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1949-04-23 第5回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年四月二十三日(土曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 中山 マサ君    理事 佐々木盛雄君 理事 冨永格五郎君   理事 藥師神岩太郎君 理事 若松 虎雄君    理事 受田 新吉君 理事 坂口 主税君    理事 横田甚太郎君       足立 篤郎君    池見 茂隆君       小川 平二君    北川 定務君       小西 英雄君    玉置 信一君       山本 猛夫君    岡  良一君       堤 ツルヨ君    立花 敏男君       山本 利壽君    吉川 久衛君  出席政府委員         厚生事務官   川井  巌君  委員外出席者         総理廰事務官  矢口 麓蔵君         総理廰事務官  吉村又三郎君         厚生事務官   田島 俊康君 四月十五日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として吉  川久衛君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員田島ひで辞任につき、その補欠として立  花敏男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員会報告に関する件  委員派遣に関する件     —————————————
  2. 中山マサ

    中山委員長 これより会議を開きます。  日程に入ります前に、先日柳原委員よりお話のありましたタロワ島の問題につきまして、当局より発言を求められておりますので、これより速記を中止して、説明を聽取いたします。     〔速記中止
  3. 中山マサ

    中山委員長 速記を始めてください。  それでは海外胞引揚促進並びに引揚援護に関する決議案起草小委員長より小委員会報告を求められておりますから、これを許可いたします。
  4. 若松虎雄

    若松委員 一昨日小委員が集まりまして、お手元に配付いたしましたような決議案を作成したのであります。お読みになつていただけば大体おわかりになると思いますので、御説明はいたしませんが、この内容によつて御審議願いたいと思います。
  5. 横田甚太郎

    横田委員 大体この決議案には異議はないのですが、このうちの三点について、書かれた方並びに政府に一應意味を承つておきたいと思います。  第一は三行目の「今なお四十数万の同胞が異国に残留を余儀なくされている」というところの、四十数万は一体何を基礎にされているか。それから次の「政府抑留同胞引揚を年内に完了するよう万全の措置を講ずると共に」と書いてございますが、この万全の措置を講ずる云々の点で、たしかこの前の小委員会では昨年は四月の終りごろにソ同盟の方から五月に歸すというような通知があつたけれども、今年はいまだにないということを言われた。それから後にまだ通知がないのだろうと思うのでありますが、なかつた場合にはどういうような処置を講ぜられておるかということです。それから三つ目に、「引揚者に対する温き援護の手を差延べる」というところです。この援護の手はどういうふうな形においてやつておられるか。受入態勢のことですが、これだけであります。
  6. 若松虎雄

    若松委員 これはどうも私どもはこまかい点はわかりませんから、むしろ政府の方から御説明を願いたいと思います。
  7. 横田甚太郎

    横田委員 それでけつこうです。
  8. 玉置信一

    玉置委員 でしやばりですけれども、先だつて委員会外務省管理局引揚課当局からり、連合軍司令部発表というこの印刷によつて説明されました、これによつてこの数字を書かれたのじやないかと私は思います。
  9. 中山マサ

    中山委員長 そのときに一々御発表なつたように思つております。
  10. 横田甚太郎

    横田委員 その発表なのですが、その数字はだれがどの地でだれに渡してどういうような受取りをとらしてどうされたということを聞きたい。それはただいまのタロワ島、あるいはナホトカの人民裁判の問題、あるいは吉村隊のようにかの地に行かれた日本人の間で残虐事件がたくさんあつた捕虜の人員はわかつておると思つてつて引渡し終つて人数が足りなかつたら、こつちは四十数万人捕虜になつてつた思つておるにもかかわらず、三十万しか歸らなかつたとすると、あとの十万人はソ同盟によつて殺したと言われるのか、それとも日本の軍隊が降伏のどさくさに殺したか、その点を聞きたい。たれがたれに渡して、どんな受取りをとつておるか。何を基礎にして言つておるか四十数万かということをはつきりしていただきたい。
  11. 玉置信一

