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1950-10-03 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月三日(火曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 足立 篤郎君 理事 受田 新吉君    理事 竹村奈良一君       伊藤 郷一君    小川 平二君       門脇勝太郎君    近藤 鶴代君       庄司 一郎君    細田 榮藏君       天野  久君    小林 信一君       岡  良一君    堤 ツルヨ君       深澤 義守君  委員外出席者         主  計  官 岩動 道行君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      磯田 好祐君         厚生事務官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君 十月三日  委員苅田アサノ君辞任につき、その補欠として  深澤義守君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員調査報告に関する件  未復員者給與に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。初めに去る九月五日より十日間九州地方に、九月十日より十日間東北地方並びに中部近畿地方引揚者定着援護実態調査のため派遣いたしました委員より、現地視察報告を聽取いたすことといたします。まず九州地方視察いたしました受田委員より報告を聽取いたしたいと思います。
  3. 受田新吉

    受田委員 私は自由党の池見君、民主党の坂口君とともに九州中国地方調査に当つたのであります。ここに簡單で要を盡さないかもしれませんけれども、その調査経過について三名の派遣委員を代表いたしまして、御報告を申し上げます。  まず第一に、調査日程の概要を申し上げますと、九月五日東京を出発し、翌六日佐賀県庁におきまして調査日程の打合せ、その他の調査事項につきまして説明を聽取し、九月七日三田川開拓団県営引揚住宅協楽園小城厚生寮県営引揚者住宅松濤寮現地調査、九月八日福岡県庁において説明を聽取し、県議事堂において九州各県の留守家族代表者会議出席後、引揚者住宅竹の山住宅及び梅光園を視察いたしました。さらに翌九日同胞救出国民運動九州ブロツク会議出席して後に、引揚者住宅筑紫寮及び二日市の天拜寮視察をしたのであります。翌十日、山口県庁において説明聽取後、秋吉台の開拓地視察し、十一日引揚住宅山口県の光住宅視察し、十二日に小松の厚生会館視察いたしまして、十四日帰京いたしたのであります。以下調査項目の各般につきまして、問題と思われます点につき簡單に御報告いたしたいと思います。  まず引揚者集団收容所施設及び引揚者住宅建設補修につき御報告をいたします。引揚者の大多数にとりまして、衣食住いずれといたしまして不自由でないものはありません。絶対的不足状況にあつて、いつまでも好転の見込みがないものは住宅であります。今回視察の各県は、いずれも戰災によつて相当数住宅を失い、あまつさえ地理的関係によつて海外引揚者が非常に多いため、住宅不足ははなはだしく、ことに生活の基盤を持たない多数の引揚者は、真に無からの出発であり、住居のないために生計の方途を立て得ないで困窮に陷つておる者が大多数でありましてこのことは必然的に生活の不安定を来し、社会悪の源泉ともなつておるのであります。本委員会といたしましても考慮の必要ありと思われるのでありまするが、最も早急に具体策を講ずる必要のあるものは、応急転用住宅の問題であります。旧兵舎、倉庫等を応急的に間仕切りいたしまして、仮の宿舎に充てた分が、当初は三年から五年くらいの耐久見込みでつくられたのでありますが、引続き利用され、その状況はまことに悲惨であります。たとえば佐賀県唐津の松濤寮のごときはすでに床が腐朽しておる。崩壊のおそれもあり、その上天井板がなく、隣が丸見えの状況で盗難のおそれもありますし、家を明けられぬという状況でありまして、福岡県二日市の天拜寮のごときは、もと養蚕の倉庫を改造した四階建の住宅でありまするが、天井が非常に低く、頭がつかえるほどで、出入口は一つというありさまで、火災になれば救出方法がないという状況であります。すでに請願は本院を通つておりますが、山口県の大津の援護館なども非常に悲惨な状況にあるのであります。これら転用住宅に対しましては、補修費は幾らつぎ込んでもむだでありまして、なるべくすみやかな機会に、二戸建程度更生住宅に分散する態勢をとることが必要であり、これに対する援助方の要望があつたのでありますが、本委員会といたしましても、一考を要するものと考える次第であります。  次に開拓及び入植状況であります。九州地方におきましては、開拓は割合に順調に進んでおるようでありまするが、やつとよくなりかけたところで不況に見舞われまして、各県下における引揚者開拓農民諸君意見も、漸次農業技術が向上し、土地も肥えて来て、農業生産も高まつて来た今日、あと一歩で着実な経営の見込みがつきつつある現状であるから、営農資金その他の融資を今しばらく継続してほしいという意見であつたのであります。いわゆる営農資金貸付期間入植後三年間でありますので、二十一年度以前の分はことしから融資打切りなつておるのでありまするが、これはひとつこの際委員会として何らかの措置を講ずる必要があると考えるのであります。  終戰後五年を経た今日、新たに開拓入植ということは、実際上言うべくして行われぬことでありまして、現在はむしろすでに開拓した部分についての保護育成をはかるという必要が痛感されるとの意見が強かつたのであります。  なお本件に関しまして、開拓に関する中央の力の入れ方が、ある時は強く、ある時にはあまり力を入れぬというような状態で、それが地方には敏感に響き、開拓に影響するところが甚大であるから、大きく一本の政策で推進してくれるようにとの意見もあつたことを報告いたしておきます。  次に更生資金運用状況でありますが、これは貸付後の経済界の急激な変動、あるいは運転資金不足等の悪條件のため、事業に失敗して全然償還見込みが立たなかつたりして、その回收状況は全国的にあまり芳ばしくないことは皆さん御承知の通りでありますが、福岡山口などは五、六十パーセントの回收率をあげ、優秀な成績をあげております。回收率の悪い佐賀県におきましては、全国に先がけて回收事務を県が直接取扱うことにして、償還について万全の策をとつているような状況でありまして、最近は大分回收状況がよくなりつつあるということであります。ことに二十四年度以降は、償還元金貸付資金に回転運用することになつておりますので、その成績いかんは、今後の運用に影響するものとして、全国的に注視されておる状況であります。  その他本件に関連する事業として、各県独自で行つている事業といたしまして、福岡山口県におきましては、特に引揚者対象とするというのではありませんが、未亡人等に対する対策として、一定額生業資金貸付技術講習、資材の購入、製品の販売、あつせん等県側において積極的に育成指導して、その生活の安定に努力している例がありますが、これはかなり成功しているようでありまして、未亡人等がいつまでも国の保護のみにたよるというような状態から脱皮して、精神的にも真に自立更生する方途として、いろいろ参考になる点が少くなかつたことを、この際御報告いたしておきます。  なお佐賀県におきましては、二十五年度からではありますが、百五十万円の予算引揚者就業支度金を交付して、引揚者自立更生援助となしております。  次に就職相談、あつせん及び就職状況について申し上げます。昨年六月以降、ソ連引揚げの人々の就職状況につきましては、上陸当時の状態などからいたしまして思想的な関係でことさらに不当に就職を拒否されているような事例はないかという点につきましては、われわれの非常に関心を持つた点でありましたが、このような点につきましては、各県ともその対策に非常に熱意をもつて当り、福岡県のごときは、引揚げ列車に係官を同乘せしめて引揚げ状況調査を行い、また県内職業安定機関周知宣伝ビラ配付等を行い、また職業安定所では、市町村引揚者団体等連絡をとり、案内状を提供し、それに各公共職業安定所一覧表を添付するなどして周知宣伝し、また職業相談に際しては、国内事情にうとい引揚者のために、特に労働市場の労務の需給状況、現在の労働條件等説明する等により、現下国内情勢を的確に認識させ、特に職業事情について納得、理解させて安心感を與えることに努めたのであります。一方引揚者は、引揚げ船中または上陸後における集団的行動等により、不利な先入感を與えるような偏向が見受けられ、この結果求人者の中には、引揚者雇用をできるだけ差控えている向きもありましたので、このような求人者に対しては、公共職業安定所就職させた実例等を話し、十分納得に努めた結果、七二%の就職收め就職後にも補導を実施しているので、その懇切な指導に対しては感謝された事例がたくさんあるとのことでありまして、現在は引揚者の方も一応落ちつき、特別に引揚者対象とした職業紹介は行つていない現状であります。山口県においても、引揚者外観的思想傾向と、社会一般人の多少の忌避の念により種々の隘路があつたようでありますが、雇用主側の理解の徹底をはかるとともに、就職促進のため、未就業引揚者雇用主側を集め、雇用促進協議会県下五箇所において実施し、また職業安定所及び民生委員並びに各団体に対し、就業促進協力するよう種々努力の結果、八二%のきわめて優秀なる成績收めている現状であります。  最後に未復員者、特別未帰還者給與法改正の件について御報告いたします。本件につきまして、現行の給與が、現下経済情勢に対しあまりにもふつり合いなものとして、その改正希望する意見は各県とも強かつたのでありますが、われわれとして従来の交渉の経過等説明いたしまして、その改正について努力することを約束しておいたのであります。改正希望の要点といたしましては、一、俸給の三百円を公務員の給與ベース並引上げ、三千円程度とする、一、特別未帰還者にも遺骨引取旅費を支給すること、一、帰郷旅費を増額すること、一、遺骨埋葬経費を増額すること等でありますが、これに関連いたしまして、過誤拂金の返納を免除するような立法的措置を講じてもらいたいということ、未復員者給與法施行前、公務、傷病、恩給その地の賜金として一時金を給された者をも、療養費の支給できるようにしてもらいたいという問題があります。  前者の過誤拂金というのは、福岡県の例をとりますと、大部分終戰当時復員業務の混雑している時代に、復員済みの者と未復員の者との調査が不明確の際、積極的に留守宅渡金を送金したために、後日になつて復員済みの者に対して送金していたことが判明して、過誤拂いとなつているのでありまして、これを生ぜしめたその責任大半官庁側にあるのであります。またそのうちには郵送中紛失したもの等もあり、郵便局における支拂い状況は、五年経過の今日では、調査不能等の事柄もあるようでありまして、文書の督促ではほとんど問題にならず、職員を派遣して多額旅費使つても、一回限りで必ずしも回收見込みも立たず、かえつて回收業務に要する費用の方が多額を要する状態でありまして、この際ある程度の未回收金は免除するようにしてもらいたいということであります。  他にも同様な意見があつたのでありまして、この点につきましては、なお関係当局より事情を聽取した上で、適当な措置をとることが必要であると考えられるのであります。  後者の療養費の件でありますが、これは給與法施行前、恩給請求をすれば国鉄無料入院費無料ということで、恩給請求をして恩給を受領したが、そのときには恩給法は変更し、恩給受領者は未復員者給與法を適用されず、入院費有料で自弁となつてしまつたというような事例でありまして、これはその例が多くあるのであります。  このような点につきましても、関係当局より事情を聽取の上、しかるべき措置をとる必要が痛感されるのであります。なお佐賀及び福岡県におきまして、留守家族代表者の方々の会合出席いたし、いろいろ質疑応答をかわす機会を得たのでありますが、これはきわめて有意義でありました。福岡においては、九州の各県の代表者会合でありました関係で、各県とも引揚同胞特別委員視察希望する意向が強かつたのでありますが、日程関係で割愛いたしたのであります。この会合を通じて感じられたことは、目下各県下において行われつつある海外同胞救出国民運動留守家族団体との協力体制でありまして、今までせつかく苦心してやつて来た留守家族団体が、国民運動に切りかえられると同時に、その主体性が県当局の方にとられるというような感情的な対立感が感ぜられたことであります。これにつきましては、われわれといたしましては、せつかくその緒につきつつある国民運動でありますので、各県当局善処方希望いたしておいたのであります。  また福岡におきまして、中共引揚者高戸英一君及び古野惣太郎君より引揚げ状況を聞いたのでありますが、中共よりの引揚げにつきましては、その実現は必ずしも不可能でなく、その方法に関する具体策委員会としては樹立することが必要と思われますので、後日証人として出頭を求めた際は、御協力を願うようお願いして帰つた次第であります。  以上簡單視察の結果について御報告申し上げたのでありまするが、なお諸般の事項に関しまして関係当局より事情を聞いた上、委員会として適当な措置を講ずるように希望をいたしてやまないのであります。
  4. 堤ツルヨ

