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1949-09-16 第5回国会 参議院 文部委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十六日(木曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る一般調査の件(六・三制教育予  算、定員定額制問題並びに尾瀬沼の  保存に関する件)   —————————————
  2. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) これより開会いたします。予定の文部教育の方に関係したことは、大臣がお見えになつてから午後に廻したいと思つております。それで大藏省主計局岩動氏がお出でになつておりますので、予算及び税のことについて一つ御質問をお願いしたいと思います。
  3. 河野正夫

    河野正夫君 文部省の方から、今回の補正予算についていろいろ要求が出ておる、今折衝中であるということでありまするが、御承知のように、臨時國会に出される補正予算來年度予算の概要と睨み合わせで研究するとかということであります。そこで我々として大藏省説明を求めたいというのは、從來公共事業費としての六・三経費としても、或いは文部省一般予算にいたしましても、幾度か文部省最低限度要求というようなものも聞き、我々も又いろいろ要求もし、文部当局に部替編成を求めて、それがいよいよ大藏省に出て行きますると、教育等の実体は御承知ないのじやないかと思われるような削減に出会つた。もとよりドツジ予算のあの編成の仕方というようなものは格段なもので、いつの年をもこれで律するつもりもないでしようし、又律せられもする筈はないと、こう思いますけれども、まあ或る意味では吉田政府の方では止むを得なかつたという弁明の口実もあり得るのではあります。けれども、事教育に関しては、地方財政の件については自治廳が妙な干渉を與え、一方においては中央において大藏省主計局を中心としてこれに大鉈を振る。こういうようなことで現実教育がにつちもさつちも行かないというような事態に立至つておる。こういうことに対しては、我我としても大藏当局に十分我々の考え方説明をする必要も認め、同時に又大藏当局がなぜ從來そういう大鉈を振つて、実際の教育窮境に追い込んで來たかということの理由をも承わり、更にこの補正予算或いは來年度予算についての考え方も予め承わつて置きたい、こういうのでお出で願つたわけであります。差当つてお伺いいたしますが、今折衝中でしようから、はつきりした線を出すことはできない、乃至は言明せられることはできないということは了承いたしますけれども、一体本年度定員定額制で非常な窮境教育が追込まれた、ああいうことの教育に與えた影響財政的に言えば一クラスに一・三五とか、一・七という定員及びそれに伴う定額予算の面から押付けた、教育の必要からでなくして、予算面から押付けたことによつて教育窮境に陷つておるということは、大藏当局は認められておるかどうか、それに伴つて本年度補正予算について何程かの緩和策を講ぜられる用意があるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  4. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今お話は極めて大事なことなんでありますが、私共の方といたしまして、定員定額制を実行いたしましたことによつて教育内容が低下するということは実は考えておらないのであります。この点につきましては文部省とも十分に相談いたしまして、文部省でも、これで苦しいけれども何とか義務教育は続けて行ける、こういう見通しの下にやつたわけであります。從いましてこの点につきましては、今度の補正予算においても、又本年度予算が実施されて、そう時日も経つておりませんので、当分はこの態勢を続けて行きたい、このように考えております。
  5. 河野正夫

    河野正夫君 今の御説明文部当局の御説明とは非常に違うのでありまして、文部当局説明と違うどころではなく、我々の持つておる実際の材料とも非常に違う。定員定額制が実際の教育に大した影響を與えていないというお説ですけれども、それは一体どこから出るのであるか、大藏当局から見てそうではなかろうかということではないかと思うのであります。事実文部当局自身が言明しておるところによつても、あの教員数割出し方というものは非常に誤差がある。こういうことは本委員会において明瞭に発言されておるのであります。速記録を御覧下すつても明らかだと思います。とにかく現在人員において二万三千人の超過を來しておる。而も教員についてはいわゆる行政整理を行わないというのは御承知の通りの建前であります。從つてこの二万三千人をどうするか、自然退職を待つか、自然退職を待つにしてもその間の経費というものは本年度予算では賄えない、こういうことになつて、その点については文部省から大藏当局に向つて事務折衝がすでに行われ、我我から言えば不満でありますが、或る程度の了解というものに達しておる点もあるというふうに我々は聞いております。その一事を以てしても、本年度予算定員定額制教育を非常に阻碍しておる一つの例証となることができると私は思いますが、その点どうですか。
  6. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 定員定額制の問題と、只今の二万何千人かの定員超過とは、必ずしも私共同じ問題とは考えていないのでありますが、とにかくこの定員超過しておるということについては、文部省からも私共もお話を承わつております。それについて何らかの措置をして欲しいというお話もありました。併しこれにつきましては、超過しておる教員数が何人であるかということにつきましては、更に相当詳しく正確な数字を出して頂かなければ、大藏省としても措置は取り得ないということを文部省には申上げております。從いまして文部省におきましても、その点について更に精密な正確な調査をされて、改めてお話を持つて來られるだろうと思つております。
  7. 河野正夫

    河野正夫君 今の二万三千人超過定員定額の問題とは切離して論ずることができるかのように考えておられるのでありますが、すでに定員定額制の問題が教育に與える大きな影響というものを、單なる大きな影響でなくして、教育が或る場所においては殆んどやつて行けないではないかというような実情認識していないのじやないか、こう思つております。二万三千人は超過しておるという、不要なもので、今年の予算の枠の数だけが教育上支障なくやつて行ける人員であると、こういうふうな認識に立つのでなければ無関係であるということは言えない筈であります。この予算定員の中には結核休職教員というものがある。いろいろな意味を含めて一万人以上に上つている。これがこの枠内にあるのであります。從いまして実際には教壇に立つことができない。而もこれが定員の枠内にある。或いは又養護教員と言いますか、これも一クラスについて幾名というものが中に入つている、枠内にあるのであります。けれども、これは教壇に立つて毎日指導することはできない。こういつたようなふうに、詳しく言えばまだあり得るのですけれども、そういうようなわけで、事実上一・三五というのが教壇に立つ人間だが、現実に立ち得る人間を考える場合には、一・一という縣もありましようし、一・〇に達しないところもあり得るのであります。こういう事態であるからして、市町村長も或いは又府縣教育委員会の人々も、或いは教育長も、府縣知事も、文部省に殆んど各府縣こぞつて陳情に來て、その解決を要望しているというのが実態であります。この点についてもう少し大藏省財政的な面で切詰めて貰いたいという要望は分りますけれども、だからと言つて、例えばこれが國鉄は会社になりましたけれども、あれが國家で経営していると考えた場合に、汽車が動かせないというまで人間を切詰めろということは無理である。これは明らかに目に見えるから分るのですが、それと同じように、学校で言つても、十学級のところ八人しか先生がいないので、二ヶ学級はいつも合併授業をやつているというところもあるのであります。そういう意味運轉ができない、正常運轉ができない、こういう状況にあることは、大藏当局は認められるかどうか、こういう点を私はお伺いしたい。
  8. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今の二万何千人超過しているという点につきましては、先程も申上げましたように、更に正確に数字調査して貰わなければ、私共の方としては何とも考え兼ねる点であります。教員の資格を持つておりまして、中には教育委員会事務局等に兼務をしている人も相当あるような話も聞いております。そういう点も考え、又只今お話がありましたように、病氣で長期の欠勤をしているといつたような者も考えたりいたしまして、その超過している数がどれだけになるか、実質的な超過はどれだけになるかというような点につきましても、更に精密な資料を頂きますれば、大藏省としても文部省と更にいろいろな点について檢討いたしたい、このように考えております。
  9. 河野正夫

    河野正夫君 すでに定員定額予算が決まつた上で、あと枠内でどうこうするという補正予算立場から言えば、或る意味で正確な資料さえ何とか揃えば、現実にやつて行けないものならば何とかせざるを得ないだろうという意味に私は理解いたしまして、あなたの立場は一應正しいと思うのであります。ところが定員定額定員を決めたときの本年度予算、これは遡りますけれども、そのときに大藏省がその予算を押付けたときの根拠というものが、本当にやつて行けるという根拠を以て文部予算を削つたのかどうか、若しそのときに合理的にやつているというならば、今文部省が足りないということについては、正確な資料を持つて來れば何とかしましよう、こういうことは言い得るわけであります。ところがすでにそのときに本年度の当初予算においてそれが合理性を以て、確信を以て大藏当局がやつたのか、乃至はただ財政的措置で止むを得ずこの程度でよかろうという意味で削つたのか、ここに問題がある。その点如何でしようか。
  10. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今の点は、私が起過人員について更に文部省檢討して見ると申上げた点は、これは定員定額の一・三五というような定率を変えるという趣旨で申上げたのではなくて、定員一定比率を決めた場合に、経過的に生ずる超過人員についての財源が必要がある場合には文部省と交渉する余地があるだろう、こういう点を申上げたわけであります。  それから定員定額一定比率を決めたことについてよかつたかどうかという点につきましては、私非常に重要な問題でありますので、ちよつと責任を持つた答弁を申上げ兼ねるのでありまするが、ただこの予算を決めます場合には、單に予算だけの立場でこれが決まつたのではなくて、大藏省文部省との間で話合を付けて、更に閣議を経て日本政府の案としてこれが出たわけでありますので、この点につきましては、文部当局としても非常に苦しい最低限のものであるという点はあつたと思いますが、一應それで何とかして、とにかく当面の義務教育は実施できると、こういう考え方であの案ができておつたものと信ずる次第であります。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 さつき河野議員の発言の中で、最初の本年度定員定額を決めるときに、文部省としても、大藏省はどういうふうにこれ考をえたかということは非常に重要だと思う。これは來年度予算とも非常に連関して來る、從つてこれは実は抽象的に大藏省がそれに対してどう考えたかということよりも、どんな基準でこれが決定されたかという具体的なものが示されて、これについて我々は檢討したいと思うのです。大体の目安でいいのですが、大綱だけを……
  12. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 今私共細かい資料を持つておりません。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 持つておりませんか。
  14. 岩動道行

