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政府委員(
荻田保君)
只今配付になりました
地方税法案につきまして、從前の
地方税法が変りました点を御
説明いたしたいと思います。
文語文でありましたのを口語文に直しました。そういう字句の点は別といたしまして、それでは初めの第十一條が新らしい
條文であります。ここに
標準賦課総額、
標準賦課率という
言葉が後に出て來るわけでございますが、その
言葉の
説明をここに書いてあるのでございます。「
標準賦課総額又は
標準賦課率を定める
税目については、
地方團体は、その
財政上特別の必要があると認める場合を除く外、その
標準賦課総額又は
標準賦課率をこえて課税してはならない。」例えば
府縣民税につきまして
納税義務者一人
当り五百円というのが、
標準賦課総額にな
つております。そういう普通の場合には五百円以下に課税する。特別の必要のある場合に
限つて、それをこえて、例えば六百円とか七百円を課税してもよろしいということを書いてあるのでございます。第十三條におきまして
地方税を掛けてはいけない場合を列記したのであります。これはここに一號から二十四号までございますが、大体ここの中初めの
数号以外は、特別それぞれの
法律によつたわけでございます。それを今回
地方税法に
纒めて、一目いたしまして、
地方税法、
地方税はどういうものに掛けてはいけないかということをここの列記したのでございます。
内容は殆んど変
つておりません。つまり
從來ばらばらにな
つておりましたのを、ここに一括しただけでございます。
次は第十七條でありまするが、道
府縣の
税金は
市町村をして
徴收させることになります。
市町村が道
府縣の税を徴税しまして、道
府縣の納める前に持
つておる間に天災、例えば大水があ
つて村役場が流されたというような場合に、その場合に
市町村の申請によりまして、その納入を免除することができるとな
つておりましたのが、今度はまあ收支を別にいると申しますが、一應納めるものは納めて貰い、その代り
府縣の方からその額を補償するということをいたしておる。
それから次は二十五條でございまするが、これは
税金を滯納いたしました場合督促をいたします。その場合にそういう
状態になりますると
延滯金を
徴收するわけでございまするが、その額を一日に付き二十銭、日歩二十銭というふうに上げたのでございます。
從來四銭でありましたのを一躍二十銭に上げたのであります。これはまあ徴税
強化の面からであります。
それから次の二十六條におきまして小さな問題でありまするが、
地方税に対しまする先取特権の順位が、
國税に次いで
地方税が先取特権がある。その
地方税の中で
府縣税が先ず先で、次が
市町村税と、こうな
つておりましたのを、
地方税に対する限り
府縣税も
市町村税も同列にいたしたわけであります。
次は、三十二條によりまして
税金を
地方税を澤山納め過ぎておるという場合には、その納め過ぎた額を、あとで納るめべき
税金に当ててしまう。一度返して又新らしい税を納めという手続きを省略するために、あとの税に当てるということができるようにな
つております。これは
從來は同種類の税しかできなか
つたのですが、今回は一般に
地方税全体ということに
改正したい。こういう
改正であります。
それから第三十六條によりまして特別
徴收、これは例えば
入場税のごときは
入場税は映画を見る人に課税されるのでありますが、それにつきまして、その税を取る場合、映画館に
徴收の委託をする、こういう
方法であります。それにつきまして新らしい
鉱産税、
入場税、
電氣ガス税、こういうようなものをここに加えまして、而もこれは
從來は
大臣が指定するとな
つておりましたのを、大体分
つておりますものは、法定
税目は
法律で以
つて決めたのであります。
次に第四十二條におきまして、そのような特別
徴收義務者が取
つておつた
税金を失つた場合、やはりこれも
從來はそれは納入を免除することができましたのを今度は一度納入させてその
事情がありまするものに対しましては、更にこれを還付するという恰好にしたものであります。
次に、実はその次との間にこういう特別
徴收義務者に対しまして、その
徴收した行爲について手数料を拂うことができるように
從來な
つておりましたのですが、今回はこれを削除いたしました。つまり特別
徴收義務者は無料で
税金を
徴收して、そうして
地方團体に納めると、こうな
つてのでありましてこれは可なり或る意味におきまして重大なる
改正であります。この点につきましては
関係方面の特に強い要求があつたということを附加えて置きたいと思います。
