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1948-07-04 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月四日(日曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○薪炭需給調節特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○連合國占領軍管理下から解除され  た貴金属等に代るべき貴金属地金  の連合國占領軍に対する引渡に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○國有鉄道事業特別会計及び通信事業  特別会計における事業運営以外の行  政に要する経費財源に充てるため  の一般会計からする繰入金に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○割増金附貯蓄取扱に関する法律案  (内閣送付) ○金融機関再建整備法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○物資の割当に関する手数料等徴收  に関する法律案内閣送付) ○昭和二十三年六月以降の政府職員の  俸給等に関する法律案内閣送付) ○外國貿易特別円資金特別会計法案  (内閣送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。本日は先ず薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。これは七條の二につきまして修正があるのであります。その修正されたものについて御審議を願います。これについてすでに質疑は終了されたように思いますが、尚御質疑がありますか。……別に御質問がなければこれより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。……別段御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法案を可とされる方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  4. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 全会一致と認めます。よつて法案全会一致を以て可決せられました。  次に連合國占領軍管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属地金連合國占領軍に対する引渡に関する法律案につきまして御審議を願います。本案につきまして御質問のおありの方ばお願いしたいと思います。……別にお質問がなければ、これより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。……別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。連合國占領軍管理下から解除された貴金属に代るべき貴金属地金連合國占領軍に対する引渡に関する法律案議題にいたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  6. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決せられました。尚只今可決いたしました法律案につきましては、委員長が本会議におきまする報告は、例によつてお委せ願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それから議院に提出する報告書について多数意見者署名を附することになつておりますから、本法案を可とせられました方は順次御署名をお願いいたします。    〔多数意見者署名
  8. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして御審議を願います。
  9. 村上一

    政府委員村上一君) 只今議題となつております法案につきまして、提案の理由を先程御説明申上げましたのでございますが、多少補足いたしまして、内容につきまして若干御説明を加えたいと思います。本法案趣旨といたしますところは、鉄道並びに通信事業が御承知通り相当経営上の赤字を出しております。ところが、各特別会計鉄道特別会計並びに通信事業特別会計に所属しております経費内容を見ますと、事業本來の経費とは多少性質を異にする経費が一緒に計上されております。例えば鉄道について見ますと、陸運監督経費、それから觀光事業に関する経費が入つております。それから更に鉄道におきまする貨物並びに旅客輸送に関しまする公安維持経費、具体的に申しますと、鉄道治安維持のための取締官を乗せております。その人件費事務費というようなものが鉄道会計歳出として計上されておるわけであります。ところが、只今申上げました陸運監督に関する行政経費、或いは觀光事業育成指導に関する経費といつたようなものは事業本來の建前からすれば、必ずしも鉄道特別会計負担すべき経費とは言いがたい点があるわけであります。具体的に申しますと、これはいわば政府國有鉄道、私鉄も含めましたる交通事業に対する監督経費、或いはそれらのものの一般的な觀光事業行政費というようなものでございますから、鉄道企業という企業的な方面から見ますと、或いは特別会計に所属されることは不適当であるというふうにも考えられる次第でございます。一方鉄道企業の実態を見ますと、相当運賃引上げましても尚且つ赤字がある、こういう事態でございますから、政府は別途法案によりまして、赤字部分につきましては一般会計から特別会計に繰入れることにしておりますが、それに相伴いまして、今申上げましたような本來鉄道事業に所属することがどうかと思える経費につきましては、赤字を繰入れる前に、やはりこの経費につきましてそれぞれ予算の定めるところに從いまして一般会計から繰入れることにしたらどうかというのが本法案趣旨でございます。只今鉄道会計についで申上げましたのでございますが、通信事業会計につきましても同様に電波管理に関する経費がやはり特別会計歳出になつておりますが、これも通信事業という企業という觀点からいたしますと、特別会計に所属いたしますことが不適当な経費でございますので、やはり同様の趣旨によりまして、一般会計から赤字繰入れを行う前に、先ず繰入れたらどうかということが本法案趣旨でございます。  それぞれの金額を御參考に申上げて置きますと、鉄道に対しまして本法案によりまして繰入れようとする金額は十四億一千四百四十万円に上つております。それから通信会計につきましては六億一千四十一万三千円に上つております。これらの経費は、先程も申上げましたように、企業本來としては必ずしも必要はない経費、こういう觀点からこれを一般会計から繰入れまして、結局実質的には一般会計がその経費負担して參りまして、尚且つこれらの経費を入れましても不足する部分は、別途法案を提出いたしまして御審議を仰いでおります、いわゆる赤字繰入れとして一般会計から繰入れる、かように二本立として考えておる次第であります。
  10. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問はないですか。
  11. 山田佐一

    山田佐一君 今の警乗員費用ですが、これは鉄道の中だけを警戒する警乗員費用ですね。
  12. 村上一

    政府委員村上一君) 御質問通りでございます。
  13. 山田佐一

    山田佐一君 そうするというと、或る工場請願巡査を頼んだと同じような理窟になるわけですね。
  14. 村上一

    政府委員村上一君) 工場とおつしやいますと……
  15. 山田佐一

    山田佐一君 工場請願巡査を頼んで來て、自分の所だけを警戒して貰うために頼んだと同じ理窟になるわけですね。鉄道鉄道治安維持するために警乗して貰うのだ、やつて貰うのだ、そうすると当然鉄道負担すべきものじやないですか。
  16. 村上一

    政府委員村上一君) 御質問通りだと存じますが、極く端的に申しますと、かようなことになると思います。例えば鉄道民有事業でやつておるというな場合を仮に想定いたしますと、今行なつております警乗員経費というのは、やはり会社負担させますことは不適当でございます。輸送治安維持するという点から、やはり國家がこれを負担して治安取締つて行くということが必要になつて來るというような觀点から、これは鉄道会計負担させませんで、一般会計から繰り入れたらどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。例えば工場などで請願巡査を頼んで参ります場合には、経費がどういうふうな負担区分にしておりますか。勿論巡査では人件費事務費等は必要でありますから、やはりその場合も巡査俸給人件費というものは國費負担しておると思います。そういうふうな趣旨で御質問通りだというふうにお答えしたらいいかと思います。
  17. 山田佐一