    説明員岩動道行君) はあ。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 これは來年度予算檢討する上において非常に重要なものだ。これは單に予算だけの問題ではなくて、日本教育内容の問題になつて來る重大なことで、是非これは檢討を徹底的にして貰いたいと思う。殊にさつきから問題になつ結核で休んでいる者、未復員者、産前産後の休暇、こういうもの、実際こういうものをどういうふうに考えるか、これを枠内に入れてしまつたやり方、こういうことについては非常に大きな矛盾が起つているわけです。こんな点について十分にこれは檢討をしたいと思うのですが、大体今までの大藏省文部省との折衝について、ここ二年ばかり見て來たわけだが、この点について大藏省に一言申述べたいことがある。この点是非腹に納めて頂きたいと思います。というのは、どうも教育実態が本当に大藏省に掴まれているかという点です。いつでも國家財政見地というようなもので、その大きな枠から切つて來る。そのために教育実態が非常に変形され、歪曲されるということが起つて來る。六・三制が最初に発足するときの例ですが、そのとき主計局長説明によりますというと、あのときはこういうことが言われた。教室が非常に足らないそうだが、併し從來高等小学校には大体九七%の小供が行つている。併し今度はこれが義務制になるので九九%くらいだろう。そこで僅か二%殖えるのだろうからして、從つて教室に一人か二人子供を多く入れれば、この教室数は何とかやつて行けるのじやないか、ところがこれに対して文部当局もはつきりしたデーターを持つていなかつた。そのためにこれを早く大藏省に了解させるということができなかつたために、実際やつて見ると一々厖大な教室の不足が起つて、その後六・三制の基盤というものは全くこれで覆えされて來たということが起つている。從つて最初の発足のときに、そういう見方財政的な立場からというので、実態に即さない予算面の計上がされるということで大混乱が起つているのです。こういう点から言つて、我々として要求したいのは、一つ文部省がもつと具体的な徹底した信念を以て、データーを持つて行つてぶつかることを切望したい。これは文部省に対して今まで言つてあるのです。今ここに責任者がいないから省きますが、大藏省はやはり國家財政見地とか何とかいうことを言いますけれども、併しこれは日本教育の実際的な具体的な姿をやはりもつと立てて、殊に折衝に当る主計官あたりは掴んで貰いたい、輿論も聞いて貰いたい。そういうことでないと、上の方から枠を押付けて來るということで非常に教育混乱するのです。今度の定員定額が僕達の見るところによると、これは明らかにこういうような上からの予算一つの枠の押付によつて歪められているということ、これは非常に地方行つてまざまざとぶつかるわけです。だから來年度これを繰返したくないし、今年の補正予算で是非変更して貰いたい、非常にこの点が切望されているわけです。そうでないと、これは大変なことが起ります。これは時間がないから、この大変なこと……いろいろ教育についての破壞的な内容については申上げませんけれども、実際これは大変なことが起るので、こういう点について是非大藏省は実際を見てやつて貰いたい。もつと調査してやつて貰いたい、そういうような大衆の輿論というものを本当に聞いて貰いたい。この点どうも十分でないのじやないか、殊に今までの何と言いますか、やはり戰爭前の予算編成しておつた大藏省の何と言うか、絶対権限のようなものが動いておるし、そういうようなことを我々は今までしばしば感じて來たわけなのですが、そうでなくて、新らしい民主的な財政の形成をしなくてはならない段階です。それは飽くまでも大藏省はそういうような一つ輿論政治方向、そういうようなものをはつきり民主的にキャッチして、その上に立つておるところの技術的な問題に努力するというのが、これが大藏省建前じやないか、我々はこう掴んでいるのです。新らしい政治の在り方、これは國会一つのそういう予算編成当局としての任務から考えて、この点がどうも僕達から見るというと又逆に戻りつつあるのじやないかというような心配を持つているわけなので、是非この点考えて貰いたいと思います。そこでまあ私の希望は今言つたように、もう一遍申しますというと、是非本年度補正予算要求を具体的に聞いて、そうしてこの問題に努力して欲しい。これが一つ。それから來年度予算がもうすでに折衝が始められているのですが、これに対して今年度の轍を踏まないように、これはやつて貰いたい、こういうことを希望したいと思うのです。その点どうですか、ちよつとこれについて聞いて置きましよう。
  16. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今お話誠に御尤もなお話で、私共といたしましては、更に教育実態等につきましても、文部省と協力いたしまして、更に研究もいたし、檢討もいたして、國家財政の許す限りの教育費の増額ということは努力はいたしたいと考います。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 それを聞いてまあ安心したわけなのだが、それを本当にやつて頂きたい。今まで文部省が弱くて大藏省が強いということは、これは世の中の定評なのです。それで文部省の方ではいろいろデーターを持つて行つて大いに陳弁これ努める、それから森戸文相のときなんか、森戸文相みずから出かけて行つてそれをやつたようなことなんかも見ているのですが、併しそれがなかなか通らない。そういうところで國民輿論が、大分大藏省のそういう独断的なところにも予算が取れないもう一つ理由があると考えていますから、この点是非そういうことのないように、一つ民主的に運営して貰いたいと思います。  その次ですが、六・三の問題は多く言う必要はないと思うのですが、建築費について、補正予算の中で大藏省はどういうような立場を取り、どういうふうに考えておられるか、この点を承わりたい。
  18. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 六・三制の公共事業費につきましては、これは大藏省としましては直接の交渉をまだ受けておりません。只今段階では恐らく経済安定本部の方にいろいろ御折衝文部当局でやつておられると思います。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうですか。今度の補正予算で当然問題化して來ると思いますが、大藏省は今の六・三制の実情を見て、その補正予算の問題が出たときに、どういうふうに処置しようと考えておられるのですか。
  20. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 補正予算の行き方がどうなりますかという点につきましては、私共実はまだ正式に見当を付けておらないわけであります。つまりシャウプ税制勧告内容が具体的にはつきりいたしませんと、どういう枠の補正予算が組めるかという点についての檢討を要しますので、その枠によつて、どのような事項が取上げられて來るかという点についても、シャウプ勧告の、昨日発表になりましたのでありますが、これを十分に檢討いたした上でないと、補正予算の凡その見当も付かないのではないかと考えております。從いまして六・三制もその補正予算の枠の如何によつて、いろいろに取扱われるということも考えられるのでありますけれども、只今のところ何とも申上げ兼ねるのであります。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 それじや伺いますが、経済安定の立場から、六・三制の建築予算一つもないようになつた。それに対して我々は國会内で反対した。経済安定の立場から、あればかりの額を削減することによつて、果して経済安定になるか、殊に地方財政的な立場から見てあれくらいの少額のものを切ることによつて、その何十倍の経済的な困難、更に政治的な混乱、父兄の不安というようなものが増大するということを我々は主張した。その点について絶対に削減に反対したのでありますが、果せるかな、そういう態勢がすでに起つておる。我々も國会の休み中に廻つたのでありますが、至るところでそれが起つておる。それから非常に我我心配に堪えないのは、何とか日本の新らしい教育制度に対して、まあ敗戰後一つの大きな希望として教育を守り育てようというような國民的な輿論が起り、その情勢がいろいろな形で表明されて來た。ところが最近そういう動きは無論底流としては非常に大きくあるし、又動いておりますけれども、又あるところでは全然もうこれはやつても見込がないのじやないかというところから、いわば殆んどこの問題について投げやりになつておるというところが見当る。これは重要な問題だと考える。これは民族の大きな問題だと思う。教育から考えても大きな危機に当面しておると思う。つまり今まで何とか支えて行こうという情熱があつたから、教育が支えられて來たのであるが、その意欲さえ失われて來たというところから、何が起るかということを考えると心配に堪えない。そういう点から考えると、私のお聞きしたいのは、あれだけのちつぽけな予算を切ることによつて、果して最初の目的が達せられたかどうか、殊に地方財政との睨み合わせによつて経済安定の面について六・三予算切つたことは、効果を與えたかどうか、この点について大藏省はどういう御見解を持つておるか伺いたい。
  22. 岩動道行

    説明員岩動道行君) この点はちよつと大きな問題で、私のような事務官がお答えするのは適当でないと思いますが、私の私見を申上げますれば、六・三制を切つたことについて、経済安定が大いに促進したということは必ずしも言えないと思います。つまり國家経済の全体において、経済の安定は促進されておると思います。その一端として六・三制の予算が計上されなかつたということも言えると思うのであります。從いまして六・三制だけを取上げて、どれだけの効果があつたかという点についてのお答えは、ちよつと申上げかねると思いますが、本年度予算は全体において今までに曾てない程のきびしいものであつたわけでありますが、その行き方が先ず徐々に経済安定の方向に向つているということは言えるのじやないかと考えております。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 今非常に巧妙な答弁をされたのでありますが、私の聞きたいのは、六・三制を切つたことによつて、どういう地方財政的な破綻があつたかということを大藏省は掴んでおるか、この点をお聞きしたい。全体的な総合的な話は一應それとして、実際あれだけの非常に微弱な予算なんで、問題にならない程のものが切られてしまつた。そういうことによつて実際それに何倍、何十倍するところの地方経済の困難が起つておると考えるのですが、これは私の見方でありますが、それに対して大藏省はどう考えておられるか、その点を一つ承わりたいと思います。
  24. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 六・三制を切つた、それによつて國財政影響する面よりも、むしろ個々の市町村財政影響を來して、破綻を來しておるのじやないかというお話なんでありますが、それは正に現実はそういう方向であると私共も考えております。破綻に瀕したかどうかということまでは言い切れるかどうか、私共事実をよく辯えておりませんので、何でありますが、非常に苦して市町村が起つて來たということは認められるかと考えております。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 どうも政治的責任立場から、この問題を実は質問することができないので、結局主計官のいろいろ個人的意見を聞くということでは、この問題は進まないわけですが、併しながら衝に当られる方に是非國民の声として傳えて置きたいことは、そういう上の責任の地位の人の考え方も実際我々は知つておるわけで、大藏事務官の中に、どういうところに若手官僚がいて、強い力を持つていて、その意見が実際を動かしておるか、それを知らないわけではない。我々としては今お話しのような認識があるとすれば、是非補正予算の中で、恐らくこれは國民の誰一人もが熱望しない者はない、予算を確立することに大いは努力して貰いたい。この点はどうですか。
  26. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 文部予算担当主計官といたしましては、できるだけ文教財政が確立されて行くということは望ましいことであると思いますので、私としてはできるだけの努力はいたして行きます。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 できるだけの、そういうことになりましようか……。まあ踏ん張つて貰いたいと思います。相当頑張つて貰つてもいいのじやないかと思う。やはりそこの文部関係が力が弱いということが、どこに響くかということを考えて貰えばはつきりする、事務的の立場においてもう少し情熱を持つてこの問題に当つて貰いたいということは我々としては非常に大きく要望したい。
  28. 河野正夫