それから次は以上が大体
賦課徴收の手続に関しまする規定であります。
次の第二章以下は、
地方税に対する実体的な規定であります。先ずこの四十四條におきまして、「道
府縣は、
独立税として、左に掲げるものを課する。」、ここに道
府縣民税以下ずらつと並んでおります。この中に新らしい
事業税、
特別業務税、
鉱産税、
入場税、
電氣ガス税こういうたものが入つたわけであります。
それから尚もう
一つ改正しました点は、ここについております但書でありまして、「但し、
徴收に要する經費が
徴收すべき
税額に比し
多額であると認められるもの、その他特別の
事情のあるものについては、この限りでない。」つまり原則的にはここに書いた税は道
府縣は
徴收しなければいけない。併し
徴收に要する經費が
徴收すべき
税額に比して
多額であ
つて、割損であるというような特別の
事情のあるものは取らなくてもよい。そういう
事情のない限りは皆取らなければいけない、こういうことであります。これによりまして先般御
説明申上げましたが、
地方財政法の方に
地方團体が
徴收すべき
收入を怠つた場合に
配付税を減額することができるというあの規定に
関係あるわけであります。
次は、四十七條道
府縣民税の規定でありますが、この中に道
府縣民税の賦課
方法を
法律を以て規定したわけであります。「道
府縣民税は、左に掲げる者に対し、
所得の情況、資産の情況等を
標準とし、且つ、均等割を加味してこれを課する。」この原則をここにはつきり書いておるのであります。つまり
所得と資産、もう
一つは均等割を、この三つを適当に組合わせて、課税するということであります。次の四十八條におきまして道
府縣民税の賦課期日を八月一日に繰上げたのであります。もと十月一日でありましたものを八月一日に繰上げました。その
理由は
年度初めにおきまして
地方團体が
收入に困
つておりますので、成べるく早く取るということと、もう
一つその次の規定に道
府縣民税の納期は九月及び十一月つまり一期に取らずに二期に取るということを考えております。それがためには成るべく早い賦課期日にした方がよろしいというので、八月一日まで繰上げたのであります。
次に、第五十條におきまして、道
府縣民税の
標準賦課総額は、五百円に
引上げたのであります。これはもうたびたび御
説明しておるのでお分かりのことと思います。
次に、第五十四條につきまして、
地租の納期は四月とはつきりしたのであります。先程の
府縣民税もそうでありますが、納期につきましては今まで別に規定はなか
つたのでありまするが、今回大体納期を統一しまして、これは
地方税におきましてもそうでありまするが、
國税の
負担も重くなりましたので、納期を
地方税、
國税を通じて大体定めておきませんと、余り
一つの時期に沢山の税を固ま
つて徴收するというふうになりますると、
納税者の
負担が重くなるというような感じがいたしますので、そういうことを避けるために、納期を大体各税について適当に定めて均等的に納税させようという思想であります。
第五十九條によりまして、
家屋税の納期を五月に定めました。
それから第六十二條におきまして、
市町村は
地租の名寄帳及び
家屋税名寄帳を備えなければならない。これは
從來は政令によりました規定をここに
法律に書いたのであります。
次は第六十三條、これは新らしい
事業税の規定であります。ここに
事業税とはどういうものかということを先ず書いてあります。読んで見ますと、「
事業税は、法人(民法第三十四條の法人を除く。)の行う
事業並びに
個人の行う第一種
事業及び第二種
事業に対し、
所得を
標準として、
事業所所在の道
府縣において、その法人及び
個人にこれを課する。」そうしまして前項の第一種
事業とは、
物品販賣業以下二十五ございます。これは
從來の
営業税の課税範囲と同じであります。新らしく入れましたのは五号の土石
採取業というのが
一つだけ新らしく入
つております。それから第三項におきまして、第一項の第二種
事業とは、つまり新らしく今度課税されるもの、それは
農業、畜産、水産、林産、その他これらに類する
事業。それから四項に至りまして、「
事業所を設けないで行う
事業についてはその
事業を行う者の住所又は居所のうちその
事業と最も
関係の深いものをも
つて、その
事業所とみなして、
事業税を課する。この場合においては、第六條の規定は、これを適用しない。」つまり
農業等におきましては、いはゆる
事業所というものが、はつきりいたしませんので、そういうところは大体住所をも
つて、これをその
事業所とみなして、その住居の所在地の道
府縣が課税する。第六十四條はそこに掲げました、政令にありました規定をここに入れたのであります。六十五條の第二項におきまして、