    山田佐一君 請願巡査工場負担せずに、全部を國費でやつておりますか。
  18. 村上一

    政府委員村上一君) その請願巡査という御質問におつしやいましたのは、全部工場内に寝泊りいたしまし、てその仕事だけに從事しておる巡査を御指摘になるわけですね。
  19. 山田佐一

    山田佐一君 そういうわけです。
  20. 村上一

    政府委員村上一君) その場合は恐らく会社経費で持つておると思いますが、ですから本件の場合とは多少その場合でございましたら、違つて來るわけでございます。
  21. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) その請願巡査は、工場治安を保つ必要から頼む、これの方は政府委員説明によると、多少違うように思うのです。これらは國家鉄道等公安を保つためにやつているのじやないのですか。
  22. 山田佐一

    山田佐一君 鉄道の中の秩序を保つための、乗客の秩序を保つために乗るだけのものじやない。
  23. 村上一

    政府委員村上一君) 多少説明不足でございましたので附加えますが、大体程度問題だと存じますが、工場の場合になりますと、比較的工場だけの利益のために從事しておるという色彩がはつきりしておると思います。併し鉄道輸送の場合を取つて見ますと、貨物輸送の場合を考えましても、それから旅客輸送の場合を考えましても、勿論その企業のためではございますけれども、やはり別の見地からいたしますと、交通における秩序の維推、道徳の維持という問題、延いては一般的な秩序維持普通治安という問題にも密接に関係しておりますので、御承知のようにいろいろ輸送上思わしくない事態が現に起つておりますから、そういう事態相当頻発するという現状におきましては、これを取締るということは、やはり企業だけの負担という觀点では解決できないのじやないか、國家的に取締るという面が、相当現状といたしましては、より濃厚じやないか、かように考えております。ただそこをきつぱりと、両者の間は全然違うというふうに区分するということは、これはなかなか困難と思います。工場だけの利害という問題とは多少……鉄道全体の貨物並びに旅客輸送治安という問題は、より國家的な廣い見地から取上げられるべき問題じやないか、かように考えておる次第であります。
  24. 山田佐一

    山田佐一君 鉄道輸送の場合に駅にある荷物とか、倉庫にある荷物治安維持というものは、これは國家がやつておる。これは警乗員ですから、列車に乗込む警官費用じやないですか。貨物とかそういうものの治安までを別途会計でやつておるのですか。
  25. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。大体御指摘のように、列車に乗込むのは鉄道の警備というものが大部分でございます。
  26. 山田佐一

    山田佐一君 それが大部分で、又その他に何がありますか。
  27. 村上一

    政府委員村上一君) 他には乗込んでいない者も多少あるわけでございまして、例えば駅などの場合、やはり貨物取締というふうな警官を配置して行く場合の経費も入つております。
  28. 山田佐一

    山田佐一君 つまり、きようびの闇商人取締つて行く、かつぎ屋を取締る……
  29. 村上一

    政府委員村上一君) それは入つておりません。一般経費であります。
  30. 山田佐一

    山田佐一君 その外というのは、どういうものでありますか。
  31. 村上一

    政府委員村上一君) 大体鉄道の乗込みが大部分でございますが、駅にも多少配置してあるのであります。つまり乗り込みます者の延長といたしまして、かつぎ屋を取締る以外に、例えば駅にも小部分でございますけれども、配置してあるのであります。
  32. 山田佐一

    山田佐一君 結論は、私は乗込むのが悪いとか、いいとかいうわけでないけれども、今日の情勢はこういう工合だから警乗員を是非乗せて貰いたい、乗せて貰いたいが、費用はどうせ一般会計から補助するのであるならば、同じことじやないか、今十四億幾らというものを、別にそうやつて一般会計からやるんだ、一見して赤字が大きくなるからカムフラージするためにこういう工合に二本建てにするんじやないかと思う。どうせやるものならば、別に警乗員費用ということにせずに、國家のものならば初めから國家警察が乗り込んで行つたらどうですか。
  33. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。今の御指摘の点は、丁度どつちに属すべきか、その境の辺の問題でございまして、いろいろ御意見が或いは相違する点が出るかと存じますが、ただ一般会計といたしましては、御指摘のように赤字繰入で入れましても、或いはこの法案に基いて入れましても、おつしやいました通り、やはり同じことでございます。そこで政府といたしましては、赤字繰入で參りますと、赤字金額が殖えるということを避けるために強いてこつちに突込みました次第ではございませんで、鉄道につきましては、陸運に関する監督助成行政経費、それから觀光事業に対する経費というふうに、相当はつきりこれは企業本來の経費ではないというものが外にもあるわけであります。それらを赤字繰入以外の面から一般会計から繰入れにしようというのが法案趣旨でございます。その場合にやはり御指摘になりました、公安委員取締官経費は一体どつちに属すべきかということで、私共としましてもいろいろ研究をいたしましたのでございます。これは先程來御指摘のように、どつちに入れるというと語弊がございますが、見方によりまして、これは企業に属すべきだということを言えるものがあると思います。それから廣い面で、やはり國家行政取締としてこれを取上ぐべきだという觀点から勿論見られると思います。いろいろ研究いたしました結果、やはり現状におきましては、例えば國鉄というものは、仮に想定いたしまして私企業にいたしましたならば、これは一切企業でやるので、政府は知らないというふうに放つて置くわけには參らない次第でありまして、やはりそういう意味からいたしまして、これは企業以外の面で國家経費負担するのであります。企業負担さすことはどうも無理じやないか、かような結論に到達しました次第でございます。先に申上げました陸運に関しまする監督行政経費、それから觀光事業に関しまする経費、これにつきましては、鉄道が負組するのはおかしいということは割にはつきり言えると思います。又三番目の今の取締官経費になつて參りますというと、どうも企業負担すべきなのか、或いは企業以外の面で國家負担すべき経費であるかという点に、相当觀点の相違によりまして意見が分れると思います。いろいろ考えました結果、やはり現状におきましては、どうも企業負担さすことは無理じやなかろうか、かような結論に到達して、本法案の中に置いたような次第でございます。そこで赤字金額が殖えるからというような意図は別段持つておるわけではございません。御參考に附加えます、いわゆる赤字繰入の金額は、当初政府原案予算によりますと、百億円の赤字でございます。それが御承知のように、運賃引上げの倍率の修正、それから引上げの実施時期が延びましたごと、この両面によりまして、百億が更に百九十一億余万円殖えまして先般衆議院修正議決になりましたが、百億円が二百九十一億余万円になつております。そこで本件の繰入は、鉄道に対しまするのは十四億でございます。本件によりまして一般赤字繰入の金額を少くするという意図は、政治的にいいましてもちよつと無理かと思います。そういう意図は当初から勿論……強いてこつちに突込みましたわけではございません。
  34. 山田佐一

