○
國井説明員 新しい
法案によ
つて重大な変化のあつたところだけ簡単に申し上げます。
第四條の第二項で「
申請者が
登録の取り消しを受けた者でその
取消の日から一年を経過しないものであるときは、
運運輸大臣は、前項の
登録をしないことができる。これを特に各号からはずしたのは、
登録ホテル業者が
施設などに
欠格事項が生ずる。あるいはその
経営者が禁治産者になり、そのために
取消しを受けるというような事情のときは、一年を経過しなければどうしても
登録をしないということでは非常に酷であろうというので、多少の
弾力性を持たせる
意味で各号からはずしまして、別に第二項としたわけであります。
それから
宿泊客の
退去要求ということを除いたことは、今
委員長からお話がありましたが、これにつきましては、
法制局などの
見解でも、大体客が來て初めに金を拂わぬといつたときには、それではとめられないとい
つて断
つてよいし、一旦宿泊してから金を拂わないというときには、民法の五百四十
一條で
契約不履行という
條項を活用して、相当の
期間を定めてその履行を催促して、なお拂わないというときは
契約の解除ができる。こういう
條項でできるから、わざわざここにあげる必要はないと思う、こういうことにな
つて削除したわけであります。
留置所の問題でございますが、これを削除いたしましたのは、やはり
法制局などの御
見解もありまして、実際において
從來も
お客が承諾したような場合は、当然
質権としてその客の持
つて來た
品物を
留置することができるわけであります。それから先
取得権なども現に認められておる。もし
留置権を認めて、本人にそれでは
かばんを置いて行けと言
つて聞かないときに、
自力で
かばんを
留置することがでるかということは、
文明國の
法律として考えられない。そういう
意味の
自力救済というような
條項ははずした方がよいのではないかという
立法的な御
意見であります。実際問題としては
お客が金を拂わないときに、何か置いて行けと言えば置いて行きますから、
ホテル業者として大した支障もないのではないかというようなところもありまして、削除することにしました。それからもう
一つは
立法体系といたしましてこういうものを入れるのも
ちよつとも色がかわ
つているのではないかという御
意見がこの前の
委員会にありました。いろいろな点を考えまして削除いたしたわけであります。
第十
一條は
課税の
減免の問題であります。
登録税につきましては、この前のには
免除または減額するようにな
つておりましたが、
不動産所得税というような
恩典がなくな
つたのであるから、
登録税につきましてはむしろ
免除した方がよいのではないか。ことに初めて
ホテルを建てる場合には、
從來でも千分の六しか
税金が課せられていない。また他から買い受けて
ホテルを始める場合には千分の五十でありまして、いずれも低率でありますから
免除するという方に行きたいところであります。それでこういうふうにいたしたのであります。
なお
家屋税につきましては、
從來は
府縣税と
市町村などによる
附加税と両方あ
つたのでありますが、
シヤゥプ博士の勧告によりますと、
家屋税は
府縣税からはずされて
市町村税にな
つております。その税率をどんなふうにするかはわからないが、一應これは二分の一に減額するというふうにいたした次第であります。
それから第十四條は認可及び許可の
條件でありますが、この前にはこの中に
登録の点も入
つてお
つたのであります。それは大体において
登録ホテルあるいは
登録旅館としての
條件を備えておるが、一部不完全なところがあるというときには、
不動産取得税などは、一應でき上るとすぐとられる
関係もありますから、あらかじめ
停止條件付で
登録させてはどうであろうかということもあ
つたのでありすが、
不動産所得税の
恩典がなくな
つてしまえば、そういう
停止條件などをつけて許可するという必要もなくなる。それから完全にでき上らないうちにこういうような
登録をさせておくことになると、一
應登録ホテルあるいは
登録旅館というものにな
つて、
家屋税の
減免を受けることにな
つて芳ばしくないのであります。そういうような点から
登録というものを
條件の中からはずしたわけであります。
それから第十五條にございます
資金の問題でありますが、これはこの前の
委員会で御
決定に
なつたような
資金の
貸付ではなく、
貸付のあつ
せんということにしたのでありまして、多少弱くな
つたので2ありますが、必要のある場合には
審議会に諮
つて資金のあつ
せんをする、
行政官廳にあつ
せんの義務を一應課するという
意味でここに入れたのであります。
それから第十六條の
登録の
取消の三に「第三條の
登録を受けた者が、正当の理由がないのに、
登録後六箇月以内に
営業を開始しないとき」とありますが、これもやはり
取消しの
條件としたものでありまして、
法制局などの御
意見もありまして
登録すれば
家屋税などは
免除を受ける、減額される。それなのに依然として
営業を開始しない、いつまでもそのままに置くということは不適当である。中の備品などがそろわないからとい
つて荏苒日を過ごすということはよくないから、こういう
條項が必要ではないか。こういう
見地からこれを加えたわけでございます。
次に第十七條でありますが、これはたとえば
営業を
廃止したいというようなときに、前に相当な
課税の
免除や減額の
恩典を受けておるのに、その
恩典がが五箇年間でなくな
つてしま
つているから貸ビルなど他に轉貸するとか、賣却するとかいう