    河野正夫君 今噂を聞きますと、文部省補正予算として六・三制建築について約四十億程要求を出した。ところがそれが半額程に削られそうだというようなことも聞いたのであります。半額も通らんかも知れんがという話も聞いたのでありますが、そういう事務折衝をしておられるか。金額は別として……、そういう事務折衝をしておることは事実でありますか、先ずその点を……
  29. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 私共のところでは、直接には六・三制の建築予算の方は担当しておりませんので、その点確かなことは申上げ兼ねるわけでありますが、先程も申上げましたように、経済安定本部の方に対しては事務折衝は相当頻繁に行われておると思います。
  30. 河野正夫

    河野正夫君 大藏省当局とは全然そういうことについて交渉しないで、安本との折衝段階とおつしやるが、或いは大藏省ともやつてやるが、あなた自身は関與しないというのですか。
  31. 岩動道行

    説明員岩動道行君) その点は安本、大藏省が更に話合をしておるかどうかはつきりしておりませんが、併し凡そこういう要求があるという程度のことは來ておると思います。
  32. 河野正夫

    河野正夫君 そこで今岩間委員からも要望があつたのでありますが、政治的責任を持つて言明ができる立場にいらつしやらないので、強いて追究することは無意味でもあり、折角御盡力お願い申上げますという程度に過ぎないのですが、恐らく大藏当局にも行つておると思う。文部省の六・三制校舎不足の実態と、校舎建設の緊急性という文書があるのであります。お読みになつて下さつたかどうか知りませんが、文部省が本当に我慢できないのを、目をつむつて我慢するという應急最低基準なんです。これは廊下も入れ、小使室を入れ、階段を入れ、便所も入れて、生徒一人当り〇・七、こういうのに満たざるものを満たせようという金額が、これは單價の取り方によつては多少幅があると思いますが、五十二億何千万というものを計上しておる。これだけは何とかしなければならない、雨天体操場とか何とかというのではなくして、ぎりぎり結着のところで、これだだけは何とかしたいというのが計上されておるかのです。それが五十何億が、文部省は四十七億か四十億くらいに下り、やがては二十億に削られるという運命にあるのじやないかということをちよつと耳にしましたが、それは安本との交渉経過においてかも知れませんが、文部省の六・三日書をもう少し御研究下さつて、私共は全然誤謬のないものとは思いません。我々も研究しておりますが、相当今までの文部省のような杜撰な、計数のないものではなく、相当計数は出して來ておりますから、これは研究して頂いて、でき得べくんば事務当局としては、政務次官なり、大藏大臣なりにしても、十分文部当局要求は当然であるという意味で、我々の味方となつて一つ十分に厚意を示して頂きたいということを要望して置きます。
  33. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今お話がありました六・三制の経済危機についての文部省調査並びにいろいろの資料につきましては、私共もでき上りまして、早速文部当局から一應の説明は伺つております。六・三制が今まで非常に浮き沈みのある取扱いを財政的にも受けて参りましたのには、一つには非常に実体を握んだ正確な基礎調査がなかつたことにも基因しておると思いますが、その点につきましては文部当局は今度相当眞面目によい調査をされたと思つております。從いまして私共も今日においては、その資料が唯一の根拠になりまして、更にこれを十分檢討いたしまして、できるだけ六・三制の問題は軌道に乘せて行くということで努力は十分いたしたいと考えております。
  34. 河野正夫

    河野正夫君 ちよつと私のさつきの質問に帰りますが、一つだけ駄目を押して置きますが、定員定額制の問題でありますが、臨時國会を目の前に控えて、補正予算編成ということについて問題にならない前のことであります。恐らく大藏当局の出席されておつたと思いますが、全國の知事会議の席上で、地方自治廳及び文部省等が出席して、地方長官から先程申しました超過人員について、これは行政整理と考えなければ一体どうするか、事実上の計数が超過しておるのはどうするか、又根本的にはいろいろの先程もお話があつたように、枠内においては働き得ない人々を含んでおる。その点についてはあなたのお話しのような教育委員会事務職員という者は、地方廳、地方委員会責任でしようが、そうでなく実際に当然認めて而も枠外に置くべき者を含んでおる。だから事実上の運轉がなかなか不可能であるが、この点どうするかということがあつた節に、休憩になつた後か、その次の地方長官会議のときか、いずれのときに、五億程度の金は何とか融通して、超過人員についても、自然退職の間までの支えとしては、大藏当局とも了解を得ておるかのようなことを文部当局が言明したとかということを聞いておりますが、その点は如何でございます。
  35. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 知事会議のきにそういう問題が起つたということは、私間接に聞いております。併しそれに対して大藏省が五億程度のものを承認したということはないのであります。ただ文部当局からは、その程度数字が必要になるかも知れないということで、例の二万何千人かの超過の問題についてお話があつたわけであります。これにつきましては先程から繰返して申上げましたように、更に具体的な数字檢討いたしました上で何らかの考慮をする。こういう程度の話を文部省とはいたして見たわけであります。
  36. 河野正夫

    河野正夫君 それでその事情は了承いたしましたが、して見ますと、これは政治的責任は帶びられないでしようけれども、事務当局としては、主計官としての立場から何ですが、文部省が動かすべからざる実際的な計数を持つて行つて、それがその数に間違いないというふうな認定が下される場合には、何らかの措置を講ずる必要があるというのは、あなたの立場で考えられるというふうに了承してよろしうございますか。
  37. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 事務当局としては、そのように考えております。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 もう一つ。この六・三制の問題について、さつきの発言と関連して、ここで我々としては明らかにして置きたいことがある。これはまあ責任者もおりませんので、是非傳えて頂きたいのですが、とにかく文部省の出しておるこの最低額というものについて我々は満足するものでない。こんなものではとても問題にならんと思います。つまり焼石に水という言葉をしばしば使つて來たが、この言葉は古くなつたから止めます。それでこの次は死んだ子共のカンフルという言葉が出て來たわけで、カンフルにも足らん。二十億出してて……。二部、仮教室の解消、このためにはどれくらい要るかということは、大体の我々の推定では四百五十億はどうしても最低要る。だから積極的に何とか最低のこれの運営をやつて行くためにも、少くともこれは四百五十億を支出しなくちやならない。從來のやり方であると、これは全部全額ですから、國庫負担分はその二分の一ということになるが、実際は三分の一くらいになるのです。ですから少くとも百五十億程度のものは從來のやり方でも今年出さなければ、どうにもなるものじやない。例えば二十億出せば地方財政は行詰つて、そこで裏付がなかなかできないのです。寄附も集まらないという現状では、まあ仮に全額を出すとすれば、その三十分の一にしかこれはならないわけですが、その二十億、十五億は從つて地方の負担となるのです。或いは大衆負担になるので、この点は我々は國民の前に明らかにしなければ責任をはつきりすることができない。そういうものを果して出して一時逃れをやろうとしても、この問題は解決する問題かどうか、本当に死んだ子供にカンフルという段階にさえ、これはない。併しこれに対して更に無一文だ、この四十億出しておる要求さえ、ここで一片の反故にされるということがあつたら、どんな事態國民の間から起つて來るか、この点私達大藏省の現状をはつきり直視しても、いい段階でないか、こういうことを強烈に参議院の文部委員会言つておるということを傳えて貰いたいと思うのです。これは本当です。そういう段階にまではつきり來ておると思う。この点ははつきり傳えて貰いたい。
  39. 岩動道行

    説明員岩動道行君) お話の趣旨はよく分りました。
  40. 河野正夫

    河野正夫君 私は主計局関係の質問はこれでもう結構だと思います。主税局関係の人は出席しているのですか。
  41. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) 今の河野委員の御要求、今衆議院の方の会議に出席されているので、午後文部大臣がお見えになつたときに御一緒に願いたいと思います。   —————————————
  42. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) その次の問題の尾瀬沼の保存に関する方の問題に移りたいと思いますが、如何でしようか……よろしければその方に移りたいと思います。保存課長の深見さんがお見えになつておりますから……
  43. 深見吉之助

    説明員(深見吉之助君) それじや簡單に御説明をいたします。この問題が起りまして最初文部省が出席をいたしました会議は、昭和二十三年の二月十九日に商工大臣官邸におきまして、尾瀬、只見、利根川綜合開発協議会というのがございまして、文部省から前任の小林文化課長及び嘱託の理学博士武田久吉氏、國立科学博物館長の中井猛之進氏、東大教授の鏑木外岐雄氏、東大教授の本田正次氏、これだけが出席をいたしまして、協議に参加いたしたのであります。そのときの会議の議事録、文部省で作りました議事録がここにございますから、これをちよつと朗読をいたします。
  44. 宮村六一郎