    堤委員 議事進行について……。われわれ調査に行つて参りまして、きようは報告委員会ということになつておりまするが、私たち旅費使つて出張して参りまして委員会報告いたしますからには、いつものように田辺さんだけそこにすわつてもらつたのでは、実は何ら効を奏さないと失礼ながら私は思うのであります。だから委員長といたしましては、もう少し関係大臣などを呼んでいただいてこの報告を聞かせる必要もある。おそらくこの速記録を各関係大臣がお読みになるようなことはないだろうと私は思います。でありますから一生懸命になつておりますわれわれ委員が、お互いにこれを報告合つただけでは結局片がつかないということは、地方に対してまことに相済まないと存じます。  私は厚生大臣であるとか、大蔵省の関係人たちであるとかをなぜお呼び願えなかつたかということをふしぎに思うのでありまして、今からでもおそくはないから、呼べるだけ呼んでいただきたいということを委員長にお願いする次第であります。
  5. 若林義孝

    若林委員長 堤委員の御趣旨ごもつともなのであります。私たちとしましては、お出かけ願える範囲内において出かけてもらいたいという希望は申し述べておいたのでありますが、なおこの御報告に基いて、本委員会として結論を出すことになつておるだろうと思うのであります。その結論を出すのにはまたいろいろと質疑を試みて行く必要があると思うのでありますが、そのときにはぜひ関係方たちに出ていただいて質疑を試みたい、こういうように思つております。次に小林君。
  6. 小林信一

