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周東委員 一、二お尋ねしたい、また御意見をお伺いしたいのであります。これは私が
さきに申し上げたいのでありますが、
政府を責めるよりも、一緒に御研究を願いたい。私は先ほど
川合君から
お話がありました千八百円の
ベースを変更するかどうかという御質問に対して、
政府は今日ただちに変更することは言いにくいであろうと思いますけれ
ども、変更することが必至の
状況におかれているというふうに、私は思うのであります。と申しますのは、
川合君は、ともあれ千八百円べ
ースと
物價体系の
決定は、ある程度成功であつたように思われるがという
お話でありますが、私は実は実際上においては、これは不結果に終
つておるように
考えるのであります。と申しますのは、私は一番
最初の案が策定されたときに、安定本部長官に対して、今日の
状況において、
インフレの防止のために、
物價と
賃金の悪循環を断ち切る方法として、いろいろな方面から
考えまして、
物價を六十倍ないし六十五倍の線にくぎづけ、そしてその基礎をなすべき千八百円の
賃金ベースをくぎづけにするということは、私は理論的には
一つの見方であり、正しいいき方であり、
政府のお
考えに対して敬意を表するものであるが、このことが実効をあげるについては、少くともいろいろな條件がこれに附帯してお
つて、その條件が同時に並行されていくことによ
つて、はじめてこれは
効果をあげるのだ。
ところがその條件のおもなものについて
考えてみるに、まず第一に
考えておられる
物價というものに対して、あらゆる物資について同時
決定が行われることが、まず必要であると思う。また第二番目には、
決定された以上、その
決定されたものの生産は、事業においてその價格をも
つて十分に生産費を償うに足るだけの原料資材、
資金が潤沢に供給されて、一定の計画に基いての生産量がつねに確保されること。第三には、その生産形態の内容においては、つねに
企業の独立採算制ということで進められることが前提にな
つておらなければならぬのであ
つて、その生産された價格が六十倍ないし六十五倍に
決定された價格において生産がされ、その生産による収入によ
つて総所得から総
支出を引いて、その
企業内部において独立ができる程度に、
企業の自主性並びに
企業の健全性が確保されるということが、前提にならなければならない。
從つてそのことは、言いかえれば、
企業に対する合理的な整備が徹底的に行われることが必要であるということが前提になるのであろう。
從つてまたその
物價の裏づけとな
つておる
賃金ベースについては、当然その
賃金を賄い得るだけ生産され、また食糧等に対する確保が行われることが前提にな
つてこなくてはならない。こういうことを申し上げて、これらについては、大体すべての見透しがついて、これが
決定されておるのかどうかということをお尋ねしたときに、大体その
通りであるようなことを
お話がありました。私はそのときに、その点はいささか意見を異にするものとして、そこまでい
つておらないのじやないか、もしこれがひとたび崩れてくると、おそらく当然將來において改訂せざるを得ない要因をすでに胚胎しつつ進んでおるのだということを申しあげておいたのでありますが、今日の事態は、これは
政府でもお認めになるはずだと思います。おそらく日本の生産
企業において、日本の生産量がそれほど殖えたとは、ほとんど
考えられないのであります。しかもその上に物は殖えずに、特殊なことの必要に
予算が非常に増加して、この三月ごろに組まれた
予算以上の
予算が今度
決定されてくる。こういうことになると、あらゆる諸條件は加味されざる上に、悪い條件がきておるのだから、私は当然にこの千八百円
ベースなり
物價の体系は崩れているのみならず、
政府が企図せられた——從來の
政府におきましては、少くとも
物價の値上げ等は三割、四割、非常に多か
つたので七割いくらの値上げがあつたと思いますが、その当時においてすら、價格の引上げは
インフレーシヨンを促進するものだ。そういう政策はいかぬということであ
つたのでありますが、今度は
一つの目安はあつたにしろ、三倍、四倍というような倍数的な値上げが行われてきた。これはわかりやすく言えば、三倍々々という値上げを五、六回繰返すと千倍になるわけであります。そういう含みを
もつた大幅の値上げは、
國民生活が自然に傷を治すというか、適應性を発揮するには、あまりに急激な値上げであつたということは、
一般の心理に非常な
インフレーシヨンの加速度的な高進を與えた結果が残つただけであ
つて、本來の
物價と賃銀の悪循環の断ち切りによる
インフレーシヨンの防止ができなか
つたのみならず、むしろ促進に非常な拍車をかけた結果にな
つておるとしか思えないのであります。こういう立場においてやはり
政務次官は、はたして今後もこれを守
つていけるとお
考えになるかどうか。私はほんとうに國を憂える立場から、その場限りの
答弁でなく、明確に御所見をお聽かせ願いたいと思います。