    山田佐一君 当初からこういう別の経費になつておつた。
  35. 村上一

    政府委員村上一君) さようでございます。
  36. 山田佐一

    山田佐一君 百億の経費は当初は入つておりませんでしたか。
  37. 村上一

    政府委員村上一君) 百億のときから、この経費は別にこちらとして入れるというように考えておりました。
  38. 山田佐一

    山田佐一君 これは觀光事業は、警乗員費用と別途に分れませんか。
  39. 村上一

    政府委員村上一君) 今手許資料がございませんから、後程書きましてお手許に届けます。
  40. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問ございませんか。……御質問がなければこれより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。……別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題といたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  42. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 全会一致と認めます。よつて法案は可決せられました。尚委員長の本会議における報告は例によつてお委せを願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。御賛成のお方は御署名を願います。    〔多数意見者署名
  44. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは割増金附貯蓄取扱に関する法律案議題といたします。御質問のおありの方はお述べを願います。
  45. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 本年度貯蓄目標額は三千億円と思つておりましたが、間違いありませんか。
  46. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 三千億でございます。
  47. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 二十二年度目標は二千百億でしたか。
  48. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 昨年度は当初毎月百億円、一年にして千二百億円ということにいたしてやつたのでありますが、その後補正予算その他財政の規模が変りましたものですから、年度の途中でこれを年間千七百億円に改訂いたしました。実績は千九百余億円という実績でございます。
  49. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 三千億の目標でありますが、本年に入りましてからはむしろ減額になつているように伺つておりますが、その状態ちよつと……
  50. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 本年に入りましてから、四月におきまして実績一般自由貯金三十三億円の増加でございまして、それから五月は実績の見込九十六億円というような状態になつております。この点は三月に非常に追い込みまして努力いたしました関係、それから実を申上げますと、銀行側のウインドー・ドレツシングというようなことが多少あつたと思うのでありますが、政府支拂の遅延、暫定予算の編成どいうようなことと相俟ちまして、四月には非常に成績が惡かつたのであります。六月の実績はまだ判明いたしませんが、六月になりましてから相当持直して參つているように思います。
  51. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そういたしますと、この割増金貯蓄問題でありますが、大体これは定期に主にお用いになる御予定でございますか。
  52. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) その通りでございます。
  53. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そういたしますと、現在の財蓄状態を見ますとき、各銀行において定期預金というものは殆んどないのでありますが、どういうわけでこういう定期がはやらないかということに対して御研究なつたことがありましようか。
  54. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) この問題は、何と申しましても、インフレーシヨンの現在の段階におきましては、長期預金を集めますことはなかなか困難であることは否定し得ない事案であると思うのであります。例えば安定債値計算定期預金、その他いろいろ理論的にはこれを克服するために研究もされておるようでありますが、現在のところ多少でもそういうふうな新らしい工夫をするということは、却つて現在以上に通貨の將來に不信を與えることになりはしないであろうかということを惧れまして、むしろ現状のままでいろいろの工夫をこらして、定期的の預金が殖えることに努力はいたしておるつもりでおります。尚御承知のごとく、丁度只今審議を願つております。金融機関再建整備法の一部改正によりまして、大体七月の二十日なり二十一日からは現在の封鎖制度を全廃いたしまして、全部自由円一本になるわけでございますが、その趣旨その他を大いに滲透することに努めまして、現状のままで成るべく長期預金を集めるようにしたいと考えております。尚御承知のように、戰前におきましては、定期預金の占める比率一般預金に対して半分以上であつたのでありますが、戰爭の直後におきましては、これが一割以内になりましたのでありますが、最近割増金附定期、その他が好評を博しましたような点もございまして、二〇%に近ずいておるような状況でございます。漸次この定理預金一般預金に対する比率増加に努めたいと考えております。
  55. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 この割増貯蓄の問題でございますが、これについては國家から獎励金とか何もお出しにならないのでございますか。
  56. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) この方はそれは考えておりません。ただいろいろその利便を供與いたしますためには相当協力はいたしておりますが、直接金錢的補助等はいたしておりません。
  57. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 今日までその定期預金割増金をおやりになつて、これに要する割増金とか、そういうものの金額相当の額になつておりますが、何%ぐらいの基準になつておりますか。
  58. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 極く細かいことは銀行の勘定の内容にもなると思いますので、只今その資料を持つておりません。
  59. 田口政五郎

    田口政五郎君 この貯蓄目標額の算定の基礎を御説明願いたいと思います。
  60. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 実は只今の三千億の目標は、卒直に申しまして、いろいろ貯蓄運動を展開いたしますために、年度が変りますと早々にこれを示さなければならないわけであります。ところが、この年度早々においては、本年度におきましても、当時予算の全貌ははつきりいたしませんし、又その基礎になりまするような物價改訂、賃金の問題、その他も未決定でありましたために、この三千億の目標卒直に申しまして、科学的な基礎に立つておるものではないのでございます。大体昨年度通貨の発行の状況、それから昨年度におきまする貯蓄増強傾向線その他を極く常識的に勘定いたしまして、その結果が三千億ちよつと上廻わる、三千二、三百億のところに一応の傾向線が現われる。それから國民所得等も、大ざつばにその当時におきまして一応推算いたしましたものから見ますると、二千億ちよつと足りない程度、二千七、八百億のところに勘定できるわけであります。それを大ざつぱに三千億というふうに掴えたわけでありまして、從いまして、昨年度もそうでありますように、この年度も本予算が成立をいたしまして、それから今後におきまする物價改訂進行状況と睨み合せまして、これを妥当なところに科学的な根拠を置きますと、相当研究をした上で尚改訂をする必要があると考えておるわけであります。從つて繰返して申しますが、三千億の目標について、しかくはつきりと自信を持つて申上げる程度のものはないのでございます。
  61. 田口政五郎