    小林(信)委員 私は九月十日から十日間、引揚者定着援護実態調査のために中部近畿地方に派遣されましたので、この際一行を代表しまして御報告を申し上げます。  私たちは三名の委員でありましたが、事故がありまして、私と堤先生がこれに当つたのであります。われわれ一行の班は岐阜京都、兵庫の各県を順次視察をしたのでありますが、あらかじめ調査項目を一応各府県に渡しておきましたので、調査資料等がよく整つておりまして、これを調査し、さらにその府県の案内してくれたところを視察して来たのでありますが、私は各府県を順次調査順に申し上げまして、その実情報告したいと思います。  まず岐阜県の引揚げ援護状況から申し上げますと、本県一般引揚者数は三万八千八百、復員者の方が五万八千二百でありまして、非常に数が多いのでありますが、昭和二十四年度から引揚者住宅建設事業を開始して、本年度も引続き施行中でありますが、本年当初における引揚者中、住宅の非常に困つている方たちが千二百四十一世帶ありまして、人員にしますと四千二百九十六人でありますが、これが対策としまして、本年度引揚者住宅の割当百十戸を補つておるような状態でありまして、岐阜県は非常に住宅困窮者が多いのであります。引揚者共同住宅施設もすでに五十箇所以上もあるのでありますが、これは大きなものを区画されまして、平均七坪程度のものが多かつたのであります。これは各地方において同様に見受けたのでありますが、屋根かわら等が非常に破損しまして、これを修理するのに屋根に上れないというような状況のものがたくさんあつたのであります。ことに私たち視察しました中で最も悲惨に感ぜられたのは第十厚生寮でありまして、この中を視察しまして非常に悲惨な状況出会つたのであります。一家全部が結核患者なつてしまいまして病院に收容されておる。それが順次他に蔓延しておるというような状況を見たのであります。さらに流産が非常に多い。これは用水等関係も非常にあるのでありますが、ちようど堤先生が一緒においでだつたので、ことに婦人の方たち堤先生に泣いて嘆願しておつた事実を私目撃して参りました。こういうことを放置しておくことは非常に問題だと思うのでありますが、岐阜県当局におきましては、地方財政困窮しておる中にもいろいろと苦労しまして、この積極的な援護に当つておるのでありますが、これ以上何とかしなければならぬという点は、やはり政府の責任としてしなければならぬのじやないかということが痛感されたのであります。ことにこれはこの寮に限らず、あらゆるところで目撃したのでありますが、施設の不備の点からして、火災の問題が非常に危險な状態に置かれてあるのでありますが、裸一貫で帰られまして、ようやく生活し得る程度のいろいろなものができておりますが、これが一旦火災に見舞われたらすべてが烏有に帰して、再び裸一貫になるのではないかという点を考えますと、集団住宅の問題に対しては、今後大きな問題が残されておるように感じて参りました。  それから集団入植者の問題でありますが、岐阜県におきましては、入植地五十六箇所、入植戸数は千四百四十戸中引揚者は三百九十八戸に達し、七七・七%に当り、開拓面積は八千八百七十五町歩中本年度中に二千十四町歩売渡し計画しており、その営農状況にも見るべきものがあるようですが、この人たちの満州において、あるいは引揚げの途中におきまして困窮されたその結果として、この人たちの力だけによりましてやつと生活が維持できる程度のものでありまして、これに対してはいよいよ積極的な援護が必要に見受けられました。ことにジエーン台風によりまして相当の被害があつたのでありますが、これなども相当考慮する必要があると思います。  次に住宅金融金庫利用状況でありますが、現在三十二箇町村に指定されておりますが、引揚者利用というものは皆無であります。その理由としましては、頭金の必要というようなことは非常に障害になつておるように見受けられます。さらに更生資金貸付状況を見まするに、創業以来現在まで、引揚者その他生活困窮者に対しまして四千件、七千余名、金額にしますと三千八百余万円の貸付を実施して、借受者のために生業の道を開きつつあるのでありますが、最近の情勢と、第一、第二次の貸付が簡易過ぎた理由によりまして、貸金の資金償還延滯が非常に見受けられておりまして、これに対しては非常に計画指導に当つて困難しておるようでありますが、現在第六次の貸付でその目標額というものは二百七十万円でありましたが、いよいよこの貸付の増額ということが必要になつて来るように感じて参りました。  次に岐阜県の引揚者職業紹介状況についてでありますが、各公共職業安定所市町村引揚者関係団体その他関係方面と随時密接な連絡のもとに、帰着した引揚者状況を把握しまして、また安定所の存在とその機能を周知せしめるとともに、これに対して積極的に努力しておるのでありますが、現在までにそのあつせんしたものは非常に微々たるものであります。この点について私たち懇談会を持つたのでありますが、その際にもその人たちからまず職業を與えろ、これが切望されているのでありまして、これもまた相当重大な問題だと考えられるのであります。  引揚者に対する農地返還状況につきましては、海外引揚者として、農地調整法第九條第三項の規定による土地引上げ許可申請を提出したものは皆無であります。買收関係で、引揚げ理由として農地買收取消しを要求したものはわずか六件であります。  応急家財特別配給物資等につきましては、二十四年度配給分が、引揚げ一般邦人三百五世帶に対して配給済みは二百十六であります。そのおもなるものは、原反綿布、かま等でありました。  岐阜県におきまして要望された事項を申し上げますと、引揚げ予算の本年度残額を分與してもらいたい。それから育英資金の使途を引揚者に優先的にしてもらいたい。それから引揚者住宅引揚者が店舗に流用したものがあるのでありますが、これを経済安定本部調査に参りまして、これはその資格なしというようなことで、本県が困つてつたのであります。ここら辺に厚生省、建設省、あるいは経済安定本部というような幾つもの機関が、一つの問題に対しまして、それぞれの立場から関係するところの問題というものを見て参つたのでありますが、引揚者引揚者住宅をつくつてもらうときに、それが自分の生業に間に合うようにつくるというようなことは、これはむりないところでありまして、県当局としましても、この点を認めてもらいたいものであるということを強調しておりました。  それから次に京都府の状況を申し上げますと、住宅関係状況につきましては、京都府の引揚者大半は、応急援護的に二十一箇所の收容施設に八百六十一世帶、三千五百四名を收容いたしておりますが、これらの施設も腐朽が非常にはなはだしいのでありまして、今後長年月の居住に適せない状況であります。その都度補強、補修工事等を加えて、毎年大体四百万円ないし五百万円を支出して、辛うじて現状を維持しておる状態であります。特に京都府は非戰災都市でありますので、他府県からの転入者が多く、住宅不足は非常に多いのであります。ことに生活の基礎を持たぬ引揚者は、いろいろ住宅困窮しておりまして、各施設利用者が殺倒する実情であります。本年度計画としまして、府営住宅を——これは個人住宅でありますが百戸、集団施設を一寮設置しております。寮管理の行き届いているのは、私たちが非常に喜ばしく思つたのでありますが、特に高野川、三條等においてはなかなか感心したものがありました。しかしまた同じ府におきまして、東舞鶴の白鳥寮等は、これと反対に非常に管理が乱雑であつたというようなことも見受けて参りました。  なお住宅金融金庫引揚者利用状況といたしましては、全体の五%に当つております。申込み金額平均が二十万八千円、約十五坪の木造建築希望しておりました。岐阜県におきましてこの利用が絶無であつたのに対しまして、京都府がたといわずかでもあつたということは、京都府において頭金融資の形においてとつてつたことが、利用しておる原因であります。これは京都府が援護に対して非常に熱心であつたという点を感心したのでありますが、何かこういうようなものを特別に考慮しなければ、せつかく住宅金融金庫も、この人たちには利用できないということがこれからわかるのであります。  次に開拓及び入植状況につきましては、本府の入植定着戸数は、本年六月末で三百五十八戸、うち引揚者は九十八戸に達し、約二七%に当つております。その大部分は満洲引揚げの大体農業を営んでおられた方でありまして、その開墾、営農成績はきわめて良好であります。おもなる開拓地区は原谷ほか三箇地区で、二十一年から二十四年の間に入植しております。引揚げ当時の労苦を征服しまして、その精神力をもつて最低生活から雄々しく立ち上つておるのでありますが、現下の経済事情開拓地の立地條件によつて、多数の者が生活保護法の適用を受けておる状態であります。今後適切な援護が必要であります。九月三日のジエーン台風によりまして、原谷並びに碇両地区が多大の損害をこうむつております。これはことにそこに強力な風が吹いたために、大部分が倒壊の状態であります。従つて家畜等が散逸しまして——ただいま鶏を飼育して、その卵によつて現金收入を辛うじて講じておつたのが、その鶏等が全部散逸してしまつて、目下のところ非常に生活困窮しておる状態を見受けて参りました。  それから更生貸金の運用状況につきましては、最近のデフレ傾向の進行に伴いまして、ますますその需要度を高めております。これが貸付の万全を期しておりますが、貸付金額は申込み額のわずか三五%にすぎない状態であります。その貸付に苦慮している状態ですが、なるべく連帶貸付よりも個人貸付によりまして、一人でも多く利用せしめておりますが、とうてい年間貸付目標額のみではまかない切れないので、償還元金の確保に全力を盡しているようです。京都府の特色としましては、更生資金の運営委員会制度が私たちに特に見受けられたのでありますが、現在貸付事業の育成指導をはかりまして、特に十万円以上の貸付運用方針決定等の審議に、不断の努力をいたしておるのであります。その一つとしまして、借受事業体で真に更生目的を達し、償還成績優秀なものには、これを表影して行くというふうな制度をとつておりましたが、簡單な制度でありますが、非常に有効であるように見受けて参りました。  生業資金利用状況でありますが、大体月平均一千万円の貸付を行つておりますが、需要がやはり旺盛で、申込み金額に対しまして、貸付金額の比率はわずかに三四%であります。ますます増加する傾向が多々見受けられました。京都府は非戰災の都市でありますので、設備資金よりも運転資金の方が多く活用されておりました。  民生安定生業資金貸付状況でありますが、資金二千万円、この資金京都府下に居住する引揚者、遺族であつて、働く能力があり、かつ具体的な事業計画を有するもので、自立して生業につき、生活再建の道を切り開こうとする者に一世帶二万円以内で資金貸付を行うのでありますが、本資金貸付が開始せられるや、引揚者にとりましては再生の決意を新たにした模様で、一大期待を持たれております。  就職あつせんの状況は、京都府にありましては、公共職業安定所と緊密な連絡を保ちまして、強力に対策を遂行するとともに、各市町村におきましても、民生委員等を督励しまして、縁故就職を依頼し、また広く同胞愛に訴えまして啓蒙宣伝に努めました。雇用主に対しましても、引揚者の特殊な事情説明し、協力を求めております。また一方労働部あるいは安定所、大雇用主等の懇談会を開きまして趣旨徹底に努め、現在就職率は七九%に及んでおります。大部分は日雇い人夫でありまして、職業安定法の第三條によりまして、引揚者を優先紹介するということはいたしておりません。安定機関の積極的なあつせんによりまして、紹介に努力中でありました。  農地返還の状況でありますが、昭和二十二年度から現在までに返還申請のあつたものは約六十五件、内返還を許可したものは二十件、府の処置に対しまして問題を起したものは皆無であります。  その他援護状況といたしまして、教育上中共地区よりの引揚者学生生活に対しまして、その状況に応じ授業料の減免を実施し、援護の実際化をいたすべく、よく教育委員会等とも連絡をいたしまして、対策を講じております。  府税の減免。引揚者、戰災者等に対しましては、府税の減免に関する條例を制定しまして実施中で、新しい地方税法か出ました後も、同様引続いて措置をとるということを言つておりました。引揚者に対する慰問及び留守家族の実態調査等を行い、再起に対する相談を受ける等、時宜に適した援護の方策を立てつつあるのであります。また多大な推進力として、各地区婦人会の協力のもとに愛の運動を実施しております。特にその特別な例を申し上げますと、留守家族等を全部集めまして、これに対していろいろ慰めたり、あるいは相談に応ずるというようなときに、旅費を府で全部支給するというようなことは、この点について府が最も強力に援護されている実体だ、こう考えて参りました。  それから兵庫県に参りますが、住宅援護状況は、住宅困窮事情がやはり深刻でありまして、今なお壕舎あるいは仮小屋、こういうところに住居する者、学校等の公共建造物に仮住する者、あるいは隔離病舎に仮住する者、あるいは国立病院、神社、仏閣の庫裡、こういうところに居住する者が合計八百三十四世帶ありました。その他仮住宅にありまして立ちのきを要求されて困つた状態にある方たちが、千百三十四世帶あるということを私たち聞いて参りました。従つて引揚者住宅の新設が要望されておるのでありますが、既存の住宅中には終戰後の応急のものが多いのでありまして、この市の修理を大々的に要するような状況からしまして、まことに県としましては困窮している様子でありました。やはり補修費等が京都府と同じように大体年々五、六百万円を要しているようであります。しかも現在工業方面の隆盛からしまして、日発という会社が、今まで工員の宿舎があいておりましたので、これを引揚者住宅として貸與しておつたのでありますが、最近の情勢からしまして会社の工員を寄宿させなければならぬという点から、大体ここに二百七十四世帶住まつておるのでありますが、これの立ちのき場所を県としまして考慮しなければならぬ状態で、政府にもこれを要求しておるということを聞きましたが、その場合援護庁の御返答は、予算措置等は非常に困難である、もし補正予算が出ましたならば、その方からまわすという回答であつたが、ぜひ補正予算の中からこういう財源を捻出していただきたい、こういうことを強く要望されました。なお新設の分はもう少し総数をふやしていただきたいということを要望されて参りました。  特に県立の長尾寮を私たちはつぶさに視察して参つたのでありますが、この長尾寮は他府県に見るのと反しまして、非常に自治制が強調されておりまして、自治的に寮の運営がなされておりまして、非常に私たち感心して参つたのであります。ちよつとその概観を申し上げますと、施設は元大阪の陸軍獸医資材支廠のあつた跡で、敷地が九万四千坪にもわたる広大なる地域であります。大小建造物は三十九棟ありまして、授産工場七棟を持つております。在寮者は二百七十八世帶、一千十六名に及んでおります。内引揚者は二百二十八世帶、八百二十八名であります。県営移管後、社会事業総合施設となつたのでありまして、理解ある寮長のもとで、再建に、積極的援護に邁進しております。生活保護法による該当者としましては、総計二百二十八世帶のうちで、生活扶助費を支給する者が四十九、医薬費全額扶助の者が七十二、医療費一部を負担する者が九十、居宅を提供されるものが十七世帶というふうに、この二百二十八世帶というものが区分されております。保護するかたわら、みずから自力で更生するという角度から内容が構成されておりまして、その実践綱領としましても、なるべく自分で居宅を見つけるとか、あるいはその周囲に散在します空地を利用しまして、一坪でも農園をつくれとか、授産場の設立並びにその利用等、やはりお互いが協力し合う、こういうことが掲げてありまして、寮長が私たちに自慢して見せたのでありますが、どこの府県におきましても、あそこにある授産場のようなものは見受けなかつたのでありまして、なかなかりつぱにできておりました。それから特に自慢したのは医療施設であります。自力によりまして、相当内容の完備したものを持つております。しかし内容を私たちが検討しますと、そこに働く医師とかあるいは看護婦等の給料等は、きわめてわずかなものでありまして、辛うじてこういう人たちの犠牲によつてこれがなしとげられつつある状態でありまして、やはり私たちは何とかこれに対しまして、政府に考慮していただきたいものがあつたのであります。  開拓入植につきましては、開拓入植地のおもなるものは、広野開拓農業協同組合外五箇所でありまして、入植戸数は合計二百十三戸であります。営農資金貸付状況資金難を訴えております。営農状態も五反ないし一町歩程度で、家畜頭数等は十分でなく、副業としましてかわらをつくるとか、あるいは製粉、製麺、製油、製材等を行つておりますが、概して都会地に近接しておらないところが多いので、なかなかうまく行つておらぬようです。ことに電燈すらないという入植地もありまして、相当この点は考慮しなければならぬ状態にあります。  それから住宅金融公庫の利用状況でありますが、利用数といたしましては東京、大阪についで第三位に全国的にあるそうです。その申込みは指定金融機関で取扱つておりまして、收入一万五千円見当の申込みを該当者としますが、頭金の調達、あるいは土地の取得困難のため、引揚者利用はきわめてわずかと思われます。また貸付予定者に対する設計、審査、申請の基準が嚴格過ぎるというようなことが非常に遺憾であるということが叫ばれております。  さらに更生資金運用状況につきましては、本県引揚者に対する更生資金貸付件数は本年三月末で五千八十八件、人員にしますと一万六千六百余名でありますが、貸付金額が八千八百四十余万円、償還率が八一・四%で業種別の貸付対象は商工業が大半を占めておりました。  生業資金利用状況を申し上げますと、引揚者利用は小口貸付でありますが、約二割であります。立上り資金でなくて、やはり運転資金としての利用状況が多いのでありますが、その條件を嚴選するために回收は非常にいいという見解でした。  民生安定資金運営の状況でありますが、兵庫県の場合は運営基本要綱に基きまして一口五十万円、特別の場合は百万円まで融資しております。  それから前の更生資金運用状況の中で特に申し上げなければならぬ点は、兵庫県はこれを貸付いたしますのに特別な制度を設まして、なかなか公平を期しておりますこれは御質問等があれば説明いたしますが、非常に各府県ともこういう点が考慮されておるのでありますが、特に兵庫県には見るものがあつたわけであります。  兵庫県の就職状況でありますが、最近兵庫県は御承知のように朝鮮事変を契機といたしまして、いろいろな工業が大分発達して参つておるようであります。従つてそういうものに失業者が吸收されまして、ただいまのところ失業者が少く、やはり引揚者並びに復員者等におきましても、そうした人たちが少い状況で、あまり心配はいらないということを関係者から申されました。  農地返還の状況でありますが、やはり各府県と同じようにあまり問題はなかつたようであります。なお岐阜県におきまして引揚げ援護関係者によります懇談会を開いてもらつたのでありますが、参会者からきわめて活発な意見を申されまして、私たち非常に得るところがあつたのでありますが、ことに就職の問題につきましてはなかなか切実なものを持つてつたようであります。  最後に私たち調査しました結論としてここに申し上げたいことがありますが、ソ連並びに中共地区に今なおたくさんの同胞がおるという現状にかんがみまして、加えて現在の国際情勢が微妙な現状にありますときに、いよいよ私たちは自重してこの時局に処さなければならなぬということを各留守家族方たち引揚者方たちも申されておつたのでありますが、今回国連総会を期して全国一齊に引揚者の大会を持とうというような計画があつたのに対しまして、また再び中止の指令が出て来た、もちろんその中止の原因というようなものについてはつきりしたものを知らしてもらいたいということを私たち、何らこの情勢を知らなくて出発したものでありましたが、強要されたこともあります。もし今後こういう中止ということが当然なされるならば、あらかじめそういう点を十分考慮して、計画したけれども中止したというようなことで問題を起さないように考慮してもらいたいということを、私たちは直接の責任者ではありませんが、この点強く当局にも申してもらいたいということを言われて参りました。  結局私たちはこの調査の概括といたしまして、ただいま簡單に申し上げたのでありますが、結論的にはやはり住宅問題が私たちの一番関心を持つた問題でありまして、集団住宅はすべて緊急に施設されたものであつて、ために腐朽が著しく、危險な状態にある。それから施設が不備のために火災の危險がある。衞生上非常に不適当でありまして、ために先ほど私が申しましたように結核患者が出るとか、あるいは流産をすることが多いというようなことが顯著に見られるのでありまして、この集団住宅の問題はただちにこれを改造するか、あるいは完全な修理をするかというふうな問題にさしあたつておるのでありますが、一般の要望するところでは、今のものを修理するよりも、やはり先ほど九州班が申されましたように二戸建てくらいの住宅をつくつて、これに收容してもらいたい。同じような結論であります。それから個人住宅をつくる場合は、やはりこれは坪数等相当考慮してもらいたい。現在の坪数ではどうしようもない。最近の情勢から見まして、すべて住宅という問題は昔のように家主があつて、家主がつくつてこれを貸してくれるというようなことは、現在の情勢からとうてい望めないのでありまして、どうしても国家的にこの問題は解決して行かなければならぬ状況にあることからしまして、單なる引揚者あるいは復員者に対する住宅というようなことでなく、もつと大きな住宅政策の問題から検討してもらいたい。現在地方が二割を負担しまして個人住宅をつくつておりますが、この地方状況を聞いてみますと、二割というものは二十年くらいでこれを回收するよりな形で家賃をとつておりますが、今のところ各府県がその家賃をすべて修理の方にまわしまして、修理費がこの家賃からまかなえるならばけつこうである。ところがこれは新設されたのでありますが、現在もうすでにいろいろな風水害等によりまして、家賃によつて修理費はまかない切れないという状態であります。従つて修理費等も相当政府で考慮してほしいということを申されて参りました。それからこういう問題はすべて厚生省一本でやつてもらいたい。他の省等が関係しますと仕事がうまく行かない、運営がうまく行かない。だからなるべく今後のこの問題は厚生省一本でやつていただきたいということを、これは各府県当局方たちはもちろん、需要者といたしましても切望しておりました。  金融問題のことは、せつかくこういう人たち対象にして制度が設けられたのでありますが、とかくいろいろな條件が附帶しますので、直にこの人たち利用されておらないという点が私たちの痛感した点でありまして、もつとこの人たち利用できる制度、運用というものを考慮してほしい。     〔委員長退席、受用委員長代理着席〕 それから最近の状況からしまして、回收の問題があるのであります。この回收を円滑にしない限り、やはりいろいろな融資が得られぬのでありまして、そのために各府県とも大わらわになつてこの回收に努めておるのでありますが、非常な費用がかかるのであります。こういう資金地方に分與する場合に、そういう費用の分も相当考慮しなければ円滑なる運転がつかないということを自認して参りました。  以上簡單でありますが、私の見たところをきわめて簡單に申しまして、もし私の説明で足りないところは、堤先生がおられるので、堤先生説明していただくことにいたします。
  7. 堤ツルヨ

