○淺岡
證人 私は本
会議が始まりまして、これはもう私の一身上の弁明のときにも申上げたんですが、
議長の前に
カニエ君が突き飛ばされたか、とび込んだというようなことを私は見ておりませんから、分りません。と申しますことは、ベルが鳴
つて、それから各
議員が
議席に著かれました。私も当然
議席に着きました。そうしますと、民主党の境野清雄君が私のところへ來まして、淺岡君今日は非常に
委員会が
混乱した。又本
会議でも
混乱するようなことがあるかも分らないと、そういうふうな場合にはなるたけ君は
壇上などに登らん方がいいぞ。君が登れば僕も登らざるを得ないというようなことを私のところへ行
つて來たわけです。私は非常に境野君と学生時代から、私の後輩ですから、仲がいいのですから、特に境野君は私のことを心配して
言つてくれたんだろうというようなことで、私はまあ
演壇に登るとか登らんとかということは別の問題として、與党の立場、或いは政府
委員というような立場から、なるたけ靜かにしておる方がよいのだということで、自席で見てお
つたのであります。そうしますと、これは
はつきり分ります。共産党の
板野君がすすつと壇に登
つて、手を振
つて何か
言つておりました。或いはそれが小
委員会を開けと
言つてお
つたのか、どういうことを叫んでお
つたのか、そういうことは
はつきり聞こえませんでしたけれども、とに角騒いでお
つた。それにつれて共産党の
議員の大半、中野君は残
つてお
つたと思いますが、その他の人たちが
上つて行かれた。それから無所属懇談会の
諸君が三、四名
上つて行つた。社会党の
諸君も
上つて行かれた、それは原君も
上つて行つたことを見ております。そんなふうで私はあそこの、
議長が閣僚の
椅子の
後ろから
参事席の前を歩いて行かれるのを阻止されておる
状況を見てお
つたのです。勿論
カニエ君がそこへ飛んで行
つたことは見ておりました。そうこうしているうちに、だんだん
議長が
議事部長のおる
あたりまで行
つて、そこで激しくもみ
合つておられたわけです。そうしておる。これは確か時間的に見まして、相当の時間がかか
つたと思いますが、そうすると塚本重藏君がとんで行かれて、これはまあ社会党の長老でもあるんだからなだめに行かれたのだと、こんなふうに
思つておりました。ところが見ておりますと、これはとても
議長は
議長席に著けんだろう。
後ろの方を見ておりますと、
松嶋副
議長は
議席を離れて
演壇の方に行かれた。私の方の同僚
議員も、おい
一つ演壇に行
つて議長を
議長席に著かせたらどうか、松平
議長を
一つ議長席に著かせたらどうだということを言われたのでありまして、それで私は暫く見ておりましたが、何だかもうほんの
議事部長のところから
議長の
椅子までは、歩けばほんの四、五歩で行けるのですから、何とか行けないものであろうかというようなことで、
松嶋副
議長が
議席を離れたのを見ながら、私は
議長の阻止されておる場所へ行
つたわけです。そうしますと、塚本重藏君がおいこら、ここは淺岡君、君の來るところじやない。成るほど私の來るところじやないと
自分も感じましたが、
自分はやはり政務次官をいたしておりましたし、
委員席に坐
つてもよいというようなことを考えながら、ずつと
議事部長の側のところの
椅子や机の所まで入
つて行
つて、それを見てお
つたわけです。それから何か、前が少し、
ちよつとやれば前があくと思うから私は、それは原君だと思います。原君を
ちよつと私はよけて、
議長、前へお出なさいと、私と
議長との間は殆んど一メートルぐらいがら空きなんです。
ちよつと一メートル近く、まあ二尺五六寸か三尺近く、それで
議長に前に御出なさいというのですが、もう
議長はどうしても前に出ないのですね。出ないからふつと不思議に
思つて議長に前にお歩きなさいと
言つて足を見ますと、何かそこに黒いものがあ
つて、
議長が動けずにおる。そのうちに私が
後ろから押されそうにな
つて、その人を踏付けてはいかん。私は初めは衞視かなんかそこに倒れてお
つたのかと思いましたけれども、そうこうしているうちに、丁度青木
参事が
議長から書類を貰
つて、それを副
議長の……、
近藤君のいる方に手を延していたのを私は見ましたから、それで
ちよつと更に私は退が
つて、その
議長が前に進めないのをどうしたのかと
思つて見ようとしましたけれども、そのときは私と
議長との間には人が三四人入
つてお
つて、その人が衞視であ
つたか、或いは
カニエ君であ
つたか、誰だ
つたか認定はできませんでしたが、とに角
議長の足許に黒い服を着てお
つた人がお
つたことは
はつきりと見たのであります。