    玉置委員 この数字の問題は、この決議案議題のもとに論議する必要のないことだと私は思います。別個に問い質す問題であります。どこで殺されたか、どこで虐殺されたのかという問題は、先ほど佐々木委員が申されましたように、柳原委員が先だつて提案された問題をいかに処置するかということを委員会理事会で方針をきめて後にこれを取生げるかどうかを決定するということでございまして、この問題に取上げられるとした場合に——仮定ですが、そこでこれを論議してもさしつかえないと思います。本日の決議案はこの趣旨で一應進行すべきじやないか。かように私は考えます。
  12. 横田甚太郎

    横田委員 決議案趣旨については私たちも何の苦情も言つておらんのです。これは大体理事会で通つたことです。しかし聞きたい要点は、今年中に歸してもらいたいというのが小委員会意見であつた。また今年中に歸してもらいたいために、共産党としてはどんな手でも打とうと思つておる。そのときに四十万いなかつたならば、もしソビエトが殺したと言うのであれば國際公法上、あるいは戦争法規上の問題として向うに抗議をしなければならない。しかしソビエトが殺したとだけは言えない。私たち戰争に反対して、國内の天皇制のもとに受けた残虐性から見て、日本人日本人を殺すようなことは平氣なことである。現に小委員会でも言われたように、比島において看護婦が洗濯をしておるときに、食のなくなつた兵隊が鉄砲で打つて看護婦を殺して、その肉を食つたと言つておる。そういうようなことのあつた軍関係において、引揚を完了して三十万歸つて来て、まだ十万足りなかつたときには、引揚対策委員として日本の遺家族にそれをどう説明していいか。そういうことを一應聞いておきたいので、決議案が上程されるときにそこをはつきりしていただきたいということで言うておるのです。
  13. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 ただいま共産党委員からの御質問趣旨も、もつともなこととは考えるのではおりますけれども、今日の日本の置かれておる立場から申しまして、遺憾ながらこの数字を明確に知ることは、困難な現実ではなかろうかとわれわれは考えるのであります。從つて議題として取上げております海外胞引揚げ促進、並びにこれに対する援護決議しようとしておる考えからいたしますならば、ただいまの御質問は、後日政府当局に向つて正しく御質問を願うことにして、本日は何と申しましてもこの引揚げ決議案をすみやかに当委員会において可決いたしまして、これを衆議院の総意に基いて政府に傳達するようにはかりたいと考えますので、ただいまの御質問趣旨にはまつたく私も同感ではありますが、諸般の事情を勘案して、すみやかにこの決議案議題として、どう取扱うかということを委員長において取計らわれんことを望みます。
  14. 横田甚太郎

    横田委員 決議案の形は文句はない。だから四十万云々の点について、もう一言だけ聞いておしきます。私たちは、この数字が一方的に出ておる場合においては、その相手方であるところのソビエトからも数字をもらうべきであると思う。日本はそれを要求すべきだと思う。日本の今までの政治の形である保守反動的な行き方は、アメリカに対しては非常にゆるやかで、ソビエトに対しては非常にきついと思う。ソビエトに強く出して行くのねあなた方は得意だ。ソビエトに対しては敗戦國とは言いながら、どんどん悪く言つておられる。その数字発表してもらえないことはない。それを政府は自主的にやつてもいいかと考えますが、やる覚悟があるかどうかということを聞きたいのです。
  15. 中山マサ

    中山委員長 それではこういうことにいたしたらいかがでございましようか。その御意見を尊重いたしまして、理事会に諮りまして、一度向うに当るなりどうなりして、理事におまかせしていただくわけに参りませんでしようか。
  16. 立花敏男

    立花委員 これはそちらから発言がありましたように、あるいは政府委員の方もはつきりした御答弁もなかつたので、一應われわれとしては自信の持てない数字です。数字自体は私たち云々することはできないと思うので、だからそれを数十万というふうに直せばよいのではないかと考えます。その点をひとつお考え願いたいと思いますが、どうでございましようか。
  17. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 ここに現れております四十数万というのは、われわれが今日置かれておる環境から知り得る最も正確な数字であろうと私は考えるのであります。これは対日理事会正式発表になつております。これ以上知り得ない環境にあることをわれわれは考えなければならぬと思います。
  18. 立花敏男

    立花委員 しかしこれはわれわれが聞かされた数字であります。われわれが自信を持てる数字でないことは、そちらの委員がおつしやつた通りで、この数字に基いて正式にこれが決議文の中に含まれておりますと、あとで非常な問題が起る場合も当然予想される。從つてこれは問題とならないような形で発表して行く方がいいじやないか。その方が妥当じやないか。
  19. 小西英雄