    堤委員 相当時間もかかつたようでございますし、ただいまの小林委員の御説明で大体満たされておるのでございますが、特に九州班、東北班に比べまして、近畿班はかわつた状態にございましたので、この点を特に説明申し上げておきたいと存じます。それはジーエン台風の災害復旧の件でございます。時あたかも中央からは政府を初め、国会からこのジエーン台風視察にあらゆる省を通じてお見えになつておつたのでございますが、特に引揚者に対するところの住宅の災害は、その土台がおそまつであつただけに、他の住宅よりも大きな被害をこうむけまして、一番大きな痛手のようでございます。おそらくこれは他の班にはない問題でございますので、特に一貫した住宅問題の上において、特に災害復旧の意味において、近畿のジエーン台風の災害復旧費の予算を組まれる見地から、特にこの委員会においてお願いを申し上げておきたいと存じます。  なお私が視察して参りまして各府県で感じましたことは、特に婦人の立場からこの引揚げ住宅の改造をしなければならないということを痛切に感じたのでございます。たとえば子女を教育いたしますところの教育の見地から、また小さな子供の育兒の見地から、青少年不良防止の見地から、この雑居しておりますところの引揚者住宅のあり方が非常に悪影響を及ぼしまして、教養あるところのお母さん方は、私などに泣きついて、これを要望しておるのでございます。九州班並びに小林委員から御報告のございました通り、でき得るならば二戸建ぐらいな孤立したものにこれを順次救つて行きまして、もつと困つた人たちをこの中に收容し、順番に、ところてんのように押し出して行つて、そうして今後何箇年間の計画でもつて解決しなければならない問題であるということを、特に教育の見地から感じて来たものでございます。なお同じく衣食住をあずかりますところの主婦の明け暮れの見地から、特にこの住宅の中で考えさせられましたのは水の問題でございます。たとえば結核患者のふえて行くこと、流産の多いこと、子供がすべて青い顔をしていることなどは、すべてこれは住宅不良の結果でございますが、特に水が不便でございまして、普通の都市生活者に比べまして、同じ神戸、京都に住んでおりましても、二倍、三倍の負担をしているという状態でございます。今日女性保護の見地から、女性解放の見地から、遠く引揚げて来た人たちが同じ水準をもつて今後女性が進歩して行かなければなりませんのに、こうした負担をいつまでも多くかけておくということは、将来子供の教育にも影響いたしますので、この点食住をあずかるところの主婦の立場からも強く要望しておりますので、特につけ加えておきたいと存じます。  なお私が特に感じましたのは近畿地区の観察をいたしまして、京都岐阜、兵庫と参つたのでございますが、これに漏れた府県の問題でございます。九州地区の受田委員からも御報告がございましたが、漏れた府県は非常に残念がつておりました。せめて見てもらえたらというところの切なる希望を持つておるようでございます。私は何とか後日手を打たれまして、国会の委員会を通じてでもよし、また援護庁の職員の方々でも参つて、つぶさに漏れた地区の視察を考えていただいて、やはりこの視察を終つた府県と同じように検討を加えていただかなければならないのではないかと思つておるのでございます。総じて視察した施設の中の人々であるとか、あるいはまた県庁のせわをなさつているところの方々の言葉を聞いてみますれば、中央からは見に来てくれるけれども、おえらい方方が見てくれても、案外何もしてくれないのがこの海外同胞引揚特別委員会であるというようなことを申しておりました。たとえば岐阜にありました第十厚生寮のごときは、自由党の小野瀬先生あたりはよしおれが引受けたといつてお帰りになつたが、一年たてども二年たてども何らしてもらえないということを申しておりました。視察するだけに終つてはならないのでありまして、この点特に私たちがこの報告を羅列するというのでなしに、新しい段階に入りました、定着援護、特に住宅就職、または資金の各府県の運営、国庫の補助などにつきましては、新しい段階に立ち至つてたちが検討を加えなければならないという結論がはつきりと出ておるのでございます。この点十分私たち協力いたしまして、この委員会も活躍いたしたいと存じますが、政府自体も、もう少し私は熱意をもつて引揚者の定着援護に総体的に見て熱心であらねばならないのではないかと思つているわけでございます。私は何もこの委員会で、自由党を攻撃いたそうとするものではありませんけれども、私たちが国会の休会中を利用いたしまして調査いたしましたものを報告いたしますきようの委員会に、野党はほとんど百パーセントに近い出席率を示しておるのでございますが、一番数多くおいでになるところの自由党の委員諸公が、今日休会中にもかかわらずお見えになつていないということは、自由党の諸君の熱意に対して遺憾を覚える者であります。私は委員長関係当局のおえらい方々の御出席議事進行にあたつて求めたのでございますが、たとえば委員長報告をするにあたりましての私たちに対する要求にいたしましても、近畿地区の報告は五分間で終れというようなことでありまして、私は五分間ぐらいで終れるものではないと思つて、実は委員長自体に対しても不服を感じておる次第でございます。一生懸命にやつておりますものがありましても、かんじんの絶対多数の二百八十六名をお持ちになつて、政府を握つてお離しにならないところの自由党が何らか手を打つてくださらなければ引揚者は救われないのでございます。私は引揚者の定着しておる人たちにかわつて、特にこのことをこの委員会で速記に残していただくように発言しておきたいと思います。
  8. 受田新吉