事業税の課税を前
年度に課税をいたします。一年經
つてから課税されるのでありまするが、
事業を途中で廃止して人は、廃止してから暫く經
つてから、税が掛かるということで、どちらも掛ける方も、課けられる方も適当でない。廃止したものについては、そのときにそれまでの
税金をすべて取る。それから六十六條は
個人の
事業税の納期を八月と十一月にして、これは二期に規定しております。それかせ六十七條の
事業税の
標準賦課率を決めたのでありまするが、ここで法人につきましては百分に七・五、
從來と同様であります。この外に附加えましたのが
特別法人の行う
事業、それから
個人の行う第二種
事業、即ち
農業等であります。これにつきましては百分の五とな
つております。ここで前項の
特別法人とは、
農業協同組合以下書いてありますような、いわゆる協同組合的なもので、
從來納税の掛か
つていなかつたものであります。今回ここで
事業税を新らしく掛けることにいたしまして、
課率は外のものより五%下げたのであります。それから六十八條におきまして、
個人事業税につきまして免税点を設けることを書いてあります。これは一應免税点は命令に讓るというふうに書いてございますが、これは
相当経済情勢が変化いたしまするので、一々変えなければなりませんので、命令に讓
つておるのであります。大体本
年度におきましては四千八百円くらいに決めたいと思
つております。それから第七十一條、これは
特別業務税であります。これは読んで見ますと、「
特別業務税は、
業務所又は
事務所を設けて行う第一種
業務及び第二種
業務(法人の行うものを除く)に対し、
所得を
標準として、
業務所又は
事務所所在の道
府縣において、その
業務を行う者にこれを課する。前項の第一種
業務とは、左に掲げるものとする。一医業、二歯科医業、三助産婦業、四その他これらに類する
業務。第一項の第二種
業務とは、左に掲げるものとする。一
弁護士業、二司法書士業、三
公証人業、四税務代理士業、五公認会計士業、六その他これらに類する
業務」、これによりまして課税範囲をはつきりいたしたのであります。第七十二條によりまして税率を書いてありますが、この前條の第一種
業務、つまり医業は百分の四、それ以外は、百分の五とな
つております。それから第七十三條、これは
鉱産税を今度
創設いたしますにつきまして入れた規定であります。それから第七十四條は
鉱産税の
賦課率であります。それから次は
入場税、これは新らしく
國税より移管になりますので、ここにこの
條文を入れたのであります。大体
國税の規定を入れておりますが、この七十五條の二項によりまして、いわゆる無料入場というものに対しまして
入場税を課するということを考えております。これは
國税におきましてもこのような計画が
進行しておりましたのでこれを引継いで
地方税に受け入れたわけであります。それから第七十六條は
入場税の
課率を、書いたわけであります。それは普通は百分の五十が
課率でありますが、ここに但書が書いてありますが、先程も話しました特別
入場税に
相当する
部分でありまして、これは百分の二十とするというわけであります。それから第七十七條には電気ガス税を新たに
創設いたしましたので、これの規定が出ております。七十八條にその
課率が百分の五と出ております。それから八十條の
鉱区税、これは
鉱区税の
課率であります。從前のものを大体五倍にいたしました。それから八十二條の自動車税につきましては、
從來は自動車を所有しているということに対して課税されておりましたのに、今度は
取得する場合にも課税する。八十七條は不動産
所得税の
賦課率を
從來は
法律には、書いてありませんでしたのを、ここに
法律の制限率を百分の十と明記したことであります。第八十八條は木材取引税の課税法、八十九條はその
賦課率を規定いたしました。第九十二條は
狩猟者税であります、これは
國税の
狩猟免許税をこれに合併いたしましたので、この賦課額が上
つております。第九十三條は
遊興飲食税の規定でありますが、
改正の点は
一つはここに、「料理店、貸席、カフエー」その次に「喫茶店」というのを新らしく入れました。それから二項におきましては、「前項の場所以外の場所において
飲食する場合において、その
飲食物が、料理店、仕出屋、旅館等から供給を受けるものであるときは、その
飲食は、同項の場所における
飲食とみなし、料理店、仕出屋、旅館等所在の道
府縣において、こけを課する。」つまりこれによりまして近頃料理店閉鎖以來脱法的にや
つておりまする仕出屋から料理を取
つて宴会をするというようなのも課税しようとするものであります。第九十二條におきまして