弊害が起ることも考えられる。そういうように故意に
廃止されるような
状態に
なつた場合、今まで
免除したものを全面的に認めない。特別の事情あるときは認める場合があるが、場合によ
つては十
一條から十三條までの適用はないものとみなして、
登録税とか、
家屋税とか、
輸入税、
法人税を追徴し得るような法規が必要ではないかという
立法的な考慮から十七條が入つたわけであります。
次の十八條も同じく
立法的な
観点から、
登録の
抹消廃止の
申請をして來て、これを受入れた場合には抹消する、その方が
立法技術上よかろうということに
なつたわけであります。
それから第十九條の
報告の点につきましては、
委員長の御
説明がありましたが、立入りを避けました。
それから
審議会でございますが、
審議会に付議すべき
事柄につきましては、「この
法律を改正する
法律案及びこの
法律に基づく政令の立案並びにこの
法律に基づく命令の制定及び改正」という
條項が前にございました。しかしこれは
立法府が主として当るべきものであり、
法律の改正案などを
審議会に諮るのはどうだろうかという御
意見もございました。それにつきましては、事前
審議で改正案をつくる場合にも、民主的な面でつくる必要があるからという御
説明を申し上げておいたのでございますが、
法制局とも御相談いたしまして、こういうものをしいて置いておく必要はないじやないかというので、かたがたこの前の
委員会の御
意向などもございましたものですから、こういう点を削りました。
それからこの十七條にあげておりますところの、一旦
免除あるいは減額した
税金の追徴の問題につきましては、
審議会に諮る。また訴願の裁決というものにつきましても、問題が重要であるから
審議会に諮るようにする。他の
立法令などをも参酌いたしましてそういうふうにいたしました。
次に
審議会の構成員でございますが、これにつきましては、前には交通機関の代表というものが二名、入
つてお
つたのでございますが、
審議会の
審議事項というものは交通機関とそう
関係もないから、これを入れるのはどうだろうかというので削除しました。それから旅行愛好者團体の代表というのが前には一名入
つておりましたが、これも同じような
意味で削除いたしました。そのかわりにこの
審議会の
事項が、行政
関係の
事項に相当
関係を持
つておりますので、かたがた
関係各省からの十二分なる
意向を徴する必要もあるだろうというので、
関係各官廳の官吏を三名
程度入れてはどうだろうかということで三人ほど入れることにいたしたのであります。たとえば
課税の減冤
関係など考えまして大蔵省
関係、それから主管官廳たる運輸省、それから建設省とか、その他まだあるかもしれま
せんが、一應そういうふうなものを入れるようにいたしたわけであります。
それから第二十七條第二項の末尾でございますが、これはこの前
畠山委員などから御
意見がありましたことく、
審議に手間ど
つて、かえ
つてブレーキがかかるようでは非常にぐあいが悪いというので、
意見を徴した日から七日以内に
審議を開始し、おそくても六十日以内に
審議会としての態度を
決定するというふうにして、荏苒日を延ばすことのないようにという規定をいたしたわけでございます。
それから第二十九條の「公開による聴聞」、これも
法制局の御
意見によりまして、最近の
審議会の
審議事項から言うと、やはり聴聞という規定を入れる方が民主化された
審議会ということから、せひ必要でないかというので、こういう
條項を入れたわけであります。
最後に
登録旅館業に対する準用の規定でございますが、これは
委員長とも十二分に御相談申し上げた結果、全面的に
登録旅館に準用することは非常にむずかしい。そのかわりにぐあいの悪いところだけ準用するということもまた
登録旅館として迷惑であるから、なるべく
恩典のあるところだけ可能な
範囲で準用するようにという特別の御趣旨もございましたので、そういう点からできるだけのところを準用したというわけでございます。簡単に申し上げますと、第三條の
登録、それから
登録の
欠格事項、それから
登録旅館の
名称は、
登録しない者には許可しない、これは当然であります。また料金の認可及び公示という点も、
外客をとるようになれば当然準用せざるを得ないのであります。それから第十三條から十七條、十九條は
固定資産の
耐用年数でこれをぜひとも
登録旅館に準用するようにいたしたい。それから認可及び許可の
條件、
施設及び
経営の改善の勧告、及びこれの裏付けとなる
資金のあつ
せん、
登録の
取消し、抹消、それから
報告を徴するというように、必要の最少限度の準用をして、これ以上
課税の減冤の点は非常にむげかしいのではないか、
立法技術の上からも非常にむずかしいのではないだろうかという
法制局側の御
意見もあり、またいろいろ考えまして、ぜひとも何とかしようということにしたわけであります。ことに
輸入税の
免除については、考慮の余地があろうかと考えたのでありまして、これにつきましては、
國際観光旅館連盟の方のなども、大体日本旅館については日本品で間に合わせるから、あまりその必要を認めないというので、
輸入税の
免除については認めたのであります。
最後に経過規定として戦前地方廳で大蔵省の低利
資金の融通を受けて建てた
ホテルが、近く民有になるので、これが民有に移るときに
不動産所得税を減額するという経過規定がありましたが、今度
不動産取得税がなくなる
関係もありまして、附則のところから削除したわけであります。
大きな変更をした
條項といたしましては、大体その
程度であります。