    受田委員長代理 堤君の要望については、十分委員会としても考慮して行きたい問題だと思います。なお本日菊池義郎君が都合によつて出席しておられませんので、東北地方調査報告の聽取は明日にいたすことにいたします。  なお本日ここに田邊引揚援護局長並びに大蔵省の主計局給與課長が出席しておられますので、これについて御意見なり御質疑のある方は御発言を願います。
  9. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 この機会に二つの問題につきまして政府当局に御質問申し上げたいと存じます。  第一は未復員者に対する給與の問題でございますが、現在月額三百円ずつ給與されておる、こう私どもは承知しておるのであります。月額三百円というこの給與額が、現在の社会情勢にかんがみまして非常に低額である、低過ぎる、賃金ベースから割出しましても、あらゆる角度から比較いたしましても、非常に低過ぎる。ことにこの未復員者を一家の生計の中心にしておるといつたような留守家族におきましては、非常にこれがために生活に難澁を来しておる。私ども関係者がしばしば陳情を受けます。現在この未復員者給與のほかに、家族手当等も支給されておるように聞いておりますが、家族手当等の額と比較しましても、いわば本給と申しますか、その支給額が低過ぎる。そこでまず第一番にお聞きしたいことは、現在これらの支給を受けておる人員、あるいは総給與額、あるいは総家族手当額と、また引揚げに関しまするところの総予算の、他との割振りがどうなつておりまするか。それらの詳細につきまして、まず政府当局の御所見をお伺いしたいと思います。
  10. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 お答えいたします。未復員者給與法によつて扶養手当の支給を受けております留守宅の総件数は、現在約三万世帶ございます。俸給は本人が帰つて来てから支給することを建前といたしておりますが、例外といたしまして、扶養手当を渡しておりまする家庭に対しましては、俸給の前渡しというのをやつております。本年度におきまする予算の総額は、扶養手当が約三億六千万円であります。
  11. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 非常に簡單な御答弁でありまして、どういつたような趣旨で、この月額三百円というものが割出されておるのか、その辺に対するところの気持というものが、御答弁の中にはつきり出ておらない。あらためてはつきりした御答弁をお伺いいたしまするが、現在月額三百円ずつ御支給になつておるということがいかにも低きに失する。ことにそれが留守家族生活の基本になつているというような向きは、その金額が低いために非常に難澁をいたしておる。そこでこの次に私は、これに対する増額の希望を述べるわけでありますが、その前提として、三百円というものがどういつた解釈で割出されたのかというようなことから、この基本額並びに家族手当の方がどういう比例になつておるか、またその引揚者援護に関する総予算のうちの割振りがどうなつておるのか。こういつたような全般的なことの内容をお伺いしたい。
  12. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 現在の未復員者給與法に規定しております俸給月額三百円という金額が、非常に低きに失しておるという御質問はごもつともでございます。実は三百円という給與は、昭和二十二年に末復員者給與法が制定されましたとき、百円となつておりました。それを昨年の暮れにいろいろ物価事情等を考慮しまして三百円に増額された。こういう事情で現在に至つておるのであります。百円にきめました事情は、当時のいろいろのことを聞いてみますと、別段根拠があつてきめたものではないようであります。主として財政上の理由から百円ということに一律にきめられてしまつた。こういう実情にあるわけであります。この増額につきましては、どういう考え方でこの未復員者給與法による増額を考えて行くか、考え方について厚生省はどういうふうに考えるかという御質問を当委員会で受けまして、その後引揚同胞対策審議会においていろいろ審議をいたしております。先ほども受田委員の御報告であつたかと思いますが、少くとも政府職員の最低給の給與は出すべきではないかというような御議論が圧倒的にあるわけでありますが、これに対しましては、この金額を未復員者平均年齢に直してみますと、おおむね三千円程度になるわけであります。     〔受田委員長代理退席、委員長着席〕 三千円という給與が妥当ではないかという主張が非帶にあるわけでありますが、ただ俸給の中で本人の生活費に要する分は、ある程度引くべきではないか。本人は外地にあつて生活をしておりますから、その中から本人の生活費は引くべきではないかという議論も出まして、その引いた金額が何ほどになるかという議論もしておるわけであります。これにつきましては、できるだけ今日の実際に即するように、みんながある程度納得のできるような金額引上げたいということで、しきりと努力はいたしておりますが、目下財政当局ともいろいろ折衝いたしておるような次第でございます。  それから未復員者給與法に要します金額は、二十五年度においては、総額が三十億ということになつております。厚生省全体の引揚援護関係の経費が全体で五十億ちよつとでございますので、大半が未復員者給與法給與ということになるわけであります。
  13. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 ただいまの答弁の中で語尾の方がはつきりわかりかねたのでありますが、月額三百円は、今日の社会情勢から考えてどうも問題にならぬほど安いのじやないかと思うのです。先ほど申しますように、留守家族で、この未復員者生活の中心体であるといつたような場合は、その人の收入がその一家の生活を支える收入の大部分になるわけなんです。そういう点から考えて、その大部分であるところの中心收入が月額三百円で放置されておるということは、非常に大きな社会問題だと考えます。官公吏の給與ベースの標準から考えても、ただいま三千円ぐらいには該当するというようなお話であつたのであります。それから本人の生活費を引くと言いましても、本人の生活が何も好んで外地にあるわけではなくて、こういう事情のもとにやむを得ず未引揚げ復員というような状況にあるのでありますから、これは一つの社会正義と言いますか、そういつたような観念から割り出しましても、むしろ官公吏の給與ベースの平均より以上にこういう非常に同情すべき立場の人に支給すべき筋合いのものであると考えるのでありますが、それらの人は現在遠く外地にあつて、そういう問題について本人が直接そういう叫びをなし得ないという立場にあるのでありますから、よけいに同情して手厚くすべきであると考えます。ただいまもお話を伺いますと、直接この支給額が三億六千万円である。しかし引揚げ援護に関する総額が五十億であつて、しかも五十億のうち三十億が引揚げに関する直接の援護費である。そういう総額から割振りを考えても、わずかにその支給額が三億六千万円であるということは、ちよつと私納得できぬのでありますが、もつと基本的に相当政府が考えておられるべきであると思うのであります。今一段とこれらに関しますところの政府の明快なる御所見を伺いたいのであります。
  14. 若林義孝