    説明員(宮村六一郎君) 朗読いたします。  「会議次第1、商工省電力局長挨拶2、経済安定本部建設局長挨拶、3、会議の進行上(主催者側の推薦により)学識経驗者の内海清温氏を座長として推すこととなり、以後同氏が座長として議事を進行した、4商工省岡崎水力課長の説明(協議会の趣旨)5、安本山岡技官の説明(別添綜合開発調査運営要領について)商工省は協議会の委員の中から小委員を選び、その意見を徴しつつ尾瀬の調査を実施したい意向を表明したが、その小委員はすべて発電、治水、灌漑等の建設関係者のみで構成し、資料保全の文部省立場を代表する者を入れる余地がないので、文部省としては学識経驗者を加えるよう要望し、厚生省も同樣の意見を述べたが、結局小委員会は計画を促進する側の者のみで構成すべきものであるとして文部省要求は多数を以て否決された。6、日発進藤副総裁挨拶7、日発仙台支店及び関東支店関係者から日発案の説明8、関係者の意見発表イ、東京地方商工局長ロ、仙台地方商工局長ハ、建設院ニ、農林省ホ、文部省ヘ、厚生省ト、福島縣チ、新潟縣リ、群馬縣。文部省及び厚生省を除く関係者は、大体において当面の電力逼迫の事情が民心を暗くするばかりでなく、経済再建を妨げる重大な障害であり、又食糧増産上灌漑用水の問題が極めて重要であり、又昨秋の東北、関東の水害の状況を見ても治水問題が緊急に解決されなければならないことは明らかで、この点から河川の綜合開発が必要であることを認め、日発の尾瀬開発の原案を支持し、できるだけ早く調査し、計画を樹立し、その実行に着手するようにとの意見を述べた。これに対し、文部省は平和的文化國家の建設は日本國憲法の命ずるところであり、これは單なる掛声やお題目であつてはならず、各政策、各事業にこの原則が採り入れられなければならないこと、文化國家建設上、文化財の保全ということは極めて重大な問題であり、國民はその承継した文化財を維持し、発展させる義務があり、國家國民が祖先から受けた史的、美術的記念物と併せて、自然から受けた天然記念物を保存せねばならないことを説明し、問題の尾瀬は地質上、地形上、植物上、動物上、日本においては勿論、世界においても貴重な学問的、文化的資料であり、一度これを湖底に沈めてしまえば、將來永久に恢復することができないもので、貴重な文化財を故意に破壞すれば、世界の文化界、学界の物笑いの種となること、全國的な電源開発、治水及び灌漑水の計画のための調査には少しも異存がないが、日発案のように、当初から尾瀬原を湖底に沈める計画の下に事を進めるのは反対である旨の意見を述べた。厚生省からは、河川の綜合開発の重要性は認めるが、尾瀬原は学問上、風致上極めて貴重なものであつて、現在は未だこれを湖底に沈めるべき時期ではないとて、賛成者側の意見を一々論難し、又再建日本のためには將來観光事業が極めて重要であるから、観光資源を保護すべきことを力説した。福島縣は日発案をできるだけ早く実施することを要望、新潟縣は日発案とは別個に自縣の案(只見川の水を暗渠によつて新潟縣の魚沼川に落す案)を提示したが、これは必ずしも固執せずとして、早急実施を希望、群馬縣は治水の問題は関東地方の多数の縣に関係があり、自分の縣だけで意見を述べられない態度を保留した。」
  45. 深見吉之助

    説明員(深見吉之助君) そういうようなわけでございまして、それからあと懇談に入つたのでございますが、文部省、厚生省はこれに絶対に反対であつて、協調ができないというのですから、むしろ文部省や厚生省が入ると、この協議会の結果がマイナスになる、こういうメンバーは切離すべきであるということになり、若しこの問題に將來議論があれば、大臣が閣議において爭うべきで、今日は一刻も早くこの計画を進めたいというような発言もあつたようでありまして、ここで文部省、厚生省を以て第一委員会を組織し、その他の開発関係者を以て第二委員会を構成して別々に審議したらどうか、こういう案も出て、これに対しまして專門家側から反対等もあつて、その日は遂に文部省側の專門家と電源開発側との意見の対立に終つたのでありますが、その際、文部省側を代表いたしまして文化課長から、座長の言明によると、この協議会は、全然白紙の立場で、開発が可能か不可能か、支障があるかないかを調査するものであるのに、商工省が初めから沼を湖底に沈めることを前提として調査を進めているのは誠に不可解である。二つの委員会を作つても、文部省側から出る結論は、結局この開発には反対のものであることを想像されたい。こういう発言で、その他にも発言がありまして終つたわけなのであります。それでこの前、この会で安部議員から御説明があつたように、その後文部省と厚生省は開発の協議会から除外されて、一方的に進んでいる結果になつております。でこの問題について、文部省といたしましては、前にも申上げました通り、尾瀬の地質学的、植物学的、動物学的に、日本においてのみならず、世界においても稀に見る資源であるという立場を強調をいたしまして、お手許に配付いたしましたような、その資源の説明書を作りまして、各方面に配付いたしたりなどしているわけであります。本日厚生省の國立公團課の方とも連絡いたしまして、御手許に只今お目にかけました写眞その他を借りて参つたのでありますが、國立公團課においても、目下これに対する資料を整備いたしておりまして、近いうちに関係方面に配付をいたして、尾瀬沼の風光を保持するための努力をいたしたい。文部省においても委員会において説明をされるならば、今までの事情をよく申し、そうして文部省側の立場から、これの資源を保持すべきことを十分強調されたいというような話もございました。我々といたしましては、飽くまでもこの尾瀬沼保持の線は、文化財資源保存の立場から確保して行きたい、こう考えている次第であります。尚この問題につきましては、電力開発関係の非常に細かい資料もございますので、一度この方も御調査を願つて、その上で御判断を願いたい、こう考えているわけであります。
  46. 三島通陽

    ○三島通陽君 これは尾瀬沼の文化資源を保全して、そうして何か他に電力開発の計画を立てることができ得るでありましようか、そういう計画をやつて見たことがあるのでしようか、これは文部省に御説明願うのは無理かも知れませんが。
  47. 深見吉之助

    説明員(深見吉之助君) その点は、その後会議から除外されておりますので、我々は分らないのでございま北が、最近まで伺つているところでは、当分尾瀬沼を潰すという計画は直ちに行われないので、一番下の方のダムから初めて行きまして、三番目か、四番目に尾瀬沼のダムを作るということになるので、まだ恐らく二、三十年先のことではあるらしいのでございます。併しその全部の発電計画の根本に尾瀬沼の水というものが考えられた計画になつているということは事実なんで、どうしても今のうちにそれを頭に入れて、新らしい案を考えて貰うことが必要なのじやないか、こう考えております。
  48. 三島通陽

    ○三島通陽君 今の新らしい案というのは一應考えられたのでしようか、或いはそういうことは初めから駄目として顧みられていないのでしようか。
  49. 深見吉之助

    説明員(深見吉之助君) 顧みられていないと思います。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題どうでしようか、電力開発のそういう意見を聞いて見ることがやはり非常に必要だと思いますが。
  51. 三島通陽

    ○三島通陽君 そうですね。適当な機会に委員長におかれまして、そういう方面の人を呼んで頂いて十分檢討したいと思います。尚これはもう少し研究しなければならないかと思いますけれども、これは非常に重要な問題だと思いますし、段々寒くなりまして調査がむずかしくなると思いますので、若しまだ調査に行けるならば、文部委員会で一度実地調査をしたらどうかと思いますけれども、その点は予算その他の関係もあろうかと思いますから、事務局の方で十分御研究下さつて、若しそういうことが可能なら、それも併せて意見書を委員長に纏めて頂きたいと思います。
  52. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) 三島委員の今の御発言に御賛成でございますか。
  53. 河野正夫

    河野正夫君 三島委員の現地視察ということは私非常に賛成であります。仮にどうしても文化財として重要な尾瀬沼を犠牲にしなければならんということになる場合でも、何程かの保存の方法を講ずる余地はないかということも強調する次第であります。更に安部委員のお話のように、尾瀬沼はさりながら、尾瀬河原については何らかの手が打てるのじやないかというような、建設委員である安部君の御意見もあるわれなのであります。一方現地調査については、今からすでに匙を投げないで調査して見る必要があると思うのであります。その点について今お話がありましたが、予算措置が全然講ぜられないというのならば、別個の止むを得ないことになりますが、それは事務局の折衝に俟つとして、一應ここで現地の視察をするということを議決して置いて頂いた方が、そうして具体的な手段については委員長に一任という形にして置いた方が事を早く運び得るのじやないか、こう思うのであります。來月の中頃にということになると、現地調査が不可能になると思いますが、如何でしようか。
  54. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) 河野委員の御説、今日は定数出席もしておりませんから、そうして委員長があとでそれを取計えることですから……
  55. 河野正夫

    河野正夫君 委員長一任。
  56. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) よろしうございますね……では承わつてお傳えいたします。
  57. 深見吉之助