    田口政五郎君 今局長の御説明で、私復金の問題のとき、こういう問題に対して局長が誠にざつくばらんに本直に御説明下さる、御答弁下さることを非常に多とするものでありますが、貯蓄増強するということはインフレ抑圧の最も私は大事なことであると確信いたすのでありますが、これに対する目標科学的基礎に置かずとも、三千億とか或いは四千億とか目標を定められて、割増金附とかいろいろな方法でこの増強方法を講じておられますが、こういう何と申しまするか、不適当な獎励方法を講ずるよりも、もう少し根本的な、國民全部が通貨に信用を持ちまして預金増加するような根本的な方策はお考えにたつておりませんですか、現在のところ……。
  62. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 根本的の対策というお話の中に、通貨價値改訂、それからいわゆる平價の切下げとかというようなことを含めての御質問であるといたしますると、しばしばその点につきましては政府全体として意見を中外に公表しておりまするように、そういうことは全然考えておらんわけでございます。ただ先程も申しましたように、例えば封鎖制度というような非常に不自然なことが長く続きますることは、何と申しましても不安定感を通貨に対して抱かせる非常に大きな要素であると思いましたので、これを拂拭することに決定いたしましたわけでございます。現在の円の通貨價値その他の制度等につきましては現状を以て飽くまでも推進するという方針に変りはないわけでございます。それから先程ちよつと御説明が足りませんのでありましたが、現在の三千億の目標等につきましても先程お答えいたしました通りの経過になつておりますが、同時に御承知のごとく毎四中期ごとには、通貨発行審議会等の御決定によりまして、通貨の発行限度を想定しておるわけでございます。例えば昨日経済安定本部から発表になりました五千七百億の通貨量に対する根拠になつておりまする資金の供給、蓄積という面については相当的確な見通しを付けまして、例えば第二・四半期中の蓄積額は六百八十億、それから銀行等の手許現金の減は七十億、現実のネツトの資金の供給は六百十億であろうという算定をいたしておるわけでありますが、これらにつきましては相当いろいろの資料を集めまして向う三ケ月間の見通しは付けておるわけでございます。ただこれにいたしましても、何分本月末封鎖預金の制度を止めました場合に、現在六百億余りに想定されておりますが、その半分以上は個人のものでございます。その引出し方がどういう状況になろうかということは、必ずしも科学的に判定できないのでありまして、相当心理的の要素が入つて參りまするので、そういうことをも入れて考えますると、はつきりとこれで自信を持つた見通しかどうかということは、ちよつと申上げかねるような状況でございます。
  63. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 四月、五月に百二十九億の増額になつておりますが、この額の状態は、地方の方が滅つて都市に集中されていると思はれますが、如何でございますか。
  64. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) それはお話の通りでございまして、特に最近は例年よりももつと農村の資金の窮迫が顯著でございまして、御承知通り、農村におきましては、供出が完了いたしましてから次の年の春頃まで非常に資金が潤沢であるのでありますが、今年は昨年の災害等の関係で、供出の悪かつた土地等は勿論でありますが、その他の面におきましても、農民業会の解散その他というような新らしい要素が加わりましたために、農村方面の預貯金は非常に減少の傾向を辿つておりますげ最近に至りまして、農業手形制度の創設等によつて、多少勢いが緩和されて募つたのでありますが、やはり麥、馬鈴薯等の供出が始まりますまでは、農村の資金の逼迫ということは相当深刻なものがあろうと思います。それらと相比べまして、都会等におきましては地方に比べては増勢の鈍り方は左程顯著ではないということが言い得ると思います。
  65. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこの案につきましては、他に御質問はございませんか。若しありませんければ、この程度にして置きますが、質疑終了といたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、
  66. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは質疑終了いたしたものと認めます。  次に銀行局長がおられるから、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案議題にして、御質問を願いたいと、思います。
  67. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 この三月末に一応打ち切られましたのでありますが、その後この整備の結果、各銀行は増資と申しますか、新株の募集に乗出すことになつているのでありますが、最近増資金額相当高額に上るために、銀行界では相当な苦慮が見られるのであります。この危険資産と申しますか、これに対してどういうような率で増資を認められるかという点について、先ず伺いたいと思います。
  68. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 増資額につきましては、実は將來の信用機関の信用の確実な保全という点を非常に強調して考えておりまするので、思想的に丁度アメリカの制度がそうでありまするように、いわゆる危險資産の一割、危險資産ということは、銀行の全資産から現金、國債、日本銀行に対する預け金というような極めて確実なものを除きました殘りの総資産に対して、一〇%の資本金を必要とするということを第一の原則に考えて、銀行、信託、それから無盡会社等に至りますまで、その方針を勧奨獎しているわけでございます。併しながら現在証券市場の状況、根本的には資金の蓄積の状況等から申しまして、一挙にその思想を実現することは困難であると思われますので、大藏省の方針として各銀行にリコメンドしておりますものは、大体危險資産の五%程度ということを基本にしてお願いをしているわけでございます。現状如何かと申しますると、やはりいろいろの事情から、五%と申しましても非常に大きな金額になります。仮に一〇%ということでありますと、恐らく全体で百八十億くらいの資本額になるのでありますが、半分といたしましても百億近くになるので、現在のところ非常な困難が伴うわけでございます。併しながらできるだけ五%程度は完遂して頂きたいということでやつておりますが、いろいろな事情から、中には三%程度に止まるものもあろうと思うのであります。併しながら、成るべく少しでも資本額を多くいたしたいということから、いろいろの方法を考えまして、例えば増資の株主総会は二遍連続的に開いて、第一の株主総会では一応或る額、三%以上になる程度のものをお決めになつても、その後募入の状況等から申しまして、多くなりました場合にはそれを断わらずに、第二回の総会で追つ掛けて、募入の見込確実のところまでその額を上げて頂くということも、便法として考えているわけでございます。いろいろ手続きの関係その他もございますので、今後一月以上くらい経ちましてから後に、実績は各銀行等によつて逐次判明して行くことになろうかと思うのであります。現在まだ未決定でございますのは、いわゆる財閥銀行等、いわゆる特殊銀行中の二行程でございまして、大部分については一應の増資額はすでに認可いたしているわけでございます。尚又認可いたした後の状況では、初め予想した程困難ではなくて、或る程度に増資額も殖えるのではなかろうかというような見通しが漸次濃厚になつて來ているような状況でございます。これは地方的その他いろいろの銀行会社等によつて違いますので、一概には申すことはできんと思うのであります。