    若林委員長 ただいま門脇君からの御発言は、過般来当委員会におきまして議題とし、論議して参りました未復員者給與引上げに関する問題でありまして、当特別委員会といたしましても早急結論を出すべき時期に到達しておると思うのであります。予算関係もありますので、至急にこの結論を皆様方によつて御決定を願いたいと思うのであります。今日給與引上げの必要なことは当局の答弁によりましても、また委員各位の熱意、また留守家族その他の要望によりましてもはつきりいたしておるのであります。ただ問題はその金額をどのへんで決定するかということが問題だと思うのであります。さらに本日はそういう関係で大蔵省の岩動主計官、磯田給與課長も見えておられまして、まず事務的の意見その他が相当この両者から伺えると思うのでありまして、金額の問題になるものでありますから、政府当局からも懇談会の席上でとの申入れがあるのでありますが、本委員会を散会しましたあと、懇談会を開いてこの点を聽取することにいたしたいと思うのでありますが、御異議ありませんか。
  15. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 私はどうも最近この委員会出席しておりませんでしたので、そういつたような事情があつたということを実は存じなかつたので、そういうことに関連なしに質問を始めたわけでありますが、せつかくそういつた問題がありますならば、私の意中もこの低い給與引上げたいということにほかならないのでありまして、そういう審議がなされるのであれば、私の発言を打切つて御賛成を申し上げます。  なおこの機会に別の質問がありますので、お伺いしたいと思います。それは過般の国連総会において、日本の未復員者引揚げ促進に関する提案が出席国から出ておりまして、われわれの立場として多大の関心を持つとともに、こういつた国連の提案が引揚げ促進に非常に好影響をもたらすゆえんを深く喜ぶ次第でありますが、こういう問題に対して、日本の現在の立場はもちろん降伏国としての立場ですから、正式な態度は表示されぬと思いますが、それにしても、政府としてはこういつた問題に直面してどういつた対策を考えておられるか、一応お伺いしたいと思います。
  16. 若林義孝