    説明員(深見吉之助君) 尚文部省側といたしまして、專門家の詳細な御説明が必要でございましたら、次の機会にでも御連絡願えましたら……
  58. 三島通陽

    ○三島通陽君 委員長、お願いいたします。
  59. 河野正夫

    河野正夫君 尾瀬沼の件はこの程度で打切つて、午前中はこれで休憩したら如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) ではこれで休憩にいたしますが、文部省の御都合で、午後一時から一時半までの時間がいいそうでありますから、どうぞその時間を正確にお集まり願うようにしたいと思います。それでは休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩    —————・—————    午後一時二十分再会
  61. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) 午前に引続いてこれから開会いたします。前委員会で以てお約束して置きました定員定額制に関する文部省地方自治廳との間の折衝に関してのその結論の御報告を大臣から一つお願いしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) それではお願いいたします。
  63. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) この前の委員会には止むを得ない差支えがありまして、出席いたしませんでしたが、今の問題についてお話がありまして、文部省としては無論この問題は前から考えて折衝は続けておつたわけであります。この前の委員会の後、尚いろいろと考え、折衝をいたしておりますが、自治廳が出した通達についての問題が一つあるのでありますが、これは通達を撤回するように、文部省からというようなお話がありました。併し文部省としては、自治廳の解釈は解釈として、又一應法律的に、全然そういうことはできないということはないと私共も思います。併しそこを実際的に解決したいというつもりで以て努力をしておりまして、この前の御要求にはつきりと合うようにこうしたというふうには、まだ今のところは申上げられません。併し実際的にあの通牒通りに、文字通りに実行されるというようなことのないような解決ができるだろうというような見通しを実は持つたわけであります。そういうわけでありますから、御希望通りに、はつきり形式的には解決がまだ付きませんが、実際上はそう困らないように解決が行くのではないかとそう考えております。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 今の具体的に解決できるような見通しの内容をもつとはつきり承わりたいのです。
  65. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) つまり地方で以て公共費を余分に出した場合に、それがために配付税が減らされるかどうか、こういう具体的には問題なんです。それであの通達通りに行けは、それが実行されるというわけでありますが、自治廳の方でもあれは一つの警告だというふうに言つております。ですからあの通りには必ずしも実行されないように、実際上の必要に應じてやつて行けるだろう、こういう見通しなのであります。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 配付税を減らすかどうか、これは無論あの通牒そのものに対して、我々の見解からすれば絶対にそれは不可能だ、正しくないのだ。それからもう一つは、そういう具体的の問題もありますが、あの通牒そのものが取消されないことによつて如何にこちらの方ではそういう解釈をしても、末端の直接折衝をやつている面では、あの通牒そのものが飽くまでやはり圧力を持つている。それを楯として、いろいろな形でこちらで考えているようなものとは逆な方向行つている実状があるのであります。これは私共一昨日、開かれました日教組の全國代表者会議に臨みまして、その場に行つて討論されているところを傍聽したのでありますが、その席上でそういうことが非常に多い。それから何としてもこれを具体的な形においてやはり解決されるということが、この問題を解決する最も重要な問題ではないかと思います。從つてその見通しなるものが抽象的に一つのお互いの話合からというようなことだけでは、やはり済まない。だから私は今大臣の答弁の中に、見通しのあるということに何か期待されたのでありますが、この期待を持つていいかどうか、この点もう一歩進んで伺いたいと思います。実は今日大臣の出席を我我としてお願いしたのは、そういう点について或る程度の具体的な解決を持つて頂きたい、こういうふうに河野委員から要求があつたと思いますが、この点伺いたいと思います。
  67. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 何か書いたものか何がで以てはつきりとできれば御満足が行くかと思いますけれども、それは実際的問題として、ああいう通達というものが一方で出ておるのですから、非常に困難であります。ですから結局甚だ漠然たるものだという御非難を受けるかも知れませんが、肚と肚で以て何とか解決しようと、こういうこと以外にはできないと思います。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 地方自治廳の警告だというわけですから、そうしますと、その精神から行けば、これが單にこう曲げて解釈されることは地方自治廳そのものも望ましくないのじやないかと、今になつて考えられるのです。從つてこれに対して、あれに対する解釈はこういうようなものだということを再通達されるものならば、地方自治廳の前の通牒とも余り面目を失わないでやりるのじやないか、こういうように思われますが、大臣においてはそういうような点について今まで考慮されたことがありますか、それから今後される意向がありますか、その点伺いたい。
  69. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 私は法律家でありませんけれども、從つて法律問題は不得手なんですが、常識監に言えば、文部省としてはできるだけ地方に財源があるならば出して貰いたいのだと、こういうことは非常に強く考えておるのです。ですからあらゆる方向でできる方法があるならばやつて貰いたいということを交渉はしております。併し一方から言いますと、やはり自治廳の面子を全然潰してということも私としてはできないというところから、実際的に是非できるようにということだけで交渉をやつておる、こういうわけであります。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 私今お話しましたように、余り面子を潰さないで、これは再通達も可能じやないかと私は思うのでありますが、この点やはり文部省としまして、もう一度強くやはり交渉されることが必要じやないか、と言いますのは、文部省はこの問題に対して責任を元來私は持つべきだと思うのです。というのは、この前の委員会において責任者の出席を求めて文部省側の意向を質しますというと、地方自治廳文部省側でこの通牒を出すについて事前に話合をしたと、こういうことが言われてやるので、それならば当然大臣の國会におけるところの答弁と牴触する、そういう事態が起る。このことについては少くとも事前にその問題は解決されなければ、文部省は同意できない立場にあると僕ははつきり考える。だからその点が食違いが出て來るというような形になるとしますと、どうしても私はこれは望ましくないと、こう考えますので、私はやはりそれだけの責任を以て文部省がもう一歩やはり前進しましても、それで地方自治廳の面子を余り壊さなくても、これは再通達という形でその解釈の具体的な内容を與えることが可能のように思います。是非これはやつて頂きたい。こういうふうに私は考える。この点如何ですか。
  71. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 私の考えはさつき申したようで、できるだけ出すようにしたいということは勿論であります。ですから只今のような点も無論考えながら、今後もはつきりできるだけやりたいと思ついおります。
  72. 河野正夫

    河野正夫君 今の問題でありまするが、文部当局の言葉によると二万三千人くらい、いわゆる予算定員よりも超過している。併しこれは行政整理によつて整理するということはしないのである。從つてこれは自然退職の俟つ、こういうことになる。そこで年度末までに、この二万三千人が自然退職されなかつたときには、その國庫からの支出というものは予算で確定しておるとすれば、誰がこれは持つか、仮に補正予算で、今文部省が計画しているように何程かのものが支出されたとしましても、これは自然退職を予想しての話です。これを自然退職者が出るというのは一つの予想でありますから、自然退職者が出ない場合に、年度末に至つて仮にそのときは前言を飜して、仮に行政整理を行うとしましても、本年度内の超過人員に対する予算措置というものは当然講ぜられなければならない。而も國庫からこれを出さないということは、予算の面で明らかになつて來るわけです。そうすると、これはどうしても地方廳負担にならざるを得ない。この場合に例の地方自治廳通達が物を言うかどうか、この点について一つつて置きたいと思います。
  73. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) この点も文字通りに解釈すれば、自治廳は多分そう当嵌るものだと解釈されると思うのです。けれども、文部省としてはさつき言つたような考えを持つておりますので、今言つたような点を、実は非常に考慮して、何とか実際的に解決が付くようにしたいというつもりでおるわけです、予算的な方面も大藏省と交渉しております。それで臨時予算で或る程度やるし、どうしても足りなければ。又來年度予算の中で多少の手心を加えるとか、何とかという方法も考えなければならんと思う。こういうようなつもりでおるわけです。
  74. 河野正夫

    河野正夫君 私の伺つたのはそういう意味で、年度末にまで整理を完了せられたしといつたようなことが、一方において自然退職ということを條件としていながら整理を完了されたし、自治廳通達というものが少くとも行過ぎであるということが言えると思う。その故に現実に先般は北海道長官と教育委員会とが対立したこともあります。いろいろそういう例があるかと思います。段々逐次いろいろな意味の解決は持つているようでありますけれども、相当問題が起つておる。そういう意味で不安を感じさせることは、やはり文部当局として取るべきでないとすれば、先程お話のように自治廳通達を正面切つて取消すということはないとしましても、年度末までに自然退職がないものを強制的に退職せしめようという意思ではないというような、そういう通達は、これは当然されても然るべきものではないかと思う。その点如何ですか。
  75. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 只今の点多少細かくなりますからお許し頂いて私から申上げたいと存じます。自治廳の通達は文部省の通牒の文言を受けて発せられたものと考えております。文部省の通牒のうちに自然退職等の方法によつて過剩人員年度内に整理して頂きたい、こういう主張が出ております。曾て文部省におきまして、特に行政整理を行う必要がないと考えられると、こういう見解を披瀝いたしましたのは、御了解頂いておりますように年々の退職数、退職歩合を見ますると約三万、歩合にして七分であります。当時の超過予想歩合は五分でありますから、年々の退職歩合よりも内廻る見込が立つておるので、自然退職等の方法によつて落付くだろうという見解を持つたわけであります。而してその年々の退職数三万のうとには、これは自然退職と一言に言つておりますけれども、自発的に辞める方もあり、或いは新陳代謝、多少諭旨免官、それぞれの事由が入つておるが、年々の自然に、特に行政整理と言わなくて済む退職の数、こういう意味でございます。從いまして、それを受けまして、年々普通の状況において、いろいろな事由から退職することを予想して、年度内にこの超過人員をなくして頂きたい。こういう趣旨の通牒を文部省で出したのに併せて、自治廳としてはそれを引用されたものと考えております。
  76. 河野正夫

    河野正夫君 それは了承いたしましたが、その御説明の中に、いささか我我々腑に落ちない点もありますが、今の主題から離れますから、その点については後日の機会に讓ります。ただ私の今大臣にお尋したのは、そういう自然退職が出ないような場合に、これを強行せよという趣旨ではないと思うのだあります。自治廳通達なるものは……だからその点を、文部省の方で通達をするということは、毫も差支えないではないか、この点について御意見を伺つておるわけです。
  77. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今局長からお話をしたようなわけでありまして、予算的に考えられた標準以上にあります場合には、これはまあ過剩の人員ですから整理されるのは当然なんであります。そういう意味での整理ということはこれは否定できない。これは文部省も考えておつたわけ。つまり一・五というのは一・三五になるわけなんですから、それで過剩な場合はこれは仕方がないのですが、実際問題として、全國的に平均すれば、そうならないという見通しでお話しておつたわけです。そういう意味で、やはり整理という言葉を自治廳が使つたのだと私は思つておるのです。それはまあ局長が申上げたので、その通りに解釈していいのではないかと思います。
  78. 河野正夫

    河野正夫君 今のは非常に重要な大臣の御発言と思うのであります。予算から超過した部分については整理すると、いわゆる行政整理でなくとも、整理ということは自然退職がない場合に論旨免官か、如何なる方法かによつて、何かの強圧的手段によるより外仕方がないわけで、それを合理性を認めるというのであれば、今まで教員についてはいわゆる行政整理はしない、いわゆる首切りというのは行わないということと非常に食違いが起つて來ると思うのですが、その点如何ですか。
  79. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 私は前議会から申上げているのですけれども、全國的に見て一・三五の標準で予算があるということになれば、現在の人員、それから自然退職等を考えれば血が出なくて済む、こういう見通しを申上げたわけです。ですからその意味で整理がなくて済む、こういつたわけなんでありますが、一・三五以上に実際になるということが仮にあるとすれば、私の申上げた範囲以外になると思うのであります。併し実情日本全体についてはそうはならないと思う、こう申上げたのであります。
  80. 河野正夫