  69. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 実は今局長がおつしやいましたが、最近において大体増資が見込がついて來たとおつしやいますそのお言葉でありますが、これはよく考えますと、各銀行が取引先に対して半強制的な、表向きはそうでありませんけれども、無理に持たすというような結果になりまして、これはまあ合法的でありますが、惡く言えば一種の強要をしたと同じような結果になるというように思うのであります。そういうことは事実方々で起つておると思いますが、如何でありましようか。
  70. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) この点は最終処理、それから金融機関の再建整備にも関係しておりまして、御承知のごとく増資については、旧株の全額未拂込コールに應じた株主に優先する、それから第二封鎖で切られたものに優先する、或いは從業員、一般公募というような順位を付けておるのでございまして、増資額を多くすれば、結局一般から公募する面には多く依存しなければならないと思いますので、或いは取引先等に対して相当増資に協力をお願いするということも実際問題としてあろうかと思うのであります。ただこの点は御承知のようにまだ決つておりませんのでありますが、將來考えられておりまする金融業法等においては、恐らく資本額とそれから銀行の業務との間には何らかの関係を持つた、業務上の制限も予想せられるのではなかろうかというような点も実はございますので、そういう点から申しましても、銀行の立場においてはどうしても増資額を少しでも殖やしたいという希望があるのは無理からんことであると思います。又当局の立場から卑しましても、職責額の多い方が望ましいということが第一の原則でございますので、関係方面には相当の御協力をお願いするという結果になる点も、強ちいかんということもできないのではなかろうかと考えております。
  71. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 増資のことでございますが、新聞紙上等で見ますると、信託会社銀行業務を兼ねておる、そうして信託銀行というものができる、そして金融機関は他の金融機関の株を持つても構わん、併し証券会社銀行の株を募集をして、そうして銀行の株を持つたとすると、その証券会社の募集した株は法律上無効になるとか、銀行が証券会社の株を持つたらそれは無効になるとかいうようなことを新聞で見ましたが、これはどういうことですか。
  72. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 先ず信託会社銀行経営の問題でございますが、これは新聞に出ました通りでございまして大体將來の考え方としては、やはりアメリカの場合と同じように、兩方が兼営することが望ましいというように大体考えておるわけであります。御承知のように、從來は銀行が信託を経営できるけれども、信託は銀行を経営できないというのが原則であつたのであります。それが法制上さようなことになつておるわけであります。大体金融業法におきましては、信託会社銀行経営を認めるように考えておりますので、現在の法制で許され得る態樣において、信託会社銀行業務の兼営が認められるということに今回再建整備法で認可をいたしまして、これは直ちに実行するということもなかなか困難、いろいろの準備も相当掛かると思うのでありまするが、原則的にさような方法を認めたわけでございます。それから証券会社と金融機関との関係につきましては、今御指摘のようないろいろな論議もあるのでございますが、その中にはまだはつきりと決まらん点もございまするし、又銀行自体の將來の金融業法の建前と現在までできておりまする証券取引法との関係、それから更に具体的な兩者のいろいろの関係につきましては、実は相当考えなければならない深刻な問題も起つておるのでございますが、実情に成るべく副いまして、日本の経済再建の支障にならないような程度で、この問題を解決して参りたいと思います。詳細につきましては今少し経ちませんとはつきり申上げるように至らんかと思つております。
  73. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 そういたしますと、銀行が信託会社の株を持つても構わんでしようか。又仮に無盡会社などが銀行の株を持ち、銀行がそれと同じ金融機関の株を持つても構わんでしようか。
  74. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) その点は余り好ましいことではないように考えます。
  75. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 はつきり持たれんのですか。或る程度は構わんのですか。
  76. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) その点は、はつきりと持てないと申上げた方が正確かと思います。
  77. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記中止して下さい。    〔速記中止〕
  78. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記始めて下さい。それでは暫時休憩いたします。    午後二時四十八分休憩    —————・—————    午後三時五十八分開会
  79. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより休憩前に引続き会議を開きます。物資の割当に関する手数料等徴收に関する法律案議題といたします。政府提案の理由の説明は済んでおりますから、御質問を願いたいと思います。ちよつと私お尋ねしますが、この一條の第三項の申請手数料のところで「割当申請書一件につき五十円を超えない範囲内で命令でで定める金額」とありますが、これはどういうことを定めるお考えなんでしようか。
  80. 村上一