    若林委員長 これは外務省の所管になると思いますので、委員会に今の門脇君の御動議を諮つてみたいと思うのでありますが、政府の答弁はこの次にいたしますが、わが国の在外同胞の引揚げに関する問題が国際連合の総会に取上げられておるのであります。これに対して抑留同胞救出国民総運動本部というのが設けられまして、国際連合の総会に議題となる時期を期して、日本国内の輿論を喚起し、ひいてこれを国連に反映せしめて、感謝並びにその希望を強く国際連合に訴えるという趣旨から、この運動が起されたのでありまして、われわれもその一翼を背負つておるわけなのであります。当然この委員会もこの趣旨に従いまして、今日まで委員会としてはその行動はいたしませんでしたけれども、これに協力する態度で参つたのであります。ただいま門脇君がお話になつたのもその趣旨ではないかと思うのであります。過般来各委員のお心持を体しまして、特別この委員会の議題とはいたしませんでしたけれども、よりよいその意思をもつて交渉いたしておつたのでありますが、ただいま私がこの席をはずしましたのもこれに関連してなのでありまして、今明日中にその人選その他が決定を見るのではないかという機運になつております。本委員会の皆様方に門脇君の御発言を動機としてお諮りをいたしたいと思うのでありますが、本委員会として、司令部を通じ国際連合の総会へ傍聽の形で出席をし、日本の引揚げ状態についての説明をする機会を與えられ、なお国際連合へ出席各国の各委員に国内の事情を訴えて、今までの努力の感謝と、同時に将来への一層の協力を陳情するということを本委員会として御決定を願つて、それぞれ要請を試みたいと思うのでありますが、御異議ございませんでしようか——皆さんの自由なる御意見を伺うために一時速記をとめたいと思います。ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  17. 若林義孝

    若林委員長 それでは速記を始めて。ただいまの問題はあとから懇談会が行われますから、もう一度そのときに自由にお話を願い、御意見を伺うことにいたします。  では給與に関しまする議題に返るのでありますが、懇談会に移りまして議事を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。
  18. 小林信一

    小林(信)委員 私先ほど説明報告の場合に大事な問題でありまして、つけ加えなければならぬ問題であつたのでありますが、この問題はそれだけにせつかく政府当局の方もおいでになりますから、こういうことが要望されておつたという報告と同時に、これに対する政府の一応の御意見を承りたかつたので、最後に残しておつたのであります。  先ほど同僚委員から質問がありまして、一応この点で従来と同じような御返答でありますが、回答がありましたので、その点を避けまして、なお二、三地方視察して、地方方たちの切実な要望である点に対しましてこの際御返答を承りたいのであります。  まず第一は未復員者給與法に関する改正希望意見でありまして、この点すでに先ほど御意見がありましたから重複することは省いて御見解を承りたいのであります。その第一番は、未復員者又び特別未帰還者給與を現在の額よりも引上げてもらいたい、各地方々々によりまして額等についてはいろいろ差がありますが、とにかく増額することが要望されております。このことについては先ほど御意見がありました。  二番目といたしまして、俸給は扶養家族を有する者のみに前渡支給することなく、未復員者全員に前渡するよう規則を改正せられたい。これは規則の改正ですから私たち責任ですが、これに対して一応報告をいたしておきます。しかしその内容等につきまして可能かどうか御意見を承りたい。  それから三番目といたしまして死亡者の給與金、これは遺骨埋葬経費並びに遺骨引取り経費をいつておりますが、これを増額せられたい。やはり経費等もまちまちでありますが、とにかく現在の千五百円においてはまことに僅少であつて、何らその費用に充当し得ないという点であります。  それから別の問題でありまして、過誤拂金の処理について昭和二十三年度以前の分に対しましては、全面的に無條伴で債務を解消するよう考慮せられたい。これはやはり立法的な措置とすれば私たち責任でありますが、政府におきましても、これに対してどういうふうに考慮せられておるか御意見を承りたいと思います。  それから大きな三番目の問題といたしまして、勅令第六八号によります傷病恩給受給者にも未復員者給與法による災害給與を適用せられたい、こういうことが各地方から要望せられたのでありますが、一応これを報告すると同時に、以上の点で政府の見解を承りたいと思います。
  19. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 未復員者給與法による月額給與額が少額であるという御意見に対しましては、先ほど申した通り、厚生省でもそれが現在少し少額に失するという考えを持つております。その増額につきましてせつかく努力中でございます。  それから俸給の前渡しの問題についてでございますが、未復員者給與法によりますと、これは本人が帰還した際に一括して渡すことになつております。特別の事情があつた場合にそれを留守家族に前渡しすることができる、こういうふうになつております。現在のところ扶養手当の支給を受ける家族に対してだけ前渡しをいたしておるのであります。従いまして、これを全面的に帰還する以前において留守家族に対して全部渡すということになりまするためには、未復員者給與法そのものを改正する必要があるのではないか、かように考えられるのであります。せめて現在の未復員者給與法の扶養手当を受ける家庭の範囲だけに限定されずに、もう少し拡張したらよいのではないか、こういう御意見もありますので、その点につきましては事務的に目下研究中であります。  埋葬料が千五百円では少いではないかという御意見も先ほどの月額支給と同様でありまして、この点につきましても相当額増額したいということで、目下努力中であります。  過誤拂いの問題につきましては、これもやはり法律問題でございますので、将来法律を改正するかどうか、その点について十分研究をしてみたい、こう思います。
  20. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 議事進行に関連をしまして一言申し述べたいと思います。先ほど堤委員から自由党所属の委員がふまじめだ、こういう意味のきわめて端的に申しますれば不謹愼な発言があつた。欠席が多いからふまじめだ、こういう言葉を断定的に発言されるということは、むしろこれは不謹愼だと私は考えます。党席を異にいたしましても、同じ議員として同僚である以上、こういう発言をするということは、これは適当に委員長において処置をとられるべきであると考えます。委員長にあえて一考を求めます。
  21. 若林義孝