    河野正夫君 一・三五以上にならないという事実を前提としておられるようでありますけれども、事実事務当局説明によつても一・三五以上でありまして、而もこの年間を通じてそれが整理されるとしても、その予算措置が講じてない。況んやこの一・三五以上になる場合は出血を見ないで済むであろうという予想の下で、いろいろな措置が講ぜられておるというお話でありまするけれども、仮に年度末までにその超過人員自然退職等を俟つて整理されたいという場合が來たならば、これは当然今のお話のように予算超過ですから、これは何らかの強圧手段によらざるを得ない。このときに一般官吏は定員法によつて、あの当時ははつきり明瞭になつておりませんけれども、退職手当等も、そういうことも考えられておりました。ところが教員二万三千名については、そういう退職手当、特別の措置というようなものは考えられておらない。そうして見ますると、この自然退職でなければ結局何らかごまかした強圧手段だけれども、ごまかした整理を行うことを示唆するのか、そうでなくしていよいよそれもできないという場合には、やはり何らかの強制的な、法律的な措置を講ずることによつて、これを首切るということを予言せられるのか、その点がはつきりしないので、もう一遍伺つて置きます。
  81. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 文部省として人員の推定をいたします場合には、当然今まで普通に起きました自然退職の数というものも考慮に入れますと、それから又年齢が非常に年取られたために、普通辞められるという数も毎年あつたわけであります。これは行政整理は関係なく、やはり教育界の刷新とか何とかいう意味において辞めて貰うということはあつたわけなんです。こういうことは無論考慮に入れているわけなんです。今お話の点は、結局さつきからお話しているのと同じことでありまして、まあそういう年齢とか何とかということでなく、女教員の方々などは毎年退職者が相当沢山あるので、それらも予想してやつたわけでありましたが、その予想通りに行つておらんというところから、いろいろ食違いができて來ておると思うのであります。そういうその食違いを何とか実際的にその血が出ないようにして解決をするということが、現在文部省が考えているところなんで、それで自治廳との実際的な解決をせよということで極力交渉をしているわけで、そういうつもりでおります。
  82. 河野正夫

    河野正夫君 甚だ先程の大臣の発言に対しては、問題とすべき点を沢山含んでおるように思うのでありますけれども、一應その点については打切ります。ただ一・三五という予算措置國会を通したのであつて、これは國会の意思であるというふうな意味で、それの非常に重点を置かれているようであります。これが地方自治廳なり乃至は大藏当局がそう言われるならば、或る意味においてこれは納得が行くのである。先程大藏省岩動事務官に出席して貰つて、我々から要求した場合にも、ちよつと脇道に外れまするが、政務次官がわざわざ前回の委員会に出て來て、文部省の事務当局から、前々回以來説明のあつた予算等について十分に御後援を願いたいと、こういう懇願があつたわけで、その線に則つて午前中主計局事務官に來て頂いて、いろいろ説明して貰い、我々の要求するところも言つたわけです。その際に主計局の方の考え方は、補正予算において、文部省が組んでおる義務教育費國庫負担の増額ということについて、頭から認めないような態度があつたのであります。そもそも一・三五ということが決まつておる。その分け前で処置すべきである。どうしてもそれでいかんという他の特殊な計数が上つて來るならば、これは特殊の考慮をしてもいいというような意味合の答弁があつた。私はそのときに大藏省としては、成る程予算の決まつたことをこの基礎として、補正予算というのはその後にできて事情について考えるから、あなた方の立場として止むを得ないかも知れないけれども、本当に今の教育が一・三五のラインで十分とは行かなくても、最低の線が保持できると、あなたは信ずるのかというようなことを質問もし、事務官の方でもその点については我々の言葉を了承して呉れました。文部当局としては当然一・三五と一・七というあの予算は、一・五であり、一・八であつたものが、いろいろな緊縮予算の関係上減らされておる。最低限度さえ保持できない程度なんだけれども、泣寝入という態度であるべきだと思います。我々は大臣と同志であるが故に、そういう方向答弁は、理解をお互に持つていると思つているのに拘らず、今大臣はまるで大藏当局のごとくに、一・三五で当然できるのであつて、それ以上に延びたものは自然退職等々の措置によつて何かできるから出血を見なくても済む。こういうようなふうな意堤で予算措置が講ぜられたんだというふうな御説明でありますが、我々一・三五なり、一・七という全國平均のいろいろな計数の持つ矛盾は、これは事務当局がすでに誤差が出たということも説明しておるのであります。本委員会で、そういう意味において、いろいろな点であの予算そのものでは、実際にやつて行けないということを第一の前提として、第二にはそこから現実に二万三千人の超過があるということから、この始末を地方で、まあ國家で持つべきが当然だと、そう主張したいところだけれども、現実のその問題として地方がそういうふうにやつておる。それを阻めるような措置は講じたくないというのが我々の主張点なんで、その点を大臣は、どうも大藏当局のような考え方でやつているんではないか、そう思うのですが、その点を伺いたいと思います。
  83. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 決してそういうわけではありませんで、今お話のところに、つまり二つ違つた問題があると思う。一つは一・三五としての予算予算を組んだけれども、併し自然退職その他の点について一・三五としても出血が出るというようなところは、これを何とかしなければならんということが一つ問題があるわけです。もう一つは、一・三五はこれは國家の補助金についての標準である。それで足りるというわけではないので、國家財政から言えば、國家が補助する限度としてはどうも止むを得ないということで承知した限度なんです。それでそれ以上地方では出して貰いたいというのは文部省の考えなんです。併しそれはその法律で以て強制できないことなんですから、何とかその地方の財源を地方が活用して是非出して貰いたいという考えであると、こういうわけなのであります。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 さつきのこの御答弁の中で、やはり將來問題が曖昧になりそうな危險性を、聞いておつて感ずるわけです。それはどこまでも文部省としては、大臣の國会における言明のように行政整理はしない、この線で今後進めて行く、併しながら一・三五、これから出るものについては、これはなるたけ地方でやらせたいのだけれども、併しそれが不可能な場合には、何らかの形で出血を見ざるを得ないというような意味が言外に含まれておるように聞いたのです。そこで大体大臣の答弁内容として、恐らく從來自然退職が三万ぐらいあつたから、今年は起らないだろう、こういうことで実際やつて見たところがどうも非常に失業者が多く出たというような社会情勢の中では自然退職が案外なかつた。だから今そういうような言明をやはり非常に根拠の薄いものとして動搖させなければならんということでは、私はそこに文部省の見通しそのものがおかしくなるのじやないか。とにかく自然退職するものが事実現状においてなかつたが、併しその見通しが、そういう事態はこれは予測できないし、不慮に起ることもありますが、そういう事態については相当今までの社会情勢から考えて見れば判断できたわけなんです。ところがそれが政治的見通しが足りないために、現在において言明と食違つた事実が発生しておるということになりますと、その食違いによつてつた問題を文部省はどのような責任を取られるか、これは政治的責任まで問題が発展する可能性を持つと私は考えます。そこでこの点について、今更恐らく全國の五十万の教員諸君は行政整理はないのだということを確信して、又その立場に立つていろいろな職場の経営をやつておるわけであります。大臣の國会におけるところの答弁というものは如何に重要であり、而もそれは政治的な責任を持つものであるということは、私が指摘するまでもないのでありますから、その点について五十万の教員諸君が確信を以て立つておるわけでありますから、その根低がぐらつくようなことがあつては大きな問題が発生すると考えます。それについて單に大臣はできるだけ地方の財源に力を入れて、一・三五の線を確保したいというようなことだけでは、非常にそこのところがあやふやな、何だか先の國会の声明といささか食違うような氣分が職場の諸君に與えられるのじやないかと思います。その点もつと明瞭にされることが今の段階で重要だと思いますが、この点伺いたい。
  85. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 一・三五もいろいろ予算の金額、自然退職その他の予想との食違い等から十分でなかつた、そういうような場合には出血を見ないようにしたいということで、できるだけ努力を私共はしておるわけなんで、努力をしておるというだけでは足りない、こういうお話でありますけれども、私としてはできるだけ何とかして、それを実際的に解決したいということでやるより外にはないと思いますので、そう御承知を願います。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 やはり先程私が申しましたように、國会における大臣の答弁というものは非常に重要です。これは五十万の諸君はその上に立つて進めておるわけなんです。だから今のようにそうなつて來ると、少し後退して、今のようなお話を五十万の諸君が聞いたらやはりもどかしくなつて來るのじやないかと感ずるわけです。職場の諸君の氣持を推量して、だから大臣のここで取られる態度は、やはり國会答弁を再確認される、絶対そこに出血を見ないということをここで再確認されることが私は当然だと思いますけれども、何もこんなことを要求するまでもないことと思いますが、どうでしようか。どうも努力はしておるのだけれども、その努力についてはやはり最後的な責任は持つのか持たないのか、そういうことは不明瞭だという形では、やはりどうも満足できないのであります、こういうふうに思います。その点如何でしようか。私は職場の諸君の氣持を忖度して言つておるわけなんです。その点についてはつきりした御答弁を願いたいと思います。
  87. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 私の考えは、出血を出さないようにしたいということはちつとも変つていない。その点ははつきりいたします。できるだけその線に沿つて努力すると、こう申上げるだけです。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 まだ含みがあつて日本語はなかなか複雜でありまして、それを再展認と我々は確認してよろしいのでございますな。
  89. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 再確認という意味はどうも私はつきりいたしません。私の言つたところは、はつきり申上げますと、私は議会で、この予算措置によりまして、現在の職員の方方が全日本國的に平均して見れば、数の上から言つて出血を出さないで済むだろうと、こういうことは申したのです。それ以上には私は申上げたつもりはないのであります。その考えを推し進めて行けば、たとえ食違いができましても、あの予算措置によりまして、現在の程度で出血の出るようなことがないように是非したい、こういう考えが当然なんでありますから、その考えを以ちまして、全力を盡して自治廳方面とも実際的な解決をするという考えであります。そういうつもりであります。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 それからもう一点ですが、補正予算の問題ですが、先程も主計官から説明を求め、これに要望したわけなんですが、いろいろな点で誤差があり、それから文部省の一・三五、一・七を認めたというのは、先程河野委員からお話がありましたように、これは非常に望ましくない形で、これは上からの枠というような形でこれが進められたと考えられるのですが、今度の補正予算で、こういうところの今までのいろいろな誤算があつた面とか、そういうものを含めてもつと幅を拡げて確立されるというふうに今動いておりますか、その点についてもつと具体的に今の折衝段階というものを聞かして頂きたいと思います。如何でございましようか。
  91. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) いろいろ推定の違つた点もありますので、その点を補正予算等で何とかしなければならないと文部省も考えて、今努力をいたしております。
  92. 河野正夫