    政府委員村上一君) お答えいたします。只今のところでは、命令で以てやはり均一に五十円というふうに定めるつもりでおります。
  81. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これは何ですか、区別を設けて、五十円とか三十円とか二十円とかいうふうに、区別しようというお考えであつたのですか、それでなければ五十円としてしまつてもいいように思うのですが……
  82. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。御指摘頂きましたように、当初はやはり対象によりまして成る程度段階を付けたらどうかというふうな意見もございましたので、法案といたしましてはその余地を残しまして、只今審議中のような案文にいたしました次第でございますが、その後関係各省の意見を求めまして、御承知のように本件は対象といたしまする物資が非常に多いのであります。從いまして関係する官庁も相当廣汎に亘つております。それらの官庁の集合を求めましていろいろ意見の交換、聽取をいたしたのでございますが、その結果各方面共に大体五十円で均一にした方がいいのじやなかろうか、又相手側の負担といたしましても、そう過重な負担にはなるまいという意見が殆んど全部でありますので、只今のところでは一律に五十円というふうに定めたいと、かように存じております。
  83. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  84. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。
  85. 山田佐一

    山田佐一君 申請の手数料は一件五十円で物資の割当を受けるというと、割当物質の價格の百分の一に相当する金額を取る、そういう工合に見てよろしうございますか。
  86. 村上一

    政府委員村上一君) 御質問通りでございます。
  87. 山田佐一

    山田佐一君 そうすると、百分の一というのは相当金額になりますと思いますが、大凡物資の割当はどのような品目を割当なさるというお見込でありますか。
  88. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。物資の種類といたしましては、物資需給調整法に基きます指定生産資材割当規則というものがございまして、それの別表に掲げてあります物資がすべて対象となるわけでございます。その物資は現在各地の生産過程で使われております殆んど全部の物資をカバーしておりますので、相当品目が多いと思いますが、極く例示的に申上げましても、石炭、亜炭、コークス、石酒、銑鉄、鋼材、それから油脂、ゴム、皮革、繊維、紙、パルプ、木材、建築用の資材等相当広汎に亘つております。
  89. 山田佐一

    山田佐一君 そういたしますと、事業者團体法の改正によつて、全國的に一手買取、一手販賣を禁止せられたために、この物資割当の手数料を官廳が取つて、その官廳がやる、こういう建前でありますか、大体の建前は……
  90. 村上一

    政府委員村上一君) 取ります最終の收入は勿論官廳に入りますのでございますから、官廳が取るわけでございます。ただ取ります手続といたしましては、法文中に書いてございますように、收入印紙を貼らせまして徴收するわけでございます。その度毎に金錢で以て徴收するわけではございません。普通の流通過程は今迄通り參りまして、その際に割当の申請書、それから割当証明書というような書類に收入印紙を貼るという手続によりまして、法律に定められた金額徴收するわけでございます。
  91. 山田佐一

    山田佐一君 そういたしますと、その大凡の予算はどのぐらいになりますか。印紙の賣上金額予算というものはどのくらいになりますか。
  92. 村上一

    政府委員村上一君) 大体本法案の目的といたしますところは、先に提案理由の説明の際に申上げましたように、諸般の情勢、殊に最近の財政状況等を勘案いたしまして、政府が本事務、即ち物交割当の事務のために支出いたしておりまするところの経費を賄える程度の收入を徴收しようというのが一つの目的でございます。從いまして徴收いたします歳入の総額も大体それと見合いを取りまして、どの程度になるかということを頭に置きまして、尚負担者側の負担を考えまして出してございます。その全額を具体的に申上げますと、二十三年の收入といたしましては約十億八千六万円見込んでおります。これに対應いたします歳出面におきまする物資割当事務のための人件費事務費は、二十三年度分といたしましては十九億六百万円ございます。これは概算でございますから多少出入りがございますが、十九億六百万円ございます。そこで只今申上げましたように、大体歳出をカバーできる程度の歳入を取ると申上げましたことと非常に食い違うようでございますが、それは、本法案通りましてから初めて歳入の方は徴收できるのでございまして、その時期といたしましては大体年度を四半期毎に分けまして、第三・四半期から取れることに相成るかと存じます。從いまして二十二年度分といたしましてはほぼ中分ぐらい程度の歳入、平年度額の半分ぐらいしか取れないわけであります。從つて只今申上げましたように十九億の歳出に対しまして十億程度の歳入、かようになつております。これを二十四年度以降この制度のまま経続いたしますといたしますと、大体歳入が十九億、二十億近くになります。歳出が二十億二千万円であるということになりまして、歳出に多少不足いたしますけれども、大体歳出にほぼ近い金額を歳入として取り得る、かような計算に相成つております。
  93. 山田佐一

    山田佐一君 只今の御説で十億ということは、第三と第四と、この二四半期の歳入であるのでありますか。凡その予算がそんな工合になりますか。さようでございますか。
  94. 村上一

    政府委員村上一君) 二十三年度分の歳入といたしまして見込み得る金額は、第三・四半期と第四・四半期でございます。
  95. 山田佐一

    山田佐一君 二四年期ですね。
  96. 村上一

    政府委員村上一君) さようでございます。
  97. 山田佐一

    山田佐一君 それでこの売上げ金額が二十億とすると全部で二千億の計算になるわけですか。
  98. 村上一

    政府委員村上一君) 御承知のように本案には内容が二つ入つておりまして、申請手数料の方は必ずしも金額に比例いたしておりません。これは申請件数に一件当り五十円ということになつております。それから割当手数料の方はおつしやいました通り、割当を受けまして、現実に入手し得る物資の價格の一%になつておりますので、今申上げました十億の中には大体申請手数料の方が二億ばかり入つております。割当手数料としては約八億というふうに御覧頂ければいいかと存じます。
  99. 山田佐一

    山田佐一君 今の御説明になりました指定生産の品種の総生産額というものは、そういたしますと、大体千八百億になりますか。もう少しあるような氣がいたしますが、どれだけになつておりますか。年度の生産は……
  100. 村上一

    政府委員村上一君) 御質問の点は、私大藏省の政府委員でございますので、実は私からお答えするのは不適当かと存じますが、先程申上げました歳入見積り数額は、それぞれ当該物資を所管しております各関係省庁から、それぞれ数額を提出して頂きまして集計したものでございますから、大体の見当といたしましては、今御指摘のようにそれぞれの生産がございまして、而もそれが二十三年度の三・四年期以降の割当額というものの全体を抑えて計上してある筈でございます。
  101. 山田佐一

