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政府委員(
宮崎太一君)
只今中平委員の仰せになりました点につきまして、私共も非常に困いているのでございますが、今日におきまして大体九割
程度の
保險料が入
つているのでございますが、今月の末までに
丁度会計の出納の閉鎖になりますので、それまでに五分ぐらい取りまして、九割五分ぐらいにしたいということでございますが、九割五分ぐらいにいたしましても、尚五億の
赤字が
調定額に対して生ずるわけでございます。これはどういうことかと申しまするというと、大体毎年若干の未
收入がございますが、本年は非常にその点が多く相成りまして、私共といたしましては、去年の十二月におきまして、全國に
保險料徴收月ということにして、十二月中は外の
仕事を成るべき差控えてでも
保險料の
徴收に当るべしということでや
つたのでございます。そういたしまするというと、十二月頃で約八五%ぐらいにな
つたのでありますが、一月、二月に又下
つて参りまして、そこで一月に最も
保險経済に影響のある
大府縣の課長を私の部屋へ呼びまして、そうして十二月で打ち切ることのないように、一月も
一つ続けて
保險料の
徴收に当るようにという話をいたしまして、若し
予算のないところは
差押処分まで及んででも取
つて貰いたいというような強硬な態度をも
つて望んだのでございます。それから一月、二月と進んで、今日は九割のところまで
行つたのでございますが、
只今中山先生の言われましたように、実際、
工場におきまして
賃金の
支拂すら滯
つておるところもありまするので、いろいろな手段を講じましても、なかなか取れないところがあるのでございますが、何分にも
保險料というものは毎月々々の
給付の金でございまするので、この点は外のものと違いまして、
反対給付がありまする
関係上、いろいろ
説明をし、或いは出掛け、或いは呼びなどをしていたしまするというと、大体納めて呉れる
事業主が多いのでございます。併しどうにもならないところも若干あるのでございまして、その点につきましては今日の
経済界の
情勢上甚だ弱
つたことであると思
つておるのであります。それからもう
一つ困りますのは、今日の場合におきまして、
政府管掌の方はそれで済みましたが、
組合管掌の分があるわけであります。この分につきましては、
組合と申しまするものは、
大体大工場或いは中
工場、大
事業場、中
事業場というように、その
経営の非常によろしいところが
組合を作
つておるわけであります。ところがそれはこの
組合を作りましたときにおきましては立派な
工場、
事業場であ
つたわけでありますが、年数を経過するに從いましてそれが惡い
工場になり、惡い
事業場に変
つておるところもあるわけでございます。そこでそういう
経営の思わしからざるもの、或いは
保險の
運営上好ましからざるものにつきましては、
組合を解散させまして、そうしてこれを
政府管掌に吸收するというような処置に出たいと思いまして、若干の
組合につきましては解散をいたさせたのでありますが、本年におきましては
日本経済九
原則等の
関係でいろいろな場合が起
つて参りますと思いますので、そういう
組合が日を経ましてますます多くの
赤字を残して、どうにもならないように
なつてから解散するということのないように、即ち、
政府管掌が引き受けましても、そういう燒傷がないというふうに見透しをつけまして、これを解散さしたいというつもりで、その方針で一昨日の
民主部長会議にも指示をいたしたのでございますが、
組合の中にそういう弱いものがある、弱い
組合があるために、
保險料の
收入がなく、
基金に
支拂いが惡い、こういうことで
基金の
医師に対する
支拂いが少いという
状態がございます。それからよい
組合につきましては、これは
保險料も上げ、
給付もよきものにしてや
つておるのでございまして、この点につきましては
心配ないのでございますけれども、今日の
経済界の
状況等から見まして、そういう点のありますることはお説の
通りでございます。これが
收入が調停よりも少いという問題でございます。それから支出が増したということにつきましては、これは実は二十三
年度におきましては、四月から七月の間は
医療の
給付が一億五千万円
内外であ
つたのでありますが、それが八月、九月からずつと増して参りまして、この増して参りました原因は、
一つはこの前の
法律改正によりまして、
医療担当者であるお
医者さんが全面的に
健康保險に
協力するという
立場に出されたことと、それから
單價を値上げいたしまして、先程申しましたように、
地方におきましては一点十円、六
大都市におきましては一点十一円というように
單價を上げました
関係上、いわゆる
慣行料金と
保險料金との開きがないか或いは少く
なつた、こういう
関係でお
医者さんの
協力が増して來る。同時に
医療費が非常に増額を來しておるということでございます。もう
一つは先程申しました金詰りの
関係がございまして、被
保險者が從來ならば、どうも
保險医を使うといろいろ面倒だというようなことで、ポケットから金を出してお
医者さんにかか
つたという人達が、そういうことでなしに
保險を全面的に利用するように
なつた、即ち
保險制度本來の目的を発揮するように
なつて來た。こういうことでお
医者さんの
協力と相俟ちまして、
医療費が一億五千万円
内外のものが、この八月頃から非常に増して参りまして、毎月一億ぐらい増して参りまして、遂に今年の一月には五億三千万円ぐらいになり、二月には五億六千万円に
なつた。即ち
年度当初におきまして一億五千万円であ
つたものが、
年度末になりまして四億六千万円に毎月の
支拂が殖えて來たというようなことになりまして、私共
國会にお願いをいたして
予算を組みました当時とは非常な違いが出て來ました。その後
予備金も廻したり或いは
会計法の
改正をしたりいたしまして、いろいろな
方法を講じましたけれども、
予算が追つつかない、こういう
状態にな
つたのでございます。
これらのことにつきましては、
保險制度の利用が満足すべき域に至
つたということも言えるのでありますが、一面から申しますると、お
医者さんの側において果して正しい請求をしておられるかどうかという点が、余りに殖えまするので問題になりまして、日本
医師会、日本歯科
医師会の
方々と
協力いたしまして、この
医療費の
内容、
医療費請求の
内容等について今少し万全を期そうではないかということに
なつた、
医師会は
医師会の
立場から、
政府は
政府の
立場から、
保險医或いは
健康保險関係者に呼びかけたのでございます。そうして続いて
保險医の監査を実行したのでありますが、その監査の結果、やはり若干不正不当の請求をする
保險医も現われましたので、それらの事例を挙げまして各方面に対して尚一層の戒心を加えて貰いたいという要求をいたしたのでございます。本年も引続きまして
医療内容の適正化ということにつきまして、
政府は
政府の
立場から、
医師会は
医師会の
立場から、
保險医の指導、
保險医の監査等を実行いたしまして、正しき治療、正しき請求が行なわれまして、
保險経済において正常な
支拂ができるように努力したい、こういうつもりでおるのでございますが、尚進みまして今少しく、今日の
保險担当者と
政府との
診療契約等について改訂の要があるかどうかというような点も檢討を加えまして、イギリス等でいろいろなやり方があるのでありまするし、又先般総司令部の社会保障
制度に関する勧告等にもいろいろな示唆がございますので、それらを参考にいたしまして、
健康保險が多年や
つて参りました点数計算の仕方とか、或いは
診療契約の仕方とかいうような点に、檢討を加えなければならんのでないか。それらは
一つ社会保障
制度審議会の
議題にいたしましてよく御檢討を願い、我が國將來の社会
保險或いは社会保障における最も重要ポイントであるこの点を解決したい、こういうように思うのでございますが、現在といたしましては大体そういうような
状態に相成
つておるのでございまして、一部
負担制度等の実施等によりまして、それらの是正が若干できるのじやないかと、こういう期待を持ねておるわけでございます。