    河野正夫君 自治廳通達の件、定員定額の問題についてはまだ了解点に達しないことがあるのでありますけれども、一つの問題に余り長くかかると、大臣もお急ぎのようで、他の問題に触れることができませんので、今回はこの程度に私の質問を打切りまして、次に本日我々の手許にシャウプ、ミツシヨンの報告書を頂いたのであります。このシャウプ、ミシツヨンの概括的な報告を先般新聞紙上で読んで、更に本日細かい使節團の日本に対する勧告書を見て見ますると、國立大学等は別といたしまして、いわゆる六・三制の地方公共團体の経営する学校教育等については、可なり大きな変革が予想されるのじやないか、こう思うのであります。税制の問題で、府縣税と市町村税との割合なども、府縣税の方に非常に重点が置かれている。從つてこれは一面において市町村教育委員会が全面的に設立せられるということを予想しての勧告であるならば、或る程度頷ける点もありますけれども、我々の見解によると、これは殆んど本委員会の委員の方々の大部分の見解がそうだと思いますが、今は教育委員会設立及び運営というのは、今日の状況を以てすれば、單に財政的な意味ばかりでなくして、いろいろな面から考えて、都道府縣程度が最も適当じやないかというような考え方を持つているのであります。そういう機会に税制の問題で市町村に非常に多くの税收入を與える、地方分権を徹底さして行く、これは九月二日のスキヤツプの声明書の中にも、それに類似したものを見ることができるのであります。全体の方向としてはそれは正しいのですけれども、今直ぐにそれを教育の面で実行していいかどうか、こういう点に問題があると思うのであります。これらの点についての大臣の見解を伺いたい。更に又この義務教育國庫負担金乃至は自治体警察の補助金というような國庫交付金、地方に対する交付金というようなものが全面的に、財政平衡資金と言いますか、その方に廻されて、而もその一般平衡資金はどういうふうに使われるかというと、当該地方における一定標準税率による地方税予想收入額と、地方行政に必要な最低経費との差額を埋め合せるべきものであるというように考えている。然らば平衡資金の中に接收せられてしまつた義務教育國庫負担金というものが、実は一般平衡資金として、地方財政委員会教育という面を極めて軽く考えて、赤字埋めという点にだけ使われるのじやなかろうか、そうすると結局もとより義務教育國庫負担金は廃止になるのでありましようがこの勧告の線に沿うて……、そういうようなことになりますと、教育のアンバランスというものが非常に強くなる。單に財政のバランスは平衡資金で取れるかも知れません。併し教育のアンバランスというものは非常に大きくなる、こういうことを我々は憂えるのであります。我々は文部省教育を全面的に統制するということにはもとより反対であります。これはアメリカの教育使節團の報告を尤もだとするものでありますけれども、併し今日國家財政の現状において、如何シャウプ勧告の線に沿うて税制が改革されようとも、それで教育がばらばらに、而も教育財政的な方面がばらばらに行われるということは堪えられないと思うのであります。この点について大臣はどう考えておられるか、そういう点について伺いたいと思います。
  93. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 來年度予算からシャウプの勧告によりまして、中央と地方財政関係が非常に今までとは違つたような仕組になつて來るということは明らかでありまして、それがために義務教育遂行についての予算がいろいろ困難な点を生じやしないかということにつきましては、文部省としてももう余程前から心配をしていろいろ研究はいたしております。併し今までのところ、どうも内容がはつきりしなかつたものですから、十分の檢討ができませんでした。今日それが発表されましたので、文部省としては、これから十分檢討いたしまして、義務教育予算について、新らしい今度の仕組においても、それが傷けられるようなことのないようにするには、どういうふうにしたらよかろうということを研究するつもりであります。先ず第一に、公共事業費内容というものがはつきりしておりませんでした。そういうことまで考えなければならない。それから義務教育の國庫負担金は、今お話がありましたように、平衡資金來年度一千二百億ぐらい予定されているようでありますが、その中から出ると思います。その中で、今まで國庫負担とされておつたような部分が確実に必ず保障されるというようにしなければならないわけなんですが、それについてどうしたらよかろうかということを考えて行くつもりでおります。まあその問題は今河野委員のおつしやつたように、地方財政との関係がありますけれども、結局地方市町村当局教育に対する熱意見識の面が一番重大なんだろうと思うのであります。金が要つて、而もそれは教育の方に使われないで外に使われてしまう、こういう場合なんですから、理想的に考えれば、別に心配はない筈なんです。文部省が考えなくても、地方市町村当局教育に対する十分の熱意と見識さえあれば、それでやれる筈ですが、それがなかなか現状においてはいろいろと故障もあるのじやなかろうか。そこを文部省の方で少しバツクするような力でもある方が、現状では確かじやなかろうかという点に心配があるのだろうと存じます。今度自治廳がなくなるわけでありまして、あれによりますと、なくなつて地方財政委員会というものができて、そこで決めるわけであります。委員が五人で、三人は縣とか市町村の代表、二人が学識経驗者ということになりますが、この構成も可なり重要な問題であります。そこと文部省との関係、大藏省との関係等が非常にいろいろの問題になつて來る点だろうと思うのであります。それからも考えまして、制度そのものは大変いいのだろうと思いますけれども、日本実情から言つていろいろ欠陷が起きやしないか、それをどうして防いで行こうかということを十分檢討するつもりでおります。  それからさつき河野委員は触れられませんでしたが、今まで始終いろいろ非難されましたPTAその他の教育に対する寄付金の問題が、あれで一應解決されることになつておりますが、約四百億ぐらいが寄付金だ、こういうことになつてつて、百億ぐらいはまだ残しております。三百億ぐらいは地方税の中で取れる、こういうことになつております。あの通り行きますかどうか分りませんが、一應あれで解決されるのだということにはなつているのであります。併しそれらの点も四百億の寄付金を見積られた内容をよく檢討したいと思つております。それが大部分教育だということならば、地方税の中で以てその中の三百億の地方税に任されたものは教育に廻して貰つていいということも言えるのだし、そうでなければもう少し減るかも知れないし、それらも考えたいと思つています。
  94. 河野正夫

