれば
説明いたしますが、非常に各
府県ともこういう点が考慮されておるのでありますが、特に兵庫県には見るものがあ
つたわけであります。
兵庫県の
就職状況でありますが、最近兵庫県は御承知のように朝鮮事変を契機といたしまして、いろいろな工業が大分発達して参
つておるようであります。従
つてそういうものに失業者が吸收されまして、ただいまのところ失業者が少く、やはり
引揚者並びに
復員者等におきましても、そうした
人たちが少い
状況で、
あまり心配はいらないということを
関係者から申されました。
農地返還の
状況でありますが、やはり各
府県と同じように
あまり問題はなか
つたようであります。なお
岐阜県におきまして
引揚げ援護関係者によります
懇談会を開いてもら
つたのでありますが、参会者からきわめて活発な
意見を申されまして、私
たち非常に得るところがあ
つたのでありますが、ことに
就職の問題につきましてはなかなか切実なものを持
つてお
つたようであります。
最後に私
たちの
調査しました
結論としてここに申し上げたいことがありますが、ソ連並びに
中共地区に今なおたくさんの同胞がおるという
現状にかんがみまして、加えて現在の国際
情勢が微妙な
現状にありますときに、いよいよ私
たちは自重してこの時局に処さなければならなぬということを各
留守家族の
方たち、
引揚者の
方たちも申されてお
つたのでありますが、今回国連総会を期して全国一齊に
引揚者の大会を持とうというような
計画があ
つたのに対しまして、また再び中止の指令が出て来た、もちろんその中止の原因というようなものについてはつきりしたものを知らしてもらいたいということを私
たち、何らこの
情勢を知らなくて出発したものでありましたが、強要されたこともあります。もし今後こういう中止ということが当然なされるならば、あらかじめそういう点を十分考慮して、
計画したけれども中止したというようなことで問題を起さないように考慮してもらいたいということを、私
たちは直接の
責任者ではありませんが、この点強く
当局にも申してもらいたいということを言われて参りました。
結局私
たちはこの
調査の概括といたしまして、ただいま
簡單に申し上げたのでありますが、
結論的にはやはり
住宅問題が私
たちの一番関心を持
つた問題でありまして、
集団住宅はすべて緊急に
施設されたものであ
つて、ために腐朽が著しく、危險な
状態にある。それから
施設が不備のために
火災の危險がある。衞生上非常に不適当でありまして、ために先ほど私が申しましたように
結核患者が出るとか、あるいは流産をすることが多いというようなことが顯著に見られるのでありまして、この
集団住宅の問題はただちにこれを改造するか、あるいは完全な修理をするかというふうな問題にさしあた
つておるのでありますが、一般の要望するところでは、今のものを修理するよりも、やはり先ほど
九州班が申されましたように二戸建てくらいの
住宅をつく
つて、これに收容してもらいたい。同じような
結論であります。それから
個人住宅をつくる場合は、やはりこれは坪数等
相当考慮してもらいたい。現在の坪数ではどうしようもない。最近の
情勢から見まして、すべて
住宅という問題は昔のように家主があ
つて、家主がつく
つてこれを貸してくれるというようなことは、現在の
情勢からとうてい望めないのでありまして、どうしても国家的にこの問題は解決して行かなければならぬ
状況にあることからしまして、單なる
引揚者あるいは
復員者に対する
住宅というようなことでなく、もつと大きな
住宅政策の問題から検討してもらいたい。現在
地方が二割を負担しまして
個人住宅をつく
つておりますが、この
地方の
状況を聞いてみますと、二割というものは二十年くらいでこれを
回收するよりな形で家賃をと
つておりますが、今のところ各
府県がその家賃をすべて修理の方にまわしまして、修理費がこの家賃からまかなえるならばけつこうである。ところがこれは新設されたのでありますが、現在もうすでにいろいろな風水害等によりまして、家賃によ
つて修理費はまかない切れないという
状態であります。従
つて修理費等も
相当政府で考慮してほしいということを申されて参りました。それからこういう問題はすべて厚生省一本でや
つてもらいたい。他の省等が
関係しますと仕事がうまく行かない、運営がうまく行かない。だからなるべく今後のこの問題は厚生省一本でや
つていただきたいということを、これは各
府県の
当局の
方たちはもちろん、需要者といたしましても切望しておりました。
金融問題のことは、
せつかくこういう
人たちを
対象にして制度が設けられたのでありますが、とかくいろいろな
條件が附帶しますので、直にこの
人たちに
利用されておらないという点が私
たちの痛感した点でありまして、もつとこの
人たちに
利用できる制度、
運用というものを考慮してほしい。
〔
委員長退席、受用
委員長代理着席〕
それから最近の
状況からしまして、
回收の問題があるのであります。この
回收を円滑にしない限り、やはりいろいろな
融資が得られぬのでありまして、そのために各
府県とも大わらわに
なつてこの
回收に努めておるのでありますが、非常な費用がかかるのであります。こういう
資金を
地方に分與する場合に、そういう費用の分も
相当考慮しなければ円滑なる運転がつかないということを自認して参りました。
以上
簡單でありますが、私の見たところをきわめて
簡單に申しまして、もし私の
説明で足りないところは、
堤先生がおられるので、
堤先生に
説明していただくことにいたします。