    山田佐一君 各省から出されたものだろうと思いまするが、達観的に見まして、これが國の重要生産品というものは殆んど載つておるように承りました。石炭があり、繊維があり、鋼材があり、すべてのこういうものの生産をば一遍見ましたならば、ここに凡その金額は出て來るのだろうと思います。私の達観的に思つただけでは、非常に金額に相違があるのじやないかと思います。そうして繊維について割当を私ちよつと考えて見ますと、第一に紡績綿糸の割当、その次には紡績金融、というものにたると、綿花の割当のときに手数料が入つておる、それから綿糸を受けて機屋が織りますときに綿糸の割当手数料が要る。この生産した製品を加工業者に渡すときに又割当切符が要る。製品になつたものを今度は卸賣業者に賣るときに又割当切符が要る。今度は生産をして小賣までは行かないかも知れませんが、卸までに行くにはすべて割当別符が要るのである。そういたしますと千八百億や二千億のものじやないような氣がいたしまするが、その辺はどういう取扱いになつておりますか。
  102. 村上一

    政府委員村上一君) 只今の御質問でございますが、御承知のように取引高税が目下議案になつておりますが、取引高税のようなもののように各段階で徴收するというふうな觀念は本法は取つておりませんので、指定生産の資材を需要いたします者だけから取りますので、各段階から重複して取るというようには必ずしもならないと思います。
  103. 山田佐一

    山田佐一君 指定生産品の配給を受けるものですから、生産するものは指定生産で、そのものの配給を受けて行くのでしよう。繊維で見ますと、大体綿糸を受けるときにやはり割当切符を貰わなければいかんと思います。而して今度は製品になつた、製品になつたものをば問屋が買いまするときに、やはり指定生産で割当切符を貰わなければ、その者への輸送も、それからその方へ讓り渡しもできないと思いますが、その辺は一遍納めればいいのでありますか。これは取引高税と大して違わないのではないか。多少消費者へ行くときに違うだけで、あと生産過程に行くものは皆生産の割当切符が要りはしませんか。
  104. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。生産者過程をそれぞれ通ります物資につきましては、只今指摘通りでございます。例えば石炭の段階で一遍取られまして、製鉄の原料となります場合に取られまして、更にそれでできましたところの鋼材が外の工業過程に入るという場合には、普通鋼材がやはり次の段階の原料になる場合に取られるわけであります。ただ取引税と違いますのは、賣買過程というか、流通過程でそれぞれ小賣、卸賣という過程でそれぞれ取るということは考えておりません。
  105. 山田佐一

    山田佐一君 そういたしますと、私の思うのに非常な違いがあると思うのであります。石炭でも生産者から出まして、今度は生産工場へ入るときにもう一遍割当切が要る。そうしてこれが鋼材になつた、鋼材になつたものが又割当切符が要ります。而してこの鋼材を以て今度は鑿岩機を造ります。炭鉱へ鑿岩機を賣ります場合に、又今度買い、又物資をば炭鉱に送るときに又貰うというと、一つの製品に何遍でも掛かつていきますから、恐らく一千億や二千億のものではないと思うのでありますが、もう少し基礎的数字をば聞かして頂くわけには行きませんか。百分の一の金額というと非常な金額になると思います。
  106. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。只今質問にありました点について、基礎の数字を私の手許に持ちませんで甚だ遺憾でございます。而して生産費材を只今質問のように各生産過程の原料として使うものだけを押えておりますので、例えば普通鋼材でございましても、そのまま使うというふうなものは次の計算には入つて参りません。いわゆる工業生産高というふうな総額の見当から押えますのと、多少この対象が限定されて來ると思うのであります。尚生産額の数字等につきましては只今お答え申上げられませんので甚だ遺憾でございますが、後程資料といたしましてお手許に差上げたいと、かように考えます。
  107. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこの法案に対する御質疑はこの程度にしまして、次に所得税法の一部を改正する等の法律案並びに取引高税法案について御質疑の続行をお願いいたします。ちよつとお諮りいたしますが、税法につきましては請願陳情が非常に沢山出ておるのであります。それで小委員会に付託になつておるのでありますが、税法を委員会において審議されるのでありますから、それに併せて御審議願つた方が却つていいではないか、こういう小委員長の希望もありますが、どういう点が問題になつておるかということは、刷りましたものをお手許に差上げてあるのでありますが、今お持ちはないかと思いますが、名前だけは今刷つたものを差上げますから、御質問を願い、又それに対して委員会で決定を願つた方がいいんじやないかと思つております。それではこの前税関係の請願陳情についてずつと順次專門調査員に調べて貰つておりますから、それを聞いて一つここで御決定願つたらと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは先ず商工業者の租税軽減に関する請願、專門調査員ちよつと説明して下さい。それでは速記をちよつと中止いたします。    午後四時三十一分速記中止    —————・—————    午後五時二十一分速記開始
  109. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記開始。昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案について、政府委員が参つておられますから、これに対して御質問がありますればお願いしたいと思います。これは官公職員組合との交渉の経過か何かについてお話を願いますか。
  110. 今井一男