    若林委員長 ただいま門脇君からの発言でありますが、あいにく私その当時この席にいなかつたものでありますから、よく速記録を調べまして、議員の体面、その他愼重に取扱う気持をもちまして、堤委員の了解をも求め、処理いたしたいと思います。
  22. 小林信一

    小林(信)委員 私は両者が政党的に言いますと、社会党と自由党でありますが、私はそうでない立場から、この問題をそう事荒だてて検討しないように言いたいのであります。私堤委員と一緒に行きまして調査したときに、いろいろ女の方が女の議員をつかまえて要望することが、最低生活のきわめてこまかい問題について要望されるのです。その都度もう涙を流して要望しておるようなことがたまたまあつたわけです。そういう点を目撃しております私としましては、堤委員が、あらゆる問題がそうでありますが、そうした生活の内部的な問題にわたつて痛感しておるものをここで報告する。そして政府からもこの点について善処方を考慮していただきたい。従つて議員としましても、この際熱心にこの報告に対して十分なる検討をしていただきたい。こういう要望をするのは当然であると思います。そういうような心境にあつて今日の状況を見ると、やはりああした言が出ることも当然だと思うのであります。従つてこれは堤委員にしましても、言い過ぎたかもしれませんが、またそれを言われたからといつて、自由党の方たちがこれを不謹愼であると言うことも、またわれわれ第三者が見まして、いささかもの足りないものがあるわけです。この点今の委員におかれましても、一応私たちも了承いたしますが、あらためて委員長の何らかの措置を要望するということを一応取消していただきたいと思います。こう私は要望するものであります。
  23. 若林義孝

    若林委員長 先ほど私申しましたように、堤委員の了解を求めまして、一応御相談をして善処したいと思います。
  24. 深澤義守

    深澤委員 すでに昭和二十六年度予算も、大体政府としてはドツジ公使が参りますについて、それに対して提出する程度のものはまとまつておるのです。従つてこの未復員者並びに留守宅に対する対策についても、具体的にその予算案の中に織り込まれていると思う。これがこの問題に対する政府の熱意があるかないかを決定する最もいい証拠だと考えます。従つて大蔵省からもおいでになつておるようでありますから、昭和二十六年度における未復員者並びに留守宅に対する予算の問題はどうなつているかという点について、具体的な御説明を願いたいと思います。
  25. 岩動道行

    岩動説明員 二十六年度予算につきましては、ただいまのところ二十五年度と同様の基礎に基いて一応の案をつくつております。但し先ほどから問題になつておりますように、未復員者給與あるいは埋葬費あるいは遺骨引取り経費につきましては、その額を引上げたいという意向を政府側としても持つておりますので、さらにその経費が具体的にきまりますれば、追加分を二十六年度予算にも出したい、かように考えております。
  26. 深澤義守

    深澤委員 もつと詳しく私はお聞きしたいことがあります。大体未復員者給與に関しては人員は何人にしてどのくらいを計上しておるか。それから留守宅に対してはどういう給與を何世帶にやろうとしておるか、そういう点についての具体的な数字をお伺いしたいと思います。
  27. 岩動道行

    岩動説明員 まことに申訳ありませんが、ただいま手元に予算書を持つておりませんので、また別の機会にお答えいたします。
  28. 深澤義守

    深澤委員 現在未復員者の留守宅の窮状というものは、これは何人が見ても国家の責任において救済しなければならぬということは当然であります。従つて委員会がこれを問題にする場合に、やはり政府がきめております予算を検討し、そうしてそれに対して十分の予算を盛つてもらわなければ話にならぬと思う。従つてあしたもこの委員会が継続するそうでありますから、でき得べくんば明日までその資料を委員会に提出していただきまして、それを根拠として、委員会がこの点は増額してもらいたいということにならなければ問題が解決しないと私は思うのです。従つて明日までその資料を提出していただきたい、私はこう考えます。
  29. 岩動道行

    岩動説明員 ただいまいろいろ司令部の関係もありますので、その範囲で許される限りにおいて用意いたしたいと思います。
  30. 庄司一郎

    ○庄司委員 ただいま同僚の質問に対する政府委員の御答弁もありましたが、御答弁の際に、生活保護法によつて留守家族等に生活扶助を與えておる件数、そういう関係を明らかに御答弁願えればたいへん明白になることであると思うのです。未復員者家族の救護法による救護資金とか、あるいは給與額とかいうことの御答弁も、またたいへんわれわれ委員会においては参考になることでありますが、未復員者留守宅の家族の救護法あるいは生活保護法と対比して、現在の二つの法律によつて生活保護のために給與しておる金額を比較検討すれば、生活保護法によつて救護を受けている方は——たとえば五人家族の場合は、大都市は現行法では五千五百円ですが、中都市は五千円とか、農村は四千何百円でしたか忘れましたが、生活保護法実施以来もう何回も改正を行つておる。現在の支給金額と未復員者家族の救護法による救護資金というようなものを対照的に比較検討の上御発表いただけば、たいへんわれわれ委員会の参考になる。未復員者給與法によつてのみ、たとえば先ほどの三百円基準というようなお話ではまことに給與額が低いのでありまして、生活保護法によつて受けている人は比較的惠まれておる境遇であると思うのであります。そういうわけで、生活保護法を制定する場合に、本委員は該法案の特別委員長を務めた関係上、もつぱら生活困難者であるという項目に包含して、未復員者の家族、遺族等も救済して行くという立法の趣旨であつたのであります。その後本委員会の熱誠なる御要望等もあつて、未復員者留守家族の救護法という特別法ができ上つたのでありますが、本来は生活保護法によつて救護して行くという建前に日本の歴代政府の方針があり、またその筋のオーケーをとつた趣旨もそこにあつたものであることをよく私は承知しておりますので、ただ單に未復員者給與法の上から一日一人百円ではあまりに安いというような御議論だけではなく、生活保護法によく照して、二つの法律による救護の実際についての支給金額というようなものもよくお調べくださいまして、大蔵省の主計官におかれても御発表くだされば、われわれにも納得、了承ができるものであると思つております。これは御参考までに要望しておきます。
  31. 田邊繁雄

    ○田邊説明員 生活保護法は国民の最低生活保護するという見地から制定されておりますので、未復員者留守家族であつて生活が困難である者に対しては、もちろん保護があるわけであります。この未復員者給與法、特別未帰還者給與法というのは、法律の体系といたしましては、生活保護法とかそういうものと違つて援護を建前とした法律ではございません。援護を要する者も要しない者も、未復員者という身分によりまして一括して救護をしております。つまり給與でございます。従いまして生活保護法の適用を受けない者であつてもこれを出しますし、生活保護法の適用を受ける者は、無差別平等の原則から、收入のある者は生活保護法では引くという建前によつて生活保護法の支給金から留守宅手当分だけを引いておるわけであります。給與としていかほど出すのが適当かという問題でありますが、最低生活を保障するという点から申しますれば、お説の通り生活保護法というものがあるのであります。この限度を引上げて行くということが趣旨であります。かように考えております。
  32. 受田新吉

    受田委員 懇談に入るに先だつて、明日引続きこの委員会が続行されますならば、明日の委員会には、今回われわれが視察した関係方面、すなわち厚生省はもちろんのこと、建設省の住宅関係、労働省の職業関係、農林省の開拓関係、こういう方面の政府委員出席を求めて、この未復員者給與法の問題とあわせて残余の質問を続行することを希望しておきます。
  33. 若林義孝

    若林委員長 それではこれで本日の会を散会いたしまして、懇談会に移ることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか——御異議なければさよう決したいと思います。  本日はこれにて散会をいたします。     午後三時四十八分散会