    小西(英)委員 先ほど言われたのですが、この理事会あとから相談するよりも、すでに日本のおかれている立場が、ソビエト面接交渉権がないということをみな認識してもらわなければならぬ。連合國以外にはその交渉余地がない。連合國の中にはソビエトも合まれているのだから、これ以上追究したり調べる余地はないと思います。
  20. 横田甚太郎

    横田委員 私が言うのは、四十万が五十万になろうと百万になろうと、そんなことはかまわないが、これを理事会ではつきりしてもらいたい。そのする意思がないかどうか。たとえばそれが十万であれ、五十万であれ、ロシヤが五箇年計画をやるために日本人を殺したと言われるのであれば、これは共産党員であつてもゆゆしき問題である。他党は許されても、共産党は許さぬ。その点において数の正確を云々したのであつて、これを数十万にしてくれとか何とか言つているのではない。これだけの数字を出して、それで足らなかつたならば、どこのだれが殺したかということを徹底的に追究して人権を擁護してもらいたい。これだけの含みで言うだけのことであります。
  21. 池見茂隆

    池見委員 横田委員お話はよくわかりますが、この決議案起草にあたつては、少くとも委員会から起草委員が出て、この決議案が作成されたものと私は考えます。とすれば、横田委員は今この決議案趣旨には賛成だとはつきり言われますがゆえに、この決議案決議案として、先はど佐々木委員お話なつたように、一應これを委員会で承認をして、そうして横田委員の言われるところの根拠ある数的な調査については、やはり柳原さんの問題を取扱う場合において、当局説明を聞き、われわれの質疑を行つて、そのときにわれわれが一般に話し得る材料を確保すればいいと思いますから、この決議を可決していただきたいと思います。
  22. 中山マサ

    中山委員長 決議案の案文はこれでよろしうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 中山マサ

    中山委員長 それではそのように決しました。  なおこの決議案は本委員会決議とせず、衆議院決議といたしたいと思いますから、その手続等については委員長理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 中山マサ

    中山委員長 それではそのように決しました。  ちよつと速記を止めていただきます。     〔速記中止
  25. 中山マサ

    中山委員長 それでは山西省の問題について引揚援護廰の方の御説明を願います。
  26. 田島俊康

    田島説明員 中國における戰況が現在のようになりましたにつきまして、山西省太原状況を、数箇月前に歸つて來ました人がおりますので、二、三の場所について御質問等も受けましたので、幸いこの席で申し上げたいと思います。  御承知のように、終戰のころは山西省に約一万ぐらいの邦人がおられたのでございますが、これが逐次機会をみて内地の方に集團的に歸つて來られました。そのうちに戰況関係集團的にも歸ることができなくなつた。最近脱出者報告によりますと、現在大体千五百名ほど太原に残つております。この二、三日來の新聞ラジオ等で御承知通り太原には中共軍がすでに市街に突入したとか、総攻撃を始めるとか、いろいろな報道があるようでございますが、大体今そこに千五百人くらいおられるのではなかろうかと私どもは想像いたしておるのであります。そのうち約五百人が元の陸軍軍人でありまして、千人ぐらいの方が一般邦人山西省で各種の事業その他をなさつていらつしやつた方々でなかろうかと思つております。  なお先般新聞に、今村という元の大佐が閻錫山軍の方に加わつて戰闘しておるというような話も傳えられておつたのでありますが、今村という人は確かにおるということを脱出者の方は話をしておりました。現地の状況は私ども想像することもできませんので、はなにだ心痛いたしておりますが、千五百人ばかりの人が山西省太原に残つておる。こういうことで、今度の戰争で犠牲になられないようにと私どもは念ずるよりほかしようがないのでございますが、大体状況はそういうことになつておりまして、今の中國の戰況におきまして、特に日本人集團をして残つておるというのは、ほかに若干はおられますが、まず太原だけであります。一應御報告いたしたいと思います。
  27. 中山マサ