    政府委員(今井一男君) 今回の物價改訂の方策が政府として決定いたしまして、三千七百円という水準が決りまして、それに基きまして官公吏の給與基準というものが決定いたしまして、政府側からその案に基きまして組合側と團体交渉をしたいと考えておりました矢先、組合側から本年四月現在において五千二百円の金額が欲しいという要求がございまして、その要求には六つの條件が附いておりました。その六つの條件を申上げますと、一つは四月分であつて手取である。第二は物價改訂をしない。第三は大衆課税を撤廃する。第四は細事処理機関を設けない。第五は首切り行政整理を行わない。第六は最高賃金制を設けない。こういつた要求でありまして、それに対しまして、政府といたしまして、この政府側の一応の算出に基きまして協議を進めようと、こういつた申入をいたしまして、両者その点に関しましては、意見が一致いたしました。九各の全権委員のような者を選定いたしまして、延べ本日まで十数回に亙りまして交渉を重ねて参りました。ただその間におきまして、政府側の方は賃金の数字的な檢討に成るべく早く入りたい、かような主張をいたしたのでありますが、組合側の方は前提となる六つの條件を確認した上でなければ賃金問題に入つても無駄である。かような見解が対立いたしまして、その六つの條件につきましては、政府といたしましては、民間の労働組合が使用主に対して團体交渉として要求できる範囲外のものは、政府は團体交渉の対象としては応じかねる、即ち物價の改訂をどうするとか、大衆課税をどうするとか、最高賃金制度を設けるか設けないか、かような問題は事政府の政策に関し、或いは國会の決定を待つて決めるべき問題であつて、かようなことを國体交渉の対象に取上げることには筋として賛成できない。勿論議論の関係から予算等の問題に触れることはあり得ましようが、飽くまで本筋は賃金そのものを決める、こういうことでなければならんという主張をいたしまして、そのために押問答がたびたび交されまして、その結果、國会の会期も切迫いたしまして、到底このままで進みますというと、政府の一応用意しております三千七百九十一円の支給もできなくなつてしまつては、それでは政府職員全般に非常に迷惑を及ぼすので、とにかく一應法律案を提出いたしまして、國会の御決議を頂いて、政府として支拂う用意をしておるその数字までの金は支拂えるような状態にしたい。右についての所見はどうかと質しましたところが、これに対しては、イエスともノーとも言えない、かような見解でありましたが、政府といたしましては、こういつた政府の用意しております金額をも受取らんというようようた意味合に組合が考えているとも感じられませんので、これだけのものは取敢えず支給の手続を進め、一方團体交渉の方は引続きやつて行く。その結果、妥結しました線が纏りましたならば、その差額につきましては政府として補正予算を出すことを考慮する、かような前提の下に本日まで話合いが進行いたしております。
  111. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 只今本案について御質問ございませんか。いずれ又明日審議いたしますけれども……。それではこの法案に対する御質疑はこの程度にして置きまして、次に、外國貿易特別円資金特別会計法案につきまして御質疑のおありの方は御質問願いたいと思います。
  112. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 この第三條の解散團体の財産の管理及び処分に関する政令といいますが、この解散團体とはどういうものを指すのでありますか。
  113. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 解散團体の具体的の名称を例示的に申上げますと、大政翼賛会、翼賛壯年團、大日本婦人会、大日本青少年團、産業報國会、労務報國会、以下相当数ございますが、例示的に申しますと、かようなものでございます。
  114. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 これはどうしてこういう貿易資金の方へお廻しになるのでありますか。その根拠は……。
  115. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) これは提案の理由のときにも御説明申上げたかと存じますが、趣意は連合國最高司令官の指示によりまして、解散を命ぜられましたこれら國体の財産は、別に最高司令官の名義を以ちまして、別途に、現金につきましては銀行預金として整理する、財産につきましてはそれぞれ管理をいたしておつたのであります。ところが最近指令が参りまして、これらのものにつきましては、管理中の財産を処分した場合の收入は、御承知のように外國貿易資金というのがございまして、これは別に商工省所管にございまして、現在いわゆる、國家管理でやつておりまする外國貿易の運営に当る資金として商工省貿易庁で運営をいたしておるのでありますが、その賞金に繰入れるようにという指令が参つておるのであります。具体的にこの解散團体の財産と、この外國貿易資金と、どういうふうな結び付きがあるかということは、私共はいろいろ臆測もしているのでありますが、まあ卒直に申上げまして、向うの指令の内容でありまして、実は余り的確に申上げる準備はいたしておらんのであります。
  116. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そうしますと、金額はどのくらいになつておりますか。
  117. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) これは別途参議院で御審議を頂いておりまする予算に現われました歳入歳出金額と、この解散國体に所属いたしまする財産の額と、大ざつぱに申上げますと二つに分れているのでありますが、解散國体に属しまする財産の金額は、土地、建物、動産、有價証券等を通じまして、合計額約九億六百万円程度と推定されております。
  118. 星一

    ○星一君 今の金額は時價ですか。
  119. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 推算の内容は、先程も申上げましたように、團体の数も相当多数に上ることでもありまするし、それから土地、建物、動産、有價証券等各樣に亙つておりまして、評價規準は必ずしも明瞭でないのでありまするが、土地につきましては仮に坪当三百円程度、建物につきましては坪当り八千円程度、動産一件、これは先ず百五十円程度、それから有償証券につきましては先ず額面の半額程度というような、申さば達観的な基準を以ちまして一應の推定を試みたのでありますが、冒頭申上げましたように、團体の数も相当多数でございまするし、財産の種類にいたしましても何ら現状を十分把握しているという運びには至つておりませんので、凡そ推定の数字というふうに御了承願いたいと思います。
  120. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 今度貿易資金に繰入れる額というのは幾らぐらいでありますか。
  121. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 今回の特別会計予算におきまして、貿易資金に繰入を予定いたしております。金額は七億六百八十八万一千円でございます。
  122. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 九億と七億はどういうわけですか。
  123. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 先程申上げました九億六百万円の数字は、これら解散團体に属しております推定財産の総額でございます。そのうち二十二年度におきまして、すでに過去におきまして処分済みのもの、二十三年度におきまして凡そ処分できるであろう、こういう二つの金額を併せまして本年度の見込を立てましたものがこの七億六百万円というように御了承願います。
  124. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そうすると現在処分した金額はどこに今保管しておるのですか。
  125. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 只今までは連合軍最高司令官名義で銀行預金になつております。
  126. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そういたしますと、今度の貿易資金特別会計法の百五十億以外にこの十億が殖えおるわけですね。
  127. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) おつしやる通りであります。但し百五十億円の方は借入金でございます。こちらの方は純粋の繰入金でございます。その点が違います。
  128. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 本件につきまして他に御質問ございませんか。……ではこれは一應質疑終了として御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは明日午前十時から開会いたします。そうして御採決を願わなければならんものが沢山ありますから、どうぞ一つ十時に御参集下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            波多野 鼎君            伊藤 保平君    委員            天田 勝正君            伊藤  修君            木村禧八郎君            鈴木 清一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            石川 準吉君           尾形六郎兵衞君            紅露 みつ君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            小林米三郎君            小宮山常吉君            中西  功君   政府委員    大藏政務次官  森下 政一君    大藏事務官    (主計局第一部    長)      東條 猛猪君    大藏事務官    (主計局法規課    長)      村上  一君    大藏事務官    (銀行局長)  愛知 揆一君    大藏事務官    (給與局長)  今井 一男君