    河野正夫君 もう一つだけ。今のに関連しますが、大臣の方から仰せになりましたが、公共事業費の面が非常にはつきりして來ました、從つて文部省の方で六・三建築に関する五ケ年計画、或いは來年度予算の計画といつたようなものを先般当委員会に示されたのであります。來年度を除いて、その後は約六十九億くらいずつ五ケ年間國庫で負担するというようなことが六・三制完遂に必要だというようなことも出ておつたようであります。こういうふうな面が今度のシャウプ勧告によると殆んど不可能になる。さて然らばと言つて地方の收入が相当できて來る、或いは今お話のPTAの六・三建築に要した金なども、全然別な体系で取立てることによつてその負担は減ずるということを言いましても、そういう余裕で今までの予定されたそういう國庫補助というようなものが、公共事業費に対する國庫補助、六・三建築に関する國庫補助というものがなくて相済むということは言えないのじやないか。私概略的にずつと見ましたのですけれども、六・三建築について一体どこで処理するかということがシャウプの勧告書では分らないのでありますが、大臣はどういうふうに考えられておりますか。その点……
  95. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) その点は、一方では國庫補助とは別でありますけれども、現在の枠が大きくなつております。これが只今その関係が寄付金がさつきおつしやつたように税金で收入があるから、或る程度地方で負担ができるようになる。公共事業費でやつた分については、さつき申上げましたように、私も十分研究して見ないとよく分らないので、それを十分研究したいと、そういうつもりでおります。ただシャウプ・ミッションで來ました教育方面の税金なんかについて、特にやつてつた者がありまして、それに私共会つて話をしたのですが、建築というのは臨時費なんだ、臨時費を経営收入の中で以て賄うような今のやり方というものは、どうも自分は適当でないと思うのだということをちよつと言つておりました。併し私は現在の日本財政というものが健全な状態ならそれでいいのだけれども、日本経済財政というものが病的になつているのだから、平素の原則通りじややれないのだと、こういうことは言つて置いたのです。併し公共事業費等の使い方等につきましては、私としてはもつと十分研究した上で、今おつしやつたような点を考えたいと思います。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題に関連しますが、文部省は今後これに対する対策を立てる上に是非これは参考として考えて頂きたいことの二、三について申上げたいと思います。実は六・三制の進行過程のうち、或いはその前からあつたのでありますが、教育費の全額國庫負担というのは恐らく日本の全國民が期待しているところじやないかと思う。そうして又それに対する各地のあらゆる方面からの請願も國会或いは関係方面に出されているような現状です。これは私は非常に故のあることで、決して單なる一つのその場限りの思い付きや、そういうものでなくて、日本実情から考えるときに、一つ日本教育そのもののいろいろな歴史的な過程から、一つ日本の現状、経済の現状、殊に地方財政の現状から、こういう要請がなされているというふうに考えるのです。その点は何と言つて日本的な特殊的な事情がありますので、日本教育を本当に護ると言つたら、この基本線を今日護る方向に政策を前進させること以外にないというふうに私は考えているのです。結局何と言つて地方一つの税負担の限界がぎりぎりまで行つている。そういうことによつて地方の、さつき河野君の話にあつたアンバランスが非常に大きく出て來るということで、六・三制の一番大きな基本的な要求であるところの教育の機会均等が完全に破られる。こういうふうな方向によつて破られる。この点が一番大きく出て來るのでありますから、これは財政の余裕が比較的あつて、そうしてまだそういうような地方財源、或いは民間の負担とか、そういうもので以て教育を推し進める程の余裕のある、そういう経済状態の國においてはいざ知らず、日本においてはぎりぎりに行つているのですから、それを今のような形で行けば一つの、ここ二、三年とられて來たところの大衆の要求から逆行するのじやないかということが考えられます。ですからその点について日本の今までの教育のあり方、そうして殊に機会均等がとれなかつた理由は何にあるか、つまり財政の均衡ということがなかつたこと、教育財政というものが独立していなかつたこと、そうしてそこから問題が今日のように起つているのです。だからこの点を十分にこれはやはり把握して、大衆的な要求の上に立つてこの問題を折衝されなければ、私はもう六・三制そのものが完全に崩れてしまう、すでに崩れていると言つてもいいのでありますが、この上に跡方も何もなくなる。そうして教育が再び一つのいろいろな財的な基盤によつて大きなむらが出て來ることは明らかなんですから、飽くまでこの点の確立のために努力されたいというふうに考えるのです。これはまあ教育委員会あたりを実際実情を聞きますというと、こういうような面でも一番衝に当つている地方教育当事者の諸君はやはり全額國庫負担より以外に日本教育的な破壊を護る途はないということが強く言われているのです。又教員諸君にしても、実に現在も護れない、國庫が半額を負担しても、又地方におけるところの経済情勢によつて非常にそこに差等ができて、そこから機会均等が破れているということは誰でも認めているところなんです。どこから考えましてもこの点は我々としてはやはり日本現実をよく掴んで、今後の正しい日本の教宿の運営のために、文部省は肚を据えてこの問題をはつきり処理されることを切望するわけであります。この点是非今後の文部行政の一番基本的な問題でありますからこの点に考えて頂きたいと、こういうふうに思います。  それじや時間も余りないようですから、簡單にお伺いしますが、首切の問題、さつき出血はないということでありますが、これがいろいろな形で今日出ているような実情を私聞いているのです。例えば山形におきましては、すでに助教の諸君を旧制師範二年終つたものとして新らしい大学に入れている。併し入れるときの條件では、すでにもう百十三名くらい辞めさせて、そうして一應退職させて、それから新らしい大学に入れている。こういうような形が起つている。こういう点について、これは文部省は情報を持つておられますか。この点は実質的に首切として現われているのじやないかと我々考えているわけです、助教が、今まで終戰後或いは終戰の期間を通じて努力して來た諸君が、ここでそういう形の処理をされて、新らしい大学の方に繋がつて行くということになつていますけれども、そういうことになると生活的な基盤というものが完全にこれは脅やかされて、その結果について、又それを採用するかどうかという保証が完全にこれは付いていないのでありますから、そうすると、そこに実際に名前はどうあろうと、実質的に首切が行われる。又我々が考えられることは、今後の助教講習の中で、これに対してそこの成績をよく檢討するとか、それから勤勉であるとか、怠惰であるとかいうことをよく調べて、その上で免許状を與えるか與えないか、そうすると、これはどんなふうにも手心がされるということで以て、資格がないのだ。それから或いはどうも非常に不眞面目とか何とかいう條項を以てすれば、全部の受講をしたところの助教の諸君をそのままで繋ぐという形でなくて、そこで選択して実際の首切をされることになるのじやないか、こういうことになりますと、さつきの大臣の出血しないというような方法とは、名目的には首切りでないということになつておりますけれども、これは合法的な形でこれが進められる危險性が十分あるのじやないか、長野縣なんかの例を聞いたのでありますけれども、校長がその講習会場に出て行つて、部下の助教の諸君を一人々々調べて、出席がないか、欠席ないか、居眠りをしないかどうか、こういうことまでやつておるというようなことを聞いたのであります。こういうことをするということになると、助教の人格そのものというものは一体どういうことになるか、そうして今までそういう形の人をよく教壇に立たして置いたものだということを我々としては考えられるのです。こういうような天下り的な、又官僚制の復活見たいなことは言語道断だと考えるのですが、その結果それぞれ選択されて首切をされると考えられるのは我々の邪推でありますか、こういう点について情報を持つておるか、その有無と、これに対する文部当局の見解を伺いたいと思います。
  97. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 御指摘になりました具体的の事例については私は承知しておりません。一般的に勿論本年度でありましよう。つまり本人の自発的退官以外の原因による退職者というものは各府縣に相当あることは私共考えております。只今や話の免許関係についてでありますけれども、全体的の問題から申しますれば、今日非常に助教員の割合が多いのでありますから、漸次これを正教員に切換えて行くという方向に各教育委員会とも努力しておられることも私共承知いたしております。ただ免許法が制定せられましても、御承知のごとく、助教諭免許状というものは出し代えることはできるのでありますから、直ちに現職の助教諭が、すべてその基礎を失つてしまうというような不安にあることではないと思つております。のみならず助教諭の方に対しましては、それぞれ只今お話もありましたように、現育教育も行われて、上級免許状を取得する途も開かれておるのでありますから、そこに現に助教諭である方々も、こうした方針に從つて十分向上される途はあると思います。もとより免許状という場合には、單に講習で一定の講習を習得するだけでなくて、現職中の成績も見ますから、御指摘のごとく成績不良なるものがこの間に淘汰せられるということもあろうかと考えております。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 殊に私の伺いたいのは、さつきの山形の例でありますが、これはどうでしようか、退職をさせて、そうして入れている。これは事実なんです。これは向うの関係者に聞きましたのですから、恐らく間違いはない。こういう形で、実はこれは教育委員会の意向というものは具体的にまだよく分つておりませんが、まあやはり経済的な裏け付がない。そうすると、その後任の問題が出て來るのじやないかと思いますが、これはそれと連関して、後任者に対してはどういうふうに文部省は処置されておるか、つまり受講をされておる期間であります何時間か、それは休みだけ利用しているのじやないと思います。又今の師範の志望者が少いというので、そこに助教を入れて見るという便宜的な方法を取られたのです。その後任者については財政的な処置をはつきりされているのかいないのか、若しないなれば非常にここから混乱が起きて來ると思うし、又そういう事情を見て來ております。その点はどうでしようか。
  99. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) インサーヴイス・トレーニングに対しましては、別段後任者の定員を考える必要は私はこれは差当りないと思つております。免許法の要求いたしますあれだけの時間数、その他は休暇中におきましても十分習得できることであると考えております。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 これは今のお話ですが、どうでしようか、実際助教の講習なんかをやりたいけれども出られないという実情が起つて來ることは北海道当りで聞いたのです。例えば僅かの、二十人、十五人というような單級又は複式の学校では、後任がないために出られないということが起つておる。それから出さないということが起つている。そうすると、やはり今言つた後任者を或る程度募集するという政策がなければ、今言つた助教なんかの講習というものは徹底的にできない、間に合せでやつているに過ぎないのです。その結果、受持ちの子供達が後任がなければ非常にこれは犠牲になるわけであります。更に出たくても出られない、後任がないために実際に出られない。この二つの面について文部省は或る程度措置をしなければ、十分に今の目的を達することができないというふうに考えておりますが、どうでしようか。
  101. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) そのお話のように、非常に特定の場所の特定な事情、これらにつきましても、勿論文部省は十分各地の状況を考えまして、將來に應じなければならないと考えております。私先程申しましたのは全國的の一般論でございまして、今日これは教育上決して好ましい状況ではございませんけれども、級外教員というものをそう各学校においては包容できない。お話のように現職教育間のいわゆる予備的の現職者を持つておるといたしますれば、常に相当数の級外教員を持つていなければならない。勿論この相当数の級外教員を持つことは教育上好ましいことである。理想である、外の目的から見ましても必要でありまして、これはまあ我々といたしましても、將來十分各地方の方々とも協力いたしまして、そうした級外教員の保持というような時期が一刻も早く來ることを希望しておるようなわけであります。ただ先程申上げましたのは、免許状におきます現職教員の時間等につきましては、我が國教育の現状から見まして、そう無理のない時間数、現職教員の期間を考えました次第でありまして、一般論から見れば、お話のように直ちにそれに対しまする定員の手配をしなければならないというふうには考えていなかつたのであります。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 山形のような措置は、やはり地方財政上止むを得ないと文部省は考えておりますか。
  103. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 同じ答えになりますけれども、やはり級外教員を増加し、包容するということは、必らずしも山形のみならず、各府縣におきましても、現状はこれは望みたいことではありますけれども、困難であろうと思つております。
  104. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) 次の問題に移つてよろしゆうございますか……次は、主税局長がお見えになる予定でございましたが、衆議院の方で、今どうしてもこちらの方にお出でになることができないという御報告がございましたので、この問題は次の委員会に讓つて散会をして如何がでございましよう。
  105. 岩間正男

    岩間正男君 私はさつき定員定額制地方事情の再通達の問題について、やはり本委員会ももう少し委員会の意向を纒めて、文部省は、さつきお話だと大臣はその方に努力する、再通達を出すような方に努力すると言われておりますが我々としてもこれはやる必要があるのじやないか、こういうふうにも思うわけです。ところが今日は割は委員諸君が見えられませんので、近いうちにもう一回、できるだけ早い間に会議を開いて、この問題を委員会で討議して貰いたい。そういう処置を取つて頂けたらと、こういうふうに考えます。
  106. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) その点御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) それではそういうふうに決定いたします。
  108. 河野正夫

    河野正夫君 特に主税局が見えなかつたけれども、これは先程私の質問いたしたのをお聞き下さつたでありましようけれども、文部省としても、文部省の解体にまで及ぶような重大なもので、文部省の解体はどうでもよろしいとしても、実際國の教育の根本的なあり方の問題に触れて來るのであります。それ故に税制ということについては、一般的な税制として議員が了承する必要は十分ありましようし、更に教育関係の面としても十分あるので、この次の機会には是非出席を求めて、その点について説明を伺いたい。
  109. 木内キヤウ

    ○理事(木内キヤウ君) では今日はこれで散会いたします。    午後二時三十二分散会  出席者は左の通り。    理事            木内キヤウ君            松野 喜内君            岩間 正男君            高良 とみ君    委員            河野 正夫君            小野 光洋君            大隈 信幸君            三島 通陽君            山本 勇造君            鈴木 憲一君   國務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君   説明員    大藏省主計局主    計官      岩動 道行君    文部事務官    (初等中等教育    局長)     稻田 清助君    文部事務官    (社会教育局) 宮村六一郎君    文部事務官    (社会教育局文    化財保存課長) 深見吉之助君