    中山委員長 それでは來月の初めにお休みが大分ございますので、舞鶴地区あるいは北海道の方に出張して、受入れ態勢の現状を観察したいという御希望があるようでございますから、希望者の方はお申出をくださいますれば、また善処いたしますから、さよう申し上げておきます。
  28. 横田甚太郎

    横田委員 引揚関係人権問題について、これはただいま返事をしてもらわなくてもよいのですが、非常に戰争犠牲者——その中には國の内と外があつて、内の人は引揚関係の人においてわれわれの関係でないかと思います。帰つて來られた方はわれわれの関係です。そのような方で非常に人権を侵害された方があるので、それに対しては政府は一体どこの委員会において人権を擁護するような措置をとられようとするか。  第二には國の内外の引揚げ阻害原因を徹底的に究明して、引揚げを今年中に完了してもらいたい。從いまして阻害原因を徹底的に檢討してもらいたいということであります。たとえばソビエトに対しまして、返事がないからと言つて泣いているのではなく、もつといろいろの手を通じて、帰してもらうような返事を聞くべきである。  それから三番目には、中共地区引揚げ野坂參三の問題のことをお願いしたのですが、中國は大体中國共産党が勝ちました。その結果として、どれだけの効果があるのか知りませんが、政府のある筋の方が、これは今の政府のものとは限りませんが、中國と野坂參三とは関係があつたので、野坂參三中共地区の未復員者を帰してもらうために行つてもらつたらよいじやないか、こういうことを聞いたのです。そういうことがあつたのかどうか。もしあつたならば、共産党としてはいつでも行つてもらう。從つて政府としては、もしそれが効果があるならば、責任をもつて引揚げに関する熱意を示す意味において、野坂參三を四十日か五十日中共地区行つて、人をもらつて帰れるような措置をとつてもらいたい。そうすることができない障害を発表してもらいたい。これを委員会に一ぺんかけてもらいたいと思います。
  29. 足立篤郎

    足立(篤)委員 先ほど可決になりました決議案に対しまして希望を申し述べたいと思います。毎國会において同様の決議案全会一致で通つておるわけでありますが、なお今日遅々として引揚げ問題が進まないということで、まことに慨歎にたえないわけであります。今回の決議案も、書き様はこれ以外にないと思うのでありますが、抽象的な決議案を可決いたしましても、実際的な効果はまことに疑わしいのでありまして、もう少し突込んで具体的に、本委員会としても、あるいは國会としても、政府としても方策を進めるべきであると思う。ただいま横田委員からもお話がございましたが、いろいろの対策を考えて行かなければならぬと思うのであります。それでこの決議案國会に上程されました際に、具体的な方策政府側から願いしたいと思うわけであります。なぜかと申しますと、すでに総理大臣施政演説におきましても、この決議案にある程度のことはおつしやつておられる。政府にすでにその覚悟があるわけでありまして、それをまたここでたた決議案を通すというだけではほとんど無意味に近いと思うのであります。前回の委員会におきましても申し上げたように、現在の協定で月五万を歸すということになつておりますが、これから始まつたとして、結氷期までに五万の割合でかりに行きましても、この前の政府お話では四十九万何がしというものは残つておるということでありまして、全員帰還ということは不可能になります。不可能なものを承知決議案を出すということは、はなはだおかしな話でありまして、附帯的な希望としては、結局この五万というわくをさらに増大していただくように、連合軍司令部に誠意をもつて國会としても、政府としても当るということ、なおこの決議案政府にほとんど一任するという形でありますが、事務的な問題はもちろん政府におまかせする以外にないのでありますが、國民の輿論を代表して國会側としても連合軍司令部、あるいはソ連大使館等に、連合軍の了解を得ますれば折衝を重ねるということもぜひお願いしたいと思うのであります。  衆議院の方ではやはり同じような決議案が出るだろうと思うのでありますが、參議院側では相当今まで突込んで引揚者引揚後の救護対策等についても考えられて推進されて參つておりますので、就職のあつせんの問題とか、住宅の問題とか、あるいは生業資金の増額の問題とか、具体的な問題を参議院側と御連絡を願い、御檢討の上で、この決議案が上程される際に、政府側からも相当突込んだ答弁をいただけるように、特に希望を申し上げたいと思います。
  30. 中山マサ

    中山委員長 それではただいまのお言葉を了承いたしまして散会といたします。    正午散会