遊興飲食税の
標準賦課率を規定いたしました。これは大体
國税当時ありました率をそのまま引継いでおるのでありまするが、最後の宿泊、つまり宿屋の場合、それから前三号以外といいますと、結局大体喫茶店となりますが、その場合の
賦課率は下げまして百分の十にいたしております。そらから次は
市町村税に移りまして、九十七條は、これはまあ道
府縣税についてと同樣に、
市町村はこういう税を課税する義務を課しました。それから九十八條におきまして、
地租附加税等の納期を、本税の
地租等と見合
つて同樣に決めるということを書いております。九十九條によりまして
附加税の制限率とか或いは
標準賦課率というものを定めております。それから第百二條、
市町村民税につきまして、これは大体
府縣民税についてと同じようなことが
改正にな
つております。百二條、百三條、百四條いずれも
市町村民税でございます。百七條、百八條、百九條、これによりまして自轉車税、
荷車税、
金庫税がありますが、これは
從來と変りございませんが、これも、その持
つておるということに対して課税するものの外に、
取得した場合にも課税するという規定を入れております。百十二條、これは
接客人税であります。
從來藝妓税として
府縣税としてありましたものを、
市町村税に直し、その
藝者の外に、
ダンサー等を入れましたのであります。第百十三條は
使用人税であります。これは
家事使用人に対しまして、新らしく課税しようとするものであります。それから次は第四章の補則に移りまして、第百二十條によりまして、これはこの
地方税審議会に
関係するものであります。つまり
從來ありました主務官廳の
許可ということを
全廃いたしましたので、それに代る
方法として
地方税審議会において税を審議するということになりまするが、その前提としまして先ずここに書いてありまするような一号から五号に上げておりますような事柄につきましては、
地方團体が
條例を決定した場合すぐ
内閣総理大臣に報告をして貰うということを先ず規定したのでございます。次の百二十一條におきまして、この報告を受けました場合
國民の
負担、國の
経済政策等に徴して適当でないと認めるものがあるときには、この報告を受けた日から三十日以内に
地方税審議会に対して意見を附して当該
條例の
審査を請求するようにな
つております。これに対しまして
地方税審議会が
審査をし、若し適当でないものがありますれば
條例を取消したり、
変更したりすることができるようにな
つております。以下この
條文にその点が規定されております。百二十二條によりまして
地方税審議会の組織が出ております。これは、
地方税審議会は、
内閣総理大臣の所轄として、「
審議会は、
委員五人をも
つてこれを組織する。」、「
委員は、学識経驗のある者のうちから、兩議院の同意を経て、
内閣総理大臣がこれを任命する。」こういう組織にな
つております。つまり第三者の、全く公平な人に、いわゆる
地方團体の代表者とか、中央
政府の代表者というような観念でなくて第三者的な観念の人に出て頂いて、そこで審議して頂く。こういう考えであります。第百二十三條以下に納税、徴税につきましての強制権を規定しております。それから第五章の罰則でございますが、これによりまして脱税等の場合の罰則を
強化いたしております。これは大体
國税の
程度まで
引上げたわけであります。次は附則に行きまして、先ず百三十九條で、この
法律は
昭和二十三年七月一日からこれを施行する。併し適用は本
年度の
地方税について適用するけれども、
入場税だけは八月一日からこれを施行したい。それから百四十三條によりまして、土地、家屋の
標準賦課率を臨時に、つまり賃貸
價格が改定に至るまでの間特に上げるわけでございます。つまりこれによりまして、
地租は百分の、百
家屋税は百分の百二十五となるわけであります。それから第百四十六條によりまして
事業税についての例外規定であります。「当分の間当該
事業に係る出得のうち米穀、はだか麦大麦、小麦、甘しよ、ばれいしよ及び雜穀に対する
部分はこれを
課税標準に算入することができない。」というふうにな
つております。それから第百四十八條によりまして
余裕住宅税のことを規定したのであります。「東京都は、その特別区域において、並びに戰爭で災害を受けた
市町村及びその附近の
市町村で、
都道府縣知事の指定するものは、当分の間、住宅緊急
措置令(
昭和二十年勅令第六百四十一号)第十三條の二の規定による
余裕住宅又は
空住宅に対し、その
余裕住宅の
使用者又はその
空住宅の
所有者に、
余裕住宅税を課することができる。
以上が大体
地方税法を
改正する
法律案におきまして從前の
地方税法を
改正しておる点であります。